賢者の息子は赤龍帝!?   作:黄昏の旅人

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完全に思い付きでの見切り発車ですので、御容赦下さい。




プロローグ1

皆様、初めまして。

 

私は、有馬家に仕える執事長の葉山と申します。

 

私がお仕えする有馬家とは………。

日本経済界屈指の財団企業でもあります[有馬財団グループ]の総帥であらせられます、有馬家当主の『有馬一平(ありま いっぺい)様』のお屋敷でございます。

 

これから御話するのは、今から十数年前の出来事でございます。

 

 

あの日は、一平様の用事を済ませて有馬家の屋敷に戻ろうとした時の事でした。

 

私は普段通りに通用口から入ろうと扉を開けた時。

 

 

「や、やっと着いた………………」

 

 

私の背後から幼い子供の掠れた声が聞こえたと思った瞬間、何かが倒れる音がしたので振り向くと、疲弊した子供が倒れていました。

 

 

「君、大丈夫ですか!?」

 

 

私は慌て駆け寄り、疲弊する子供を抱き抱えながら声を掛けると、その子供の顔に見覚えがありました。

 

 

「一誠坊っちゃん!?」

 

「…………………………」

 

 

疲弊し目的地に辿り着いた安堵感からか、意識を失った一誠坊っちゃんからは返答がありませんでした。

 

私は一誠坊っちゃんを担ぎ、急いで屋敷内へと戻ると近くに居たメイド達に指示しました。

 

 

「急いでベットと着替えとお湯の用意を!それと、急いで西木野綾音先生を呼んで下さい!」

 

 

私の指示に速やかに動くメイド達を他所に………。

 

 

「何事ですか葉山さん?」

 

 

奥の部屋から出て来た悠奈(はるな)夫人はそう言いながら私達を見ると、驚きの声を上げました。

 

 

「葉山さん!その子はもしかして!」

 

「はい、旦那様の異母兄妹であられます兵藤一美様の御子息の1人、兵藤一誠様でございます。奥様」

 

 

私がそう告げると、奥様は驚きを隠せないでいた。

 

すると奥様は私達の方に近付き、所々破けている衣類から見える一誠坊ちゃんの肌を見て、更に驚愕していた。

 

 

「葉山さん、これはもしや!?」

 

「はい、恐らくは叩かれた後に出来た痣かと………以前から一誠様は、兵藤家の御家族から酷い仕打ちを請けていたと耳にした事が在ります。その事で以前旦那様は一美様夫婦を注意した事がありましたが、効果が無かった様です………」

 

「何て事を………私も主人から聞いていましたが、実の息子にこんな酷い仕打ちをするなんて………」

 

 

一誠坊ちゃんの顔を見て涙を見せる奥様に、私も同じ感情を懐いていると、用意が出来たのか1人のメイドが声を掛けて来た。

 

 

「ご用意が出来ました、葉山さん」

 

「ありがとうございます」

 

 

私達は急いで客室へと向い、ベットの上に寝かせると後はメイド達に任せて部屋を後にし、この事を報告するべく一平様が居られる書斎へと向かいドアをノックする。

 

 

「葉山です。旦那様、至急御伝えしたい事が………」

 

 

そこまで言うと、書斎から一平様の声が聞こえた。

 

 

「どうぞ、入りなさい」

 

「失礼します」

 

 

入室許可が降りたので扉を開けて中に入る。

 

 

「どうしたのです葉山さん?少し下が騒がしい様でしたが」

 

「はい、旦那様。実は…………」

 

 

私は、今までの出来事を報告した。

 

 

「それで、一誠は大丈夫なのですか?」

 

「恐らくは大丈夫だと思われます。一応、念の為に有馬家担当医でも在る西木野綾音先生を呼び寄せました。今は、綾音先生に診断してもらっている頃だと思われます。旦那様の判断も仰ぎもせずに勝手な判断をした事、誠に申し訳在りません」

 

「何を言っているのですか葉山さん。先代の時から仕えてくれている貴方が判断したのなら、私が咎める理由が無い。寧ろ感謝しますよ葉山さん」

 

「勿体無き御言葉です」

 

「それより一誠が居る場所へ案内して下さい」

 

「畏まりました、旦那様」

 

 

私は一平様を連れて、一誠坊ちゃんが寝る客室へ案内する。

私達が客室へと入ると診察を終えた綾音先生が手を洗っており、奥様が一誠坊ちゃんの頭を優しく撫でていた。

 

 

「ご足労掛けて申し訳無い、綾音先生」

 

「いいえ、御心配には及びませんわ。一平様」

 

「早速ですが、この子の様子はどうですか?」

 

 

軽い挨拶を交わし容態を確認する旦那様の言葉に、綾音先生は軽く眼を閉じ深呼吸した後、診断結果を口にしました。

 

 

「診断の結果ですが、栄養失調と恐らくは家庭内暴力による複数の痣と数ヶ所の骨折が見つかりました………」

 

 

診断結果の報告を受けた旦那様は、寝ている一誠坊ちゃんのベットに近付き奥様と同様に頭を撫でると、何かを決意したかの様に表情が変化するのでした。

 

 

「葉山さん、至急弁護士の遠山香織先生に連絡を。綾音先生、早急にこの子の診断結果書の作成をお願いいたします。悠奈、少しこの子の側に居て欲しい」

 

 

そう言って旦那様は足早に書斎へと戻った。

 

それから数分後、弁護士の遠山香織先生がお見栄になられたので旦那様が待つ書斎へと案内し、序でに診断結果書を旦那様に渡して部屋を後にしました。

 

 

更に、それから数時間が経った時。

有馬邸の門の前に1台の車が止まったとメイドから報告を受けて防犯カメラのモニターを確認すると、車には兵藤夫妻が乗っていました。

 

 

「お待ち申して居りました」

 

 

備え付けのマイクでそう言って、私は開門ボダンを押し門を開門すると、車は有馬邸内へと入って来たので直ぐさま玄関へと向かった。

 

 

「お待ち申して居りました兵藤様。旦那様がお待ちして居ります」

 

 

「あの人に会うつもりは無いわ。それより、あの子はどこ?」

 

 

凄い剣幕で私に言い寄る兵藤夫人に、私は冷静に対処しました。

 

 

「申し訳御座いません。旦那様の命により、旦那様にお会いになるまで居場所を教えるなと言いつかって居りますので、お教え出来ません」

 

「チッ!仕方がないわね!じゃ、さっさとあの人の所に案内しなさい!」

 

「畏まりました、こちらです」

 

 

悪態を付く兵藤夫人に怒りを浮かべるも、私は有馬家の執事長。

更に彼女達よりも年長者でもある為、気持ちを抑えて兵藤夫妻を旦那様が待つ執務室へと案内し、執務室のドアをノックし兵藤夫妻が到着した事を告げると、入室許可が降りたので扉を開ける。

 

 

「ちょっと!あの子はどこなの?」

 

 

扉を開けるなや否や、開口一番兵藤夫人が言い放つ。

 

 

「一美、貴様は礼儀も知らんのか?まぁ良い、あの子は客室で寝ている。それより、一美に誠君。何故、私が君達を呼び出したのか分かるかい?」

 

旦那様は呆れた表情で兵藤夫人に批判した後、真剣な趣な表情で兵藤夫妻に問い掛けた。

 

 

「知らないわよそんなの!それより早くあの子を返して!」

 

「すみません一平義兄さん。一誠を保護して頂いた事には感謝しますが、呼び出された理由については分かりかねます……」

 

 

兵藤夫妻がそう言い終えると同時に、旦那様は机を強く叩き怒鳴り付け診断結果書を兵藤夫妻に叩き付けました。

 

 

 

「ふざけるな!これを見ろ!あの子の身体には複数の痣と数ヶ所の骨折が在ったんだぞッ!!それに、栄養失調とはどう言う事だッ!!以前、貴様等に注意した筈だ、子供達を差別するなと。それなのに、これはどう言う事だ?」

 

 

いつもは温厚で情愛の深い旦那様が、冷徹な表情で兵藤夫妻を睨み付けながら語る。

 

 

「ふん!仕方がないじゃない!あの子は誠一の出涸らしみたいな出来損ないなんだから!それにね、私達には誠一が居れば十分なの。あの子は天才なんだから!」

 

 

なんと!?

謝罪する事なく虐待を仄めかす言葉を放ち、人権侵害を仄めかす言葉を言い放つ兵藤夫人。

更には、一誠坊ちゃんの兄君である誠一坊ちゃんが居れば良いと言う始末。

 

更には………。

 

 

「もしかして何?貴方達夫妻には子供が居ないから僻んでいるの?欲しいならあげるわよ?こんな子」

 

 

と言う始末。

本当に双子の母親なのかと疑って居ると、今まで黙って聞いていた旦那様が口を開いた。

 

 

「お前の気持ちは良く分かった。一誠は私達が引き取り育てる」

 

「それなら2千万で譲ってあげるわ。貴方なら安い買い物でしょう?」

 

 

な、なんと!?

一誠坊ちゃんを2千万円で譲ると言って来た。

人の命を、実の息子の命を何だと思っているのでしょうか?

 

無言で小切手に金額を記入した旦那様は、書いた小切手を兵藤夫妻の目の前に叩き付け、こう切り出しました。

 

 

「お前の望み通り、一誠は私達が引き取る」

 

「こんなに貰っていいの!?」

 

 

その小切手に書かれた金額は、提示額の5倍である1億円でした。

 

 

「勘違いするな。あの子に対する金額などではない。これは、お前達に対する手切れ金だ!」

 

「手切れ金?」

 

「そうだ。お前達とは絶縁だ!今後一切、私達の前に姿を見せるな!」

 

 

更に冷徹な表情で兵藤夫妻に絶縁を叩き付けた旦那様。

 

 

「遠山先生、後は頼みます」

 

「はい、お任せ下さい」

 

 

旦那様は、そう言い残して部屋を退室するのでした。

 

 

「大丈夫でございますか旦那様?」

 

「えぇ、大丈夫です。あぁ、そうだ!あの子の、一誠の部屋の用意をお願いいたします。まぁ、暫くは妻のベットで寝ると思うがね?」

 

「畏まりました。早急に用意致します」

 

 

その後、私達は客室へと戻ると、意識を取り戻した一誠坊ちゃんを抱き締めている奥様の姿が目に入りました。

 

 

「どうやら気が付いたようだね」

 

「ご、ごめんなさい一平伯父さん」

 

 

旦那様の姿を見た一誠坊ちゃんは謝罪の言葉を述べるのでした。

 

 

「謝るのは私の方だ、一誠。済まなかった………もっと早くお前を引き取るべきだったね」

 

「えっ?」

 

「先程、お前の元両親と話し合いをしてきた。一誠、今日からお前は兵藤一誠ではなく、有馬一誠となるのだ」

 

「えっ?えぇぇっ!?」

 

 

突然の出来事で理解出来ない一誠坊ちゃんを他所に、奥様は満面の笑みを浮かべて一誠坊ちゃんを抱き締めるのでした。

 

 

「今日から貴方は私達の息子となるのです。例え血は繋がらなくとも、貴方は私の可愛い息子ですよ、一誠」

 

「あぁ、悠奈の言う通りだ。だから、安心しなさい、一誠」

 

 

その御言葉を聞いた一誠坊ちゃんは大粒の涙を流しながら奥様に抱き付くのでした。

 

 

「あ、あ、ありがとう、お母さん。ありがとう、お父さん」

 

 

こうして一誠様は、有馬一平夫妻の御子息と成られたのです。

 

 

あぁ、余談ですが。

 

兵藤夫妻は、遠山弁護士が出した書類に意気揚々と判を押したとの事。

 

そして遠山弁護士は兵藤夫妻に、こう言い渡したそうです。

 

 

「この書類にも記載して在りますが。今後一切、有馬家陳びに一誠様への不用意な接触は禁止致します。もし、この取り決めを無視した場合は、手切れ金で支払った額の10倍の反則金及び警察へ通報致しますので、お忘れ無き様にお願いいたします」

 

 

そう言って兵藤夫妻に釘を刺したとの事。

 

 




取り敢えず、兵藤家は此にて終了です。

因みに双子の兄は、転生者でもなければ特殊な能力もありません。

ただ、普通の子供から少し優秀なだけの存在にしました。

理由は、後々考えるのが面倒だから?
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