ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです!


第72話「羞恥」

 

ビョーゲンズが活動を開始する、ちょっと前の話。

 

のどかとかすみたちはファミレスの外を出て街をぶらりと歩いていた。

 

「美味しかったなぁ・・・ファミレス最高だ!!」

 

かすみはファミレスで食べたお昼ご飯の味を忘れられないでいた。

 

「よかった~・・・かすみっち食べるの大好きだもんね♪」

 

「あぁ・・・とても美味しかった・・・!!」

 

ひなたが喜んでいると、かすみは表情を明るく瞳をキラキラとさせながら言った。

 

「特にあのドリンクバーってやつはすごいな・・・!! あの機械からいろんなジュースが出てくるなんて、興奮したぞ・・・!!」

 

「そうだよね~、すごいよね~、だって飲み放題だもん♪」

 

「ちぇ~・・・俺たちもあの中に参加したかったなぁ~」

 

ひなたとかすみはファミレスのドリンクバーの話で盛り上がっていた。

 

ドリンクバーとはファミレスでジュースが飲み放題になるサービスで、ジュースを取りに行こうとしたかすみだが、見たこともない機械の使い方がわからずに、ひなたに助けを求めたところ・・・・・・。

 

『こ、このボタンを押すのか?』

 

『ちょっ、かすみっち!! ボタンを押す前にコップをーーーー』

 

ブシャアァァァァァ!!!

 

『あ、ジュースが・・・ふわぁ〜!?』

 

『うわぁ〜!?』

 

ひなたの説明を受けている最中にかすみは勝手にボタンを押し、ジュースが出てしまったのでその噴射口を抑えたところ、ジュースが飛び散って二人にかかってしまったのだ。

 

『うぅぅ・・・冷たい・・・』

 

『・・・ぷふっ。あははははは♪』

 

『もぉ〜!! かすみっち、何笑ってんのぉ〜!?』

 

髪にジュースがかかって濡れたひなたを見てかすみが吹き出し、ひなたはそれに憤慨するも、その二人はどこか和やかな雰囲気になっていた。

 

「かすみ、随分と楽しそうだったわね」

 

「見守っているこっちが参加したくなる感じだったペエ」

 

そんな様子を思い出したちゆとペギタンは二人の様子を微笑ましく見守っている。

 

「かすみ、みんなと仲良くやってたラビ・・・その調子ラビ!!」

 

企画の立案者であるヒーリングアニマル3人の中でも中心的なラビリンも、その様子を見てうんうんと頷いている。

 

「・・・・・・・・・」

 

そんな中、かすみを不安そうに見つめていたのは、彼女から先ほどから自分を避けているように感じているのどかだった。

 

「のどか? どうかしたラビ?」

 

「えっ・・・う、ううん、なんでもない・・・」

 

のどかの方を見ていたラビリンが悲しい顔を気にかけて声をかけるも、のどかは口元に笑みを浮かべながら答えた。

 

そして、彼女はかすみの後ろ姿へと視線を戻す。その視線に感づいたのか、かすみは後ろへと振り向く。

 

「っ!?」

 

のどかの視線だと気づくと、かすみはドキッとして背けるように前を向く。そんな彼女の耳は赤く染まっていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

それに気づかないのどかは、その反応をなんとも言えないような表情で見つめているのであった。

 

その後は、みんなですこやか市の街を回ることになった。

 

「ここはこのすこやか市の名物、すこやかまんじゅうのお店よ」

 

沢泉旅館のお手伝いをしているちゆがお客に街を観光するかのように案内していく。

 

「すこやかまんじゅうって、この前一緒に食べたお菓子のことか? とうじくんが持ってきてくれた」

 

「そう、そのまんじゅうをここで売っているのよ」

 

かすみは見覚えのあるまんじゅうを目にして、ちゆの家でアスミと一緒に食べたことを思い出しながら言った。

 

このお店ですこやかまんじゅうを購入し、アスミとかすみは一個ずつ手に取り、以前やったように包みを剥がして一口かじる。

 

「美味しいです・・・!!」

 

「うん!! ほっぺたが落ちそうだ・・・!!」

 

「「ふふっ♪」」

 

アスミとかすみはお互いに顔を見合わせて笑顔になる。

 

「うーん・・・・・・」

 

続いて、場所が変わってのどかたちは可愛いお土産屋さんにやってくる。

 

かすみは可愛い小物をどれにしようかと真剣に見ている。

 

「はい♪」

 

「??」

 

そんな彼女の後ろから、ひなたが持ってきた麦わら帽子をかぶせる。

 

「ほらほら、こっちこっち♪」

 

ひなたはそう言うとかすみの背中を押して、全身鏡の前へと連れていく。

 

「あぁ・・・ぁぁ・・・!!」

 

「かわいいでしょ~? この帽子」

 

「そう、だな・・・素敵な帽子だ・・・」

 

帽子をかぶる自分の姿を見たかすみは胸の内に何かが湧き上がってくるのを感じた。ひなたに背中から声をかけられるとかすみは顔を紅潮とさせた。

 

続いては、自然がいっぱいの公園へとやってきた。

 

「ふわぁ~・・・綺麗な花だな・・・!」

 

噴水の周囲にある色とりどりの花を見て、かすみは瞳をキラキラと輝かせる。

 

「・・・・・・・・・」

 

そんな彼女の後ろにのどかが不安そうな表情で見つめるも、意を決したように彼女へと近づいていく。

 

「本当に素敵だよね~♪」

 

「!?」

 

のどかはかすみの視線に合わせてしゃがみ込んでそう言うも、かすみは横から聞こえてきたのどかの声にドキッとすると、振り向いたときに顔が近くがあることを認識し、顔がリンゴのように赤く染まっていく。

 

かすみはそれに耐えきれなくなって、体をプルプルと震わせる。

 

「ふわぁぁぁぁ~!!」

 

「あ、かすみちゃん・・・!!」

 

かすみは逃げるようにその場から走り去って行ってしまった。その姿を見てのどかは寂しそうにその背中を見つめるしかなかったのであった。

 

続いて、やってきたのはかつてのどかたちがやってきていたハーブガーデン。

 

「ここは?」

 

「前にのどかとラビリンがぬいぐるみを手に入れるために来ていたハーブ園ラビ!!」

 

「前に来たところね」

 

ひなたの疑問に、ラビリンが説明する。

 

「ワンワン!!」

 

「ラテ!! こっちだ!!」

 

かすみはハーブガーデンの中にある草原で、ラテと追いかけっこをしている。

 

ビュン!!

 

「??」

 

その横をちゆが走って駆け抜けていく。かすみはそれに気づくと、笑みを浮かべてスピードを上げていく。

 

「ちゆ!!」

 

「!! えぇっ!?」

 

ちゆは陸上部で行っている速度で走っているのだが、その後ろをかすみが追いつきそうになっていき、思わず驚きの声を上げる。

 

そして、かすみはちゆを捕まえるために一気に詰めるように俊足で動くが、勢い余って出し過ぎてしまう。

 

「ふわぁっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

「っと、っと、っと~・・・!?」

 

ちゆの背中に思い切りぶつかってきたような感じになり、かすみは倒れないように踏ん張ろうとする。

 

しかし、そこへかすみを追いかけてきたラテが迫ってくる。

 

「あ、ラテ・・・!?」

 

「ワフ~ン!!」

 

「ふわぁ~!?」

 

「きゃあぁ~!?」

 

捕まえたと言わんばかりにかすみの顔にラテが飛びつき、そのまま二人は重なるようにして倒れてしまう。

 

「ワン!!」

 

「「・・・ふふっ♪ あははははは♪」」

 

ラテはそんなかすみの背中の上に乗って笑顔で鳴く。その様子を見ていた二人は思わず吹き出し、一緒になって笑い出すのであった。

 

「ラテ・・・楽しそうですね♪」

 

「かすみも楽しそ~♪」

 

アスミとひなたはその様子をレジャーシートの上で微笑ましそうに見守っていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

のどかはハーブティーを啜りながらも、その表情は暗かった。

 

そして、最終的にハート型の灯台の前にみんなはやってきていた。

 

「ここがすこやか市の全景を見渡せる、ハート型の灯台よ」

 

「ここは、来たことあるぞ」

 

ちゆの説明を受けて、かすみはそう言う。みんなはハート型の灯台の上へと昇り、展望台からすこやか市の街を見渡す。

 

「ふわぁ〜、いつ来てもいいところだよね♪」

 

「ああ。この街は本当にいいところだ・・・」

 

のどかとかすみがそれぞれそう呟き、その後にかすみが「ハッ!?」と驚く。そして、のどかが隣にいたことに気づき、顔を赤くすると彼女と距離を置こうとし始めた。

 

「あ・・・!!・・・」

 

のどかはそれを見ると顔を俯かせ始める。

 

「のどかとかすみ、全然話してないペエ・・・」

 

「やっぱ、距離を感じるよなぁ・・・ラビリンがあんなことするから」

 

「ラ、ラビリンのせいラビ!?」

 

ペギタンとニャトランがその様子を見て不安そうな表情になる。ニャトランが冷めたような視線をラビリンに向けると、彼女はムキになり始める。

 

「のどかっちが話をしようとしてるのに、かすみっち、なんか避けてるもんね」

 

「のどかが混ざろうとしても、かすみさんは私たちと遊んでいることの方が多かったですね・・・」

 

「何か、後ろめたいことがあるんじゃないかしら・・・?」

 

アスミとひなた、ちゆもその様子を見て話す。

 

「だから、ラビリンが無理矢理くっつけようとするからーーーー」

 

「そうじゃないわ。それも否定できないけど、なんか別の理由で避けているように感じるのよ・・・」

 

ちゆは別の理由があって、かすみがのどかを避けているのであろうと分析していた。

 

「顔を近づけたときのかすみっち、顔赤かったよね?」

 

「そうだったかぁ・・・?」

 

ひなたは遊んでいる様子を見ていたりもするが、ニャトランはあまり覚えていない様子。

 

「公園で見たときも顔が赤くなってたわね」

 

「そのまま逃げてたペエ」

 

ちゆとペギタンは公園での出来事を覚えていて、その詳細を出した。

 

「なんでかすみさんは顔が赤くなっていたのでしょうか?」

 

アスミがかすみの顔が赤くなっているのを純粋に疑問に思う。

 

「恥ずかしいからじゃないかしら?」

 

「恥ずかしい・・・?」

 

「人って恥ずかしいと人の顔を見られなかったり、目を背けちゃったりすることがあるの。それで言いづらかったり、その場所に居づらかったりしてもどかしい感じになっちゃうのよ」

 

ちゆがかすみの顔が赤くなっている理由を説明してあげる。

 

「そういえば、ひなたも顔が赤くなったことあるもんなぁ」

 

「えっ・・・?」

 

「ほら、この前、ゆめぽーとに遊びに行った時に、のどかに『好き』って言われてーーーー」

 

「っ!?」

 

「むぐぐぐ・・・」

 

「ちょっとぉ〜!! 思い出させないでよ、そんなこと〜!!!」

 

ニャトランがひなたをからかうように言うと、思い出したひなたが顔を赤くしながらニャトランの口をふさぐ。

 

「ということは、かすみさんは今顔が赤いですし、恥ずかしいということなのですか?」

 

「そういうことになるペエ・・・・・・」

 

ペギタンがちゆの説明を元に、あまり感覚がわかっていないアスミに答える。

 

「ん? って、言われてみると・・・」

 

ひなたがアスミの言葉を受けて考え始める。かすみの顔が赤いということは、かすみには恥ずかしい何か、のどかに何か言えない何かがあるんじゃないかと。

 

「かすみっちってのどかに言えないことがあるんじゃないの!?」

 

「きっとそうね・・・!!」

 

「っていうか、よく見たらわかるじゃねぇか・・・」

 

ひなたとちゆがお互いにそう言い合うと、ニャトランがまるで正論のように言い放った。

 

「かすみちゃん・・・!!」

 

「こ、来ないでくれ・・・!! な、何だかわからないけど、のどかと一緒にいると自分が冷静じゃいられなくなるんだ・・・!!」

 

「かすみちゃん、私の話を聞いてよ・・・!!」

 

「嫌だ!! 聞きたくない・・・!! のどかの声を聞くだけでも、胸の中が苦しくなるんだ・・・!! とても気持ち悪くて、耐えられない・・・!!」

 

のどかとかすみが距離を詰めつつ、離しつつの言い合いをしているが、全くもって埒があかない。

 

そんな時、かすみの後ろにいつの間にかちゆが立っていた。

 

「かすみ」

 

「? な、何だ・・・?」

 

「自分の気持ちに正直になってみたらどうかしら? このままじゃ、のどかといつまでたってもこじれたままよ」

 

ちゆはそのようにかすみを諭すも、彼女は顔を俯かせて赤い手袋の指をモジモジと動かし始めた。

 

「うぅぅ・・・そんなことを言われても、のどかの前だと顔が熱くなって辛いんだ・・・!!」

 

「誰かをそれほど思っているってことよ。ここで言わないと、あとが辛いわよ」

 

「ん〜〜〜・・・!!!」

 

かすみからお湯が沸いている音が聞こえてくるのではと思うほど、頭から湯気を出して顔をリンゴのように真っ赤にさせる。

 

「かすみちゃん・・・」

 

「!!??」

 

のどかの方を振り向けば、彼女はまるで切ないものを見るような儚げな表情でこっちを見てくる。そんな表情にかすみの体からドクドクと音が自分の中に聞こえてくるような気がした。

 

困ったようにちゆの方を向けば、彼女は微笑みながらこちらを見ている。まるで、逃げることは許さないと言っているかのような表情で。

 

双方を交互に見て、体をプルプルと震わせ始めるかすみ。

 

「わかったよ!! 話せばいいんだろ!? 話せば!!」

 

とうとうムキになって叫び出す。かすみはのどかと向き合うことにしたようだ。

 

顔をリンゴのように真っ赤にさせながら、のどかに向き直るかすみ。

 

「かすみちゃん・・・」

 

「の、のどか・・・」

 

緊張する・・・自分が守りたいと思っている少女に向き直ることになるなんて・・・そんな彼女が愛しそうに見つめてくるから、先ほどから胸の中のドクンドクンという音が止まらない。緊張で汗もびっしょりと出てくる。

 

かすみは何かを言おうと口を小さくパクパクとさせるが、なかなか声が出てこない。

 

のどかもかすみにどのようなことを言えばいいかわからず、体をプルプルとさせるかすみを不安そうに見るだけだ。

 

「ぅぅ・・・・・・」

 

ただ言葉を言えばいいのに言いたいことがなかなか口から出てこない。徐々にその場が恥ずかしいところを見られているかのように居た堪れなくなってくる。

 

でも、ここで言わないと・・・言わなければ、きっと後悔する・・・!

 

かすみは口から息を吸って吐き出すと、意を決したように口を開き始める。

 

「の、のどか・・・」

 

「ど、どうしたの・・・?」

 

「わ、私は・・・」

 

あと一言、次の一言をしっかりと伝えればいいだけ。なのに、こんなところで言い淀む。胸の中の音が余計に早くなってきた気がした。

 

かすみは口を一生懸命動かし、声を張るように出そうとする。

 

「わ、私は、のどかのことが・・・!!」

 

そんな時だった・・・・・・。

 

ドクン!!!!

 

「!!??」

 

胸の中に響く音とは違う何かの気配に、かすみは目を見開く。そして、彼女はすこやか市の景色を見始めた。

 

「かすみちゃん?」

 

「どうしたの? もしかして恥ずかしさの方が・・・」

 

「泣いている声が聞こえる・・・」

 

「「「「!!」」」」

 

かすみの行動にのどかとちゆが疑問に思うも、彼女のその一言にみんなが驚く。

 

「クチュン!!」

 

「ラテ!!」

 

ラテがくしゃみをして体調を崩し始め、抱いていたアスミがそれに気づく。

 

「ビョーゲンズが現れたラビ!!」

 

のどかはラテに聴診器で診察し、彼女の心の声を聴いてみる。

 

(街で楽器さんが泣いてるラテ・・・)

 

どうやらビョーゲンズはすこやか市の街で暴れている模様。

 

「早く行かないと!!」

 

のどかたちはビョーゲンズの活動を阻止すべく、急いですこやか市の街へと戻っていく。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみはのどかたちの後を追わずに、顔を俯かせる。

 

「また・・・言えなかった・・・」

 

あの場で勇気を出して、言いたいと思ったことを言えなかった。どうやら彼女はそのことで気落ちをしているようだ。

 

「かすみちゃん!?」

 

「!! あ、ああ・・・!!」

 

のどかの呼ぶ声が聞こえてくると、かすみは顔を上げると一緒に向かうべく走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

すこやか市の街では悲鳴が聞こえ、そんなギターの姿をした怪物・メガビョーゲンが暴れている。

 

「メガ〜!!」

 

ギュイ〜ン!!

 

メガビョーゲンは弦を鳴らして音を奏でると、五線譜のような波動を飛ばして着弾させ、建物を赤く染めていく。

 

「キヒヒヒヒ・・・その調子なの・・・!!」

 

イタイノンは自分がメガビョーゲンを生み出したわけではないが、悲鳴をあげて逃げ惑う人間の姿を見て笑い声をあげていた。

 

こてん・・・

 

「っ・・・」

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

そんな彼女にフーミンが自分の肩にもたれかかってスヤスヤと寝息を立てていた。

 

「本当によく寝るやつなの・・・」

 

イタイノンはその様子を呆れたように見ていた。そんな彼女は片手に電気を纏わせる。

 

「ほら、起きるの・・・!!」

 

「!? ひゃっ・・・!?」

 

それをフーミンのお尻に触れさせて電気を流し、思わず彼女は飛び上がる。

 

「お姉様、痛いですぅ・・・!!」

 

「ふん・・・お前が寝てるのが悪いの・・・」

 

今ので完全に目が覚めたフーミンはお尻をさすりながら抗議の声をあげ、イタイノンは鼻を鳴らしてそっぽを向く。

 

「いたわよ!! メガビョーゲン!!」

 

叫び声が聞こえてきたので、そちらを向いてみると毎度おなじみ邪魔をしてくるプリキュアの面々だった。

 

「ちっ・・・またやってきたの・・・!!」

 

イタイノンは舌打ちをすると、忌々しそうに呟く。

 

「イタイノンラビ!!」

 

「それとあいつの隣にいるやつ、誰だ・・・?」

 

ニャトランが見覚えのない少女の姿を見て訝しむ。知っているイタイノンの隣にいたのはダルイゼンやクルシーナではなく、姿を現したことのないシスター服を着ている人物だった。

 

「ふわぁ・・・」

 

フーミンはそんな視線を気にせずに、呑気にあくびをし始める。

 

「見たことないよね、あの娘!!」

 

「もしかして、新しいビョーゲンズ!?」

 

ひなたとちゆは見たことがない少女の姿を視認する。お互いに新たなビョーゲンズが生まれてしまったのかと思い、動揺する。

 

「ふわぁ〜・・・あっ・・・・・・」

 

フーミンはあくびをしていたが、のどかたちの姿を確認するとあくびを止めてゆっくりとこっちに向き直る。

 

「あなたたちがプリキュアですぅ・・・?」

 

「そ、そうだよ・・・!!」

 

スローペースかと思うぐらいの喋りに、ひなたが思わずその質問に答える。すると、フーミンはまるで天使のような笑顔を向ける。

 

「はじめまして・・・私は新しくお父様の娘として生まれたフーミンですぅ・・・よろしくお願いしますぅ・・・」

 

フーミンはお辞儀をしながら自己紹介をする。その様子にプリキュアたちは呆気に取られる。今までのビョーゲンズは明らかに悪意があるが、彼女はあまりにも異質すぎる。

 

「・・・あなた、本当にビョーゲンズなの?」

 

「そうですよぉ・・・イタイノンお姉様の手によって誕生した立派なビョーゲンズですぅ・・・」

 

ちゆが恐る恐る聞くと、フーミンは笑顔で答える。

 

「あのさ・・・フーミン、だっけ? 目的はなんなの?」

 

「それはもちろん・・・お父様のために地球を蝕んで私たちのものにすることですぅ・・・」

 

ひなたももしかしたらと思って聞いてみると、フーミンは口元を途端に裂けたような邪悪な笑みに変えて答えた。

 

「やっぱり、あなたもビョーゲンズなのね!!」

 

どんなに雰囲気が違っていても、ビョーゲンズであることには変わりはない。そう認識したのどかたちは彼女を睨みつける。

 

「どんな姿をしていても、あいつらはあいつらだ!!」

 

かすみは黒いステッキを取り出して、彼女へと構える。

 

「・・・?」

 

フーミンはかすみの姿を見ると、笑顔を崩して彼女を不思議そうに見る。なぜ自分と同じ雰囲気をしているものがプリキュア側に着いているのか・・・?

 

「お喋りはそこまでなの。フーミン、あとはお前に任せるの」

 

「お姉様ぁ・・・期待しててくださいですぅ・・・」

 

そんな疑問を誰かが答えるまでもなく、イタイノンはそう言って戦いを見届けるために建物の上へと飛び退く。フーミンは彼女に笑顔で手を振ると、改めてプリキュアたちに向き直る。

 

「さあ、メガビョーゲン・・・プリキュアを倒して、ここ一帯を蝕んでですぅ・・・」

 

「メガ〜!!」

 

フーミンはゆったりとした口調で指示すると、メガビョーゲンはギュイ〜ンと弦を鳴らすと五線譜のようなエネルギーを飛ばし、建物に着弾させて蝕んでいく。

 

「みんな、行くよ!!」

 

のどかの言葉を合図に、4人はプリキュアに変身する。

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア、オペレーション!!」」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ペエ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

 

「「「キュアタッチ!!」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ちゆ、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、水のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、水、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、水色、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ちゆは水色、ひなたは黄色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

ちゆは水のプリキュア、キュアフォンテーヌに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

そして、アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ!!」

 

「「キュアタッチ!!」」

 

キュン!!

 

ラテとアスミが手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「「「「地球をお手当て!!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」」

 

4人は変身を終えると、すぐにメガビョーゲンへと立ち向かう。

 

「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

プリキュアたちは飛び上がると、メガビョーゲンに向かって蹴りを入れようとする。

 

「メガ〜!!!」

 

ギュイ〜ン!!

 

メガビョーゲンは弦を鳴らすと、音符のような五線譜のようなものを横に伸ばしてプリキュアのキックを防ぐ。

 

プリキュアたち4人は地面へと着地すると同時に、かすみがメガビョーゲンへと飛び出す。

 

「メガ〜!!!」

 

メガビョーゲンは音符の形をした弾を宙に出現させると、かすみに向かって投下していく。

 

かすみはメガビョーゲンを撹乱するように高速で動き、弾も同時にかわしながらメガビョーゲンへと迫る。そして、近くまで来た時に飛び上がる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「メガ〜!?」

 

かすみは胸に向かって飛び蹴りを放ち、メガビョーゲンを突き飛ばす。

 

「雷のエレメント!!」

 

スパークルは雷のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

電気を纏った黄色い光線をステッキから放ち、メガビョーゲンに命中させる。

 

「メガガガガガガガ!?」

 

メガビョーゲンは電気に痺れて動けなくなる。

 

「「はぁぁぁぁっ!!!」」

 

「ビョーゲン!?」

 

その隙をついてグレースとアースが蹴りのモーションで飛び出し、足に命中させてメガビョーゲンを転倒させる。

 

「よし! 今のうちペエ!!」

 

「えぇ!!」

 

フォンテーヌはメガビョーゲンが倒れている間を狙って、キュアスキャンをしようとする。

 

ビュンッ!!!!

 

「!? きゃぁっ!!!!」

 

しかし、そこに白い何かが高速で迫り、フォンテーヌは吹き飛ばされて建物に叩きつけられた。

 

「「フォンテーヌ!!」」

 

フォンテーヌが突然、攻撃を受けたことに叫ぶグレースとスパークル。

 

ビュンッ!! ビュンッ!!!

 

「あぁぁ!!!!」

 

「きゃあっ!!!!」

 

そんなグレースとスパークルにも白い何かが迫り、防御体制が取れずに直撃をくらい、フォンテーヌ同様に建物へと吹き飛ばされた。

 

「グレース!! スパークル!!」

 

「!?」

 

アースが二人が吹き飛ばされたことに叫び、メガビョーゲンと対峙していたかすみは振り向いて驚いたような顔をする。

 

ビュンッ!! ビュンッ!!!!

 

「!!」

 

アースにも白い何かが迫り、飛びのいて避けようとするが、その白い何かは一つだけではなく複数あるようで、それが空中に逃げたアースへと迫っていく。

 

「うぅぅ・・・あぁっ!!」

 

アースは迫ってきた白い何かを交差させて防ぐも、そこへ白い何かが集まっていき、力不足により吹き飛ばされてしまう。

 

「はぁっ!!」

 

その白い何かはかすみにも迫っていた。かすみはステッキからシールドを展開して、白い何かを防ぐも力が強く容易に押されていく。

 

「うぅぅぅ・・・!?」

 

かすみは苦しい顔をしていたが、その白い何かをよく見ようとし、その正体に驚愕する。

 

(白い、翼・・・・・・!?)

 

かすみの目には天使のような白い翼がこちらを攻撃しているように見えた。っていうか、光の力でできたような白い翼のようだった。

 

そんなこと分析をしているうちに、かすみのシールドにヒビが入っていく。

 

「!? そ、そんな・・・うわぁぁぁっ!!!」

 

かすみはそれに呆然としていると、白い翼はシールドを突破してかすみに強烈な一撃が直撃させ、彼女は大きく吹き飛ばされた。

 

「うっ・・・な、何・・・?」

 

「痛ぁ・・・なんなの? 今の攻撃・・・?」

 

フォンテーヌとスパークルは痛みに呻きながらも、突然の攻撃に戸惑いを隠せない。

 

「うぅぅぅ・・・メガビョーゲンじゃなかったよね・・・?」

 

「とても強力な攻撃でした・・・」

 

グレースとアースも痛みに顰めながら、立ち上がろうとしていた。

 

「うぅぅぅぅ・・・!!」

 

かすみは体を起こしてその正体を探ろうとする。そして、その攻撃した何かの正体を発見した。

 

「みんな、見ろ!! あそこだ!!」

 

「「「「!!!!」」」」

 

かすみが指を指す方向に、プリキュアたちが視線を向けるとその正体に驚く。

 

「あいつ・・・あんな能力を持っていたの・・・?」

 

その様子を見ていたイタイノンは驚きを隠せなかった。

 

「ふわぁ・・・・・・」

 

フーミンがあくびをしたかと思うと、その白い翼を自分の方へと縮ませていく。そんな彼女の背中には2対6枚の白い翼のようなものが生えていた。

 

「あ・・・・・・」

 

彼女はプリキュアたちがこちらを見ているのを視認するとあくびを止めて、こちらをゆっくりと向きながらその翼に似合うような笑顔を見せる。

 

「お父様の邪魔をするのは許さないですぅ・・・ふふ♪」

 

フーミンは満面の笑みでそう言い放ったのであった。

 

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