ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
のどかが病気になるのを心配する一方、ビョーゲンズの方も暗躍、そしてのどかの元にはある人物が・・・。


第85話「後悔」

 

のどかの容体が悪化し、病院に運ばれた日から翌日・・・・・・。

 

のどかはすこやか市にあるすこやか総合病院にある病室のベッドで眠っていた。

 

昨日よりも容体は落ち着いているが、依然として予断を許さない状況だ。顔色はいまだに悪いままで、眠っている表情も苦しそうにしている。

 

「のどか・・・・・・」

 

「お父さんたちがついているからな・・・・・・」

 

のどかの両親である、やすことたけしは昨日から付きっきりでのどかに寄り添い、彼女の手を取っていた。

 

そんな時・・・・・・。

 

コンコンコンッ。

 

扉をノックした音が聞こえてきたかと思うとゆっくりと扉が開き、のどかの担当医師が顔を見せた。

 

「花寺さん」

 

「あっ・・・先生!」

 

「よろしいですか?」

 

「・・・お願いします」

 

やすこと頷きあったたけしはそう答え、担当医師に連れられて病室を後にし、診察室へと向かう。

 

その途中・・・・・・。

 

「あっ・・・・・・」

 

「かすみちゃん・・・」

 

病院の通路内でかすみと出会った。かすみはやすこと目が合った途端に、辛そうな表情で目を反らす。

 

「すまない・・・心配で来てしまった・・・のどかには合わせる顔もないのに・・・」

 

「いいえ、来てくれて嬉しいわ・・・まだ目は覚めてないけどね・・・」

 

「合わせる顔がないなんて、そんなことはないさ・・・のどかは気にしてないよ・・・」

 

「っ・・・」

 

かすみはのどかの両親に悔しそうに言うと、二人はかすみに慰めの言葉をかけた。しかし、かすみの表情は暗いまま晴れなかった。

 

「思い出すわね。前ものどかを心配して、病室に来てくれた女の子を・・・」

 

「女の子・・・?」

 

「いたのよ。のどかが入院生活で友達ができたよって喜んでて、その子とお互い寄り添いながら、一緒にいてくれたわ」

 

「のどかの容体が急変した時も、一緒に手を握ってくれたな・・・」

 

やすことたけしはのどかの入院生活で、彼女と一緒にいた少女のことを思い出しながら語った。かすみはその少女のことはわからなかったが、きっとのどかにとっては大切な存在だったのだろう。

 

「私たちは先生と話してくるから、のどかの傍にいてあげて? 喜ぶはずよ」

 

「・・・わかった、ありがとう」

 

やすこの言葉にかすみは暗い声を崩さないまま言うと、のどかのいる病室に向かっていき、やすこたちは診察室へと向かっていく。

 

そして、診察室で担当医師からのどかの容態を聞く。

 

「体温、脈拍・・・共に低いですが、決定的な異常は・・・見つかりませんでした・・・」

 

「それって、つまり・・・」

 

「・・・以前と同じ、原因不明です」

 

「っ・・・!?」

 

「くっ・・・!!」

 

先生の診断結果を聞き、やすこは驚きのあまり手で口を覆い、たけしはギュッと拳を握った。やはり、以前かかった病気の再発だというのか・・・?

 

「引き続き原因の特定に努めます。どうか、諦めないでください・・・!!」

 

「諦めません!! だって前も治ったんだもの!! 今度だって・・・今度だって・・・!!」

 

「・・・神様、どうかのどかを助けてください・・・!!」

 

やすこはそう言いながら祈るように手を握る。そんなやすこを、たけしは肩に手を置きながら、空をあおいでそう祈った。

 

その頃、のどかの病室へと向かったかすみは・・・・・・。

 

「っ・・・・・・」

 

のどかの病室の扉の前で顔を俯かせるも、意を決して顔をあげた後、病室の扉をノックして開ける。

 

「のどか・・・?」

 

かすみは扉を開けて、愛しの人物の名前を呼ぶ。のどかは左奥のベッドで横たわっており、かすみの呼ぶ声には答えない。

 

「のどかぁ・・・」

 

そんな彼女の横には、ラビリンが瞳を潤ませながら心配そうに見守っていた。

 

「ラビリン?」

 

「っ、かすみ・・・」

 

かすみが声をかけると、ラビリンはその声に反応してこちらに振り向いた。

 

「・・・・・・・・・」

 

その様子を開いている窓の外から見ているものがいた。

 

「・・・育つのにはまだ時間がかかるのかしらね?」

 

クルシーナは病院の向かいにある木の上から、のどかの様子を伺っていた。メガパーツは着実にのどかの体を蝕んで育っていたが、まだ出てくるのには早いようだった。

 

「まあ、いいわ。ダルイゼンに・・・っ?」

 

ダルイゼンに報告しようと背を向けるクルシーナだが、顔を顰めると呟いていた言葉を途中で打ち切って振り向く。

 

「なんか気になるわね。キュアグレースの中以外にも、アタシたちと同じ気配がするなんて。しかも、この病院の中から、二つ・・・?」

 

気になったクルシーナは再度踵を返すと、気配がする場所を見つめる。それはなんと、のどかの病室とは反対方向のもう一方の部屋、そしてもう一つはよくわからない場所からだった。

 

クルシーナは黙って見つめていると木の上から飛び降り、病院へと近づいていくとそこから高くジャンプして窓へと宙に浮いて飛ぶ。

 

窓と同じ高さまで着くとゆっくりと窓を開け、その一つを見つけようと病院の中を覗く。

 

「っ!!」

 

気配がしたある物を見て目を見開く。

 

ピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・。

 

鳴る機械音・・・そこにいたのは、人工呼吸器のようなものを口元に付けていて、ベッドに横たわる少女の姿。ベッドサイドのモニターには心拍数が映し出されているようだった。

 

そんなことよりも、クルシーナが気になるのは別のことだった。その少女は、フーミンが誕生した時と同じ、体中が赤い靄に包まれていたのだ。

 

「・・・へぇ、誰がやったかは知らないけど、ここにもアタシたちの新しい仲間が育ってたんだぁ・・・?」

 

クルシーナは不敵な笑みを浮かべながら呟き、病室の中へと入っていく。誰がメガパーツを埋め込んだのはわからないが、ドクルンかイタイノンのどっちかだろう。まさか、赤い靄がこんなところで患者を宿主に取り憑いているとは思わなかった。

 

見つめていたクルシーナだが、何かに気づいたのか顔を顰める。

 

「これって、あいつの・・・・・・」

 

この少女の中にある淀む赤い靄、ドクルンでもイタイノンでもなく、ましては今活動しているビョーゲンズの誰のもの気配、一部も一致しない。しかも、地下室で眠っているあいつの気配がする。

 

どうやらメガパーツを埋め込まれたものではないと、そう推察する。その上で気になることもあった。

 

「もしかして、本当は起きてんのか・・・??」

 

狸寝入りをしているのか、本当は目を覚ましているのか・・・クルシーナは地下室のあいつを不愉快そうに感じながらも思い返す。

 

「まあ・・・でも、これはこれで好都合ね」

 

あとでもう一度そいつの様子は見に行くとして、人間の誰かに取り憑いているのであれば、あいつを復活させるための仲間を増やせるかもしれない。急成長させてすぐに起こしてあげよう・・・。

 

そう考えたクルシーナは、懐からメガパーツを取り出すとその少女へと近づいていく。

 

「さてと、どんなテラビョーゲンになるのかしらぁ・・・?」

 

不敵な笑いを浮かべながら、クルシーナはその少女にメガパーツを押し当てる。メガパーツは少女に触れると、その体の中に飲み込まれていく。

 

「!!??・・・!???」

 

少女は目を見開きながら体を大きく仰け反らせる。そのような状態が数秒続いたあと、果てたと言わんばかりに腰が落ち、少女はぐったりするように横たわった。

 

「まだ時間がかかるのかしら? まあ、いいわ。誕生を楽しみにしておきましょうかね」

 

クルシーナはそう呟くと、もう一つの気配がある方にも振り向く。様子を見に行こうと病室の扉を開いて、廊下へと出て行く。

 

誰もいない廊下を歩き、その気配をきょろきょろと辿る。もう一つの気配は、どうやらこの近くにあるようだ。

 

「っ!!・・・?」

 

と、病院の左奥にある病室から気配が大きくなるのを感じた。その一方で、誰かの気配を感じて首を傾げる。

 

とりあえず、中に入って確かめようと躊躇なく扉を開け放つと、その病室の左手前にはさっきの少女と同じように人工呼吸器を付けていて、ベッドに横たわるまるで男性のような美形の少女と・・・・・・。

 

「ドクルン?」

 

「? クルシーナ?」

 

「何やってんのよ? こんなところで」

 

そのベッドの横の椅子に、ドクルン座ってその少女の様子を伺っていた。

 

「この前、私は人間の女の子にメガパーツを入れましてね。それが飛び出した先を追っていたのですが、こんな少女の中に入り込んでいたんですねぇ・・・」

 

ドクルンはメガネをクイッと上げながら話す。

 

「ここで・・・」

 

懐からあるものを取り出す。それはメガパーツとは違う、黒い氷のような禍々しいかけら。

 

「それって、あの青いやつから抜いた病気の・・・?」

 

「そうです。キュアフォンテーヌから抜いた私の病気の種です。こいつをこの娘に投与しようと思いましてね・・・」

 

ドクルンはそう言いながら、赤いオーラを手に持った黒い氷のかけらに込める。すると、黒い氷から雲のような4本足が生えて自立歩行し、その少女へと近づく。

 

そして・・・・・・。

 

「・・・!!!???」

 

黒いクリスタルは赤い靄のようなものに変化して、人工呼吸器の下の容器の中へと侵入する。そして、そこから繋がっている患者の口の中から体内へと入り込んだ。

 

少女は言葉にならない声を漏らすと、体が浮くぐらいに大きく弓ぞりに逸らしながら痙攣する。

 

「・・・フフフ♪」

 

笑みを漏らしたドクルンはさらに懐からメガパーツを取り出すと、ベッドの少女へと入れ込む。

 

「!!!!!?????」

 

少女は苦しそうに大きく目を見開くと、ベッドが揺れるくらいにガクガクと体を震わせる。

 

「へぇ・・・楽しみねぇ」

 

クルシーナはそれを見て、不敵な笑みを浮かべると踵を返す。

 

「見ないんですか? 誕生の瞬間を・・・あと数分ぐらいで目覚めると思いますが?」

 

「もうわかってるからいいわ。ダルイゼンに報告しなくちゃ」

 

クルシーナは笑みを浮かべるなら問いに答えると病室の扉を閉め、その場を跡にする。そして、少女の痙攣した体は尽き果てたと言わんばかりにベッドに腰をつけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ちゆ、ひなた、アスミの三人はひなたの家の近くのワゴンカフェに来ていた。

 

しかし、楽しそうな雰囲気ではない。のどかがまだ治っていないということを聞き、みんな暗い表情をしていた。

 

「元気出して・・・って、言っても無理か」

 

「はい、難しいです・・・」

 

「でも、ありがとうございます・・・」

 

そこにひなたの姉のめいがジュースを差し出すも、三人は笑顔にはならず、顔を俯かせたままだった。

 

「のどかちゃん・・・早く元気になるといいわね」

 

「ウゥ〜ン・・・」

 

めいはアスミの膝の上にいるラテと、同じ高さになりながら彼女にそう言うとワゴンの中へと戻っていった。

 

「・・・かすみっち、のどかっちのお見舞いに言ってるんだよね?」

 

「ええ・・・そうよ。早く起きて病院へと向かっていったわ・・・」

 

「かすみさんはかなり責任を感じていました。自分がのどかを守れなかった、そのことをかなり後悔していたような感じでした・・・」

 

ひなたがこの場にいないかすみのことに関して尋ねると、ちゆとアスミは答えた。

 

「それにしても、のどかの前に掛かっていた病気も、メガパーツが原因だったのかしら・・・?」

 

と、ここでちゆがのどかの病気に関して考える。のどかの母・やすこから聞いた前の病気の時と症状が似ているということ、ビョーゲンズにメガパーツを入れられたことで再発したということは、前の病気もビョーゲンズの仕業なのではないかと推測できる。

 

「・・・可能性はあるペエ」

 

「テアティーヌ様が元気だった頃も、メガビョーゲンを全て浄化できたわけじゃなかったからな・・・」

 

「そうなのですか?」

 

そこにペギタンとニャトランがそれも一理あるという感じで説明をし出す。

 

「初期段階で浄化できないまま育って、進化しちゃう個体も時々いるペエ」

 

「それがキングビョーゲンだったり、ダルイゼンやシンドイーネ、グアイワル、クルシーナ、ドクルン、イタイノン、バテテモーダ、ヘバリーヌ、ネブソック、フーミン・・・あの辺の知性を持った奴らなんだ」

 

「うぇぇぇぇっ!? あいつら元々メガビョーゲンなの!? メガビョーゲンの何がどうなってああなっちゃう訳ぇ〜っ!!??」

 

ペギタンとニャトランの説明に、ひなたは取り乱したように驚いていた。

 

「シ〜ッ!! ひなた、シ〜ッ!!」

 

そんなひなたをニャトランが制する。ここで騒ぐと周囲の人、特にめいなどにバレてしまう可能性があるからだ。

 

「そのあたりは僕たちもまだわからないペエ・・・」

 

「うぇっ!? もう何ぃ〜!? 全然わからないことだらけじゃん!! 怖い、怖いぃ〜!!」

 

ひなたは近くにいたニャトランを抱きしめながら叫ぶ。

 

「・・・それにのどかっちもどうなっちゃうか、わかんないしさ・・・」

 

ひなたが不安げな心情を口にする。すると、ちゆは暗い表情をしながら俯いた。

 

「・・・・・・・・・」

 

「クゥ〜ン・・・?」

 

「? アスミ、どうしたの?」

 

ビョーゲンズに関する事実を聞いていた、アスミが顔を俯かせながら険しい表情をする。それを心配したラテが鳴き、ちゆが尋ねた。

 

「・・・違和感があるんです」

 

「??」

 

「私、ビョーゲンズと相対したことはあるのですが、その中でもクルシーナやドクルン、イタイノン、ヘバリーヌからは邪悪な気配とは別に・・・人間のような気配もしたのです・・・」

 

「「「っ!?」」」

 

「え、アスミン、どういうこと・・・!?」

 

アスミが感じたことを告白するとちゆとひなた、ヒーリングアニマルたちは驚く。クルシーナやドクルンたちから、人間の気配がした・・・・・・?

 

「私の推察でしかないかもしれませんが、もしかしたら、彼女たちは人間からテラビョーゲンになったんじゃないかって、思うのです・・・」

 

「そんなことがあり得るの・・・??」

 

「わ、わからないペエ・・・」

 

「聞いたことねぇよ・・・そんなこと・・・」

 

アスミがそう推察を述べると、ちゆたちは信じられないといった反応だった。ペギタンとニャトランもそんな人間ではない彼らが、そのようなことで発生したというのは聞いたことがなかった。

 

「あ〜!? そういえば!!」

 

「ペエ!?」

 

「な、なんだよ・・・急に大声出して!!」

 

ひなたが、ペギタンとニャトランがびっくりするぐらいの大声で、思い出したように叫ぶ。

 

「忘れてたけど・・・ヘバリーヌは、設楽先生の娘だったんだよね!?」

 

「っ!! そういえば、クルシーナが前に言ってたわね・・・」

 

「ああ・・・そう考えると、アスミの言っていることも、間違っちゃいねぇのか・・・?」

 

「納得はいくと思うペエ・・・でも、なんでそんなことが起きるのか・・・」

 

ひなたが思い出したことを話すと、ちゆも考え始める。そういえば、ヘバリーヌは設楽先生の娘だとクルシーナが暴露していた。設楽先生も人間だったから、その娘も人間だったはず。そう考えると、人間からテラビョーゲンに変化するというのもあながちあり得ないことでもないかもしれない。

 

しかし、ダルイゼンらの誕生のメカニズムがいまだにわかっていない中では、推測の域でしかないわけだが・・・・・・。

 

そして、気になることはもう一つあった。

 

「あいつら・・・かすみっちのこと知らなさすぎって言ったけどさ、かすみっちは優しいじゃん・・・それ以外に何を知らないって言うのよ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

ひなたがそう呟くのは、クルシーナが発した言葉にあった。

 

ーーーーお前らそいつのことを知らなすぎでしょ。少しは足りない頭で考えたほうがいいんじゃないの?

 

彼女は自分たちの仲間であるはずのかすみを全然わかってないと言い放ったのだ。ちゆたちにわかることは不思議な力を持っているということと、誰に対しても優しいということ、それだけわかれば十分なはずなのに、他に何を知れと言うのか?

 

「・・・もしかして」

 

「アスミン?」

 

「どうしたんだ・・・?」

 

アスミが険しい表情をしながら思い返そうとし、気になったひなたたちが彼女の方を振り向く。

 

「私、かすみさんと友達じゃなかった時があったと思います」

 

「そんな時なんか、あったっけ・・・?」

 

「・・・あったわ。最初にかすみと会ったときは、全く話してなかったものね」

 

アスミに思い出されるのはかすみと初めて会ったときだ。そのときは、アスミはかすみを遠ざけるような態度を取っていたのだ。

 

「私はあのとき、かすみさんを避けていたんです。それは彼女からなんというか、嫌な気配を感じたからなんです・・・」

 

「嫌な気配ペエ・・・?」

 

「はい・・・・・・」

 

そして、アスミは一番考えたくなかったことをこの場で発することになる。

 

「もしかしたら、アスミさんは・・・その・・・ビョーゲンズと何か関係があるのではないかと・・・」

 

「「「「っ!!??」」」」

 

アスミの放った推察に、ちゆたちは目を見開いた。

 

「かすみが、ビョーゲンズ・・・?」

 

「マジかよ・・・」

 

「ペエ・・・・・・」

 

「そ・・・そんなわけない!!! かすみっちがビョーゲンズだなんて、絶対にあり得ないよぉ!!!!」

 

ちゆたちが驚いている中、ひなただけは首を振りながら否定していた。

 

「あくまでも可能性としての話です・・・!! 私だって、かすみさんがビョーゲンズだなんて、思いたくはありません・・・!!!!」

 

「でも、可能性としては、否定できないペエ・・・」

 

「もしそうだとしたら、どうしてかすみは、あんな性格をしているのかわからないニャ・・・」

 

アスミも思いの丈を叫びながら、その推察を否定しようとする。しかし、どうしても彼女がビョーゲンズではないということを拭い去るような考察が出てこないのだ。仮にそうだとしても、どうして彼女には他のビョーゲンズと同じような邪悪さがどこにもないのか?

 

アスミの疑念やのどかの病気のこと、そしてかすみのこと、いろいろと考えなければいけないことはあるが・・・・・・。

 

「・・・のどかに、会いにいきましょう」

 

アスミは立ち上がってみんなにそう提案した。考えられることはあるが、まずはのどかの心配をするべきだと考えたのだ。

 

「えっ・・・でも・・・・・・」

 

「ご家族が動揺されているのにお邪魔するのは・・・それに、私たちがお手当てをしてあげられるわけでもないのに・・・」

 

ひなたとちゆがその提案に戸惑う。プリキュアとはいっても、のどかの体内にあるメガパーツをどうにかできるものではない。それにまだ助ける方法もないのに、病院に行ったところで自分たちができることなんてないと感じていた。

 

それに、のどかの両親がまさかの事態に精神状態が危ういときに来るのもその人に不謹慎だろう。

 

「でも、皆さんも不安で、心配なのですよね」

 

「・・・そうだな」

 

「ラビリンのことも心配ペエ・・・」

 

「ラテものどかに会いたがっています・・・そして、私も・・・かすみさんのことが心配です・・・」

 

「ワウン・・・」

 

アスミがそう諭すと、ニャトランとペギタンは会いに行かない理由がないとテーブルから飛び上がる。

 

ちゆとひなたはお互いに見ると、意を決したような表情をして頷く。

 

「・・・行きましょう!」

 

「のどかっちに会いに!!」

 

二人も席から立ち上がると、皆はかすみを追って、のどかのいる病院へと向かい始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、かすみはのどかの病室へと訪れ、ラビリンと目を合わせていた。

 

「・・・ラビリンは、かすみがやっただなんて、思ってないラビ」

 

「・・・・・・・・・」

 

ラビリンは潤ませた目を反らしながらも、かすみがのどかに手を掛けたことを疑ってはいなかった。クルシーナが暴露したことには動揺してしまったが、かすみがのどかを大好きなことを十分に理解しているラビリン。そんな彼女が、のどかを害するようなことをするとはとても思えなかったからだ。

 

かすみはその様子に目を反らして辛そうな表情をすると、それには黙ったままのどかのベッドの横にある椅子へと座る。

 

それから数分経っても、かすみとラビリンはそばで見守っていたが、のどかはいまだに目を覚まさずにいた。

 

「のどか・・・ごめんラビ・・・。ラビリンはヒーリングアニマルなのに、どうしたらいいかわかんないラビ・・・何もしてあげられないラビ・・・。巻き込んで、ごめんラビ・・・ヒック・・・ラビリンがのどかを、パートナーに選んだからぁ・・・」

 

ラビリンは目に見えて別れるくらいに耳を垂らしながら落ち込んでいた。

 

「・・・なんで・・・なんで・・・ラビリンが謝るんだよ・・・!」

 

かすみは泣きそうな掠れた声で、ボソリとラビリンに呟く。

 

「一番に謝らなければいけないのは私だ・・・!! 危険だと思って、のどかとラビリンの跡をついていって・・・でも、私は・・・何もできないどころか・・・ビョーゲンズに手を貸してしまったんだ・・・!! もう合わせる顔もないと思い込んでた・・・でも、会わなきゃ謝ることもできない・・・!!」

 

「っ・・・・・・」

 

かすみは涙をポロポロとこぼしていた。どうなっていても、自ら行動した以上、のどかにどんなことがあっても全部自分のせい、そう心の中で思い込んでいた。

 

「こんなことに、なるんだったらぁ・・・グスッ・・・私なんか・・・のどかと・・・出会わなければよかったのにぃ・・・ヒック・・・」

 

かすみは嗚咽を漏らしながら、その体は震わせていた。

 

「かすみは何も悪くないラビ・・・!! ラビリンが、のどかを一人で行かせたのが悪かったラビ・・・あの時、ちゆとひなたたちも連れていけばよかったんだラビ・・・ラビリンが代われるものなら、代わりたいラビぃ・・・のどかぁ・・・のどかぁぁぁ・・・」

 

ラビリンも涙をポロポロと流し始め、泣きじゃくっていた。かすみもラビリンも、自分たちが最初から出会わなければよかったと、そうすれば苦しむこともなかったと、そう思い込んでいた・・・。

 

そんな時だった・・・・・・。

 

「ラビリン・・・かすみちゃん・・・」

 

「「っ!!」」

 

のどかは目を覚まして、こちらに首を向けていた。

 

「のどかぁ・・・」

 

「っ・・・・・・」

 

「二人とも・・・泣かないで・・・大丈夫だから・・・」

 

のどかは手を弱々しく動かしながらも、指でラビリンとかすみの涙を拭いながら笑顔を見せる。

 

「っ・・・どこが・・・どこが大丈夫なんだよ・・・!!」

 

「そうラビ・・・!! 全然・・・全然・・・大丈夫じゃないラビ・・・!!!」

 

「苦しいなら・・・苦しいって言ってくれよ・・・!!!!」

 

かすみとラビリンは涙をこぼしながらもそう叫び、伸ばしてきたのどかの手を互いに取る。どうみても顔色は悪く、表情も苦しそうだ。こっちに気を遣っていることはわかるが、二人はどうなってしまうのか気が気でなく、楽観的にはなれなかった。

 

しかし、のどかは苦しそうにしながらも、そんな二人に笑みは崩さなかった。

 

「・・・前はね・・・原因がわからないまま・・・ずっとずっと苦しいのが続いて・・・体も心も、不安で辛いままだったけど・・・今は、ビョーゲンズのせいだって、知ってるもん・・・」

 

「のどか・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

のどかは弱々しい声で話しながら、もう片方の手でも二人の手を取る。

 

「体はやっぱり辛いけど・・・でもね、心は頑張れる・・・だってね・・・ラビリンがいてくれるもん・・・かすみちゃんも・・・一緒にいてくれるから・・・ラビリンと出会って・・・ビョーゲンズと戦う力をもらったもん・・・毎朝ランニングもしてるもん・・・かすみちゃんとも出会って・・・元気になれる気持ちをもらえてるもん・・・」

 

「・・・そうラビ。のどかは強くなったラビ・・・」

 

ラビリンは涙目ながらも笑顔を見せてそう言った。しかし、かすみは違った。

 

「私は、のどかに何もできてない・・・何もしてやれてない・・・何も、与えてやれてない・・・守れてすらいない・・・!! 私はただ単に他人を傷つけて・・・良いように利用されて・・・こうやって苦しむ人を前に・・・何も、できてない・・・・・・のどかが、大好きなのに・・・!! 私は・・・友達、失格だよぉ・・・ぅぅ・・・」

 

かすみは泣きそうな顔をしながら謙遜した言葉を吐露する。自分はのどかのそばに居ただけ、何もしていない。かすみの口からはネガティブな言葉しか出なくなっていった。

 

「そんなこと、ないよ・・・」

 

「っ・・・・・・」

 

「かすみちゃんがいてくれたから・・・私も元気付けられたし、健康なままでもいられたんだよ・・・かすみちゃんがいて傷ついたなんて思ってない・・・誰にでも優しいかすみちゃんが何かしたなんて、私は信じてない・・・だって、かすみちゃんは私の、大切な・・・友達、だから・・・」

 

「っ、のどかぁ・・・」

 

「だから、もう・・・泣かないで・・・」

 

かすみはそんな姿になってまでそう言ってくれるのどかの手を強く握り返した。手を掛けたのであれば、のどかはきっと自分のことを恐れていただろう。でも、のどかはそんなことを気にせずに自分にそんな言葉かけてくれる。かすみは少し心の中で安堵していた。

 

「ありがとう・・・のどか、大好きだよ・・・」

 

「私も・・・かすみちゃんのことが、大好き・・・」

 

かすみは眉を下げながらも笑顔で答え、のどかも笑顔でそう答えた。

 

「私・・・まだ諦めてないもん・・・絶対負けないよ・・・」

 

「のどか・・・!!」

 

のどかは生きるということを、治るということをまだ諦めていなかった。ラビリンはそういうのどかを見て、涙ながらも笑顔を見せていた。

 

「・・・思い出すなぁ・・・私と、一緒に病気を治そうと約束した・・・お友達・・・」

 

「お友達・・・?」

 

懐かしそうに呟くのどかに、疑問を抱くラビリン。

 

「・・・・・・・・・」

 

そんな中、かすみは顔を俯かせて黙っていると、やがて口を開いた。

 

「のどか・・・ラビリン・・・もし、私が・・・・・・」

 

「「??」」

 

かすみは何かを言おうとして呟き、のどかとラビリンがこちらを見る。かすみは口を開いて言おうとして言葉を詰まらせ、口を閉じる。

 

「・・・いや、やっぱりなんでもない」

 

「かすみちゃん・・・?」

 

「かすみ・・・?」

 

のどかとラビリンは、何かを言おうとして辞めたかすみに疑問を抱いていた。

 

その時だった・・・・・・。

 

コンコンコン

 

「「「っ!!」」」

 

誰かが病室の扉をノックしたようだった。もしかして、ちゆたちが様子を見にきたのだろうか?

 

そう思い込んでいると・・・・・・。

 

「ごめんください。入っていいですか?」

 

「「「っ!?」」」

 

扉越しの声は明らかに別人の声だった。三人、中でもラビリンはその声にドキッとすると、のどかから手を離して慌ててベッドの下に隠れる。

 

のどかはゆっくりとかすみからも手を離して背を向けるように横向きになり、かすみは病院のシーツを少しかけてあげる。

 

ガラガラガラ・・・。

 

「失礼します」

 

その時、病室の扉が開かれ、そこに人物が入ってくる。その人はのどかのベッドへと近づく。

 

「のんちゃん」

 

「っ!!??」

 

のどかはその言葉に大きく目を見開いた。聞いたことのある声・・・そして、自分をその名前で呼ぶのは・・・・・・!

 

のどかは動くのが辛い体をゆっくりと動かして、その人をよく見ようとする。そこにはツインテール姿に、白いワンピース姿の少女、手にはお見舞い品なのか白い花の入った透明なボトルがある。

 

服装は違うが、その顔は紛れもなく、忘れるはずのない少女の顔・・・・・・。

 

「しんら・・・ちゃん・・・?」

 

「久しぶり、のんちゃん♪」

 

のどかの病院時代の友人、来栖しんらがのどかに笑顔を向けていたのであった。

 

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