BanG Dream!~青薔薇との物語~   作:TRcrant

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お待たせしました。
第52話です。
今回はかなり短いですが、どうぞ。


第52話 解決、そして……

そこは、とある場所のとある部屋。

アンティーク調の家具が置かれたその部屋の奥側には大きな机が置かれており、誰が見ても一番偉い人が腰かけると思われる席に腰かける中年の男性は、突然鳴り響いた電話に背筋をただす。

 

「はい。岡田です」

『おう。久しぶりだな、岡田君』

 

緊張の面持ちで電話に出た岡田と名乗る男は、電話口の男性に、緊張を隠せなかった。

 

「は、はいっ! ご無沙汰してます、社長!」

『おいおい。今は君がそこの社長だろ。いつまでも隠居している私を社長というのはいかがかと思うぞ?』

 

岡田の言葉に、社長と呼ばれた電話先の男は、やや呆れた口調で岡田を咎める。

 

「も、申し訳ありません。ですが、私の中では社長は、荻原さんしかいないと、思っております」

『かかっ。お世辞もそこまで行けば立派なものだ』

 

荻原と名乗る電話先の男に、岡田はお世辞ではないのですがと、一言つぶやくと一つ咳ばらいをする。

 

「荻原さん。連絡をしてきた用件は復帰……ではないですよね?」

『ああ、当然だ。まだ復帰は時期尚早だからな』

 

荻原の答えを聞いた岡田は、無意識のうちにのどを鳴らす。

 

『どうやら、お前の無能な部下が、俺の娘どもにちょっかいを出しているようだ。至急調査し、しかるべき処置を取れ。詳しい話は、事務長と経理課長から聞け』

「はっ! すぐに調査します」

 

岡田はそう告げると、電話を切り別のところに電話をかけ始めるのであった。

それはある日の、一幕であった。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

あれから二日が経過した。

あれから、新田の脅しのメールは届いてはいたが、みんなに……父さん達に話して心が軽くなった僕は、さほど気にもならなかった。

 

「ただいま」

「おかえり、一樹」

 

今日も今日とて、学校からまっすぐ帰った僕を出迎えたのは、母さんだった。

 

「そう言えば、あなた宛てに手紙が届いてるわよ」

「僕宛て? なんだろう」

 

母さんの言葉に、僕は首を傾げつつもリビングに向かうと、テーブルの上に置かれた僕宛の手紙を手に取る。

それは一通の封筒で、差出人は『Purely Promotion』となっていた。

 

(『Purely Promotion』って、あの新田とかいうやつの事務所ッ)

 

事務所の名前を見て、僕は警戒を強める。

もしかしたら、向こうは権力を盾に反撃に打ってきた……そういう可能性だって捨てきれない。

 

(ええい! ここは、覚悟を決めろッ)

 

僕は、思い切って封筒の封を開けると、中に入っていたものを取り出した。

中に入っていたのは一通の文章が綴られた紙だった。

『お詫び』と銘打たれたそれに、僕は目を通していく。

 

 

『この度、本プロダクションのスタッフが、貴殿に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、心からお詫び申し上げます。

厳正なる調査の結果、本事案が事実であるという結論に達しました。

問題の行動を起こしたスタッフは本手紙をお送りした――月――日付けで、懲戒解雇の処分を取らせていただきました。

また、さらなる調査の結果、貴殿に関する個人情報はそのすべてが、漏洩されていないことを確認済みであります。

最後になりますが、このたび本プロダクションスタッフの不適切な行動により、貴殿にご迷惑をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。

Purely Promotion社長 岡田』

 

 

(うわぁ……)

 

その一文に目を通した僕は、言葉も出なかった。

心の中で望んでいたこととはいえ、いざその通りになると少しだけ驚いている自分がいる。

 

「あの事務所の人から。僕を脅した人、クビになったって」

 

僕の隣で読み終えるのを待っていた母さんに、僕はこの手紙に書かれていることを話した。

 

「そう……良かったわね、一樹」

「う、うん。良かったよ」

 

母さんの雰囲気が、いつもと違うような気がした僕は、どもりながらも頷く。

こうして、僕たちが巻き込まれた一件は、解決を迎えることになった。

 

 

 

 

 

「そう。それじゃ、今日からは来れるのね?」

「うん。色々迷惑かけてごめん」

 

翌日、僕は廊下でばったりと会った湊さんに、問題が解決したことを伝えた。

今回の一件が、Roseliaのほうにまで影響が及ぶのを危惧して、練習に行くのを見合わせていたのだ。

事情は詳しくは話してはいなかったが、それでもよほどの事態であることは伝わったのか、練習に行けないことに関して、理解を得ることができたのは幸いだ。

 

「別に構わないわ。その代わり、来れなかった分真面目にやってもらうだけよ」

「あはは……頑張ります」

 

何とも湊さんらしい返し方だった。

湊さんは話すことは終わったと言わんばかりに僕に背を向けて去って行く。

それもまた、彼女らしいといえる。

 

(ああいうのも、かっこいい……なのかな?)

 

素っ気ない彼女の背中がどういうわけか、僕には少しだけ頼もしくも見えてしまう。

 

(きっと、あいつと重なるんだろうな……)

 

湊さんの後姿……というよりは、彼女の纏っている雰囲気的なものが、僕たちが影のリーダーと呼んでいるドラマーの姿を思い浮かべるのだ。

 

「森本さん。一応、警戒のほうをしておいてもらえる?」

「それはいいけど……一樹も気を付けなよ」

 

湊さんの話が終わり、別れるのを見計らうようにして姿を現した森本さんに声をかけると、逆に心配される。

 

「わかってるよ。そんなドジは踏まないよ」

 

決着がついたとはいえ、まだ予断は許されない。

報復される可能性だってゼロではないのだ。

それを警戒してのことなのだが、僕とて簡単に報復されるほど間抜けではない。

 

「それならいいけど」

 

腑に落ちない様子の森本さんだったが、予冷が鳴ったことで話は終了となり、僕たちはそれぞれの教室に戻っていく。

こうして僕は、いつもの日常を取り戻すのであったが……

 

(ああ、そうだった)

 

その途中で、僕はようやく思い出したのだ。

僕にとっての大きな課題が、いまだに残り続けているということに。

それはRoseliaという名の問題だ。

 

(僕も、本格的に腹をくくるべきかな)

 

教室に戻る中、僕は心の中でRoseliaのコーチとして、一つの覚悟を決めるのであった。

 

 

第5章、完。




ということで、第5章はこれにて完結となりました。
シリアスな本章でしたが、次章もまたそうなりそうです。

ということで、次章予告を。

――

強引なスカウトの事件を無事に解決した一樹は、コーチとしての一歩を踏み出すべく本腰を入れていく。
すべては順調に進んでいく……はずだった。

次回、第6章『崩壊』

メインヒロインは誰?

  • 湊友希那
  • 氷川紗夜
  • 白金燐子
  • 今井リサ
  • 宇田川あこ
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