BanG Dream!~青薔薇との物語~ 作:TRcrant
第50話です。
それから二人によって調査は始まったのだが……
「駄目だ。めぼしい情報もないな」
「僕も。全然出てこない」
新田の名前で検索をかけていたのだが、それらしき情報は出てこず、完全に暗礁に乗り上げてしまった。
「あ、千聖ちゃんだ」
「千聖って、あの元子役の?」
そんな中、新田の所属する事務所を調べていた中井さんが、白鷺さんの名前を口にし出した。
「おいおい。今は元子役なんて関係ないだろ」
「え……でもこの人の事務所と同じところに所属してるよ?」
「なに!?」
一見何の関係もなさそうなことだったが、同じ事務所に所属しているという”事実”に、僕たちは慌てて事務所名で検索をかけた。
(えっと……、Purely Promotion。そして白鷺千聖……検索っと)
そして、検索をかけたところ、検索結果の上部に出てきたのは彼女が所属する事務所が掲載しているプロフィールのようなものだった。
(本当に有名人なんだ)
知ってはいたが、こうして目の当たりにするとなんだか遠い存在に思えてしまう。
「やっぱり千聖ちゃんはすごいなぁ」
それは中井さんも同じだったようで、気の抜けたような感想を漏らしていた。
(他には何かないか……ん?)
検索結果に戻って下のほうにページを送ると、ある見出しが目に留まる。
「『パスパレ、大失敗! 口パク&アテフリがバレる』……?」
(パスパレ……何かの略称?)
省略されているので、どうしてそれが出てきたのかはよくわからない。
「おい、ちょっともったいぶらないで続きを教えろよ」
「あ、うん。ちょっと待ってて」
田中君の催促に、とりあえず読んでみようと思い、僕はその見出しをタップした。
少しして、そのページが表示される。
それは、ネットニュースのサイトだった。
『パスパレ、大失敗! 口パク&アテフリがバレる』
―――○○日に開催されたライブで、登場したPastel*Palettesは、デビューライブで口パク&アテフリであることが判明した。
Purely Promotionが今月初めに結成したグループ『Pastel*Palettes』は、生演奏生歌を特徴としていたアイドルバンドグループである。
お披露目会を兼ねたデビューライブでライブ中に機械トラブルによって演奏が中断された。
ライブにはトラブルがつきものだが、専門家の話によれば、アンプ関連のトラブルではないとのことで、彼女たちが口パク&アテフリを行っていた可能性は高い。
メンバーは、研究生から抜擢された丸山彩がボーカル。
続いてギターは、事務所のオーディションで選ばれた氷川日菜。
ベースには、『孤独の街』などの子役を務めた現役の女優の、白鷺千聖
キーボードはモデルを務めている若宮イヴ。
ドラムは、同事務所でスタジオに所属して活動していた大和麻弥の五名だ。
どういう経緯で口パク&アテフリにしたのか、疑問は尽きない。
事務所側は当社の取材に対して無言を貫いており、明確な答えは出されていない。
当日ライブを見に来ていた客からは「生演奏だと歌っていたから来たのに、嘘だったなんて信じられない。チケット代を返してほしい」とコメントしている。
ネット上では”詐欺師”犯罪者などとメンバーへの批判が殺到し、女優の白鷺千聖は決まっていたドラマへの出演がキャンセルになるなど、多方面に深い影響を与えている。
現在、同グループは活動停止状態ではあるが、芸能関係者に取材したところ『この状況でPastel*Palettesが復帰するのはまず不可能。グループを解散させるのが濃厚だ』とコメントしている。
いずれにせよ、Pastel*Palettesはある意味で芸能界に名を遺したといっても過言ではないだろう。
―――
『……』
ニュースの内容を読み終えた僕たちは、無言だった。
重苦しい雰囲気が病室内を包み込んでいく。
何も言えないのだ。
あまりにも重く、それでいてどこか現実味のないそのニュースに。
「どういうことだ?」
最初に口を開いたのは、田中君だった
「……俺に聞かれても」
「千聖ちゃん」
困惑した様子で白鷺さんの名前を口にしたのは中井さんだ。
友人として、白鷺さんの身を案じているのは僕も同じだ。
「なんとなく読めたよ。今回の一件」
でも、僕の中ですべての点が線になってつながっていく。
「本当かよ」
「ああ。仮説の域を出ない話だけど」
だが、僕の中では有力な説だと思っている。
「何だよ、一樹。もったいぶらずに話してくれ」
田中君に促らされるまま、僕はその仮説をみんなに話す。
「僕たちを、この事務所に引きこもうとしたのは、たぶん話題作りのため」
「話題作り?」
「今、雑誌とかでは僕たちの……HPのことが取り上げられているでしょ?」
「ああ、確かに話題になってるな」
フェスに参加した時から、HPのことは雑誌で取り上げられていたのは事実だ。
「そんな僕たちが、この事務所に所属することになったどうなると思う?」
「……なるほど、そう言うことか」
ちょっとしたやり取りだけで、僕の言わんとすることを察した田中君はそう呟いた後、ため息を吐く。
そのため息には、どこか怒りのようなものを感じた。
「え? どういうこと」
「つまり、悪いニュースをいいニュースでかき消そうとしたってことだよ」
未だに飲み込めない様子の仲居さんに、田中君は簡潔に言い切る。
事務所にとって、アテフリがバレたことは最悪なニュースのはずだ。
そんな時期に、話題になっている謎のバンドグループをスカウトできれば、それがニュースとなって広まる。
そうすれば、悪いニュースはなかったことにできるし何より、スカウトできた功績やらその後の活動によって事務所側が得る名声は大きい。
「しかも、事務所のサイトにPastel*Palettesのパの字も出ていない……決まりね」
「つまりは、俺たちはそのグループの尻ぬぐいのためにこんな目に合ってるってことか………」
理解が進んでいくと同時に、みんなから怒りのオーラが出始める。
大小はあれど、気持ちは同じだ
「俺達のhyper-Prominenceの誇りを外道な連中に土足で踏みにじられるのは……不愉快だな」
田中君の言葉にすべてが現れている。
「で、どうすんだよ」
「まずは、期待はできないけど事務所の自浄力を頼りにする」
田中君の疑問に、僕は簡潔に答えると
「中井さん。明日の放課後、白鷺さんにアポ取れる?」
「うん、任せて」
僕は中井さんに指示を飛ばした。
「なぜに白鷺さん?」
「Pastel*Palettesのメンバーで、もっとも有名な人物だから。元子役とついているくらいだから、かなり発言力はあるはず。その彼女に動いてもらえば」
「スムーズに事は運ばれる……そう言うわけね」
僕の言葉を引き継ぐように、森本さんが口を開く。
日菜さんの名前があったことには驚いたが、彼女なら気軽に話すこともできるが、発言力が皆無だ。
他の人に関しては全然知らない人なので論外。
であるならば、消去法で発言力の高い白鷺さんにお願いしたほうが手っ取り早いのだ。
「だけどよ、白鷺さんも事務所の人間……動いてくれる保証はあるのか?」
ただ、啓介の指摘した通り。彼女が素直に動いてくれるかどうかは不明だ。
彼女も事務所側の人間……事務所を守るために僕の訴えを握りつぶすか、カウンター攻撃をしてくる可能性だって十分考えられる。
「それを見越して、同時に外側からも働きかける。これは愚直に、親に相談することだけだけどね」
僕の言葉に、みんなは苦笑いを浮かべる。
「それじゃ、さっそく反撃開始と行こうか」
こうして、僕たちの反撃が始まった。
メインヒロインは誰?
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湊友希那
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氷川紗夜
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白金燐子
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今井リサ
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宇田川あこ