ヒーリングっど♥プリキュア byogen's daughter   作:早乙女

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前回の続きです。今回で原作第29話は完結です。
次回はオリストを挟みます。そのあとに原作第30話に入りたいと思っております。


第97話「信頼」

 

正体を気取られていないかすみが生み出したメガビョーゲンと対峙するプリキュアたち。

 

「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」

 

「メガァァァァァ〜・・・・・・!!!!」

 

メガビョーゲンに一斉に飛びかかるプリキュアたち。メガビョーゲンは頭上を見上げると音波を放ち、無数の光弾を降り注がせる。

 

「「うっ・・・・・・!!」」

 

「「あぁぁ・・・・・・!!」」

 

4人はそれぞれ光弾を飛ぶようにかわしていくと、一旦背後へと飛び退き、地面に着地をすると息もつかずにメガビョーゲンへと駆け出していく。

 

「メガビョォォォォォォ・・・・・・!!!!」

 

メガビョーゲンは両肩、胸、片手にある先端部分から赤いビームを照射していく。

 

4人は赤いビームを走りながら避けていき、メガビョーゲンヘと迫っていく。

 

「雨のエレメント!!」

 

フォンテーヌは雨のエレメントボトルをセットする。

 

「はぁっ!!」

 

フォンテーヌは走りながら、雨粒を纏った青い光線をメガビョーゲンに目掛けて放つ。

 

「メガァ・・・ビョォォォォ〜・・・!!!!」

 

メガビョーゲンは右手で光線を防ぐと、左手の先端から赤いビームを放つ。

 

「っ・・・!!!」

 

フォンテーヌは赤いビームを飛んでかわす。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「メガ・・・!?」

 

その隙を狙ってアースが右肩に蹴りを入れてよろつかせる。

 

「やぁっ!!!」

 

「ビョ、ビョーゲン・・・・・・!?」

 

さらにスパークルが黄色い光線を顔面に放って、メガビョーゲンを怯ませる。

 

「ふっ・・・はぁぁぁぁっ!!」

 

「メッガァ!? メガァァァ〜!!!」

 

グレースはその間にメガビョーゲンの背後へと飛んで、脇腹に蹴りを入れるも、メガビョーゲンはグレースに目掛けて口から音波を放つ。グレースは直撃する前に、瞬時に飛んでかわす。

 

「はぁぁぁっ!!!」

 

「メガァ・・・!?」

 

背後にまわったフォンテーヌが背中から蹴りを入れ、メガビョーゲンを吹き飛ばすも、踏ん張ったメガビョーゲンは振り向きざまに口から音波を放っていく。

 

「やぁぁぁぁぁっ!!!」

 

そこへスパークルが音波を掻い潜って、メガビョーゲンヘと飛び、拳をお見舞いしようとする。

 

「メガァ!! ビョーゲン・・・!!!」

 

「あぁぁっ!!!」

 

メガビョーゲンは拳で応戦し、スパークルを力任せに吹き飛ばす。

 

「スパークル!!」

 

音波を避けたフォンテーヌが吹き飛ばされたスパークルを背後から受け止める。入れ替わりにグレースとアースが飛び出していく。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「メガァ・・・!?」

 

二人は同時に飛び蹴りを放って、胸に直撃させられたメガビョーゲンはさらに吹き飛ばされる。

 

「メガビョォォォォ〜・・・!!!!」

 

しかし、メガビョーゲンは倒れないように負けじと踏ん張り、さらに赤いビームを放っていく。

 

「うっ・・・・・・!!」

 

「あぁっ・・・・・・!!」

 

「うわぁっ!!」

 

「うぅぅ・・・・・・!!」

 

プリキュアたちはぷにシールドを張るなりして、ビーム攻撃を耐え凌ぐ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「随分とタフなメガビョーゲンだな・・・!!」

 

「あんまりダメージ通ってないとかないよね・・・!?」

 

プリキュアたちは連戦で体力を消耗しており、息も絶え絶えだった。そんな中、ニャトランとスパークルがそうぼやいた。今日、今まで戦ったメガビョーゲンよりも大きいので、成長した分、強力になっているかもしれない。

 

「でも、やらないとペエ・・・・・・!!」

 

「そうよ・・・! 一緒にやれば、少しでも突破口はあるんだから・・・!!!!」

 

フォンテーヌとペギタンは闘志を失ってはいなかった。

 

「バラバラで立ち向かってもダメなら、一緒に力を合わせるラビ!!」

 

「うん!!」

 

ラビリンの言葉に頷くグレース。

 

「私も参ります!!」

 

アースはハープを構えながらそう言った。

 

「実りのエレメント!!」

 

「氷のエレメント!!」

 

「雷のエレメント!!」

 

「空気のエレメント!!」

 

プリキュアの4人はそれぞれ持っているエレメントボトルをセットする。

 

「「「はぁっ!!!!」」」

 

アース以外の三人はメガビョーゲンを三方向に囲むように立つと、一斉にそれぞれの色の光線を放った。

 

「メガァビョォォ!?」

 

光線は同時にメガビョーゲンに直撃し、爆発を起こす。

 

「ふっ!!!!」

 

そこへアースがハープから大きな空気の弾を放つ。

 

「メガァ〜・・・・・・ビョォォ!?」

 

メガビョーゲンは背中に当たった空気の弾によって空中に打ち上げられ、割れたと同時に地面へと落下した。

 

キュン!

 

「「キュアスキャン!!」」

 

グレースが肉球を一回タッチして、メガビョーゲンに向ける。ラビリンの目が光り、地面に倒れているメガビョーゲンの中にいるエレメントさんを見つける。

 

「音のエレメントさんはあそこラビ!!」

 

エレメントさんはメガビョーゲンの右胸あたりにいるのを発見した。

 

「メッガァ・・・メガァァァァ〜!!!!」

 

メガビョーゲンは上半身だけ起き上がらせると口から音波をプリキュアに目掛けて放つ。

 

「うっ・・・うぁぁ!!!」

 

「ぐっ・・・あぁぁ!!!」

 

「うっ・・・きゃあぁ!!!」

 

音波はプリキュアに当たると攻撃が体に作用し、プリキュア三人の体は大きく吹き飛ばされる。

 

しかし、諦めない三人は吹き飛ばされた勢いを利用して、一回転すると木を蹴ってメガビョーゲンヘと飛ぶ。

 

「メガァ・・・・・・!!」

 

メガビョーゲンは両肩、胸、片手にある先端部分をそれぞれ向けて赤いビームを放つ。

 

「っ・・・うっ・・・!!」

 

「ふっ・・・はっ・・・!!」

 

「うわぁっ・・・よっ・・・!!」

 

三人は空中で体を動かしながら、赤いビームを避けてメガビョーゲンへと飛んでいく。

 

「はぁっ!!!!」

 

「メッ、ガ・・・ガァ・・・!?」

 

それを止めようとアースがメガビョーゲンの足元へと駆け出し、背後へと回ると膝裏を蹴りを入れてバランスを崩させる。

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」

 

「ビョーゲン・・・!?」

 

そこへグレースたち三人が同時に飛び蹴りを放ち、メガビョーゲンを再び背後へと蹴り倒す。

 

「今です!!皆さん!!」

 

アースの言葉を合図に、グレースたち三人はミラクルヒーリングボトルをステッキにセットする。

 

「「「トリプルハートチャージ!!」」」

 

「「届け!」」

 

「「癒しの!」」

 

「「パワー!」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの順で肉球にタッチしていき、ステッキを上に掲げる。すると、花畑が広がっていき、背後には自然豊かな森が広がっていく。

 

「「「プリキュア! ヒーリング・オアシス!!」」」

 

3人は一斉にメガビョーゲンへとステッキを構え、ピンク・青・黄色の3色の光線が螺旋状になって放たれる。螺旋状の光線は混ざり合いながら一直線にメガビョーゲンに直撃する。

 

螺旋状になった光線はそれぞれの色の手へと変化して、3本の手が音のエレメントさんを優しく包み込んでいく。

 

3色に光るハート状にメガビョーゲンを貫きながら、光線はエレメントさんをメガビョーゲンから外へと出す。

 

「ヒーリングッバイ・・・」

 

メガビョーゲンたちは安らかな表情でそう言うと、静かに消えていった。

 

「「「「「「お大事に」」」」」」

 

音のエレメントさんが宿っていたチューバへと戻っていくと、蝕まれた場所は元に戻っていく。

 

「・・・・・・・・・ふん」

 

かすみはその様子を見て何も言わずに踵を返して立ち去ろうとする。

 

「待って!!!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

そこへグレースの引き止める声が聞こえ、足を止めて振り向くとそこにはプリキュアの4人が立っているのが見えた。

 

「カスミーナ・・・いや、かすみちゃん。本当はかすみちゃんなんだよね?」

 

「っ・・・・・・」

 

グレースの困ったような笑みを浮かべた問いかけに、かすみは顔を顰める。

 

「みんな、心配してたのよ・・・あなたのことを・・・!」

 

「かすみっち、一緒に帰ろうよ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

フォンテーヌとスパークルは悲しそうな表情を浮かべながらそう言うも、かすみは黙って彼女たちを見つめていた。

 

どうやら自分がかすみだということを察している様子。やはり姿を見せたのはあまりいいことではなかった。フード姿はどうせ見られているし、顔を隠せばわからないと思っていたが、この4人は自分がわかっているかのようなことを言っている。

 

こうなったら徹底的に突き放すしかないと、かすみは考える。

 

かすみはプリキュアたちの言葉に何も答えず、再び前を向くと歩き去ろうとする。

 

「っ、待ってよ!!!」

 

「っ・・・!!」

 

「!? あぁ!!」

 

グレースは駆け寄ろうとしたが、かすみは振り向きざまに黒いステッキをプリキュアに向ける。突然向けられたことで、グレースは尻餅をついてしまう。

 

「か、かすみちゃん・・・?」

 

「・・・邪魔をするな、プリキュア」

 

グレースは戸惑いの声を上げ、対するかすみは睨むながら冷たい声でそう言った。

 

「ど、どうして、かすみちゃん・・・・・・」

 

「私はカスミーナだ。プリキュア、次はこうは行かないぞ」

 

震える声でそう呟くグレースに、かすみはそう言い放つとステッキを引っ込めて踵を返して歩き去ろうとする。

 

「かすみさん!! どうしてですか!? どうしてこんなことを!? 私たちは、友達ではなかったのですか!?」

 

かすみの行いに心を痛めたアースは、思いの丈を耐えきれずに叫ぶ。しかし、かすみはそれに答えることなく歩いていく。

 

「かすみ!!」

「かすみっち!!」

 

「・・・私は、カスミーナだ・・・!!」

 

フォンテーヌとスパークルが叫ぶも、かすみはプリキュアたちに聞こえない声でそう呟くとその場から姿を消していった。

 

「かすみちゃん・・・・・・どうして・・・??」

 

「かすみ・・・・・・」

 

グレースは泣きそうな声でそう呟き、フォンテーヌも心を痛めながらそう呟く。他の二人もかすみが去った後を呆然と見つめるしかなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかたちの学校の校舎を後にしたかすみは、キングビョーゲンの娘たちがいるアジトへと帰ってきていた。

 

フードを取り、病院の外に立っているかすみ。すると、急にかすみは膝をついて顔を手で覆い始める。

 

「ヒック・・・グスッ・・・のどかぁ・・・のどかぁ・・・」

 

嗚咽を漏らし、愛しののどかの笑顔を浮かべながら彼女の名前を呼ぶ。本当はあんなこと言いたくなかったのに・・・本当は彼女の手を取りたかったのに・・・・・・。

 

「すまない・・・すまない・・・!!」

 

かすみはのどかたちに謝罪の言葉を呟きながら、しばらくは声を震わせて泣いていた。

 

数分後、ようやく泣き止んだかすみは流した涙を拭うと、ビョーゲンズにかっこ悪いところは見せられないと険しい表情を浮かべ、廃病院の中へと入っていく。

 

「ご苦労様です、カスミーナ」

 

「・・・・・・ああ」

 

廊下で歩いているとドクルンと出会い、適当に挨拶を交わすと自身の部屋へと戻っていこうとする。

 

「ああ、ちょっと」

 

「・・・・・・何だ?」

 

ドクルンの手が自身の肩を置かれると、かすみは立ち止まって振り向く。

 

「私に、ちょっと付き合ってくれませんか?」

 

「・・・・・・実験か?」

 

「いいえ、あなたに渡したいものがあるんです」

 

「??」

 

ドクルンが笑みを浮かべながらそう言うと、かすみは首を傾げた。

 

かすみはそのままドクルンの部屋へと連れて行かれ、丸い椅子に座らされていた。辺りを見渡すと小学校にある理科室の机のような長い机に、棚には不気味なものがたくさん置かれていた。

 

「お待たせしました」

 

「ドクルン、渡したいものは何なんだ?」

 

「今から渡します。手のひらを出してください」

 

かすみの問いに、躊躇なく答えるとドクルンは彼女の手の上に渡すものを落とす。

 

「? これは・・・?」

 

「ミサンガです」

 

「ミサンガ・・・?」

 

かすみが不思議そうに見つめていると、ドクルンがそう答えた。

 

「まあ、言わば編み物みたいなものです。人間の世界では縁起担ぎのために身につけるものらしいですよ」

 

「・・・そうなのか?」

 

「ええ・・・紐が切れたら、願いごとが叶うというジンクスがあるんです」

 

ドクルンはわかっていないかすみに説明してあげる。自身も人間だった時に、ある友人にもらったことがある。縁起を担ぐという意味で、ドクルンが思い出してかすみのために作ったのだ。

 

「よくわかったが・・・なぜ私に・・・??」

 

「・・・あなたとの縁を切りたくないんです」

 

「?? っ!?」

 

かすみはなぜこれを私にくれるのか? そう疑問に思っていると、ドクルンはそう呟いてかすみを優しく抱きしめた。

 

「な、何を・・・!?」

 

「あなたは大変素晴らしいビョーゲンズです。私よりも優秀で、誰よりも真面目です。そんなあなたがどこかへ行ってしまいそうな気がして・・・・・・任務中も寂しかったんです。あなたと離れるのが・・・・・・」

 

かすみは突然の行動に戸惑うも、ドクルンは何とも言えないような表情を浮かべながら、心情を吐露する。

 

「私と・・・私たちと・・・いつまでも一緒にいてください、カスミーナ。あなたは、私たちの大切な仲間なんですから・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

かすみはキングビョーゲンの娘を・・・ビョーゲンズを嫌いなはずなのに、ドクルンを引き剥がすことができなかった。それどころか彼女からは暖かさすらを感じる。

 

大切な仲間・・・・・・それを聞いた途端、かすみの中に何かほっこりとした何かを感じた。

 

ビョーゲンズと接して、こんな感情を抱くことになるなんて・・・・・・。

 

かすみは好きと嫌いが入り混じったような複雑な感情を抱き、表情も困ったような悲しいものになっていた。

 

「あ・・・ごめんなさいね。つい私も感情的になって・・・!!」

 

ドクルンは苦笑いを浮かべながら、かすみの体から離れる。

 

「付き合ってくれてありがとうございます。今日はゆっくりと休んでください」

 

満足したドクルンは踵を返すと部屋へと変えるように促し、かすみから離れていく。

 

「っ・・・・・・・・・」

 

そんなドクルンの背中が、かすみには寂しそうに感じたのであった。

 

ドクルンの部屋を後にし、部屋へと戻ったかすみはベッドの上で考え事をしていた。

 

「ドクルン・・・・・・」

 

あの時のドクルンの寂しそうな笑顔が忘れられない。今までダルイゼンやシンドイーネといった他のビョーゲンズには見られなかった顔だ。

 

「あいつ・・・寂しそうだったな・・・・・・」

 

かすみは眉をハの字にしながらそう呟く。ドクルンは仲間と、クルシーナと一緒にいるはずなのに、何だか寂しそうだ。みんなと一緒にいるのに、一人でいるような感じがする。

 

「ドクルンはミサンガを知ってた・・・もしかして、約束してた人がいたのか・・・??」

 

ミサンガは縁起を担ぐようなもので、切れれば願いが叶うと説明してくれた。縁を切りたくないから、かすみにミサンガを渡した。それを知っているということは、彼女からそれが渡されたということは、ドクルンは誰かと約束してた人がいたんじゃないか、そう考える。

 

・・・まあ、所詮は私の推測だ。気にすることはない。

 

「・・・・・・今日はもう寝よう」

 

かすみは考えるのをやめ、体を横にすると眠りに落ちていくのであった。

 

一方、自身の部屋にいるドクルンは・・・・・・。

 

「・・・カスミーナ、寂しそうだったわね。私と一緒で」

 

地球を蝕みに行った際に、あの学校の生徒から抽出した赤い靄を使って、何かを作ろうとしていたが、一方でかすみのあの様子も考えていた。

 

実は、ドクルンは病院の外でかすみが泣いている姿を見ていたのだ。クルシーナやイタイノンでさえ、あんな様子を見せたことはない。ビョーゲンズなのに、あんなに嘆いて、あんなに落ち込んでいる姿を見るのは、同種族の中で見るのは初めてだ。

 

「そりゃそうよね。元々一緒にいた仲間と離れることになったんだから。でも、私たちとプリキュアは相容れぬ運命。どうせ合うわけがないのよ」

 

ドクルンはぶつぶつと独り言を呟きながら手を動かす。

 

「・・・あの娘には、寂しくならないようにもっと支援してあげないとね」

 

ドクルンはそう言いながら、手に持っている何かにそっくりなボトルを製成し始めているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

朝のランニングに出ようとしているのどかは俯きながら、スニーカーの紐を締めていた。

 

「・・・・・・かすみちゃん」

 

この場にはいない、友達の名前を呟く。その声は少し暗めだった。

 

「のどか・・・大丈夫ラビ・・・?」

 

「っ! う、うん・・・大丈夫だよ・・・」

 

ラビリンがバッグから顔を出しながら心配すると、のどかの声は眉をハの字にしつつも、笑みを浮かべて答えた。

 

「かすみは・・・何か事情があったに違いないラビ。そうでなかったら、ビョーゲンズのような行いなんかするわけがないラビ・・・」

 

ラビリンは不安そうな表情をしながらそう答える。優しいかすみが何の理由もなく、メガビョーゲンを召喚するわけがないと・・・のどかたちプリキュアを攻撃するわけがないと・・・そう信じたいのだ。

 

「・・・うん、そうだね」

 

のどかはラビリンの励ますような言葉に、少し笑みを浮かべる。パートナーのラビリンの言葉には、いつも心を洗われているような気がした。

 

「時間、前と同じに戻したんだね」

 

「っ!?」

 

そこへのどかの父・たけしが声をかけ、ラビリンは慌ててバッグの中に隠れる。たけしの側にはラテを抱いた母・やすこの姿もあった。

 

「うん! ちゆちゃんが私にぴったりのランニングメニューを考えてくれたの♪」

 

のどかはそう答える。ちゆがのどかのためにと思って、無理のない朝のランニングメニューを考案してくれたのだ。現在は時間を元に戻して、ランニングを続けようとする意向だ。

 

「ひなたちゃんにおすそ分けしてもらった、果物とレシピでジュースを作って待ってるから♪」

 

「ふわぁ〜、楽しみ♪」

 

やすこは笑みを浮かべながらそう言う。ひなたものどかのために栄養がつくようなジュースを考え、レシピをのどかに渡してくれたのだ。

 

「のどかは友達に恵まれてるな」

 

「うん! とっても♪」

 

たけしの言葉に、のどかは笑顔で答える。

 

「では、行きましょうか♪」

 

「はーい♪ お待たせ♪」

 

外で待っていたアスミが呼びかけると、のどかは返事をして外に出る。

 

「・・・・・・のどか」

 

「ん?」

 

「かすみさんのことは・・・・・・」

 

アスミは暗い表情で、敵となってしまったかすみのことを言おうとする。

 

「・・・わかってるよ」

 

「っ?」

 

「私は友達を信じたい・・・だって、かすみちゃんは一緒に戦った大切な仲間だもん。訳もなくビョーゲンズになるわけがない。かすみちゃんが優しいのは私も知ってるもん。あのときは頭の中が真っ白になっちゃったけど・・・それでも私はかすみちゃんを信じたい」

 

「っ!!」

 

アスミはのどかが落ち込んでいるであろうと考えていたが、どうやら杞憂だったようだ。のどかはかすみを信じることにして、前に進もうとしていた。

 

実は、ちゆとひなたものどかに対して似たような言葉を発していた。

 

『私は・・・かすみが敵になったなんて認めないわ・・・!! きっと何か事情があるはずよ!! 友達を信じられないなんて、友達失格だものね・・・!!』

 

『かすみっちは、あたしと笑ってくれる大切な友達だもん!! そんなかすみっちがビョーゲンズの仲間になるなんて思いたくないし!! 例えビョーゲンズだとしたって、かすみっちはかすみっちだよぉ!!』

 

のどかが自分を信じたのと同じように、ちゆやひなたも自分のことを信じた。いつまでも立ち止まらず、前に進むために・・・・・・。

 

アスミはそんなのどかに安堵の笑みを浮かべる。

 

「そうですね。私もかすみさんは信じたいです。かすみさんは、避けていた私を友達だと信じていた大切な仲間です。私も、のどかたちと一緒に前を進まなくてはならないのかもしれませんね」

 

「ふふっ♪」

 

アスミはそう言うと、お互い笑みを浮かべて微笑んだ。

 

「さあ、一緒に走りましょう♪」

 

「うん、今日からよろしくね♪」

 

「はい♪ 無理をしないで、一緒に頑張りましょう♪」

 

アスミもトレーニングウェアに着替えていた。のどかが無理をしないように、アスミがサポートすることで一緒に頑張ろうと考えたのだ。

 

のどかとアスミは一緒にすこやか市の街を駆け出していく。

 

(かすみちゃん・・・・・・私、信じてるから。かすみちゃんが人を苦しめるような悪いことをするのを望んではいないって・・・!)

 

のどかはランニングをしながらそう考える。思いつくのはかすみのこと、そして・・・・・・。

 

(しんらちゃん・・・私、もっと強くなって・・・絶対に取り戻してみせるから・・・!!)

 

そして、ビョーゲンズになったしんらを取り戻すことを誓った。

 

(かすみさん・・・あなたは今、何を思っていますか?)

 

アスミはビョーゲンズと一緒にいるであろう、かすみに思いを馳せるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ビョーゲンキングダム・・・・・・ビョーゲンズだけしかいない世界に、一人の来訪者が現れていた。

 

「相変わらず、赤い空が広がっているだけの閑散とした世界だねぇ・・・美しくない・・・・・・」

 

その人物はどうやら不快感をあらわにしているようで、心底この世界に来たくないというような声を出していた。

 

「みんな、僕のように美しくあればいいのに・・・!! でも、あいつらみたいな醜い連中は、美しさどころか反吐が出る・・・!!」

 

誰のことを言っているのかは知らないが、その人物はあいつらに会いたくない・・・そんな嫌悪感を感じるような言葉を言っている。

 

「その中で、キミだけは誰よりも美しいよ・・・・・・クルシーナ」

 

その人物はクルシーナの名前を呟き、まるで彼女の顔を思い浮かべたかのように目をキラキラとさせる。

 

「キングビョーゲン様も美しいけど・・・クルシーナ、キミはもっと素敵さ・・・!!」

 

その人物はフラフラと踊りながら、ある場所へと向かっていく。赤く広がっていく世界を進んで行きながら、クルシーナに想いを馳せながら、ワクワクしたように向かっていく。

 

「愛しの姫・・・・・・今すぐに、会いにいくよ・・・!!」

 

広がる赤い空に彼女を思い浮かべながら、そう呟いた。

 

一方、廃病院のアジトでは・・・・・・。

 

「っ!!?? うっ・・・」

 

ゾゾッ・・・!! ブルブルブル・・・・・・。

 

テレビを見ていたクルシーナが急に顔を青ざめさせて、両手で体を抱きしめた。その体はカタカタと凍えるかのように震えている。

 

「・・・どうしたの?」

 

彼女の隣でテレビを見ていたイタイノンが異変に気付いて声をかける。

 

「な・・・なんか、寒気がしたんだけど・・・・・・」

 

「??」

 

「誰かがアタシの名前を連呼しながら、気持ち悪いことを言っている気がする・・・・・・」

 

クルシーナは体を震わせながらそう言う。どこからか強烈な悪寒がし、それを体で感じ取ったのだ。

 

「クルシーナの感は鋭いから当たるけど・・・・・・」

 

「・・・・・・たまに変な電波を受信することがあるの」

 

それをカチューシャのネムレンが呟き、イタイノンは呆れたように見ていた。

 

「・・・もう今日は部屋に戻るわ」

 

「お気に入りの昼ドラ、もうすぐ始まるの。見ないの?」

 

立ち上がってその場を去ろうとするクルシーナに、イタイノンは声をかける。

 

「寒気のせいでそんな気分じゃないわ。もう寝る・・・・・・」

 

クルシーナは振り向いてそれだけ言うと、その場から歩き去っていった。

 

「・・・・・・・・・」

 

イタイノンはその様子を何とも言えない表情で見つめていた。

 

「・・・・・・もしかして、あいつが帰ってきたんじゃないかウツ?」

 

「思い出させんな!! あいつの顔なんか考えたくもないんだからさ!!」

 

帽子のウツバットが思いついたことを呟くと、クルシーナは怒って話を打ち切ろうとする。

 

(まさか・・・・・・本当に来たわけ・・・・・・?? まさかね・・・・・・)

 

とはいえ、クルシーナもこの悪寒からそう考えていたが、その人物の顔やことを一ミリも思い出したくないし、考えたくもない彼女は気のせいだと思い込んでしまったのであった。

 

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