BanG Dream!~青薔薇との物語~   作:TRcrant

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この度は、本作に興味を持っていただきありがとうございます。

今回の話は『BanG Dream!~隣の天才~』の11話のあたりの話になります。
あらすじに書いてありますように、こちらの作品を知らなくても楽しめるようになっておりますが、お読みいただけるとさらに楽しんでいただけるかと思います。

それでは本篇をどうぞ


第一部 第1章『受け継がれる音』
再び始まる日常


「ん……」

 

外から聞こえる鳥のさえずりに、僕……奥寺(おくでら) 一樹(かずき)は目を覚ました。

 

(いつも通りの朝だ)

 

夏休み、僕達は交通事故にあった。

一時は生死のはざまを彷徨っていたらしいけど、今はこうして退院していつも通りの日常を送ることができる。

 

「宝くじでも買ってみようかな」

 

不謹慎だが、医者の言った『君たち一家は非常についている』という言葉を聞いて、無性にやってみたくなった。

まあ、お小遣い的にも無理だし、何より本当にやったら確実に怒られる。

 

「一樹―! ごはんよ!」

「はーい! 今行くっ」

 

何はともあれ、僕はいつも通りに母さんが作ってくれた朝食を食べるべく、自室を後にするのであった。

 

 

 

BanG Dream!~青薔薇との物語~   第1章『受け継がれる音』

 

 

 

「一樹、学校は大丈夫?」

「全くだよ、というか早く行きたくてうずうずしてる」

 

何せ、退院して初めて行くのだから。

 

「ふふ。それじゃ、行ってらっしゃい」

「行ってきます!」

 

そして、僕は学校に向かって新しい一歩を踏み出した。

外は雲一つない快晴……とまではいかないが、とてもいい天気だった。

 

 

 

 

 

 

「おはよう!」

 

家を出て少し歩いた先にあるT字路に待っている四人の姿を見つけた僕は、あいさつの言葉をかける。

 

「おっす」

 

最初に返事をしたのは、きざったらしいポーズをとっている短めの黒髪の少年……佐久間(さくま) 啓介(けいすけ)だ。

 

「おはよう」

 

続いて、挨拶を返してきたのは、腰元まで伸びた長い黒髪の少女……森本(もりもと) 明美(あけみ)だ。

 

「おはよう、一樹君」

 

それに続くように、銀髪の少女……中井(なかい) 裕美(ゆみ)が控えめに笑みを浮かべながら挨拶を返した。

 

「おう」

 

そして、最後にぶっきらぼうに挨拶を返した金髪の少年が田中(たなか) 聡志(さとし)だ。

全員がそれぞれのあいさつで返してくるのも、またいつものこと。

こういうところでも、いつもの日々が返ってきたと実感するところでもあった。

 

「そういえば、一樹、課題はどうするんだ?」

「もう終わらせてるので、ご心配なく」

「さ、さすがだね……」

 

家族旅行に行く前に、すべての課題は済ませておいたのだが、ある意味幸いだった。

なにせ目が覚めた時には、すでに新学期始まってたし。

 

「啓介にも、その心がけをまねてもらいたいところだ」

「どうして俺の話を出しやがりますかっ」

「まーた、夏休みの終わりに写したのか」

「うぐっ!?」

 

田中君の口ぶりから、啓介が宿題をやっていないことを悟った僕が鎌をかけてみると、案の定啓介は視線をそらせた。

おそらく、今の僕はかなりジト目になっているだろう。

啓介が夏休みの宿題を早めに済ませておいたところはあまり見たことがない。

もし、そんなことがあれば、僕は地球滅亡をも覚悟するだろう。

そう思わせるほど、啓介は宿題をなかなかやらないのだ。

……それでも成績がいいのが謎なところではあるのだが。

 

「最初に楽しんで後で頑張るのが正義だっ」

「だからって、やりきれなくて毎年田中君たちに土下座をするのは違うと思う」

 

いつもは何も言わない中井さんまでもが、苦言を呈する始末だ。

ちなみに、中井さんも森本さんも田中君も、大小あれど課題などは自分でやれというスタンスだ。

夏の終わり際の宿題を見せてもらおうと田中君に土下座をして頼み込む光景は、僕たちの間では夏の恒例行事にまでなっている。

というより、それだけのことをする労力を、宿題を自力で早めにやる方に回したほうがかなりマシなのだが……いったところで無駄なので、心の中に留めておくことにした。 

 

「くそぉ、頑固爺め」

 

そんな田中君に、ぼそっと啓介が暴言を放つが、当然聞こえていたようで、啓介の肩に手がトンっと、されとて力強く置かれた。

 

「ほぅ? 俺は頑固爺か」

「あ、あれ? 俺口に出してました?」

 

確かに啓介の暴言は小さくはあったが、十分聞えるほどの大きさで口に出していた。

なんで思っていることがわかるのと言わんばかりの顔をしてる啓介に、僕たちはさぞかし呆れたようなまなざしを向けているだろう。

 

「あ、あのですね……今のは言葉の綾という――「言い訳無用っ」――は、はぃぃ!!」

「幼馴染のよしみだ、多少は加減しよう。何、ほんの数日間眠るだけだ。いい案だろ?」

 

そういう田中君は表情は笑顔だが、目が笑っていない。

田中君は、いつも怖そうな雰囲気ではあるが、ちょっとのことでは怒らない性格だ。

その代わり、怒らせると収拾がつかなくなるタイプなのだ。

前に田中君と啓介が喧嘩をした際に、啓介が一週間ほど左足に包帯を巻きつけて生活する羽目になったくらいだ。

ちなみに理由は、『休みの日は女子との出会いの場を探したい』という啓介の意見に田中君が否定したという、至極しょうもない理由からだけど。

 

「やりたいことは済ませたか? 神様にお祈りは? 道の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はできたか?」

「終わってないので失礼しますっ!」

 

ボキボキと拳から音を立てながら、どこかの執事のような物騒な言葉を口にする田中君から、啓介は全速力で逃げ出す。

 

「待ちやがれっ!」

 

こうして、二人の追いかけっこは始まった。

啓介にしてみれば命がけだろうけど。

 

「うんうん、これもいつも通りだね」

 

そんな光景を微笑ましそうに見ている中井さんも、いろいろな意味ですごいのかもしれない。

結局、啓介は捕まって折檻されることになるのだが、それもまたいつも通りのことだった。

こうして僕達は、学校に向かうのであった。

 

「誰か……俺の安否も……確認して、くれよ……ガク」

 

ちなみに、僕たちが去った後の道に、弱々しく言いながら、取り残された人物がいたとかいないとか。

真相は永遠に闇の中だ。

そんな、いつも通りの朝の一幕であった。

 

(本当に、戻ってこれたんだな……いつもの毎日に)

 

特に意味のないやり取りだけでも、僕は感慨にふけっていた。

……もっとも、明日にはそんな気持ちはなくなるかもしれないけど。




改めまして、この度は本作をお読みいただきありがとうございます。
本作は、完成次第の投稿を予定しております。

また、活動報告のほうで主人公の設定(プロフィール)等を書いておりますので、興味がありましたら、そちらのほうもご確認いただけると幸いです。

本作とは別に『BanG Dream!~隣の天才~』の続編にあたる『BanG Dream!~隣を歩む者~』も投稿する予定です。
それに伴いまして、本作は奇数月の投稿となりますのでご了承のほどお願いいたします。

最後になりますが、色々と至らぬ点があるかと思いますが、よろしくお願いします。
感想など頂けると幸いです。

それでは、次回でお会いしましょう。
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