ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
総集編でこんなに長く作るとは思いませんでした。
でも、次回でこのエピソードは終わると思います。


第79話「追想」

 

アスミとかすみがひなたの家の敷地内にいる頃、すこやか中学校では・・・・・・。

 

「ここがあいつらの通っている中学校よ」

 

「んぅ・・・・・・」

 

クルシーナとフーミンは正門の近くに姿を現していて、学校の敷地内に侵入していく。

 

「アタシが初めてこの人間界に出撃したときに、メガビョーゲンを生み出したのはこの学校だったの。人間どもがいっぱいいて、悲鳴もたくさん聞こえてたわ」

 

「ふぅ・・・お姉様の、起源・・・?」

 

「・・・正確に言うなら、出撃の原点ね」

 

クルシーナが説明をしている中で、フーミンは頓珍漢なことを言い出し、クルシーナは冷静に間違いを指摘して訂正する。

 

「ここでさっきの皆さん、走り込んだりしてたですぅ・・・?」

 

「本当に煩わしくて、蝕みたくなるくらいにね・・・」

 

フーミンの疑問に、クルシーナが淡々とした口調で言う。学校には夏休みで部活をやっている運動部の連中が、走ったり練習をしたりしているのだろう。そういう奴らを見ると、本当にイライラしてくる。

 

「えっと、この辺のはずだけど・・・」

 

「お姉様ぁ・・・何を探してるですぅ・・・?」

 

「アタシが最初にメガビョーゲンの素体にした奴よ。確かこの辺にあったと思うけど」

 

クルシーナは学校の奥の校舎まで歩いていくと、その場できょろきょろとし始めた。この辺に最初に出撃した際に、ここでメガビョーゲンを作り出したのだ。

 

「お! あった・・・」

 

クルシーナは校舎と校舎の間に立っている一本の木を見つけて、それに近づく。

 

「これがお姉様が最初にメガビョーゲンにした木ですかぁ・・・?」

 

「そう。この学校の中ではこいつが一番生き生きしてたからねぇ」

 

クルシーナは木を見つめながら、最初に出撃した時のことを思い出していた。

 

『クルシーナ、この木がどうしたウツ』

 

『黙ってて』

 

ーーーーーーーードクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

 

『いい感じじゃない。生きてるって感じがして』

 

そして、クルシーナはこの木にナノビョーゲンを取り憑かせ、メガビョーゲンを作り出し、この学校を襲わせたのだ。

 

『ひどい・・・・・・』

 

そんな中、木の前にはあのマゼンダ色の少女ーーーー後にキュアグレースになる少女が立っていたのだ。

 

しかも、そのキュアグレースになる前の少女の、思い出して吹いてしまう奇行が一つあった。

 

『メガビョーゲン、あっちよ』

 

さらに蝕む範囲を広げるべく、メガビョーゲンと移動しようとした時だった。

 

『こっちだよ!メガビョーゲン!』

 

先ほどの少女が、剣道の防具を纏って、両手にラケットと何やら紐らしきものを持っていたのだ。

 

『メガ?』

 

『あなたなんか怖くないんだからー!』

 

『あれ、何ウツ?』

 

『さあ~ね』

 

少女はメガビョーゲンを阻止しようとしたが・・・・・・。

 

『メガ、ビョーゲン!!』

 

『あっ、きゃあぁぁぁぁぁ!!』

 

メガビョーゲンは少女を木へと吹き飛ばした。

 

『きゃは!あう・・・・・・』

 

『アハハ!! あんた、それでどうにかできると思ったわけ? バッカじゃないの?』

 

今思えば、本当に間抜けなことをしていたな、というのを少女から感じていた。

 

「アッハハハハ! あんなことでメガビョーゲンを止められるわけがねぇのにさ!」

 

「普通の少女が、メガビョーゲンを止められるわけがないですぅ・・・」

 

クルシーナはあの時のことを思い出して笑い、フーミンは見下すような言い方をする。

 

「・・・でも、あの後してやられたのよね。あいつが本当にプリキュアになって」

 

クルシーナは途端に不機嫌な顔になり、あの後の出来事を思い返す。

 

メガビョーゲンはプリキュアに変身した少女にあっさりと圧倒されてしまう。そして、キュアグレースは花の模様が描かれたヒーリングボトルをステッキへとかざす。

 

『エレメントチャージ!!』

 

『ヒーリングゲージ上昇!!』

 

『プリキュア!ヒーリングフラワー!!』

 

『ヒーリングッバイ・・・』

 

そして、メガビョーゲンはあっさりと一人のプリキュアに浄化されてしまったのであった。

 

クルシーナはあの時のように木を手に当てて、音を聞いて見る。

 

ーーーーーーーードクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

 

「・・・やっぱりいいねぇ。生きてるって感じ。あの時と全然変わってない」

 

クルシーナは木から手を離すと、不敵な笑みを浮かべながら言った。

 

「お姉様ぁ・・・そろそろ私、蝕みたいですぅ・・・」

 

ここでフーミンがクルシーナの袖をくいくいと引っ張りながら言った。

 

「・・・まあ、もういいかしらねぇ。そろそろ仕事始めましょうか」

 

クルシーナはそう言うと木から手を離して、その木から離れていく。

 

「?? この木を素体にしないですかぁ・・・?」

 

「それよりももっといい素体を歩く途中で見つけたの。そっちに行くわよ」

 

「んぅ・・・?」

 

フーミンはその行動に疑問を覚えて声をかけるも、クルシーナの言葉にまた首を傾げる。

 

クルシーナとフーミンは歩いた先を戻って行くと、その道の途中でヒマワリ畑が広がっているのが見えた。彼女たちはその目の前で足を止める。

 

「ふぁ・・・太陽みたいな花がいっぱいですぅ・・・」

 

「黄色く輝いていて不愉快でしょ? でも、生きてるって感じの輝きなのよね」

 

フーミンが目をキラキラとさせながら言うことに、クルシーナは淡々とした口調で返し、辺り一面のひまわりを見据える。

 

「ふふっ♪」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべると、手のひらに息を吹きかけると黒い塊を出現させる。

 

「進化しろ、ナノビョーゲン」

 

「ナーノー」

 

生み出されたナノビョーゲンが鳴き声をあげると、ヒマワリの中へと取り憑く。ヒマワリが病気へと蝕まれて行く。

 

「・・・!?・・・!!」

 

ヒマワリに宿るエレメントさんが病気に蝕まれていく。

 

そのエレメントさんを主体として、巨大な怪物がその姿をかたどっていく。凶悪そうな目つき、不健康そうな姿、そしてそれを模倣する様々な自然のものが姿として現れていき・・・。

 

「メガ、ビョーゲン!」

 

ヒマワリの花に似た頭部に、サソリのような形状の足を持つ、どこか見たことがあるメガビョーゲンが誕生したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数分前、アスミとかすみはカフェを離れて町の中を歩いていた。

 

「空に大きな花が咲く花火・・・一体、どのような状態なのでしょう?」

 

「花は空では咲かないはずだが・・・なんで大きな花と言われているんだ?」

 

二人はめいに教えられたまだ見たことがない花火のことを考えていた。どのように空へと花が出るのか、想像つかない。だからこそ、気になって仕方がなかった。

 

「今日の花火大会、楽しみだね♪」

 

「うん。ふふふ♪」

 

ふと二人の視界に浴衣を着た女性たちが、足湯に浸かりながら話す様子が見えた。

 

「なんだか楽しそうですね」

 

「そうだな・・・」

 

そんな様子を見てアスミは笑みを浮かべるが、かすみは少し寂しそうな表情を浮かべていた。

 

そんな彼女たちの背後から・・・・・・。

 

「・・・アスミ? かすみも?」

 

(おかしいわね・・・アスミは家にいるはずじゃ・・・かすみも留守番しててって言ったのに・・・!)

 

ちゆはなぜ二人が外にいるのかを疑念に思っていたが、とりあえず二人に近づいた。

 

「あら、アスミ、かすみ」

 

「??」

 

「!!」

 

「こんなところで何をしているの?」

 

かすみは声に気づくと振り向き、これがちゆの声だと察してすぐに振り向いた。

 

「まあ♪ ちゆ、会えてよかったです。今、ラテの成長日記を作るために、皆さんにお話を聞いて回っていて・・・」

 

「ちゆ、やっと見つけたぞ・・・!!」

 

アスミは笑顔で話すも、その言葉を打ち切るように大声を出し、ちゆへと詰め寄る。

 

「か、かすみ・・・!?」

 

「何をしていたんだ・・・私に話してもらおうか・・・!!」

 

「ち、近い・・・! 近いわよ・・・!!!」

 

かすみはちゆに顔を近づけて問い詰めようとしたが、あまりの剣幕にちゆはビクビクしながらも戸惑ってしまう。

 

「まあまあ、かすみさん。そんなに怒ってはちゆも困ってしまいますよ」

 

「お、怒ってなどいない!! 私はみんなが何をしているのか気になっているだけで・・・!!」

 

アスミはかすみをちゆから引き剥がすも、かすみは彼女へと食い下がろうとしていた。

 

「落ち着いてください、かすみさん。ここで喧嘩などしたら、私は悲しいです・・・」

 

「っ!!・・・わかった」

 

アスミに寂しそうな表情で言われ、かすみは大人しくせざるを得ないのであった。

 

「ふぅ・・・あ、あぁ~、ペギタンもそんなことを言ってたわね」

 

かすみから顔が離れたちゆは一息つくと、アスミの言っていたことに反応して返す。

 

「? ペギタンと一緒ではないのですか? 先ほどお会いしましたが・・・」

 

「別の準備で忙しいのよ」

 

ちゆがそう言うと、かすみの表情が険しくなる。

 

「? 別の準備?」

 

「・・・怪しいぞ」

 

「あっ、いつも一緒ってわけじゃないのよ? たまにいなくなるし・・・」

 

アスミが疑問を抱き、かすみが怪しむようにこちらを睨むと、ちゆはぎこちない様子で話した。

 

「うーん・・・確かに前はいなくなったが・・・その前もあったんだな」

 

「そうよ・・・」

 

かすみは以前いなくなってしまったことを思い出し、ちゆは苦笑しながらそれ以前にもあったことを思い返す。

 

「水族館で迷子になったりね・・・でも、そのおかげでひなたと仲良くなれたし、結果オーライってところかしら」

 

「仲良くなかったのですか?」

 

「三人で力を合わせるうちに、自然と距離が縮まったのよ」

 

「三人で力を合わせて・・・」

 

ちゆは水族館でのどかやひなたと仲良しになったことを思い返しながら話す。アスミは何かを考え始めた。

 

「じゃあ、私そろそろ行くわね」

 

ちゆはそう言って、二人に背を向けて歩いて行こうとする。

 

「待て」

 

「!?」

 

かすみがいつもよりも低い声で言いながら、ちゆの肩を掴む。

 

「まだ話は終わってないぞ・・・!!」

 

「な、なんのことかしら・・・?」

 

「とぼけるな!! またそうやってごまかして、何も教えないつもりだろ?」

 

「え、えっと・・・か、かすみが、知ってもいいことはないと思う、わ・・・」

 

かすみはまたちゆに顔を近づけて、先ほど同じような剣幕で見る。ちゆはぎこちない様子で話しながら、何とかその場をごまかそうとしていた。

 

「っ・・・!!!」

 

かすみはますます睨むような表情でこっちを見て、ちゆはうっかりバレてしまわないかという緊張から汗をダラダラと流し始める。

 

「のどか、ラビリン、ペギタン・・・ニャトランにもごまかされた・・・もう、私はごまかされないぞ・・・!! ちゃんと私に話してくれ・・・!! 友達じゃないのか・・・!?」

 

「うぅ・・・」

 

かすみが険しい表情から悲しそうな表情へと変えていき、ちゆはそれを見て心を痛める。ひなたには内緒にするように言われているため、ちゆは話すことができない。

 

「ちゆ・・・!!」

 

「う、あ・・・」

 

かすみに詰め寄られたことで、ちゆは良心の呵責に耐えられなくなり・・・・・・。

 

「ご・・・ごめんなさい!! 私、急がないといけないから!! 二人とも暗くなる前には帰るのよ!!」

 

「あ・・・ちゆー!!!!」

 

ちゆはかすみを自身の体から離し、そのまま謝罪の言葉をしたまま叫ぶと、背を向けて走り去って行ってしまった。

 

かすみは手を伸ばしながら、それを切なそうに見た後、暗そうに顔を俯かせる。

 

「今日はみなさん、お忙しそうですね・・・」

 

アスミは去っていくちゆの後ろ姿を見ながらそう呟く。

 

「・・・ちゆ、なんで・・・なんで、話してくれないんだ・・・私たちは、友達じゃ・・・なかったのか・・・?」

 

かすみは顔を俯かせながら、プルプルと震わせる。声も先ほどから泣きそうな声になっている。

 

なぜちゆは、隠そうとするのか・・・なぜみんなは、何も言ってくれないのか・・・?

 

かすみは泣きそうになりながら思考すると、ある一つのネガティブな考えに至ってしまう。

 

「もしかして・・・私たち二人を除け者にして、みんなで楽しんでるとか・・・」

 

「そんなはずは・・・あ、のどかたちが花火大会・・・」

 

かすみは自分たちに内緒で何かを楽しもうとしていると思い込んで暗くなり、アスミはそんなことはしないと言いかけたところで、もしやと思い、先ほどの女性たちの方を見てそう呟いた。

 

「・・・・・・っ」

 

「あ、かすみさん・・・!」

 

かすみはトボトボとどこに行くわけでもなく歩き始め、アスミも少し不安を抱きつつ、彼女の後を歩いて行く。

 

「・・・・・・??」

 

と、そこに何やらひなたの姿が見えた。何か袋を持っていて、スマホで電話をしようとしている模様。

 

「うん・・・うんっ、バッチリバチバチで可愛い浴衣見つけたよ♪」

 

ひなたは紙袋から紫色の浴衣を出しながら、誰かと電話をしていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみはひなたへと歩き出すと、暗そうな表情で彼女の背後に立つ。その後ろからアスミもついていく。

 

「これで花火・・・っ!?」

 

ひなたは何やら寒気がするような不穏な気配を感じて、ゆっくりと振り返る。

 

「うぁ!? か、か、かすみっち!? アスミン!? い、いつからそこに!?」

 

「ひ~な~た~? みんなして何を隠してるんだ~・・・?」

 

「ち、ちか!近いよ!! かすみっち・・・!!!」

 

かすみがこちらを恨みがましい目で見ていることに、ひなたが驚いてこちらを振り返る。かすみは顔をかなりの至近距離で、ひなたの顔に近づけていた。

 

「かすみさん・・・!!!」

 

「っ・・・!!」

 

アスミはかすみをひなたから引き剥がすと、ひなたが持っているものをみる。

 

「素敵なお召し物ですね。のどかたちと花火大会に行くのですか?」

 

「っ!? そうなのか、ひなた・・・!?」

 

アスミは微笑みながら言い、かすみはひなたを睨みながら言う。

 

「え、いや・・・これは違うし・・・浴衣だけど、違うし・・・!!!!」

 

アスミとかすみに問われたひなたはぎこちなさげに答えて、ぐいっと顔を近づける。

 

「浴衣って言っただろっ・・・今・・・!!」

 

「浴衣だけど・・・浴衣ではない・・・?」

 

「意味がわからないぞ・・・!!」

 

かすみは逆に顔を近づけ返しながら言い、アスミがひなたの言動に疑問を抱く。

 

「あ、それより・・・あたしたちのことが知りたいんだって・・・?」

 

「・・・また、ごまかしたな」

 

「うっ・・・あ、あたしがプリキュアを辞めそうになった話は?」

 

ひなたがごまかそうとしたことに、かすみは冷たい口調で言う。ひなたはそれに苦しげに反応しつつも、自分たちの話をしようとする。

 

「あの時はちょっと心折れかけててさあ~、そんな時にビョーゲンズに襲われてもうダメだ~って思ったの。でも、のどかっちやニャトラン、みんなが励ましてくれて、病気にも負けずに、諦めずにやろうって思ったの。そして、大好きなみんなを助けるためにも、頑張ろうって思えたんだよね!」

 

ひなたはその時のことを思い返しながら話す。

 

「で、のどかっちとちゆちーとのコラボ技で、見事浄化したって訳!! どうどう? いい話でしょ?」

 

「三人とのコラボ技、なんだか羨ましいです」

 

「・・・ひなたたちは、いつも一緒で、いいな」

 

ひなたの話を聞いて、アスミとかすみは三人を羨ましく思う。

 

「羨ましいって・・・またまた~、アスミンとかすみっちは一人でも十分強いっしょ?」

 

「っ? 一人でも・・・??」

 

「っ・・・!!」

 

ひなたのその一言に、アスミは寂しげにし、かすみは目を見開いた後、顔を俯かせた。

 

「・・・そうか、だから3人とも、隠していることを、私たちには何も教えてくれないんだな」

 

「かすみっち・・・?」

 

「一人がどれだけ寂しいかわかるか・・・?」

 

かすみは暗い口調でそう言い、ひなたも彼女の様子がおかしいのか呟くように声を出す。

 

「・・・行くぞ、アスミ」

 

「あぁ・・・」

 

「ああ、かすみっち・・・!!」

 

かすみはアスミの手を引きながら、ひなたの横を通り過ぎるように歩き、彼女の叫ぶ声も聞かずにそのまま歩き去って行ってしまった。

 

「・・・あたし、何か変なこと言ったのかな?」

 

ひなたはそんな二人の様子を不安そうに見つめていた。

 

一方、かすみはアスミの手を引きながらも、足は逃げるかのように早足になっていた。

 

「かすみさん・・・!!」

 

アスミはそんな彼女に向かって叫ぶも、かすみは耳に入れずに足を止める様子もない。

 

かすみはある程度歩くとアスミの手を離し、そのままそこに立ち尽くしていた。その両手は何かを握るようにプルプルと震わせていた。

 

「・・・私、わかったんだ、みんなの反応や様子を見て。のどかたちは、私たちに内緒で花火大会を楽しもうとしているんだ。除け者にしていることを言えないから、あんなふうに不穏だったんだ・・・友達だと思ってたのに・・・!!」

 

「そ、そんなはずは・・・!!」

 

かすみは震える声でそう話す。アスミは優しいはずの彼女たちがそんなことをするはずがないと、それを否定しようとするが、それを遮るかのようにかすみの顔は涙目で、怒ったような顔だった。

 

「だってそうだろ!? 何もやましいことがないんだったら、私たちに話してくれるはずだ!! それなのにわざわざ隠し事なんかして!!・・・!?」

 

かすみは以前、みんなと遠くへ遊びに行こうとした際に、バス停で脅かそうとして驚かなかったことを思い出す。

 

「・・・ああ、そうか。あの時、驚かなかったから、みんなは軽蔑してるんだ。私たちが普通じゃないから・・・」

 

「!?」

 

かすみはひなたのサプライズに驚かなかったことが原因だと考える。きっとのどかたちみたいに驚くのが普通だったのだ。みんなはそれが気に入らなくて、除け者にしているんだと。

 

アスミはかすみの言葉に、どんどん不安そうな表情になっていく。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

ドクン!!!!

 

「っ!!」

 

かすみは何かを感じて目を見開くも、泣きそうな表情をし始める。

 

「かすみさん・・・?」

 

「泣いている、声が・・・でも、私も泣きたいんだ・・・!!」

 

「!!」

 

アスミはかすみの反応からもしやというような反応をする。それに気づいた時・・・。

 

「クチュン!!」

 

「っ!? ラテ!!」

 

突然ラテがくしゃみのような症状を出して、体調不良になったのだ。

 

アスミはのどかから借りていた聴診器をして、ラテを診察する。

 

(おひさまのようなお花さんが泣いてるラテ・・・)

 

「おひさまのようなお花さん・・・」

 

アスミは考えようとするも、まだよくわかっていないもので皆目検討がつかない。

 

「かすみさん!! のどかたちにも知らせましょう!」

 

「・・・・・・・・・」

 

アスミはのどかたちにも知らせることを話すが、かすみはしばらくの沈黙の後、口を開いた。

 

「・・・いや、いいよ」

 

「!? どうしてですか!?」

 

「・・・のどかたちは忙しいんだ。花火大会のために。だから、私たちで行こう。私なら泣いている声を辿れる」

 

かすみは暗い声でアスミの提案を拒否して、自分たちで行くことを提案する。アスミはその解答に不安を隠せない。

 

「どこにいるかわからないんだ。早く行かないとメガビョーゲンが・・・」

 

「!!・・・っ、わかりました」

 

かすみは的を得ているような発言をしつつも、暗い声でそう言う。アスミもその言葉を受けて、心の中で葛藤していたが、結果的には彼女たちに気を遣って、二人で行くことにした。

 

「行こう・・・」

 

かすみはそう言いながら、泣いている声の反応を辿りながら向かって行く。

 

「・・・・・・・・・」

 

アスミはかすみの後をついていきつつも、彼女の寂しそうな背中を見て、不安そうな表情が拭えないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メガァ・・・ハァ・・・・・・」

 

ひまわりから生み出されたメガビョーゲンは口から赤い光線を吐きながら、辺り一帯を自然を蝕んでいた。

 

「よしよし。蝕みは順調ね」

 

クルシーナは離れたところで見ながら、不敵な笑みを浮かべる。

 

「・・・あ、そういえば、あのメガビョーゲン、あの時のダルイゼンが作ったものにそっくりね」

 

「あんな形だったですかぁ・・・」

 

「ええ。プリキュアたちは勝てもしないのに立ち向かってボロボロにされてたわね」

 

クルシーナは森のあった花畑でダルイゼンがメガビョーゲンを発生させていたことを思い返す。

 

『メー!!』

 

『あっ!!』

 

『グレース!』

 

『メーガー!!』

 

『はぁぁぁぁぁ!!!』

 

『ガー!? メガー!!』

 

『ああっ!!』

 

プリキュアたちはダルイゼンが生み出したメガビョーゲンに立ち向かうも、その成長した大きさに致命的なダメージを与えるに至っておらず、しまいには強大な力に返り討ちにされていた。

 

「全く滑稽だったわね。勝てもしないのに立ち向かうなんて、ウマがライオンに立ち向かうみたいなものよ」

 

「はぁ・・・・・・」

 

クルシーナが思い出しながら笑みを浮かべるも、フーミンはあまり興味がなさげな息を漏らす。

 

「ん? 来たわね」

 

ザッザッザッと走る音がこちらへ聞こえたかと思うと、不敵な笑みを浮かべるとそちらに振り向くといつものプリキュアたちが来るのが見えた。

 

「メガビョーゲン!!」

 

脱走者ーーーーかすみは駆けつけると黒いステッキを取り出して構える。

 

「速やかに浄化しましょう・・・」

 

アスミがメガビョーゲンを睨みつけて、風のエレメントボトルを構える。

 

「あら、今日は二人だけ? いつものあいつらはいないんだ・・・? 大丈夫なの?」

 

クルシーナがプリキュア1人と脱走者しかいない状況に笑みを崩さない。

 

「こんなメガビョーゲン、私たちだけで十分だ!!」

 

「あっそ」

 

かすみの強気な発言に、クルシーナは不機嫌そうな声で淡々と呟く。

 

「行きます!!」

 

「クゥ〜ン・・・」

 

アスミの言葉を合図に、体調が悪そうなラテも変身の構えに入る。

 

アスミは風のエレメントボトルをラテの首輪にはめ込む。すると、オレンジ色になっているラテの額のハートマークが神々しく光る。

 

「スタート!!」

 

「プリキュア、オペレーション!!」

 

「エレメントレベル上昇ラテ!!」

 

「「キュアタッチ!!」」

 

キュン!!

 

ラテとアスミが手を取り合うと、白い翼が舞い、ラテが舞ったかと思うとハートの中から白い白衣のようなものが飛び出す。

 

その白衣を身に纏い、ラテが降りてきたかと思うとハープが飛び出し、さらにアスミは紫色を基調とした衣装へと変わっていく。

 

衣装にチェンジした後、ハープを手に取り、その音色を奏でる。

 

「「時を経て繋がる、二つの風!」」

 

「キュアアース!!」

 

「ワン!」

 

アスミは風のプリキュア、キュアアースへと変身した。

 

「はぁぁぁっ!!!!」

 

「メガァ!!」

 

「っ!!」

 

アースは変身完了後、攻撃するために飛び出そうとするが、メガビョーゲンは緑色のツルのようなものを伸ばす。アースはそれに気づいてツルを蹴り上げる。

 

「メガッハァー・・・!!!」

 

その隙をついて、メガビョーゲンは種のような形の赤い弾をひまわりの形をした両手から放つ。

 

「ふっ!!!」

 

そこへアースの前にかすみが飛び出し、ステッキからシールドを展開して弾を防ぐ。

 

「はぁっ!!」

 

さらにかすみはシールドを閉じると、ステッキをさらに振るって黒い光線を放つ。

 

「メガ・・・」

 

メガビョーゲンは両手で光線を受け止めると吸収し始める。すると、メガビョーゲンの首回りについているひまわりのような花弁が時計回りに赤く黒く光り始めた。

 

「ふっ!! はぁっ!!」

 

「メッガ・・・!?」

 

黒い光線を放つかすみに乗じて、アースが飛び出して両手をメガビョーゲンの両手へと触れさせ、そこから衝撃波を放つ。メガビョーゲンは耐えるも、アースの方が強かったのか相殺しきれずに後方へと押される。

 

「・・・相変わらずやるわね。あの時もしてやられたけど」

 

クルシーナは戦いの様子を見ながらも、アースとかすみが登場していた時のことを思い出す。

 

『ん? うおっ!? どわはぁ!?』

 

『メガ!?』

 

『っ!?』

 

あの時もどこからか風が吹き荒れ、バテテモーダを吹き飛ばした。

 

『へぇ・・・こんなところでまた会えるなんてねぇ』

 

『ラテ様。あなたの望み、私が叶えましょう』

 

『地球を蝕む邪悪なものよ。最後の時です。清められなさい』

 

キュアアースは自身にとっては懐かしい存在で、忌々しい存在だった。アースは子犬のヒーリングアニマルを救出すると、瞬く間にメガビョーゲンを圧倒し、浄化したのであった。

 

そして、かすみは・・・・・・。

 

『おい』

 

『!?』

 

『さっきアタシの邪魔をしたの、お前か? そもそもお前は誰だ? 見たところプリキュアでも無さそうだし、何よりもアタシたちと同族の気配がするんだよ、お前からは』

 

『ふっ!!』

 

ビィィィィィィィィ!!!!

 

『へぇ・・・アタシとやろうってわけ?』

 

ラテの排除を妨害した黒い光線、それを辿ると邪魔をしたのは見覚えのない一人の少女だった。しかも、それが自分たちと同じ気配をしているから気に入らなかった。

 

かすみはその後、崖から飛び降りて逃亡したが、再び姿を現したのはヘバリーヌが生み出したメガビョーゲンでプリキュアたちを追い詰めている時だった。

 

『キミ、怪我はないか・・・?』

 

『ワン!』

 

『そうか・・・よかった』

 

ラテを始末しようとしたところで、あいつが現れたのだ。

 

『たとえ何度やられても、私は諦めない!! 私はお前の泣き止む声を止めるだけだ!!』

 

そう言い放つかすみを鼻で笑い、始末しようと目論むも、かすみは満身創痍のプリキュアと共闘し、自身の詰めの甘さも合間って、メガビョーゲンを浄化されてしまったのであった。

 

「・・・ふん」

 

クルシーナはあの出来事を思い出して顔を顰めた後、そっぽを向くように鼻を鳴らす。

 

「はぁっ!!!」

 

「メガァ・・・!!」

 

かすみは黒い光線を放ち、メガビョーゲンは両手で防ぎ、同時に首回りにある花弁が時計回りに順番に赤く光っていくのが見えた。

 

「はぁぁぁぁっ!!!」

 

「メ、ガ・・・!?」

 

アースは顔面にドロップキックを食らわせ、メガビョーゲンを地面へと押し倒した。

 

「よし!! 今のうちにあれを・・・!!」

 

「あれとは・・・?」

 

「あれはあれだよ・・・! 中にいるエレメントさんを探すあれだ・・・!」

 

「!!!!」

 

かすみは、いわゆるキュアスキャンをやることを頼んだのだが、ここでアースが重大なことに気づく。

 

「かすみさん、ごめんなさい・・・」

 

「え?」

 

「私、エレメントさんを見つける能力は、できないんです・・・!!」

 

「・・・・・・え?」

 

かすみはアースのその発言を聞いて目を丸くする。

 

・・・そういえば、アースはステッキを持っていない。持っていないということは、エレメントさんを見つけることができない・・・すなわち、これでは浄化が・・・・・・!!

 

「!? そ、そうだった・・・!!!!」

 

かすみは忘れていた事実に気づき、頭を抱える。アースは確かにプリキュアだが、そもそもグレースやフォンテーヌのようなステッキを持っていない。要するにキュアスキャンができないということだ。エレメントさんの居場所がわからず、浄化をすることができないということになる。

 

かすみはのどかやちゆに対する不満のせいで、そのことをすっかり忘れていたのだ。

 

「何? 何か問題でも発生したの? だから言ったじゃない。本当に大丈夫なのって」

 

その様子を見ていたクルシーナが様子がおかしいことに気づいて、声をかける。しかし、それは気遣いではなく、単なる嘲笑のための煽りだった。

 

「まあ、今更気づいても遅いけどね。やっちまいな、メガビョーゲン」

 

「メガァ・・・!!!」

 

ズォォォォォォォォォォ!!!

 

首の周りの全ての花びらを赤く光らせていたメガビョーゲンは、その瞳に禍々しいオーラを溜め込み始める。

 

瞳が禍々しい赤に染まっていくと・・・・・・。

 

「メェ、ガッァァ!!!」

 

「「!!??」」

 

ビィィィィィィィィィィィ!!!!

 

ドカァァァァァァァァァァァァン!!!!!!

 

その瞳から強力なビームが放たれ、凄まじい大爆発を起こしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、メガビョーゲンの出現に気づいていないのどかは・・・・・・。

 

「じゃあ、打上くん、よろしくね〜♪」

 

すこやか中学校で父親が花火職人である学校の生徒・打上に特製花火の発注を引き受けていたのであった。

 

「おーい、のどかっち!!」

 

「ひなたちゃん?」

 

そこへひなたがそちらに駆け寄ってきた。

 

「アスミンとかすみっち、見なかった・・・?」

 

「? 見てないけど・・・」

 

「かすみっちがなんか落ち込んでる様子で、どっかに行っちゃったんだよ〜。それが気になって・・・」

 

「二人ともー!!」

 

ひなたはどうやら二人を探していたようだが、そこへ買い物を終えたちゆもやってくる。

 

「ちゆちゃん!」

 

「ちゆちー!!」

 

「二人はこっちに来てないわよね・・・? バレて欲しくないから思わず、かすみから逃げちゃって、私、傷つけちゃったんじゃないかって・・・!!」

 

ちゆもアスミとかすみを心配して、こっちに走って来た模様。

 

そんな時だった・・・。

 

ゴォォォ・・・・・・!!

 

「っ!?」

 

「え、な、何・・・!?」

 

「地震・・・!?」

 

遠くから何やら音が響いたと思いきや、地面が揺れた。もしかして、地震が起こったのか・・・?

 

やがて揺れが収まると3人は一安心するも、これは明らかに普通の揺れではなかった。まるで、どこかで爆発が起こったような・・・そんな感じの揺れだった。

 

「みんなぁ〜!!」

 

「な、何が起こったペエ・・・!?」

 

「なんかすげぇ音が聞こえたよな!?」

 

そこへ先ほどの不穏な音を聞いた、ラビリンたちがのどかたちの方へと飛んで来た。

 

街のみんなが戸惑っている中、のどかたちは音がしていた方向を向いていた。

 

「・・・ちゆちゃん、ひなたちゃん・・・あっちに行ってみよう!」

 

「うん!!」

 

「ええ!!」

 

のどかは何かが起こっていると察したのか、ちゆやひなたに声をかけ、二人はそれに頷くとみんなは音があった場所へと向かっていくのであった。

 

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