JUMP DRIFTERS   作:悪魔さん

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三ヶ月ぶりの更新です。
明けましておめでとうございます。そしてお待たせしました。
原作ドリフが少し進んだという情報を聞いたので、亀更新で投稿します。

ついに決戦です。


第35幕:天下分け目のマモン間原・その1

 翌日、マモン間原サルサデカダン。

 黒王軍を待ち受ける漂流者と諸族の連合軍は、寸刻を惜しんで野戦築城し、準備を整えていた。

「右手の山上に布陣した流民共の連合も、必死に普請しているぞ」

「そのまま続けるようにしましょう。人喰い鬼も兵力として加算するとなると、黒王軍は夜戦を仕掛けてくるはずです」

 広大な戦場に築かれる防護の陣。

 その徹底ぶりはさすがと言えるだろう。

「黒王軍の特性は「ただ進み 押し潰し 殺す」……大軍の典型だ。だがその全てが一つの塊であり、弱点でもある。後備えも与軍もねェからな」

「おやおや。国盗りを仕掛けただけあって軍事学の心得はあるようで」

「こちとら幕末の動乱生きてるからな」

 志々雄曰く、黒王軍は黒王の能力こそが軍を維持する核であり、それゆえに黒王への依存度が高いとのこと。

 すなわち、黒王軍は膨大な補給を黒王自身が生み出すモノに頼っているため、短い間の小兵なら分けられるが、そのほとんどは黒王直下でしか生きられない「個軍」なのである。個軍は一度大敗すると再建できないため、この戦いで全てを決めることも可能だというのだ。

 ただ、一度敗けたら終わりなのは漂流者達も同じなのだが。

「さて……今一度確認しないといけませんね」

「……君はここにいていい人間じゃないでしょう、竜崎君」

「魔導妨害による通信障害があると、私の指示が通らなくなる場合がある。それに命を懸けると言ったのは私です、こうしないと筋が通らない」

 今回の戦いでは、何とLが参謀総長として矢面に立つことになった。

 カルネアデスでの魔導妨害や兵士達の士気を考え、自らも前線に出た方が良いと判断したようだ。

(本隊である私達は真っ向から黒王軍と衝突。別動隊は高杉殿を頭目とした「諸族奇兵隊」でカルネアデスを強襲。敵勢もカルネアデスに廃棄物(エンズ)を残しているはず……彼らをそこでなるべく討つ)

 高杉、万斉、縁壱、鯉伴、コラソンと多部族で構成した即席のゲリラ部隊「諸族奇兵隊」。

 Lは彼らの活躍次第で黒王軍の命運を左右すると考えている。ゆえに黒王の軍勢をいつまで引き付けてられるかがカギを握る。何せ相手は圧倒的では済まされない程の超大軍なのだから。

(……気になるのは、相手方の参謀役ですかね)

《注進!! 「やぐら・ジョット」から連絡!! 黒王軍を発見!!》

 ふと、偵察に出ていたやぐらとジョットから連絡が入った。

 ついに黒王軍が国境を越えたのだ。

《おい、マズイぞ!! 晴明達の言う通り、滅茶苦茶な大軍だ!! 真っ直ぐそっちへ向かってる!!》

「っ!」

「わははは、エッド・ウォーを思い出すな」

 その言葉に、緊張が走る。

 屈強な忍者の長ですら滅茶苦茶だと言わしめるのだから、とんでもない数なのだろう。

 しかし、それでもLと殺せんせーは普請をギリギリまでするよう命じた。

「……来たな」

 これから死地となる場所でも、優雅煙管を吹かす志々雄は〝異変〟に気づいた。

 山の向こうから突如として()が立ち込め、まるで経のような音が鳴り響いた。

「何だ、この音は?」

「経?」

 そして遠くから、次第に不気味でおどろおどろしい化物の軍隊が姿を現した。

 黒王の本軍だ。

「竜に巨人に大軍勢……!! 十月機関の言った通り……!!」

「アレを潰さねば、全て終わるっ……!」

「まるで百鬼夜行だな……!!」

 文字通りの異形の軍勢。

 あまりの異様さに、鬼殺隊の柱でも随一の猛者であった杏寿郎も怯む。

 その一方で……。

「面白ぇじゃねぇか。鳥羽伏見やり直してる気分だ」

「わははははは!! バスターコールも真っ青だな!!」

「ついに合戦か……血が滾るな……」

 動乱や群雄割拠の時代を生きた者達は、やはり一線を画す見方をしていた。

 

 

 同時刻、黒王本軍。

 この戦において参謀役を担うこととなったライトは、目の前に広がる陣形に目を細めた。

「防護柵に堀に土塁……戦国時代の真似事か?」

 見てくれは良さそうだな、と評するライト。

 己に優位な状況を作っているつもりだろうが、本軍は別格だ。

「鎧を着た巨人兵を前に押し立てて、防衛線を突破する。コボルトとオークらはそれを支援するんだ。竜騎兵は空から時を伺い、敵の配置がわかるまで待つように」

『はっ!』

廃棄物(エンズ)の皆さんは、思うがままに蹂躙を。その力を以て一人残らず()()してください」

 一斉に攻撃の準備にかかる化物達。

 ライトは迎え撃つ軍勢を睨みつけると、背後からマキマが姿を現した。

「ライト君、首尾はどう?」

「今のところは順調だよ。気になるのは〝奴〟がいるかどうかだけさ」

「……君を追い詰めた探偵さんのことかな」

「追い詰めてない。僕は勝ち逃げしたよ」

 ライトはそう言い切るが、どこか憤慨している様子でもあった。

 

 

           *

 

 

 コボルトやオークを始めとした、ヒト型の化物の大軍。

 全身鎧に身を包んだ見上げるような巨人の兵団。

 宙を舞い炎を吐く竜。

 エルフやドワーフ達も怖気づかずにはいられず、「あれに勝てるのか」と次々に質し始めるが、漂流者(ドリフターズ)は誰一人として答えなかった。

 負ける気など、ビタイチも無いからだ。

「しかし、ありゃあ銃弾は厳しいな」

「おそらく……身に纏うは、青銅の鎧だ……」

「向こうも銃を知ってる人間が参謀やってるようだな」

 製造した銃では巨人用の厚い鎧を貫通できないと読み、志々雄は前線司令部であるLと殺せんせーに合図を送った。

「おいタコ助! 釣瓶射ちしても弾と火薬の無駄だ、連中は土塁に取り付いて突き崩してくるぞ!」

《ニュヤッ! わかってますよ、それくらい! 最前線の壕二つを捨てて懐に入れ、ドワーフの戦士達と袋叩きにしますよ! 総攻めだけは阻止しますから》

「わかりゃいいんだよ、わかりゃあ」

 ったく……と呆れた笑みを浮かべる志々雄。

 その時、ふと黒死牟が気づいた。

「む……ロジャーは、何処へ……」

「あ?」

 その言葉に、志々雄もハッとなった。

 あんなにも騒がしい男が、煙のように消えた。

 どこへ行ったのかと壕から顔を出すと、その先には敵の大軍目掛けて単身で突っ込んでいく見慣れた姿が。

「わっはっはっは! 仲間達にケガさせるわけにはいかんっ!」

 

『何やってんだーーーーーっ!!!』

 

 連合軍の絶叫が戦場に木霊した。

 やっぱり海賊王(ロジャー)が一番のネックだった。

 初っ端から味方のせいで作戦が狂ってしまい、一同は頭を抱え始めてしまった。

《あーあ、やっぱ突っ走ってしもうたかぁ……》

《まあ、こうなるんじゃないかとは薄々思ってはいたけどね……ちょっと早すぎたかな》

 漂流者側の司令部は、ロジャーは絶対暴れると読んではいたようだが、序盤からこうなるのは想定外だった様子。

 しかし、水晶球を介して殺せんせーの指示が送られる。

《もうこの際、ロジャーさん囮にします。 大軍引き寄せてもらいます。そうした方がこちらも楽といえば楽ですし……》

「おい、そっちお通夜になってねぇか」

 志々雄は戦場を真っすぐ駆ける中年の背中を見つめ、「餓鬼か、あのオッサンは」とボヤいたのだった。

 

 

「どけどけどけどけ~~!」

 愛刀〝エース〟を片手に敵兵を薙ぎ倒していくロジャー。

 さながら竜巻のように突進し、敵陣中央突破していくその様に、遠くから眺めていた廃棄物達も「何だあのオッサン!?」と口を揃えた。

「……ドリフ……ドリフドリフドリフゥゥゥ!!」

「っ! 行ってはダメよ!」

 高笑いしながら化物達を蹴散らすロジャーに、鬼となって強化されたジャンヌが憎悪を爆発。アナスタシアの制止を振り切り、特攻していく。

「燃やしてやるっ!! 燃やしてやるぞ漂流者!!」

「よう、廃棄物!!」

 猛烈な速さで炎を纏いながら迫るオルレアンの乙女と、子供のかけっこのようにドタドタとした走りで近づく海賊王。

 ジャンヌは地獄の業火を彷彿させる、かつての廃城の戦いとは比べ物にならない火力でロジャーを骨まで焼き尽くさんとするが……。

「互いに景気づけの一発だな! 〝神避〟!!」

 

 ドオォン!!

 

「ぐわあぁっ!?」

 まさかの一蹴。

 身に纏った炎も一振りでかき消され、身軽さも仇となったのか数百メートル先まで吹っ飛ばされてしまった。

「はははは、おっかねーオッサン」

 ケンタウロスに乗って見物していた義経は、苦笑いを浮かべる。

 が、その直後ロジャーへ向かう一人の影を目に移す。

「……へえ。お手並み拝見と行こうじゃないか」

 そして、当然ロジャーも気づいている。

「新手か! いいぞ~、かかって来い!」

「簡単に死なないでよね」

 ロジャーに立ちはだかった新たな廃棄物は、マキマだった。

 その手には剣が握られており、真っ向勝負を仕掛けるつもりのようだ。

「ふんっ!」

「ぬんっ!」

 

 ガンッ!!

 

 ロジャーの愛刀と、マキマの剣が激突する。

 だがよく見ると互いの剣刃は触れていない。まるで見えない〝圧〟でドツキ合いしているかのような状態だ。

 

 ボンッ!!

 

 互いの〝圧〟が暴発し、衝撃波となって戦場へ迸る。

 コボルトやオーク、宙を飛び交う竜騎士すら巻き込み、空を漂う雲すらも文字通り吹っ飛ばした。

 そんな気軽な環境破壊を物ともせず、〝悪魔〟と〝鬼〟は対峙していた。

「ははは! やるじゃねェの、嬢ちゃん」

「それは私の台詞だよ。あなた、ただの中年じゃないでしょう」

「只者じゃねェのは、お互い様だろ?」

 笑みを浮かべながらの、腹の探り合い。

 何人にも抗えぬ「支配」を持つ女と、何人にも止められぬ「自由」を掲げる男。

 二人の衝突は、必然であった。

「ええい、何をしておるのだマキマ!! そんな若造とっとと滅せぬか!!」

 その様子に苛立つのは、黒王軍の参謀の一人であるザボエラ。

 アホみたいに突っ込んできた漂流者を袋のネズミにしてくれようとしたところだったが、期待の新戦力が一騎打ちを望むような雰囲気を醸し出したことにカンカンだ。

(だから()()()()()()は儂は嫌いなのだ! 騎士道だの何だのほざく小童共は、己の勝負に水を差されるのを極端に嫌う!)

 顔を歪めて舌打ちするザボエラだったが、漂流者側の陣営に目を向けた途端、驚愕した。

 何とあの青銅の巨人達が、炎に包まれたり爆発に呑まれたりして次々と倒れ伏していくのだ。

「や、夜神っ! 巨人共が屠られとるぞ!」

《塹壕に嵌められたようです。巨人では身動きが取れない。小賢しい真似をする》

《左様。火薬と油、銃砲で先手衆を潰されただけにすぎぬ。巨人を前面に出す戦法は正しい》

「こ、黒王様っ!」

 総大将からの声に、ザボエラはハッとなる。

《暫しの間、夜神の差配に従え。戦局に応じ、この私も打って出る。数では我々が遥かに優勢だ、漂流者(ドリフターズ)達の各個撃破も同時に進める》

「は、ははっ!」

《よし。ここで総攻撃だ。全ての力で彼らを滅ぼし尽くせ!》

 瞳を赤く輝かせ、死神は氷のような笑みを浮かべて総攻めを仕掛けた。




原作に負けない大乱闘で進めますので、次回もお楽しみに。
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