英雄王コネクト!   作:春咲 舞

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英雄王と黒の幻影

空から降りしきる水滴が宿の窓を何度も叩いていた。

 

椅子に座り日課となっている日記を書いていたコッコロはおもむろに首を上げ、外の光景に目を向けた。

 

(降ってきました…)

 

先程まで明るかった空は雲に覆われ、激しい雨が地上に降り注いでいた。

宿の外では突然の雨に人々は庇を求めて走り回っていた。

数分前まではたくさんの人がいたが、今は人気が消え失せていた。

机で日記を書いていたコッコロは手を止め、ふと今朝から外出している男のことが気になっていた。

 

(英雄様は大丈夫でしょうか…)

 

連続する雨音に耳を貸し、窓からの光景を見ていたが、机に目を向けて日記の続きを書き始めた。

 

__________

 

「降ってきよったな…」

 

窓から見える光景にため息をつきながらギルガメッシュは呟く。

ギルガメッシュはランドソルの裏路地にある喫茶店に来ていた。

昼の十二時になろうかという時間帯。店にはお昼時だが雨が降っていることもあって店内には一人だけであった。

 

(まぁ、すぐやむと思うがな)

 

「お待たせしました、コーヒーでございまーす!」

 

コーヒーを持ち、ギルガメッシュの元に近づいてきた少女はそう呟き、机の上にコーヒーを置いた。彼女はこの店で働くハーフエルフの少女だ。

 

「して娘よ、今日の面白い話をもうせ」

 

「はい!もちろんですよ!あと、私の名前はティーナです!」

 

最近、雨の日が多く暇をしていたギルガメッシュはたまにこの店を訪れている。彼女…ティーナは最近あった面白い話を毎回ギルガメッシュに話していた。

 

「最近、このあたりでもう一人の自分を見たって噂を耳にしましてー」

 

と、少女は男が座っている反対側に腰を下ろす。そして、男のほうに顔を向き、続きを話した。

 

「で、そのもう一人の自分を見たって子が一人だけではないらしくて、私も見たって子が後を絶たないらしいですよ!」

 

そういうと机をダンっと叩き身を乗り出した。

 

「ほう…ドッペルゲンガーか」

 

「そうです!面白くないですか!?」

 

「まぁ座れ」

 

そういわれ、すみませんといい席についた。

 

「でも、自分が二人もいるって考えると気持ち悪いですけどね」

 

「そうでもなかろう、我はあってみたいがな。まぁ、いたらそやつの命はないがな」

 

コーヒーを口に運び、愉快に笑った。もし、そうなったらランドソルどころかアストルム大陸の一部が地図から消えてしまうのだが…

 

「雨、やみませんね…」

 

「すぐやむと思ったのだが」

 

未だに降り続ける雨に二人はため息をつく。路上には水たまりができていた。残っているコーヒーを飲むと立ち上がった。

 

「では、我は帰るとしよう」

 

「あ、じゃあ傘をお持ちしますね!」

 

ティナは傘を取りに行くため、店の奥へと消えていった。

 

(ドッペルゲンガーか…)

 

と、ギルガメッシュは考えていたが奥からティナが傘を持ってきたので受け取った。

 

「では娘よ、少ないがとっておけさっきの話の礼だ」

 

「へ!?こんなにもらえません!コーヒー代だけでいいですよ!」

 

袋からコーヒー代だけ取り出し、残りを返そうとしたが

 

「たわけ、王が貴賤したものを返す出ない」

 

「しかし…」

 

「では、またここに来る。その時に酒の酌とつまみの話を用意しておけ」

 

「王様…わかりました、それまでに最高におもしろいお話しを用意しておきますね!」

 

「フハハハハハ、当然よ!」

 

そういうとギルガメッシュは傘を差し、店を出ていった。

 

__________

 

「ありがとうございました!」

 

ティーナに見送られ、ギルガメッシュは店をでた。

 

「ずいぶん遅くなってしっまたのぉ」

 

きずくとあたりは暗くなっており、メインストリートには買い物をする人がちらほらいる。ランドソルにはメインストリートと呼ばれる大道りが五本存在する。中心地から五方位、街を囲う壁まで伸びている。ランドソルを上空から見ると星形になっている。ギルガメッシュたちが泊まっている宿は東のメインストリートに沿ったところにあり、そこでは様々な種族が暮らしている。ギルガメッシュが歩いている東南メインストリートはエルフ族がメインでエルフ族が経営している店が多くある。ティーナが働いている店は裏路地にある小さな喫茶店である。エルフは薬草に詳しくポーションが多く売られていて、質がいいとされている。そのため、多くの人々がこのメインストリートに訪れる。しかし今は遅い時間、なりより激しい雨が降っているので人が少ない。ギルガメッシュの見た目はヒューマンに入るためか、こんな時間にエルフ以外の種族がいるのが珍しくすれ違うたびにギルガメッシュを凝視していた。主に女性が…

そんなことは気にしていないギルガメッシュだったが、ふとこちらを見ているある人物にきずいた。

石畳の道を歩いていると正面から顔まで隠した黒いローブ姿の男性にも女性にも見てとれる人物がこちらを見ていた。雨が降ているにも関わらず傘をさしておらず、誰もが見入ってしまう黄緑色の髪は雨で濡れていた。すると黒いローブの人物はこちらに歩み寄ってきた。しかし、ギルガメッシュは雑種程度にしか思っておらず気にしていなかったが、この後の言葉に目を見開いた。

 

 

 

『聖杯戦争』

 

 

 

黒いローブを着た人物がすれ違う時に言った言葉だった。この世界に来てから聖杯戦争とは関係ないと思っていたギルガメッシュはその言葉を聞いた瞬間目を見開き赤き瞳が、雰囲気が変わった。

 

「貴様!その言葉をどこで…」

 

しかし、振り返った時には黒いローブの人物はいなくなっていた。ギルガメッシュはその場にしばらく立ち止まった。石畳の道に激しく降り注ぐ雨はその時はより大きく聞こえた。やがて宿に帰るため歩みを進めた。

 

「どうやら我が思っている以上にこの世界は悪化しておるな…」

 

誰もいない道で一人、そう呟いた。

 

 

 

 




new☆

ティーナ・フェリエ

オリキャラ

ハーフエルフ

東南メインストリートの裏路地の喫茶店で働いている。

ギルによく面白い話をしている。


謎の黒いローブ

聖杯戦争のことについて知っている?

ギルガメッシュのことは知っている。



ギルガメッシュは長いので次からはギルに変えます。

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