他に、強いキャラがあれば教えてください!
日が暮れて、月が出て、夜が明けて、東の空からまた日が顔を出した、今日。
いつもならまだホームにいる時間帯、美食殿の五人は森の中を歩いていた。
ギルド結成から三日たっている。その間特に何もなかったが、今朝ぺコリーヌが掲示板からクエストを持ってきて、現在タルグム村まで向かっているところだった。
そのクエスト内容がスパイスを収穫するための人員募集である。ぺコリーヌによるとそのスパイスは幻のスパイスとして有名で逸品らしい。報酬は日当とスパイス一式と報酬がよく、受けようとしたが当然ギルは『いかん』。だが、ぺコリーヌが泣きながらギルにしがみつき、お願いしたことにより結局ついていくことにした。
「…」
タルグム村は森に入ってから一時間はかからずにつくはずなのだが、森に入ってから村は見えてこず二時間は経過していた。周りを見渡しても頭上には空を覆い隠すほどの木の葉が生え、足元には足が隠れるほどの草が生えていた。そう五人は道に迷っていた。
「あぁも~、道に迷ってしまってるじゃない!この森幽霊が出てきそうなんですけど!」
「だ、大丈夫ですキャル様、もしもの時は幽霊様に道を案内してもらいましょう…」
「それ一番ダメなやつじゃない!?あの世への道に案内されたらどうするのよ!」
この状況に嫌気がさしたのかキャルが叫びだし、コッコロはおかしなことを言いだした。ユウキとぺコリーヌは体中震えていた。
「何を怯えておる、幽霊などいるわけなかろう」
ギルだけは冷静であった。
「私こういうの苦手なんですよ…」
「あんたしっかりしなさいよね…」
「キャルちゃん…震えながら言わないでください…」
(カサ…)
「「ひっ!?」」
茂みから音が聞こえ、ぺコリーヌとキャルは涙目になり、抱き合っていた。すると、音がしたほうから出てきたのは目を赤く光らせたウサギであった。
「なんだ、ウサギか…まったくびっくりさせないでよね…」
「こここ、怖いですキャルちゃん…」
「しょうがないわね…あんた急に立ち止まってどうしたわけ?」
ぺコリーヌは立ち止まって小刻みに震えっており、『見つけちゃいました…』と目じりに涙をため、ある方向に指をさしていた。キャルとユウキ、ココッロはその方向を見て後悔した。
「「「…!?」」」
その方向には赤い髪にクマのぬいぐるみを持って目を赤く光らせた少女がこちらを見ていた。それを見たギル以外の四人は魂が抜けたかのように固まっていた。
『つ、つぎは、あれ、しよ、、』
少女はこちらへと歩いてきてそういった。その言葉を合図に四人は走り出した。
「なによ、なんなのよあれ!?」
「ゆゆゆ、幽霊でしょうか!?」
「うわぁぁぁぁぁぁああ!」
「皆様、落ち着いて!」
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「な、なんとか逃げ切ったようね…」
「それに森を抜けることができましたね…」
現在キャルたちは森を抜け、近くの広場で横になっていた。幽霊から逃げ切ることができて、みなホッとしていたがユウキが顔を青ざめ何かを思い出しそれを口にした。
「あれ、英雄さんは…?」
「「「あ…」」」
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「あやつら我を置いていくとは…後でそれ相応の罰を与えてやろう」
ギルはユウキたちが走っていった方向を見ながら言い、やがてその方向へと歩き出す。
「して娘よ、王である我に断りもなくつけるのは無礼であろう」
後についてきた少女に低い声で睨み付け告げたが答えは返ってこない。ただ、ギルの疑問が発せられただけであった。
「聞いておるのか、雑種…」
それに対して舌打ちをし、振りむいた時であった。ギルの頭上から何者かが落ちてきた…否、襲ってきた。ギルはすんでのところで身をかわし、その方向を睨み付けた。
「王に対して剣を向けるとはいい度胸をしておる。何者だ?」
「なん、で、みんな、これ、の」
先ほどギルが立っていた場所には大きなクレーターができており、あたりは砂煙で視界が悪くなっていた。やがて砂煙は晴れていき、ある人物がこちらを見つめていた。
「して、これはどういうことだ。雑種」
片手に剣を持った金髪の少女が立っていた。ギルが二人に問うがもちろん答えは返ってこず、『どいつも不敬よのう』と腰に手を置き呟いた。
「まぁよい、どちらにしよそのような不敬許さんがな…」
ギルの背後が歪み、二本の剣が顔を出した。それを見た二人は驚愕することも、怯えることもせず、ただその光景を眺めているだけであった。
「価値もわからぬ雑種共が…では、しね」
「ウィンドストリーム…」
突如、背後から大地を切り裂く攻撃がギルを襲った。ギルは到達する直前に一つの盾を出現させて無傷でそれを防いだ。
「…次から次へと…スズメではないか、貴様も雑種の仲間ならばお前も…」
と、もう一本剣が顔を出し、スズメに向けられたがギルはスズメの様子がおかしいことに気づいた。普段、あわただしいく明るい彼女であるが目の前の彼女はその真逆で、茶色の瞳は赤く輝いている。他の二人も一緒で感情がなく、瞳が赤く光らせていた。ギルはふと、ある噂を思いだし、口元に笑みを浮かべた。
「ほう…ならばそこの者もどこぞの雑種のドッペルゲンガーということか」
『価値もわからぬ雑種共が…では、しね』
金髪の少女がそういうと剣を構えて戦闘態勢に入った。それを見たギルも矛先を彼女らに向ける。
「我の言葉をまねるか雑種。その不敬死をもって償うがよい」
それの言葉を合図にギルは剣を放出させ、彼女らもギルに向かって魔法を放つ。剣と魔法がぶつかり合い、その衝撃音は森中に響き渡った。
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new☆
シャドウ(スズメ、サレン、アヤネ)
他人の姿、言動をまねる。
他者に危害を加えることがある。