お待たせしました。
原作は85話まで行ってるそうですが、完結にはまだ程遠そう……一回どこかで区切ろうと思います。
伏黒甚爾の乱入で、混沌と化す戦場。
劣勢だった連合軍だったが、甚爾によって廃棄物が二人仕留められたため、士気が上がった。
「……縁壱を、彷彿させるな……」
「おめェの弟か。確かにあの身のこなしと腕っ節、只者じゃねェな」
甚爾の強さに舌を巻く怪物二人。
するとそこへ新手が現れ、甚爾に斬りかかった。
「っと……」
「ジャンヌと角都を倒すか……」
新手――土方の一太刀を受け止めた甚爾は、蹴り上げて頭を狙う。
が、土方は仰け反って回避。その勢いでバック転しながら距離を取った。
「お! 侍か?」
好戦的な笑みを浮かべ、ロジャーは土方に興味を向けた。
「……気を付けよ、甚爾……手強いぞ……」
「わーってるよ」
黒死牟から受け取った刀を担ぎ、鋭い眼差しで男を睨む。
「やるじゃねえの。兄ちゃん、一体誰だ?」
「……土方。土方歳三義豊」
「……えっ?」
素っ頓狂な声を上げる甚爾。
――土方? 土方って、〝鬼の副長〟の?
目の前の廃棄物の正体を察し、思わず悲鳴を上げた。
「えーーーーーっ!? ウソだろ、おま、まさか
「それがどうした?」
「おいおいおいおい……マジかよ、冗談抜きで五条の坊よりもエラいのが来ちまってんじゃねぇか……〝鬼の副長〟なんて聞いてねーぞ……!!」
いくら世界が違えど、日本史は大まか同じだ。
さすがの甚爾も、歴史に名高い新選組の〝鬼の副長〟には驚きを隠せないようだ。
すると黒死牟が、人差し指を突き立てて補足した。
「……ちなみにだが……お前が斬った二人の内……片方は……ジャンヌ・ダルクと、名乗っている……」
「ハァァァ!? ジャンヌ・ダルクゥ!? あの鎧姿の貧乳のガキがか!? 何の冗談だ!!」
「……貧乳は余計よ」
気絶して部下に運ばれるジャンヌを指差すと、アナスタシアはジト目で呟いた。
世界史や習うビッグネームを斬り捨てたことに、甚爾は衝撃を受けていた。
「それと、ウチの仲間には晴明ってのががいるぞ!
「晴明って、まさか陰陽師の安倍晴明か!? もう何なんだよ……どうなってんだこの世界はよ……さすがに両面宿儺はねぇよな……?」
ロジャーの追加情報に、ついに頭を抱え始める甚爾。
稀代の天才陰陽師もこの世界にいるなど、情報処理が追いつかない。どうやら味方らしいが、元いた世界では滅茶苦茶面倒なことになってるので、もし知ったら激怒しそうだ。
「……まあ、とりあえずこの修羅場を切り抜けることが先か」
頭を掻きながらも獰猛に笑う甚爾に、黒王軍は身構えた。
すると、甚爾は二人に声をかけた。
「おい、おっさん。ここは俺が引き受ける。本丸叩いた方がいいんじゃねぇか?」
「……!」
「そうだな、喧嘩は親分を倒すのが一番
「させるか!!」
ロジャーと黒死牟は同時に駆け、本陣を狙う。
ヴァニラはそれを阻止せんと動き出すが、甚爾が一瞬で懐に潜り込み、脇腹を斬られてしまう。
「ぐっ!」
「っと……お前らの相手は俺だろ?」
「貴様……!!」
一筋縄ではいかない相手に、ヴァニラは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべた。
その様子を望遠鏡で眺めていた晴明は、Lに報告した。
「新手のドリフが廃棄物二人を引き受け、ロジャーさん達が本陣を狙った!」
「この機を逃すわけにはいかないですね。そのまま二人に任せ、他の戦場の援護に徹しましょう……!」
Lは最後の好機と判断し、全戦力を投入したのだった。
*
その頃、カルネアデスでは。
「ハァ……ハァ……!」
「もう終わりだ。今まで犯した罪は、ここで終わらせる」
切っ先を突きつける縁壱に、男――鬼舞辻無惨は後退った。
数百年ぶりに再会を果たした
「本当に……貴様は命を何だと思ってるんだ」
「ククク……! 随分とお優しいこったな、戦国最強は」
ビュッ! と刀身に付いた鮮血を払う晋助。
それと共に万斉も顔を出し、三味線を弾き始める。
「志々雄殿の提案した、天下分け目のマモン間原を囮とした北壁襲撃……どうにかうまく行ったでござるな」
「まあ、これでしばらくは使い物にならねェだろうよ」
「正直、拙者達だけでは手に負えぬと読んでたが……主のおかげだ、鬼舞辻無惨」
万斉の一言に、無惨は怒りに震えながら数時間前の出来事を思い返した。
連合軍が黒王軍と戦ってる間、縁壱と鬼兵隊はカルネアデスに侵攻し、そこにいる黒王軍とまだ待機してるであろう廃棄物を叩きに行った。そこで鉢合わせたのが、鬼の首魁・鬼舞辻無惨だった。
縁壱の姿を捉えた途端、無惨は「鳴女ーーーーーーっ!!!」と叫び、突如地面に現れた襖に落ちる形で撤退。だが縁壱は襖が閉じる寸前に飛び込むことに成功し、追撃に向かった。その間に鬼兵隊は特製の爆弾やオルミーヌの札を活用し、じわじわと畳み掛けてくる人外達を屠った。
そして戦闘開始からわずか二分、地面が盛り上がって爆発し、中から縁壱と無惨が飛び出た。その時の無惨の姿は、最初に見かけた時のスーツ姿ではなく、白い長髪で身体中に禍々しい口を生やした邪悪な出で立ちで、しかも全裸であった。
「この異常者共めっ!!」
地面に着地すると、無惨は両腕を鞭のように変化させ、多数ある口で強烈な吸息を始める。
吸息の際に飛んだ小石が一瞬で消滅したのを見た縁壱は、鬼兵隊に注意した。
「晋助殿、万斉殿! 近づきすぎるな!」
「わかってるよ!」
「厄介な能力でござるな……!」
地面すら抉る吸息に加え、圧倒的攻撃範囲と攻撃速度を誇る両腕の脅威。
よく見ると骨が変化したと思わしき刃もあり、斬撃対策もちゃっかりしている。
(あの吸息は厄介だ……通常の何倍もの体力消耗を強いられる。晋助殿達がいくら歴戦の強者でも、これは手古摺りそうだ……こんな時、兄上がいてくれたら……!)
「ガァァァァァッ!」
突如、無惨は咆哮する。
それと共に右肩から左腰にかけて巨大な口が形成され、そこから稲妻のようなモノが放たれた。衝撃波だ。
「なっ!?」
「うおっ!?」
「くっ!!」
距離を取っていたため、どうにか躱せた三人。
だが、近寄り過ぎればタダでは済まないだろう。あれは外傷だけでなく内傷も与えられる。
すると無惨は二発目を仕掛けた。これも躱す三人だが、消耗戦は無惨が優勢なので、決定的なダメージを与えられず歯噛みした。
「しつこい!! 飽き飽きする 心底うんざりだ!!」
触手を無数に生やして全方位攻撃を始め、 さらには稲妻のような衝撃波攻撃をする無惨。
縁壱と晋助、万斉は連携を取って触手を斬り、衝撃波を躱し、少しずつ削っていく。
「私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと、大正の世でも言ったというのに!! まだわからんのか!?」
「大災に遭わないために対策をするのは、人間として当然ではござらんか?」
万斉に至極冷静なツッコミを入れられ、無惨は唖然とした。
その一瞬の隙を突き、縁壱と晋助はそれぞれ頸と胴体を斬った。
「化け物共ォ……!」
頸を刎ねられた無惨は、まだ生きていた。
〝前回〟よりも遥かに生命力が強くなってることに、縁壱は驚きを隠せない。
その間に飛んでいた頸は触手によって回収され、元通りになった。
「ハァ……ハァ……肝を冷やしおって……!!」
「そこまででござるな」
無惨は触手を振るおうとしたが、なぜか動けない。
(毒か? いや……これは……三味線の弦か!?)
「鉄の強度を誇る弦でござる」
「小癪な!!」
無惨は強引に弦の拘束を引き千切る。
だが、その時には――
「鬼舞辻無惨、覚悟!!」
「何だと!?」
……というわけで、日の呼吸の御業を
ちなみに無惨が暴れ回ったせいで人外達は甚大な被害を被り、鳴女も縁壱によって仕留められてしまった。
「この、異常者共がっ……!」
「クク……ハハハハ! 〝異常〟ねェ……正常なんざ保って、戦に馳せ参ずるこたァできねェだろ?」
「世界を相手に喧嘩を打った我らにとっては、褒め言葉でござるな」
疲弊しつつも、不敵に笑う鬼兵隊。
その間も縁壱は一切隙を見せず、日輪刀を突きつけている。
「……どうやら肉体分裂はできないようだな」
「だから化け物なのだ、貴様は……! しても斬りつくすまでやるだろう!」
「無論」
即答する縁壱に、顔を青褪める無惨。
段々可哀想になってきたなと、晋助は煙管を咥えながら暢気に思った。
「……しかし、ここで始末するのも少し惜しい気もする」
「万斉殿……!?」
すると、意外にも万斉が無惨を生かすという選択肢を考えた。
これには縁壱も驚いた。
「拙者らは敵の大将……黒王の正体を知らぬ。その黒王と立場上は対等であるのなら、何かしらの手札にもなり得るでござろう。今の漂流者の戦力であれば、この男が暴れても抑えきれる」
「しかし……」
「どうせ殺すなら、使い潰してからでもいいという話でござる。消したければいつでも消せるのだからな」
「確かにな……!」
万斉の言葉に、晋助は悪い笑みで同意。
鬼の始祖を「いつでも消せる」と豪語する鬼兵隊に、縁壱と無惨は言葉を失った。
(これは……お館様に何と報告すべきか……)
(どうなる、私の一生……!)
決戦後も一波乱ありそうだと、相容れぬはずの鬼狩りと鬼の首魁は不安を覚えたのだった。
これで鳴女ちゃんは脱落です。
出番短かったけど、お疲れ様でした。(笑)
そろそろ童磨とヴァニラも殺すか……。