JUMP DRIFTERS   作:悪魔さん

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今月で24歳を迎えた作者です。
ふと考えたんですが、3年以上活動してたんですよ。時の流れって、早いもんですね……。


第15幕:カリスマ大集合

 ジャンヌ・ダルクら黒王軍の尖兵の襲撃を跳ね除けたしのぶ達は、十月機関の長と言葉を交わしていた。

「オルミーヌさんのお師匠さんと聞きましたが、何者ですか?」

「私は廃棄物を憎む者で、魔導結社「十月機関」の長をしています。あなた方漂流者(ドリフターズ)を支え、この世界に居てはいけない廃棄物(エンズ)を滅ぼす使命を受けた者……安倍(あべの)晴明(はるあきら)です」

安倍(あべの)晴明(はるあきら)……よもや貴殿は安倍(あべの)晴明(せいめい)か!!」

()()()()()()読まれているそうで。私はそれ程大したものではありませんよ」

 平安の世に活躍した、日本史上最も有名な陰陽師。その数々の伝説は、さすがのしのぶ達も十二分に存じている。

 しかしいざ本物の安倍晴明が現れるとなると、夢か現かわからなくなりそうだ。いくら実在の人物と言えど、約千年も前の世の人間なのだから。

「おう! 無事だったかおめェら!」

「ロジャーさん!」

 そこへロジャーが意気揚々と帰還。

 その姿は、まるで祖国を凱旋する将軍。いつも通りの満面の笑みを浮かべるロジャーにしのぶはホッとするが、彼女以外はロジャーの鍛え抜いた体と放たれる威圧感を前に冷や汗をかいた。

「何だァ? 随分と賑やかじゃねェか」

「ええ、彼らが助けに来てくれたんですよ」

「煉獄杏寿郎という! 貴殿の名は?」

「おれはロジャー! ゴール・D・ロジャーだ! よろしくな杏寿郎!」

 ニッと笑みを浮かべ、固く握手を交わす。

「……で、おめェら誰だ?」

『……』

「……せっかくです、ここで自己紹介しておきましょう皆さん。これから共に黒王と戦うこととなりますし」

 

 

 晴明の一言で始まった自己紹介を終え、話題は戦況報告となる。

「殺していないのですか!?」

「いやあ、私は敵の拠点を知ろうと捕虜にしたつもりでしたが……まさかの源義経で」

「回収されちまったってわけかい」

 そりゃ仕方ねぇわな、と鯉伴は呟く。

 殺せんせー曰く。ジャンヌを拘束した後、ロジャーやしのぶ達の救援に駆けつけようとしたが、そこへ義経が乱入して斬り合いとなり、最終的には彼と黒王軍の兵士によって回収されてしまったという。

「殺せんせー殿。廃棄物は誰であろうと殺さねばならない。手遅れにならぬ内に!」

「そうは言っても、敵は軍勢でしょう? ろくに情報も把握できない以上、一人一人仕留めるのは非効率的。我々は崇徳院と百鬼夜行と酒呑童子一派を同時に相手取るような状況です。弱点を知らず対策も練らず正面突破で勝てると?」

 殺せんせーの平安の人間にとってわかりやすい例えに、晴明は言葉を詰まらせる。

 平安の世を震撼させた妖怪達の猛威を知る陰陽師にとって、現代用語を使うよりも理解が早いようである。

「それはそうと、ロジャーさん。あなた誰と戦ってたんですか?」

「おう、久しぶりに(つえ)ェ奴と()り合ったんだ! 〝月の呼吸〟って剣術を使う侍だ! 自分は鬼だから日の光に(よえ)ェっつってトンズラしちまったけどな」

 向こうにいた頃を思い出したぜ、と豪快に笑うロジャーだが、聞き捨てならない言葉が出てきた。

 〝月の呼吸〟、自分は鬼、日光に弱い……どう考えてもただの敵ではない。というか、鬼殺隊が狩るべき鬼そのものである。

「ロジャー殿……その、何者かわかりますか……?」

「黒死牟っつう六つ目の侍だ! そういやあ真ん中の両目に何か文字も入ってたな」

「なっ!? 〝十二鬼月〟ではないですか!」

 ロジャーの爆弾発言に、晴明は声を荒げた。

 だがそれ以上に驚いたのは、鬼殺隊の柱二名。ロジャーが無惨直属の配下である十二鬼月を真っ向から渡り合ったこともそうだが、何より晴明が鬼の最高位である十二鬼月を知ってることに驚いたのだ。

「なぜ知ってるの……!?」

「私の生きた世には存在しなかったが……かつて私の十月機関に属していた(くわ)(じま)()()(ろう)氏が語っていた。前の世界では弟子に裏切られて腹を切ったようですが……」

「「桑島慈悟郎!?」」

 晴明の言葉に、しのぶと杏寿郎は目を見開いた。

 その驚きように食いついたのか、鯉伴は二人に問いかけた。

「知り合いか?」

「……私達が属する鬼殺隊において、隊士を育てる「(そだ)()」という方々がいます」

「桑島慈悟郎はその一人で、全集中の呼吸の一つ〝雷の呼吸〟の使い手だ」

 二人の言葉に、高杉は「成程な……」と呟いた。

「慈悟郎さんは、どうなったのですか……?」

「5年程前に寿命で亡くなりました。彼の遺言で火葬いたし、散骨も済んでます」

 晴明の言葉に、しのぶと杏寿郎は微笑んだ。

 鬼殺隊に入った、あるいは関わった者で、天寿を全うした人間はそうはいない。隊士もその関係者も、多くは鬼との戦いで死んだからだ。もし天寿を全うできるとしたら、それは鬼の始祖が死んだ時ぐらいだろう。

 いや、それはともかく、まず確かめなければならないことがあった。

「ロジャーさん、追わなかったのですか!?」

「背を向けた相手を叩き潰すのは性に合わねェ」

 決闘だしな、と付け足しながらロジャーは即答。

 それを聞いたしのぶは、ロジャーに叫んだ。

「ロジャーさん!! あなたは鬼という存在を理解していない!!」

 鬼気迫る表情で、しのぶはロジャーに凄んだ。

 鬼とは、人間だった頃の記憶などを基本とした個性と知性を得るが、総じて倫理観が崩れた自己本位な歪んだ人格だ。栄養価の高い人間を喰らうため、息をするように虚言を吐き、騙し絶望させる。その上強い闘争本能を持ち、渇望だけが肥大化する。そんな怪物を見逃すなど、到底信じられないことだ。

 それも鬼の中でも際立った強さを誇る十二鬼月で、更にその中でも絶大な力を持つ〝上弦の鬼〟を正当な理由もないにもかかわらず追撃せず、わざと見逃したとなれば、鬼殺隊なら切腹・斬首案件である。

「鬼は滅ぼさねばならない存在なんです……殺すべき相手なんです! 情けをかけていい相手じゃない!! 約束など以ての外です!!」

「胡蝶の言う通りだ! 鬼とは存在そのものが悪! ロジャー殿、胡蝶が世話になったが、これを許すわけにはいかない!!」

黒死牟(あいつ)はおれを()()裏切らねェ。だから心配すんな」

 ロジャーの一言に、二人はポカンと口を開けた。 

 今までの説得を一言で吹き飛ばす、対峙した悪鬼を信頼するかのような発言だ。

「えっと……一応訊きますけど、なぜそう言い切れるんですか?」

「そりゃ長年の勘だな!」

「……ぷはっ! あっはっはっはっはっ! (おも)(しれ)ぇおっさんだな! いいねぇ、気に入ったぜ!」

「わははは!」

 ドヤ顔で断言したロジャーに、鯉伴は吹き出すように笑った。

 険のある言い方ではない。だが、自分の意思が通ると確信しているような、王者としての威厳すら伺える声。これ程までに自由でわがままな男は、そうそういないだろう。

「「……」」

「……もっとちゃんとした言い訳してください、二人の目が死んでますよ」

 ダメだ、この人あまりにも自由過ぎる――殺せんせーは頭を抱えた。

 生徒も含め多くの人間と出会ってきた殺せんせーだが、自由奔放さや身勝手さで言えばロジャーは断トツの一位だった。赤羽や寺坂が真面目にすら思える程だ。

「まあ、済んじまったことグジグジ掘り返しても仕方ねーだろ。どうせまた()り合うんだ、焦って足掬われる方が悪手だ。アンタのいた世の妖怪退治とは(ちげ)ェ」

 戦争経験者の鬼兵隊総督の声に、晴明は同意せざるを得なかった。

 晴明は乱世に生まれた人間ではないため、軍事に関する知識・技術には疎く、戦歴もこの異世界での黒王との戦争が初だ。指導者として類稀なる才を開花しているが、軍の司令官としての才は皆無に等しいだろう。

 反面、相手が異星人と言えど血生臭い戦場を経験している高杉は「近代兵器をものともしない戦術」「軍艦二隻を瞬く間に落とす戦闘力」と評された程の実力者(カリスマ)。一軍の将としての技量に富んでおり、指揮官としての才はこの場にいる誰よりも優れていると言える。ならば、高杉の提言を受け入れるのが賢明だ。

(確かに高杉殿の言う通りだ……だが、たとえ女子供だろうと、どんな過去があろうとも! 廃棄物は殺さねばならん!!)

 それでも、晴明の心は変わらない。

 廃棄物による侵略の歴史上、黒王と人喰い鬼による連合軍は彼自身も想定の範囲外。だからこそ、一人残らず殺して()を摘まねばならない。世界と人間への恨みを核とした災厄を止めるには、それしか方法が思いつかないのだ。

「……それで、あなた方も漂流者(ドリフターズ)ならば、よくここまで辿り着けましたね」

「ええ。あなたの思っている通り、ここに向かう途中、我々は数度黒王の追撃隊に追われた」

 晴明曰く。

 カルネアデスから脱出した自分達は、廃城へ撤退し体勢を立て直そうと企てた。その道中に黒王軍の刺客に襲われ、そのほとんどは同行した漂流者四名によって返り討ちにできたが、状況を把握した黒王軍側が業を煮やしたのか廃棄物二人が急襲したという。

 一人は、赤い雲の模様が描かれた黒地の外套を身に纏った、頭巾とマスクで顔を隠した大男。そしてもう一人はレオタードのような服装が特徴の男。多くの人々を殺してきたのか、両者共に血の臭いが強かったため、ジョットとやぐらが殿を務めたという。

「ジョット殿とやぐら殿は、我々を逃がすために足止め役を買って出た。前にいた世では後世に語り継がれる程の猛者だったらしいが……」

「そいつらは自分の腕っ節に自身があるから残ったんだろ? だったらおめェは前を見てりゃいい。前へ進まなきゃ、果たすべき目的も果たせねェぜ」

「!」

 仲間であるなら信じろ。追撃してくる敵を返り討ちにし、再会できるという確信があるからこそ囮役を買って出た。心配する余裕があるなら、目の前のことに集中しろ。

 そんなロジャーの激励に、晴明は「……そうですね」と笑みを溢した。

「心配するだけ無駄、ということですか……一理ありますね」

「ならばこの現世(うつしよ)で何が起きてるか、私の口からご説明しましょう。黒王と無惨を倒すために、我々は――」

 晴明が十月機関が集めた情報を提供しようとした、その時だった。

「お~い、晴明ちゃ~ん」

「!? この声は……秀元か!! 無事だったのだな!!」

「秀元さん!!」

 突如、頭上から聞こえた声。

 一斉に上を向くと、そこには牛車が宙に浮かんでおり、物見から烏帽子を被った青年が顔を出していた。

 廃棄物の攻撃を切り抜けた、秀元達だ。

「オルミーヌさん、あの方は?」

「お師匠様と同じ系統の術を扱う、十月機関の次席である漂流者(ドリフターズ)・花開院秀元様です。前の世界ではお師匠様に匹敵する天才だったとか……」

「よもや! 安倍晴明に匹敵するとは!」

 心強いものだ、と杏寿郎は期待を乗せた声を放った。

「いやあ、エライ目に遭ったで。南蛮の呪術を扱う廃棄物に襲われてもうて。拠点一つ吹き飛ばしてここまで来たんや。堪忍な、晴明ちゃん」

「致し方ないことです。生きて再び会えたことこそ最大の功績だ」

 牛車を地上に留め、久しぶりの再会に喜びを分かち合う天才二人。

 廃棄物の侵略・攻撃が激しい中、抹殺対象の漂流者(ドリフターズ)の身だからこそ、その嬉しさは倍以上になる。

「――せや。耀哉ちゃんの呪いでちょっと話あるんやけど、ええか?」

「産屋敷殿の? 何か進展でも?」

「僕が色々試してな。…………って、君らどうしたん?」

 大丈夫かいな、と心配する秀元。

 彼の視線の先には、放心状態のしのぶと杏寿郎が。

「……どうやら、私の剣士(こども)達も流れてきているようだね」

 牛車から響く、男性の声。

 その声を聞いたしのぶと杏寿郎は、静かに涙を流した。

 この異世界に来た以上、もう二度と聞けないであろう声。次に会う時は黄泉の国だろうと思っていた、何よりも敬愛する人物。

「今の声は、しのぶと杏寿郎かな? こうしてまた会えたのも、運命を感じるよ」

「「お館様っ!!」」

 聞く者に心地良さや癒しを与える声音を持つ産屋敷耀哉は、牛車から降りて自分の剣士(こども)二名の前に推参した。

 

 

           *

 

 

 その頃、無限城。

 黒死牟は主君である無惨に絶賛平伏中であった。

「男一人に現を抜かし、殺し合いで情に絆されるとはな」

「……返す言葉も、ありませぬ……」

 血管が浮き出る程に怒りを露わにする無惨。

 無惨と黒死牟の関係は、他の鬼達とは一線を画す。

「あの男に惚れたのではあるまいな、黒死牟」

「っ……!」

 六つの目を全て見開かせ、黒死牟は一瞬動揺した。

「貴様……長年の私への忠誠心はどうした? あんな壮年に揺らいだというのか?」

「……」

「っ……黒死牟!! どこの馬の骨とも知れぬ輩に心を奪われかけるとは、〝上弦の壱〟も堕ちたものだな。お前には失望した」

 黒死牟を厳しく叱責する無惨。

 だが、その心中は怒りで染まっているわけではなかった。むしろ焦り一色だった。

 鬼に成って400年。自分の配下の中で最強である忠誠心の厚い剣鬼が、身内でも鬼殺隊でもない人間の男に心を動かされるという緊急事態なのだ。しかも強さは天災級、度量は天下一品の百戦錬磨の猛者で、現在進行形で黒死牟をゾッコンにさせているヤバイ奴ときた。

 無惨は鬼殺隊のことを異常者だと認識していたが、それ以上の異常者が出てきてしまい混乱しているのである。そもそも最強の黒死牟と真っ向勝負で渡り合い、ほぼ無傷で生還してくる中年男性は人間やめている。縁壱(バケモノ)の再来など断じて許してなるものか。

「……次は無い。あの男は必ず殺せ。喰うか喰わぬかは好きにするがいい」

「……御意」

 無惨は再び、黒死牟にロジャーの抹殺を命じた。

 その命令に従った黒死牟は、静かに立ってその場を後にした。

()()()()()ですな、無惨殿」

「……貴様」

 不敵な笑みを浮かべて無惨に近づく男。

 廃棄物(エンズ)の一人、〝怪僧〟ラスプーチンだ。

「私はてっきり喰い殺すと思ってましたが」

「……黒死牟は戦力としては申し分ない。ただそれだけだ」

「情が湧いたのでは?」

 その瞬間、無惨はラスプーチンの首を掴んで持ち上げた。

 鬼の怪力は桁外れだ。力の加減をほんの少し変えるだけで首の骨をへし折り、千切り飛ばすことすら可能となる。

 ましてや人間どころか部下である鬼に対しても無慈悲な無惨は、外見的は冷静的に見えるが内面はドがつく癇癪持ち。ちょっとしたことで怒りを買ってしまい、無意味に部下を殺したケースも多い。ゆえにその矛先は廃棄物(エンズ)にも向けられるのだ。

「情が湧いただと? 増やしたくもない同類にか?」

「が、はっ……!」

 無惨はゴミのようにラスプーチンを投げ捨てた。何と殺さずに堪えたのだ。

 本来なら殺してやりたい気分だが、実は無惨は鬼殺隊に負けたのは()()()()()()部下を粛正したことで駒を減らしたためではと考えるようになった。同類を増やしたくないのは変わらないが、前の世界のように優勢だった自身がいきなり劣勢になる可能性もあると踏んでいるのだ。

 あくまでも自分のせいじゃないこと前提なのが、彼らしいと言えば彼らしい。

「ごほ、ごほっ……!」

「用件があるなら早く言え、ラスプーチン。私は苛立っている」

「っ………で、では早速……。――もし、廃棄物(われわれ)の中に……げほっ! 鬼に成りたいと申し出る者がいたら、貴殿は如何なさる……?」

「――何だと?」

 

 

 鳴女の能力で転送された黒死牟は、自身が拠点の一つとして使っている廃屋に戻っていた。

 この廃屋は昼でも日光が届かない山中にある。基本睡眠を取らない鬼にとっては、一日中日の当たらない場所はありがたいことこの上ない。

「……ロジャー……」

 黒死牟は天井を仰ぐ。

 あの時、漂流者を取りこむことに躍起な無惨がロジャーを抹殺するよう命じたのは、その規格外の強さから縁壱を重ねたからだと黒死牟は結論づけた。

 鬼殺隊の柱以上に鍛え抜いた肉体、斬撃を飛ばし衝撃を拡散させる戦闘技術、死地で笑みを崩さぬ度胸と覇者の風格……人間、それも全集中の呼吸の使い手でもないのに天災級の武力を有するロジャーに、この世の理の外側にいる弟を見たのだろう。

(鬼と堕ちた我が身……奴はそれでも、この私を……)

 

 ――おめェは(つえ)ェぜ。いつでも来い、黒死牟!!

 

「……私は、どうすればよいのだろうか……」

 ゴール・D・ロジャー。別世界から現れた最強の漂流者。

 彼もまた、縁壱と同様に比する者の無い存在なのだろう。だが、彼は鬼と成った自身を〝侍〟と呼んだ唯一の存在だ。

 縁壱は最期に会った時、「兄上」とは呼んだ。だがその目は実兄としてではなく一体の鬼を見る目であった。だがロジャーは、この異貌を前にしても〝侍〟と呼び、想いも強さも真っ向から受け止めてくれた。

 無惨の命は絶対だが、ロジャーを殺しては今度こそ〝侍〟になれなくなる――そういう意味では、ロジャーは黒死牟に初めて「迷い」を与えた人間(おとこ)だった。しかしその迷いを決して煩わしく思いはしない。

「……鬼を捨て人としての死を選ぶ、か……」

 縁壱に追いつくための永遠の時を与えた無惨(あるじ)への恩義を貫くか。

 己を強き侍として受け止める最強の漂流者(ロジャー)の背中を追うか。

 全てを捨てて高みを求める鬼は、大きく心が揺らいでいた。




本作の無惨は、原作より忍耐力がついた分厄介です。(笑)
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