ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです!
ペギタンがいなくなって騒動になっている一方、ビョーゲンズの方の動きも。

そして、かすみに異変が・・・・・・。


第75話「女児」

 

翌日のすこやか中学校、のどかとちゆ、ひなたはいつものよう学校へと登校していたが・・・・・・。

 

「・・・・・・・・・」

 

現在は理科の授業が行われているのだが、ちゆは授業に集中できておらず、ノートの上で鉛筆を転がしたりしていた。

 

「ぁ・・・・・・・・・」

 

のどかとひなたはそれを心配そうに見つめていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

さらに木の上からかすみが授業の様子を覗いていた。しかし、その表情は微笑ましく見守っているものとは程遠く、不安そうに見つめている表情だ。

 

「ちゆ、まだ落ち込んでいるな・・・・・・」

 

かすみはその中でもちゆの様子を伺っていた。昨日、落ち込んで泣きそうになっていたちゆを慰め、一緒に寝て一時を過ごしたかすみ。少しは気が安らいだちゆだったが、その翌日・・・・・・。

 

『ちゆ! 調子が悪いなら休めばいいんじゃないか?』

 

『ありがとう、かすみ。でも、友達がいなくなったから気落ちしてたなんて、休む理由にはならないもの・・・私は学校に行くわ』

 

『でも・・・・・・!』

 

『大丈夫。私は元気だから・・・』

 

かすみが調子の上がらないちゆを引きとめようとした。ペギタンがいなくなった日は夕食に手すらもつけようとしなかったが、今日の朝食はそれがありえないほどに食していた。それは明らかにどう見てもおかしいと・・・・・・。

 

しかし、ちゆはかすみに微笑んで見せると、そのまま学校へと行ってしまった。

 

そして、かすみが心配してちゆのクラスを覗いて見るとご覧の有り様である。ちゆは全く授業に集中できていない。

 

かすみは視線を下にして顔を俯かせる。

 

「どうして・・・どうして、ちゆは・・・苦しいときに苦しいって、寂しいのに寂しいって言わないんだ・・・私たちは、友達じゃ、なかったのか・・・?」

 

かすみはちゆが本音を吐露してくれないことに、寂しさを覚えていた。自分とかすみは友達であるはずなのに、どうして何も言ってくれないのか。ちゆが私に向かって言った言葉、『大丈夫』はどこか異常さを感じていて、ある意味怖かった。

 

ちゆが私に話してくれない。正直、悲しい・・・。ちゆは本当に追い詰められたときにしか本当のことを言ってくれないのだろうか。

 

もしかしたら、もっと追い詰めれば・・・病気にしてしまえば、話してくれるのでは・・・?

 

「っ・・・!!??」

 

かすみは黒い感情に支配されそうになるが、すぐハッとして首を横に振る。

 

「私は、今、何を考えたんだ・・・!?」

 

かすみは頭の中に流れてきた邪な考えに体を抱くように抱えて体を震わせ、呆然とする。今、自分は普段から考えてもいないようなことを、考えようとしていた・・・?

 

一瞬だけ、自分が自分でないような感情に支配された・・・?

 

かすみはそれを考えると寒くないはずなのに、余計に体が震える。

 

「いや・・・ここで私まで怯えたらちゆは元気にならない。今日もペギタンを探そう・・・!」

 

かすみはのどかやちゆたちとの楽しい思い出を思い出しながら、平常心を保ち、ちゆのためにペギタンを探そうと誓った。

 

とりあえず、かすみは授業中の間、一人でペギタンを捜索しようと考えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1人で寂しくない? 怖くない?」

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

ペギタンがいるとされる家を張り込むようにしているドクルンとフーミンは、玄関で誰かと話しているであろう少女の声を聞いていた。

 

「そっか・・・早く帰ってくるからね♪ じゃあ、行ってきま~す!!」

 

元気な声が聞こえてくると、少女が家から出てくる。しかし・・・・・・。

 

「あ・・・!!」

 

少女は何かを思い出したかのように、家へと戻ると扉を開ける。

 

「お昼はあそこ、食べてね♪」

 

玄関にいるペギタンに伝えたであろう少女は、今度こそ学校へと駆け出していった。

 

「フーミン」

 

「・・・!」

 

ドクルンに声をかけられたフーミンは閉じていた目をパチッと開かせる。

 

「張り込み、頼みましたよ」

 

ドクルンはそう言いながら、フーミンに水筒を手渡す。

 

「これはぁ・・・?」

 

「眠気覚ましのペパーミントのハーブティーです。冷やしてあります。張り込みで寝てはいけませんからねぇ。ちゃんと飲んで、目を覚ましておいてくださいね♪」

 

フーミンが受け取りながら聞くと、ドクルンは笑みを浮かべながら答える。

 

「では、私はあの娘を追いますね」

 

「はい・・・ありがとうございますぅ・・・」

 

少女を追うべく歩いていくドクルンに、フーミンは頭を下げてお礼を言う。

 

フーミンはドクルンに渡された水筒の蓋を開けて、匂いを嗅ぐ。

 

「んぅぅ・・・いい香りがするぅ・・・なんだか体がゾクゾクしますぅ・・・」

 

匂いを嗅いだ瞬間、体の芯から震えるような何かが走ったのを感じた。いろいろとボケているフーミンでもこれはわかる・・・間違いなく、これは目が覚めると・・・・・・。

 

フーミンは水筒に口をつけると、上に顔を向かせて水筒の中のハーブティーを流し込む。

 

「んぅ、んぅ、んぅ、んぅ・・・・・・」

 

ハーブティーを少しずつ飲み下していくフーミン。いい香りのする液体を入れた瞬間に、体の中がゾクゾクする。まるで体の中に電撃が走ったように体が震える。

 

「んぅ、んぅ・・・!!??」

 

フーミンは何かが体の中に流れてきたように、目をパッチリと見開く。

 

「眠くないですぅ・・・これはいいですぅ・・・」

 

フーミンは水筒を見つめた後、懐にしまい込む。

 

カチャン・・・ガチャッ・・・。

 

「!!」

 

ドアの開く音と鍵をかける音が聞こえ、玄関の様子を見てみるとペギタンが箱みたいなものに鍵を入れ、家から飛び出していくのが見えた。

 

「追わないとぉ・・・」

 

目が覚めているフーミンは2枚の翼を広げると飛び上がり、ペギタンのあとを追う。

 

ペギタンはどこかへと向かい、誰かをきょろきょろと探しているようだが・・・・・・。

 

「僕のパートナーはちゆ、りりちゃんじゃないペエ。帰る、お家に帰るペエ・・・!!」

 

ペギタンは一人叫びながらも、誰かを探すのをやめて飛んで行こうとする。

 

「どこに向かってるのぉ・・・?」

 

フーミンはきょろきょろしたり、それをやめたりしたペギタンの行き先に疑問を抱いていた。

 

「・・・!!」

 

するとペギタンが動きを止め、急にこちらが視界に写るように振り向いたため、フーミンは驚いて咄嗟にペギタンの背後へと瞬間移動する。

 

ペギタンはフーミンが近づいていることに気づいておらず、目下を見下ろしていた。

 

「ふぅ・・・危なかったぁ・・・あ・・・」

 

フーミンは胸に手を当てて安心すると、ペギタンが目下の建物へと降りていくのが見えた。

 

「通り過ぎたり、立ち止まったり・・・よくわからないペンギンですぅ・・・」

 

フーミンはそう呟きながら、ペギタンを追って降りていく。どうやら降りて行った先は子供たちが遊んでおり、小学校のようだ。

 

「・・・??」

 

フーミンはペンギンを追っていると、ふと小学校の校舎の窓の近くに見覚えのある人物の姿があった。どうやら校舎の中を覗いている様子。

 

その人物によく見てみると、それはドクルンだった。ペギタンを追うのをやめて、彼女へと近づいていく。

 

「ドクルンお姉様ぁ・・・?」

 

「!?」

 

フーミンが間延びしたような口調で声をかけると、ドクルンがビクッと固まってこちらを振り向く。

 

「な、なんだフーミンですか・・・」

 

ドクルンは知っている顔だと認識すると、冷静を取り戻しながらメガネを上に上げる。

 

「お姉様・・・何してるですかぁ・・・?」

 

「見ての通り、あの娘の張り込みですよ」

 

ドクルンは教室の中にいる一人で右の隅の机に座っている少女の姿を見ながら答える。

 

「あなたはヒーリングアニマルを張り込んでいたはずでは?」

 

「ヒーリングアニマルを追ってたらここにきたですぅ・・・」

 

ドクルンはサボっているのかと言わんばかりの目付きで問うと、フーミンはペンギンを追っていたら小学校に着いたことを話す。

 

「・・・なんですって?」

 

ドクルンがフーミンのその言葉に疑念を持っていると・・・・・・。

 

「やめて!! 私のペンギンなの!! 痛そうにしてるでしょ!? 離してあげて!!」

 

「??」

 

教室の中から大声が聞こえ、覗いて見るとペギタンが襟首を男子生徒に掴まれている様子であり、少女が強気に話している様子だった。

 

「おや、本当にいますねぇ、あのヒーリングアニマル」

 

「だから追っかけてきたって言ったですぅ・・・」

 

「それにしても、あのヒーリングアニマルはキュアフォンテーヌのパートナーのくせに、なぜあの小娘のことを気にしているのでしょうか? パートナーが違うでしょうに」

 

ドクルンはペギタンが自分を誘拐同然に攫っていったあの少女をどうして気にかけているのか、全く理解できないようだった。キュアフォンテーヌのパートナーなのだから、そちらを気にすればいいというのに。

 

「情でも湧いたんじゃないですかぁ・・・?」

 

「そうかもですね。本当、どいつもこいつも甘いヤツら・・・」

 

フーミンがそう答えると、ドクルンは口元をニヤリとさせながら言う。

 

「怖かったでしょ? 大丈夫?」

 

「ペエ・・・ペエ♪」

 

話し込んでいるとどうやらペギタンは男子生徒から解放されたようで、少女の手へと収まっていた。すると、その様子を見ていた女子生徒が少女へと集まってくる。

 

「ねえ。その子、ジョセフィーヌっていうの?」

 

「えっ?」

 

「めっちゃ可愛い♪」

 

「えっ、えっと・・・」

 

「撫でてもいい? りりちゃん」

 

ペギタンに興味を持ったらしい女子たちが次々と話しかけてきて、少女ーーーーりりは困惑して、ペギタンの顔を見ると、りりは笑顔でペギタンを女子たちに渡した。

 

「うんっ♪」

 

「「「わぁ~♪」」」

 

「ちっちゃ~い!」

 

「可愛い~♪」

 

それを見ていた別の女子たちが次々とりりの元に集まってきて、みんなでペギタンを愛で始める。

 

「ジョセフィーヌ? あのヒーリングアニマルは男の子じゃないですかぁ・・・?」

 

「・・・・・・・・・」

 

フーミンがふわふわとした声で聞いてくるが、ドクルンは見つめたまま黙っている。

 

「ドクルンお姉様ぁ・・・?」

 

フーミンは全く反応しないドクルンに声をかけるが、彼女は答えない。

 

そんな彼女の頭の中には、過去の出来事が思い出されていた。

 

ーーーーねえ、りょうの作ったものもっと教えて! 私、すごい興味があるの・・・!

 

ーーーーべ、別にいいですよ、あなたになら特別に・・・

 

ーーーー! ありがとう! 私、沢泉ちゆ!

 

ーーーー・・・毒島りょう、大した名前ではありませんけど・・・よろしくです

 

ある少女に初めて会ったときの出来事、ドクルンはそれを鮮明に思い出していた。

 

「ドクルンお姉様ぁ・・・!!」

 

フーミンが声をかけるも、ドクルンは答えないままに窓から顔を離すと校舎に背を向ける。

 

「どこ行くですかぁ・・・?」

 

「もう十分です。張り込みは終わりましょう」

 

ドクルンはそう言い残すと空中に飛び上がり、どこかへと飛び去って行く。

 

「??」

 

フーミンは訳が分からず首を傾げるも、ドクルンの後をついて飛んで行く。

 

ドクルンたちは小学校から離れると、何かを探すようにどこかへと飛んでいた。

 

「ヒーリングアニマル、なんとかしないですかぁ・・・?」

 

「いえ、むしろいいことを思いついたんですよ」

 

放置をしようとしているにしか見えないドクルンに、フーミンは問うと彼女はニヤリとしながらこちらを見る。

 

そうしているうちに、小さな神社があるのが見えた。

 

「ふむ・・・・・・」

 

「んぅ・・・?」

 

ドクルンは笑みを浮かべるとその神社へと降りていき、首を傾げるフーミンも後を追って降りて行く。

 

神社の入り口に降り立つときょろきょろと当たりを見渡す。どうやらこの神社にはまだ誰もいない様子だ。

 

「ここならいいものがありそうですねぇ」

 

「・・・なんかこの場所、イライラするぅ」

 

ドクルンは笑みを浮かべながら言ったが、フーミンは不機嫌そうに顔を顰めていた。

 

「何よ、あんたたちもいたの?」

 

背後から声をかけられ、振り向いていると同僚のシンドイーネの姿があった。

 

「おや、奇遇ですねぇ。たまたま場所が被るなんてぇ」

 

「あたしは全然面白くないわよ。あんたがいるとキングビョーゲン様のために貢献できないじゃない」

 

ドクルンはニヤニヤしながら言うのに対し、シンドイーネは不機嫌そうな表情を向けるだけだ。

 

「一緒にやればいいじゃないですかぁ。どうせやってることは同じなんですし」

 

「断じてお断りよ。あたしがキングビョーゲン様の為に尽くすの。他の奴らはいらないわよ」

 

「おや、悲しいこと言いますねぇ・・・」

 

ドクルンが煽るような口調で言い、それはシンドイーネに冷たく返されてもその余裕を崩さない。

 

「でも、私も譲る気はありませんよ。お父さんの娘であるこの私が、駒のあなたに遅れを取るなんていうのはあり得ないですからね」

 

「その駒っていう言い方やめなさいよ!! あたしはキングビョーゲン様に仕えている身なの。ポッと出のあんたとは違うんですぅ~!」

 

「言ってくれますね。大して手柄を立てられたわけでもないくせに」

 

「なんですってぇ!!」

 

ドクルンは真面目な口調となってそう言うも、慇懃無礼な言い方にシンドイーネが怒り、口論になる。

 

「本当のことでしょうに。大体、出撃する理由がくだらないドラマでストレスが溜まったから蝕みに行く? あなた、仕事を舐めてるんですか?」

 

「~~っ!!」

 

ドクルンがさらに尊大な言い方をすると、シンドイーネは悔しそうに唸り出す。なんだか余計にストレスが溜まった様子だ。

 

「あのぉ・・・蝕まないんですかぁ・・・?」

 

「・・・そうですね。シンドイーネと話して、無駄な時間を過ごすところでした」

 

フーミンが諭すように言うと、ドクルンが剥き出しの態度でそう言うとシンドイーネから離れていく。

 

「あんた、後で覚えてなさいよ!!」

 

「はいはい・・・」

 

シンドイーネが悔しそうにそう言うと、ドクルンは右手を振りながら素っ気なく返すと神社の中に入っていく。

 

ドクルンは神社の赤い鳥居を通り、そこから少し歩いたところで足を止めて横に視線を向ける。そこには灯籠が立ち並んでいるのが見えた。

 

「まあ、これでもいいでしょう」

 

「お姉様・・・やるですかぁ・・・?」

 

「ええ・・・フーミンは見てるか、適当にしてて構いませんよ」

 

ドクルンはフーミンを自由にするかのような発言をすると、灯籠へと近づいていく。

 

指をパチンと鳴らし、黒い塊を出現させる。

 

「進化してください、ナノビョーゲン」

 

「ナノデス~」

 

生み出したナノビョーゲンが鳴き声を上げながら、灯篭の一つに取り憑く。神社の入り口の灯でもある灯籠が病気へと蝕まれていく。

 

灯篭の中に宿るエレメントさんが病気へと蝕まれていく。

 

そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。

 

「メガビョ~~~ゲン!!」

 

不健康そうな顔の頭に瓦でできた屋根のようなものを被り、そこから下は灯篭のような体をした3本足のメガビョーゲンが生み出されたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの~、青いペンギンを見なかったか・・・?」

 

「ペンギン? 見たことないなぁ・・・」

 

「小さくて見た目が可愛いやつなんだが・・・?」

 

「知らねぇな・・・すまねぇ、お嬢ちゃん」

 

「別にいいんだ・・・」

 

かすみはちゆたちが学校にいる間、すこやか市の住民にペギタンのことを聞き回っていた。

 

「小さなペンギンを見なかったか?」

 

「見てないわねぇ・・・」

 

「猫なら見かけるけど、ペンギンはわからないなぁ・・・」

 

「力になれなくて、すまねぇな・・・」

 

「わかった・・・ありがとう・・・・・・」

 

しかし、訪ねても不発ばかりで誰も見かけていないと言う。聞き込みをしていても手がかりは見つからず、時間だけが過ぎていく。

 

そして、午後になり時計を見る。時計の針は3時を差しており、そろそろちゆたちの学校が終わり、下校する時間だ。

 

「でも・・・私は諦めないぞ・・・」

 

かすみはそれでもペギタンを見つけることを諦めなかった。

 

その後も、すこやか市の街じゅうを走り回って、ペギタンの情報を聞いて回った。

 

そして、すこやか小学校の下校を見送っている女性に聞いたところ・・・・・・。

 

「あ・・・そういえば・・・」

 

「何か、知ってるのか・・・?」

 

「下校している小さな女の子がペンギンみたいな動物を抱えてるのを見たわよ」

 

「!! ほ、本当か・・・!?」

 

ペンギンみたいな動物・・・・・・もしかすると・・・!!

 

いや、間違いない・・・!! このすこやか市に野生のペンギンはいないはず・・・きっと、そのペンギンがペギタンに違いない・・・・・・!!

 

「ええ」

 

「その娘は、どこに・・・??」

 

「えっと・・・お友達と別れて、一人公園の方に向かっていくのが見えたわね・・・」

 

ということは・・・あの公園に行けば、ペギタンがいるはず・・・・・・!! かすみはそう確信した。

 

「わかった、ありがとう・・・!!」

 

かすみは有益な情報を掴むと、すぐにちゆの家である沢泉旅館へと走っていく。

 

「ちゆ!!」

 

「?? かすみ?」

 

かすみはちゆの部屋をノックもせずに開ける。どうやらちゆは今、帰ってきたばかりのようだった。

 

「ペギタンの居場所がわかった」

 

「!? 本当!?」

 

「ああ・・・・・・」

 

かすみのその報告にちゆの表情が明るくなる。

 

かすみは、ちゆに女の子がペンギンを連れて歩いていたこと、そしてその娘が公園へと向かっていったことを話した。

 

「急いで行こう!! 今ならいるかもしれない!! のどかたちも一緒に!!」

 

「ええ・・・!!」

 

ちゆはすぐにのどかやひなたたちに連絡し、制服から私服へと着替えると、かすみと一緒に家へと飛び出した。

 

「かすみちゃ~ん!!」

 

「ペギタンが見つかったって本当!?」

 

以前、ペギタンの匂いが消えた公園へと向かおうとした途中でのどかやひなたたちと合流し、すぐさま公園へと向かっていく。

 

そして、その公園に着いたとき、楽しそうに話す少女の声が聞こえてきた。それが聞こえたのは、ペギタンがいなくなったとされるベンチの辺り、そこに少女とペンギンのような姿が。

 

「!!」

 

それを見たとき、ちゆは確信した。あれは間違いなく、いなくなってしまったパートナーのペギタンだと・・・・・・。

 

ちゆはゆっくりと少女とペギタンに近づいていく。

 

「・・・ペギタン?」

 

「?・・・あっ」

 

そして、ちゆは声をかけるとペギタンはこちらを振り向き、ちゆやのどかたちが集まっていることに気づく。

 

「『ホシは必ず現場に戻ってくる』・・・テレビドラマでデカ長が言っていたとおりですね」

 

「ワン!!」

 

「・・・それ、どこのドラマなんだ?」

 

自信ありげに話すアスミの言葉に、かすみは呆れたようにつぶやく。

 

「っていうか、こんなチビッコが犯人? もぉ~、全く最近の若者は~・・・」

 

「あははは・・・私たちも若者なんじゃ・・・」

 

ひなたの発言に、のどかがツッコミを入れながら苦笑いをする。

 

「よかった・・・無事だったのね・・・」

 

ちゆは目に涙を溜めながら、ペギタンを見つめていた。ちゆの目元が赤くなっていることから、余程心配していたことが伺える。

 

「本当の・・・飼い主さん・・・?」

 

「ぺ・・・ペエ!!」

 

少女ーーーーりりはちゆたちが現れたことに驚き、ペギタンは再会できた喜びに瞳を潤ませながら彼女の元へ飛んで行こうとした。

 

しかし・・・・・・。

 

ガシッ!!

 

「ペエッ!?」

 

なんとりりはペギタンを掴んで抱えると、ランドセルを持ってその場を逃げるように一目散に走り去ってしまう。

 

「「あっ・・・!?」」

 

「あっ・・・待って!!!」

 

「ちゆ、追わないと!!」

 

逃げていくりりを追いかけようとした。そんなときだった・・・・・・。

 

ドクン!!!!

 

「!? 泣いている声が・・・!」

 

「「「!?」」」

 

かすみは気配を感じて目を見開くと、悔しそうに顔を顰める。のどかたちが驚いていると・・・・・・。

 

「クチュン!! クチュン!!」

 

「「ビョーゲンズ!?」」

 

「くそっ・・・こんな時に・・・!!」

 

最悪のタイミングでラテがくしゃみをして体調を崩し、ビョーゲンズが地球を蝕み始めたことを察知する。

 

「ちゆちゃんとかすみちゃんはあの娘を追いかけて!!」

 

「メガビョーゲンは任せるラビ!!」

 

「ペギタンを頼んだぜ!! ちゆ!! かすみ!!」

 

のどか、ラビリン、ニャトランはちゆとかすみに追いかけるように言う。体力のある二人の方がりりとペギタンを追いかけられると判断したのだ。

 

「・・・わかったわ!」

 

「すまない・・・!!」

 

ちゆとかすみは二人を追うべく走り出した。

 

「みんな、行こう!!」

 

残ったのどかたちは走っていくちゆとかすみを見送り、のどかの言葉を合図にアイテムを構えた。

 

「「スタート!」」

 

「「プリキュア、オペレーション!!」」

 

「エレメントレベル、上昇ラビ!!」

「エレメントレベル、上昇ニャ!!」

 

「「「キュアタッチ!!」」」

 

ラビリン、ニャトランがステッキの中に入ると、のどか、ひなたはそれぞれ花のエレメントボトル、光のエレメントボトルをかざしてステッキのエネルギーを上げる。

 

そして、肉球にタッチすると、花、星をイメージとしたエネルギーが放出され、白衣のような形を形成され、それを身にまといピンク、黄色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

そして、髪型もそれぞれをイメージをしたようなものへと変わり、のどかはピンク、ひなたは黄色へと変化する。

 

キュン!

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

のどかは花のプリキュア、キュアグレースに変身。

 

キュン!

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

ひなたは光のプリキュア、キュアスパークルに変身した。

 

そして、アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ!!」

 

「「キュアタッチ!!」」

 

キュン!!

 

ラテとアスミが手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

3人は変身後、すぐさまメガビョーゲンの出現場所へと向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ・・・・・・」

 

ペギタンを抱えて逃げるように走り出すりり。

 

家へと駆け出していく中で、りりは本当はわかっていた。ジョセフィーヌを本当は元の飼い主であるあの藍色の髪の女性に返さなければいけないと・・・。

 

でも、ジョセフィーヌを渡したくない・・・ジョセフィーヌと別れたくない・・・ジョセフィーヌともっと一緒にいたい・・・ジョセフィーヌがいないと私は一人になってしまう・・・!!

 

そういう思いが、りりにペギタンを返すということを躊躇させていた。

 

もうすぐ家へとたどり着く。そんな時だった・・・・・・。

 

りりの目の前に一人の人物がゆっくりと歩いて横切ろうとする。

 

「!? あっ・・・!!!」

 

「ペエ!?」

 

よそ見をしていたりりは咄嗟に気づいたために避けることができずに、その人物にぶつかって後ろに弾かれてしまい、思わずペギタンも手放してしまう。

 

「おやおや・・・何をそんなに急いでいたのですかぁ?」

 

「痛ぁ・・・?」

 

聞こえる女性の声・・・・・・りりが顔を上げるとそこには彼女を見下ろすように見るドクルンの姿があった。

 

「ひっ・・・!?」

 

りりは明らかに人でない姿の彼女に悲鳴を上げ、怯えたような表情になる。

 

「ふふ・・・」

 

「ペエ・・・ペエッ!?」

 

ドクルンは不敵な笑みを漏らすと、傍に倒れているペギタンを見ると彼に近づくと片手で拘束するように掴み上げる。

 

「ペエ・・・!?」

 

「ふふふ・・・♪」

 

ド、ドクルン!?

 

ペギタンは相手がビョーゲンズのドクルンであることに驚き、彼女は笑みを漏らす。そして、もう一度りりのほうを見る。

 

「これ、あなたのペットではありませんよねぇ?」

 

「あぁ・・・ぁぁ・・・」

 

ドクルンに問い詰められるが、りりは怯えるように声を出すことしかできない。

 

「人のペットを持って行こうとするなんて、なんて悪い子なんでしょうかねぇ」

 

その反応を肯定と見たドクルンがわざとらしく首を横に振るようにそうつぶやく。

 

「これは、お仕置きをしないといけませんねぇ。まあ、これはこれでちょうどいい・・・」

 

「ひっ・・・!?」

 

ドクルンは不敵な笑みを浮かべながら、りりへと近づきながら、ペギタンを持っていない方の手で懐から何かを取り出そうとする。りりは小さく悲鳴を上げながら、彼女から離れようと尻餅を着いた状態のまま、這うように後ずさっていく。

 

「ペエェェェ!! ぺェェェェェ!! が、ぁっ・・・!?」

 

ペギタンはドクルンが何かをしようとしていることに気づき、叫び声を上げる。りりがいるために喋ることができず、叫んでいるようにしか見えないが、ドクルンは足を止めてそんな彼を強く握った。

 

「うるさいペットですねぇ・・・!」

 

「ぺ、ェ・・・ェッ・・・!」

 

ドクルンは冷めたような口調をしながら、ペギタンを握りしめた。

 

「ぁ、ダ、メ・・・傷つけ、ないで・・・!」

 

りりは体が震えながらも、言葉を紡ごうとする。ドクルンはその声に反応してりりを見る。

 

「おや? 泥棒のくせに生意気ですねぇ」

 

「ひっ!?」

 

ドクルンに細い目で見られ、か細い悲鳴をあげるりり。そんな彼女をよそに、ドクルンが懐から取り出したのはメガパーツだった。ドクルンは再びりりへと近づいていく。

 

「ひっ・・・あぁ・・・ぁぁ・・・」

 

りりは後ずさるも、二人の距離は一向に広がらず、むしろ縮まっているように見える。

 

「あ、あぁ・・・あ・・・!?」

 

りりは涙目になりながら後ずさるも、それを嘲笑うかのように背中が壁に当たってしまい、壁際へと追い込まれてしまった。

 

そんな彼女を無情にも、メガパーツをこちらに伸ばして近づけてくるドクルンが迫る。

 

「さあ、もう逃げられませんよ? 実験を始めましょうか・・・」

 

「あぁ・・・ああ・・・・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

メガパーツを近づけた瞬間、りりの口から大きな悲鳴が上がったのであった。

 

そんな頃・・・・・・・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ペギタン!! どこなの!?」

 

「そんなに遠くには行ってないはずなんだが・・・!!!」

 

ちゆとかすみは近くの住宅街を駆け回りながら、りりとペギタンを探していた。

 

せっかく再開できたのに・・・謝りたいことがあるのに・・・このまままた会えなくなるなんて・・・絶対に嫌だ!!!!

 

ちゆはそんな思いから足を止めずに無我夢中で探し回り続け、かすみもそれに応えるかのようにペギタンの名前を呼び続ける。

 

しかし、そんな気持ちとは裏腹に、体の方は悲鳴を上げていく・・・・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「あぁ・・・ちゆ!!!」

 

長い時間走り続けていたせいで体力が落ちたのか、徐々にスピードが落ちて歩き始め、ちゆはついに膝に手をついてその場で足を止めてしまう。

 

「ちゆ・・・大丈夫か・・・?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

かすみはちゆの体を気遣うように肩をおき、ちゆは息を整える。

 

「うっ・・・うぅぅ・・・ヒック・・・」

 

「っ、ちゆ・・・」

 

すると、ちゆが瞳を潤ませ始め、嗚咽を漏らし始めた。それに気づいたかすみがちゆを自分の胸へと抱き止める。

 

「・・・もう・・・会えないの、かしら・・・うぅぅ・・・グスッ・・・」

 

ちゆは顔を俯かせ、もうこのままずっと会えないのでは・・・そう思うちゆの心はすでに壊れかけており、彼女の顔には諦めの色が出てきていた。

 

かすみはそれを辛そうに見つめると、意を決したようにちゆの肩に手を置く。

 

「・・・まだ諦めるのには早い。あの娘はまだそんなに遠くには行ってないはずだ」

 

「っ・・・かすみ」

 

「まだ会えないなんて決まったわけじゃない。パートナーのちゆが諦めてどうするんだ。諦めずに探し続ければ、ペギタンには会える。だから、もう一度探そう?」

 

ちゆは顔を上げて、かすみの諦めていない眼差しを見る。ちゆはそれを見るとかすみから体を離して、目の涙を拭い始める。

 

「ごめんなさい・・・情けないところばかり見せちゃってるわね・・・」

 

「いいんだ・・・それがちゆの本当の心だろう?」

 

「・・・そうね、私は本当は弱いのかもしれないわね」

 

ちゆは恥ずかしいところを見せたことを謝罪し、かすみはそれがちゆの心なんだろうと指摘する。ちゆはそう言われれば、そうかもしれないと思う。

 

「ペギタンを、探しましょう・・・今度は諦めずに・・・」

 

「ああ・・・・・・」

 

二人がそう決意した。

 

・・・・・・その時だった。

 

「あなたたちの探し物はこいつですかぁ・・・?」

 

「「!?」」

 

そんな時、聞き覚えのある声が響き、二人はそちらを振り向く。

 

「ドクルン!!」

 

「!! ペギタン!!」

 

「随分と臭い芝居をしていますねぇ。ふふっ♪」

 

現れたのは笑みを浮かべたドクルンと、その彼女の手にはぐったりとしているペギタンの姿があった。

 

「ぁぁ・・・・・・」

 

そして、彼女の右肩にはペギタンを連れて行った少女ーーーーりりがピクリとも動かず、彼女に担がれていたのであった。

 

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