ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。今回で原作第27話は終わりです。
そして、運命の時が・・・・・・。


第83話「素直」

 

「??」

 

かすみは気がつくと、真っ暗な空間の中にいた。

 

「ここは、どこだ・・・??」

 

かすみは疑問に思いながら、周囲を見渡すも辺り一面が真っ暗闇で何も見えてこない。

 

「私は確か・・・メガビョーゲンと戦っていたはず・・・もう、夜になっちゃったのか・・・?」

 

かすみはここにいる理由が本当にわからない。自分はさっきまでイタイノンというビョーゲンズが生み出したメガビョーゲンと戦っていた。もしかして、プリキュアたちが浄化してくれたのか・・・?

 

かすみは考えていると、そこにマゼンダ色の髪の少女がこちらを見ているのが視認できた。

 

「! のどか・・・!!」

 

キュアグレースに変身する自分にとって愛しい友達の、花寺のどかだ。さらに周囲に次々と人の姿が現れる。

 

「ちゆ! ひなた! アスミ! みんな・・・いたのか!?」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

かすみはいきなり姿を現した友達にそう呼びかけるも、のどかたち4人は何も答えない。

 

「みんな・・・??」

 

かすみはみんなが黙ったままでいることに、疑問を抱く。すると、のどかたちは微笑むとそのままかすみに踵を返して歩いて行こうとする。

 

「あ・・・待ってくれ・・・! 私も一緒に・・・!!」

 

かすみはのどかたちの元へと駆け出そうとする。しかし、なぜか歩いているのどかたちに追いつくことができない。それどころか、彼女たちからどんどん離されている。

 

「!? なんで・・・なんでだ・・・!?」

 

なぜ追いつけない・・・? なぜ走っても離れていく・・・?? そんな疑念が彼女の頭の中に生まれ、かすみの中に焦りが生まれる。

 

「待ってくれ!! のどかぁ!! ちゆぅ!! ひなたぁ!! アスミぃ!!」

 

取り残される恐怖から、かすみは名前を叫びながら駆け出すも、のどかたちは全く止まってくれず、むしろどんどん引き離されていく。

 

「なんで止まってくれないんだ!? 待ってぇ!! 待ってよぉ・・・!!!」

 

かすみの涙声が遠方に響く。しかし、のどかたちの姿がどんどん見えなくなっていく。

 

「あっ・・・!」

 

かすみは自分の足に躓いて転び、見えない地面に倒れてしまう。

 

「うぅぅぅ・・・・・・」

 

足の痛みに呻き、のどかたちが自分を置いていった悲しみに体を震わせる。

 

「うぅぅぅ、うぁぁぁぁぁ・・・!!! どう、して・・・どうしてだよ・・・!! 私たち、は・・・友達じゃ、なかった、のか・・・!!」

 

かすみは涙をポロポロとこぼしながら咽び泣く。友達だと思ってたのに・・・友達なはずなのに・・・のどかたちは、私を置いていくはずがないのに・・・!!!!

 

かすみが悲しんでいる、そんな時だった・・・・・・。

 

トントン

 

「っ!?」

 

誰かに肩を叩かれて、その人物を見ようと振り向くと、クルシーナ、ドクルン、イタイノン、ヘバリーヌ、フーミンの姿、つまりはビョーゲンズの面々だった。

 

「お、お前たちは・・・!?」

 

かすみが呆然として見ている中、クルシーナは悪意のない微笑を浮かべながらこちらを見ている。

 

「あ、あぁ・・・!?」

 

かすみは立ち上がって、クルシーナたちから後ずさりをしようとするが、何かが背中に当たった。

 

びっくりして振り返ると、そこに立っていたのは、銀髪で赤い目の自分の姿だった。

 

「あ、あぁ・・・・・・」

 

かすみは怯えたような表情をしながら、彼女からも後ずさろうとする。しかし、銀髪の自分は不敵な笑みを浮かべながら、ゆっくりとこちらへと歩み寄っていく。

 

「や、やめろ・・・来るなぁ・・・!」

 

何なのかを察しているかすみは声を震わせながら拒絶の言葉を叫び、銀髪の自分から遠ざかろうとする。

 

しかし、その両肩を誰かに触れられる。それは先ほど見たクルシーナだった。

 

「嫌だ・・・嫌だぁ・・・やめてくれ・・・!!!」

 

かすみは首を振りながら言うも、クルシーナは微笑んだまま何も動きを見せない。そこへ無情にも銀髪の自分が迫ってくる。

 

両肩に手を置いているクルシーナを振りほどこうと暴れるかすみだが、ガッチリと掴まれていて話すことができない。

 

「私は、あの力はもう使いたくない・・・使いたくないんだ・・・!!!! やめろ・・・やめてくれ・・・来るなぁ・・・!!!!」

 

かすみがいくら拒絶の言葉を叫んでも、銀髪の自分は足を止めてくれない。

 

そして・・・・・・もう一人の自分は、かすみの頬に手を触れさせる。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉ・・・!!!!!!」

 

真っ暗闇の中にかすみの絶叫だけが響いていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌だ・・・嫌だぁっ・・・私は、あの力を使いたくない・・・!!」

 

「かすみさん!! かすみさん!!!!」

 

悪夢にうなされているであろうかすみをアースが必死に呼びかけるも、彼女は起きる気配がなく、赤いオーラに包まれて苦しんでいる表情を見せている。髪も金髪から銀髪に点滅し始めている。

 

「うぅぅぅ・・・ぅぅぅぅ・・・来るな・・・来るなぁ・・・!!!!」

 

「かすみさん!! 起きてください!!!! かすみさんっ!!!!!!」

 

ガタガタと体を震わせるかすみに、アースは体を揺さぶって声をかける。

 

「うぁぁぁ・・・あっ!?」

 

かすみは苦しみの声をあげてギュッと目をつむったあと、突然目を見開いた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・!!!!」

 

「かすみさん、大丈夫ですか!?」

 

「はぁ、ア、はぁ、アー、ス、はぁ、はぁ・・・っ!?」

 

かすみは激しく肩で息をしながら必死で言葉を紡ぐが、再び自分の中に何かが湧き上がってくるのを感じる。

 

「あぁ・・・うぁぁぁ!!!」

 

「あぁっ!?」

 

かすみは怯えたような表情をすると、なぜかアースを突き飛ばした。そして、かすみは四つん這いになりながらその場から離れようとする。

 

「うぅぅ・・・ぐぅぅぅ・・・!!」

 

かすみは胸を抑えながら、体をよじらせてその場から逃げようとしていた。

 

「かすみさん、待ってください!!!」

 

「来るなぁ!!!!」

 

駆け寄ろうとしていたアースだが、かすみが叫び声を上げ、動きを止めてしまう。

 

「嫌だ・・・嫌なんだ・・・また、あの姿を見せて・・・みんなに、嫌われるのが・・・嫌なんだぁ・・・嫌だぁ・・・嫌だよぉ・・・!!!」

 

かすみは胸に手を当てながら、ドックランで暴走したあの力を使うことを拒絶する。しかし、苦しみの声を漏らしていて、それに耐えきれずに声が涙声になってきていた。

 

「かすみさん・・・・・・」

 

アースはその様子をなんとも言えない表情で見ているしかなかった。

 

一方、メガビョーゲンと戦うグレースたちは・・・・・・。

 

「うっ・・・ふっ・・・うん・・・!!」

 

スパークルはイタイノンと戦っていたが、彼女の繰り出す拳や蹴りの応酬で防戦一方だ。

 

「ふんっ・・・!」

 

「ぐっ・・・!」

 

イタイノンが振り上げて落としてきた踵を交差してガードするも、表情は苦しそうだ。

 

「どうしたの? スパークル。動きがいつもより鈍いの」

 

「うっ・・・うる、さいっ・・・!」

 

イタイノンの挑発に、スパークルは叫びながら交差した両腕を開いて踵を弾き飛ばす。

 

「キヒ♪」

 

イタイノンはその瞬間にその場から姿を消す。

 

「あれ? どこいったの!?」

 

スパークルは姿を消したイタイノンを探そうとキョロキョロとする。背後にいるかもしれないと思い、踵を返して振り向く。

 

その瞬間・・・・・・!

 

キュイーン!

 

「っ!?」

 

「ふっ!!」

 

「あぁぁ!!??」

 

イタイノンが横から飛び出した状態のまま姿を現し、スパークルは気づいてそちらを振り向くも、イタイノンは彼女の腹部に掌底を食らわせて吹き飛ばす。

 

「ぐっ・・・うっ・・・!?」

 

スパークルは倒れないように踏ん張るも、腹部の痛みに顔を顰める。

 

「やったの・・・!!」

 

なぜか嬉しそうにするイタイノンがそう言いながら飛び出して、電気を纏わせた片手を繰り出す。

 

「っ・・・!」

 

スパークルは痛みでぎこちない動きながらも、イタイノンの叩きつけた片手をなんとか交わす。

 

「メガガガガガガ!!!」

 

一方、グレースとフォンテーヌはメガビョーゲンが吐き出す、熱を帯びて強力になった大粒の石炭攻撃を交わし続けており、近づくことができない。

 

「雨のエレメント!!」

 

そんな中、フォンテーヌは雨のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

水を纏った青い光線をメガビョーゲンに向かって放つ。

 

シュウゥゥゥ〜〜!!!

 

「メェ〜〜ガァ〜〜!!!」

 

しかし、メガビョーゲンから湯気が大きく上がるだけでビクともしておらず、メガビョーゲンは逆に頭部の宝石部分から熱を帯びた光線を放つ。

 

「っ!? きゃあぁぁぁ!!!」

 

フォンテーヌは熱を帯びた光線を受けて吹き飛ばされる。

 

「葉っぱのエレメント!!」

 

グレースは葉っぱのエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

エレメントの力を注いだピンク色の光線をメガビョーゲンに向かって放つ。

 

「メッガァ!!」

 

「っ、そんなぁ!? あぁぁぁ!!!!」

 

メガビョーゲンは赤く燃えた炭の棒で光線を防ぐと同時に、グレースに向かって叩きつけて吹き飛ばす。

 

「はぁ・・・はぁ・・・私たちの技が、はぁ、通用してないわ・・・はぁ・・・」

 

「ことごとく体で防がれちゃうペエ・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・やっぱり、はぁ・・・アースがいないと・・・はぁ・・・」

 

「あ、諦めるのは早いラビ!! アースが戻るまでになんとか食い止めるラビ!!」

 

グレースとフォンテーヌは体力を消耗しており、かなり成長したメガビョーゲンに苦戦を強いられて弱音を吐き始めていたが、ラビリンが檄を飛ばして奮い立たせようとする。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

二人はその言葉になんとか立ち上がるが・・・・・・。

 

「メェ〜ガァ!!!」

 

メガビョーゲンは赤く燃えた炭の棒を振るう。

 

「ぷにシールド!!」

 

「うっ・・・きゃあぁ!!!」

 

グレースは肉球型のシールドで防ぐも、あっけなく突破されて攻撃を受けてしまう。

 

「はぁっ!!」

 

「メガ!!!」

 

「あぁぁっ!?」

 

飛び上がってかわしていたフォンテーヌはステッキから光線を放つも、メガビョーゲンが口から放った大粒の石炭に打ち消され、そのまま直撃を受けて吹き飛ばされてしまう。

 

「あぁ・・・」

 

「うっ・・・」

 

二人はボロボロになりながらもめげずに立ち上がろうとするが・・・・・・。

 

「メェガァ!!!!」

 

「「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

メガビョーゲンの頭部から熱を帯びた光線を二人まとめて受けてしまう。

 

「ぐっ・・・うぅぅ・・・!!」

 

「・・・ふん」

 

「うぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

イタイノンの拳を受け止めるスパークル。しかし、表情は苦痛に歪んでおり、その隙をついてイタイノンがもう片方の手から雷撃を放って吹き飛ばした。

 

「「「あっ・・・!?」」」

 

メガビョーゲンに吹き飛ばされるグレースとフォンテーヌ、イタイノンに吹き飛ばされるスパークル。ほぼ同時に吹き飛ばされた3人は背中合わせで激突してしまう。

 

「やっぱり三人だと大したことないの・・・キヒヒヒ♪」

 

イタイノンが不敵な笑みを浮かべながら三人を見下す。

 

「うぅぅ・・・このままやられちゃうの・・・?」

 

「諦めるわけにはいかない、のに・・・!」

 

「これって、めっちゃピンチ・・・?」

 

三人は痛みに呻きながら、絶望的な状況に弱音を吐き始めていた。メガビョーゲンに至ってはエレメント技やぷにシールドが通用しないまでに強化されてしまっており、おまけにイタイノンが攻撃を仕掛けて来るために三人でお手当てをすることもできない。どうやっても八方塞がりだった。

 

やっぱり・・・アースがいないと、ダメなのか・・・?

 

そんな、アースは・・・・・・。

 

「うぅぅ・・・うぁぁ・・・使いたくない・・・使いたくないぃ・・・!!!!」

 

「かすみさん・・・」

 

胸を抑え、赤いオーラを放出し続けて苦しむかすみを見つめていた。

 

かすみが言う使いたくないというのは、おそらくドックランで暴走したあの力なのかもしれない。以前、怖がられてしまったポチットのことを余程気にしているのであろう。そのせいでかすみは湧き上がる感情を抑え付けて、苦しんでいるのかもしれない。

 

アースもかすみのその姿を見て、モヤモヤとした感情を抱いていた。気球大会を妨害されたのもそうだが、かすみをこんな苦しみを与えたビョーゲンズに対しても、怒りに近い何かが湧き上がっていた。

 

アースは意を決すると、かすみへと近づいていく。

 

「かすみさん・・・」

 

「っ・・・く、来るなぁ・・・」

 

かすみはそれを見て拒絶の意思を示すも、その手は弱々しくアースを払い除けるには至らない。

 

「私、怖いんだ・・・あの力を使うことが・・・! また嫌われるかもしれない・・・怖がられるかもしれない・・・あんな思いはゴメンなんだ・・・!! だから・・・使うのは、嫌だぁ・・・!」

 

かすみは暴走したあの力を使いたくないと心情を吐露する。

 

「・・・わかっています。かすみさんがあの力を使いたくないことも、それによって恐れられてしまう恐怖も」

 

「だったらーーーー!!」

 

「でも、かすみさんはそれで戦うことから逃げるのですか?」

 

アースの発したこの一言に、かすみはゆっくりと彼女の顔を見る。

 

「私は、気球大会で応援したチームを邪魔された時、自分の中のものすごい不愉快な何かを感じました。でも、私はそれに逃げることなく、自分よりもそのチームの気持ちだと思ってお手当てをしたんです。かすみさんはそれから逃げようとしています。周りが傷ついているかもしれないのに、かすみさんはそんなことで戦うことを止めるのですか?」

 

「でも・・・そのせいでみんな怖がった・・・私を人でないものだと思い込んで見たっ・・・! 私は、もうあんな思いを味わいたくない・・・!! この力を使ったら、絶対みんなが怖がるに決まってる・・・!!!」

 

かすみはポチットやみんなを守るために使った力を解放して、その結果みんなに怖がられたことを恐れていた。あの力を使えば、またみんなに怖がられるに決まっている。そう思い込んで、勇気を出せなかったのだ。

 

アースはかすみのその言葉に動じることなく、しっかりと彼女の顔を見据えていた。

 

「私は、かすみさんを怖がったりなんかしません・・・!!!!」

 

「っ!!!」

 

アースがそう叫ぶとかすみの泣いている声が止まる。

 

「私はかすみさんがあの力を使っても、かすみさんを怖がったりしませんし、軽蔑したりしません!! それはグレースやフォンテーヌたち、ラテだって一緒のはずです!!! それはかすみさんだってわかってるはずです!! かすみさんを軽蔑するような人がいたら、私やみんながかすみさんはああなっても人を守る人だと言います!! 人や自然を傷つけることがない優しい性格の持ち主だと言います!! だから・・・! もう我慢しないでください・・・!!!!」

 

「っ!!!!」

 

かすみはアースのその言葉に目を見開く。

 

「自分の気持ちに・・・素直になってください・・・!!!!」

 

ドクン!!!!

 

アースのその一言に、かすみは躊躇するような気持ちがなくなったような気がした。それどころか心にキュンと来た気がした。

 

体は赤いオーラを放出し続けていたが、かすみは震わせていた体を止め、しばらく沈黙していた。そして、肩に手を置いたアースの手をゆっくりと離して立ち上がると、アースに背を向けて歩く。

 

「・・・ありがとう、アース」

 

「かすみさん・・・!」

 

かすみは静かにお礼を言うと、赤いオーラの放出を強くする。

 

「私、アースやみんなを信じるよ・・・」

 

かすみは振り向きざまにそう言う。その表情は何か憑きものが取れたかのように微笑んでいた。

 

そして、オーラに包まれていくと金色の髪は銀色に変化した赤く禍々しいオーラが漂うものになり、赤く染まった頭の二つのリボン。赤い手袋が黒く変化し、両手に持っている黒いステッキは色こそ変わらないものの、禍々しい赤色のオーラに包まれている。

 

オーラが晴れていくと、ドックランでなっていたあの姿へと変身を遂げた。

 

「行こう、アース!」

 

「・・・はい!!」

 

手を差し伸べるかすみに、アースはゆっくりとその手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろトドメを刺してやるの♪」

 

「メェ〜ガァ〜〜!!!」

 

イタイノンのその言葉を合図に、メガビョーゲンは頭部の飾りから赤く禍々しい熱エネルギーを溜め始める。

 

「くっ・・・!」

 

グレースたちは来るであろう攻撃に目をギュッと瞑る。

 

そして、メガビョーゲンが光線を発射しようとした、その時だった・・・・・・。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

ドゴォン!!!!

 

「メッガァ・・・!?」

 

そこへアースとかすみが飛んできて、二人で同時に強烈なキックを食らわせる。グレースたちの蹴りを受けてもビクともしなかったメガビョーゲンは、あまりの一撃に地面へと押し倒される。

 

「何っ、なの・・・!?」

 

イタイノンはあれほど攻撃が効かなかったメガビョーゲンが体をよろつかせたことに動揺する。

 

「アース!! かすみちゃん!!」

 

「っ!? かすみ、その姿は!?」

 

「また暴走しちゃってるの!?」

 

グレースたちは二人が戻ってきたことに喜ぶも、かすみの銀髪の姿を見て驚いていた。また、力を解放させて暴走させてしまったのかと・・・・・・??

 

「いいえ、かすみさんはその力に勝ったのです」

 

「アースのおかげだ。アースがいてくれなかったら、私は一人でこの姿にはなれなかった」

 

アースはそれをきっぱりと言うと、かすみは微笑みながらそう言った。

 

「お前、自分の力を受け入れたの・・・?」

 

「ああ、そうだ。私はこの力で、これからもこの地球を守るんだ!!」

 

イタイノンがそう問うと、かすみは強い口調でそう言い放った。

 

「・・・ふん、口だけだったらなんとでも言えるの」

 

イタイノンは不機嫌そうにそう言うと、体に電気を帯電させて片手から雷撃を放った。

 

「っ!!」

 

かすみはステッキから赤いシールドを展開し、イタイノンの雷撃を防ぐ。

 

「はぁっ!!!!」

 

かすみはすぐにシールドをしまうと、ステッキを振るって赤黒い光線を放つ。

 

「っ・・・!!」

 

イタイノンはそれを最小限の動きでかわすと、足を前に踏み出してかすみへと突っ込む。

 

「!! はぁぁぁぁっ!!!!」

 

対してかすみも飛び出して、イタイノンへと突っ込んでいく。そして、互いと互いの拳がぶつかり合う。

 

「かすみさん・・・っ!!」

 

「メェ〜ガァ〜!!!」

 

アースはかすみの様子を伺うも、そこへ熱を帯びた光線をメガビョーゲンが放ってきた。

 

「アースとグレースたちは、メガビョーゲンを・・・!!!!」

 

「・・・わかりました!」

 

かすみがイタイノンと交戦しているうちに、アースはメガビョーゲンへと飛び出す。

 

「メガガガガガガ!!!!」

 

「・・・ふっ!!」

 

そんなアースに、メガビョーゲンは大粒の石炭を放つ。しかし、アースは空中で翻すようにして交わしていき、風の力を体中から解放し、スピードを落とさずにメガビョーゲンへと突っ込んでいく。

 

「メッガァ!!」

 

「っ!!」

 

メガビョーゲンは迫ってくるアースに燃えたような炭の棒を振るうも、アースはそれを両手で受け止める。

 

「っ・・・はぁっ!!」

 

「メガァ〜!?」

 

手から湯気が出るほどの高熱に顔を顰めるも、アースは受け止めた棒に掌底を放つ。すると、メガビョーゲンが体をよろけさせた。

 

「ふっ!! はぁぁぁぁっ!!」

 

「メガァ〜!!??」

 

アースはその隙に棒の上に飛び移ると、飛び出して顔面に強烈な蹴りを食らわせた。メガビョーゲンはそのまま足に押されるように地面へと倒れた。

 

「すごい・・・!!」

 

「やっぱりアースは強いペエ!!」

 

「よ〜し! あたしたちも!!」

 

メガビョーゲンの強力な攻撃をものともしないアースに、フォンテーヌとペギタンが驚く中、スパークルは自分たちも負けていられないと二人に発破をかけ、自身はエレメントボトルを取り出す。

 

「雷のエレメントボトル!!」

 

スパークルは雷のエレメントボトルをステッキにセットする。

 

「はぁっ!!!!」

 

「メェ〜・・・メガァッ!!??」

 

立ち上がろうとしていたメガビョーゲンに電気を纏った光線が胴体に直撃し、メガビョーゲンが痺れ出す。

 

「やったよ!!」

 

「ああ、そっか・・・胴体は金属だものね・・・」

 

「金属は電気を通すニャ!!」

 

「今のうちだよ!!」

 

フォンテーヌがそう分析する中、グレースの合図でフォンテーヌと二人で飛び出す。

 

「「はぁぁぁぁっ!!」」

 

「メガ!? メェ〜〜〜!?」

 

痺れて動けないメガビョーゲンに二人同時に蹴りを加えて突き飛ばした。

 

「あぁっ!?」

 

「よし・・・あっちは大丈夫みたいだな・・・!」

 

拳と拳、攻撃と防御の応酬をしていたイタイノンとかすみ。メガビョーゲンがやられていることにイタイノンは動揺し、かすみは笑みを浮かべていた。

 

「っ!!!! あぁっ!!!!」

 

「ふっ、はぁっ!!!!」

 

イタイノンはかすみから距離を取ると口から雷撃砲を放ち、かすみはさらに力を解放してステッキから太く赤黒い光線を放った。

 

ドカァァァァン!!!!

 

「っ!!」

 

雷撃砲と光線がぶつかり合って爆発を起こし、イタイノンは手を思わず覆う。

 

「氷のエレメント!!」

 

フォンテーヌは氷のエレメントボトルをステッキに再びセットする。

 

「はぁっ!!」

 

「メガァ!?」

 

メガビョーゲンの両腕の棒に目掛けて氷を纏った光線を放ち、棒自体を氷漬けにする。

 

「「はぁぁぁっ!!!」」

 

「メガビョ〜!? メ、メガ、ガ・・・!?」

 

そこへグレースとスパークルが同時に胴体に飛び蹴りを放って、メガビョーゲンを突き飛ばす。飛ばした先で車輪に躓いて転びそうになる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「ビョーゲン!?」

 

そこへアースが蹴りを放ったことで、車輪が滑りメガビョーゲンはひっくり返った。

 

「やったー!!」

 

「今のうちに浄化を!!!!」

 

グレースの言葉を合図に、アースは頷くと両手を祈るように合わせる。一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、宝石のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

エレメントさんが石炭の中に戻ると、メガビョーゲンによって蝕まれた場所は元の色を取り戻していく。

 

「・・・・・・今日はもう帰るの」

 

イタイノンはそれだけ呟くと、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、気球に宿っていた空気のエレメントさんにエレメントボトルを分けてもらい、ラテをその力で元気にした後、続いてバーベキューコンロの下にある石炭に宿っている宝石のエレメントさんを診察していた。

 

「エレメントさん、大丈夫ですか?」

 

『はい!大丈夫です!! みなさんのおかげです!!』

 

アースが聴診器を石炭に向けながら話していると、エレメントさんは無事であることを伝える。

 

「「「「「ふふっ♪」」」」」

 

かすみを含めたのどかたち5人はそれを聞くと、お互いに微笑んだ。

 

「エレメントボトルがだいぶ集まったね♪」

 

「ふわぁ♪ あと少しで棚が一杯だね♪」

 

空気のエレメントボトルが加わり、ルームバッグ内にあるエレメントボトルの棚がほとんど埋まっていた。

 

「ここ全部埋まったら、なぁんか良いことあったりして♪」

 

のどかたちは全部集まったら何が起こるのか、そういう期待を膨らませながら話す。

 

日が暮れる頃・・・のどかやたけしたちはカズたちのチームと一緒にいた。ビョーゲンズの襲撃により大会は中止になってしまい、残念ながらカズたちは優勝することはできなかった。

 

「次こそはきっと優勝できるさ!!」

 

「はい!!頑張ります!!」

 

カズたちのチームは誰も落ち込んでいるものはおらず、やる気に満ち溢れていた。

 

「もう・・・笑わないのですか?」

 

アスミの問いに、カズは頷く。

 

「自分の気持ちに逃げないことにしたんだ。悔しい気持ちをごまかしてたら、いつまでも勝てないから!」

 

「次は絶対勝つぞ!!」

 

「ええ!!」

 

カズは自分の気持ちをごまかすことなく受け入れることにしたようで、チームメイトの浮間や吹田もやる気にあふれていた。

 

「その意気です!」

 

「きっと勝てるよ! その気持ちさえあれば!」

 

「ワン♪」

 

そんな活気にあふれているチームを見て、アスミやかすみも笑みを浮かべていた。

 

「アスミちゃんやかすみちゃん、ラテの悔しい気持ちがみんなに伝染したんだね♪」

 

「ふふっ」

 

のどかがそう言うと、カズたちも笑みを浮かべた。

 

「はいは〜い!! ワンダフルパンケーキ、ひなたバージョンだよ♪」

 

そこへひなたやめいがパンケーキを配って回り、のどかたちはパンケーキを片手に談笑を始めた。

 

そんな中・・・・・・。

 

「アスミ」

 

「??」

 

かすみはアスミに声をかけた。

 

「さっきは、ありがとう。アスミがあんな風に言ってくれなかったら、私・・・気持ちをごまかしてた・・・アスミのおかげで素直になれたんだ」

 

かすみのお礼の言葉に、アスミは笑みを浮かべる。

 

「そんなことはありません。かすみさんが自分で心の枷を外したおかげです。素直な気持ちは自分で出さないと伝わらない・・・そんな風にちゆに教わったことがあります」

 

「でも・・・それも、アスミがいなかったらできなかった・・・」

 

「では、私たち二人のおかげですね♪」

 

「そうだな♪」

 

「「ふふっ♪」」

 

かすみとアスミはパンケーキを片手に笑みを浮かべていた。

 

「ふふっ♪」

 

のどかは二人の様子を一人微笑ましく見ていた。

 

・・・・・・そんな時だった。

 

カァ〜・・・カァ〜!!

 

「?? 今、何か・・・?」

 

「聞こえたラビ」

 

響くような不穏なカラスの鳴き声が聞こえてきたことに、のどかとラビリンは反応する。聞こえてきたのは近くにある森の中からだった。

 

気になった二人は頷くと、鳴き声が聞こえた森の中へと向かっていく。

 

「?? のどか?」

 

かすみはふと振り向くと、のどかとラビリンが森の方へと向かって行くのが見えた。

 

「どこに行くんだ・・・?」

 

かすみはのどかたちのことが気になり、パンケーキを口の中に掻っ込むと彼女たちの後を追っていく。

 

一方、森の中を入っていったのどかとラビリンは・・・・・・。

 

「あれは・・・!!!」

 

森の中を走っていくと、見覚えのある赤いジャケットの人物が見えていた。

 

のどかとラビリンはお互い頷きあうと、その森の中に二人だけで入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数分前・・・・・・。

 

「何よ・・・結局、甘い香りに誘われてきたのはこいつだけ・・・??」

 

クルシーナは一羽のカラスに不機嫌そうな表情を向けている。

 

数時間前から生命力の高そうな森の動物をメガパーツの素体にしてやろうと、クルシーナ自身が生み出した種から咲かせた花の甘い香りで動物をおびき出して捕まえるという策だったのだが、日が暮れて起きる頃には甘い香りに誘われてきた動物はこれ一体だけだった。

 

あまりの成果に、こんな森なんかを選んだダルイゼンをシバきたくなる。

 

「この森、動物いなさ過ぎっ・・・っていうか、こんな汚い鳥しか来ないってどういうことよ?」

 

クルシーナが不満を垂れていると、そこへ歩いてくる人影が。

 

「クルシーナ、何か見つかったのか?」

 

それは先ほどまで歩いて素体を探していたダルイゼンだった。

 

「なんにもっ。それどころかこいつしか現れなかったし、どうなってんのよ? この森」

 

「俺に言うなよ。でもまあ、こいつも生きてるって感じじゃん?」

 

愚痴を吐くクルシーナに、ダルイゼンは冷たく軽くあしらうと、一羽のカラスを見て口元に笑みを浮かべる。

 

「・・・そう? まあ、別にいいけど・・・」

 

「そんじゃあ、許しも出たところだし、次はこいつで試してみるか」

 

納得はいかないが、もうどうでもいいという感じで言うクルシーナ。ダルイゼンは手に持っているメガパーツを両手で転がしながら歩み寄っていく。

 

「はぁ・・・ん?」

 

ため息をつくクルシーナだが、その直後に森の方を振り向く。

 

「どうしたの?」

 

「誰か、こっちに来るわね」

 

クルシーナは人の気配を感じて振り向いた様子で、その方向へと向き直ってみる。こっちにやってきているのは、人間と小さな動物・・・そして・・・・・・。

 

「・・・ふふっ」

 

もう一つの気配を感じた時、クルシーナは不敵な笑みを浮かべる。

 

まさか・・・こっちからやってくるなんて思わなかった・・・・・・。

 

「ちょっと様子見てくる」

 

クルシーナはダルイゼンにそう言うとズカズカと森の中へと入っていく。

 

その一方、のどかとラビリンを追って森の中へと入っていったかすみは・・・・・・。

 

「のどか・・・どこに行くつもりだ・・・?」

 

かすみはのどかの跡をつけるように歩いていた。一人で森の中に入るのは危険なのになと思いながら、のどかがそんな思いをしないようにともしもの時は助けるつもりでいた。

 

(のどか・・・なんで私たちに言わずに行っちゃうんだ・・・?)

 

それとのどかの行動に疑念を抱いていた。友達だったら、ちゃんと言うはず・・・でも、のどかは何も相談せずに一人、正確にはパートナーと二人で行こうとした。

 

(いや、ネガティブに考えちゃダメだ。のどかはみんなに心配をかけないように行ったんだ)

 

かすみはそんな風にポジティブに考えようとする。そんな時、のどかが何かを見つけたかのように走り出した。

 

「あっ・・・!?」

 

早く追わないと・・・!! そう考えながら自身も走ろうとした・・・・・・その時だった。

 

キュイーン!

 

「おやおや、わざわざこっちから来てくれるなんてねぇ・・・」

 

空気を裂くような音が聞こえたかと思うと、背後から声が聞こえ、振り向くとそこに立っていたのはクルシーナだった。

 

「お前は・・・!?」

 

「・・・ふっ」

 

かすみが睨みつけながら叫ぶも、不敵な笑みを浮かべたクルシーナはかすみへと手を伸ばした・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ダルイゼンはクルシーナが戻ってくるのも気にせず、メガパーツをまさにカラスの中に入れようとするが・・・・・・。

 

「待って!!」

 

叫び声がしたかと思うとダルイゼンはそちらを振り向き、その隙にカラスは飛び去っていく。

 

駆けつけたその相手とは、変身したキュアグレースだった。

 

「何をしようとしていたの!?」

 

グレースはダルイゼンを睨みながら問う。

 

「・・・はぁ、やれやれ、またお前か」

 

実験の邪魔をされたダルイゼンは息をつく。せっかくクルシーナが見つけ出してくれた実験台を、逃げられてしまっては実験すらできない。まして、邪魔してきたのはいつも目障りなプリキュアだ。

 

「あ〜あ、実験台が逃げちゃった・・・せっかくアタシが誘い出したのになぁ」

 

そこへ無機質な声が聞こえてきたかと思うと、林の中からクルシーナが姿を現す。

 

「クルシーナ!!」

 

「あら、お前もいたの? 本当にどこにでも現れるやつね」

 

グレースを見つめるクルシーナは不敵な笑みを浮かべながら、ダルイゼンの隣へと歩いていく。

 

「せっかくの素体を・・・これじゃあ、実験が・・・??」

 

ダルイゼンが不満を漏らそうとしたその直後、クルシーナが肩を叩く。

 

「実験台ならいるじゃない」

 

「??」

 

クルシーナの言葉に疑問符を付けるダルイゼン。クルシーナはダルイゼンに耳打ちをする。その視線はチラチラとグレースの方を向いていた。

 

「・・・そうか」

 

耳打ちで伝えられた言葉に、ダルイゼンは笑みを浮かべる。そして、横目でグレースを見つめる。

 

「なあ、キュアグレース・・・お前を使って育ててみるってのはどう?」

 

「?・・・何を企んでーーーー!!」

 

ダルイゼンの言っていることがわからないグレースは、何かを企んでいると思い、止めようと駆け出そうとした。

 

・・・・・・その時だった。

 

キュイーン!

 

「っ!!??」

 

突然背後から何者かが現れ、グレースが羽交い締めにされる。グレースがその人物を見ようと振り向くと・・・・・・。

 

「かすみちゃん!!??」

 

なんと、自分の身動きを取れなくしているのは、一緒に戦っているはずのかすみだった。

 

なぜかどうかなのかを考える間も無く、そこにダルイゼンがメガパーツを手に迫り・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッ!!!!

 

グレースの腹部にメガパーツを押し当てた。

 

ズズズズッ・・・・・・

 

メガパーツが触れたところから、メガパーツがゆっくりと飲み込まれて行く。

 

「っ!!」

 

グレースの目が見開かれた、その瞬間・・・・・・!!

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

グレースの中から禍々しい赤黒いオーラが溢れ始めた。

 

「グレース!?」

 

「うぅっ・・・・・・」

 

ラビリンが叫ぶも、グレースはステッキを落とし、かすみが羽交い締めにした手を離すと、そのまま地面へと崩れ落ちるように倒れてしまった。

 

「かすみ!! どういうことラビ!?」

 

「・・・・・・・・・」

 

ラビリンは味方であるはずのかすみに向かって叫ぶも、かすみは無表情で黙ったまま何も答えない。

 

「・・・ふっ」

 

「フッ・・・ふふふふふ♪」

 

倒れたグレースの様子を見てダルイゼンは不敵な笑みを浮かべ、クルシーナはその様子を見て笑い声をあげる。

 

「うっ・・・うぅぅ・・・」

 

「グレース!!」

 

「うぅぅぅ・・・・・・」

 

ラビリンはグレースに向かって叫ぶも、グレースは呻いたまま何も答えない。

 

「うっ・・・うぅっ・・・」

 

「グレース!! グレースゥゥゥ!!!!」

 

グレースは表情を苦痛に歪めながら、呼びかけに応じずに苦しんでいる。その間、ラビリンの呼びかける声だけが森の中で響いていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみは赤く染まった瞳で、そんなグレースの姿を無表情で見つめているのであった・・・・・・。

 

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