ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
今回は新たなビョーゲンズが登場です!
オリジナルも登場します。


第68話「変種」

のどかたちが湖畔に遊びに行った日の、翌日・・・。

 

ドクン!!!!

 

「!?」

 

ハート型の灯台の上にやってきたのどかたち。しかし、かすみが突然何かを感じて目を見開くと、遠くの景色を見つめ始める。

 

「かすみちゃん?」

 

「泣いている声が、聞こえる・・・」

 

「! もしかして・・・!!」

 

疑問に思ったのどかが聞くと、かすみがそう呟く。ちゆは何かを察したようだった。

 

その答え合わせをするかのように、その直後・・・・・・。

 

「クチュン!!」

 

そこで突然、ラテがくしゃみをして、ぐったりし始めたのだ。

 

「ラテ!!」

 

「やっぱりビョーゲンズ・・・!!」

 

のどかが聴診器をラテに当てて、彼女の心の声を聞く。

 

(この前、遊んだおっきなお水さんが泣いてるラテ・・・)

 

「この前、遊んだおっきな水・・・?」

 

「湖・・・?」

 

「ひょっとして、おおらか市・・・?」

 

のどかたちはラテの言葉から、大きな水が湖畔と推測し、そこから昨日遊んだおおらか市の街の外にある湖にビョーゲンズが現れたと察する。

 

「しかも、この泣いている声、普通じゃない・・・なんか、泣き叫んでいるというか・・・とにかく、これは普通じゃないぞ・・・!」

 

「普通じゃないってどういうこと・・・!?」

 

「よくわからないけど、ビョーゲンズが力をつけたとか・・・?」

 

かすみは今回のビョーゲンズが普通じゃないということを声から察し、のどかたちに教える。のどかとちゆはそれを聞いて驚いたような表情をする。

 

「大変大変!! これ見て!!」

 

ひなたが慌てたようにのどかたちの方に駆けつけ、スマホの画面を見せる。のどかたちがそれを見てみると・・・・・・。

 

『おおらか市上空を飛び回った謎の飛行物体は、山中の湖の方へ飛び去って行きました!!』

 

その画面はニュースとなっており、おおらか市の山林付近に鳥のような謎の生物が現れたことが報道されていた。

 

そこへレポーターの背後を走りながら山へと駆けていく、一人の人物の姿が・・・・・・。

 

「見て!!」

 

「「「あっ!」」」

 

「!!」

 

ちゆの言葉に、見ていたのどかたちは驚きの声をあげる。なんと走っていた女性は、昨日のどかたちが出会った樹木医のサクヤだった。

 

『危ないぞ!!戻れ!!』

 

サクヤは警官の制止も聞かずに、一人山の方へと駆け出していく。

 

「サクヤさん・・・!」

 

のどかたちが不安そうな声をあげる中、アスミは一人険しい表情をしていた。

 

一方、湖畔の近くでは・・・・・・。

 

「ふーん、進化途中だとメガビョーゲンみたいに蝕む力が残るのか・・・」

 

ダルイゼンは木に寄りかかりながら、飛び回る飛行生物を観察していた。その飛行生物には翼が生えており、その羽から病気が漏れ出していた。ダルイゼンが手を施し、生まれたばかりのその飛行生物は、出てきて早々おおらか市を蝕み始めた。彼の言う通り、メガビョーゲンと同じ力が残ってしまっている。

 

「何、あいつ。どう見ても、失敗作に見えるけど?」

 

そこへクルシーナが現れ、飛行生物を見上げながらそう呟く。

 

「生まれて出てきてはいるさ。でも出てくるのが早かったと思ってる・・・」

 

「でも、あいつからはナノビョーゲンを生み出す力もなければ、あの新入りのプリキュアとまともに戦えるような力を持っているようなやつとは到底思えないんだけど・・・?」

 

ダルイゼンが目を瞑りながら答えると、クルシーナは不機嫌そうな表情で答える。メガビョーゲンを作れないようなやつでは失敗作も同然だろう。ダルイゼンは何を重宝しようとしているのか、さっぱりわからない。

 

「そう言うお前の方はどうなんだよ?」

 

「・・・まだ出てきてないわね。アタシが動物に埋め込んだメガパーツは、まだ成長を続けてるみたいだし」

 

ダルイゼンが逆に質問をすると、クルシーナは目を瞑りながら答える。リスに埋め込んだメガパーツは、まだリスの体の中で成長を続けている、外に出てくるのはまだ時間はかかるだろう。

 

「お前ら、何か楽しいことをしているの」

 

「っ・・・イタイノン・・・」

 

「そういうお前こそ、何でここに?」

 

そこへイタイノンが姿を現し、クルシーナは顔を顰めながら言い、ダルイゼンもだるそうに返す。

 

「私がキュアスパークルから取り出したメガビョーゲンの一部、その気配をたどったらここに来ていたの」

 

「・・・ああ、この前のあれね」

 

イタイノンが説明すると、クルシーナは不機嫌な口調ながらも納得したように返す。

 

「それよりも・・・あいつは何? なの」

 

イタイノンは上空を飛び回る影を見ながら言う。

 

「俺が生み出したやつだし」

 

「・・・何のために?」

 

「種の繁栄・・・っていうのは建前で、俺たちの他にもメガビョーゲンを作れるやつがいればと思ってね、クルシーナと検証をしていたのさ」

 

ダルイゼンが説明をすると、ふーんと言いながらその影を観察する。

 

「アンタ、簡単にこいつに教えていいわけ?」

 

「・・・別に」

 

それをクルシーナが不機嫌そうな表情で言うも、ダルイゼンは特に意にも返さなかった。

 

「・・・!!」

 

3人が話している中、おおらか市の街から走ってきた湖畔へとサクヤが駆けつけ、その惨状に目を見開く。湖は少し赤く染まり始めていた。

 

さらに飛行生物が湖に沿って飛び、湖をさらに病気へと蝕んでいく。

 

「やめて!! 木が泣いてる!! 湖も泣いてる!!!!」

 

サクヤは飛行生物にそう叫んだ。

 

「うるさいなぁ・・・」

 

「!?」

 

飛行生物は鬱陶しそうにそう呟くと、湖の上で静止してサクヤの方を見る。飛行生物は、黒いカラスのような体に黄色の鶏冠のような髪、ビョーゲンズの幹部のような赤い服を着た鳥人の姿であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行かなきゃ・・・! ビョーゲンズが湖を、あそこの自然を病気にしてるんだよ・・・!!」

 

「うん。でも、おおらか市までだいぶ時間がかかるよ・・・どうしよう・・・」

 

おおらか市の湖畔一帯の自然を蝕まれていることを知ったのどかは急いでおおらか市に行こうとする。しかし、ひなたの言う通り、ここからおおらか市までは2時間ほどかかるのだ。これではそこへたどり着く前に自然一帯が病気で蝕まれるのも免れないだろう。

 

「急がないとまずいラビ!!」

 

「うん、とにかく行こう!」

 

のどかの言葉を合図に、ちゆやひなたもとにかくおおらか市へと向かおうとする。

 

「・・・? アスミ? かすみ?」

 

ちゆはアスミとかすみが駆け出してこないことに足を止めて振り返る。二人は遠くの景色を真剣に見つめていた。

 

(サクヤさん・・・・・・)

 

(サクヤ・・・・・・)

 

アスミとかすみが考えていることは、自然を大事にするサクヤのことだった。

 

ーーーーここの木や自然を、守りたいと思ったの。

 

ーーーー木が枯れたり、元気がないのは、地球の悲鳴なんだって、私は思ってる。

 

(助けます、サクヤさんを・・・)

 

(そして、あの素敵な自然を、守りたい・・・)

 

同じことを考えていたかすみはふと、アスミの手を取る。

 

「!!」

 

「アスミが助けたいって気持ち、守りたいって気持ち、伝わってくる・・・」

 

ハッとなってこっちを見るアスミ。そんな彼女にかすみはそう言いながら両手で握り、その想いを感じ取る。

 

アスミはそれを見つめていたが、微笑むとかすみの手を両手で握る。

 

「私も、伝わってきます・・・かすみさんの、助けたいという、守りたいという強い想いを・・・」

 

「なら私たち・・・両想いだな・・・」

 

「はい・・・!!」

 

かすみとアスミはお互いに笑顔を向けながら、額を近づける。すると、二人を中心に風が吹き始め・・・・・・。

 

パァァァァァァァ・・・!!!

 

「「「あ・・・!!!」」」

 

のどかたちが驚く中、二人の体が紫色の光に包まれ始めた。それを機に二人の周囲を風が巻き起こり始める。

 

そして、かすみの体にも変化が起きた。

 

金髪の髪型はアスミがプリキュアに変身したキュアアースと同じ紫色の髪型となり、赤い手袋は紫色、赤いスカートは青紫色、黒いリボンは白色へと変化した。さらに緑色の碧眼は赤紫色になり、持っているステッキの色が鮮やかな紫色へと変化した。

 

「かすみちゃん、その姿・・・!」

 

のどかは姿が変化したかすみを見て驚く。ビョーゲンズと戦っている時に何度か変化したことはあるが、それを間近で見るのは初めてだ。

 

「うん・・・風が私に力をくれたみたいだ・・・」

 

かすみはのどかに向かって答えると、再度アスミと額を合わせながら祈る。

 

風は自然の声や想いを届ける力がある・・・かすみはそう信じてサクヤのことを考える。

 

(風よ、私の想い・・・)

(風の力よ、私の想い・・・)

 

(サクヤさんのところまで運んで・・・!!)

(サクヤのところまで運んでくれ・・・!!)

 

お互いがそう願いを込めると二人が中心に風が舞い上がっていき、空へと打ち上がると風の渦のようなものが出現し、その中にはすこやか市ではない景色が見えてきた。

 

「うぇぇぇぇぇ!? なにあれ!?」

 

「おおらか市の湖!?」

 

ひなたとちゆたちは、宙に浮かび上がった風の中の景色に驚いていた。そこに映っていたのは、自分たちも知っているおおらか市の湖畔だったからだ。

 

「あれを通れば、湖へと行けるぞ」

 

「「「!!」」」

 

かすみの言葉に、のどかたちは2人の方へと振り向く。

 

「行きましょう! 地球のお手当てに!!」

 

アスミとかすみは、片方の手はお互いを握ったまま、もう一つの手をのどかたちの方へと差し出す。

 

「「「うん!!」」」

 

のどかたちは頷くと3人で手をつないだ後、二人の手をつなぐ。すると・・・・・・。

 

「「「あぁぁ・・・!?」」」

 

円になるようにつないだ5人は紫色の光に包まれ、宙へと浮かび上がっていく。そして、宙に浮いている風の渦の中へと入っていくと、その場から風の渦は消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てぇぇぇぇい!!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

鳥人は片手から風を吹き起こし、サクヤを吹き飛ばす。木に叩きつけられた彼女はそのまま気を失ってしまう。

 

「サクヤさん!!」

 

「サクヤ!!」

 

そこへ風を通ってきたのどかたちが現れ、アスミとかすみはサクヤへと近づく。

 

「なんだぁ、お前たち・・・?」

 

「あなたこそ誰なの!?」

 

鳥人の男は突然現れたのどかたちに威圧的な態度で接するも、のどかも逆に聞き返す。

 

「オイラはネブソックって言うんだぞ!!」

 

「ビョーゲンズね!」

 

名前を名乗った人物からして、ビョーゲンズであることを察するちゆ。

 

その間、アスミは気を失ったサクヤを地面へと横たわらせる。その表情は怒りを示したような険しいものとなっていた。

 

「サクヤさんが守っている大切な自然を・・・許せません!!」

 

アスミは鳥人の男、もといネブソックを睨みつける。

 

「お前、メガビョーゲンじゃないな・・・あいつらと同じか。たとえ怪物じゃなくても、ここを汚すのなら容赦しない!!」

 

かすみは鮮やかな紫色に変化したステッキを取り出すと、ネブソックに目がけて構える。

 

「行こう!!」

 

のどかの言葉を合図に、4人はプリキュアへと変身する。

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア、オペレーション!!」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

 

「「「キュアタッチ!!」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

そして、アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ!!」

 

「「キュアタッチ!!」」

 

キュン!!

 

ラテとアスミが手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「「「「地球をお手当て!!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」」

 

4人が変身を終えてネブソックに立ち向かおうとした時・・・・・・。

 

「またお前たちか・・・本当にどこにでも現れるな」

 

「あら、奇遇ね。こんなところまでご苦労さんだこと」

 

「どこまでも鬱陶しい奴らなの」

 

茂みの中からダルイゼン、そしてその反対方向からクルシーナとイタイノンが姿を現わす。

 

「ダルイゼン!! クルシーナ!!」

 

「イタイノン、あんたも!?」

 

グレースはビョーゲンズの幹部三人が現れたことに声を上げる。今回の首謀者はこの二人だったようだ。

 

「兄ちゃん!! 姉ちゃんたち!! こいつら何だぁ!?」

 

「いっつも兄ちゃんと姉ちゃんの邪魔をするんだ・・・」

 

「この地球に長く生きる茶色い虫よりも、目障りなお邪魔虫よ」

 

空を飛んでいたネブソックが、ダルイゼンとクルシーナたちに聞くと、ダルイゼンが腕を組みながら、クルシーナは不機嫌そうに答える。

 

「?」

 

ネブソックは紫色の髪となっているかすみを見て疑問を抱く。

 

「なぁー! あいつは一体何なんだー? 何であいつらと一緒にいるんだぁ!?」

 

「あいつは脱走者さ・・・」

 

「そう。しかもアタシたちと同じ種族のね」

 

ネブソックは再度二人に聞くと、ダルイゼンとクルシーナは適当に答える。

 

「同じ種族だったらこっちじゃないのかー?」

 

「いろいろと理由があんのよ。まあ、邪魔なら痛めつける程度でもいいけど?」

 

「私は別にどっちだっていいの・・・」

 

ネブソックは同じビョーゲンズがなぜ小娘たちと一緒にいるのか疑問だったが、クルシーナは不敵な笑みでそう答えた。イタイノンはさほど興味もなさそうに言った。

 

「じゃあ、あいつら、倒しちゃっていいぃ〜? 倒したら褒めてくれよな〜、兄ちゃん、姉ちゃんたち」

 

「ふっ・・・・・・」

 

「・・・さっさとやったら?」

 

「さっさとやれ、なの」

 

嬉々しながら言うネブソックにダルイゼンはどうぞと言わんばかりに手を合図し、クルシーナとイタイノンは同時に素っ気なく返した。

 

「ギャハハハハハハ!!!」

 

「「「きゃあぁ・・・!?」」」

 

許可をもらったネブソックは笑い声をあげながら、風を巻き起こしてプリキュアたちへと高速で突っ込んできた。3人は突風に吹き飛ばされる。

 

「えぇぇい!!」

 

「ふっ!!」

 

ネブソックは右手の翼を振るって攻撃し、アースはそれを交わす。

 

「ふぇぇい!!」

 

「くっ・・・!!」

 

さらにもう一方の翼を振るって攻撃し、かすみはシールドで防ぐも数メートル吹き飛ばされる。

 

「弱ぇ〜! 楽勝!!!」

 

ネブソックは飛び回りながらそう言うと、再び吹き飛ばした3人の方へと向かってくる。

 

「はぁ!」

 

「てい!!!」

 

「きゃあぁ!?」

 

グレースはパンチで応戦しようとするも、ネブソックは掻い潜って翼を振るって攻撃する。

 

「てぇぇぇい!!」

 

「あぁ!?」

 

さらに同じように翼を振るって攻撃し、フォンテーヌを吹き飛ばす。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「えぇい!!」

 

「うわぁ!?」

 

スパークルは駆け出して攻撃しようとするも、逆にネブソックは足の爪を振るい、スパークルを吹き飛ばして転がす。

 

そして、ネブソックは次に立っていたアースを見据える。

 

「ギャハハハハハハ〜!!」

 

ネブソックはこいつもやれると言わんばかりに笑い声をあげながら向かっていく。

 

「はぁ!!!」

 

「ぐわぁ!? がぁ!?」

 

その気を取られて油断していたところをかすみがステッキを振るって風を纏った光線を放ち、ネブソックはその攻撃に飲み込まれて怯む。

 

「ふっ!!」

 

「ごぉ!?」

 

そして、その隙をついて突っ込んできたところをアースが回し蹴りを振るって吹き飛ばし、ネブソックは湖へと落下した。

 

「言うほど大したことないじゃん・・・」

 

「だから、あんなひ弱な素体を使うのはどうなのって言ってんのよ。まあ、それか、あいつかあの脱走者が強すぎんのか、かもね・・・」

 

「あいつが弱いだけじゃない? なの」

 

「っ・・・」

 

その様子を見ていたダルイゼンががっかりだと言わんばかりの言葉を放ち、クルシーナはそっけないながらも素体が悪いのか、アースと脱走者がそれ以上に強いのかと二人を見比べながら言った。イタイノンはネブソック自体大したことがないと言い放つ。

 

そして、クルシーナにはもう一人見ておかないといけない人物がいた。

 

「あの脱走者・・・前に比べればだいぶ強くなってるわね。やっぱりプリキュアのところに置いたのは正解ね」

 

クルシーナは先ほどの戦いから脱走者を分析をする。前に比べれば、だいぶ強くなっており、動きにキレが出てきたような気がした。もう少しあいつらのそばに置いておけば、それでプリキュアを脅かすような存在になるであろう。

 

それにしても、あいつは周囲の生命力を奪うように成長しているのだろうか・・・?

 

「ちょっと試す必要があるかもね」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら、自分が目をつけているキュアグレースの方を見た。

 

「っ!! あっちも成長が終わったみたいねぇ♪」

 

クルシーナは森の中に視線を向けると笑みを浮かべる。その手には赤いかけらのような何かが握られていた。

 

「ぶはぁ!! なんだよ、お前!? お前も!!」

 

ネブソックは余裕な表情から激怒して怒鳴るも、アースとかすみはその表情を崩さない。

 

「であ!! あっちゃちゃ!!!」

 

ネブソックは両手の翼を振るいながら、自身の黒い羽を飛ばしてきた。

 

「はぁ!!!」

 

かすみはアースの前に出て、紫色のシールドを展開する。

 

ズドン!! ズドン!! ズドン!!! ズドン!!!

 

「くっ・・・!!!」

 

翼は地面などに着弾して爆発を起こし、防いでいるかすみも表情を歪ませる。

 

「たぁ!! とらぁ!! やぁぁぁぁ!!!」

 

ネブソックは叫び声をあげながら、羽を乱射する。

 

「うぅ・・・!!」

 

「あぁ・・・!!」

 

「うぅぅ・・・!!」

 

グレースたちは高速で放たれる羽の前に回避ができず、その場で両腕をクロスさせて防御し耐えようとする。

 

メキ、メキメキメキ・・・!!

 

すると、羽が一本の木へと着弾し、その木が音を立てて倒れ始める。そこには横たわるサクヤの姿があり、そこへと倒れようとしていた。

 

バシッ・・・!!

 

「くっ・・・うぅ・・・!!」

 

「アース!!」

 

その倒れかかった木をアースがなんとか受け止めていた。かすみは彼女の元へと駆け寄る。

 

「私は、大丈夫です・・・早く、サクヤさんを・・・!」

 

「・・・あぁ、わかった」

 

かすみは倒れているサクヤを担ぐと、その場から離れようとする。しかし・・・・・・。

 

「そのまま動くなよ!!」

 

ネブソックは身動きが取れないアースの隙をついて、そこへ無数の羽を飛ばす。

 

「ふっ!! くっ、うぅ・・・!!」

 

「グレース!!」

 

グレースがアースの前へと飛び出し、ぷにシールドを張って羽攻撃を耐えしのぐ。すると、その横にクルシーナが現れ・・・・・・。

 

「グレース! 後ろです!!」

 

「!?」

 

アースがそれに気づいて叫び、グレースが後ろを向くとそこには彼女の肩に手をかけたクルシーナの姿があった。

 

「ふっ・・・」

 

キュイーン!

 

クルシーナが不敵な笑みを浮かべると、なんと二人はその場から姿を消した。

 

「雷のエレメント!!」

 

そんなことが起こっているのも知らず、スパークルはその前へと飛び出して、雷のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁ!!」

 

牽制するようにステッキから電気を纏った黄色い光線を複数放つも、ネブソックは横へ、上へと飛んでそれをかわす。

 

かすみはその間に担いでいたサクヤと共にフォンテーヌの元へと向かい、アースは受け止めていた木を地面へと降ろす。

 

「グレース! グレース!! どこに行ったのですか!?」

 

焦ったアースはきょろきょろと見渡して、グレースの姿を探す。しかし、彼女は何の証拠も残さないままに姿を消していた。

 

「どうしたの、アース!? 」

 

「あれ? グレースは!?」

 

そこへフォンテーヌとスパークルが駆け寄るも、グレースの姿がなくなっていることに気づく。

 

「っ!? アース!! グレースはどうしたんだ!?」

 

「かすみ、落ち着いて!!」

 

かすみはそれに動揺すると、アースの肩を掴んで揺らす。フォンテーヌはかすみを抑えるように叫ぶ。

 

「・・・グレースは私を守っていたのですが・・・そこへ・・・」

 

「キィィィィィィィ〜!!!」

 

アースは何が起こったのかを話そうとしたが、そこへネブソックの激怒したような声が響く。

 

「もう少しで兄ちゃんと姉ちゃんに褒めてもらえたのに〜!!!!」

 

悔しがっている様子のネブソック。あれだけ羽を乱射したのにプリキュア一人誰も倒されていない。あのままやられている姿があれば、ダルイゼンお兄ちゃん、クルシーナお姉ちゃんに褒めてもらえないというのに。

 

「あれ、キュアグレースがいないじゃん・・・」

 

ダルイゼンはグレースの姿が消えたことに疑問を抱いていた。ふと、横を見るとクルシーナの姿が消えているのも確認できた。

 

「クルシーナがやったのか・・・まあ、いいけど」

 

ダルイゼンは特に興味を示すことなく、特に大した活躍もできていないネブソックの戦いを見つめることにした。

 

「クルシーナ・・・」

 

イタイノンは突然行動に出たクルシーナに複雑な表情で見つめていた。

 

一方、グレースは・・・・・・。

 

キュイーン!

 

「ふん!」

 

「きゃあぁ!!」

 

クルシーナは掴んでいたグレースから手を離すと蹴りを入れて吹き飛ばす。そこは湖畔から何メートル、山を越えてだいぶ離れている森の中であった。

 

「うぅ・・・・・・」

 

「こうやって一対一で対峙するのは初めてかしらねぇ?」

 

グレースは体を起こすと、そこにクルシーナが降りてきて彼女の目の前に立つ。

 

「クルシーナ・・・!!」

 

「おぉ、怖い怖い・・・そんな生きてるっ感じの顔しちゃってさ」

 

グレースが睨むと、クルシーナはおどけたように軽視しながら言う。グレースは立ち上がってステッキを構え直す。すると・・・・・・。

 

ササササ・・・ササササ・・・!

 

「?」

 

茂みをかけるような音が聞こえてくる。

 

「!? きゃあぁ!!」

 

何かの影がグレースに体当たりを仕掛け、グレースは吹き飛ばされる。

 

「うぅ・・・なに!?」

 

「グレース、あれはなにラビ!?」

 

「えっ・・・?」

 

ラビリンに言われ、影の正体を突き止めようと振り向くと、そこにはリスのような姿の獣人が二本足で立っていた。彼はビョーゲンズと同じように赤い服を纏っていた。

 

「ふふふ・・・ようやく生まれたのね、アンタ・・・」

 

「はい、クルシーナ様」

 

クルシーナがその獣人に近づいて声をかけると、獣人は紳士的な態度で接する。

 

「アンタ、名前は?」

 

「私、コリーノでございます」

 

「そう」

 

コリーノと名乗った獣人は鼻をヒクヒクとさせると、グレースの方を見る。

 

「あなた、臭いますね。とても不快な健康の臭いが」

 

「くっ・・・!」

 

「グレース、気をつけるラビ! そいつもクルシーナたちと同じような気配がするラビ!!」

 

「うん!!」

 

コリーノがそう言うと、グレースは立ち上がってステッキを構える。ラビリンも彼女にアドバイスをする。

 

「コリーノ、やっちゃってくれる?」

 

「かしこまりました」

 

クルシーナの指示に、ハリーノはお辞儀をするとグレースへと向き直るのであった。

 

一方、そこから数メートル離れた同じ森の中にヘバリーヌがいた。

 

「お姉ちゃん、楽しそうだったなぁ〜、ダル兄なんかと一緒にいて〜」

 

ヘバリーヌは森の中を歩きながら、クルシーナのことを考えていた。

 

「私も〜、一緒に遊びたいなぁ〜♪」

 

そんなことを言いながら、メガビョーゲンにできそうな素体を探しているのであった。

 

「この森の中、ピリピリするなぁ〜。とーても気持ちよくできそ〜♪」

 

さらには体を抱くように悶えながらクネクネと動かしている。こんな感じで百面相をしているヘバリーヌ。

 

「おぉ?」

 

すると、ヘバリーヌが何かを見つけたようでその方向を振り向く。ヘバリーヌはゆっくりと歩きながらその場所へと近づく。

 

そこには他の木と連なっていない、一本だけポツンと立っていた切り株があった。

 

「なーんか、ここだけ〜、気持ちよくなりたーいっていうのがあるねぇ〜♪」

 

切り株から、何らかの理由で切られてしまった木の切り株から、何かの生命力を感じた。

 

「ンフフ〜♪」

 

ヘバリーヌは妖艶な微笑みを浮かべると、バレリーナのようなポーズを2回取りながら、それぞれ手を叩いて黒い塊のようなものを出現させる。そして、バレエのように体をクルクルと回転させる。

 

「進化しちゃってぇ~、ナノビョ~ゲン♪」

 

「ナノォ~♪」

 

生み出されたナノビョーゲンが鳴き声を上げながら、その切り株へと飛び込んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁぁぁぁぁ!!!!」

 

プリキュアが誰もやられていない、これではダルイゼンやクルシーナに褒めてもらえないことに激怒したネブソックは高速で飛び出し、体を回転させて勢いをつけながら両足を前に突き出しながら突っ込んだ。

 

ドゴォォォォォォォォ!!!!

 

プリキュアたちとかすみは、サクヤを抱えながら間一髪でそのストンピング攻撃を飛びのいてかわす。気づくとネブソックの叩きつけた地面がクレーターのように抉れていた。

 

「すごいパワーだわ・・・!!」

 

「あれ、まともに食らったらヤバくない・・・!?」

 

「あいつらじゃなくても、油断はできないな・・・!」

 

フォンテーヌ、スパークルはネブソックのパワーに驚き、かすみはそれを冷静に見ていた。

 

「ナハハハハハハハ!!! あ・・・?」

 

笑い声をあげるネブソックは、ドヤ顔しながらダルイゼンの方に視線を向ける。

 

「・・・その程度か」

 

ガーン・・・!!

 

「!?」

 

しかし、ダルイゼンは首を振りながら、興味がないと言わんばかりに冷たく言い放ち、ネブソックはショックを受ける。そして、イタイノンに救いを求めるかのように見るが・・・・・・。

 

「・・・お前のパワーがすごいのはわかったの。でも、相手に当たんなきゃ意味ないの。バカなの?」

 

ガガガーン・・・!!!

 

イタイノンもそっぽを向きながら辛辣なコメントを放ち、ネブソックはさらにショックを受ける。二人の辛辣な評価を受けて、涙目になったネブソックは・・・・・・。

 

「ん〜〜〜〜っ!!! 次で決めるもんね〜っ!!!!」

 

ネブソックは再び上空へと飛び出す。今度は先程よりも空高く飛んで、攻撃を仕掛けようとする。

 

プリキュアたちは先程よりも強い攻撃が来ると踏んで備えるが・・・・・・。

 

「うわぁ〜・・・・・・!!!!」

 

ネブソックはなぜか攻撃してこずに、頭を抱えて怯えるような声をあげながらゆっくりと空から降りてきて、音を立てて地面へと着地する。

 

「ひぃ・・・ひぃぃ・・・!!」

 

「な、なんだ・・・?」

 

なぜか顔を手で覆いながら、ビクビクと震えているネブソック。攻撃を仕掛けて来ず、彼の様子がおかしいことにかすみはそう呟く。

 

すると・・・・・・・・・。

 

「おおおおおぉ、おっかねぇ〜!!!!!!」

 

・・・・・・・・・・・・。

 

「「「「・・・えっ?」」」」

 

そう叫んだネブソックに、思わずあっけにとられるプリキュアたち。

 

「・・・・・・は?」

 

イタイノンはその様子を見て、思わず気の抜けたような声が出てしまう。

 

「たっけーところ〜!!! 超〜おっかねぇ〜!!!!!!」

 

「・・・高いところ、怖いのか?」

 

「・・・飛べるのに?」

 

なんとネブソックは高いところが怖いらしい。いわゆる高所恐怖症だ。それにかすみとスパークルは目を丸くしていた。

 

「・・・ふぅ」

 

「はぁ・・・・・・」

 

ダルイゼンはそのありさまに呆れており、イタイノンに至ってはため息をついていた。

 

「う、う、うるせぇやい!!!!」

 

ムキになったネブソックは、翼を広げてプリキュアたちに襲いかかろうとする。

 

「ネブソック、こい!!!」

 

「私たちが相手です!!」

 

かすみとアースは自身の中にある風の力を解放させる。

 

そこへネブソックが突っ込んでくるも、かすみとアースは高速で飛び出してかわす。

 

「やぁぁぁ!!!」

 

ネブソックは方向転換して、すぐに二人へと飛び出していく。

 

しかし、アースは突っ込んでくるネブソックの背中に手を置いて反対側へと飛ぶ。

 

「はぁぁっ!!」

 

「がぁ!?」

 

そこへ風を纏ったかすみが飛び蹴りを食らわせて吹き飛ばす。ネブソックがすぐに大勢を立て直すと、自分に後ろを向けて駆け出すアースとかすみの姿が見え、二人を追いかけていく。

 

駆け出しているアースとかすみが背後を見ると、ネブソックが地面を駆けながらこちらに向かってくる。

 

「逃げるな! 逃げるなっ!! 倒すっ!!!」

 

ネブソックはそう叫びながら駆け出していく。

 

「アース!!」

 

「かすみっち!!」

 

「!!!」

 

フォンテーヌとスパークルが呼ぶ声に気付いたかすみはアースよりもスピードを上げて、一足早く二人の元へとたどり着く。そして、かすみ、フォンテーヌ、スパークルは3人で手で足場を作り、アースがこちらに来るのを構える。

 

「ふっ!!!」

 

アースは3人が作った手の足場に飛び乗って、空高く飛び上がる。

 

「絶〜対っ!! 倒す〜っ!!!!!」

 

そこへネブソックもアースに追いつこうと空高く飛び上がる。

 

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!・・・あ・・・?」

 

夢中になって追いかけ、叫んでいたネブソックはふと我に返って周囲を見渡す。そこは自身が苦手とする高い場所・・・・・・。

 

「ひぃ、たっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!! おっかねぇ〜っ!!!!!」

 

高所恐怖症のネブソックは思わず顔を覆って、その勢いを無くして地面へと落下していく。

 

「「「はぁぁぁぁぁっ!!!!」」」

 

落下した先にはかすみ、フォンテーヌ、スパークルがおり、3人は同時にネブソックを蹴り上げて上空に吹き飛ばす。

 

「ひぃぃぃぃぃぃ・・・・・・!?」

 

悲鳴をあげながらアースに向かって吹き飛んでいく。

 

「アース、今だ!!!」

 

「はい!!!」

 

かすみの言葉を合図に、アースは両手を合わせるように祈り、浄化の準備へと入る。

 

一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にネブソックへと向かい、直撃する。

 

「ヒーリン、グッバイ・・・」

 

ネブソックは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

ネブソックが蝕んだ場所が元の色を取り戻していく。

 

「やれやれ・・・やっぱり出てくるのが早すぎたね・・・」

 

「どうせ私たちと同じようになれないのは、わずかに見ただけでもわかってたの」

 

戦いを見届けていたダルイゼンとイタイノンはそう呟きながら、森の中へと消えていく。

 

「さて・・・クルシーナの方はどうかな?」

 

ダルイゼンはふと足を止めて、別の方角を見る。

 

「??」

 

逆にイタイノンは別の方角を見ていた。

 

「イタイノン、何見てんの?」

 

ダルイゼンがそんなイタイノンに声をかける。

 

「・・・・・・私、ちょっと用事ができたの」

 

イタイノンは答えようとはせずに、ダルイゼンにそう返すと茂みの中へと入っていく。

 

「・・・何だ、あいつ?」

 

ダルイゼンはその背中を呆れるように見つめた後、クルシーナの元に向かうためにその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早くグレースを助けに行こう!!」

 

ネブソックを撃破したプリキュアたち。しかし、かすみは気が気でない様子で走り出そうとしていた。

 

「ちょっ、ちょっと待ってよ!! 探すって言ったってどうやって!? どこに連れ去られたのかもわからないんだよ!?」

 

スパークルはかすみにそう叫ぶ。

 

「アース、何が起こったのか説明してくれる?」

 

その様子を見ていないフォンテーヌは、アースに問う。

 

「・・・私がサクヤさんから木を庇った際に、あのビョーゲンズが攻撃してきました。その時にグレースが守ってくれたのですが、そこにクルシーナが現れて、二人とも姿を消してしまったのです」

 

アースは状況を説明する。グレースはアースを守ろうとしたその一瞬の隙を突かれて、クルシーナにどこかへと連れて行かれたというものだ。

 

フォンテーヌはそれを聞いて表情を青ざめさせる。

 

「まずいわ・・・クルシーナと二人きりにさせたら・・・!!」

 

フォンテーヌは以前3人で水族館に行ったことを思い出す。あの時もビョーゲンズが襲撃し、シンドイーネとクルシーナが現れた。シンドイーネのメガビョーゲンを浄化している間に、クルシーナによってのどかが病気に冒されてしまい、危うく自分たちもやられるところだったのだ。

 

そんなことがあって、グレースをクルシーナと二人きりにさせたら・・・あいつはまた、何かをしでかすに決まっている・・・!!

 

「急いでグレースを探しましょう・・・!!」

 

「だ、だからどうやって・・・!?」

 

しかし、この森の中でグレースをどうやって探せばいいかわからない。クルシーナがどこに行ったのかわからないのだ。

 

「そんなものは、私が泣いている声を辿れば・・・!!」

 

ドクン!!!!

 

「!?」

 

かすみが能力を使おうとしたとき、彼女は何かを感じて目を見開く。そして、その気配が感じる方向へと振り向く。

 

「泣いている声が、聞こえる・・・」

 

「「!?」」

 

かすみがそう呟くとフォンテーヌとスパークルは驚く。かすみが向いている方向は森のある山の中だ。こんな深そうな森の中にビョーゲンズがまだいるというのだろうか・・・?

 

「でも、あっちと、あっちにいる・・・」

 

「二つあるの・・・!?」

 

かすみが苦い顔をしながら、首を二つの場所へと交互に視線を向ける。泣いている声の気配は二つあるというのだ。

 

「クチュン!! クチュン!!」

 

「ラテ・・・!!」

 

すると、アースが抱いていたラテがくしゃみを2回する。彼女は聴診器を当てて、ラテを診察する。

 

(あっちの山の向こうで半分の木が泣いてるラテ・・・あっちの森の中で泣いてるラテ・・・)

 

「半分の木・・・?」

 

「きっとあの森の中よ! 行きましょう!!」

 

「ああ・・・行こう!! 私に着いてきてくれ!!」

 

かすみは泣いている声を辿りながら先行して進み、プリキュアたちはその後をついていきながら森の中へと入っていくのであった。

 

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