BanG Dream!~青薔薇との物語~ 作:TRcrant
「ん?」
ある日の休み時間。
時間つぶしと銘打って、今日羽丘に来る前に買った音楽関係の雑誌を読んでいた僕は、あるページの内容が目に留まった。
(Roseliaだ)
それは見開き二ページにもわたってRoseliaが取り上げられている記事だった。
『孤高の歌姫・友希那がついにバンドを結成! ガールズバンド、Roselia始動』
という見出しから始まるそれは、湊さんにフォーカスを当てながら、それ以外のメンバーの演奏などにも触れられた内容だった。
写真に写っている湊さんたちの表情は、自身に満ち溢れ凛々しくあった。
(これでみんなも時の人かな……あれ? あこさんからメールだ)
その時僕の携帯に、あこさんからメールが送られてきた。
僕は、そのメールを確認してみることにした。
「えっと……今日ファミレスで記念お茶会やります……なんだかなぁ」
いきなりのお茶会の誘いの連絡に戸惑いながらも、特に予定がなかったので僕はとりあえず『OK』とだけ返しておいた。
放課後、僕はあこさんが指定したファミレスに向かうと、すでに来ていた湊さんと紗夜さんを除いた三人と合流してボックス席に腰かける。
席順としては僕と今井さんが隣り合わせで、向かい側に白金さんとあこさんが腰かけてる。
「はぁ……友希那さんと紗夜さんやっぱり来ないなぁ」
「……二人にも連絡したんだ」
(ち、チャレンジャーだ)
あの二人がまず行くと言うわけがない……というより、下手すればお小言が待っている。
「はい! だって、雑誌掲載を記念してのお茶会ですからッ」
そう言うあこさんの手には、僕が袈裟買った音楽系雑誌が握られていた。
どうやら、あこさんも買っていたようだ。
「あこって、時々メンタルが強くなるよね」
「それが、あこちゃんの良いところ……ですから」
柔らかい表情を浮かべながら言う白金さんの言葉に、僕は怖いもの知らずという言葉が口から出てくるのを必死にこらえる。
「二人とも、『そんな暇はない』って」
「まあ、そう言うだろうね」
ある意味、それで済んでよかったとも思う。
「そう言えば雑誌を読んでみんなどう思った?」
「ん? 別に普通に当たり障りのない言い記事だと思うけど」
不安そうに聞く今井さんに、僕は首を傾げながらも、僕は感想を口にする。
「そ、そうじゃなくて……その、写真のほうなんだけど」
「写真?」
「あ……」
言いづらそうにしている今井さんの指摘した箇所に、僕はさらに首を傾げながら雑誌に掲載されているみんなの写真を見て見る。
別に、不自然なものは見当たらない。
「そ、そうだ! 孤高の歌姫って、なんだかカッコいいですよね!」
わからない僕とは対照的に、あこさんと白金さんは分かったのか、露骨に話題をそらし始める。
「お、お願い。そんな風に話題をそらされると余計に傷つくから、本当のことを言って」
そんな二人の様子に、今井さんは複雑そうな表情を浮かべながらあこさんたちに促した。
「じ、じゃあ……リサ姉だけギャルっぽくて浮いてる」
お互い顔を見合わせたあこさんは、申し訳なさそうにそう告げた。
(あ、そっちか)
あこさんに言われるまで気づかなかったが、確かに衣装のほうを見て見ると、若干今井さんだけが浮いているようにも見える。
「あぅぅッ。やっぱり友達に言われた通りかぁっ」
「で、でも紗夜さん達服装が地味ですからっ」
どうやら、同じことを雑誌を見たであろう人に言われたらしく、落ち込んだ様子の今井さんにあこさんがあたふたとしながらフォローの声をかける。
「でも、そんなに気にしなくても良いんじゃない? 可愛く写ってるんだから」
「ッ!? そ、そう……かな。いや、でも~」
何気なく漏らした感想に、今井さんはどういうわけか息をのむと、格闘するようにぼそぼそとつぶやき始める。
「良いな……今井さん」
「一樹さんって、時々たらしですよね」
なんだか小さな声で今井さんを見ながらつぶやく白金さんと、そんな二人を見ていて苦笑しながら言ってくるあこさんという混沌と化した状況に、僕は首を傾げるしかなかった。
「まあ、浮いてるのが嫌だったら、ステージ衣装でも用意すればどう?」
「ステージ衣装……それだっ!」
とりあえず、それを無視して提案すると、ドンピシャだったようで、あこさんが賛同の声を上げる。
「あことりんりんと友希那さんって服の趣味が似てそうだし!」
「確かに、言われてみれば……でも、あこはさすがに」
あこさんの言うとおり、確かに白金さんと湊さんは服のテイストが似ている。
紗夜さんもおそらくは似合うだろう。
だが、それにあこさんが似合うかどうかまでは分からない。
「でも、あこの服はりんりんに作ってもらったものなんだよ」
「へー……って、嘘っ!? それってすごいじゃんッ」
あこさんの言葉を、最初は聞き流していたが、次第にその言葉の意味するものを理解した僕は、慌てて声を上げた。
「そ、そんなこと、ないですよ……」
「いや、そんなことあるって。手作りなんてわからないくらいにすごいよっ」
「わたし……いつも家にいて……時間が、あったので」
僕と今井さんの立て続けの称賛の声に、白金さんは顔を赤くしながら照れていた。
「それじゃ、Roseliaの衣装作ろう!」
そのあこさんの言葉で、Roseliaの衣装づくりという一大プロジェクトが発足した。
……のはいいが
「一応、二人には聞いておいたほうがいいと思うよ。湊さんはともかく、紗夜さんはファッションとかにそんなに興味はなかったはずだから」
僕の知る彼女は、無頓着というわけではないが、おしゃれに気を使ったり楽しんだりするタイプではなかった。
「それじゃ、アタシから二人に聞いてみるよ」
「後は、どんな感じにしようかな……」
こうして、僕たちはRoseliaの衣装のコンセプトを練っていくのであった。
衣装のコンセプトを一通り練って解散となり、家に帰った僕は夕食を終えるとリビングでくつろいでいた。
「ん?」
その時、来訪者を告げるチャイムが突然鳴った。
「一樹、ちょっと出てくれる?」
「はーい」
「出来れば急いでねー」
先ほどからピンポンダッシュならぬ、ピンポンラッシュのごとくけたたましく鳴り響き続けるチャイムの音に、どこか母さんの声に棘があった。
(誰だろう、こんな時間に)
失礼とまでは言わないが、そこそこいい時間だ。
しかもチャイムを連打となると、かなり正気を疑うレベルだ。
ここに訪ねてくるような者で、このようなことをする人に心当たりはないので、かなり警戒している。
僕はとりあえずいまだになり響き続けているチャイムの音をBGMに、玄関のドアのドアスコープで外の様子をうかがう。
(あー、そう言えばそうだったよね)
ドアスコープから確認できた、来訪者と思われる人物の姿に、僕は内心納得してしまった。
”彼女ならやりかねない”、と。
「はい」
「あ……ッ!」
ドアを開けて僕と目が合った瞬間、その来訪者は目を見開かせると、一気に表情を曇らせた。
「うわっ!?」
「ううぅぅっ! 一君ッ、一君ッ!」
突然の来訪者……日菜さんは、僕に抱き着いてくると泣きじゃくり出した。
「ち、ちょっと……」
「ごめんなざいっ! ごめんなざいっ」
困惑する僕に、日菜さんは泣きじゃくりながら謝ってくるだけなので、僕の困惑は収まることはなかった。
ものすごくあれな終わり方ですが、次回も楽しみにしていただけると幸いです。
メインヒロインは誰?
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湊友希那
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氷川紗夜
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白金燐子
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今井リサ
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宇田川あこ