JUMP DRIFTERS   作:悪魔さん

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【注意事項】
この話ではパワハラ上司の無惨様がテレパシーを飛ばします。
パワハラ上司の声は〈〉で示すので、ご了承ください。


第13幕:中年の本気

 憎しみに支配された堕ちた聖女は、炎を撒き散らしながら暴れていた。

「どこに隠れた!! 出て来いよう漂流物(・・・)!! でないと森も城も何もかも燃えてしまうよう!」

「それは困りますねェ、ジャンヌ・ダルク」

 標的がゆっくりと姿を現す。

 その声に反応し、狂気の笑みを浮かべた。

「いたあ!」

 ジャンヌは殺せんせーを視界に捉えると、ナイフを投げつけて次々に地面に突き刺した。

 その直後、投げたナイフが刺さった地点から発炎し、一気に炎が燃え広がって殺せんせーの退路を奪った。

「さあて、もう逃さないよう」

「ええ、私も迷いは断ち切っておいたので」

 殺せんせーは右手でコンバットナイフを弄ぶ。

「それにしても……自慢の剣技は見せてくれないのですか?」

「何、だと……!?」

 殺せんせー、煽りの呼吸を発動。

 ニコリと優しく微笑みながら挑発を重ねていく。

「いやあ、残念です……中世ヨーロッパの剣術は拝んでおきたかったんですけどねェ。ああ、剣は素人でしたっけ?」

「っ……減らず口を!」

「いや、実はただの飾りかもしれないですねェ……何なら剣術教えましょうか? ナイフでもいいですよ? ヌルフフ……こう見えて若者の指導は得意なので」

「気持ち悪い声で笑うなァ!! そんなに望むなら、斬ってから焼いてやる!!」

(チョロいですね、聖女……)

 こうも容易く挑発に乗ってしまうと、逆に不安になる。

 殺せんせーは何とも言い難い気持ちになるが、内心微笑んだ。これでお膳立ては完了だ。

「死ね!! 漂流者(ドリフターズ)!!」

 ジャンヌは長尺の両刃剣を片手に、殺せんせーに迫った。

 殺せんせーはナイフを構えたまま動かない。受け止める自信があるのだろう。

 受け止めた直後に焼き尽くしてやる――ジャンヌは聖女とは思えぬ悪意に満ちた笑みを浮かべ、ナイフに(・・・・)意識しつつ(・・・・・)大きく振りかぶった。

 その時だった。

「……フッ」

 殺せんせーは、ナイフを空中に置くようにし捨てた。

(何だこいつ!? ナイフを捨てた!? 何だ何だ!! 何なんだ!?)

 斬り殺される寸前なのに得物(ナイフ)を捨てる、常識外れの行動を取った殺せんせーに、ジャンヌは得体の知れない恐怖に駆られた。目の前の相手が人の皮を被った化け物に感じた。

 そして――

 

 ――バァァン!

 

 ジャンヌに、音の塊が襲い掛かった。

「あ、が……!?」

「これで無力化はできましたね。暫くは立てないでしょう」

 崩れ落ちるジャンヌを、殺せんせーは見下ろす。

 先程彼が放った技は〝クラップスタナー〟。見た目は単なる猫騙しのような技だが、人間の意識の波長に合わせて脳に音波の強い「山」をぶつけるため、その威力は衝撃で怯むどころか、相手の神経が麻痺して当分動けない程である。

 無手で相手を倒す、常識外れの一撃。これが殺せんせーの〝必殺技〟である。

(そ、そんなバカな……たかが拍手に……こんな子供騙しに……!)

 ジャンヌは白目を剥き、うつ伏せに倒れた。

「さてと……敵と言えど女性ですし、拘束するぐらいでいいでしょう」

 殺せんせーは廃城からいつの間にか拝借していた縄を使い、目にも止まらぬ早業でジャンヌを(がん)()(がら)めにした。

「問題はジル・ド・レとロジャーさんの相手……早く決着を付けさせないといけませんね」

 

 

 一方、しのぶはジルドレと戦っていた。

 巨大な十字槍を振るうジルドレの攻撃は、城壁ごと斬る威力。射程範囲から外れても風圧で体が浮きそうになる。さらに鎖を鞭のように操ることで変則的な攻撃も仕掛けるようになり、劣勢に立たされていた。

「我が(たび)未だ終わらず。故に我未だ終わらず」

「しかしその戦いぶり……()()(じま)さんを彷彿させますね」

 しのぶと同じ鬼殺隊の柱であった男・()()(じま)行冥(ぎょうめい)。彼は盲目ながらも生まれつき恵まれた長身と身体能力の持ち主であり、鬼殺隊の人間として肉体と戦術を命懸けで研ぎ澄ませてきたため、柱の中でも際立って高い戦闘能力を有していた。

 残念ながら童磨に敗北してしまったため、しのぶはその後の鬼殺隊はどうなったのかは知らない。彼もまた無惨との死闘の末に散ったことも、何もかも……。

(マズイ……何とかしないと……!)

 しのぶは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 鎖の攻撃は日輪刀で弾くことはできるが、槍による攻撃とそこから生じる風圧は避けざるを得ない。ましてや事実上の非戦闘員であるオルミーヌを庇いながら戦うのは、かなりの重荷だ。

「散れ」

 

 ジャラララ!!

 

「うぅっ!」

 次の瞬間、ジルドレが放った鎖がしのぶの手足と首に巻きついた。

 ギチギチと締め上げられ、しのぶは苦しそうに悶えた。

「しのぶさん!」

「き……来ちゃ、ダメ……!!」

 しのぶに死の危険が迫っていることを悟り、オルミーヌは殺せんせーから渡された拳銃を構えるが、その姿を捉えたジルドレが槍の穂先を向けた。

 このままではオルミーヌが殺される。首に巻き疲れた鎖で〝全集中の呼吸〟を封じられながらも、しのぶは精一杯足掻く。

 その時、ジルドレに向かって何かが突進してきた。

 

「〝炎の呼吸 弐ノ型 (のぼ)(えん)(てん)〟!!」

 

 ガギィン!

 

「「「!?」」」

 しのぶに襲い掛かった十字槍を、下段から弧を描くように斬り上げる一振りの刀。

 体勢を崩したジルドレは、しのぶを締め上げていた鎖を手放し距離を取る。

「げほ、ごほ……!」

「え……あ、新手の漂流者(ドリフ)……!?」

 オルミーヌは驚いた表情で刀の持ち主を見つめた。

 目の前で佇むのは、先が赤く染まった金髪と炎を模した羽織をなびかせた青年だ。年齢としては二十歳あたりだろうか。詰襟を着用しており、しのぶと共通している部分もある出で立ちだ。

(……ああ、あなたもこっちに飛ばされていたのですね……)

 しのぶは静かに涙をこぼした。

 彼女の前に立つのは、本来は二度と会えないはずの人間。

 その太刀筋と為人、何より己の責務を全うした熱い生き様は、決して忘れることは無い。死後もなお尊敬され続ける、黎明に散った〝柱〟だったのだ。

「久しぶりだな、胡蝶!! 無事か?」

「れ……煉獄さん……!!」

 

 

           *

 

 

 ロジャーと黒死牟の決闘は、壮絶を極めていた。

 剣刃がぶつかれば衝撃で爆風が起こり、距離を置いて斬撃を飛ばせば周囲の物を次々に破砕していく。二つの巨大な嵐がぶつかったかのような、二人の男の戦いが生んだとは思えない絶望的光景、略して絶景が展開されていた。

 しかも二人共、一切の外傷がない。互いに最強の存在として君臨したがゆえに、心技体の全てが拮抗しているのだ。

「素晴らしい……よくここまで鍛え抜いた、ロジャー……!」

「侍に褒められるたァ光栄だ! おめェもとんでもなく(つえ)ェぜ、黒死牟!」

 武者震いする黒死牟と歯を見せて笑うロジャー。

 鬼と成った剣士と、鬼と呼ばれた海の覇者――二人の時空を超えた決闘は、さらに苛烈と化す。

「〝月の呼吸 陸ノ型 (とこ)()()(げつ)()(けん)〟」

 黒死牟は縦横無尽に駆け巡る無数の斬撃を放つ。

 月輪と共に斬撃はロジャーに迫るが、彼は横薙ぎの一閃で覇気を拡散させ、斬撃を真っ向から弾いた。その影響で月輪は四方八方へ飛び、木々を薙ぎ倒していく。

 月輪のいくつかは黒死牟に向かうが、彼は無造作に刀を振るって相殺する。

(私の剣技の性質をすでに理解したのか……)

 黒死牟が極めた〝月の呼吸〟による剣技は、太刀筋に沿って月輪の刃が無数に形成されるという特性がある。この月輪は人体を紙切れの様に容易く斬断し、斬撃に合わせて大きさ・形・長さが常に変化する上、ほんの少しの間だが空間に残り続けるという恐ろしい相乗効果を発揮する。

 前の世界では、その性質と黒死牟自身の絶大な基礎戦闘力によって鬼殺隊の最高位たる柱達を次々と葬ってきたのだが……ロジャーのあまりにも強大な覇気は真っ向から(せめ)ぎ合っていた。

「放たれた斬撃の軌道を逸らすとは……」

「わっはっはっは! 避けられねェ技は弾き返せば問題ねェだろ?」

「フ……言い得て妙だ……」

 ――防御や回避すらも困難ならば、斬撃を月輪ごと真っ向から弾き返せばいい。

 そんなロジャーの言い分に使い手はどこか納得している様子だが、常人どころか鬼殺隊や十二鬼月からしてもメチャクチャな戦い方。鬼狩りの頂点たる柱ですら回避するのが至難である斬撃を真っ向から弾き返すなど、人外の領域だ。

 それを迷いなく実行し実現できるのが、無茶な生き方に定評がある天下の海賊王。とんでもねぇロジャーである。

「今度はこっちの番だ! フンッ!」

 気合一閃。

 ロジャーは乱暴に剣を振るい、斬撃を飛ばした。

「〝月の呼吸 壱ノ型 (やみ)(づき)(よい)(みや)〟」

 黒死牟は一度納刀し、神速とも言うべき速さで抜刀。同時に発生した月輪で飛んできた斬撃を相殺するが、その刹那の瞬間にロジャーは黒死牟に急接近。間合いに入り込み、そのまま剣戟となる。

 斬り結ぶ両者。(けん)(わん)と月輪の効果も相まって黒死牟が有利だが、ロジャーは〝見聞色〟を発動中のまま戦っているため、紙一重だが不規則に襲い掛かる月輪を見事に躱している。

(これは……〝透き通る世界〟と酷似した能力を使いながら戦っているのか?)

 〝透き通る世界〟とは、全集中の呼吸を極めることで行き着く境地だ。

 この領域に至った者は他者の身体の中が透けて見え、それによって相手の骨格・筋肉・内臓の働きさえも手に取るようにわかるようになる。これを戦闘に活用すれば相手の攻撃や動作のパターンを瞬時に見切り、回避や反撃が可能となるのだ。

 当然ながら、黒死牟もこの領域に達している。彼の場合は相手の状態を見通すことで、初動を潰し一方的に攻め立てることが可能だ。現にロジャー相手にも使っているのだが、なぜか彼には通用しなかった。

(この男は月輪を躱すどころか弾くことすらできる……月輪の軌道は柱ですら読めぬ……未来予知に近い能力か……?)

 自分が先の先を現実にできるのならば、ロジャーはその先をも現実にできるのではないか。

 そう考えた黒死牟は、ロジャーの動きを封じるべく次の一手に出た。

「――〝月の呼吸 伍ノ型 (げっ)(ぱく)(さい)()〟」

 

 ゴゥッ!

 

「うおっ!?」

 黒死牟は刀を振るわずに(・・・・・・・)竜巻のように渦巻く斬撃を発生させた。

 さすがのロジャーもこれは予想できなかったのか、初めて笑みが消えた。

(刀振らずに斬撃飛ばせるのか! しかも全方位対応……文字通りの死角なしとなりゃあ、少々厄介だな)

 海賊の世界における少々厄介というのは、とんでもない面倒事である。

 ロジャーは今までに色んな猛者と激闘を繰り広げたが、一太刀で全方位に攻撃を繰り出す剣術の使い手はいなかった。黒死牟の剣技の恐ろしさが、ここで身に染みた。

 しかしロジャーは、臆するどころか笑みを取り戻していた。本気じゃなく、全力を出せる相手だと判断したのだ。

 彼が全力を出せる相手は、白ひげやガープと言った攻撃の余波で天変地異を起こすような怪物達のみ。図らずも黒死牟は、海賊王基準で歩く災厄達の仲間入りを果たした。ある意味では継国縁壱(おとうと)に届いているのだが、当の本人は知る由も無い。

「……今の攻撃を避けきるか……さすがだ……」

「黒死牟の剣は何でもありだな! ゾクゾクしたぞ」

 互いに血が滾るのを感じ取る。

 人生は短く、全盛期はもっと短い。その範疇から逸脱した人を喰らう鬼も、日の光や藤の毒を浴びたり日輪刀で頸を落とされればそれまでの命だ。

 だからこそ、このドツキあいは楽しくて(・・・・)たまらないのだ。

「……ロジャー……人の身でありながら柱をも超越したその強さ、見事だ……だがその強さが我が身に届く道理はない……」

 気を高め、諸肌を脱ぐ黒死牟。それと共に彼の刀の刀身が伸び始め、三又に枝分かれした。

 威圧感もさらに増した鬼に、ロジャーは驚きを隠せないが楽しんでいた。

「成程、それがおめェの全力か。じゃあおれもだ!!」

 

 ボッ!!

 

 刹那、ロジャーから爆風にも似た〝圧〟が放たれ、周囲に無数の黒い稲妻が迸った。彼自身の覇王色の覇気だ。

 覇王色は戦闘力に応じて展開できる規模や威力が変化し、相手の意識を奪うだけでなく物理的な破壊力を生む。心技体を備えた真の覇者であれば、気迫を高めるだけで外界にも大きな影響を与える。そしてロジャーの場合、あまりの強大さで天変地異を引き起こすレベルに達しており、本気を出せば島が吹き飛びかねない程の衝撃波が拡散するのだ。

 海賊・海兵問わず全盛期の生ける伝説達を出し抜き、全ての海賊の頂点に上り詰めたロジャー。かつての仲間達や彼と殺し合いを繰り広げた者しか知らない、あまりの強さに〝鬼〟と恐れられた男の本領発揮だ。

「来いよ侍、第二幕と行こうぜ」

「……!」

 その強さに、黒死牟は目を奪われた。

 力の為、強さの為、黒死牟は全てを捨てて鬼として三百年以上も最強の座に君臨した。しかし目の前のロジャーは、人でありながら最強の黒死牟と同等以上に渡り合っている。〝血鬼術〟でも〝全集中の呼吸〟でもない能力で、人の身のまま鬼を上回らんとする力で真っ向からぶつかっている。

 この男の強さは、何なのか。なぜこんなにも強いのか。

 黒死牟の心に、ロジャーの強さの秘密を知りたいという欲が湧いて出てきた。

(ロジャー……お前を知れば、私は……)

 思い浮かぶのは、花札の耳飾りを着けた弟の姿。

 ロジャーは縁壱ではない。だがロジャーを知れば、日輪(よりいち)に伸ばし続けた手が届くのではないか。

 全力を出せる相手と出会えたことへの歓喜、侍と呼んだことへの謝意――鬼になって400年も過ごした剣士は知らず知らずのうちに、ロジャーに対し特別な感情を抱くようになっていた。

 

 ――黒死牟。

 

(!? 無惨様の声……)

 黒死牟の脳内に響く声。鬼の首魁にして主君である無惨の声だ。

 生物の範疇を超えた無惨は多くの特殊な能力を有し、その一つに念話がある。これはある種のテレパシーのようなもので、離れた場所にいる配下にも言葉による指示を送ることができる。

 無惨は拠点である無限城から、ロジャーとの決闘の真っ只中である黒死牟に指示を飛ばしたのだ。

〈上弦の壱ともあろう鬼が、漂流者一人に随分と手古摺っているな〉

 主君からの苦言。忠誠心の強い黒死牟は、返す言葉も無いのか沈黙する。

 しかしこの後、黒死牟にとっても無惨にとっても想定外の事態が起こった。

「黒死牟、聞こえたか!? 今の声!!」

「!?」

 黒死牟は絶句した。

 何とロジャーは無惨の声が聞こえたのだ。

(ど、どういうことだ……なぜあの男は無惨様の声を聞ける……!?)

 人としても鬼としても常識を逸脱した現実に、動揺を隠せない黒死牟。

 実を言うと、ロジャーは強大な覇気を扱うだけでなく〝万物の声を聞く〟という謎の能力の持ち主でもある。その声は人間だけでなく巨大生物である海王類や1000年以上生き続けている巨大なゾウ〝象主(ズニーシャ)〟、さらには碑石である〝歴史の本文(ポーネグリフ)〟の声すらも聞き取っている。

 その能力で、黒死牟に送られた無惨の念を感じ取ったのだ。本来ならば無惨の血によって鬼となった者にしか聞こえないはずなのだが、ロジャーはどうやら耳に届いたようだ。

「誰だ! こんな時にゴチャゴチャ小言を飛ばす奴は!! せっかく(つえ)ェ侍と()れるってのに、男の勝負に水差すんじゃねェ!!」

 キョロキョロと辺りを見回しつつ、ロジャーは怒声を上げる。

〈――こっ、黒死牟!! 殺せ!! その男は危険すぎる!!〉

 無惨の震えた声が響く。

 鬼にもなってない別世界の住人に、聞こえないはずの自分の声を聞かれたのが恐怖心をかなり煽ったようだ。

 しかし当の黒死牟はと言うと……。

(強い侍……男の勝負……ああ、何と甘美な響きか……)

〈黒死牟っ!?〉

 何とロジャーの言葉に惚れ惚れしていた。

 ロジャーは非常に仲間想いな性格の上、行動も子供の様に単純かつ真っ直ぐである。それゆえに言動も割と裏表が無く、素で言い放つことも多い。

 ただでさえ鬼になる以前から武人である黒死牟は、己を鬼ではなく侍として受け止めるロジャーの力量器量に好意を抱きつつあった。それが無惨からの一方的なテレパシーによって「黒死牟との戦いを邪魔された」と腹を立てたロジャーに、自分との戦いを重んじてくれると感服してしまったのだ。

 世の中には、男を惚れさせる男がいる。人間を自分の糧となる餌程度にしか見てなかったワカメ頭の無惨にとって、戦場で培った男の友情や戦いの中でしか語れぬ情など、到底理解できるわけなど無かった。

「……あの御方には……きちんと言っておく……気を害してすまなかった……」

「わははは! 真面目だな、黒死牟は。そういう奴は嫌いじゃねェぜ?」

〈黒死牟っ!?〉

 黒死牟、まさかの説教宣言。

 ひとえに無惨が邪魔をし、無意識にロジャーを煽った結果である。

「うっし、じゃあ続き始めるか!」

「無論だ……来るがいい、ロジャー……!」

〈……黒死牟……〉

 ロジャーと黒死牟は、無惨の声を無視して決闘の続きを始めた。

 ビジネスパートナーに無視されるどころか「主君のせいで気を悪くして申し訳ない」と明言された無惨は、癇癪を起こすことすらできず、ただ魂が抜かれたような表情をするしかなかった。




キャラ改変のタグが必要であれば、付け足しときます。
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