ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
今回はオリストですね。ビョーゲンズ二戦目です。


第69話「思い出」

 

「メガァ・・・・・・」

 

森の中、切り株のような姿のメガビョーゲンが地面から根っこを出すとそれを伸ばして、周囲の自然を病気へと蝕んでいく。

 

「いいよいいよ~、どんどんこの森を気持ちよくしてぇ~♪」

 

ヘバリーヌはメガビョーゲンが周囲の自然が病気になっていくのを見ながら喜ぶ。

 

そんな彼女には気になるものがあった。それは、この前イタイノンにもらったメガパーツだ。

 

「これってどういう風に使えばいいのかなぁ~?」

 

彼女にもらったはいいものの、その使い方がいまいちわからずに両手の指を頭に当てながら考え込むヘバリーヌ。

 

「メガビョーゲンに当てればいいのかなぁ~?」

 

ふとメガビョーゲンの方を見てそう考える。お姉ちゃんたちによれば、メガビョーゲンから採取したその一部だという。だから、メガビョーゲンに当てれば使えるのでは?

 

「まあ、いっか~。メガビョーゲン、もっともっと気持ちよくしちゃってぇ~♪」

 

「メガビョーゲン・・・・・・」

 

ヘバリーヌの指示を受け、メガビョーゲンはさらに蝕む範囲を広げるべく根っこを伸ばし始めた。

 

一方、プリキュア3人は森の中で、かすみの泣いている声を辿りながらビョーゲンズの居場所を探っていた。

 

「泣いている声は、あっちに・・・!!」

 

「「「!!」」」

 

かすみの感じるという気配を追っていくと、皆は目の前に見えてくる光景に驚く。赤い靄に蝕まれている自然の木が見えてきたからだ。

 

「サクヤさんが守っている木が・・・!!」

 

「もしかしたら、この先に・・・!!」

 

「!?」

 

プリキュアたちはこの先にビョーゲンズがいるであろうと睨むが、その直後・・・・・・。

 

ズドドドドドドドドドン!!!!

 

なんと木の根っこのようなものが地面から音を立ててこちらに向かってきたのだ。

 

「うわぁ!! な、なんだ!?」

 

かすみは驚きながらも、向かってくる根っこを横に飛んでかわしたり、飛び乗って踏んづけたりして根っこをいなしていく。

 

「これって、何の、攻撃!?」

 

スパークルは戸惑いながらも、襲い来る根っこをパンチなどで弾きながら進んで行く。

 

「きっと、この先にビョーゲンズが、いるのよ!!」

 

フォンテーヌも青い光線などで牽制しつつ、根っこを避けながら進んで行く。

 

「ふっ!! 早く行きましょう!! はぁっ!!!!」

 

アースはパンチやキックなどで捌きつつ、前へと進む。

 

一方、ヘバリーヌとメガビョーゲンは・・・・・・。

 

「メ!? ガガ、ガ・・・!?」

 

「ん~? どうしたの~? メガビョーゲン?」

 

根っこを伸ばして蝕んでいるメガビョーゲンがなぜか苦しみ出したことに、疑問を抱くヘバリーヌ。

 

「いたぞ!! メガビョーゲンが!!」

 

「ん~?」

 

聞こえてきた声に振り向くと、そこに現れたのはヘバリーヌにとってはいつぞやの金髪の少女とプリキュアたちの姿があった。しかも、その中には・・・・・・。

 

「あぁー!! お姉さんだぁ~♪」

 

ヘバリーヌはあの時に会った女性と同じ人物にまた会えたことに歓喜の声を上げる。

 

「お、お前は・・・!?」

 

「ヘバリーヌ!!」

 

かすみは以前コテンパンにされた白鳥の衣装を着たバレリーナのような幹部に会ったことに動揺し、フォンテーヌはヘバリーヌがいることに意外そうな声を上げる。

 

「あれぇ~? 青と黄色のプリキュアちゃんもいたのぉ~? そ・れ・に、あの時の金髪の娘もいるねぇ~♪」

 

アース以外のプリキュア二人とかすみのことを見ながら、ヘバリーヌは妖艶な微笑みを浮かべながら言う。

 

「グレースはどこだ!?」

 

「グレース~? ピンクのプリキュアちゃんのこと~? 知らないよ~。あ、よく見れば一人いないね♪」

 

かすみがヘバリーヌを睨みながら言うも、彼女はおどけたような明るい調子でそう言う。ピンクのプリキュアには会ったこともないし、今日は顔を見たこともない。

 

「もしかして、隠してんじゃないよね!?」

 

「だから知らないってばぁ~、プリキュアちゃんたちがはぐれたんじゃないの~?」

 

スパークルが問い詰めようとするも、ヘバリーヌはちょっと不満そうな表情をしながら言う。どうやら本当にグレースのことを知らないようだ。

 

(って、ことは・・・もうひとつの泣いている声の方にいるのか・・・!?)

 

かすみは心の中でグレースの居場所を考える。と、なるとおそらくもう一箇所の、クルシーナの方にいるだろう。大変だ・・・早く助けに行かないと・・・!!

 

「それよりもお姉さん、ヘバリーヌちゃんのところに遊びに来てくれたの~?」

 

ヘバリーヌはどうやらアースに向かって声をかけているようで、無邪気そうな声で言うその言葉を聞いていたアースは・・・・・・。

 

「そうではありません!! この森をお手当てをしに来たのです!!」

 

アースはヘバリーヌの声をきっぱりと否定し、彼女のことを険しい表情で見る。

 

「お手当てよりも~、ヘバリーヌちゃんと遊ぼうよぉ~♪」

 

ヘバリーヌはそういうとアースに向かって、足を振るって風の斬撃を放ってきた。

 

「ふっ!! はぁっ!!」

 

「よーっと!!」

 

「うぅ、くっ・・・!!」

 

アースは攻撃を最小限の動きで交わすが、そこへヘバリーヌが飛び蹴りを繰り出してきたので、両腕をクロスさせて攻撃を受け止める。

 

「「「アース!!」」」

 

「おぉ? そっちも待ちきれないって顔だね~♪」

 

ヘバリーヌは叫んだプリキュアの2人とかすみを見て、不敵な笑みを浮かべる。そして、片方の足を前に出して蹴ると、背後へと一回転して着地する。

 

「メガビョーゲ~ン!! あの3人を気持ちよくさせてあげて~♪」

 

「メガビョーゲン・・・」

 

ズドドドドドドドドド!!!!

 

ヘバリーヌは指示をすると、メガビョーゲンは地面から根っこを3人の周囲へと出して襲わせる。

 

「「「ふっ!!!」」」

 

3人は飛び上がって、その攻撃をかわす。

 

「はぁっ!!」

 

かすみは着地した後に、根っこへと飛び出してドロップキックを食らわせる。

 

「やぁっ!!」

 

スパークルは根っこの中枢部分へと飛び出すとそこをパンチで攻撃する。

 

「メ!? ガ、ガァ・・・!?」

 

「はぁっ!!」

 

「ビョー、ゲン・・・!?」

 

メガビョーゲンはその攻撃に切り株の体を反らして怯み、その顔面にフォンテーヌが蹴りを食らわせた。

 

「あぁ~もぉ~!! これじゃあ、この森が全然気持ちよくできないよぉ~!!」

 

その様子を見ていたヘバリーヌは不満そうな声を漏らした。

 

「何かないかなぁ~? 何かないかなぁ~?」

 

「はぁっ!!」

 

「!! おっと~!!」

 

ヘバリーヌがその状況をどうにかしようと考えていると、そこにアースが隙をついて飛び蹴りを入れてくる。しかし、ヘバリーヌはそれに気づいて片なくかわす。

 

「お姉さん、無粋だよぉ~? 考えている最中に攻撃するなんてねぇ~♪」

 

「お手当てに無粋も何もありません!!」

 

ヘバリーヌが嘲りの入った明るい口調でそう言うも、アースは相手をすることもなく、ヘバリーヌに攻撃をしようと飛び出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「はしゃいじゃってぇ~、もぉ~♪」

 

アースは連続で蹴りを放っていくものの、ヘバリーヌは不敵な笑みを浮かべながら涼しい顔をして首を動かすだけでかわしていく。

 

隙をついて両腕を頭上でクロスさせて足を受け止める。

 

「・・・あぁ~、そっかぁ~。お姉ちゃんからもらったのを使えばいいんだぁ~♪」

 

ヘバリーヌは何かを思いついたようで、抑えているアースの足を両腕で挟むようにして掴み、体を反時計にして回転させるとアースの上へと飛び上がる。

 

「!?」

 

「ほれっ!!」

 

「あぁぁ・・・!?」

 

ヘバリーヌはその最中に右手から黒い竜巻をアースに目がけて放つ。アースは回避ができず、防御体制を取りながらで耐えようとする。

 

その間にヘバリーヌはアースの後ろ側へと綺麗に着地すると、その手にはメガパーツが握られていた。

 

「そ~れっ!!」

 

ヘバリーヌは自身が生み出した切り株のメガビョーゲンに目がけてメガパーツを投げる。一直線に向かっていったメガパーツはメガビョーゲンの体に当たるとその中に飲み込まれていく。

 

「メ!? ガガガガガガガガガガ!!!!」

 

メガビョーゲンは苦しむ声を上げると、体から膨大なオーラを溢れさせていく。

 

ズドォン!! ズドォン!! ズドォォォォォン!!

 

「メガビョーゲンッ!!!」

 

すると、メガビョーゲンはその場から根っこを地面から出して立ち上がれるようになり、さらには巨大化してパワーアップを遂げた。

 

「うわぁっ!! メガビョーゲンが動き出したんだけど!?」

 

スパークルはメガビョーゲンの動きに変化が現れたことに驚く。

 

「おぉ~!! メガビョーゲンがおっきくなった~!! これならも~っと地球を気持ちよくできるね♪ メガパーツすご~い!!」

 

ヘバリーヌは自分のメガビョーゲンが急成長したことに腕を振り回しながら興奮していた。

 

「ヘバリーヌもメガパーツを持っていたのか!?」

 

「うん、そうだよ~。お姉ちゃんからもらったの♪」

 

かすみの動揺する声に、ヘバリーヌは当然のように答える。

 

「あっ、そうだ♪ お姉ちゃん取れるって言ってたよね~♪」

 

ヘバリーヌは思い出したかのように言うと、自身のメガビョーゲンの横に瞬間移動をする。

 

「それっ!!」

 

ヘバリーヌは足から風の斬撃を放って、地上から出ている一部の根っこの先を切り落とす。落ちた根っこの一部は地面へと落ちると、それは緑色になって3個のメガパーツとなった。

 

ヘバリーヌはそれを見て笑みを浮かべると、メガパーツへと近づく。

 

「っ、ダメ!!!」

 

フォンテーヌはメガパーツを拾おうとするヘバリーヌに気づき、阻止しようとする。

 

「メガァ・・・!!」

 

しかし、メガビョーゲンがフォンテーヌの前に無数の根っこを地中から出して妨害する。

 

「メガパーツ、ゲット~♪」

 

その間にヘバリーヌは4個のメガパーツを拾って笑みを浮かべる。

 

「メガァ!!!!!」

 

そして、メガビョーゲンはそれを見届けた後のように両腕の指をツルのように伸ばして攻撃をしてきた。

 

「はぁ!!」

 

「ぷにシールド!!」

 

かすみは紫色のシールド、スパークルは肉球型のシールドを展開して攻撃を受け止める。

 

「くっ・・・!!」

 

「やっぱり、でかいとタチが悪いぜ・・・!!!」

 

かすみとスパークルが張っていたシールドはメガビョーゲンの攻撃に押されていた。

 

「メガ!!!!」

 

バシュッ!!!!

 

「「あぁぁ!!!」」

 

メガビョーゲンは指先から禍々しい赤い光線を放って二人を吹き飛ばした。

 

「かすみ!! スパークル!!」

 

「メガビョーゲン!!」

 

「っ・・・!!」

 

フォンテーヌが叫ぶも、メガビョーゲンは地中から出した根っこを伸ばしてくる。

 

「っ! ふっ! っ・・・!!」

 

フォンテーヌは襲い来る根っこを飛び退きながら避けていき、空中へと飛び上がる。

 

「メガ!!」

 

「!! あぁっ・・・!!」

 

しかし、メガビョーゲンが空中に逃げたフォンテーヌに目がけて地中から根っこを複数伸ばし、無防備なフォンテーヌを捕らえた。

 

「ぐぁ・・・あぁっ・・・!!」

 

そのままメガビョーゲンに締め上げられ、苦しみの声を上げるフォンテーヌ。

 

「フォンテーヌ!!」

 

「お姉さんはヘバリーヌちゃんと遊んでね~♪」

 

「くっ・・・!!」

 

アースが気づくも、瞬間移動をしたヘバリーヌがそこへ蹴りを入れようとし、アースはそれを防ぐ。ヘバリーヌが邪魔をしてそちらに向かうことができない。

 

「火のエレメント!!」

 

スパークルは火のエレメントボトルをセットする。

 

「はぁっ!!」

 

火を纏った黄色い光線をフォンテーヌを縛っている根っこに目がけて放つ。

 

「メェ!?」

 

光線が直撃したその熱さに動揺したメガビョーゲンがフォンテーヌを解放し、そこをかすみが助ける。

 

「フォンテーヌ、大丈夫か!?」

 

「ええ・・・大丈夫」

 

かすみに支えながらフォンテーヌは立ち上がる。

 

「もぉ~! 全然メガビョーゲンに近づけないよ~!!」

 

「根っこが厄介だな・・・あれをなんとかできればいいんだが・・・」

 

スパークルがぼやき、かすみは冷静に邪魔なものをどうしようかと考えながら言う。

 

「メガ!!!!」

 

メガビョーゲンは複数の根っこを自分の元に縮めると、上空へと掲げ、3人に目がけて赤い光線の雨を噴射する。

 

「「「ふっ!!」」」

 

3人は散らばって光線を避ける。

 

「やぁ!! ほっ!! はっ!!」

 

「うっ・・・!!」

 

一方、アースはヘバリーヌに蹴りの応酬で攻められ、防戦一方の状態。

 

「そーれっと!!」

 

「うぅぅぅ・・・!!!!」

 

ヘバリーヌが足を振り上げた渾身の蹴りを食らい吹き飛ばされるも、倒れないように持ち堪える。

 

「お姉さん、どうしたの~? もっと一緒に遊ぼうよ~♪ 昔みたいにさぁ~♪」

 

ヘバリーヌは無邪気な子供のような口調で言う。

 

「昔とは何のことですか!? 私はあなたなど知りません!!」

 

アースはヘバリーヌのことをきっぱりと否定する。自分にはヘバリーヌと前に会ったこともなければ、遊んだこともないはず。このビョーゲンズは何を言っているのだろうか?

 

「またまたとぼけちゃってぇ~、一緒に遊んでくれたじゃん。えーっと・・・あれ?何だったっけ? でも、まあこういうことしたよね~?」

 

ヘバリーヌは明るい声を崩さずに言うも、この女性と遊んだはずの記憶が思い出せない。でも、多分こういうことはしていただろうと考えながら言う。

 

アースは構えを解くと、冷静な眼差しでヘバリーヌを見つめる。どうやらこのビョーゲンズは自分とそっくりの別人と勘違いしているのだろうと。正しておかないとこちらの心がやられかねない。

 

「・・・ヘバリーヌ、私はあの時にあなたと対峙して出会ったのが初めてです。あなたと遊んだことはないのです」

 

アースの言葉に、ヘバリーヌは明るい表情から段々と目を丸くしたような表情になっていく。

 

「・・・え? だって、私が遊んだお姉さんはお姉さんだったし、今ここにいるお姉さんもあの時のお姉さんだし、え?え? どういうこと?」

 

ヘバリーヌは過去の出来事とここにいる人物、二つの記憶を思い出そうとするも、どちらも見た目が一致している。しかし、アースの言った自分はあれとは違う人物・・・ヘバリーヌの頭の中は混乱していく。

 

「だ、だって、あの時のお姉さんはお姉さんで、ここにいるお姉さんもお姉さんで・・・え?え?え?どういう、こと・・・わかんないよぉ・・・」

 

ヘバリーヌは頭を抱えながらしゃがみ込んで体を震わせる。

 

「違うのです!! ヘバリーヌ!! あなたはおそらく、見た目は一緒でも、別の人と勘違いをしているのです!! 私にはあなたと遊んだ記憶は、どこにもありません!!」

 

アースはヘバリーヌに訴えかける。いつまでも勘違いしているということを止めさせるために、自分もヘバリーヌもこれ以上混乱させないために。

 

すると、ヘバリーヌの震えが止まる。アースは表情が窺えず、険しい表情を見せていたが、ふとヘバリーヌが口を開いた。

 

「・・・嘘だ」

 

「??」

 

ヘバリーヌから発せられる声、それはいつもの彼女とは思えない冷たい声だった。

 

「嘘だ・・・嘘だよ!!! 声も一致してるし、しゃべり方もそんな感じだったし、姿も似ているし、お姉さんはお姉さんだよ!!!! あの時も今も全然違わない!!! お姉さんは遊んでくれたお姉さんだよ!!!!!」

 

そして、何か爆発したかのようにヘバリーヌが叫び散らす。いつものような明るい口調も、抑揚のある口調もない・・・普通の少女の叫びだった。

 

「違います!! 私はあなたとは何の関係も・・・!?」

 

アースが反論をしようとするが、彼女の顔の横スレスレで黒い竜巻が飛び抜け、背後にある一本の木に当たったかと思うと、音を立てて地面へと倒れた。

 

ヘバリーヌが片手からアースにわざと当てないように放ったのだ。

 

「お姉さん? お姉さんはお姉さんなんだよ。私に優しく接してくれたお姉さん、私に遊べる喜びを教えてくれたお姉さん、私に気遣ってくれたお姉さん、みんなみんなお姉さんなんだよ。そんな私とお姉さんの思い出を貶すなら・・・たとえお姉さんでも許さないよ・・・?」

 

ヘバリーヌは顔を上げながらアースに向かって言い放った。その目はこちらを敵視するように睨みつけられていた。

 

「わ、私は・・・そんなつもりは・・・!!」

 

「うるさいうるさーい!! お姉さんの嘘なんか聞きたくなーい!!!!」

 

思わず動揺してしまったアースに、ヘバリーヌは首を振りながら拒絶し、表情は変えずに両手に風を纏わせるとそこから黒い竜巻を放ってきた。

 

「くっ・・・やむを得ません・・・!! はぁっ!!!!」

 

アースは自身の風の力を解放すると、右腕を振るって風を放つ。黒い竜巻と風はぶつかり合って爆発を起こす。

 

「っ・・・!?」

 

アースは思わず顔を覆うも、ふと前を見るとヘバリーヌが迫ってくるのが見えた。

 

「やあぁぁぁ!!!!」

 

「っ、うぅぅ・・・!!」

 

飛び蹴りモーションでこちらに突撃してくるヘバリーヌを、アースは受け止めるもとてつもない力にアースの表情が歪む。

 

「ほらっ!!!」

 

「っ!? あぁぁぁぁ!!!!!」

 

ヘバリーヌは片足を受け止められた状態のまま、もう片方の足で黒い竜巻を放つ。巻き込まれたアースはそのまま大きく吹き飛ばされ、背後の木に叩きつけられ、地面へと落ちる。

 

ヘバリーヌはよろつきながらも立ち上がるが、そこにヘバリーヌが猛スピードで迫っていき、右足を繰り出して背後にある木を蹴りつける。それはアースの顔スレスレに繰り出されていた。

 

「ねえ、謝ってよ。私とお姉さんの思い出を嘘だなんて言ったこと」

 

「っ・・・」

 

アースに謝罪を要求するヘバリーヌ。その表情は鋭い眼差しで、その声はいつもより冷たく呟かれていた。

 

「ヘバリーヌ・・・あいつもいたの?」

 

その近くの木にはイタイノンが隠れながら様子を伺っていた。

 

メガビョーゲンの一部であるかけらが虫のように歩きながら向かっていくのが見えたイタイノンは、ダルイゼンと別れてそれを追っていたのだが、ヘバリーヌがいるとは思わなかった。

 

「あながち、クルシーナに着いて行ってここに来たって感じなの」

 

クルシーナは最近、メガパーツの使い方に試行錯誤をしていて、ヘバリーヌを全く相手にしていない。退屈な彼女はそれでクルシーナに着いてきて、一緒に地球を蝕む遊びをしたかったのだろうとそう推測していた。

 

「まあ、地球を蝕むのに決まりなんかないの」

 

イタイノンは特に興味がないという感じでそう言う。

 

カサカサカサ・・・カサカサカサ・・・。

 

「!!」

 

茂みから音が聞こえて振り向くと、自身が歩かせるようにしたメガビョーゲンのかけらが歩いていくのが見えた。

 

「早く追わないと見失うの・・・!!」

 

イタイノンはヘバリーヌのことは放置して、そのかけらを追うべく歩き去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドン!! ズドォォォォォォン!!!!

 

メガビョーゲンが地中から、地上から複数の根っこを伸ばしてフォンテーヌたちに襲いかかる。

 

「っ!! はぁっ!!」

 

フォンテーヌは地中から伸びてきた根っこを交わして飛び上がり、地上から伸びてきた根っこを蹴りで牽制する。

 

「うぅぅ!! うわぁっ!!!」

 

スパークルは地上から伸びてきた根っこを飛びのいてかわすも、後ろにある地中からの根っこに当たりそうになってよろけて倒れてしまう。

 

そこへ地上の根っこが地中を進んで顔を出すと、禍々しいビームを放った。

 

「はぁっ!!」

 

かすみがスパークルの前に出て紫色のシールドを張り、ビームを防ぐ。

 

「ありがとう、かすみっち・・・!!」

 

「ああ・・・それにしても、はぁっ!!」

 

かすみはビームを放った複数の根っこへと飛び出すと足を伸ばして高速回転し、根っこを薙ぎ払う。

 

「もぉ~! 攻撃しても攻撃してもキリがないんだけど~!!!」

 

スパークルはぼやきながらも、背後の根っこに光線を放って攻撃する。

 

その一方で、アースは・・・・・・。

 

「早く謝ってよ、お姉さん」

 

冷たい表情でアースに謝罪を要求するヘバリーヌ。自身の思い出の中の女性を否定されたことによって、ヘバリーヌは怒りの感情を抱いているのだ。

 

「っ・・・・・・」

 

「ねえ、早くぅ~・・・」

 

ヘバリーヌの不機嫌そうな声。そんな彼女をアースは切なそうに見つめる。

 

自分は正そうと思っただけなのに、敵とはいえ、こんなにも彼女の心を傷つけてしまったのか。

 

アースは目をつむって考える。この状況で自分はどうするべきか。自分にも精霊で生まれたばかりではあるが、のどかたちとの楽しい思い出がある。その中にいるのは自分が一度避けていたかすみだ。

 

今ではかすみは自分の友人だ。最初、彼女からはあまり良くない気配を感じたのが原因だが、そんなものは関係ない純粋で優しい人物であることを知り、自分のことを友達だと言ってくれた。それを今でも本物だと思っている。

 

それを偽物だと言われたら、自分はどういう感情を抱くだろうか。目の前にいるビョーゲンズもそう考えているかもしれない。でも・・・・・・・・・。

 

思考を終えたアースは目を開いた。

 

「ヘバリーヌ・・・」

 

「ん~?」

 

「あなたの言うお姉さんは私かもしれません。もしかしたら、私が覚えていないだけかもしれませんし、別人かもしれません。でも、あなたの思い出は偽物ではないと思います。それを傷つけたことは謝ります」

 

「・・・・・・・・・」

 

「でも・・・!!」

 

アースはヘバリーヌが伸ばしている足を掴む。そして、強い眼差しを秘めた目でヘバリーヌのことを見る。

 

「そのために、他のものを傷つけるような遊びをすることは、私が許しません!!!!」

 

「!?」

 

アースは腕に力を入れてヘバリーヌの足を払いのける。彼女に足を動かされたことで動揺が生まれた。

 

「はぁっ!!」

 

「っ!!!!」

 

その隙を逃さずに、アースはミドルキックを放ち、ヘバリーヌもとっさに両手で足を受け止めてダメージを殺すも、背後へと吹き飛ぶ。

 

「あぁっ!?」

 

そのまま木へと背中から叩きつけられるヘバリーヌ。その瞬間・・・・・・。

 

ザザザ・・・ザザザ・・・。

 

ヘバリーヌの頭の中にある映像が蘇る。

 

ーーーー風香、ママは一緒にいられないの。ごめんね・・・。

 

病室のベッドに横になる自分に話しかけてくる女性。

 

「っ!?」

 

ザザザ・・・ザザザ・・・。

 

それはアースの頭の中にも流れていた。

 

ーーーーキャハハッ、キャハハハハ♪

 

ーーーー風香さん、こっちですよ♪

 

ーーーーつーかまーえた♪

 

ーーーーうふふ・・・。

 

ーーーーお姉さんがいれば、私、寂しくないよ♪

 

病院の遊びのスペースで、金髪の女性ーーーーお姉さんと戯れる自分。

 

ザザザ・・・ザザザ・・・・・・。

 

「・・・ンフフ♪」

 

ヘバリーヌは思い出に笑みを浮かべながら、倒れないように踏ん張る。

 

「お姉さーん!! もっと遊ぼ~!!!!」

 

ゴォォォォォォォォォ!!!!

 

ヘバリーヌはいつもの調子を取り戻し、自身の風の力を爆発させるとアースへと突っ込んでいく。

 

「・・・そうなのですね。ヘバリーヌ、あなたは・・・」

 

あるはずのない記憶が流れ、アースは何かを察したようにそう呟く。なんだかよくわからないが、このビョーゲンズを救わなければならない気がする。

 

その顔は覚悟を決めたような表情になっていた。

 

「ヘバリーヌ、あなたを浄化して、元のあなたを取り戻してみせます!!」

 

アースは風の力を解放し、ヘバリーヌへと飛び出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

ドォォォォォォォォン!!!!

 

アースとヘバリーヌの風の力が衝突し、周囲が吹き飛ぶと言わんばかりの衝撃波が起こる。

 

ズドォン!! ズドォォォン!!

 

「ふっ!! はぁ!!」

 

かすみはバク転をしながら地上から襲い来る根っこを避け、フォンテーヌとスパークルに合流する。

 

「これじゃあ、キリがないぞ・・・!!」

 

「もぉ~!! どうしたらいいの~!?」

 

かすみとスパークルが倒しても姿を表す根っこにぼやく。その一方、フォンテーヌは飛び出している根っこと顔がある切り株のメガビョーゲンを交互に見つめる。

 

根っこはあの本体のような部分が操ってる・・・根っこは本体と繋がっている・・・ということは・・・!!

 

「スパークル、かすみ」

 

「??」

 

「どうした?」

 

「私に考えがあるの。協力してくれる?」

 

フォンテーヌの言葉を聞いたスパークルとかすみは頷く。

 

「二人は根っこを引きつけて欲しいの。私はあの切り株の本体に迫るわ」

 

「うん!!」

 

「わかった!!」

 

3人はお互いに頷きあうと、メガビョーゲンの切り株の方へと走り出す。

 

「メガァ・・・!!」

 

メガビョーゲンは根っこを縮めてから、3人に目がけて伸ばしてきた。走り出す3人の前に根っこの一部が飛び出してくる。

 

「はぁっ!!」

 

スパークルは木へと飛ぶとそれを蹴って、根っこの一部にまとめて蹴りを入れて静止させる。その間にフォンテーヌとかすみは根っこの脇を掻い潜って走り出す。

 

「メ、メガ・・・!?」

 

それに動揺したメガビョーゲンは根っこの一部をフォンテーヌとかすみの周囲に伸ばして襲わせる。根っこの中に包まれる二人だが・・・・・・。

 

パァァァァァ・・・!!!!

 

「はぁっ!!!!」

 

かすみが自分の中にある風の力を解放して、根っこを吹き飛ばす。そして、フォンテーヌの腕を掴むとグルグルとスイングし・・・・・・。

 

「行けっ!! フォンテーヌゥゥ!!!!」

 

かすみはフォンテーヌを切り株の本体に目がけて投げ飛ばした。

 

「メ!? メガァァ・・・!?」

 

さらに動揺したメガビョーゲンが残った根っこを飛んでくるフォンテーヌへと伸ばす。

 

「はぁっ!!」

 

「メ!? メ、ガ・・・!?」

 

かすみが羽の舞った風を纏った紫色の光線を放つ。残りの根っこに直撃し、メガビョーゲンが怯む。

 

「氷のエレメント!!」

 

フォンテーヌはその隙に氷のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁぁぁぁっ!!!」

 

氷を纏った青い光線を切り株のメガビョーゲンの本体に目がけて放つ。

 

「メ、ガ、ガ・・・!?」

 

本体に光線をまともに受けたメガビョーゲンは氷漬けになり、それに加えてメガビョーゲンが飛び出させていた根っこも一緒に氷漬けになった。

 

「やったぞ!!」

 

かすみはフォンテーヌの作戦がうまくいったことに歓喜の声をあげる。

 

「よーし!!」

 

キュン!

 

「キュアスキャン!!」

 

好機と見たスパークルはステッキの肉球に一回タッチして、メガビョーゲンに向ける。ニャトランの目が光り、切り株のちょうど真ん中あたりにエレメントさんがいるのを発見した。

 

「見つけたぞ!! 木のエレメントさんだ!!」

 

一方、ヘバリーヌと戦っているアースは・・・・・・。

 

「ん? あぁ!? メガビョーゲン!!」

 

アースと取っ組み合いをしていたヘバリーヌは思わずメガビョーゲンの方に振り向くと、氷漬けになっているのを見て驚く。

 

「かすみさんとフォンテーヌたちがやったみたいですね」

 

「あぁん♪」

 

アースはそれを見てそう言うと、ヘバリーヌの隙をついて両腕を振りはらう。

 

「はぁっ!!」

 

「あぁっ♪」

 

アースが右腕を振るって風を巻き起こし、ヘバリーヌを吹き飛ばす。そして、アースはフォンテーヌたちの方へと飛んで合流する。

 

「アース、頼む!!」

 

「はい!!」

 

アースは両手を合わせるように祈り、浄化の準備へと入る。

 

一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、木のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

メガビョーゲンが蝕んだ自然の木が元の色を取り戻していく。

 

「あ~あ、終わっちゃった~。でも・・・ヘバリーヌちゃんは満足だもん♪」

 

ヘバリーヌは嬉しそうにそう言うと、アースの方を見据える。

 

「お姉さん、また遊んでね♪」

 

ヘバリーヌは彼女に聞こえない声でそう呟くと、メガパーツを抱えたまま、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、フォンテーヌとスパークルは素体元の切り株に聴診器をあてて、エレメントさんの様子を見ていた。

 

「エレメントさん、大丈夫?」

 

「危ないところをありがとうございました!私は元気です!!」

 

エレメントさんはプリキュアたちに無事であることを伝えるとそのまま切り株の中に戻って行った。

 

「さあ、早くグレースの元に!!」

 

フォンテーヌの言葉に、かすみやスパークル、アースは頷く。

 

「かすみっち、泣いている声の場所、わかるんだよね?」

 

「ああ・・・あっちだ!!」

 

スパークルはかすみに声をかけると、かすみは進むべき方向を指さす。

 

「行きましょう!!」

 

アースの言葉を合図に、4人はグレースがいるであろう場所へと駆け出していく。

 

「・・・・・・・・・」

 

その最中、アースは一人、険しい表情をしていた。

 

「? アース、どうしたの?」

 

それに気づいたスパークルが声をかける。

 

「みなさん・・・私は、本当はあの娘にあったことがあったのでしょうか?」

 

「あの娘って、ヘバリーヌのこと?」

 

「どういうことだ?」

 

「私は正したかっただけなのに、あの娘を逆に傷付けてしまいました。敵とはいえ、胸が痛くなったんです。私は何か間違ったことをしてしまったのでしょうか?」

 

アースは暗い声でそう言った。自分は頭が混乱するという理由で、敵の娘を意図せずに傷つけてしまった。それに関することで胸を痛めているのだ。自分は取り返しのつかないことをしてしまったのではないかと。

 

「でも、アースは謝ったんでしょう?」

 

「はい・・・謝りました・・・」

 

「自分のためにというのはわかるわ。でも、それで相手を傷つけて、謝らないというのはもっといけないことよ。アースは謝るというのを自分が正しいと思ったことをやったのでしょう? なら、それでいいのよ」

 

フォンテーヌの言葉に、アースは彼女の方を向く。

 

「いいの、ですか?」

 

「ええ」

 

フォンテーヌはアースに笑顔で頷く。

 

「いいじゃん!! あたしも、自分が悪いって思ったらすぐ謝るし!!」

 

「スパークルの場合は謝りすぎだと思うけどニャ・・・」

 

スパークルの言葉に、ニャトランは呆れたように言う。

 

「私も、自分に過失があったら、謝る。だって、誰も傷ついてほしくないからな・・・」

 

「かすみさん・・・」

 

スパークル、かすみの言葉にアースは笑顔になる。

 

「元気、出たか?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

かすみの気を遣う言葉に、アースは笑顔で言う。そして、みんなは真剣な表情になる。

 

「よし!! 早くグレースを助けに行くぞ!!」

 

「OK!!」

「ええ!!」

「はい!!」

 

かすみの言葉にみんなは返事をし、4人は気持ちを新たにグレースの元へと向かうのであった。

 

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