アニメ本編はなかなかマニアックな機体も出てきて楽しいですね。
一応このSSの時系列はアニメ本編よりも前という設定で書いています、その設定が生かされることがあるのかは解りませんが・・・
文才が無いのでお目汚しになってしまうかも知れませんが、楽しんでいただけたら幸いです。
大小さまざまなビルが立ち並ぶ市街地、そこにズシンズシンと大きな音を立てて地響きが起こる。
その震源を探ってるとビルの陰から巨人が現れた。
緑色をしたその巨人は道路の向こう側に立っていたもう一機の白い巨人を赤く光る大きな一つ目で確認すると右手に持った機銃の銃口を向け、引き金を引く。
ドドドドドドと音を立てて銃口から弾丸が白い巨人に向かって発射される。
白い巨人はそれを左腕に装備された盾で防ぎつつ右肩に担いでいたバズーカの砲口を緑色の巨人に向けると狙いを定めて引き金を引く、バズーカから発射された弾頭は真っ直ぐに緑色の巨人に直撃し、大爆発が起こる。
-BATTLE END-
電機音声と共にモニターに試合終了を意味する文字が表示されると、今まであった市街地の風景が消え、六角形の台座が蜂の巣のように並べられたフィールド上には先程まで戦闘を行っていたバズーカを担いだ白色の巨人-ジム改-と哀れにも腕と胴体が外れ横たわる緑色の巨人-ザクⅡ-があった。
「よっしゃあ!」
台の近くでジム改をコントロールしていた方の青年がガッツポーズをとる。
対してザクⅡをコントロールしていた青年がザクⅡであったものを回収すると悔しそうな顔をしながら台の前から外れる。
いままでステージの上でドンパチやっていたのは実際の兵器ではない。
ガンダムの世界に出てくる兵器を模したプラモデル、いわゆるガンプラである。
1979年に放送された「機動戦士ガンダム」はロボットアニメ史に残るブームを起こした。
ガンダムの放映終了後発売されたガンプラもブームを巻き起こし、さらに近年発見された「プラフスキー粒子」が新たなムーブメントを引き起こす。
この粒子はガンプラに使用されているプラスチックに作用し、自由に動かすことができるようになるというものであった。
自分の手で機体を自由に動かせるというのはガンダムファンの長年の夢でもあり、この粒子を使ってガンプラ同士を対戦させるガンプラバトルは瞬く間に世間に浸透していった。
「どうだ、面白そうだろ?」
「ああ、実際に稼動しているところを見るのは初めてだけどやっぱり人気なんだな。」
ジム改を持った青年に話しかけられ、ガンプラバトル専用の台座(バトルシステム)に群がる人々を見渡してみると本当にそう思う。
現在ガンダムを知る者にとってガンプラバトルを知らないものは居ないほどに世間を席巻していた。
元々ここも街の片隅によく見る様なゲームセンターであったが、ガンプラブームに乗ってバトルシステムを設置したところ途端にお客が入るようになった。
「空もやってみるか?」
「でも俺ガンプラ持ってないし。」
俺の名前は春日井 空、都内の大学に通う大学1年生だ。
大学から近いこのゲーセンにはよく戦場の絆やEXVSなどガンダムのゲームをよくやりに来ている。
今日は同じ大学の友人である仁に誘われガンプラバトルを見学しに来た次第だ。
しかしガンダムは好きだが、ガンプラにはあまり触れてこなかった俺はガンプラバトルも傍観を決め込んでいたため、勿論ガンプラなど持っていなかった。
「じゃあ俺のジム改貸してやるからやってみろって!」
「お、おい!」
仁にそう言われ強引にジム改とGPベースを渡されると、背中を押してバトルシステムの前まで連れていかれた。
「壊しちまうかも知れないぞ!」
「そんときゃ直すから心配するなって。」
-PLEASE SET YOUR GPBASE-
バトルシステムの前に立つと青いモニターに文字が表示される、GPベースとは作ったガンプラの情報、ビルダー(製作者)やファイター(操縦者)の情報が登録されてある端末で、先ずはこれをバトルシステムに接続しなければならない。
-PLEASE SET YOUR GUNPLA-
相手もGPベースをバトルシステムに接続すると、バトルシステム上にプラフスキー粒子が散布された。
そしてバトルシステム上にさっき預かったジム改を置き、これで準備完了、ガンプラの読み込みが完了するとジム改の周りにCGによるカタパルトが再現される。
一回興味本位で覚えたガンプラバトルの操縦のしかたを頭の端っこから引きずり出してきて操縦桿を握りながら反芻する。
-FIELD FOREST-
続いてバトルシステム上に森の風景を再現したフィールドが展開される。
-BATTLE START-
ジム改がカタパルトにより空に射出される。
地面に着地し、周りを見渡すが鬱葱と茂る木々が視界を遮り敵機は目視では確認できない。
「こう鬱葱としてちゃあ周りの視界を確保するだけで手一杯だな。」
周りを注意しつつ慎重に森の中を進む、
静かな森の中をMSの歩行音が鳴り響く、すると突然
ダダダダダダ!!
木々の向こうから銃声と共に銃弾が跳んできた。
「くそ!もうロックされてるのか!?」
気づいた瞬間ブーストを使い横に避けると、銃弾が跳んで来た方向へ向けバズーカを放つが当たった様子は無い。
反応が遅れた為胴体と左肩に数発被弾したが幸い大したダメージじゃない、しかし問題は視界が悪く敵がどこにいるかわからないことだ、一発の威力が低いマシンガンといえども何発も食らえば墜とされてしまう。
「どうする?」
とっさにステージマップを開き打開する為の戦術を考える、幸い相手方も安易に位置を教えるのを避ける為か攻撃してこない。
狙い撃ちにされないよう止まらずに動きながら思考しているとステージの端に開けた場所があるのを発見する。
「ここは・・・、使える!」
そう呟くとジム改の突然方向を変え、ブーストを使い移動し始めた。
「あいつ、何をするつもりだ?」
試合の様子を見ていた仁、劣勢の空が何かを思いついたようだが彼にはわからなかった。
傍から見れば突然の空の行動は敵前逃亡にも思えるものだったが、空にはちゃんとした策があった。
敵機はじわじわと見えない位置からマシンガンを打ち続ける戦法を取ったということは自ら近づいてくることはなく、常に一定の距離を保ちこちらを見ている。
周りは木々が生い茂っているから隠れる場所は自機の360°あると思っていい。
しかしこちらが開けた場所に出れば隠れられる方向は決まってくる。
「あとは!」
開けた場所に着くとジム改は空中に向かいジャンプした。
MS同士の戦闘において無闇にジャンプすることは愚作である、滞空中は完全に無防備であり着地直後は隙だらけになってしまうからである。
勿論ガンプラバトルの経験者ならそのことはわかっており、敵方もジャンプしたジム改目掛けてマシンガンを放つ。
pppppp!!
「そこだ!」
被攻撃時のアラートを確認すると機体を反転させ銃撃をシールドで防ぐと銃撃が発せられてる地点にバズーカを撃つ。
バズーカ弾の爆発は着弾点の周りの木々を薙ぎ倒しながら地面を抉り、土煙を巻き起こした。
「やったか!?」
地面に着地すると煙舞い上がる着弾点を見やる、だが敵機の撃墜には至らず煙の中からMSが姿を見せる。
特徴的なモノアイと一本角、両肩に備えたスパイク・・・
「B2グフだと、随分マニアックな!?」
機体を見た仁が驚く、
-B2グフ-
一年戦争時開発されたグフのカスタム機であり、「MS-07B グフ」と「MS-07B3 グフカスタム」の中間的機体である。
外見的には左手がフィンガーバルカンから通常のマニピュレーターに変更されている以外目立った違いは無いが、細部の装甲が強化されていたりする。
ジオン公国軍のヴィッシュ・ドナヒュー中尉の搭乗した機体が有名。
「ロックしてしまえばもうあの戦術は使えまい!」
「くそ、こうなったら!」
先程までの戦術は一方的に敵機を捉えられているからこそ有効であり、こうやって姿を顕わにして敵機に捉えられては優位性を失う、敵を燻り出すことが空の策だったのだ。
グフのファイターもそれは承知しているのだろう、装備していたザクマシンガンを放り投げると腰部に装着していたヒート剣を抜く。
森での戦術が敗れたとはいえグフの本領は近接戦だ、油断は出来ない。
しかし、バズーカの爆風に耐え得るあの装甲はビーム兵器でなければ貫くのは簡単じゃない、どちらにしろ懐に入り込まれれば取り回しの悪いバズーカは邪魔だ。
そう判断した空はバズーカを捨てるとバックパックからビームサーベルを抜く。
「グフに接近戦だと!?」
「面白い、一刀両断してくれる!!」
無謀だと驚く仁をよそに二人はブーストで一気に距離を詰める。
「うおおおお!!」
グフが赤く発熱したヒート剣を横に薙ぐ、ヒート剣の一閃はジム改のシールドをバターの様に切り裂く。
しかし・・・
「なに!?」
グフが切り裂いたのはシールドだけでジム改は無傷だった、というのも空はグフの間合いに入った瞬間シールドから手を離し機体を一歩下げていた。
「終わりだ!」
両手でヒート剣を振って隙が出来た腹部にジム改のビームサーベルが刺さる。
モノアイの光が消え、脱力したように倒れるとグフは爆発した。
「な、なんだと・・・」
-BATTLE END-
試合終了の電機音声が鳴り響くと試合を観ていた人々の静寂は空を称える歓声に変わる。
「すっげえ!!」
「最後のところの動きなんて見たことねぇよ!」
「ふぅー、ん?」
戦いに集中していたのか空が歓声に気づいたのは溜息を一つついて落ち着いた後だった。
「すげーじゃねーか空!」
「おう仁。」
そんな空に近づき試合を見ていた興奮をあれやこれやと伝える仁、
「くそ、あいつ・・・」
「邪魔だ。」
遠くでその様子を恨めしそうに見つめ、因縁をつけようとするB2グフのファイター、しかしそれは一人の青年によって中断された。
「あんだてめぇ。」
「敗者は潔く去るべきだ、哀れなだけだぜ?」
グフ使いの男が振り返るとそこにいたのは一人の青年、
その青年が放った一言は彼を怒らせるには十分であった。
青年は激昂し殴りかかってきたグフ使いの腕を避けてその腕をつかむと捻った。
「うがぁ!」
「もう一度言う、負けた奴はさっさと失せろ!」
青年が腕を放すとグフ使いの男は腕を抑えながらその場を去った、それを見送ると青年は空に話しかけた。
「・・・でさー」
「すまん、ちょっといいか?」
「?」
試合後に興奮冷めやらぬ仁と話をしていると知らない男に話しかけられた、背丈や格好からいって多分俺と同い年くらいだろう。
「なんだい?」
「俺とも戦ってくれないか?」
読んでいただき、ありがとうございました。
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