ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。
ビョーゲンズとして行動するかすみは・・・・・・。


第95話「焦り」

 

プリキュアが駆けつける数分前のこと・・・・・・。

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「メガァ!!」

 

ドクルンの生み出したメガビョーゲンが手始めに、両腕のホースから赤い液体を噴射し、中庭の植物や木を泡だらけにして赤く蝕んでいた。

 

「メガァァァァァ~!!!!」

 

かすみの生み出したメガビョーゲンは、ドクルンのメガビョーゲンとは逆の方向を肩のチューバのような先端部分から音波を放っていたが、木や自然がそよぐだけで特に変化は起こっていない。

 

「・・・カスミーナ」

 

「・・・何だ?」

 

「あなたのメガビョーゲン、蝕んでいませんよね? 失敗作ですか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

ドクルンはメガビョーゲンが音波を飛ばしているだけの行いに疑問を抱いていた。かすみは確かにメガビョーゲンを召喚することができた。しかし、メガビョーゲンは音波を放つだけで蝕んでいるような様子はない。

 

もしかして・・・カスミーナの力がまだ馴染んでいないのか、それとも別の理由があるのか??

 

ドクルンに問われたかすみはどうしてかと考えてた後、持ってきているもう一つのチューバに目をつける。

 

「・・・もしかしたら、もう一体メガビョーゲンを出さないとダメなんじゃないか?」

 

「・・・どういうことですか?」

 

かすみは考えたことを一言いうと、ドクルンの疑念は深まる。かすみはドクルンに近づいて囁くように話す。

 

彼女から内容を聞かされると、ドクルンは・・・・・・。

 

「・・・なるほど。でも、そんなことが起こり得るのですかねぇ?」

 

「私の推測だ。気にするな。でも、私はもう一体メガビョーゲンは召喚できる・・・」

 

ドクルンがそう尋ねると、かすみは素っ気なく返し、自身のメガビョーゲンの方をみる。メガビョーゲンはドクルンの邪魔にならないところを、広い範囲で音波を浴びせていた。

 

「メェェェェェェ~ガァァァァァァァァァ~!!!!」

 

校庭やその周辺の植物、学校の外の建物など、あらゆるものに音波を轟かせていく。

 

「そろそろ、範囲を広げよう・・・・・・」

 

十分に音波を行き届かせたと判断したかすみは、自身の生み出したメガビョーゲンの肩の上に飛び乗る。

 

「私が最悪、時間稼ぎの囮になる。ドクルンはその間にその女のメガパーツを成長させてくれ」

 

「・・・・・・わかりました」

 

「メガビョーゲン、木がいっぱい生えてるあっちに行くぞ」

 

かすみはドクルンにそれだけ告げると、木が多く存在する学校の奥の庭へと行こうとする。

 

「メェェェ~ガァァァァァ・・・!」

 

指示を受けたメガビョーゲンは、その方向に向かって歩いていく。

 

「・・・ふふっ。まだ甘さはありますが、可愛いですねぇ♪」

 

ドクルンはかすみの後ろ姿を見つめながら笑みを浮かべるのであった。

 

ドクルンと別れたかすみは、学校の奥の庭へと直進していた。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみは険しい表情で周囲を見渡していく。メガビョーゲンを呼び出したと言うのにかなり冷静だ。躊躇していた自分が怖くなる。でも、のどかを傷つけるのはもっと怖い・・・・・・。

 

しかし、不思議と震えも感じないし、焦燥感も感じない。自分は一体、どうしたというのだろうか?

 

これは自分の行いが、正しいと思っているからなのだろうか? だから、罪悪感を感じていないし、申し訳ないと思っているわけではない。

 

自分が気持ち悪く感じるが、今はのどかを苦しめないために仕方のないことだ。

 

「・・・・・・!」

 

そんなことを考えながら歩いていると、学校の奥の庭の前へときた。そこにはグアイワルが出したメガビョーゲンと、プリキュアの3人が戦っていた。

 

「・・・メガビョーゲン、邪魔なら吹き飛ばせ」

 

「メガァァァ~!」

 

メガビョーゲンは指示を叫び声で返事しながら、音波を周囲に放ちつつ移動していく。

 

かすみはグアイワルのメガビョーゲンへとグレースが駆け出していき、何かをしようとしたのを視認する。

 

「キュアスーーーー」

 

「メッガ、ビョォォォォォォォォ!!!!」

 

「っ!? きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

メガビョーゲンが音波を放った先にグレースがおり、音波を受けた彼女が吹き飛ばされる。

 

「っ・・・!!」

 

かすみはグレースが飛ばされたことに動揺しつつも、平静さを保とうとする。

 

「うぁぁ!?」

 

「うっ・・・!!」

 

「メガァ!?」

 

「うぉぉぉ!? な、何だ!?」

 

その勢いにフォンテーヌとスパークルが顔を顰め、グアイワルとそのメガビョーゲンは驚いた。

 

「うっ・・・うぅ・・・」

 

「っ・・・・・・!」

 

かすみは倒れているグレースを見つめながら心を痛めるも、感情を押し殺していた彼女は心を鬼にして険しい表情を装い、逸らすように正面を見る。

 

「邪魔だ、プリキュア。グアイワル、ここを通るぞ」

 

「通るって・・・・・・おい!?」

 

「メェェェェ・・・ガァァァァ・・・」

 

かすみは素っ気なくそれだけ言うと、グアイワルが文句を言うのも構わずに去っていこうとする。

 

「・・・・・・メガビョーゲン、あっちだ」

 

「メェェガァァァァ・・・」

 

学校の奥の庭に開けた場所があるのが見えてきたかすみはメガビョーゲンにそこに行くように指示をする。

 

「ま、待って・・・!!!」

 

「っ??」

 

背後からグレースの声が聞こえてきたかと思うと、反応したかすみが振り向くとグレースが追いかけてきているのが見えた。

 

「っ・・・・・・」

 

かすみはそれに顔を顰めると、黒いステッキを取り出すと振り向きざまに振るって黒い光線を放つ。

 

「ぷにシールド!!」

 

グレースは走りながら、ステッキから肉球型のシールドを展開し、黒い光線を防ぐ。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみはそれを確認すると、特に声を発することなく前を向く。彼女に対する感情を押し殺すかのように。

 

開けた場所へとようやく着いたとき、かすみはメガビョーゲンの肩から飛び降りる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ま、待って・・・!!」

 

そこへ息を切らせながらようやく追いついたグレースが引き止める。かすみは森の方へと動かしていた足を止めると振り向く。

 

「かすみちゃん・・・かすみちゃんだよね・・・!?」

 

「・・・・・・・・・」

 

グレースが自身に向かってそう呼びかけてくる。かすみはそれには黙ったまま何も答えない。

 

「今までどこに行ってたの・・・? みんな、みんなかすみちゃんを心配していたんだよ・・・?」

 

「・・・・・・・・・」

 

泣きそうな表情でそう話すグレース。かすみはその言葉にも黙って見つめたままだ。

 

「ねえ、何か言ってよぉ・・・!」

 

「・・・・・・・・・」

 

グレースは何も話してくれないかすみに向かって叫ぶ。かすみはその様子を黙って見つめていると、まるで逸らすように前を向く。

 

そして、一言・・・こう言ったのだ。

 

「・・・メガビョーゲン、プリキュアを倒せ」

 

かすみはグレースを攻撃するように命ずると、周りにある木のうちの一本へと歩いていく。

 

「あ・・・ま、待って・・・きゃあぁぁ!!」

 

グレースは一瞬固まってしまい、かすみを引き止めようとするが、メガビョーゲンの音波攻撃を受けて吹き飛ばされる。

 

「グレース!! まずはメガビョーゲンをどうにかしなきゃラビ!!」

 

「っ・・・・・・」

 

(かすみちゃんと、どう話したらいい・・・・・・? 何か方法が・・・・・・)

 

ラビリンがそう叫ぶも、グレースは起き上がりながらも自身がかすみだと推測するであろう彼女の後ろ姿を気にしていた。

 

「グレース!!」

 

「っ! うん!!」

 

ラビリンが叫ぶように呼びかけると、我に返ったグレースは頷いてメガビョーゲンにステッキを構える。

 

「メェェェェェェ~ガァァァァァァァァァァ~!!」

 

「ぷにシールド!!」

 

「っ、あぁぁぁぁぁ!?」

 

メガビョーゲンは肩にあるチューバの先端部分から音波を放つ。グレースは肉球型のシールドを展開するも、音波が大きすぎてシールドごと吹き飛ばされてしまう。

 

「っ・・・!」

 

グレースは体制を立て直して、メガビョーゲンへと駆け出していく。

 

「メガァァァァァ~!!!!」

 

メガビョーゲンは金管楽器の先端のような5本の指から赤いビームを発射する。グレースはその弾幕を駆け抜けながら、メガビョーゲンに突撃していく。

 

「グレース!! 無闇に突っ込んじゃダメラビ!!」

 

(何か突破口があるはず・・・何か打開策を・・・!!)

 

グレースは焦りからか、ラビリンの制止も聞かずにメガビョーゲンへと突っ走る。

 

「実りのエレメント!!」

 

実りのエレメントボトルを取り出し、ステッキにセットする。

 

「はぁっ!!」

 

「ビョーゲェェェェェェェン!!!!」

 

グレースはビームを掻い潜りながらステッキから光弾を放つも、メガビョーゲンは肩にある先端部分から音波を放って吹き飛ばす。

 

(私が、なんとかしないと・・・・・・!!)

 

「グレース!! 危ないラビ!!」

 

グレースはラビリンの言葉が聞こえておらず、飛び上がってメガビョーゲンに突っ込んでいく。

 

「はぁっ!!」

 

「メガァァァァァァァァ~!!!」

 

「っ!? きゃあぁぁぁ!!」

 

グレースはステッキを振るおうとしたが、それよりも早くメガビョーゲンがビームを発射してグレースを吹き飛ばした。

 

「あう!! うぅ・・・!!」

 

グレースは地面へと叩きつけられ、痛みに呻く。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみは険しい表情でその様子を木に寄りかかりながら見ていた。グレースを痛めつけるのは心が本当に痛むが、これもグレースのためなのだ。自身は苦しめないまでも、彼女たちを追い詰めるしかない。

 

「ぐっ、うぅぅ・・・・・・」

 

グレースは体をふらつかせながらも立ち上がり、ステッキを構えて立ち向かおうとする。

 

「グレース!! 一回落ち着くラビ!!」

 

「はぁっ!!」

 

ラビリンの呼び止める声も構わず、グレースはステッキを振るってピンク色の光線を放つ。しかし、メガビョーゲンの金管楽器のボディにははね返されるだけであった。

 

「メガァァァァァ~!!!!」

 

「っ、あぁぁぁぁ!!!」

 

メガビョーゲンはお返しに金管楽器の先端のような5本の指からビームを放つ。動揺していたグレースはそのままビームでダメージを受けてしまう。

 

「・・・・・・・・・」

 

グレースに責任感があるのはわかっている・・・でも、今回はあまりにも焦りが見えている気がする。なぜ冷静になれていないのか・・・?

 

かすみはそれとは別に違うことも考えていた。彼女は懐から黒色で花のマークの描かれたボトル、灰色で水のマークが描かれたボトル、紫色で星のマークが描かれていたボトルの3つ。プリキュアが持っているのとそっくりなボトルであった。

 

どうやらプリキュアたちが持っているものと色違いのようだ。

 

『実験に付き合ってくれたお礼にこれを差し上げます』

 

『これは・・・・・・』

 

メガパーツの痛みに耐えながら、ドクルンから受け取ったのは3つのボトルだった。

 

『プリキュアたちの持っていた道具を元に作ってみました』

 

『・・・・・・・・・』

 

『私からのビョーゲンズの仲間入り祝いみたいなものです。これを使えば、あなたはわざわざ自然から力を吸収しなくても、その力を使うことができます』

 

かすみはドクルンの説明を耳に入れながらも、3つのボトルを黙って見つめていた。

 

『あ・・・・・・』

 

『私はなんだか、あなたに愛着があるんです。まるで放っておけないような、そんな感じがするのです・・・・・・』

 

ドクルンはかすみの手を握りながら、彼女のことを笑顔で見つめる。

 

『期待していますよ、カスミーナ。私はあなたを家族だと思いたい』

 

ドクルンは頬を赤く染めながらそう言った。その表情はまるで心を許した仲間のようだった。

 

「あのときのドクルンの顔・・・なんだか・・・・・・」

 

かすみは自分に優しくしてくれることやあの時の悪意のない笑顔にほっこりとした気持ちが忘れられない。それとは別にビョーゲンズとして活動を行わないといけないことに複雑な気持ちを抱いていた。

 

「きゃあぁぁぁ!!!!」

 

「っ!!」

 

グレースの悲鳴が聞こえたかと思うと、かすみは懐にボトルをしまって、グレースとメガビョーゲンの戦いを見つめる。グレースがメガビョーゲンに吹き飛ばされて地面に叩きつけられているようで、すでにボロボロになっていた。

 

「うぅぅぅ・・・・・・」

 

「グレース!! フォンテーヌたちを連れてきた方がいいラビ!!」

 

傷ついて倒れ伏しているグレースに、ラビリンがそう呼びかける。

 

「ダメ・・・だよ・・・・・・」

 

「一人で立ち向かっても全然勝ててないラビ!! 仲間を呼んで一緒に戦うのが先決ラビ!!」

 

提案を拒否しようとするグレースを、ラビリンは説得しようとする。あまり思いたくはないが、今日のグレースはなんだかおかしい。行動に精彩を欠いていて、見当違いの攻撃を加え、逆に返り討ちにあっている。

 

「だって・・・その間にこの辺りを蝕まれたらどうするの? 取り返しのつかないことになったらどうすればいいの? 私は絶対に離れない・・・離れたくない・・・!!!!」

 

「グレース!!」

 

グレースはラビリンの提案に反論して再度立ち上がり、メガビョーゲンへと駆け出していく。

 

「メガァァァァァ~!!!!」

 

メガビョーゲンは再度金管楽器のような5本の指からビームを放つ。

 

「っ・・・!!」

 

「もっと冷静に判断するラビ!! 守れなきゃ、どっちにしたって同じラビ!!」

 

ラビリンの叫び声も聞こえず、グレースはビームの弾幕の中を掻い潜って接近する。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

グレースは飛び上がってパンチを繰り出そうとする。

 

「メェ~ガァッ!!」

 

「あぁぁぁっ!!!!」

 

しかし、メガビョーゲンはもう片方の手を振るってグレースを吹き飛ばした。再度地面へと叩きつけられるグレース。

 

「ぐっ、うぅぅぅぅ・・・!!!!」

 

「グレース!! グレース!!!!」

 

グレースは体をガクガクと震わせながらも、諦めずに立ち上がろうとする。

 

「・・・・・・時間の問題だな」

 

その様子を見つめていたかすみはそう呟くと、強奪してきたもう一つのチューバに目をやるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビョォォォォォ〜!!!!」

 

「「ああっ!!」」

 

メガビョーゲンは肩のトランペットを空中に向け音波を放ち、無数の光弾を落としてフォンテーヌとスパークルにダメージを与える。

 

「いいぞ、メガビョーゲン!! カスミーナが来た時は、出鼻を挫かれたが・・・俺の作戦に問題はない!! まずはそいつから始末しろ!!」

 

グアイワルは、まずは倒れ伏したフォンテーヌを倒そうとし、メガビョーゲンは足を上げてフォンテーヌを踏み潰そうとする。

 

「っ・・・!!」

 

「ぷにシールド!!」

 

「くっ・・・うぅぅ・・・!!」

 

何とか肉球型のシールドで防ぐフォンテーヌだが、メガパーツを5個も入れたメガビョーゲンの攻撃は強力で、徐々に押されていく。

 

「フォンテーヌ!!」

 

スパークルが叫ぶも、ダメージのせいかなかなか立ち上がることができない。

 

「ふはははははは!! いいぞ、メガビョーゲン!!」

 

勝利を確信し、調子付いたことで高笑いをし始めるグアイワル。

 

「・・・ん?」

 

しかし、突然メガビョーゲンの動きが止まったことに疑問を抱く。メガビョーゲンの足元を見てみると・・・・・・。

 

「っ・・・・・・」

 

「っ! あいつ・・・いつの間に・・・!!」

 

学生を避難させていたアースがこちらに戻って来ていて、瞬時にメガビョーゲンの足元に入り込んで支えていた。

 

「「アース!!」」

 

その様子を見たスパークルとフォンテーヌは安堵の声を漏らす。

 

「っ・・・はっ!!!」

 

「メガ!? ガッ・・・!!」

 

アースは手に力を込めて足を押し返し、メガビョーゲンのバランスを崩す。

 

「はぁっ!!」

 

「メガッ!?」

 

そして、アースは素早くメガビョーゲンの背後に回ると、バランスを取っていたもう一方の足の膝裏に蹴りを入れ、メガビョーゲンを地面に倒した。

 

「なにぃぃぃぃぃぃ!?」

 

メガビョーゲンが倒されて驚いたグアイワルがメガビョーゲンに駆け寄る。

 

その間にアースはフォンテーヌへと歩み寄って、彼女の手を取って体を起こさせる。

 

「大丈夫ですか? フォンテーヌ」

 

「ええ・・・ありがとう・・・」

 

助けてくれたアースにお礼を言うフォンテーヌ。しかし、その表情は不安そうな顔になっていて、グレースが走っていた庭の奥へと向いていた。

 

「グレースはどこに行ったのですか?」

 

「・・・もう一体メガビョーゲンが現れて、それを追いかけていったわ」

 

「・・・・・・・・・」

 

アースがそう尋ねると、フォンテーヌはそう答える。それを聞いたアースは険しい表情になっていた。

 

グレースはどう考えても、先ほどの少女ーーーーことえと同じように『焦り』を感じている。

 

彼女に教えてあげなければ、きっと無茶をするだろう・・・・・・。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

メガビョーゲンが倒れている隙を狙って、スパークルがステッキの肉球を一回タッチしてメガビョーゲンに向ける。ニャトランの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「音のエレメントさんはあそこだ!!」

 

エレメントさんは左胸のあたりにいる模様。

 

「・・・わかりました。速やかに浄化して、グレースを追いましょう!!」

 

アースはそう言うと両手を合わせるように祈り、浄化の準備へと入る。

 

一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、音のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

エレメントさんがトランペットの中に戻ると、このメガビョーゲンが蝕んだ場所が元の色を取り戻していく。

 

「ちっ・・・メガパーツがまだ足りなかったか・・・!!」

 

グアイワルは悔しそうにそう言い残すとその場から姿を消した。

 

メガビョーゲンを浄化した後、中央に集まるプリキュアの3人。

 

「ウゥ〜ン・・・・・・」

 

「ラテが全然良くならないよぉ・・・?」

 

「もしかしたら、メガビョーゲンがまた何体か出て来てるんじゃねぇか!?」

 

スパークルとニャトランがぐったりしているラテを見て心配そうな表情で見つめる。

 

アースはメガビョーゲンの居場所を探ろうとラテに聴診器を当てる。庭のここよりも奥にメガビョーゲンが行ったのはわかっている・・・だが・・・・・・?

 

(・・・あっちの方で、白いお水さんが泣いてるラテ)

 

「え・・・この奥じゃないの・・・?」

 

「あっちって・・・校舎・・・・・・?」

 

庭の奥だと思っていたメガビョーゲンは、ラテによると校舎の方で暴れているらしい。

 

しかし、何かがおかしい・・・・・・そういえばさっきのメガビョーゲンはこの辺りを蝕んでいただろうか・・・?

 

「メガビョーゲンはきっと二体いるんだペエ!!」

 

「だよな!! だって、俺たちだって奥の庭にメガビョーゲンが来たのを見たはずだろ!?」

 

ペギタンはメガビョーゲンは二体現れたことを推測。そうでなければ、先ほど自分たちが見たメガビョーゲンと、ラテの心の声が一致しない。

 

「でも、辺りが蝕まれていないのが気になるわ・・・・・・」

 

フォンテーヌはなぜラテがメガビョーゲンに反応しなかったのと、メガビョーゲンが通ったにも関わらずラテの向いた方向が蝕まれていないのかが気になり、不安そうな表情になる。

 

「ど、どうすんの・・・!?」

 

スパークルはフォンテーヌとアースに呼びかける。

 

「・・・私がグレースを追います。二人は校舎にいるメガビョーゲンをお手当てしてください!」

 

「そうね・・・二人で一体をやったほうが効率がいいものね」

 

「行こう!!」

 

こうして、アースはグレースの元へ、フォンテーヌとスパークルは校舎にいるメガビョーゲンを止めるべく動き出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、グレースは焦りのせいで動きに精彩を欠き、メガビョーゲンに苦戦を強いられていた。

 

「メガァァァァァァァ〜!!!!」

 

「ぐっ・・・うぅぅ・・・・・・!!」

 

メガビョーゲンはそんなグレースに五本の指から赤い光線を放つ。グレースは焦るあまりぷにシールドを出すタイミングを作れず、両腕で覆って耐え凌ぐしかない。

 

「メェッガァ!!」

 

「っ! きゃあぁ!! あうっ!!」

 

そこへメガビョーゲンがもう片方の拳を振るい、グレースを吹き飛ばして木に叩きつけた。

 

「うぅぅ・・・ぁぁ・・・」

 

「グレース!! しっかりするラビ!!」

 

グレースは倒れ伏したまま起き上がろうとせず、ラビリンの声にも反応せずに呻いている。

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみはその様子を黙って見つめていた。グレースがいたぶられるという光景を目の前に心を痛めながらも、険しい表情で見ていた。

 

「グレース・・・なんで諦めないんだ・・・・・・」

 

かすみは愛しのグレースに呼びかけるような感じで、ボソリと呟いた。その表情は少し顔を強張らせていて、頬に少し汗が浮かんでいた。

 

あのグレースを見ているのは辛い。本当は助けに行きたい。でも、ここで助けに出てもビョーゲンズから裏切りとみなされ、結局はグレースを、のどかを危険な目に合わせることになる。それだけは避けなくてはいけない。

 

そうでなければ、自分がビョーゲンズの一員になった意味がないのだ。

 

「メガァ〜!」

 

メガビョーゲンはノッシノッシと歩きながら、倒れ伏すグレースへと迫る。

 

「グレース!! グレース!!」

 

「ぅぅ・・・ぅぅぅ・・・・・・」

 

意識が朦朧としているのか、ラビリンの必死の呼びかけにも答えず、グレースは倒れ伏したまま呻いているだけであった。

 

そんな彼女の目の前にメガビョーゲンの巨体が近づいていく。

 

「メェェェェェ〜」

 

メガビョーゲンはその場で立ち上がると足を上げ・・・・・・。

 

「ガァァァァァ〜!!」

 

そのままグレースに向かって足を振り下ろした。このままグレースはメガビョーゲンに踏み潰される・・・・・・。

 

と、思ったその時だった・・・・・・。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「メッガァ!?」

 

そこへ駆けつけたアースが飛び出し、メガビョーゲンの胸に飛び蹴りを食らわせて後ろへと倒す。

 

「グレース!!」

 

アースはメガビョーゲンが倒れたのを確認すると、倒れ伏しているグレースへと駆け寄る。

 

「うぅぅ・・・ぅぅぅ・・・・・・」

 

「グレース!! しっかりしてください!!」

 

アースはグレースの体を起こすと彼女に呼びかける。すでに彼女の体はボロボロだった。

 

「ぅぅ・・・ア、アース・・・・・・」

 

グレースはアースが来たことに気づくと、抱きおこす彼女を払いのけてふらつく体を無理矢理起こしてステッキをメガビョーゲンに構える。

 

「私が・・・やらなきゃ・・・!!」

 

グレースはそう言うも、その目は霞んできていてメガビョーゲンにピントが合わずにいた。

 

「待ってください! グレース!!」

 

「っ・・・ダメ、私が・・・もっと、頑張らない、と・・・」

 

アースは彼女の背後から呼びかけるも、グレースはそれを否定してメガビョーゲンに向かって行こうとする。しかし、体がフラついていて体力も限界なグレースはバランスを崩してそのまま倒れそうになる。

 

「グレース!!」

 

アースはそのグレースの背中を受け止めた。

 

「ぅぅ・・・アー、ス・・・・・・」

 

「・・・・・・グレース」

 

顔を顰めながらもアースを見るグレース。そんなアースの表情は不安そうな顔を隠せなかった。

 

「・・・どうして焦るのです?」

 

「っ・・・!!」

 

「自分でも焦っていると気づいているのでしょう・・・?」

 

アースの言葉にハッとした表情を浮かべたグレースは口をつぐむと、顔を少し俯かせた。

 

「っ・・・だって、私がダルイゼンを生み出しちゃったから・・・しんらちゃんをクルシーナにしちゃったから・・・かすみちゃんもどこかにいなくなっちゃったし・・・このままだと地球が・・・・・・」

 

「っ!!」

 

「だから、私が何とかしなくちゃ・・・もっと頑張らなきゃ・・・・・・!!」

 

手を握りしめるようにしてそう話すグレースの言葉に、ラビリンは少し表情を暗くした。

 

「・・・グレースは、テラビョーゲンを作りたいと思ったのですか? クルシーナ、しんらさんをテラビョーゲンにしたいと思ったのですか?」

 

「っ・・・そんなこと、思わないよ!!」

 

アースの言葉にグレースは顔を上げて答えた。自分はテラビョーゲンを作りたいと思ったことはないし、一緒に病気を治そうとしてきた大事な友人をテラビョーゲンにしたいと考えたことは一度もなかった。

 

「そうですよね・・・あなたはそんなことを望みませんよね。金森さんの風邪と一緒です」

 

アースはそう言うと拳を強く握りしめたグレースの手を取り、彼女が倒れないように立たせる。

 

「全部あなたのせいではありません。だから、自分を責める必要も、あなたが傷つく必要もないのです。かすみさんのこともそう・・・私もいなくなった彼女のことは心配です。でも、だからこそ、いなくなった彼女の分は私たちがみんなで頑張ればいいのですよ」

 

「っ・・・!!」

 

「だから、私たちと一緒に頑張りましょう。一人で抱え込むことはなく。だって私たち、友達ではないですか」

 

アースにそう言われたグレースは握った拳を緩め、少しだけ彼女に微笑みかけた。

 

「・・・ありがとう、アース」

 

グレースはそうお礼を言うと、しっかりと立ち上がった。

 

「ふっ・・・・・・」

 

かすみはその様子を見て、密かに口元に微笑んだ。アースやみんなさえいれば、グレースは安心だと・・・そう確信したのだ。

 

そして、口元の笑みを隠すとメガビョーゲンに歩み寄る。

 

「メガビョーゲン!! さっさと立ち上がって、プリキュアを倒せ!!」

 

「メッ、ガ・・・・・・!」

 

かすみはそう命令すると、メガビョーゲンは巨大な体を起こす。

 

メガビョーゲンが立ち上がったことに気づいたグレースとアースは構える。

 

「メガァァァァァ〜!!」

 

メガビョーゲンは五本の指から赤いビームを放つ。グレースとアースはそれを飛んでかわす。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

「メガ!?」

 

二人は同時に蹴りを放って、メガビョーゲンを吹き飛ばす。

 

「メガビョォォォォォォ〜!!」

 

メガビョーゲンは肩の先端部分を上に向けて、音波を放つと無数の光弾を降り注がせる。

 

「ぷにシールド!!」

 

グレースはそれに気づくとアースの前に出て、肉球型のシールドを展開して着弾に備える。

 

ドォン、ドォン、ドォン、ドォンドォォォォォォォォン!!!!

 

光弾は着弾すると爆発を起こし、黒い煙が上がる。

 

爆発が収まり、一瞬静かになったと思うと・・・・・・。

 

「実りのエレメント!! はぁっ!!」

 

黒い煙の中からそう声が聞こえてくると、ピンク色の光弾が飛び出してくる。

 

「メェ〜!? メガァ!?」

 

不意をつかれたメガビョーゲンは肩の先端部分を使おう間もなく、光弾の直撃を受けた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「メェ〜!? メガ、ガッ・・・!?」

 

さらに黒い煙の中からアースが飛び出して胸に蹴りを入れると、メガビョーゲンは後ろによろけて倒れそうになる。

 

「ふっ!!」

 

「ビョッ、ビョビョビョ〜!?」

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

「ビョーゲン!?」

 

その隙にグレースがメガビョーゲンの体を使って背後へと飛ぶと、支えていた足の膝裏を蹴り、メガビョーゲンを背後へと倒した。

 

「・・・・・・倒されるのも時間の問題だな。次のフェーズに移ろう」

 

その様子を見ていたかすみはあのメガビョーゲンの役目は終わったと判断し、もう一つの持ってきていたチューバに目をつけた。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

グレースはメガビョーゲンが倒れている隙にステッキの肉球をタッチして、メガビョーゲンに向ける。ラビリンの目が光り、メガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「音のエレメントさんはあそこラビ!!」

 

エレメントさんは右肩部分にいる模様。場所は分かった、あとは浄化するだけだ。

 

アースは両手を合わせるように祈り、浄化の準備へと入る。

 

一枚の紫色の羽が舞い降り、ハープのような武器へと姿を変える。

 

「アースウィンディハープ!!」

 

そう呼ばれたハープに、風のエレメントボトルがセットされる。

 

「エレメントチャージ!!」

 

アースはハープを手に取って、そう叫ぶとハープの弦を鳴らして音を奏でる。

 

「舞い上がれ! 癒しの風!!」

 

手を上に掲げると彼女の周りに紫色の風が集まり始め、ハープへとその力が集まっていく。

 

「プリキュア! ヒーリング・ハリケーン!!!」

 

アースはハープを上に掲げてから、それを振り下ろすとハープから無数の白い羽を纏った薄紫色の竜巻のようなエネルギーが放たれる。

 

そのエネルギーは一直線にメガビョーゲンへと向かい、直撃する。

 

竜巻のようなエネルギーはメガビョーゲンの中で二つの手へと変化し、音のエレメントさんを優しく包み込む。

 

メガビョーゲンをハート状に貫きながら、光線はエレメントさんを外に出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていく。

 

「お大事に」

 

アースはメガビョーゲンを浄化した後、グレースへと駆け寄る。

 

「あとは校舎にいるメガビョーゲンだけです! 行きましょう!!」

 

「あぁ・・・ぁぁ・・・・・・」

 

アースはそう言うが、グレースはなぜか呆然とした表情のまま動かない。

 

「グレース!? どうしたのですか!?」

 

「ア・・・アース・・・・・・」

 

グレースは震える声で呟くように言うと、向いている方向に指を震わせながらも差す。

 

「あ、あれを見て・・・・・・」

 

「え・・・・・・!?」

 

アースはグレースの言う通りに振り向くと、その表情は驚愕に包まれた。

 

周囲を見渡してみると、多くの木や地面が真っ赤に染まっており、病気に蝕まれていたのだ。

 

「な、何なのですか・・・これは・・・!?」

 

「どういうことラビ・・・!?」

 

アースやラビリンは驚きを隠せなかった。メガビョーゲンは確かに浄化したはず・・・なのに、どうして周りが病気に蝕まれているのか・・・!?

 

グレースとアースは思考が追いつかずにいると・・・・・・。

 

「あの程度で私に勝ったつもりか?」

 

「「っ!!」」

 

声がする方向に振り向くと、そこにはフードの少女ーーーーかすみと・・・・・・。

 

「メガビョォ〜・・・!!」

 

そこには微量な音波を放っている、先ほど浄化したのと同じように、金管楽器のような体に、両肩からそれぞれ3本の先端部分、真ん中から先端部分から顔を出しているようなメガビョーゲンの姿があった。

 

かすみは二人が一体のメガビョーゲンに気を取られているうちに、もう一体メガビョーゲンを生み出していたのだ。

 

「・・・音楽というものではこう言うんだったかな?」

 

かすみはそう言った後、息を少し吸い込んだ後にこう口を開いた。

 

「第二楽章の始まりだ」

 

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