役職:視察官
「失礼します。提督統括部 視察官 なつか...じゃなかった、夏野です。...ご用件はなんでしょうか」
「あー、よくきた。視察官。本部の渡部だ。早速なんだが今回も依頼を頼みたい...横須賀鎮守府の提督なんだが...」
「はい。資料は先ほどいただいてますが...珍しいですね、横須賀なんて久々に聞きましたよ」
横須賀といえば成績も優秀で艦娘の満足度も高いエリート鎮守府だ。
通常の鎮守府では1年に1度ほどのペースではあるが直接の視察が義務付けられているのに対し、ここは特例で手紙での提督からの記録のみで問題なしと判断される鎮守府で有名だった。
「...うむ。確かに彼の鎮守府は優秀だ。全くもって非の打ちどころがない...。だが逆に私はそこが気がかりでな。如何せん直接この目で見てないものでは...その...なんと言うか...」
「...不正の可能性がある...と?」
確かに私も最初に記録を見たとき驚いた。
周りの鎮守府とは比にならないほどの艦娘の戦闘能力や生存率、新海域の制圧貢献率は目を疑うほどだった。
「...もちろん私もおそらく彼は白だと信じている。...だがいかんせん直接見ていないのが引っかかってな...。君の記録を持って私もこの猜疑心を払拭したいと思っている。ここはひとつ彼の潔白を証明する意味でも頼むよ...」
「...かしこまりました。では明日から視察を開始します」
翌日、携帯端末に記録をまとめ、視察の準備をする。
行きの車両で記録を確認しつつ、作戦を練っていた。
(なるほど...成績優秀、真面目で温和な反面、やや奥手な性格......か。なーんだ、今回は楽勝そうね...。あら?でもこの顔...どっかで見たことあるような...)
ー提督室前
「...ここですね。よし...では恒例の...」ガチャ
「失礼します! あ、あの! 本日よりこの鎮守府に着任しました! 夏風です! これからお世話になります!」
言っていなかったが、提督統括部は私含め全員が女だ。
理由は視察の際、艦娘として潜入することが決まっているから。
これはあくまで自然体の提督と艦娘の関係を視察するのが目的のため取られた処置で、視察官には矛盾が生じないよう、予め艦娘としての名前も与えられている。
(偽りの名前を言うのにも慣れたもんね...職業柄仕方ないけどなんか悲しいわ...)
「君が噂の新しい子だね。私はここの鎮守府の提督をしているものだ。これからよろしく頼むよ」
「は、はい! よろしくお願いします!」
こうして、いつも通りの潜入視察官生活が幕を開けるのだった。
ご意見、感想等ありました気軽にお願いします。
この世界の視察官=スパイのようなものと捉えていただけるとわかりやすいかもです。