BanG Dream!~青薔薇との物語~   作:TRcrant

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第13話 助っ人への誘い

「……」

「……」

 

資材置き場に向かう中、僕たちは無言だった。

流されるように彼女と一緒に行くことになったが、このような場合何を話せばいいのかがわからないのだ。

いつもならスムーズに会話ができたはずなのだが。

 

(よくよく思うと、今まではみんなから話を振ってきてたっけ)

 

つまりは、この現状を招いているのは僕自身のコミュニケーション能力が足りないということなのかもしれない。

 

「駄目だよ、奥寺君」

「え?」

 

そんな中、沈黙を破ったのは今井さんだった。

 

「あまり無茶したら駄目だよ」

「いや、無茶なんてしてないから」

 

本当は嘘だ。

少しだけ無茶をしている。

でも、それを表に出すのは僕的には気が引ける。

 

「それ、嘘でしょ? さっき、奥寺君の足取りが変だったのアタシ見逃してないよ」

「………」

 

自分では自覚はなかったが、どうやら本当にやばい状態だったようだ。

今でも自覚はないけど。

 

「奥寺君、一つだけ言っておくね。奥寺君が思っている以上に心配している物なんだよ、幼馴染って。だから……もう少し頼ってもいいんじゃないかな? そのほうがアタシもだけど、明美も喜ぶはずだよ」

「……」

 

今井さんのいつになくまじめな口調で言われた言葉に、僕は何も言えなかった。

今井さんの言葉にはものすごく強い思いのようなものがあり、それを払うだけの言葉が僕には出なかったのだ。

 

「ご、ごめんね。なんかちょっとお説教みたいになっちゃったね」

「いや……今井さんの言うとおりだよ。心配かけてごめん」

 

僕の沈黙を何かと勘違いした今井さんが慌てて取り繕うように口を開いたので、僕は彼女に謝った。

 

「……その言葉は、明美にも言ったほうがいいよ」

「……そうするよ」

 

多分、僕の知らない間にいろいろと心配をかけた場面があるのかもしれない。

自分でも自覚がないだけに複雑な気持ちだが、一度謝っておくほうがよさそうだ。

 

「あ……」

「吹奏楽だねー。今年も文化祭で演奏するんだろうね」

 

どこからともなく聞こえてくる楽器の音色に、僕は今井さんの言葉に相槌も打たず、気づくと足を止めていた。

 

「……」

「奥寺君? 大丈夫?」

「あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた」

 

今井さんの言葉で我に返った僕は、そういうと再び足を進める。

 

「そういえばさ、奥寺君は、どうして部活に入らなかったの?」

「どうしてって……」

 

今井さんの疑問に、僕はどう答えたものかと考える。

 

「あまりピンとくる部活が、なかったからだよ」

「ふーん。せっかくだったらダンス部とかチョーおすすめだったのに」

 

部活動の勧誘が盛んな時期にも、今井さんから勧誘を受けたが、さすがに体育会系の部活は遠慮した。

何せ、男子は僕一人のみ。

そんな状況で体育会系の部活に入れば、色々な人に迷惑をかけかねないのだ。

 

(本当は、決めてたんだけどね)

 

あの頃、僕は吹奏楽か軽音部のどちらかに入部をしようと思っていた。

そこなら、僕の音楽のスキルがさらに磨けるし、何よりほかの部員への迷惑にもなりにくいからだ。

それでも、最終的にはどの部活にも入らなかった。

 

(なんだか、これじゃないなって思ったんだよね……)

 

そう思った理由は、自分にもよくわかっていないが、それでも僕には合わないと思ったのだ。

その後、今井さんの手を借りながら、資材を運んだりして、無事に準備が完了したことで文化祭当日を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん! 大盛況だね☆」

「盛況すぎるけどねっ」

 

僕たちのクラスの出し物も盛況で、かなりいい感じだ。

 

「奥寺君、交替の時間だよ」

「え、もう?」

 

クラスの女子が交代を告げてくるが、僕としてはまだ少ししか経っていない感覚だったので、行っていいものか悩んだ。

 

「うん、そうだよ。初めての羽丘の文化祭、満喫してきなよ☆」

「……それじゃ、お言葉に甘えて行ってくるよ」

 

今井さんに促されるままに、僕は制服の入ったバックを手に持つと、教室を後にするのであった。

 

 

 

 

 

「色々と出し物があるんだ……」

 

男子トイレで制服に着替えた僕は、文化祭の出し物が記されたパンフレットを手に、校内を歩くがどの出し物も興味を引くため、中々決めることができずにいた。

 

(軽音部の演奏……これにするか)

 

そして決めたのが、朝礼で集まったホールを利用して行われるステージの一つである軽音楽部のライブだった。

田中君たちに知られれば音楽バカと言われそうだが、この学園のライブがどのようなものなのかに興味を持ってしまった以上、行かないという選択肢はない。

そんなわけで、僕はホールに向かって歩いていると、

 

「あ、奥寺君!」

 

いきなり誰かに呼び止められた。

 

「あなたは、実行委員の……」

 

呼び止めたのは、僕のクラスにいる文化祭の実行委員会のメンバーだった。

彼女は走ってきたからか、息を切らしており、とりあえず落ち着くのを待った。

 

「明美ちゃんから聞いたんだけど奥寺君って、楽器を演奏できるのって本当!?」

「……まあ、物にもよるけど」

 

(森本さん……)

 

楽器の演奏ができることは隠すようには言っていないので、彼女は悪くはないが、僕の気持ちは複雑だった。

 

「実は、今日ライブを控えている軽音部の一人が病気で休んじゃったみたいで、このままだと演奏ができないみたいで……」

「……ステージに穴が開くということか」

 

女子生徒の口調から、かなりひっ迫した状況であるのは間違いない。

何よりも、一番気がかりなのは、ライブを見に来た観客たちのことだ。

 

(せっかく来てくれたのに、穴をあけてがっかりさせるのはよくないな)

 

「わかった。案内をお願い」

 

僕は実行委員の人に案内をお願いすると、軽音部の人が待つ場所に向かうのであった。

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