ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
今回で第24話ベースはラストとなります。

そして、ビョーゲンズにも不穏な動きが・・・・・・。


第70話「風」

 

フォンテーヌとかすみたちが、ヘバリーヌとメガビョーゲンと交戦している中・・・・・・。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「うっ! きゃあぁ!!」

 

木から木へと高速に飛び移り、グレースへと迫っていくコリーノ。グレースはコリーノの動きを捉えられず、彼が近接で振るう爪攻撃を食らっていく。

 

「遅い、遅いですなぁ。それでは私は捉えられませんよ」

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「くっ・・・うぁっ! あぁっ!!」

 

高速で動く影に翻弄されて爪攻撃を喰らい、体当たりを受けて転がされるグレース。

 

「うぅ・・・!!」

 

「動きが速すぎて、どこから来るのか全然わからないラビ!!」

 

グレースは諦めずに立ち上がり、ステッキをコリーノに向けて構えようとする。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「くっ・・・!」

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「あぁ・・・!」

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「ふぬぅ!!!!」

 

「!? きゃあぁぁ!!!」

 

グレースは高速で移動するコリーノにステッキを向けようとするも、速さに追いつけず結局は背中に飛び蹴りを受けて、地面へと押し倒されてしまう。

 

コリーノは素早く動いて飛び上がると、地面へと着地する。

 

「いくらステッキで追っても無駄です。私の速さには追いつけませんよ」

 

コリーノは見下しながら言うと再び木へと高速で移動し、木から木へと高速で移動する。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「っ・・・」

 

グレースは再び立ち上がると、辺りをキョロキョロしながら警戒する。

 

「グレース! 目で追ってちゃダメラビ!! 気配をたどるラビ!!」

 

「そ、そんなこと言われても・・・あぁっ!?」

 

ラビリンの言葉に困惑している間にも、コリーノはグレースに高速で迫り攻撃を加え、再び木へと戻る。

 

「くっ・・・!」

 

グレースは再びステッキを構える。

 

「ふーん、思ったほどやるわね。でも、あの新入りと脱走者相手にはどうかしらね?」

 

クルシーナはその様子を見ながら呟く。

 

コリーノというビョーゲンズはメガビョーゲンのような蝕む能力はなく、逆に素早い動きで相手を翻弄する能力を持っているようだ。でも、あまり強くないグレースを相手にしているからそう見えるだけで、アースとかすみ相手にはあれが通用するかどうかの話だ。

 

「へぇ・・・あいつやるじゃん」

 

そのクルシーナの横にダルイゼンが姿を表す。

 

「まだわかんないわよ。あのキュアグレースが単純に弱いだけでしょ。あいつ相手に通用するのかって話ね」

 

クルシーナは瞑目しながら答えると、再びグレースとコリーノの戦いを見つめる。すると・・・・・・。

 

「ケホケホッ・・・」

 

グレースは攻撃を受けたわけでもないのに、何やら咳き込んでいる様子が見えた。

 

(あいつ、確実に弱くなってるわねぇ)

 

クルシーナはグレースを見つめながら、彼女の生命力が少し減っていることに笑みを浮かべる。

 

「おい」

 

「・・・何よ?」

 

「お前、キュアグレースの体に何か埋めただろ?」

 

ダルイゼンがこちらを見ながら言った。

 

「あら、気づいちゃった?」

 

「嫌でも気づく。キュアグレースから微量な俺たちの気配を感じたからな。それにいつもより調子が悪そうだし」

 

クルシーナはおどけたような口調で言い、ダルイゼンは素っ気なく返す。

 

「それはねぇ、これよ」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら、ツインテールの自分の髪をいじるようにクルクルと回して見せる。

 

「っ!! へぇ・・・面白いことしたじゃん」

 

ダルイゼンはハッと目を見開くも、クルシーナが何を入れたのかを察してすぐに不敵な笑みを浮かべた。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースは実りのエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

「ふむ・・・」

 

ステッキからピンク色の光弾を放つも、コリーノは木から木へと素早く動いて光弾を避ける。

 

「ふっ!! はぁっ!!」

 

グレースは光弾を放っていくも、コリーノには全く当たる気配はなく、逆にコリーノはグレースに迫っていく。

 

「グレース!! 無闇に狙ってもやられるだけラビ!!」

 

「でも・・・どうしたらいいの・・・?」

 

ラビリンがグレースにアドバイスをしようとするが、彼女はこの状況をどう切り抜ければいいかわからない。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「ふぬっ!!」

 

「!! うっ・・・あぁ!?」

 

コリーノは通り過ぎざまに爪を伸ばすと斬撃を放ち、グレースは爆発に吹き飛ばされる。

 

「うぅぅ・・・!」

 

グレースは立ち上がろうとするが、コリーノから受けた小さなダメージが蓄積したせいか、膝をついてしまう。

 

コリーノは木から降りて地面に着地すると、グレースへと近づいていく。

 

「おやおや、もう終わりですか? あっけないですねぇ」

 

コリーノは嘲笑しながら言う。

 

「所詮、小さなお嬢さんには早かったのでは?」

 

「まだ、戦えるよ・・・!!」

 

コリーノの挑発に、グレースは自分を奮い立たせて立ち上がると、ステッキからピンク色のオーラを剣状にする。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

そのままステッキを振るって斬撃を放つ。

 

「っ・・・ふぬっ!!!」

 

コリーノは爪からオーラのようなものを伸ばすと、それを振るって斬撃を飛ばす。

 

ドカン!!ドカン!!!! ドカン!!!

 

オーラ同士がぶつかって爆発を起こして、煙が舞う。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「っ!? ぬっ・・・!!」

 

その煙からグレースが飛び出してパンチを喰らわせようとし、コリーノは完全に油断していたものの、両腕で片なく防ぐ。

 

「なかなかやりますなぁ。お見それしましたぞ・・・!!」

 

「あなたに、褒められても、嬉しくない・・・!!」

 

グレースは拳を押しやるも、コリーノは後ろへと受け流して飛び退き、再び目に見えぬ速さで動く。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「では、これはどうですかなぁ?」

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「ぬぅ!!!!」

 

「っ! うっ!!」

 

コリーノはグレースの周囲を素早く動き回り、横から拳を繰り出す。グレースは間一髪で気づき、片手で拳を受け止めるもコリーノのパワーは強く、苦しい表情だ。

 

押し合いをしていると再びコリーノの姿が消える。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

グレースはコリーノの動きを追わずに周囲を警戒する。

 

「ふぬぅ!!!!」

 

「!! はぁっ!!」

 

正面から飛び出してきたコリーノの爪を、グレースはとっさにぷにシールドを展開して受け止める。

 

「ふっ・・・」

 

「? きゃあぁ!?」

 

コリーノがそれに不敵に笑うと、その反応に疑問に思ったグレースがなぜか背中から吹き飛ばされて地面へと転がる。

 

実はコリーノは先程よりも高速に動くことで分身をしていて、正面から防いだグレースの油断を誘って背後から別の分身が攻撃したのだ。

 

グレースは再度立ち上がるも・・・・・・。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「ふぬっ!!」

 

「うぁ!?」

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「ぬぅ!!」

 

「あぁぁ!?」

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「ふんっ!!」

 

「うぅぅ!!」

 

「はぁっ!!」

 

「うあぁ!!!!」

 

グレースは明らかに体をよろつかせており、その隙を狙ってコリーノが次々と攻撃を仕掛けていく。

 

「ふん、ぬぅ、はぁっ!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

コリーノは高速で動きながら爪のオーラの斬撃を3回振るい、グレースに全て直撃させた。

 

「あ・・・ぁ・・・」

 

グレースはそのまま地面に膝をついて倒れ伏してしまう。

 

「うぅ・・・」

 

グレースはダメージが蓄積して起き上がることができず、そのまま体をピクピクと震わせることしかできない。

 

「もう終わりですかぁ。他愛がないですなぁ」

 

「ぐっ・・・!」

 

自身を見下ろしてくるコリーノを、悔しそうに見上げるグレース。

 

「コリーノ!! そいつを気絶させろ。アタシが連れて行く」

 

「・・・かしこまりました」

 

クルシーナの命令が聞こえてくると、コリーノは紳士的に返事をし、再度倒れ伏すグレースに向き直る。

 

「では、今はゆっくりとお眠りなさい」

 

コリーノは禍々しいオーラを纏った爪を出すと、それをグレースに向かって振おうとする。

 

「っ・・・!!」

 

グレースは逃れられない攻撃に目を瞑る。

 

その時だった・・・・・・・・・。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「!? ぐおぉっ!?」

 

一つの黒い影が駆け出していき、コリーノに膝蹴りを食らわせる。コリーノは吹き飛んで木へと激突し、土煙が舞った。

 

「グレースに何をするんだ!!」

 

その影は吹き飛ばしたことコリーノに向かって叫ぶと紫色のステッキを構える。コリーノを吹き飛ばしたのはかすみだった。

 

「「グレース!!」」

 

「グレース! 大丈夫ですか!?」

 

「う、うん・・・」

 

そこへフォンテーヌとスパークル、アースも駆けつけ、アースがグレースに駆け寄って彼女の体を起こす。

 

「あぁ!! 何者ですか? あなた方は?」

 

コリーノが土煙を吹き飛ばし、プリキュアとかすみたちを睨む。

 

「あれもビョーゲンズなの?」

 

「さっきのカラスみたいなやつと同じ・・・?」

 

フォンテーヌとスパークルがコリーノを見ながら口々に言う。

 

「おっと、これは失礼しました。私、コリーノと申します。これから地球を蝕ませていただきます、以後お見知り置きを・・・」

 

コリーノは紳士的いおじぎをしながら、丁寧に自己紹介をする。

 

「なんか紳士的なやつだな・・・」

 

「さっきのネブソックとは全く違うペエ・・・」

 

ニャトランとペギタンもコリーノの態度に少し戸惑う。

 

「感心してる場合じゃないラビ!! どんな性格でもビョーゲンズはビョーゲンズラビ!! 早く浄化するラビ!!」

 

ラビリンはそんな二人に檄を飛ばす。どんな態度でもビョーゲンズであることは変わらないのだ。浄化以外の選択肢はどこにもない。

 

「おい!お前、グレースを傷つけたな!! 許さないぞ!!」

 

「私は丁重にお相手をしていただけのことです。許さないというのであれば、あなた方もそれに相当な力を持って私にかかってきなさい・・・!! 5人でも卑怯とは言いません!!」

 

コリーノが戦闘の構えを取ったことに、プリキュアもステッキを構えて戦闘態勢になる。

 

「ふぬぅっ!!」

 

コリーノがこちらに向かって飛び出して来る。

 

「はぁっ!!・・・!?」

 

スパークルはパンチで迎えようとしたが、なぜかコリーノには当たらずにすり抜ける。

 

「えっ・・・あぁぁ!?」

 

スパークルが愕然としたその直後、彼女の体は前から吹き飛ばされる。

 

「ククク・・・」

 

「「「!?」」」

 

コリーノは笑みを浮かべるとその場から姿を消す。プリキュアたちは驚くときょろきょろと探す。すると・・・。

 

「!! フォンテーヌ、後ろ!!」

 

「ぬぅ!!!!」

 

「っ!! はぁっ!!」

 

グレースはコリーノの姿を視認して叫ぶと、フォンテーヌはとっさにパンチで応戦して攻撃を受け止める。しかし・・・・・・。

 

「きゃあぁ!!」

 

なぜかフォンテーヌの体が横へと吹き飛び、バウンドして転がる。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

「!?」

 

風を切るような音が響いたかと思うと、グレースの目の前にコリーノが姿を表す。

 

「ふっ・・・!!」

 

「っ!! はぁっ!!」

 

笑みを浮かべるコリーノに、グレースは拳を振るうも首を傾けるだけであっさりとかわされ、オーラの爪を振るおうとする。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「ぬおぉぉぉっ!?」

 

そこへかすみが飛び蹴りを放って、コリーノを吹き飛ばす。コリーノは空中で身体を翻すと、4本足で着地をする。

 

「グレースに触るな!!」

 

かすみは怒りの形相で叫ぶ。そして、彼女を守るように片手を横に広げる。

 

「フッフッフッフッフッ・・・なかなかやりますなぁ」

 

コリーノはかすみの攻撃を受けて、不敵に笑う。

 

「では、これはどうですかなぁ?」

 

コリーノのその言葉を合図に、コリーノは複数に分裂してグレースとかすみを囲む。

 

「増えた!?」

 

「うぇぇ! そんなのあり~!?」

 

「いや、偽物を作っただけだ」

 

グレースとスパークルは驚くも、かすみは周囲を見ながらも冷静に分析する。分裂したコリーノは一体ずつその場から姿を消していく。

 

まず一体が、アースの背後へと現れて飛び掛かろうとする。

 

「!! ふっ!!」

 

アースはそれに気づいて片足を振るうも、コリーノは足が触れた瞬間に霧散して消える。

 

「はぁっ!!」

 

コリーノの2体がグレースへと襲いかかり、彼女はそのうちの一体に拳を振るうも霧散する。

 

「!? きゃあ!!」

 

グレースは呆然としたその隙を突かれて、横から現れたもう一体に蹴り飛ばされる。

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

かすみを狙っている3体のコリーノは木と木を飛び回りながら、攻撃の機会をうかがっていた。

 

「ふぬっ!!」

 

「!! はぁっ!!」

 

一体が飛びかかるも、かすみはすぐさまに気づいてステッキから黒い光線を放つ。光線はコリーノを貫き、霧散する。

 

その隙を狙って、もう一体がかすみのその背後から襲い掛かる。

 

「!!」

 

気づくかすみだが、それに乗じてもう一体も横から襲い掛かる。

 

「っ!! はぁっ!!!」

 

襲い来る2体のコリーノを両方交互に見ながら、かすみは右手を振るって、風を放って2体まとめて吹き飛ばし、霧散させる。

 

「ふっ!! はぁっ!!」

 

フォンテーヌは次から次へと襲い来るコリーノをパンチやキックでいなしていたが、どれも霧散して手応えがない。

 

「うわぁ!? たぁ!! ひぃ!! 次から、次へと!!」

 

スパークルはコリーノの攻撃を間一髪で避け続け、その度に拳を振るい、ステッキから光線を放つも、キリのないコリーノにぼやき始める。

 

コリーノが放つ偽物、言わば分身を捌いていくプリキュアとかすみたち。やがて分身は全ていなくなるが・・・・・・。

 

「あれ? 本物は!?」

 

「どこに・・・!?」

 

分身は全て倒したが、肝心のコリーノ本人の姿が見当たらない。プリキュアとかすみたちがキョロキョロと探していると・・・・・・。

 

チュドン!! ドォン!! ドォォォォン!!!

 

「「うっ・・・!」」

 

「っ・・・な、何!?」

 

突然飛んできた赤く禍々しい色をした爪の斬撃が飛んできたかと思うと着弾して爆発を起こし、皆は顔を覆う。

 

すると、そこへコリーノがスパークルの横に姿を現し・・・・・・。

 

「きゃあぁ!!」

 

スパークルはコリーノがいたことに気づかずに横からコリーノに蹴られて大きく吹き飛ばされ、木に叩きつけられる。

 

「ふっ・・・」

 

「!? あぁぁ!?」

 

そうかと思うとフォンテーヌの前にいつの間にか現れ、彼女に爪を振るって攻撃し大きく吹き飛ばし、フォンテーヌも同じように木へと叩きつけられた。

 

「あぁぁ!?」

 

さらにアースの頭上を目に止まらない速さで飛んだかと思うと、木からアースへと突進する。アースは防御体制を取るも大きく吹き飛び、彼女もまた木へと激突した。

 

「!? グレース!!」

 

「!!」

 

かすみはコリーノの動きを追っていたが、グレースの背後に立ったのが見え、彼女の前へと飛び出していく。グレースもそれに気づいて背後を振り向くも、コリーノは自身の尻尾をこちらへと振るっていた。

 

かすみはグレースの前へと飛び出すのには間に合うが・・・・・・。

 

「うわぁぁ!!」

 

「きゃあぁ!!」

 

シールドを張る間もなく、コリーノの尻尾攻撃を喰らってグレース諸共吹き飛ばされ、木へと背中から激突した。

 

「ぐっ・・・ケホッケホッ!!」

 

「あ・・・グレース、大丈夫か!?」

 

グレースは背中を木に激しく打ち付けたのか咳き込み、かすみは動揺しつつもグレースの背中をさする。

 

「う、うん・・・大丈夫だよ・・・」

 

「すまない・・・! 私なんかを庇ったばっかりに・・・!」

 

「かすみちゃんは悪くないよ・・・私が守りたかっただけだから・・・」

 

かすみは自分のせいでグレースがダメージを受けたと思い、泣きそうな声で謝罪の声を漏らす。グレースは表情を顰めつつも、かすみのその言葉に問題ないということを伝える。

 

「フッフッフッフッフ・・・遅い!遅いですなぁ・・・!! その程度では私は捉えられませんよぉ~?」

 

コリーノは自信たっぷりな発言をしながら、プリキュアたちを見やる。

 

「・・・ふーん、意外とやるじゃん」

 

「そう? あいつもテラビョーゲンだけど、メガビョーゲンは作れないやつよ。バテテモーダの後釜にはなれないわね・・・」

 

ダルイゼンはアースとかすみを打ち負かしているコリーノに珍しく感嘆の声を漏らすも、クルシーナはメガビョーゲンを作れない輩だと知っており、あまりいいとは思っていない様子だ。

 

「うぅ・・・もぉ~、あいつすばしっこいんだけど~!」

 

「相手が見えないから攻撃が全然当たらないニャ!」

 

スパークルは痛みに呻きながらもぼやく。

 

「ぐっ・・・追いつこうとしても、逆に追いつかれてしまうわ・・・!」

 

「あの速いのをどうにかしないといけないペエ・・・」

 

フォンテーヌもダメージを負いながらそう言い、ペギタンは分析しようとする。

 

「・・・・・・」

 

かすみはコリーノをよく見やる。コリーノは目に止まらない速さでこちらに接近して、攻撃を加えてくる。しかも、どの方向からも攻撃できる。ということは・・・!!

 

「・・・・・・!!」

 

かすみは何かを閃いたようで、背後にいるグレースと他のプリキュアたちに声をかける。

 

「なあ、みんな」

 

「「「「??」」」」

 

「私に考えがある・・・!!」

 

「!!・・・うん!!」

 

「・・・わかったわ」

 

「OK!!」

 

「かすみさんを、信じます!」

 

かすみの表情から何かを察したプリキュアたちは再び立ち上がる。

 

「おや? まだやるというのですか。勇ましい限りですなぁ・・・!!」

 

コリーノはプリキュアたちが戦えることに歓喜の声をあげ、再びその場から姿を消す。

 

「みんな!! お互いに背中合わせになってくれ!!」

 

それにかすみが声を出すと、それを合図にプリキュアたちは頷いてお互いに背中合わせになる。そして、その真ん中にかすみが入るというフォーメーションになる。

 

「ほぉ? その手で来ましたか。でも、その程度でも私の速さは捉えられませんよ?」

 

コリーノはプリキュアたちに声を投げかける。その声色はまだ余裕そうな様子だ。

 

プリキュアたちは周囲を警戒し、かすみは目を瞑りながら何かをしようとしている。

 

「ふぉぉ!!」

 

そんな中、コリーノの一体がスパークルの側から飛び出してきた。

 

「!! はぁっ!!」

 

スパークルはそのコリーノに目がけて光線を放ち、霧散させる。

 

次に別のコリーノが一体ずつグレースとアースに襲いかかる。

 

「ふっ!!」

 

「はぁっ!!」

 

グレースはステッキから光線を放ち、アースは片手から風を放ち、コリーノを霧散させる。

 

さらにフォンテーヌの方にも別の2体が同時に襲い来る。

 

「はぁっ!!!」

 

「ふっ!!!」

 

フォンテーヌとスパークルが同時にステッキから光線を放ち、2体のコリーノを霧散させる。

 

(やつの気配・・・やつの声・・・そして、泣いている声・・・それを辿っていくと・・・!!)

 

かすみは目を瞑りながら、本物のコリーノの居場所を探ろうとしていた。彼女にはビョーゲンズやメガビョーゲンを察知できる能力を持っている。それを逆に利用しようと考えたのだ。

 

「・・・・・・!!」

 

かすみは目を見開くと空を見上げる。上空から禍々しいオーラを自身の爪から出しながら、こちらに向かって飛んでくるコリーノの姿が。

 

「上だ!!」

 

「「「「!!」」」」

 

かすみがそう叫ぶと、プリキュアたちは上空を見上げる。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースは実りのエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「雷のエレメント!!」

 

スパークルは雷のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「「はぁっ!!」」

 

グレースとスパークルは、ピンク色の光弾、雷を纏った黄色い光線を上空に向かって放つ。

 

「!? 何っ!?」

 

二つの攻撃はコリーノに直撃してダメージを与える。

 

「ふっ・・・はぁぁぁぁっ!!」

 

「ぐぉぉぉっ!?」

 

そこにかすみがコリーノの位置よりも高く飛び上がり、そのまま下にいたコリーノに目がけて飛び蹴りを放ち、彼を下へと叩き落とした。

 

土煙が起こって、そこからかすみが飛び出し、プリキュアたちのところに飛びのいて戻ってくる。

 

「やったじゃん!! かすみっち!!」

 

「ああ・・・作戦は成功だ・・・!!」

 

「これは背中合わせになることで、私たちの死角をなくして、かすみが気配を追ったっていう作戦ね!」

 

「すごいよ!! かすみちゃん!!」

 

「・・・みんなの息が良かっただけだ」

 

かすみはプリキュアたちに作戦成功を喜ばれ、顔を赤く紅潮させる。

 

「・・・何よ。あっさり攻略されちゃってるじゃない」

 

クルシーナはプリキュアたちとコリーノの戦いを見て不機嫌そうな表情を浮かべる。

 

すると、土煙の中から爪のオーラのような斬撃がこちらに向かって飛んでくる。

 

「!! はぁっ!!」

 

かすみはそれに気づくと紫色のシールドを展開し、斬撃を防ぐ。

 

「ふぉっ!!!」

 

「!! ぐっ・・・!!」

 

そこへ飛び出してきたコリーノが飛びかかってきた。かすみはシールドをそのまま展開するも、コリーノの腕力での攻撃に背後へと押されていく。

 

「かすみちゃん!!」

「かすみっち!!」

「かすみ!!」

「かすみさん!!」

 

プリキュアたちはそれぞれの三人称で叫ぶ。

 

「なかなかやりますなぁ・・・だが、この程度では甘い!!!!」

 

「くっ・・・! ふっ!!」

 

不敵な笑みを浮かべながら押しのけるコリーノ。かすみは前足を蹴ると背後へと飛び、シールドをしまってコリーノと距離を取ろうとする。

 

しかし、コリーノは間髪入れずにこちらへ一気に詰め寄り、襲いかかってくる。

 

「っ・・・あぁ!!」

 

かすみはコリーノの拳での攻撃を防ぐも、背後へと吹き飛ばされる。しかし、かすみは背後に木があるとわかると体制を立て直して、木の側面に足をつける。

 

「ふっ!!」

 

風の力を解放しながらそのまま木を蹴って、ロケットのようにコリーノへと飛び出していく。

 

「私と真っ向勝負をしようと言うのですかぁ? 面白い!!!!」

 

コリーノは笑みを深くすると、その場から見えなくなるくらいの速度で飛び出していく。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」

 

かすみとコリーノのお互いの拳がぶつかり、周囲に衝撃波を放ちながら押し除け合う。

 

「うわぁっ!?」

 

「すごい力の押し合いです・・・!!」

 

「かすみちゃん、頑張って!!」

 

プリキュアたちはあまりの衝撃に驚くも、グレースの応援を河切りに他のみんなも応援し始める。

 

「くっ、うぅぅ・・・!!」

 

「フッフッフッフッフ・・・」

 

かすみは苦しそうな表情をしているが、コリーノは余裕の表情だ。

 

「あなたはクルシーナ様と同種族の割には力がないですねぇ。まだ未完成なのですかなぁ?」

 

「何を、言っている・・・!?」

 

「フッフッフッフッフ・・・クルシーナ様より格下であるのならば、私が負けるはずがない!!」

 

コリーノが他のビョーゲンズと同じようなことを言い始めたことに、かすみは険しい表情を浮かべていく。

 

「前にも言ったはずだ・・・私は風車かすみ、お前たちなんかとは違うと!!」

 

「なっ、この私が・・・押されている・・・?」

 

かすみは想いと共に拳を徐々に押していき、コリーノはそれに驚愕していく。

 

「私は守るんだ・・・! 大切な仲間を、この街を、私の大切な友達も、この美しい自然も、全部全部守るんだぁぁぁーーーーーーーーー!!!!」

 

かすみは叫び声をあげると彼女の体から風の力が強まり、コリーノの拳を押し返して吹き飛ばし、同時に拳から放たれた竜巻に打ち上げられていく。

 

「バカなぁぁぁぁぁぁぁ!!?? 」

 

コリーノは絶叫を上げながら、竜巻によって上空へと飛ばされる。

 

「やったー!!」

 

「かすみっち、すごーい!!」

 

コリーノを打ち破ったかすみにグレースとスパークルが感嘆の声を上げる。

 

「これはついでよ!! 氷のエレメント!!」

 

フォンテーヌは氷のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

ステッキから冷気を纏った青い光線をコリーノに目がけて放つ。

 

「な、な、に!? あ、がが・・・!」

 

コリーノは青い光線が直撃して、全身が氷漬けになり地面へと落ちていく。

 

「あとは頼む!!」

 

「うん!! みんな!!」

 

かすみはプリキュアたちに任せ、グレースの言葉を合図にミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にコリーノに直撃する。

 

「ぐ・・・ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! 申し訳ありません、クルシーナ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! ヒーリン、グッバァァァァァァァイ!!!!!」

 

コリーノは生み出した主人に対する謝罪の絶叫を残しながら、光に包まれて消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

「ワフ~ン♪」

 

コリーノが倒されたことにより、体調不良だったラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「・・・結局、使えないじゃん」

 

「・・・もう、動物の素体はやめね」

 

ダルイゼンは冷めたようなコメントを返すと、クルシーナは不機嫌そうな口調で返す。二人はそのままその場から姿を消していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかたちはその後、湖畔で寝かせているサクヤの元へと戻ってきた。

 

「サクヤさん、サクヤさん!!」

 

「うぅ・・・あっ!?」

 

アスミが声をかけると、サクヤは目を覚ました。そして、ハッとしたように起き上がる。

 

「大変!! 湖が!! 森が!!」

 

「もう、大丈夫だ」

 

サクヤが慌てたような言葉に、かすみが穏やかな表情で言う。

 

「えっ・・・あなた・・・あ・・・」

 

サクヤはよくわかっていない様子だったが、かすみが笑みを浮かべながら見るその湖畔の景色や豊かな森はすでに元の色を取り戻しており、風の音も穏やかになっていた。

 

そして、先ほど彼女たちが助け出した雛は近くにいた親鳥と共に飛び立っていく。また、かすみと一緒にいたリスも森の中へと帰っていく。

 

「あぁ・・・」

 

「伝わりますよね?」

 

アスミがそう言うと、サクヤは彼女の方を向く。

 

「気持ちいい風・・・!」

 

「本当・・・!!」

 

「最高~!!」

 

のどかたちは湖畔にそよぐ風を感じながら、口々に心地よさを感じていた。

 

「サクヤが気がついて喜んでいるんだ。木も、草花も、湖も・・・」

 

「えっ・・・」

 

「私の思い込みかもしれませんけど♪」

 

「ふふ・・・そうね・・・」

 

アスミとかすみは微笑みながら言うと、サクヤも微笑みながら言った。

 

その後、サクヤと再び別れたのどかたちは森の中を進んでいた。

 

「アスミ! かすみ! 帰り道よろしくラビ♪」

 

「えっ・・・」

 

「何のことだ・・・?」

 

ラビリンにそう言われるとよくわからないような口調のアスミとかすみ。

 

「ほら、ここまで来たトンネル!」

 

ニャトランにそう言われるとアスミとかすみは思い出したように「ああ」とつぶやく。

 

「あれはもうできないんだ・・・」

 

「「「「「「えっ・・・?」」」」」」

 

かすみが苦笑しながらそう言うと、のどかたちが立ち止まる。そういえば、かすみの姿も金髪に戻っていて、いつものかすみに戻っている。

 

「あれはとても力を使うので、続けてはできないんです。それにあの時はかすみさんも一緒にやりましたから、かなり力を使ってしまいましたし」

 

「えっ・・・じゃあ、かすみだけでもーーーー」

 

かすみはまだ使えるのではと思ったニャトランがそう言うが・・・。

 

「実はあの時に風の力を使い果たしてしまったんだ・・・すまない! みんな!!」

 

アスミはラテを抱えて歩きながら言い、かすみも一緒に歩きながら手を合わせて申し訳なさそうに言った。かすみはコリーノとのぶつかり合いに全力を出した結果、風の力をなくしてしまったという。

 

「えぇぇぇぇ!?」

 

「うぇぇ!? じゃあ、電車で帰るの!?」

 

みんなが驚く中、アスミとかすみは森の中を進んでいく。

 

「電車賃・・・足りるかなぁ・・・?」

 

「私、おつかい頼まれてたんだけど・・・」

 

「あ、せっかくならカフェ寄ってかない?」

 

「行ってみたーい!!」

 

「それどころじゃないでしょ!?」

 

のどかたちはそんな話をしながら歩き出していく。すると・・・。

 

「クチュン!!」

 

歩いていたのどかが突然、くしゃみをしだしたのだ。

 

「え、のどかっち・・・?」

 

「大丈夫?」

 

「う、うん・・・ちょっと体が冷えたのかな・・・?」

 

「大変ラビ! 早くお家に帰るラビ!!」

 

「大丈夫だよラビリン。私、運動だってしてるんだし」

 

「のどかはいっつもそうやって油断するラビ!!」

 

過保護な母親のようにのどかを心配するラビリンの声が響く。

 

「っ・・・・・・・・・」

 

かすみはその様子を見て、心配そうな表情を浮かべているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が暮れた頃・・・・・・おおらか市の森を抜けた道路の側に、クルシーナとダルイゼンが現れていた。

 

「やれやれ・・・結局、失敗しちゃったな・・・なんでだろう?」

 

「動物なんかを素体にして使ったからじゃない? 特にアンタは雛鳥に使ったから、あんな弱点ばかりのテラビョーゲンが産まれちゃったのよ」

 

ダルイゼンとクルシーナは先ほどのことについて反省会を行っていた。今回はこの不愉快な自然の森を舞台に、メガパーツを使ってテラビョーゲンを生み出す実験を行った。

 

しかし、ダルイゼンのものもクルシーナのものも、メガビョーゲンを作り出すまでには至らず、動物の素体を使ったせいか不完全なテラビョーゲンが生まれてしまった上に、プリキュアには簡単に倒されてしまった。

 

でも、一つわかったことがあった・・・・・・。

 

「まあ、生き物にメガパーツを入れればテラビョーゲンが生まれるっていうのはわかったわよね。あとはどういう素体がテラビョーゲンに適しているのかを考えないといけないわねぇ」

 

「・・・そうだな。まあ、俺はどいつが生き生きしているかわからないから当てずっぽでしかないけど」

 

二人は、今後はあまりひ弱な動物の素体を使わないということで反省は終わった。

 

「ん?」

 

そのままビョーゲンキングダムへと帰ろうとしたが、何かの気配を感じてその方向を向く。そこにはイタイノンが森から出て、何かを追いかけているのが見えた。

 

「どうしたの? クルシーナ」

 

「・・・イタイノン、何してんのかしら?」

 

「イタイノン? あいつ、俺と別れてどこに行ったのかと思ったら」

 

クルシーナはダルイゼンの疑問には答えず、イタイノンの動向が気になっていた。ダルイゼンは顰めたような表情で、遠くへと歩くイタイノンを見つめる。

 

クルシーナは宙へと飛び上がると、イタイノンの後をつけていく。ダルイゼンもジャンプで飛び移りながら、一緒に追いかけていく。

 

一方、場所は変わって、おおらか市の外れにあり、森の近くに存在する古ぼけた建物。廃屋のようだが、それは教会のような形をしていた。

 

ザッ・・・ザッ・・・。

 

そこへ水色のロングヘアをした少女が木の棒を杖のように付き、体をよろつかせながらも歩き、その建物の前に立つ。

 

ゲホッ、ゲホッ・・・!!

 

少女は口を押さえて咳き込む、その押さえた手には吐血したのか血の跡が付いていた。少女はそれを呆然と見つめるも、建物に何か救い求めるかのように入っていく。

 

そのあとを、電気をバチバチとさせた赤いクリスタルがその姿を視認すると、都合のいい相手が見つかったかのようにゆっくりと少女へと近づいていく。

 

教会のような建物へと入っていく少女。彼女は体をガクガクと震わせながらも、礼拝堂のようなものの中にある教壇の前へと歩いていく。

 

ゲホゲホゲホ・・・!!

 

少女は木の棒をその場へと落とすように手を離すと、しゃがみ込んで再び咳き込む。少女はそれに呻きながらも、震える手を合わせるようにして祈る。

 

ーーーーいなくなった昔の友達に、会えますように。

 

そんな祈りを捧げる少女。しかし、その背後には彼女の後ろをつけていた赤いクリスタルの姿があった。

 

赤いクリスタルはいることを悟られないよう、そんな少女の背後へと近づくと・・・・・・。

 

「・・・? !!!!」

 

赤いクリスタルは飛び上がって赤い靄のようなものに変化するとそのまま少女へと一直線に襲いかかる。ふと気配に気づいた少女は背後を振り返ると赤い靄を視認し、なぜか受け入れるかのように手を広げて笑みを浮かべる。

 

そして、赤い靄は彼女の体の中に入り込む。少女はそのまま操り人形から糸が切れるかのように背後に倒れこんだ。

 

「確か・・・この辺に・・・!?」

 

その教会の中に入ってきたのは、赤いクリスタルを追っていたイタイノンだった。彼女はキョロキョロと見渡し、赤い靄に包まれている少女の姿を発見し驚く。

 

「これは・・・あのメガビョーゲンのかけらが入り込んだの?」

 

イタイノンはその光景を見たことがある。それはヘバリーヌが誕生する前、ベッドに昏睡同然に眠っていた彼女に自身やクルシーナたちのメガビョーゲンの一部を取り憑かせたことがある。

 

つまり、これは新しい仲間が生まれるかもしれないという兆しだ。

 

「これは・・・!?」

 

「どうかしたのか・・・!?」

 

そこへイタイノンをつけていたクルシーナとダルイゼンが入ってきて、彼女と同じように少女の有様を見て驚愕する。

 

ダルイゼンとクルシーナはお互いに目を合わせる。そして・・・・・・。

 

「フフフ・・・」

 

「ああ・・・」

 

お互いに笑う、これはメガビョーゲンを作ることのできる新しい幹部が生まれると。

 

「イタイノン」

 

「・・・?」

 

クルシーナはイタイノンに声をかけると彼女の懐に指をさす。その中に入っているのは、メガパーツだ。

 

イタイノンはクルシーナの表情をもう一度見る。そして、不敵に笑う。

 

「そうか・・・その手があったの」

 

イタイノンはメガパーツを手に持つと、その少女に近づく。少女はピクピクと痙攣させている状態だ。

 

そして、そんな彼女にイタイノンはメガパーツを押し当て中に埋め込む。

 

「!?!!!???」

 

少女から膨大なオーラが溢れ出したかと思うと、少女の目が大きく見開かれる。その目は赤く染まっていた。

 

そして、少女の体は悪魔のツノが生え、サソリの尻尾、人肌が変化したりと、人でないものに変貌していくのであった・・・・・・。

 

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