ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

68 / 144
原作第24話がベースです。
今回は大自然と触れ合う、そしてビョーゲンズにも動きが・・・。


第67話「自然」

 

ビョーゲンズたちだけの世界ーーーービョーゲンキングダム。そこは彼ら以外の生物たちや人間が住んでいくことができない閉鎖的な場所。

 

その岩場の一つに、クルシーナが寝そべりながら手に持っているメガパーツを眺めていた。その隣にはイタイノンが足をぶらぶらとさせながら座っている。

 

「メガパーツ・・・他に使い道はないのかしらねぇ。まあ、メガビョーゲンを大きくできるのは悪くないことだけど」

 

クルシーナはメガパーツをどう使えばいいのか困っているようだった。このかけら一つでメガビョーゲンを成長させられるのはいいことだ。しかし、それではあの新入りのプリキュア、キュアアースと言ったか、あいつには全く通用していないことはこの前の出撃で検証済みだ。

 

この前は、廃病院で眠っているあのビョーゲンズにメガパーツを入れたことはあったが、目が覚める様子はなかった。もしかしたら、メガパーツが足りないせいかもしれないが、単純に私たちと同じ父である、キングビョーゲンによって生まれた存在であるせいなのかもしれない。だから、そういう問題ではないのかもしれない。

 

「クルシーナ」

 

「・・・何か用?」

 

「メガパーツを眺めてたってしょうがないと思うの」

 

「・・・わかってんの。こいつをどう利用してやろうものかと思っただけ」

 

「ふーん・・・あ・・・」

 

イタイノンはそれを聞くと何か思い出したかのようにポケットを弄る。

 

「・・・何よ?」

 

「そういえば、こいつを持っていたの忘れてたの」

 

イタイノンが取り出したのは黒い電気をバチバチとさせているクリスタル。これは以前、憎き相手であるキュアスパークルの体から取り出した自分の病気だ。

 

「・・・ああ、そんなもの持ってたわね」

 

クルシーナはチラッとそれを見てそういうと、すぐにメガパーツへと視線を戻す。

 

「これってどうやって使うの?」

 

イタイノンはそう呟く。クルシーナは再び彼女の方を振り向く。

 

「知るかよ、アタシが。アンタの力でも注いで見ればいいんじゃないの?」

 

「・・・なるほどなの」

 

クルシーナは不機嫌そうな表情でそういうと、イタイノンは妙に納得したように返す。あの時、種にオーラを注ぎ込んだクルシーナの真似をすればいいのかと。

 

イタイノンは手から赤く禍々しいオーラを注ぎ込む。すると、赤いクリスタルからクモのような4本足が生えるとイタイノンの手元から離れてカサカサと動き出す。

 

「おぉ・・・動き出したの」

 

「あっそ・・・よかったわね」

 

驚いているイタイノンに対し、興味がなさそうに適当に返すクルシーナ。

 

イタイノンから離れるようにカサカサと動いていたクリスタルは、白いワープホールのようなものを出現させるとその中に飛び込んで姿を消していった。

 

「どっかに消えたの」

 

「また、適当な誰かに入り込んでいくでしょ」

 

イタイノンはクリスタルが消えた場所を見つめながらそういうと、クルシーナは視線を動かさずに答える。

 

「うーん・・・・・・」

 

メガパーツを見つめながら唸るクルシーナ。彼女はあのビョーゲンズにメガパーツを入れたときのことを思い出す。あの時は、入れた瞬間にあのビョーゲンズの力が膨れ上がった。

 

メガパーツはメガビョーゲンの一部・・・バテテモーダを生み出したあの種もメガビョーゲンの一部・・・そして、お父様の娘である自分たちが生まれたのは・・・。

 

ということは、このメガパーツを利用すると・・・・・・。

 

「!! ふふふ・・・」

 

クルシーナは何かを思いついたようで不敵な笑みを浮かべる。

 

「何をニヤニヤ笑っているの・・・?」

 

「いやぁ? やる価値はあるかな~って思っただけよ」

 

「何がなの・・・?」

 

「秘密よ」

 

「むぅ・・・」

 

クルシーナは何やら自信満々にそういうとメガパーツを懐にしまう。イタイノンはクルシーナのその問いにムスッとしたような顔をする。

 

そういえば、メガパーツの使い方を悩んでたヤツが約一名、いたわよね。

 

クルシーナはそう思うと立ち上がって、岩場から飛び上がり、辺りを見渡す。そして、気配がした方向に向く。

 

「いたいた・・・」

 

クルシーナは岩場の側面の窪みにビョーゲンズの一人がいるのを見かける。その人物とはダルイゼンだった。

 

「・・・・・・・・・」

 

ダルイゼンは以前手に入れた3つのメガパーツを見つめていた。

 

思い出すのはこの前の出撃。グアイワルがメガパーツを使って、自身が生み出したメガビョーゲンを急成長させていた。クルシーナも同じことをしていたのを見ている。

 

「メガビョーゲンを成長させるのはいいけど、何かもう少し面白い使い方・・・」

 

ダルイゼンは何かいい方法がないかを考える。メガビョーゲンを急成長させるよりも、もっと有効的な使い方・・・・・・。

 

「ダルイゼン」

 

「?」

 

ダルイゼンが聞こえてきた声に視線を移すと、窪みの屋根の上にクルシーナが立っているのが見えた。

 

「・・・なんだよ、クルシーナ」

 

ダルイゼンはだるそうな口調に対し、クルシーナは不敵な笑みを浮かべている。

 

「メガパーツの使い方に悩んでるの?」

 

「・・・そうだけど?」

 

「アタシたちが生まれた起源って何だったかしら?」

 

クルシーナがそのように聞くと、ダルイゼンはメガパーツを見つめる。

 

「!! そうか・・・」

 

ダルイゼンは何か思い出したようで、不敵な笑みを浮かべる。

 

「まあ、実験しなきゃわかんないけど、試す価値はあるわよね」

 

「そうだな」

 

ダルイゼンはそう返すと持っているメガパーツを仕舞って立ち上がる。

 

「ねえ」

 

「・・・何?」

 

「アタシもアンタと同じこと考えてると思うんだけど、付き合ってもいい?」

 

「?」

 

クルシーナが不敵な笑みを浮かべながらそういうと、ダルイゼンは意外そうな表情を浮かべる。

 

「・・・ンフフ♪」

 

その様子を高所の岩場から見ていたヘバリーヌが妖艶な微笑みを浮かべていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはすこやか市にあるのどかの家、そこではのどか、ひなた、ちゆ、アスミ、かすみの5人とヒーリングアニマルたちが集まっていた。

 

「見て見て!! このカフェ、めっちゃ人気なんだって!!」

 

ひなたが雑誌を広げて、のどかたちに見せながら言う。

 

「『注目カフェ特集』?」

 

「おおらか市にあるのね」

 

「遠いの?」

 

「電車で2時間以上かかるかしら?」

 

のどかたちが見ているのは雑誌に載っていたカフェの記事だ。そこにはいろんな場所にあるカフェの特集記事が組まれているが、ひなたが見せたのは今話題になっているというおおらか市のカフェだった。

 

「今度の日曜、みんなで行こうよ!! ねっ? ねっ?」

 

「私もですか?」

 

「私も、行くのか・・・?」

 

「もっちろん♪」

 

ひなたがみんなで一緒に行こうと誘い、特にアスミとかすみの二人に顔を近づけながら言う。

 

しかし、かすみは右肩を掴みながら顔を俯かせる。その体からは暗いオーラが放出されていた。

 

「・・・私は、そんな気分じゃない、かなぁ・・・」

 

「えっ? なんで落ち込んでんの!?」

 

かすみが目に見えて落ち込んでいるのを理解し、慌て始める。

 

「も、もしかして、あの時のこと、まだ気にしてるの・・・!?」

 

「・・・・・・・・・」

 

コクコク

 

ちゆはこの前のことをまだ気にしているんだろうと指摘すると、かすみは頷く。

 

あの時というのは、この前のひなたの家で預かっていたポチットのことだろう。ドックランではかすみに慣れていたポチットだが、メガビョーゲンの戦闘後に怯えられることになってしまった。ポチットに嫌われたことを大分、心の傷になっているのだろう。

 

「わかってる、わかってるんだ・・・でも・・・はぁ・・・・・・」

 

「か、かすみちゃん!! そんなに落ち込まないで!! 今度の日曜日、気分転換も兼ねて一緒に行こう!!」

 

「そ、そうよ!! かすみの気持ちが沈んでちゃポチットも浮かばれないわ!!」

 

かすみはため息を吐いて落ち込み、のどかとちゆはあわあわとしながらも励まそうとする。

 

「か、かすみっちも、一緒に行こう!! ほ、ほら、こういうところ好きそうじゃない!? 」

 

ひなたも慌てながらも雑誌のページを開いて彼女に見せる。

 

「?・・・っ!」

 

「あっ」

 

かすみは涙目の瞳で雑誌に視線を向けると、何か思い当たったかのように目を見開く。そして、ひなたから雑誌を手に取ると、そのページを一心に見つめる。

 

「こ、ここは・・・!?」

 

かすみはページをマジマジと見つめている。そこには綺麗な湖があり、森が豊かな大自然が写っていた。

 

「おおらか市街から5キロ、山の中に広がる湖畔・・・」

 

かすみの様子が気になったのどかが雑誌のページに目をやると、どうやらかすみが気になっているのはおおらか市の街の外にある森のようだった。

 

「あぁ・・・♪」

 

かすみは元気をなくしていた表情から一変して、どんどん笑顔になっていく。

 

「私、ここに行きたい!! いいよな!? アスミは、どうだ!?」

 

かすみはカフェよりもこの森に行きたいということを主張する。アスミにもそれを問うと、彼女は驚いたような表情をした後に微笑む。

 

「私も、そう思います」

 

「ああ・・・♪」

 

パァァ・・・!!

 

アスミがそう返事をすると、かすみは表情を明るくさせた。

 

「ふふ♪」

 

のどかはその様子を見て微笑む。

 

「ねえ、ここに行こうよ!」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

のどかの言葉に、ちゆとひなた、ヒーリングアニマルたちは驚いたような表情をする。

 

「え・・・カフェは・・・」

 

「どれどれ? おぉ~!! めっちゃ大自然って感じだな!!」

 

「めっちゃ人気の・・・」

 

「綺麗な湖ペエ~!!」

 

ヒーリングアニマルたちもひなたが行こうと思っていたカフェよりも、大自然の記事の方に興味を示し始めた。

 

「みんなで遠くに行くの楽しみだし、アスミちゃんとかすみちゃんの行きたいところにしない?」

 

「いいんじゃない?」

 

「賛成ラビ♪」

 

「ワン♪ ワン♪」

 

のどかの意見に、ちゆもラビリンも、そしてラテも賛成のようだった。

 

「・・・!!」

 

パァァァァ・・・!!!

 

その様子にかすみは瞳を潤ませて、表情を明るくさせていく。

 

「どうかな? ひなたちゃん」

 

「お弁当を持ってハイキング♪」

 

のどかとちゆがそう言うと、ひなたは表情を明るくさせる。

 

「それめっちゃ楽しそ~!! 行く!!」

 

ひなたもそれを聞いて、森の方に行くのに賛成の様子だった。

 

「ありがとう♪」

 

のどかはその言葉に笑顔になる。しかし、それよりももっと喜んでいたのが隣にいた。

 

「のどかぁ~!!」

 

「え、ふ、ふわぁ~!?」

 

のどかは突然、抱きついてきたかすみに押し倒される。

 

「のどか~、ありがとう♪ 私、嬉しいぞ♪」

 

「あ、あはは・・・かすみちゃんが元気になってよかった・・・」

 

笑顔で言うかすみの様子に、のどかは苦笑しながらも安心した。

 

「じゃあ、早い時間の方が人も少なそうだし、駅に朝6時集合でどう?」

 

「「!?」」

 

ちゆが集合時間を決めた際、ひなたとニャトランの表情は青ざめた。

 

「ろ、ろ、ろく・・・!?」

 

「6時」

 

「まだ夜ニャ~!!」

 

「朝ラビ!!」

 

「うぇぇ!? 朝6時ってことはいつもより早く起きないとダメってことだよね~!?」

 

そんなに早く起きたことあったっけ? ひなたは起きれるかどうか心配になってきたのであった。

 

「かすみちゃん」

 

「あ、あぁ・・・すまない・・・!!」

 

かすみはのどかから慌てて体を離すと、のどかは体を起こす。そして、かすみとアスミの方を見る。

 

「楽しみだね♪ 日曜日」

 

「!! そうだな・・・ふふ♪」

 

「ふふふ♪」

 

のどかの言葉に、かすみとアスミは笑顔を浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして日曜日、おおらか市の街の外にある湖畔へとやってきたのどかたち。

 

「「「「「わぁ・・・」」」」」

 

そこに広がっているのは広がっているよく澄んだ綺麗な湖、その奥に広がる自然豊かな森、湖の近くに咲く綺麗な花、湖を泳ぐ元気なカモたちをはじめとした動物たち、本当に人の手を借りることのない大自然豊かな風景が広がっていた。

 

「ふわぁ~♪ 素敵♪」

 

「来てよかったぁ~・・・♪」

 

「本当ね・・・!」

 

のどかたち3人はその風景に喜ぶと、湖畔の近くへと駆け寄っていく。

 

「あぁ・・・ふふふ♪」

 

アスミはのどかたちやその風景に笑みを浮かべる。

 

「ワンワン♪」

 

楽しそうにしているラテも遊びたいようで、アスミは彼女をバッグから降ろすとラテは湖畔へと駆け出していく。

 

「はぁ・・・!」

 

かすみはその広がる光景に目を見開き、瞳を潤ませる。そして、自分の手を胸に当てる。

 

森の中にいるのに、息苦しさを感じないし、心の中に残る不快感もない。のどかたちと同じように純粋に風景を楽しむことができる。

 

「ふふ♪」

 

かすみはそう思うと顔を紅潮とさせて微笑む。そして、アスミの方を向く。

 

「アスミ、行こう♪」

 

「はい♪」

 

アスミとかすみは一緒に、のどかたちの元へと歩み寄っていく。

 

「すぅ~・・・はぁ~・・・め~っちゃ気持ちいい~!!!!」

 

「ふふっ、ひなたちゃん、声大き過ぎ♪」

 

「う~ん・・・でも、ここにいるとなんだか気持ちいいなぁ~・・・」

 

「「ふふふ♪」」

 

「ふふふ、あはは♪」

 

「ふふ♪」

 

のどかたちはそう言いながらお互いに笑い合った。

 

「はぁ・・・母なる地球、その懐にすごく慈しまれて抱かれているような気持ちペエ・・・」

 

「詩人ね・・・」

 

ペギタンは湖畔を泳ぎながらポエムのような台詞を言い、ちゆはそれを微笑みながら見守っていた。

 

「まだ人もいないし、これならラビリンたちも思いっきり遊べるね♪」

 

「ラビ♪」

 

朝早くから来たおかげで、この湖畔には人もおらず、ヒーリングアニマルたちも元気に遊ぶことができる。のどかとラビリンはそれを喜んだ。

 

「ラテ様、あの木まで競争だ! それ~っ!!」

 

「ワンワン♪」

 

「ラビ♪」

 

ニャトランの言葉を合図にかけっこを開始、ラテとラビリンはニャトランと一緒に駆け出していく。

 

「ラテも楽しそうでよかったです」

 

「そうだな」

 

アスミとかすみも、ラテの様子を見て笑みを浮かべていた。

 

「よーし♪ たくさん遊んで~、お弁当食べるよ~♪」

 

ひなたもこの湖畔で一緒に遊ぼうとしていた。

 

「ひなたちゃん、かすみちゃん、私たちも競争だよ♪ それ~!!」

 

「ああ~!!」

 

「負けないぞ~!!」

 

足踏みをするのどかの言葉を合図に、ひなたとかすみも駆け出していく。

 

「待てぇ~♪ のどかっち~、かすみっち~♪」

 

「あははは♪」

 

「ひなた、遅いぞ~♪」

 

のどか、ひなた、かすみの3人が笑顔で競争しているとその横をちゆとアスミが走っていく。

 

タタタタタタタ・・・!!!

 

「「えっ?」」

 

3人を追い抜き、彼女たちはその速度に足を止める。どうやら2人は本気で競争をしているようだった。

 

「ふっ♪」

 

その様子をかすみは口元に笑みを浮かべると、その場から姿を消す。

 

ちゆとアスミはほぼ同時に走っていると・・・・・・。

 

ビュンッ!!!

 

「「!?」」

 

その間をかすみが二人以上の速度で通り過ぎていき、目に止まらないほどの速さでラテ達のいる木の近くに到着し、木をタッチする。

 

「かすみ・・・早いラビ・・・!」

 

「見えなかったぞ、今・・・!」

 

「ふふ♪」

 

ラビリンたちが驚いていると、かすみは笑みを浮かべる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・かすみ、早いわね・・・」

 

「走る姿が見えませんでした・・・」

 

「私も本気を出せばこんなに走れるんだ♪」

 

「「「ふふふ♪」」」

 

走り終えた3人は、お互いに笑い合う。

 

「ふふ、ふふふっ、あはははは♪」

 

「ふふふっ、あはははは♪ かすみっちったら本気出しすぎだって~!!」

 

それを見ていたのどかとひなたは楽しそうに笑い、かすみはハッとした後に顔を赤らめていた。

 

その後も、のどかたちは湖畔でいろんなことをして遊んでいた。

 

「ほ~ら、捕まえちゃうよ~♪」

 

「うわぁ~、ラテ様~♪」

 

「ワンワン♪」

 

のどかはラビリンやラテと一緒に追いかけっこをしている。

 

「ラテ~♪」

 

「ワンワン♪ ワンワン♪」

 

「ラテ様をお守りするニャ~! うぉう! うぉう!!」

 

「うぉわぁ~! やったな~ニャトラン!!」

 

「あぁ~、やられたぁ~!」

 

ひなたはラテに水をかけて遊んで、ラテははしゃぎまわっており、そこへニャトランも加わって一緒に水かけして遊んでいる。

 

「ふぅ・・・気が安らぐな・・・」

 

かすみは近くの木の下に座りながらそよ風を感じ、気持ちよさそうにしていた。

 

チッチッ

 

「??」

 

すると、頭の上から鳴き声が聞こえ、上を見上げてみるとそこには一頭のリスがいた。リスは木から降りてかすみの近くへとやってくる。

 

「お前もここで元気に生きてるんだな・・・生きてるって感じだ♪ ふふっ♪」

 

かすみは微笑みながら、自分の肩の上に乗ってきたリスを撫でる。

 

「ふわぁ~、かわいいリスさんだ~♪」

 

のどかはかすみの近くに寄ってきたリスを見て喜んでいた。

 

「かすみっちって本当に動物に好かれるよね~♪」

 

「生まれた時からこういう体質だったのかもしれないな」

 

かすみはリスを撫でながらそう言った。

 

「みんな~! お昼にするわよ~!!」

 

「「は~い!」」

 

ちゆの呼ぶ声が聞こえてくる。のどかとひなたはそれに気づくと駆けていき、かすみは肩に乗っていたリスを地面へと降ろすとゆっくりと歩き出す。

 

パカッ・・・。

 

みんなで座るレジャーシートの上、最初にちゆが持ってきた重箱を開く。すると・・・・・・。

 

「ふわぁ~♪」

 

「おぉ~♪」

 

「すげぇ~ニャ~!!」

 

ちゆのお弁当には、おにぎりやいなり寿司、エビフライや唐揚げ、オレンジやリンゴといった色とりどりの具材が入っていて、のどかたちは感嘆の声をあげる。

 

「かすみも手伝ってくれたのよね」

 

「あ、ああ・・・そうだ。おにぎりってやつをちょっと、な」

 

ちゆがそう言うとかすみは顔を少し赤くしながらも肯定する。

 

「豪華~♪」

 

「写真写真~♪」

 

ひなたは持っていたスマホで写真を撮る。

 

続いては、のどかのお弁当。バスケットの中を開けると、そこには色とりどりのサンドイッチが入っている。

 

「どう?」

 

「おいしそ~♪」

 

「おいしそ~ペエ!」

 

「おいしそ~ニャ!!」

 

「ああ・・・おいしそうだ・・・!!」

 

のどかのサンドイッチを見て、みんな揃ってそう言った。かすみに至っては瞳をキラキラと輝かせていた。

 

そして、ひなたは・・・。

 

「ジャーン!! お姉のスペシャルジュース♪」

 

「「やったー♪」」

 

「おぉ・・・!!」

 

ひなたが持ってきた水筒を見て、のどかたちは喜んだ。

 

「ラテ、どうぞ♪」

 

「ワンワン♪」

 

アスミはルームバッグからラテのご飯を取り出して、目の前に置いてあげる。

 

「のどか・・・」

 

「ん? なぁ~に?」

 

「私の作ったおにぎりを、食べて欲しいな・・・」

 

みんなが思い思いの弁当を食べる中、かすみは手をモジモジと恥ずかしそうにしながらのどかに問う。

 

「うん、いいよ♪」

 

「・・・!!」

 

パァァァァァァァ・・・!

 

のどかが笑顔でそういうと、かすみの表情が明るくなる。

 

「じゃあ、私のサンドイッチ一つと交換だね♪」

 

「ああ♪」

 

のどかとかすみは自分の作ったおにぎりとサンドイッチを取り替え、お互いにそれぞれを食した。

 

「うん、美味しいな!!」

 

「かすみちゃんのも美味しいよ♪」

 

「ほ、本当か・・・!?」

 

「うん♪」

 

「ああ・・・!!」

 

かすみは自分が作ったおにぎりをのどかに褒められ、作ってよかったと思うのであった。

 

その後、皆は楽しいお昼ご飯を過ごした。

 

そして、お昼ご飯を食べ終えた頃・・・・・・。

 

「ん~、満足満足♪」

 

「って言いながら、グミ食べてるじゃない」

 

「別腹別腹~♪」

 

ひなたはお腹いっぱいと言いながらも、ジュースのグミを食べ、ちゆはそれに冷静なツッコミを入れていた。

 

一方、アスミとかすみは湖畔一帯に吹き抜けてくる風、その近くに立って自然の音に耳を澄ましていた。

 

「アスミちゃんとかすみちゃん、なんか自然とお話をしてるみたい。言葉がわかるの?」

 

そこへのどかが声をかける。

 

「いいえ。思いが伝わってくるのです」

 

「私はこうしていると、自然の思いが聞こえてくるんだ」

 

「思い? 草や木、自然の?」

 

のどかの問いに、アスミとかすみは頷く。

 

「土や花、そして湖のーーーー」

 

「いろんな自然の気持ちが私の中に伝わってくるんだ」

 

「ふわぁ・・・」

 

のどかは二人の問いに笑みを浮かべる。

 

「ここはとても気持ちいいよね。生きてるって感じ」

 

「ああ・・・生きてるって感じだ」

 

のどかはそう言いながら、吹いてくる風を心地よく感じていた。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

ピィ、ピピピピ

 

「!!」

 

「「??」」

 

どこからか声が聞こえてきたかと思うと、かすみがハッと目を見開く。アスミとのどかもそれに気付き、3人は声がした方向を振り向く。それは茂みの森の中から聞こえたようだった。

 

3人は声がした方向へと歩いていき、森の中で別れて探すことに。すると・・・・・・。

 

「あ、いた・・・!!」

 

「「!!」」

 

のどかは小さな小鳥がいるのを発見し、近くにしゃがみこむ。アスミとかすみもそこへ近づく。

 

「巣から落ちちゃったのかな? 怪我してるのかも・・・」

 

のどかはそう言いながら、雛鳥を触ろうと手を伸ばす。

 

「あっ・・・」

 

「のどか、ダメだ!!」

 

のどかの行動を、かすみは声をあげて止めようとする。

 

「ダメ!!!!」

 

すると、誰かが声をあげてのどかを止め、ラビリンたちは慌てて木の陰へと隠れる。

 

「触っちゃダメよ!」

 

「えっ・・・?」

 

現れたのは作業服を身につけ、カバンを背負った少し色黒の女性だった。

 

女性は小鳥の前にしゃがみこむ。

 

「この子は多分、巣立ちの時なんだよ。今はまだ、うまく飛べないだけ」

 

「あ・・・」

 

女性はのどかにそう説明する。

 

「どうしたの?」

 

「あ、ヒナだ♪ 可愛い♪」

 

そこへちゆとひなたも駆けつける。

 

「親鳥が近くで見ているかもしれない。人間が勝手に連れて行ってはダメよ」

 

「え・・・どこ? 親鳥、なんで助けに来ないの?」

 

女性がそう注意すると、ひなたはきょろきょろと辺りを見渡し始める。彼女の言う通り、親鳥の姿はどこにも見えないが・・・・・・。

 

「私たちがいるから、親鳥も助けに来れないんだよ・・・!」

 

「そう。人が近くにいること自体、野生の雛にとっては大きなストレスなの」

 

かすみのその言葉に女性は笑みを浮かべると立ち上がり、軍手を手にはめると雛を優しく拾い上げ、近くの木の根元へと置いてあげた。

 

「さあ、すぐにここを離れましょう」

 

女性がそう言うとのどかたちも連れるようにその場から離れていく。

 

「!!」

 

すると、かすみが目を見開くと雛鳥の方を振り向く。

 

「どうしたの? かすみちゃん」

 

「・・・鳥の声が」

 

のどかが足を止めて聞くと、かすみはそう呟く。すると、その直後・・・・・・。

 

ピィ!! ピィ!!

 

どこからか雛鳥とは違う鳴き声が聞こえてきた。

 

「近くに親鳥が来たようです」

 

「うん、雛鳥を迎えに来たんだよ」

 

きょろきょろと辺りを見渡すのどかたちに、アスミとかすみがそう言う。

 

「そうだね」

 

「大丈夫よ。行きましょう」

 

のどかたちと女性はそのまま森を離れていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の中から離れ、湖畔へと戻って来たのどかたち。

 

「野生の鳥や動物はさ、人に感染する病気を持っている場合もあるから素手で触っちゃダメだよ」

 

「そうなんですね」

 

女性はこの湖畔の周辺の動物の説明をしながら、のどかたちはそれを真剣に聞きながら彼女の後を着いていく。

 

湖の近くまで戻ると、女性は空のペットボトルのゴミを拾い始める。

 

「あの・・・ありがとうございました」

 

「ん?」

 

「あそこで止めてくれなかったら、雛を連れて行っちゃうところでした」

 

のどかは女性の頭を下げてお礼を言う。

 

「ああ、いいのよ。わかってもらえれば」

 

「「「ああ・・・♪」」」

 

女性は笑顔でそう言うと、のどかたちも笑顔になる。

 

「あの、お姉さんは獣医さんですか?」

 

のどかは、女性は湖畔の植物の葉を見ている女性に聞く。

 

「樹サクヤよ。おおらか市で樹木医をやってるの」

 

女性は答えながら鞄を下ろすと、金槌で木を叩き始める。

 

「樹木医?」

 

「木のお医者さんね」

 

「えぇ~! お医者さん!? 木の!? サクヤさん、木を治せるの!?」

 

「そうよ」

 

サクヤの職業を知ると、ひなたは興奮し始める。

 

「ふわぁ~♪ すご~い♪」

 

「そうか・・・だから、ここの木たちはみんな気持ちよさそうなんだな」

 

のどかも感嘆し、かすみはいつもより自然の声がいいことに納得する。

 

「うぇ? どうすんの、どうすんの!? だって、木しゃべれないし!!」

 

「あははは♪ 木の様子を診て、診断をして、何か問題があれば、処置をしてあげるの」

 

「うぇぇ、かっこいい!!」

 

「あははは♪」

 

木の様子を診ているサクヤの周囲をうろちょろしながらひなたが聞くと、サクヤは笑いながら答えた。そして、木にできた傷を見たり、薬みたいなものを塗って治す。

 

「サクヤさんは、なんで樹木医になったんですか?」

 

「えっ、う~ん・・・」

 

ちゆが質問をすると、サクヤは少し考えながら湖の方を見る。

 

「小さい頃からここによく来ててね。友達と、家族と、一人でもよく来たな。ここにいると心が休まるの。私の、大好きな場所。だから、ここの木や自然を、守りたいと思ったの」

 

サクヤのその答えに、アスミやかすみは真剣な眼差しで見つめている。

 

「木は大地に根を張って、つながっているでしょ? 地球と。木が枯れたり、元気がないのは地球の悲鳴なんだって、私は思ってる」

 

サクヤはのどかたちの方を振り向きながら答えると笑みを浮かべる。

 

「サクヤさんは木だけじゃなくて、地球もお手当てしてるんですね」

 

「地球のお手当て? そんな大袈裟なものじゃないけど」

 

のどかがそう言葉を発すると、サクヤは苦笑しながらも答える。

 

「あっ・・・」

 

「!!」

 

すると、風が吹き抜けて木がそよぐ。それにサクヤが気づくと耳を澄ませ始める。かすみもそれに気づくと森の方を振り向く。

 

「木が、話してる・・・」

 

サクヤは風が吹き抜け、それによって鳴る木々の音を聞きながらそう呟く。

 

「うん、私にも、聞こえるぞ・・・」

 

かすみもサクヤと同じように耳をすませながらそう言った。

 

「風が吹いただけでしょ?」

 

「そう。でも、話してるよ、木が。お互いに『元気?』って声を掛け合ってる」

 

よくわかっていないひなたがそう言うと、サクヤがそう話す。

 

「ひなた、風だけど、私には聞こえる・・・サクヤが言った言葉と、『樹木医さん、いつもありがとう』って・・・」

 

「・・・!!」

 

かすみは耳をすませながらそう言うと、彼女の言葉にサクヤは反応する。

 

「・・・いつも、ありがとう、か。あなたにも自然の声が聞こえてるのね」

 

「私は森と触れ合って生きてきたから、自然の声がよくわかるんだ」

 

かすみがそう話している間、アスミも自然の声に耳をすませていた。

 

「風は、自然の声や想いを届ける力がある・・・そんな、気がするんだ・・・」

 

「・・・そうかもしれないわね。私の思い込みかもしれないけどね♪」

 

風が吹き止むと、サクヤは笑みを浮かべながらそう言う。

 

「そんなことはありません」

 

「えっ」

 

サクヤに対し、アスミが答える。

 

「サクヤさんは、本当に自然の想いがわかる。いえ、わかろうとしている」

 

「そうだ。そうでなければ、お手当てなんかできるわけがないんだ」

 

「ここの自然が美しいのはきっとサクヤさんがいるからです」

 

「この森だって、湖だって、みんなみんな喜んでいるんだよ」

 

アスミとかすみがそれぞれ答える。サクヤが抱く自然への思いは本物だ。だから、風が思いを伝えるというのは思い込みではない、本当のことだ。だって、自分たちがそう感じたから。

 

「私はここの自然が大好きです」

 

「私も好きだ。元気な森が、ここの自然が私は好きなんだ」

 

「・・・ありがとう♪」

 

アスミとかすみのその思いに、サクヤは笑顔でお礼を言った。

 

そうこうしているうちに日が暮れ、のどかたちは帰る時間になり、サクヤとも別れの時が来た。

 

「サクヤさん、すこやか市にも来てくださいね♪」

 

「自然がたくさんあります」

 

「街も素敵だから、きっと楽しいぞ♪」

 

「えぇ。いずれきっと」

 

のどか、アスミ、かすみがそれぞれそう言うと、サクヤもそう答える。

 

そして、のどかたちとサクヤは手を振りながら別れ、のどかたちはすこやか市へと帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、おおらか市の湖畔・・・森の中が赤く光ったかと思うと、二つの人影が姿を現した。

 

人影はどこへ向かうというわけでもなく、森の中を歩いていく。

 

「なーんか、とーっても不愉快な場所に来ちゃったんだけど・・・」

 

「はぁ・・・すごく空気悪っ、こういうところ嫌いだな・・・」

 

現れたのは中折れハットを被っている少女と、赤いジャケットを羽織っている少年。クルシーナとダルイゼンだ。

 

「アンタの意見には同感だけど、もっと別の場所あったんじゃないの?」

 

「俺の勝手だろ・・・大体お前も地球の人間のいい場所がいいって賛成したじゃないか」

 

「そりゃそうだけどさ・・・」

 

クルシーナとダルイゼンはお互いに嫌気がさしたような感じを出しながら言う。

 

ピィ、ピィ。

 

すると、どこからか鳥の鳴き声が聞こえ、その方向を振り向くと少し大きな鳥が飛び立ち、その木陰には先ほどの鳥よりも小さな鳥が地面にいた。

 

「雛鳥じゃない。巣から落ちたのかしらね。可哀想に、親鳥は見捨てて逃げたとか?」

 

クルシーナは周囲をキョロキョロと見渡しながらも、哀れむような小馬鹿にしたような口調で言う。

 

ダルイゼンはそれに笑みを浮かべると、メガパーツを自分の手のひらに出す。

 

「ちょうどいい・・・」

 

「こいつに使っちゃうの? もっといい素体があるんじゃない?」

 

「・・・まあ実験だし、何も成功を期待しているわけじゃない」

 

「あっそ、まあいいけど・・・」

 

クルシーナがもったいないと思いながら言う。こんな素体じゃまともなものは作れないと忠告しているのだが、ダルイゼンはただの実験だと称して取り合わない様子。

 

クルシーナは諦めたように返すと、周りの木々を見渡す。

 

「!!」

 

何かに気づいたクルシーナは宙に浮かび上がると、木の中枢あたりまで飛んで動きを止める。そこにあるのは木の中の空洞。その中に生き物の気配がしたのだ。

 

「ふっ・・・」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべると、右手を広げてそこからイバラビームを穴に目がけて放つ。

 

チィ!! チィ!!

 

穴の中から大きな鳴き声が聞こえ、彼女が穴の中に手を突っ込んで掴み出すとそれは一匹のリスであった。

 

「いい感じの素体があったわね。これだったら、バテテモーダみたいなテラビョーゲンを生み出せるかも」

 

チィ!! チィチィ!!

 

クルシーナの手の中にいるリスは暴れながら、その拘束から逃れようとしているも、クルシーナはしっかりと握って離さない。

 

そんなリスにクルシーナは懐からメガパーツを取り出して、リスへと向ける。

 

「それじゃあ、実験を始めるとしましょうかしらね」

 

クルシーナはそのままメガパーツをリスの中へと埋め込む。すると、リスはぐったりして動かなくなった。そして、そのリスを地面へとそっと横たわらせる。

 

「ふふふ・・・ダルイゼン、そっちはどう?」

 

クルシーナはダルイゼンの方向に振り向きながら呼びかける。

 

「こっちもOKだ」

 

ダルイゼンも不敵な笑みを浮かべながら、クルシーナに答える。

 

「さてと・・・どんなテラビョーゲンが生まれるのかしらねぇ?」

 

クルシーナは笑みを浮かべたまま、ぐったりしているリスを見つめる。そのリスの体の中には赤く禍々しいオーラが淀んでいる。

 

「ンフフ♪」

 

そしてその二人の様子を、遠くからヘバリーヌが見つめていたのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。