JUMP DRIFTERS   作:悪魔さん

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お待たせいたしました。
四ヶ月ぶりの投稿なのですが、今年最後の投稿となります。
何せ、原作がまだね……。


第38幕:天下分け目のマモン間原・その4

 戦局は、一気に傾いた。

 ロジャーと黒死牟の合体技は、黒王軍に大きな痛手を負わせた。

 これ以上軍が消耗すれば、組織の立て直しが利かなくなる――幕末の動乱と戊辰戦争でそのことを思い知っている〝鬼の副長〟は、ジャンヌやアナスタシアに声をかけ、奇襲や嵌め手で二人を封じ込めることを提案し、突撃した。

「フンッ!」

 

 ガギィッ!

 

「ほう……中々の手練れが来たな……」

 土方の一振りを、真っ向から受け止める黒死牟。

 その直後、ロジャーは自分に襲い掛かる業火と冷気に気づき、愛刀を一閃して薙ぎ払った。

(おも)(しれ)ェチカラだな!! 悪魔の実じゃねェようだが……戦闘には慣れてなくても能力は研ぎ澄ましてるってトコか?」

「ドリフ……!!」

「……!!」

 余裕綽々とした態度のロジャーに対し、ジャンヌは憎悪に満ちた表情を浮かべ、アナスタシアも顔を強張らせる。

 人類廃滅をかけた一大決戦で、軍の一部が寝返ったにもかかわらず、まるで自分の勝利を疑わない。そんなロジャーが、いかにも憎らしい。

 だが、最強の漂流者である事実は変わらない。強くもどこか甘そうな男だが、腕っ節は天災級。下手をすれば、純粋な〝武力〟では黒王すら上回りかねない。もっとも、黒王は統率者であって、特定の敵を全力で殺しに行くことはないし、彼の本気を知る者は一人としていないが。

「さて……どっちから来る? 全員まとめて……っ!!」

 ふと、ロジャーは殺気を感じ取り、バックステップで退避した。

 次の瞬間、先程までロジャーがいた場所が「ガオン!」という音と共に抉られた。あのままいたら、生身であるロジャーはひとたまりもなかったろう。

「何だ、新手か?」

「くっ……」

「……来たのね。ヴァニラ・アイス」

 アナスタシアが、新手の名を呼ぶ。

 奇天烈な格好をした廃棄物(エンズ)――ヴァニラ・アイスは、一筋を汗を流しながらロジャーを睨んだ。

(バカな……暗黒空間からの奇襲を()()()()()()()など……!)

 ヴァニラは思わず舌打ちする。

 彼の能力は、超能力を具現化・擬人化した存在(スタンド)を操ることで、〝クリーム〟という本体と自分以外の飲み込んだもの全てを粉微塵にする凶悪なスタンドを使う。このクリームというスタンド、本体と自身を口の中に入れれば姿を完全に消すことができ、入っている間は気配や匂いも察知できないのだ。だからこそ、攻撃を完璧に躱されたことが信じられないのだ。

 まさか相手が少し先の未来を視ることができるなど、夢にも思っていないだろう。ロジャーの能力は、他の漂流者とは一線を画すのだから。

(……あの妙ちきりんは厄介だな。未来視じゃねェと回避が厳しいなんざ)

 ロジャーもロジャーで、ヴァニラを警戒していた。

 気配を察知できないのは、やはり戦闘ではかなりのハンデだ。見聞色を常に発動したまま、武装色や覇王色を纏って攻撃するのは、いくら肉体が全盛でもキツい。

 その点を考えれば、無限の体力を誇る黒死牟の存在はありがたい。

「……ヴァニラ……やはり来たか……」

 黒死牟はヴァニラを睨む。

 廃棄物として黒王軍に在籍していた頃があるため、ヴァニラの戦い方は熟知している。彼も日光に弱い吸血鬼であるが、ジャンヌのように無惨の血を取り込んで強化している可能性もゼロとは言い切れないため、油断はできないだろう

「……引きつけるのは成功だな、相棒」

「ああ……ここからが、天王山だぞ……ロジャー……!」

 互いに得物を強く握り、気迫を高めたその時だった。

 

 スウゥゥゥ……

 

『!!』

 突然、目の前に石造りの門が現れた。

 その門にロジャーは心当たりがあった。

「ありゃあ、おれをこの世界に飛ばした、あの時の……!」

 あの謎の男が業務をしている廊下のような空間にあった、石造りの門そのもの。

 それはギギギギィッと、軋むような音を立てて門はゆっくりと開いた。

 一体、誰がやってくるのだろうか……敵味方問わず、手を止めて様子を伺った。

「ぬおっ!?」

 門の奥から人影が現れ、勢いよく倒れた。

「ってーな……んだ、ここは……?」

 現れたのは、細身ながらも筋骨隆々な肉体に、黒の短髪に口元の傷が目立つ男だった。

 

 

 時同じくして、例の様々な扉が並んだ空間では、紫が一つの書類に目を通していた。

 マモン間原に降り立った漂流者に関する書類だ。

「……」

 紫が手にした書類には、こう記されていた。

 

 呪術廻戦 〝術師殺し〟伏黒甚爾

 

 

           *

 

 

 天下分け目の戦場に降り立った男――(ふし)(ぐろ)(とう)()は、周囲を見渡した。

 確か自分は、五条のガキに……。

「……ピンピンしてやがるな」

 明らかな致命傷――それも即死級――を負ったのに、かすり傷一つない肉体に戻っている。

「面白そうなのが来たな!」

「……随分と鍛えている……」

 状況をのみ込めてない甚爾に、ロジャーと黒死牟は舌を巻いた。

 この男は、間違いなく強い。長年の勘がそう告げている。頂点に立った自分達の勘が告げているのだから間違いない。

「……しっかし、何だてめーら。化物屋敷かここは」

「……お前も漂流者か! 焼いてやる!」

 漂流者への攻撃性が強いジャンヌは、甚爾を焼き尽くそうと業火を放つ。

 が、甚爾は一切動じることなく回避。ロジャーの隣に立った。

「おい、デカイおっさん。ありゃあなんだ」

「何だおめェ、おれが敵だと思わねェのか?」

「戦場でそんな間抜け面晒す奴を疑う方が無理な話だろ。それに第一印象でヤバそうなのはあいつらだしな」

 甚爾の言葉に、ロジャーはニヤリと笑った。

 しかし、状況はあまりよろしくない。

(クソ、どっかに武器落ちてねェのかよ。丸腰じゃあさすがに厄介だぞ)

 内心で悪態を吐く甚爾。

 かつては愛用していた格納呪霊を体内に隠し、そこから武器を取り出していたが、生憎手元から離れており、今の甚爾は目の前の怪人達と真面に張り合うことはできない。ヒモな上にお荷物は、はっきり言って笑えない。

 が、そこに手を差し伸べたのは黒死牟だった。

「……人間、これを使え……」

「ああ? って、何だお前!?」

 六つ目の侍と目が合い、さすがに驚く甚爾。

 そんな彼の反応を意に介さず、黒死牟はメキメキと生々しい音を立てながら、自らの得物と同じ一振りの刀を生み出した。刀身や鍔には血管の様な模様が走り、刀全体に眼が無数に付いている業物に、甚爾は「その辺の呪具より呪具っぽいじゃねぇか」と言いつつも拝借した。

 次の瞬間だった。

 

 ドシュシュッ!!

 

「かっ……!?」

「がっ……!!」

 一瞬で甚爾は間合いを詰め、角都とジャンヌを斬りつけた。

 まさに秒殺。鮮血が飛び散り、深く斬りつけられた二人はノックダウンした。

 

 伏黒甚爾という男は、常人離れした身体能力と五感を有する「フィジカルギフテッド」である。水面を駆ける、目視で捕捉することが困難な程の速度で動くなど、控え目に言って超人なのだ。

 

「ジャンヌ……!!」

「ここへ来て厄介なのが来たね……」

 まだ戦える廃棄物達も、甚爾の想定外の強さに驚きを隠せない。

 が、ここは異世界。何も怪人だけが脅威ではない。

 

 ゴウッ!!

 

「うおっ!?」

 甚爾目掛けて上空から襲い掛かる業火。

 不意打ちを躱した甚爾は上空を見上げ、空を飛ぶドラゴンと目が合った。

「……おいおい、聞いてねぇぞ」

 甚爾はようやく、()()が空想上の怪物が平然と存在する世界だと理解した。

 ふと、辺りを見渡せば、青銅鎧に身を包んだ巨人や弓と槍を手にしたケンタウロス、ファンタジー映画に出てくるようなゴブリン達が人間と戦っているのが見えた。

 つまりここは、人類と人外の全面戦争の舞台。ここで人類が敗ければ、世界は終わる。――その結論に至った甚爾は、黒死牟から受け取った刀を構え直した。

「あー……事情はわかった。ひとまずお前らにつくぜ」

「……それは……心強いことだ……」

「また盛り上がってきたな! ホラ、連中も気づいて編成変えたぜ!」

 ロジャーの言葉に、甚爾と黒死牟は目を見開いた。

 黒王軍の主力である歩兵の人外達が、こちらに向かってくるのだ。おそらく、甚爾が廃棄物を二人返り討ちにしたことが伝わり、司令部が戦術を変えたのだろう。

「……おい、ところでお前の名前は?」

「――伏黒甚爾だ」

「そうか、トウジか! おれはゴール・D・ロジャー! こっちは巌勝だ!」

「……継国巌勝だ……今は……黒死牟と名乗ってる……」

 各々自己紹介を軽く済ませると、すぐさま敵の大軍に向き直る。

 二人倒したとはいえ、驚異の異能の使い手はまだ大勢いる。ここで気を抜けば、味方の軍の立て直しが利かなくなる。ここで戦局をひっくり返す以外に打開策はない。

「ったく、俺も焼きが回ったもんだぜ」

 〝天与の暴君〟と称された男の参戦により、戦場はさらなる混乱へと加速していった。

 

 

「何ですか、あの人!? 廃棄物を二人も倒したなんて……!!」

漂流者(ドリフ)のようだが……」

 甚爾が現れたことで、漂流者側の司令部も混乱していた。

 だが、戦力差を考えると甚爾の存在はありがたいことだ。化物共の何割かがロジャー達がいる戦場へ向かっており、物量と兵力に絶対的な差がある中での戦闘である以上、利用しない手はない。

《どうやら、そちらで何か大きな事態が起きたようだね》

《晴明ちゃん、何が起きたん?》

「……新しい漂流者(ドリフ)が、ロジャーさん達に加担した。我々でも見たことない男だが、相当な強者だ」

 十月機関ですら未確認の男だが、彼を味方につけねばこの戦争は敗ける――本能がそう告げている。

 晴明は即断した。

「オルミーヌ!! 全ての漂流者達に通達だ!!」

「は、はいっ!!」

「新たな漂流者が現れた!! 彼を味方につけ、徹底抗戦する!!」

 晴明は撤退ではなく、徹底抗戦に方針変更した。

 あの男を味方につければ、別動隊の彼らが本陣を叩くのに好都合。もしかしれば、いくらかの廃棄物を討ち取ることもできるかもしれない。

(何者かは知らないが、頼んだぞ……!!)

 

 

 動きは、黒王軍にも起きた。

「バカな!! ジャンヌ・ダルクと角都が倒されただと!?」

 ライトはまさかの事態に声を荒げた。

 気が短いとはいえ、二人は戦力的には一個師団にも匹敵する。いや、強化された以上は国家戦力級だ。その二人が容易く捻じ伏せられるなど、夢にも思わない。

 そんな芸当を成し遂げたのが、伏黒甚爾であった。

「このままじゃあ、僕はLをこの場で討てないじゃないか……!!」

 ライトは焦りを隠せない。

 というのも、前の世界では死神を利用してLを倒したことで、実質世界の流れを手玉に取れた。言い方を変えれば、Lがいる限りライトは思う通りに動けないということ。

 この戦場こそ、最初で最後のチャンスである可能性があるのだ。ここで殺せなければ、おそらく二度と倒す機会は与えられない。何としても、倒さねばならない。

「……!!」

 しかし、苛立っているのは黒王も同様だった。

(猿めが……()()()()()()……!!)

 プルプルと拳を震わせる黒王。

 怒りを堪えつつも、次の一手を命じた。

「夜神よ、出し惜しみはできん。私の能力で倒れた者を再び治す」

「!!」

「一刻も早く、あの三人を討ち取らねばならぬ。山津波の如く押し流すのだ!」

 人類廃滅の為、ついに廃棄物の王が重い腰を上げたのだった。




という訳で、まさかまさかのパパ黒召喚。
ってか、海賊王とパパ黒、誕生日同じだったんだね……。親父同士馬が合うかな?

それと、本作での黒王の正体……ご想像ください。

次回以降はアレかなー。パパ黒と土方がやり合ったり、縁壱がカルネアデスで無惨を見つけ出したりとかかな?
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