BanG Dream!~青薔薇との物語~   作:TRcrant

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第7話 テスト入試

「女子校へのテスト入学ねえ……」

「しかも、二校から声をかけられてるなんてすごいね」

 

昼休み、いつもの場所で昼食を取るべく集まった頃には、すでに白鷺さんや松原さんの知るところとなっていた。

主に、僕の横に何食わぬ顔でいる中井さんによって。

 

「でも、一体どういうわけで、その話が貴方にいったのかしら?」

「それは……」

 

白鷺さんの疑問で、僕は当時のことを振り返りながら、皆に説明を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少子高齢化社会。

その単語は、誰でも一度は耳にしたことがある単語だ。

意味合いとしては、大雑把に言ってしまえば高齢者が増え、若者の数が減っている状態のことを言う。

この少子高齢化は国にとっても色々と問題を生じさせていく要因の一つであり、それを改善することは非常に重要であるのは間違いない。

特に、その影響をダイレクトに受ける物の一つが教育機関だ。

少子高齢化によって廃校となったり、近くの教育機関と合併したりという事例は、数多く報告されている。

このままでは数十年で、現在ある教育機関の大半が、廃校となる予測データまで出されているとかいないとか。

そんな説明を聞いたところで、あまりピンとくるような人は少ないだろう。

少子高齢化はともかく教育機関の減少などは、自分とはあまり関わり合いがないのだ。

無関係なことと感じている人を責めるのは、酷と言う物だろう。

なにせ僕もその一人だったのだから。

そう、あの日までは……。

それは、僕が病院から退院して最初に登校した日の昼休みのこと。

進路指導の先生と、なぜか教頭先生まで一緒になってされた説明が、今のような内容なのだ。

 

「―――ということで、この近隣の学園と協力を行い、共学化に向けた準備を行うために、奥寺君に試験的に女子高に通っていただきたい」

「えっと……」

 

突然のことに、僕は正直困惑していた。

 

「どうして、僕が?」

 

聞かされた内容もそうだが、何よりも一番のウエイトを占めていたのは自分が選ばれた理由だった。

 

「君の過去三年間の学力、および品行には目立った問題もなく、信用に足りうると判断されたからだよ」

 

そんな僕に教頭先生が答えた内容は、ある意味説得力が強く思えた。

確かに学力に関しては、クラス平均の少し上の成績を毎回残しているし、学校内で大きな問題を起こした記憶もない。

それを評価されているのは、とてもうれしいことこの上ない。

 

(とはいえ、さすがに女子校は……)

 

問題なのは、行く場所が女子校であることだけだ。

考えても見てほしい。

数百人いる生徒。

その中に男子は自分だけという状況を。

 

『ハーレムだ、ひゃっほう―!』

 

そんなことを言う人もいるのかもしれないが、僕は到底言うことはできない。

別に、女性嫌いとかではない。

ただ単に、居心地がすごく悪いのが目に見えているのだ。

とはいえ、先生方からの評価があっての提案だ。

これを蹴るのはさすがに覚悟がいる。

 

「もちろん、これは強制ではない。だから、奥寺君が嫌なのであれば断ってもらってもかまわない」

 

教頭先生はそういうが、断った場合に、僕が不利益を被る可能性がないとは言い切れない。

推薦で行くにしろ普通の入試で行くにしろ、先生の心証を悪くしておくのは得策ではない。

 

(でも、女子校は……)

 

そしてまた堂々巡りになってしまう。

 

「君が、今回の提案を受け入れてくれるのであれば、学費は全額免除される。無論、成績や品行等で問題がなければだが」

 

その堂々巡りに終止符を打ったのは、進路指導の先生の一言だった。

 

「学費の免除……」

 

父さんと母さんが一生懸命働いてる状況に、僕は後ろめたさを感じていた。

正直、学費が全額免除されれば、その分父さんたちの負担も減る。

 

「他にも、高校を卒業してからの進路に関しても、かなり優遇される」

 

この時には、僕の中で答えは出ていた。

 

「テスト入学の件、引き受けます」

 

こうして僕は、テスト入学をすることになるのだったが、ここでまた一つの問題が生じる。

 

「奥寺君には、我が校の高等部および、羽丘女子学園の二校からオファーが来ている」

「羽丘女子学園、ですか?」

 

先生が僕の前に出してきたのは、羽丘女子学園の入学パンフレットだった。

女子校なので、当然写っているのは女子のみだが、読み進めて感じたのは”すごい”の一言だった。

 

(食堂もあるし、設備も充実してる)

 

講堂はまるでどこかのコンサート会場なのかと思えるほどの広さを誇っているらしいが、何よりも特筆するのは学力の高さだった。

啓介たちから話を聞いて知ってはいたが、羽丘は有名な進学校。

有名な大学への合格者を毎年何人も出している実績付き。

ここに通えば、自ずと学力がついていくことは疑うべくもない。

自分の学力のレベルが、いったいどのくらいなのかはわからないが、いい成績を残し続けていれば進路の面で色々とメリットがある。

しかも、優遇措置として、進路に関してもかなり優遇されるとあれば、ここを選ぶほかはない。

 

(でも、ここも捨てがたいし……)

 

今通っている花咲川学園の高等部にあたる花咲川女子学園は、羽丘に比べれば偏差値では劣っている。

だが、自由な校風もあるし何より知り合いが多くいることを見れば、ここなら精神的にも負担は少なそうだ。

 

(精神的な負担をとるか、将来をとるか……)

 

僕は、どちらにするのかを決めることができなかった。

 

「まだ時間はある。じっくり考えてみるといい」

 

こうして僕は、どっちの学校に進むのかを悩むことになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、そういうことだったのね」

 

すべてを話し終えると、白鷺さんが静かに口を開く。

 

「それで、答えは決まったの?」

「それがまだ。どっちも捨てがたいから、中々選べなくて」

 

僕の言葉に、白鷺さんは静かに”そう”と相槌を打つ。

 

「私も、奥寺君と一緒の学校に通えるほうが……その、嬉しい、かな」

「あらあら♪」

 

顔を赤くしながら視線をあちこちに移している松原さんは、明らかに挙動不審だった。

とりあえず、ニタっと笑みを浮かべながらこちらを見てくる中井さんは放っておくことにした。

僕の羽丘を選ぶことができない気持ちを、松原さんは理解してくれていた。

 

「でもね、奥寺君が行きたいって思ったところに通ってもいいんだよ。だって、別々の学校になっても、友達は友達、だよ」

 

優しい表情で静かに語りかけるように言う松原さんの言葉には、どこか力強さを感じていた。

 

「松原さん……」

「ふふ、そうね。貴方の幼馴染と同じ……別々の学校になったから駄目になるような関係だったら、どのみちすぐにダメになるわよ。奥寺君にとって、友人と言うのはその程度の物なのかしら?」

 

優しく語りかける松原さんとは対称的に、白鷺さんはどこか突き放しながら、こちらを挑発するような感じで言ってくるが、僕はそれに対して腹を立てることはない。

なぜなら、彼女の言葉には僕の背中を後押ししようとする、思いやりを感じたから。

そのおかげで、僕は今まで感じていたモヤモヤがすべてクリアになった。

 

「……わかった。僕、ここを卒業したら……」

 

そして、僕は進路を決めるのであった。

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