ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。今回でオリストは最後になります。
次回は原作に戻ります。


第73話「天使」

 

すこやか市の街でメガビョーゲンと交戦するプリキュアたち。

 

そんな彼女たちを吹き飛ばしたのは、フーミンの背中から生えた6枚の白い翼だった。

 

「お父様の邪魔をするのは許さないですぅ・・・」

 

天使のような満面の笑みを浮かべながらそう言い放つフーミン。

 

「今、あの娘がやったの!?」

 

「メガビョーゲンが特殊な攻撃をしてきたのかと思ったぜ」

 

スパークルとニャトランが信じられないような声をあげて張本人を見る。

 

「全然見えなかった・・・!」

 

「何が起こったのかわからなかったペエ・・・!」

 

フォンテーヌとペギタンは全く白い翼の攻撃に気付けなかったこと自体に驚いていた。

 

「あいつ・・・ああいう雰囲気してても、かなり強いぞ・・・!!」

 

かすみはフーミンがただ気怠い感じのものではないと察知する。

 

「ふーん・・・あいつ、結構やるみたいなの」

 

イタイノンはその様子を冷静に見て、懐からメガパーツを取り出す。

 

「少しは手を貸してやるの」

 

これを使ってもメガパーツはまだある。だから、奴らがフーミンを気を取られているうちに成長させてしまおうとイタイノンは考えた。

 

イタイノンは転倒して起き上がろうとしているメガビョーゲンの上からメガパーツを放る。

 

メガビョーゲンにメガパーツが入り、怪物の体から禍々しいオーラが溢れていく。

 

「メガ〜〜〜〜〜〜〜!!!! ビョーゲ〜〜ン!!!!」

 

禍々しいオーラが晴れていくと、巨大化したメガビョーゲンが姿を現した。

 

「うぇぇ!?」

 

「メガビョーゲンがまた大きくなったぞ!?」

 

スパークルとかすみはメガビョーゲンが巨大化したことに驚く。

 

「んぅ? なんでメガビョーゲン大きくなったのぉ・・・?」

 

フーミンはいきなり自分の生み出したメガビョーゲンが大きくなったことに疑問を抱く。

 

「キヒヒ・・・フーミン、私からのプレゼントなの。それで存分に蝕めばいいの」

 

イタイノンは残る一つのメガパーツを片手で宙に放ってキャッチしながら言った。

 

「お姉様がやってくれたですかぁ・・・ありがとうございますぅ・・・」

 

フーミンは建物の上にいるイタイノンに満面の笑みを浮かべた。

 

「まだメガパーツを持ってたのね・・・!!」

 

フォンテーヌはメガビョーゲンを急成長させた張本人であるイタイノンの方を睨みながら言った。

 

「メ〜〜〜ガァ!!!」

 

メガビョーゲンはギターのヘッドの部分を上へと向けると、そこから大きな音の弾を放つ。音の弾は高いところで炸裂すると、無数の音の弾となって街に降り注いだ。

 

ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

 

「っ・・・」

 

「うわぁっ!!」

 

「くっ・・・!!」

 

「うぅぅ・・・!!」

 

音の弾は着弾して爆発し、街の建物のほぼ全体を蝕んでいくだけでなく、プリキュアたちがいる場所にも降り注いでいく。プリキュアたちはそれぞれ攻撃を回避するために、飛びのいたり、ぷにシールドを張ったりする。

 

グレースとかすみはシールドを上に張りながら、シールドを張ることができないアースの前で耐え凌ごうとする。

 

フォンテーヌとスパークルは弾幕から抜け出そうと、空中へと飛び上がる。

 

「メガ〜〜!!」

 

その空中に逃げたフォンテーヌとスパークルに目がけて、メガビョーゲンがヘッドの部分からギターの弦のようなものを伸ばす。

 

「あぁ!?」

 

「うっ!!」

 

フォンテーヌとスパークルは突然の不意打ちに気づくのが遅れ、弦に捕らわれてしまう。

 

「メ〜〜〜〜ガァ〜〜!!!」

 

メガビョーゲンは体を回転させると拘束した二人を振り回して地面へと投げ飛ばす。

 

「「きゃあぁっ!!!!」」

 

大きな音を立ててフォンテーヌとスパークルは地面へと叩きつけられた。そして、そのままギターのヘッドの部分に括りつけられた。

 

「フォンテーヌ!! スパークル!!」

 

「っ・・・許せない!!」

 

捕らわれたフォンテーヌとスパークルを助け出そうとメガビョーゲンへと走るグレースとかすみ。

 

「メガァ〜!!!」

 

メガビョーゲンは自分の周囲に大きな音の弾を作り出して、二人へと放つ。

 

「「っ!!」」

 

ドォォォン!!!

 

グレースとかすみが二手に分かれて避けると、音の弾はドームが出現したかと思うくらいの赤く禍々しい色の爆発を起こす。

 

「メガァ!! メガァ!!!!」

 

メガビョーゲンはさらに大きな音の弾を作って、二人にそれぞれ放った。

 

ドォォォン!!! ドォォォォン!!!!

 

「っ・・・!!!」

 

「これじゃあ近づけないぞ・・・!!」

 

グレースとかすみは音の弾を避け続けるも、メガビョーゲンに近寄ることができない。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

アースが大きく飛び上がってメガビョーゲンに蹴りを入れようとする。

 

しかし、そこへフーミンが飛び上がって背中の6枚の翼のうち、2枚の翼を投下する。衝突し合う蹴りと翼、お互いに押し返して背後へと飛び退く。

 

アースは地面へと着地するも、そこへフーミンが上空から迫る。

 

「ふわぁ・・・」

 

「っ!?」

 

フーミンは広げた翼から赤い禍々しい球体のオーラを出現させると、それを光線状にして放った。

 

ドォォォォン!!!!

 

「うぅぅ・・・!!」

 

アースは両手をクロスさせて防御体制をとるも、爆発のせいでボロボロになっていく。

 

ビュン!!!!

 

その隙にフーミンは拘束でアースの背後へと移動し、6枚の翼を全てアースへと投下した。

 

「!? あぁっ!!!」

 

高速で放たれた翼に対応できず、まともに食らって商店街の外へと大きく吹き飛ばされるアース。

 

「ふわぁぁ・・・」

 

フーミンはそれを見届けた後に大きくあくびをし始めた。

 

「っ、アース!!」

 

「あのプリキュアと同じように吹き飛ぶですぅ・・・!!」

 

アースがフーミンにやられたのを見たかすみが叫んで、そちらに向かおうとするが、フーミンがいつの間にか瞬間移動をしていて、6枚の翼を一気にかすみへと投下する。

 

「はぁっ!! ぐっ・・・!!」

 

かすみはシールドを張って白い翼を防ごうとする。シールドは白い翼を受け止め、守ったように見えたが、すぐさまシールドにヒビが入り始め・・・・・・。

 

「うわぁぁぁぁっ!!!!」

 

白い翼はすぐにシールドを突破して、かすみを建物へと吹き飛ばした。

 

「かすみちゃん!!」

 

「ふふっ♪」

 

やられたかすみに叫ぶグレースの横に、満面の笑みを浮かべながらフーミンが現れる。

 

「っ!!」

 

グレースはそれに気づくと振り向き、そこへフーミンが翼を広げて赤い禍々しい球体を光線状にして放った。

 

「ぷにシールド!!」

 

ラビリンが叫ぶとグレースの前に肉球型のシールドが展開され、光線を防ぐ。

 

「今のうちにメガパーツでもいただいておくの」

 

イタイノンはプリキュアがフーミンに気を取られている隙にメガビョーゲンへと近づく。メガビョーゲンの尻尾を手で弄って毟る。

 

「キヒヒ・・・・・・」

 

笑うイタイノンの手には尻尾の欠片があり、それが3個のメガパーツへと変化していく。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースは実りのエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

お返しにピンク色の光弾をステッキから放つ。

 

「ふふ・・・」

 

フーミンは翼を大きく広げると自分を包むように覆わせる。そこへピンク色の光弾が直撃して、爆発を起こす。

 

「やったラビ!!」

 

光弾が直撃してダメージを与えたと思い込むグレースとラビリン。

 

「くっ、うぅぅぅ・・・!?」

 

建物に激突した苦痛に呻くかすみが、体を起こそうと震わせていると黒い煙の方を見てハッとする。

 

「グレース、危ない・・・!!!!」

 

かすみは痛みも忘れて体を起こしてすぐにグレースの前へと飛び出す。そこへ煙から白い翼が2枚投下され、グレースを襲う。

 

「っ!?」

 

グレースは突然現れた白い翼に呆然とした表情になる。かすみはそんなグレースの目の前へと飛び出し、彼女を抱きしめるように庇う。

 

ドスッ!!!!

 

「ぐぅっ!?」

 

かすみは背中に白い翼の一撃を受けてしまう。

 

「うぅぅぅ・・・あ、ぁぁっ・・・・・・」

 

白い翼の攻撃にかすみは呻くと、ダメージを受けた体にその激痛に耐えられずに、その場にドサリと倒れ込んでしまう。

 

「っ!! かすみちゃん、かすみちゃん!!!」

 

それを見たグレースは動揺し、倒れたかすみの体を揺さぶる。

 

「ふふっ・・・仲間の盾になるなんて仲間想いな人ですねぇ・・・素敵ですぅ・・・」

 

フーミンは満面の笑みを浮かべながら、何やらかすみの行動に好感を持っている模様。

 

「うっ、ぅぅぅ・・・」

 

「かすみちゃん、しっかりして・・・!!」

 

グレースは体を揺さぶっているも、かすみはダメージが蓄積して体を起こすことがfできない。

 

「うぅぅ・・・グレー、ス・・・」

 

かすみは痛みに顰めながらも言葉を紡ぐ。

 

「!! かすみちゃん!!」

 

「グレース・・・さっきは、すまない、な・・・」

 

グレースの叫びに、かすみは声がかすれながらも謝罪の言葉を口にする。

 

「どうして謝るの・・・!?」

 

グレースはこの場で謝らなければいけない意味がよくわからなかった。かすみはグレースを守ってくれているだけなのに、なぜ彼女は自分が悪いと思わないといけないのだろう。

 

「だって・・・私が変な反応をした、から・・・グレースにも顔を合わせづらく、なって・・・変な空気に、なっちゃって・・・これも、私が、グレースを、好きにならなければ・・・こんなことには、ならな、かった・・・のに・・・」

 

かすみはどうやら先ほど街をぶらりした際の自分への態度を謝っているようだった。のどかの家にいた時に変な空気になってしまい、それが原因でのどかに顔を合わせづらくなってしまったと思っていた。

 

グレースはそれを聞いて呆然とした後、目を瞑って首を振る。

 

「悪いのはかすみちゃんじゃないよ。私もかすみちゃんと仲良くしようと焦って、ちょっと詰め寄りすぎちゃったよね・・・私こそ、ごめんね・・・」

 

「グレースは、悪くないよ・・・私が勇気を持てなかったのが、悪いんだ・・・!!」

 

「かすみちゃんも悪くない・・・私が積極的すぎたから・・・!!」

 

グレースとかすみは互いに悪くないと言い合っていて、埒があかない。

 

「だったら、どっちも悪い・・・!!」

 

「えっ・・・?」

 

「お互いが悪いって譲らないなら、どっちも悪かったってことで。それならいいでしょ?」

 

グレースの提案に、かすみは呆然とした表情を見せるが、すぐに笑みを浮かべる。

 

「そう、だな・・・どっちも悪いってことはお互いに痛み分けで、仲良しだな・・・!!」

 

「それは違うと思うけど・・・」

 

かすみの的外れのような言葉にグレースは呆れるも、二人はお互い表情を見た後に笑みを浮かべる。

 

「「ふふっ♪」」

 

二人は満面の笑みを浮かべた。ようやく二人仲直りができて、ようやく話すことができた。それらをすることができたことの喜びの笑みだ。

 

「ほら、かすみちゃん」

 

「ああ・・・!!」

 

かすみはグレースが伸ばす手を掴み、その場から立ち上がった。

 

「行こう!!」

 

「早く止めなきゃな!!」

 

グレースとかすみはメガビョーゲンを止めるべく走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガ〜!!」

 

メガビョーゲンは別の場所で音の弾を放って、建物を病気に蝕んでいた。

 

「素敵ですよぉ・・・どんどん赤く染まっていきますぅ・・・ふわぁ〜・・・」

 

フーミンはその様子を満面の笑みで見つめつつも、あくびをし始めていた。

 

キリキリキリ・・・!!

 

「うぅぅぅぅ・・・!! 止めなきゃ、いけないのに・・・!!」

 

「動けないよぉ・・・!!」

 

フォンテーヌとスパークルは拘束を振りほどこうとしているが、体をグルグル巻きにされていて力を入れても拘束は緩まず、足をバタつかせることしかできない。おまけに苦しいくらいに締め付けられているために、表情は苦痛に歪んでいた。

 

「ジタバタしてても、疲れるだけですよぉ・・・?」

 

フーミンはそんな二人を不思議そうに見つめていた。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」

 

「メガァ〜!?」

 

そこへ飛び出してきたグレースとかすみが同時にメガビョーゲンの横から顔面に蹴りを放って転倒させる。

 

「うぅぅ・・・グレース!!」

 

「かすみっち!!」

 

フォンテーヌとスパークルがグレースとかすみが来てくれたことに表情を明るくさせる。

 

「? また来たですかぁ?」

 

「どこまでもしつこい奴らなの」

 

フーミンとイタイノンが気付いてゆっくりとグレースとかすみのほうを見ながら言う。

 

「来たよ!!」

 

「これ以上、お前たちの好きにはさせないぞ!!」

 

二人は強気な口調で言いながら、ステッキを構える。

 

「ふわぁ〜・・・メガビョーゲン、プリキュアを倒すですぅ・・・」

 

「メガ〜!!!」

 

あくびをしながら指示をするフーミンの言葉を受け、メガビョーゲンはヘッドの部分から大きな音の弾を二人に目がけて放つ。

 

グレースとかすみの二人は飛び上がってかわす。

 

「ふっ!! はぁぁぁぁっ!!」

 

かすみは空中に逃げた後に、蹴るようにして飛び出し、パンチを喰らわせようとする。

 

しかし、ここでメガビョーゲンが拘束したフォンテーヌとスパークルを盾にして利用しようと、ギターの体に括り付けていたのを伸ばして前に出す。

 

「!?」

 

「メガァ!!」

 

「うわぁっ!!」

 

かすみが動揺した隙をついて、メガビョーゲンが逆にパンチを繰り出す。

 

「かすみさん!!」

 

「!! アース!!」

 

そこへ大きく遠くに吹き飛ばされていたアースが飛んできて、こちらの手を伸ばしたのが見えた。それに気づいたかすみは手を伸ばしてアースの手を掴む。

 

「ふっ!!!」

 

遠心力を利用して、そのままアースをメガビョーゲンの方へと投げる。

 

「はぁっ!!」

 

「メガァ!!?」

 

アースは猛スピードで接近し、手をメガビョーゲンの体に当てると強烈な掌底を放って突き飛ばす。

 

「あぁ・・・あんだけ吹き飛ばしたのにもう戻ってきたですぅ・・・?」

 

フーミンはアースが戻ってきたことに、珍しく膨れたような表情を見せながら言った。

 

「実りのエレメント!!」

 

グレースは再び実りのエレメントボトルをステッキにセットし、ステッキの先にピンク色のエネルギーの刃を出現させる。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

ステッキからピンク色の斬撃を振るって、弦を切断しフォンテーヌとスパークルを拘束から解放する。

 

「ありがとう、グレース」

 

「よーし!! さっさと浄化しちゃおう!!」

 

プリキュアたちはメガビョーゲンを浄化しようと立ち向かおうとする。

 

ビュンッ!!

 

「!? ぐっ・・・!!」

 

そこへフーミンが白い翼を放ち、かすみはそれを受け止めるも、傷をつけたのかかすみの顔が苦痛に歪む。

 

「かすみちゃん!!」

「かすみ!!」

「かすみっち!!」

「かすみさん!!」

 

「私は、いいから・・・みんなはメガビョーゲンを・・・!!」

 

かすみは痛みに顔を顰めながらも、プリキュアたちにメガビョーゲンを浄化するように言う。

 

「ごめんね!! かすみちゃん!!」

 

プリキュアたちは頷くと、申し訳ないと思いながらもメガビョーゲンの方へと飛んでいく。

 

「いくらあなたが私の翼を受け止めても・・・無駄ですよぉ・・・?」

 

フーミンは不思議そうにこちらを見つめながらも、さらに残った5枚の翼を投下する。

 

ドスッ!! ドスドスッ!!!

 

「ぐっ、うぅぅぅ・・・!!」

 

白い翼を次々と体に突き刺され呻き声を上げるかすみ。それでも必死に押さえ込んでいるが、徐々に背後に押されていく。

 

「無駄なことが、あるものか・・・!! 私は、のどかたちと一緒に過ごして、いろいろと学んだ・・・いろいろと知ったんだ・・・みんなのことを・・・楽しかったことも・・・!! だから、やって無駄なことなんか、何一つないんだ!!!!」

 

かすみはフーミンの言葉に、強気な口調で反論する。

 

「んぅ・・・言ってることがよくわかりません・・・」

 

フーミンは困ったような表情をしながらも、かすみを徐々に翼で押しのけていく。

 

「ぐっ・・・ぅぅぅ・・・!!!!」

 

かすみは白い翼によって余計に体を抉られ、呻き声が大きくなっていく。そんなとき、その側にまだ蝕まれていない花があるのが見えた。

 

かすみは震える手でステッキを懐から取り出して、その花に向ける。

 

「うぅぅ・・・花の、力よ・・・!!」

 

かすみはそう叫ぶと、花からピンク色の光がまるで呼ばれたかのように飛び出してくる。そして、かすみの持つ黒いステッキにその力が集まっていく。

 

パァ・・・!!!!

 

そして、そのステッキが緑色に光ったかと思うと、かすみの髪が桃色に変わっていき、手袋も白がベースの桃色の花模様が浮かび上がる。ステッキも暗い鮮やかなピンク色に変わっていく。

 

「!!・・・姿が、変わったぁ・・・?」

 

フーミンは突然、かすみが姿を変えたことに驚く。

 

「はぁっ!!!」

 

かすみは自分の周囲に花のエフェクトのようなものを出現させると、そこから波動を放って白い翼を吹き飛ばす。

 

「ぁぁ・・・?」

 

フーミンが白い翼が吹き飛ばされたことに動揺するも、そこへかすみが駆け出してくる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「っ!!」

 

かすみはフーミンに駆け寄ってパンチを振るう。フーミンは伸ばした白い翼を自分の方へ戻すと覆うように包み、パンチを防ぐも後方へと吹き飛ぶ。

 

フーミンは地面に着地して、守っていた白い翼を広げるとその場から猛スピードを出して、一気にかすみの前に詰め寄る。

 

「ふっ・・・」

 

「はぁっ!!」

 

フーミンは片方の翼を叩きつけるように振るうと、かすみも足にピンク色のオーラを込めて振り上げ、キックで応戦する。

 

「!?」

 

花の力が白い翼を弾き飛ばし、それに動揺するフーミン。そこへかすみが体にステッキを向けて花のエフェクトを出現させる。

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

「っ!! ひゃっ!!」

 

ドカァァァァン!!!!

 

花のエフェクトからピンク色のエネルギー波を放ち、フーミンに直撃させた。

 

吹き飛ばされたフーミンは白い翼を後ろに広げると、建物の壁への衝突を回避して地面に着地する。しかし、その場でへたり込んでしまう。

 

「・・・・・・・・・」

 

フーミンはかすみの姿を不思議そうに見つめていた。

 

「あいつ、段々と強くなってるの。クルシーナも言ってたけど、作戦はうまくいってるの?」

 

イタイノンは戦いの様子を見ながら、以前クルシーナが言っていた作戦を呟いていたが、作戦が進んでいるのかよくわからなかった。

 

「メガ〜!!」

 

ギュイーン!!

 

メガビョーゲンは弦を弾いて音を鳴らすと、五線譜のような波動を飛ばす。プリキュア4人はその場から飛び上がってかわす。

 

「メガ〜〜〜〜!!」

 

メガビョーゲンは空中に逃げたプリキュアに、再びヘッドから弦を放った。

 

「同じ手は・・・!!」

 

「食わないよ!!」

 

フォンテーヌとスパークルはこちらに伸びてきた弦をそれぞれ手で掴み、そのまま勢いに任せて落下する。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」

 

「メガァ〜!?」

 

ターザンロープのように弦を掴んで流れるように降り、同時にメガビョーゲンへ蹴りを食らわせる。

 

「はぁっ!!」

 

「ふっ!!」

 

「ビョ〜〜〜!?」

 

そこへグレースがピンク色の光線、アースが片手から風を放ってメガビョーゲンに命中させる。よろけるメガビョーゲンだが、倒れないように体制を整え直す。

 

「メガ〜!!!」

 

メガビョーゲンはヘッドの部分から再び音の弾を放とうとする。

 

「させないわよ!! 氷のエレメント!!」

 

フォンテーヌは氷のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

ステッキから冷気を纏った青い光線をメガビョーゲンのヘッドに目がけて放つ。

 

「メガ〜!?」

 

メガビョーゲンはヘッドだけでなく、ギターの体全体を氷漬けにされたことに動揺する。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「ビョ〜ゲン!!??」

 

そこへかすみが飛んできて、足に花のエフェクトを出現させるとそのまま飛び蹴りを放つ。メガビョーゲンは大きく吹き飛ばされ、建物の壁に激突して倒れる。

 

「かすみちゃん!!」

「かすみ!!」

「かすみっち!!」

「かすみさん!!」

 

「今のうちだ!!」

 

かすみが無事だったことを確認するプリキュアたち。かすみはメガビョーゲンが倒れているうちに浄化するように促す。

 

「うん!!」

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

グレースがステッキの肉球に一回タッチして、メガビョーゲンに向ける。ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「音のエレメントさんラビ!!」

 

「アース!! お願い!!」

 

グレースの合図に、アースは頷くと両手を合わせるように祈り、浄化の準備へと入る。

 

一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、音のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

音のエレメントさんがアコースティックギターへと戻ると、メガビョーゲンが蝕んだ街の建物が元の色を取り戻していく。

 

「ワフ~ン♪」

 

メガビョーゲンが浄化されたことにより、体調不良だったラテも額のハートマークが黄色から水色に戻り、元気になった。

 

「負けちゃったですぅ。ふわぁ〜・・・すぅ・・・すぅ・・・」

 

フーミンはメガビョーゲンが浄化されたことを惜しむようなこともなく、まるで興味がないというようにあくびをするだけ。そして、そのまま横になって眠ってしまった。

 

「本当にどこまでも寝るやつなの・・・!!」

 

イタイノンは懐にメガパーツをしまうと、そのまま建物から飛び降りるとフーミンを抱え、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メガビョーゲンを浄化した後、のどかたちは置かれていたアコースティックギターに宿る音のエレメントさんを診ていた。

 

「エレメントさん、大丈夫ですか?」

 

『はい!みなさんのおかげです!ありがとうございました!!』

 

「「ふふっ♪」」

 

音のエレメントさんは自信が無事であることを伝える。のどかとかすみは互いに見て笑みを浮かべた。

 

その後、日も暮れる中、のどかたちは帰路についていた。

 

「今日は楽しかったね〜」

 

「そうね。作戦とか言ってたけど、なんだかんだで遊んじゃったわね」

 

「私もそれなりに良かったです♪」

 

ひなたとちゆとアスミが話している中、かすみが足を止める。

 

「? どうしたの? かすみちゃん」

 

それに気づいたのどかが声をかける。かすみは顔を俯かせていて、何やら言いたげな様子だった。

 

そんなかすみの顔は赤くなっていた。言わなきゃ・・・言わないと・・・かすみは先ほど言えなかったことで胸がいっぱいだった。

 

かすみは両手をギュッと握りしめると意を決したように顔を上げる。

 

「のどか!!」

 

「な、何?」

 

「聞いてくれないか・・・!?」

 

「う、うん・・・」

 

かすみは緊張から思わず大声をあげてしまう。のどかはたじろぎつつも、真剣に話を聞こうとする。

 

「わ、私は・・・」

 

かすみはその先のセリフを言おうとして口ごもる。まだ恥ずかしさが勝っているが、なんとか負けないように手を握り、口を開く。

 

「わ、私は・・・のどかのことが・・・!!」

 

かすみは思い切ってのどかに告白しようとする。

 

ところが・・・・・・・・・。

 

グゥ〜!!!!

 

・・・・・・・・・・・・。

 

「「・・・・・・・・・」」

 

かすみのお腹が鳴り響き、二人の間にいたたまれない沈黙が包み込む。

 

「・・・・・・・・・!!!!」

 

しばらくの沈黙の後、かすみは顔をリンゴのように真っ赤にさせていく。

 

「う、う、う、うぅぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!!!」

 

「か、かすみちゃ〜ん!!!」

 

かすみはあまりの恥ずかしさから逃げるように走っていき、のどかはそんな彼女に思わず手を伸ばして叫んでいた。

 

「うわぁっ!? かすみっち!?」

 

「ど、どうしちゃったの・・・!?」

 

「何か恥ずかしいことでもあったのでしょうか・・・?」

 

前を歩く3人の間もゼロ距離で走り去って行き、それを見た3人も訳も分からず呆然と見ているしかなかった。

 

「なあ、ラビリン。これ成功なのかよ?」

 

「この作戦、そんな意味もなかったような気がするペエ・・・」

 

ニャトランは冷めたような様子で、ペギタンは疲れたような様子でラビリンに問い詰める。今回の作戦はのどかとかすみたちはただ遊んでいるだけで、あまり意味をなしていないような気がしたからだ。

 

「うぅぅ・・・まだまだこれからラビ!!!! これからも交流を続けて、お手当てを効率よくしていくラビ!!!」

 

ラビリンは作戦はまだまだ終わっていないと、これからもこの作戦は続けていくものだとムキになって主張した。

 

(言えなかった・・・また言えなかった・・・うぅぅ・・・私のバカぁ・・・)

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ〜!!!!」

 

かすみは涙目になりながら考えると、泣き叫びながら走り去って行ってしまうのであった。まだまだ、のどかに想いを伝えるのは、先の話のようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ビョーゲンキングダムでは、イタイノンとフーミンがキングビョーゲンと対面していた。

 

「初仕事は楽しめたか? フーミン」

 

帰ってきた自身の新たな娘に、キングビョーゲンは問いかける。そんな当の本人は・・・・・・。

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

イタイノンの肩に寄りかかりながら眠っていた。

 

「っ!! 起きるの!!」

 

イタイノンはその様子に顔を顰めると、片手に電気を纏わせると彼女のお尻にあてがう。

 

「ひゃっ!?」

 

フーミンはすぐに覚醒して飛び上がる。その拍子に数歩前へと出たフーミンはまっすぐに立って、キングビョーゲンを見る。

 

「はいぃ・・・蝕むのも大切ですけどぉ、プリキュアとの戦いも楽しくなりそうですぅ・・・♪」

 

フーミンは片手はお尻を摩りながらも、満面の笑みでキングビョーゲンに答えた。

 

「実際、アンタから見てフーミンはどうだったの? イタイノン」

 

一緒にその場にいたクルシーナがキングビョーゲンの代わりに問う。

 

「・・・強いとは思うの。でも、すぐに寝てしまうのが玉に瑕なの」

 

「そう・・・」

 

イタイノンが淡々と答えると、クルシーナは特に興味がなさそうな感じで言う。

 

「では、眠らない方法を考えないといけませんねぇ・・・」

 

同じくその場にいたドクルンはメガネを上げながらニヤリと笑みを浮かべて言った。

 

「いいな〜! ヘバリーヌちゃんも一緒に気持ち良くなりたかったなぁ〜」

 

ヘバリーヌはよくわからないことを言いながら、なんだか羨ましそうにしていた。

 

「あの古のプリキュアにそっくりなやつと戦えるとは・・・バテテモーダと以上に使えそうだ。これからもお前の活躍には期待しているぞ、フーミン」

 

「ありがとうございますぅ・・・」

 

キングビョーゲンに評価され、満面の笑みを浮かべながら返した。

 

「もちろん、お前たちも、フーミンを見習ってさらなる活動を期待しているぞ・・・!!!」

 

「はーい」

「わかりました」

「わかったの」

「はーい!」

 

娘たちが返事を返すと、キングビョーゲンはそのまま蜃気楼のように姿を消していった。

 

「イタイノン」

 

「・・・何?なの」

 

「アンタが取ってきたメガパーツ、一個貸してくれる?」

 

クルシーナが淡々とそう言うと、それを受けたイタイノンは黙って懐からメガパーツを一個取り出すと彼女へと放る。

 

「・・・なんかやけに素直ね」

 

「あいつのところに行くんだろ?なの」

 

「まあね・・・・・・」

 

イタイノンはどこに行くのかを察しているようで、クルシーナは笑いながら答えるとそのままその場から立ち去っていく。

 

「さてと・・・そいつはどうするんですかぁ?」

 

ドクルンはいつの間にか横になっているフーミンを指差す。

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

「ハッ!? また寝てるの!?」

 

イタイノンはびっくりしたように驚くと、すぐにフーミンに駆け寄って体を起こす。

 

「おい、お前!! 寝るななの!!!!」

 

「んぅ・・・眠いですぅ・・・」

 

イタイノンが怒鳴りながら叫んでいると、フーミンが眠そうに答える。どうやら彼女は寝てはいないようだが、全くその場から動こうとしない。

 

「起きてるならアジトに案内してやるから、立てなの・・・!!」

 

「さっき力を使ったから、いつもより眠いですぅ・・・」

 

イタイノンはその場から動くように命じるも、フーミンは全く動かない。

 

「どうやらエネルギー切れみたいな感じのようですねぇ・・・ここで喚いても動きませんからおんぶして運んであげましょうか。イタイノン、よろしくお願いしますねぇ」

 

ドクルンはそう言いながらアジトへと帰っていく。彼女のその一言に、イタイノンは驚愕の表情を浮かべる。

 

こいつを、私がアジトまで運ばないといけない、だと・・・?

 

「〜〜〜っ!! ふざけんななの!!!!」

 

イタイノンは睨むような表情になった後に怒鳴り声を上げる。そう言いつつも、フーミンを背中におんぶしてアジトへと帰ろうとする。

 

「私はこいつの従者じゃないの・・・!!」

 

イタイノンはブツブツ文句を言いながらも、アジトへと歩いていく。

 

「すぅ・・・すぅ・・・すぅ・・・」

 

そんなフーミンは、イタイノンの背中で呑気に眠っているのであった。

 

一方、先にアジトについていたクルシーナは、眠っているもう一人のビョーゲンズが安置されている地下の奥にある部屋へとやってきていた。

 

ビョーゲンズは赤い靄に包まれ、眠っている少女の体。クルシーナはそれに先ほどイタイノンから借りたメガパーツを入れる。

 

ズォォォォォォォォォォォン!!!!

 

その瞬間、その体から溢れるばかりのオーラが放出させる。

 

「・・・・・・・・・」

 

その様子をクルシーナは黙って見つめていた。

 

激しく放っていたオーラは大人しくなると、少女の体は元の落ち着きを取り戻す。

 

クルシーナはベッドを覗き込むも、少女の様子はあまり変わっていない。ただ眠っているだけだ。

 

「・・・・・・はぁ」

 

それを見てクルシーナはため息をつくと、自分が持っているメガパーツを取り出す。

 

「まだ起きないわね。アタシの持っているメガパーツを全部投下すれば目覚めそうだけど、今はお父様の娘となる器も集めないといけないしね」

 

クルシーナはビョーゲンズの様子を見ながら言う。そして、懐にメガパーツをしまうと再度少女を見つめる。

 

「また来るわね、お姉様」

 

クルシーナは少女にそう投げかけるとその部屋を後にした。

 

ピクッ・・・・・・。

 

部屋が静まり返った後、動くはずのない少女の片手の指がわずかに動いた・・・・・・。

 

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