ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
バトルがメインです。
あと気になるところも何点か入れているので、注目してみてください。


第66話「黒化」

 

「メェーガァ!!!!」

 

グアイワルが生み出したトウモロコシ型のメガビョーゲンは、自身の体から赤い光弾を複数生み出して、周囲へと放つ。

 

「「!!」」

 

グレースとフォンテーヌは、その場から飛び退き、赤い光弾は地面に着弾して爆発を起こす。

 

「この氷・・・おそらくドクルンだな。ここ一帯を氷地帯にされたときは驚いたが、俺の作戦に支障はない・・・!!」

 

ドッグランは一面がドクルンのメガビョーゲンによって蝕まれた氷の世界へと変わっている。驚いたグアイワルは冷静に分析していたが、こちらは特に問題はないので気にしないことにした。

 

「メッガァ!!!」

 

「あ・・・!」

 

「うぅ・・・!!」

 

メガビョーゲンが頭のツルを伸ばして、空中へと逃げたグレースとフォンテーヌを拘束する。

 

「やれ!! メガビョーゲン!!」

 

「メガァ!!」

 

グアイワルの指示を受けて、メガビョーゲンは高く飛び上がる。

 

「ビョーゲン!!!」

 

「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

そして、身体を回転させて勢いをつけると、そのままグレースとフォンテーヌを地面へと叩きつける。

 

「グレース!! フォンテーヌ!!」

 

アースはメガビョーゲンにやられた二人を見て叫び、飛び出そうとするが・・・。

 

「動くなと言ったでしょう・・・?」

 

「クゥ~ン・・・・・・」

 

「っ・・・・・・」

 

そこへドクルンがアースを牽制するかのように、指先をラテに近づける。アースはラテを氷漬けにさせられる可能性もあって、その場から動くことができない。

 

「なぜ、こんなことをするのです・・・!?」

 

「何のことですかぁ?」

 

「こうやってみんなの場所を病気にして、危険な状態にすることです・・・!!」

 

アースは怒りの形相でドクルンに問う。なぜ、以前来たクルシーナやイタイノンもそうだが、こんなひどいことができるのか・・・。

 

「決まっているではないですか。この方が私たちにとっては居心地がいいからですよ」

 

ドクルンは不敵な笑みを浮かべながら当然のように言う。

 

地球の環境はビョーゲンズにとっては居心地が悪い。だから、メガビョーゲンを利用して病気で蝕んでしまえば、自分たちにとって都合のいい場所になり、自分たちが住めるような環境になるためにやっているのだ。

 

「それは、犬やあの人たちの居場所を奪ってまで行うことなのですか・・・!?」

 

「そりゃここの環境は悪いですからねぇ、居場所を奪わざるを得ないでしょう」

 

アースの非難の声に、ドクルンは首を振りながら当然のように答える。

 

「メェェェェ~ガァ・・・!!」

 

一方、冷蔵庫型のメガビョーゲンは上の小さな扉を開いて、氷の塊を次々と放つ。かすみとスパークルは飛んでかわし、メガビョーゲンの方へと飛び出す。

 

「メガ、メガ、メガ、メガ、メガ、メガ・・・!!!!」

 

メガビョーゲンはこちらへ向かってくる二人に向かって、氷の塊を発射していく。

 

「はぁっ!!」

 

かすみはシールドを展開して、氷の塊を弾き、その上にスパークルが乗って一気にメガビョーゲンへと飛ぶ。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

「メガァ・・・!?」

 

スパークルは閉じたメガビョーゲンの扉を蹴りつけて、メガビョーゲンをよろけさせる。

 

「メェェェガァァァ・・・!」

 

しかし、メガビョーゲンはすぐに上の扉を開いて、青い禍々しいオーラを溜め始める。

 

「!?」

 

「っ!? 危ない!!」

 

地面に着地したかすみは再び飛び上がるとスパークルの前へと飛び出す。

 

「ビョーゲン・・・!!」

 

メガビョーゲンは青色のレーザーを二人に目がけて放つ。

 

「はぁっ!!」

 

かすみはとっさにシールドを展開してレーザー攻撃に備える。

 

「ぐっ、うぅ・・・うわぁぁぁ!!!」

 

「あぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ドォォォォォォン!!!!

 

レーザーの威力を殺しきれずにそのまま吹き飛ばされてしまい、地面に着弾して爆発を起こした。

 

「スパークル!! かすみさん!!」

 

アースは叫ぶも、ドクルンにラテを人質に取られている状態ではどうすることもできない。

 

ドカァァァァン!!!!

 

と、そこへ遠方から爆発音が響き、アースがそちらに視線を向けると倒れているグレースとフォンテーヌの姿があった。

 

「うぅ・・・!」

 

「くっ・・・!」

 

「グレース!! フォンテーヌ!! ぐっ・・・!」

 

倒れているスパークルが、二人に向かって叫ぶ。二人は先ほどのトウモロコシのメガビョーゲンの切れたツルに拘束されたまま、動けずにいた。

 

「プリキュアも所詮はこの程度ですか。そこの新入りもこいつをこっちに持ってればどうしようもありませんねぇ」

 

ドクルンが自身のメガビョーゲンの側へと姿を現わす。

 

「ドクルン・・・!!」

 

「!? ラテ!! どうして!?」

 

グレースはラテがドクルンの手に入ることに疑問を抱く。

 

「建物の裏で氷漬けになりそうだったので、私が身を預かったんですよぉ」

 

「そ、そんな・・・!!」

 

ドクルンはメガネをあげながら、ニヤけた表情のまま言う。

 

「ハッハハハハ!! どうだ!? プリキュア!!」

 

「そちらも片付きそうな感じですねぇ」

 

そこへグアイワルが笑い声をあげながら姿を現し、そちらに二人のプリキュアが倒れている様子を見てドクルンも不敵な笑みを浮かべる。

 

「グアイワル!! ドクルン!! ここは人と動物がみんなで遊ぶ場所なの!!」

 

「お前たちの来る場所じゃない!!」

 

スパークルとかすみがそのように叫ぶ。

 

「ああ、そうですか。ですが、私には関係ありません。それにここ一帯が蝕まれたぐらいで何を吠えてるんです?」

 

「そうだ。それに人間と動物が遊ぶ? 下等生物ごときにかまけているなどくだらん・・・!!」

 

ドクルンとグアイワルは見下した言葉を言う。特にグアイワルの言った言葉に反応したものが二人いた。

 

「下等生物、だと・・・? あんなに人間のことを理解できる動物のどこが下等だというんだ!! そういうのを理解できないお前たちの方がよっぽど下等だ!!」

 

かすみは信じられないと言った表情をした後、怒りの形相をしながら反論する。

 

ドクルンは驚いたような表情でそれを聞くと、ため息をつく。そして、冷めたような表情へと変える。

 

「・・・私と同族のあなたが何を言っているのですか? 地球の生物と遊びすぎて、情でも沸いたんですかね」

 

「私はお前と同族じゃない!! お前と私を一緒にするな!!!」

 

「一緒ですよ、あなたは私たちと。自分が普通でないことに気づいていないんですか?」

 

かすみとドクルンが口論する中、アースもグアイワルの言葉に反応を見せていた。

 

「下等生物・・・?」

 

アースの頭の中には、犬を抱いて可愛がる中年男性、大きな白い犬と戯れる少女・・・そんな飼い主と犬たちが楽しく過ごしているときを思い出す。

 

それらを下等生物と蔑むビョーゲンズ・・・アースは自分の中に言い知れぬ感情が芽生えてくるのを感じた。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「キャン!キャン!・・・ウゥゥゥゥ・・・」

 

アースが気付いて視線を戻すと、なんと隠れていたはずのポチットがスパークルたちとグアイワル、ドクルンの間に立ちはだかっている。

 

ポチットは怯えた表情をしながらも、果敢にスパークルたちを守ろうとしていた。

 

「ポチット? 危ないよ、ポチット!!」

 

「逃げろ、ポチット!!」

 

スパークルとかすみは驚いたような表情をしながらも、ポチットに向かって叫ぶ。

 

「・・・!!」

 

アースは、そのポチットに何かを感じるかのように見つめていた。

 

「クッフフフフフ、アッハハハハ!! いいですねぇ・・・本当は怖いくせに自ら身を乗り出してプリキュアたちを庇うなど、本当に可愛い・・・!!」

 

ドクルンは驚いたような表情だったが、何かを感じたかのように笑い声をあげ、不敵な笑みを浮かべる。

 

「その態度に免じて、氷漬けにしてやるとしましょう。メガビョーゲン、やりなさい」

 

「メェェェ~・・・!!!!」

 

ドクルンはポチットを持ち帰ろうと、メガビョーゲンに攻撃するように指示を出す。メガビョーゲンは上の扉を開けると、そこに青色のオーラを収束させていく。

 

「ポチット!!」

 

フォンテーヌは逃げるように叫ぶも、ポチットはその場から唸ったまま動かない。

 

ドクン!!!!

 

「や、やめろ・・・」

 

かすみはその様子を怯えたように見つめ、そう呟く。

 

ドクン!!!!

 

そんなかすみの中に言い知れぬような感情が湧き出ていく。そして、黒い何かが彼女の体から放出されていく。

 

「逃げてっ!!」

 

グレースが叫ぶも、ポチットは体を震わせたまま動くことができない。

 

ドクン!!!!

 

「やめろ・・・!!」

 

かすみの中の言い知れぬ感情が大きくなる。それと同時に黒い何かの放出も止まらなくなる。

 

ドクン!!!!

 

「っ・・・!!」

 

「おっと、あなたは動いてはいけませんよぉ」

 

「くっ・・・!!」

 

アースは飛び出して助けようとしたが、ドクルンがオーラを収束した指先をラテに近づけたため、動くことができなかった。

 

ドクン!!!!

 

「やめてくれ・・・!!」

 

かすみの中の言い知れぬ感情がさらに大きくなる。それと同時に黒いオーラがかすみの体全体を侵蝕していく。

 

ドクン!!!!

 

「ガァ・・・!!!」

 

プリキュアたちの叫びも虚しく、メガビョーゲンは集約したオーラをビームにして放った。

 

「クゥ~ン・・・!!」

 

ポチットは迫ってくるビームに体を震わせており、その場からあまり動くことができない。

 

ドクン!!!!

 

「ダメェェェェ~!!!!!!」

 

スパークルは叫びながら、助けようとポチットに手を伸ばす。

 

ドクン!!!!

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

かすみの言い知れぬ感情が爆発し、黒いオーラが大量に放出される。そして、その瞬間・・・かすみの力が抜けて無気力な状態になったかと思うと、その場から彼女の姿が消える。

 

そして・・・・・・。

 

ドォォォォォォォォォォン!!!!

 

ビームが着弾して爆発を起こし、白い煙に包まれる。

 

「ああ・・・・・・」

 

スパークルはそれを見ると同時に絶望の表情になる。ポチットはメガビョーゲンの攻撃を受けてしまったのか・・・。

 

「ふふふ・・・」

 

ドクルンは不敵な笑みを浮かべながら、その様子を見る。

 

白い煙が晴れた時、そこには氷漬けになったポチットの姿・・・・・・は、なかった。

 

「っ!?」

 

ドクルンは氷漬けになっているはずのポチットの姿がないことに目を見開く。あんな状態で急いで逃げれるわけがない。一体、どういうことなのか・・・!!

 

すると、グレースとフォンテーヌの背後からかすみが姿を現わす。その手の中にはポチットがあった。

 

「あ、かすみっち!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

スパークルは背後にいたかすみに声を掛けるも、彼女は何も答えない。それに彼女の体から黒いオーラが放出されている。

 

かすみは背後を向いてしゃがみこむと、ポチットをゆっくりと地面に下ろす。

 

「お前はここで、大人しくしてろ」

 

「クゥ~ン・・・?」

 

かすみはポチットにそう声を掛けるも、彼女の声はいつもより低く、ポチットも彼女の様子に違和感を感じていた。

 

ポチットの心配する声を気にせず、その場から姿をしたかと思うと、スパークルの横に姿を現わす。

 

「かすみっち・・・?」

 

スパークルは様子のおかしいかすみに声をかける。

 

「かすみちゃん・・・?」

 

「何か、様子がおかしいわ・・・!」

 

グレースとフォンテーヌも異変を感じ取ったようで、そう口にしていた。

 

「かすみさん・・・何だか、邪な気配を感じます・・・!」

 

アースも何かを感じ取ったようで、それに険しい表情をしていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみは周囲から声を発していても、黙ったままだ。

 

「・・・脱走者、それは何なんですか?」

 

ドクルンは先ほどの笑みはなく、かすみに冷たい表情を向けながら言った。

 

「ドクルン、あれが例の脱走者か? 何だか様子が違うようだが・・・」

 

グアイワルはそばにいたドクルンに声をかける。脱走者のことは噂に聞いていたが、何やら様子がおかしいことを感じ取っているようで、彼女に問うていた。

 

「私の・・・!」

 

かすみは今までにないくらいの低い声を出す。そして、今までに見たことがない怒りの形相をビョーゲンズに向ける。その瞳は赤く染まっていた。

 

「私の大切なものの命を・・・この場所を・・・!!」

 

かすみの周囲に風でも吹いているのか、彼女の金髪がゆらゆらと揺れる。それは何か禍々しいものを放出しているかのようだった。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!!!

 

さらに地面が揺れ始め、かすみの黒いオーラが増えていく。

 

「これ以上、傷つけるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

ゴォォォォォォォォォォォ!!!!

 

かすみが絶叫したその瞬間、体から膨大なオーラが溢れ、彼女の体がそれに包まれていく。

 

「うぅ・・・ど、どうなってんの!?」

 

「かすみ・・・どうしたの!?」

 

「かすみちゃん!!」

 

スパークルはかすみから発生した衝撃波に思わず腕で顔を覆うも、かすみの異変に戸惑いの声を上げ、フォンテーヌとグレースは叫び声をあげる。

 

「あれは、もしかして・・・!!」

 

アースはかすみの様子を見て、険しい表情をしていた。

 

「! あれは、メガビョーゲンの出すオーラと同じですね・・・」

 

ドクルンは目を見開いてかすみを見るも、冷静に分析する。あの膨大なオーラはメガビョーゲンにメガパーツを埋め込んで、発生するあの光景に似ていると。

 

というふうに見ると、やはりあの脱走者は・・・!

 

ドクルンはかすみに対して何か確信を持てたように、口元に笑みを浮かべた。

 

膨大なオーラに包まれたかすみは、その中で自然の力を借りた時と同じような、ある変化を遂げていた。金色の髪は銀色に変化するも赤く禍々しいオーラが漂うものになり、頭の二つのリボンが赤く染まる。さらに赤い手袋が黒く変化し、両手に持っている黒いステッキは色こそ変わらないものの、禍々しい赤色のオーラに包まれていく。

 

そして、その変化がすべて終わった時、彼女の周囲を纏っていたオーラは晴れて、かすみがその姿をプリキュアとビョーゲンズに晒した。

 

「かすみっち・・・?」

 

スパークルは豹変した様子のかすみを見て戸惑いの声を漏らす。

 

プリキュア3人が彼女がどうして変貌したのか考える様子もなく、かすみはその場から姿を消えたかと思うとドクルンの横へと姿を表す。

 

「!?」

 

ドクルンが気付いた時にはすでに遅く、睨みつけた様子のかすみが黒いステッキを向けてその先から黒いオーラを収束させて、光線を放った。

 

「くっ、うぅ・・・!!」

 

ドクルンはとっさにラテを掴んでいない方の手で氷のシールドを広げるも、威力が強く押されそうになる。しかし、それでも吹き飛ばされないように踏ん張り、光線を相殺する。

 

ドクルンは氷のシールドを解いて、前方を警戒するもそこにいるはずのかすみの姿は消えていた。

 

「っ・・・どこに・・・!?」

 

ドクルンは周囲を見渡してかすみを探すも、その瞬間に腹部に衝撃が走る。

 

「あ・・・!?」

 

「ふんっ・・・!!」

 

ドクルンが下を見ると、なんとかすみがいつの間にか懐に入ってパンチを食らわせていたのだ。かすみはそのまま拳を押しやってドクルンを吹き飛ばす。

 

突然の行動に思わずドクルンが離したラテを、かすみはとっさに自身の手に収めるとその場から姿を消し、動けないままのアースのそばに現れる。

 

「かすみさん・・・あなたは・・・?」

 

アースはかすみのことを驚いたような表情で見ていたが、かすみは彼女の言動に何も返さないまま、ラテをゆっくりと地面へと下ろす。

 

「アース、もう動けるだろ・・・?」

 

「!!」

 

かすみは黒いステッキをメガビョーゲンに向けて構え、冷めたような声でアースに声をかける。

 

アースはかすみから底知れない何かを感じていたが、彼女は暴走することなく、アースと共に戦おうとしていることに驚き、意を決したような表情になる。かすみがドクルンからラテを取り戻してくれたおかげでアースもようやく動くことができる。

 

「聞きたいことはありますが、今は速やかに浄化しましょう」

 

アースはかすみの横に並び、戦闘態勢になる。

 

「ふん、そんな下等生物たちを守って何の意味がある・・・!!」

 

グアイワルはかすみの行動を見下す。

 

「下等生物ではありません。彼らは人間と共に生き、笑い、互いを思い合っている。その姿はとても・・・とても抱きしめたくなる姿です・・・!」

 

アースは凛とした声でグアイワルに言い返す。

 

「それを何も知らないお前たちが、貶していい存在じゃない・・・! この地球の生き物を、人間をバカにするなッ!!!!」

 

かすみはアースに便乗するかのように怒鳴り返す。

 

「くっ・・・メガビョーゲン!!!」

 

「メガ~・・・!!」

 

かすみに威圧されたグアイワルはメガビョーゲンに指示を出して、攻撃するように指示を出す。メガビョーゲンは頭のツルを伸ばして、アースを捉えようとする。

 

ツルが届く瞬間、かすみはその場から姿を消し、アースは空中に飛び上がってメガビョーゲンが振るうツルをパンチで弾いたり、受け止めて上へ飛んだり、迫ってくるツルを瞬間移動して交わすなどして華麗にさばいていく。

 

「なっ、なんだと!?」

 

グアイワルが驚いていると、そのメガビョーゲンの背後に迫るものがいた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「メッガァ・・・!?」

 

かすみがアースに気を取られているメガビョーゲンの背中に強烈なドロップキックを繰り出し、メガビョーゲンはその巨体をよろけさせる。

 

その隙にアースはメガビョーゲンの背後へと移動し、右手を振るって強力な風を起こす。

 

「ぬおっ!?」

 

「メガァ・・・ビョーゲン!?」

 

その風はグアイワルを吹き飛ばし、メガビョーゲンの巨体を倒れさせた。

 

「ふっ・・・!!」

 

かすみはグレースとフォンテーヌの背後に現れると、黒いステッキを振るって斬撃を放ち、縛られている二人のツルを切って解放する。

 

「かすみちゃん・・・!!」

 

「かすみ・・・!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

立ち上がったグレースとフォンテーヌがかすみを心配して近寄るも、かすみは何も話そうとしない。

 

「メェ~ガァ・・・!!」

 

「っ!!」

 

そこに冷蔵庫型のメガビョーゲンが上の扉を開いて氷の塊を放つ。かすみはそれに気づくと黒いステッキからシールドを展開して攻撃を防ぐ。

 

「ふん!!」

 

さらにドクルンが自分の周囲に氷塊を出現させると、それを次々とかすみに目がけて放つ。

 

ドォン!! ドン!! ドォォン!!!!

 

「くっ・・・!! うぅ!!」

 

かすみはシールドを展開しつづけるも、威力をいつまでも殺し続けることはできずにグレースたち3人と一緒に吹き飛ばされる。

 

「あっ・・・!!」

 

「かすみっち、大丈夫なの・・・!?」

 

「なんか、嫌な気配を感じるわ・・・!!」

 

吹き飛ばされるも立ち上がる4人。しかし、3人はかすみを心配し、中でもフォンテーヌは異様な気配を感じていた。

 

これはまるで、ビョーゲンズのような・・・!!

 

「アッハハハハ・・・!!!!」

 

そこにドクルンの笑い声が響き、プリキュア3人とかすみは声がした方に振り向いてステッキを構える。

 

「私を突き飛ばすとはなかなかやりますねぇ・・・私より後に生まれたものとしては上出来です」

 

「黙れ!!!!」

 

ドクルンの余裕そうな態度に、怒鳴り声をあげるかすみ。

 

「ふふふ・・・とてつもない力が溜まってますねぇ。もっと怒らせたらどうなるんでしょうか? メガビョーゲン、やりなさい」

 

「メェェェェ~・・・!!」

 

ドクルンは面白いものを見るかのようにそういうと、メガビョーゲンに攻撃を指示。メガビョーゲンは上の扉に青い禍々しいオーラを収束させていく。

 

「また、来るよ・・・!!」

 

グレースたちは攻撃に備えて、防御体制を取ろうとする。

 

「スパークル」

 

「な、何? かすみっち・・・」

 

かすみの低い声にビクつくスパークル。

 

「何かマークが描かれたボトルがあっただろ? それをステッキにはめ込んで、その光線を私に撃ってくれ」

 

「かすみちゃん!?」

 

「何を言っているの・・・!?」

 

「そんなことしたら、かすみっちが・・・!!」

 

かすみの提案に、グレースたち3人は驚きを隠せない。メガビョーゲンに放つことはあるエレメントの力だが、それを自分に向かって撃てというのは聞いたことがない。

 

「いいからやってくれ!! もう人も動物も・・・あの怪物からも・・・泣いている声は聞きたくない・・・!!」

 

かすみはスパークルに向かってそう叫ぶ。振り向きながら言うその眼差しは睨んだような瞳ながらも、その目には決意のような何かを宿していた。

 

「・・・わかったよ。火のエレメント!!」

 

スパークルはかすみのその表情に何かを感じると、覚悟を決めたようにステッキに火のエレメントボトルをはめ込む。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!」

 

スパークルはかすみに向かって火を纏った黄色の光線を放つ。

 

「ふっ!!」

 

かすみは黒いステッキで黄色の光線を受け止め、自身のステッキにそのエネルギーを貯めていく。

 

「!? 吸収してる!?」

 

「・・・そうか。きっとあのステッキに力を集約させて放とうとしているのよ・・・!!」

 

驚くスパークルに、かすみの能力を分析するフォンテーヌ

 

「っ・・・!!」

 

そんな中、かすみは黄色の光線と自身の黒いエネルギーをステッキに収束させながら、メガビョーゲンに照準を向ける。

 

「ガァ・・・!!!!」

 

メガビョーゲンは青色のレーザーを放った。

 

「はぁっ!!!!」

 

かすみも黒いステッキから火を纏った赤黒い禍々しい太めの光線を放った。

 

二つの光線はぶつかり合うも、メガビョーゲンの方が強力なのか徐々にかすみが押されていく。

 

「くっ・・・!!」

 

かすみは苦しい表情を見せながらも、レーザーを押し返そうとする。

 

「いい加減諦めたらどうです? あなたが動物たちを庇う必要など、どこにもないのです。同族であるあなたが守れるわけがないし、所詮は病気に蝕まれて終わるんですから」

 

ドクルンが苦戦しているかすみを煽るかのように言い放つ。

 

「黙れと、言っている・・・!!」

 

かすみはそんなドクルンの言葉を一蹴する。

 

「お前の、お前らの戯言なんか聞きたくもない・・・!! 私は私だ!! お前らと同族でもなければ、一緒にされる筋合いもない・・・!! 私はグレースたちにいろいろと教わり、これからも一緒にいる・・・!! そんな私の名前は、風車かすみだー!!!!!」

 

かすみがそう叫ぶと黒いステッキから放出される光線が太さを増し、メガビョーゲンのレーザーを押し返した。

 

「ビョー・・・!?」

 

「っ・・・!?」

 

これにはドクルンだけでなく、メガビョーゲンもびっくりだった。そして、そのままなすすべもなくメガビョーゲンに光線が迫り・・・・・・。

 

ドカァァァァァン!!!!

 

メガビョーゲンへと着弾し、怪物はそのまま背後へと倒れた。

 

「よし!!」

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

スパークルはメガビョーゲンに近づいて、ステッキの肉球を一回タッチしメガビョーゲンへと向ける。ニャトランの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「いたぞ!! 氷のエレメントさんだ!!」

 

グレースたち3人はそのまま浄化に移ろうとする。

 

「メッガァ・・・」

 

そこへトウモロコシ型のメガビョーゲンが立ち上がり、胴体の中心部に力を溜め、こちらに目がけて光弾を連続で放つ。

 

「っ!! はぁ!!」

 

かすみはメガビョーゲンの前に立つとシールドを展開して、光弾を防ぐ。

 

「「「はぁぁぁぁ!!!!」」」

 

爆発の煙から飛び出したグレースたち3人はメガビョーゲンに向かって同時に蹴りを放つ。

 

「ビョーゲン!?」

 

そのままメガビョーゲンは背後へと数メートルほど吹き飛ばされる。

 

「はぁっ!!!」

 

「メガァァァ!?」

 

さらにアースから渾身の蹴りを顔面に受け、今度こそ地面へと倒れていくメガビョーゲン。

 

シュウゥゥゥゥゥゥ・・・・・・。

 

「あ・・・!」

 

その時、かすみの髪の色が銀髪から金髪へと元に戻り、彼女は力を使い果たしたかのように膝をついてしまう。

 

「かすみさん!!」

 

それに気づいたアースはかすみのそばへと飛んで駆け寄る。

 

「大丈夫ですか・・・!?」

 

「うぅ・・・あ、アース・・・大丈夫だ・・・ちょっと力を使いすぎただけだ・・・」

 

かすみは呻いていたが、心配するアースの表情を見て眉をハの字にしながらも微笑んでみせる。

 

「メガァ・・・!!」

 

そこへ冷蔵庫型のメガビョーゲンが立ち上がる。上の小さな扉の生成装置が破壊されているものの、懲りずに襲いかかろうとする。

 

「・・・あとは私に任せてください」

 

「ああ、よろしく頼む・・・」

 

アースはその場から立ち上がると、メガビョーゲンへと体を向ける。

 

「今、助けに参ります!!」

 

アースは両手を合わせるように祈り、浄化の準備へと入る。

 

一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線に冷蔵庫型のメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、氷のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

そして、グレースたちもミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にトウモロコシのメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が実りのエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

それぞれのエレメントさんが宿っていたものに戻っていくと、蝕まれた場所は元に戻っていく。

 

「ワフ~ン♪」

 

体調不良だったラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「ちっ・・・まあいい、今回はこれを手に入れるのが目的だからなぁ」

 

舌打ちをするグアイワルだが、不敵な笑みを浮かべて見るその手元には両手に抱えるほどの大量のメガパーツがあり、彼はそれを持ったままその場から姿を消した。

 

「ふん・・・まあ、いいわ。可愛いものは今後に取っておきましょう。それにーーーー」

 

ドクルンは氷が音を立てて消えていくのを無表情で見つめながらそう呟くと、不敵な笑みを浮かべながら手を広げる。

 

「メガビョーゲンが攻撃をすれば、その場所から採取できることもわかったしね」

 

そういうドクルンの手の上には、8個ほどのメガパーツが宙に浮いていた。プリキュアが苦戦している間に、氷漬けになった地面の氷柱からメガパーツを手に入れていたのである。

 

メガパーツの今後の使い方も考えなくてはいけないが、彼女にはまだ気になることもあった。

 

「それにしても・・・」

 

ドクルンはしゃがみ込んでいるかすみに視線を向ける。

 

「あの脱走者、明らかに私たちと同じ気配だったわねぇ・・・ふふふ、どうなるのか楽しみ♪」

 

ドクルンは笑みを深くしながらそう呟くと、その場から姿を消した。

 

「ふぅ・・・よかっ、た・・・」

 

蝕まれた場所が元に戻っていくのを見て安堵したかすみはそのまま地面へと倒れてしまう。

 

ーーーー!? かすみっち!!

 

ーーーーかすみちゃん!!!!

 

ーーーーかすみ、しっかりして!!

 

ーーーーかすみさん!!

 

意識を闇へと落とす前、プリキュアの4人が自分の方へと駆け出してくるのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・あ・・・」

 

木陰で寝かされていたかすみは数分後に目を覚ました。その目の前には彼女のことを心配するのどかたちの姿があった。

 

「あ、気がついたよ!!」

 

「かすみっち〜!!」

 

ひなたが瞳を潤ませながら、横になっているかすみに抱きついた。

 

「あ・・・ひなた・・・?」

 

「もう〜、心配させないでよぉ〜!! 心臓止まるかと思ったんだから〜!!」

 

泣きついてくるひなたに、かすみはそっと頭の後ろに手を置いて撫でる。

 

「すまなかったな・・・でも、ありがとう・・・」

 

かすみは安堵したように微笑みながらそう言った。

 

「大丈夫なの? かすみ」

 

ちゆが心配そうな表情をしながら言う。

 

「ああ・・・大丈夫だ。ちょっと力を使いすぎたのかな・・・」

 

(でも、なんだ・・・さっきのお手当て、何も憶えてないな・・・)

 

かすみは先ほどの戦闘を反省しようとするが、メガビョーゲンと戦ったときの記憶が朧げだ。なぜ倒れるくらいになったのかあまり覚えていない。

 

「ひ、ひなた・・・苦しいぞ・・・」

 

「ああ、ごめん!!」

 

ひなたは慌てて体を離す。

 

「無茶しないでください、かすみさん。そんなことをしたら私は悲しいです・・・」

 

同じく心配そうな表情をしながらアスミがそう言うと、なぜかアスミの体が透け始めた。

 

「ああ・・・!! アスミ、体が・・・!!」

 

「アスミちゃん、落ち着いて!! かすみちゃんは大丈夫だから!!」

 

「そ、そうだよ!! かすみっちも反省してるし、大丈夫だって!!」

 

「アスミは気にすることないわ!! おかげでポチットとも仲良くなれたじゃない!!」

 

アスミの姿にあわあわとし始めるのどかたち3人。かすみはその姿を微笑ましく見つめていたが、あることを思い出してハッとする。

 

「ポチットは!?」

 

かすみは体を起こして叫ぶ。自分が朧げだが、守っていたポチットが無事かどうかを見ていない。どうなったか心配になったのだ。

 

「ポチットくんは無事だよ」

 

のどかに視線を移すと手元にちゃんとポチットが抱かれているのが見えた。

 

「! ポチット・・・!!」

 

かすみは見た瞬間に安堵したような表情をし、ポチットに手を伸ばそうとして手を止めた。

 

「クゥ〜ン・・・」

 

「? ポチットくん、どうしたの? かすみちゃんだよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

ポチットはかすみの顔を見て怯えたような表情をして震えていた。のどかはかすみが怖がっている理由を分からなかったが、かすみはなんとなく察していたようで顔を俯かせる。

 

「そうか・・・そうだよな・・・あんなに怖がらせちゃったもんな・・・」

 

メガビョーゲンとの戦闘は朧げであまり覚えていない。ただその時のお手当てで自分がポチットを怖がらせてしまったのだろうと考えていた。

 

「すまなかったな・・・ポチット・・・」

 

「かすみちゃん・・・」

 

そう呟くかすみの声はどこか悲しげな様子だった。のどかもその様子を見て不安そうな様子だった。

 

その後、のどかたちはドックランを離れて、ひなたの家へと戻っていた。のどかたちはラビリンたちがポチットと共に遊んでいる姿を見守っている。

 

「・・・ポチットくん、新しい家族が決まったんだよね」

 

「うん、来週迎えに来るんだぁ・・・」

 

「新しい家族とも、きっと仲良くなれるわ」

 

ポチットは近いうちに新しい家族に貰われることになっており、みんなは寂しげな様子でそれを見ていた。

 

「でも、お別れするのは寂しいですね・・・」

 

「「「えっ?」」」

 

「・・・えっ」

 

アスミはポチットがいなくなるのを一番寂しそうにしており、のどかたちは驚きの声を上げる。

 

「アスミンが『寂しい』って言うなんて・・・」

 

「初めてじゃないかしら・・・!」

 

ひなたたちがアスミの様子に驚いている。

 

「ワンワン♪」

 

「キャンキャン♪」

 

すると、ラテとポチット、ラビリンたちが駆け寄ってくる。

 

「ウゥ〜ン・・・」

 

ポチットはアスミの前でどうかしたの?と言わんばかりに首を傾げている。そんなアスミはポチットに近づくと目の前でしゃがみこむ

 

「ポチット・・・今更ですが、私はあなたとお友達になりたいと思っています。人とは違う味ですが、仲良くしてくれませんか?」

 

アスミはポチットにそう言い聞かせながら、彼に手を差し出す。

 

ポチットはしばらくその手を見つめていると・・・・・・。

 

ペロッ

 

「!!」

 

それを受け入れるかのように彼女の手を舐めた。それに驚くアスミ。

 

「アスミン、ポチットも仲良くしたいって!!」

 

ひなたたちが喜ぶ中、アスミはポチットに手を伸ばして頭を優しく撫でる。

 

「クゥ〜ン♪」

 

ポチットはそれに喜んで、尻尾を振っていた。

 

「あ・・・可愛い・・・!!」

 

アスミは顔を紅潮させながらそう呟くと、ポチットを手元に抱いてひなたたちの方を見る。

 

「ひなた、不思議ですね。私の中で『可愛い』がどんどん膨らんでいきます・・・!!」

 

「可愛いに限界はないんだよ♪」

 

「ふふっ♪」

 

「キャン♪」

 

ひなたの言葉を聞いたのどかたちやラビリンたちは笑みを浮かべ、アスミはこの日一番の笑顔を浮かべていた。

 

「ふっ・・・」

 

かすみはその様子を微笑ましながらも、どこか寂しそうに見つめると再び顔を俯かせる。そして、その場を歩き去っていこうとする。

 

「? かすみっち!!」

 

それに気づいたひなたが、かすみに声をかけて駆け出していく。かすみはそれに足を止める。

 

「どこに行くの?」

 

「ちゆの家に帰るよ・・・」

 

かすみは寂しそうな声でそう答えた。

 

「ポチットのこと、気にしてんの?」

 

ひなたはドックランでポチットがかすみを見て怖がっており、彼女がそれを気にしていると思ったのだ。

 

「別にいいんだ。ポチットが新しい家族に拾われて、幸せにさえなってくれれば・・・」

 

かすみはひなたに背を向けながらも、その寂しそうな声は変わらない。

 

「大丈夫だよ!! ポチットはメガビョーゲンのせいで怯えてただけだって!! また、仲良くなれるよ〜!!」

 

ひなたは寂しそうな背中にそう声をかけるも、かすみは振り向くことをしない。

 

「・・・のどかには、抱かれてたのにか?」

 

「あ、そ、それは・・・」

 

「私が近づいて、また怖がって、それで人間を怖がるようになったら嫌だろう? だから、もういいんだ・・・」

 

かすみはそう反論し、ポチットのことを諦めようとしていた。せっかく人間慣れしてきたのに、人間にそっくりな私が怖がらせて、また臆病に逆戻りしたらこれまでの努力が水の泡だ。だから、かすみはポチットから離れようとしていたのだ。

 

「かすみさん・・・?」

 

「!!」

 

そこへポチットを抱いたアスミがこちらに近づいてくる。かすみはそれに気づくとハッとして振り向く。そこには無垢な顔をしたポチットの姿が。

 

かすみは胸の中に熱いものを感じていたが、表情は寂しそうにしながらも笑みを浮かべる。

 

「ポチット・・・新しいところに行っても幸せにな」

 

かすみはそう呟くと再び歩みを進めて、その場から歩き去って行った。

 

「あ・・・かすみっち!!」

 

ひなたは呼び止めようとしたが、かすみはそのまま立ち止まることはなかった。

 

「どうしたの?」

 

そこへちゆとのどかがこちらに駆け寄ってくる。

 

「かすみっちが、ポチットのことはもういいって・・・」

 

ひなたが事情を話すと、ちゆは歩き去っていくかすみの後ろ姿を不安そうに見つめる。

 

「かすみちゃん・・・」

 

のどかもかすみの寂しそうな後ろ姿を見つめるしかなかったのであった。

 

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