ゆるるんポケモン滞在記   作:社畜系ホタテ

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こんにちは。
世の中大変ですが、頑張りましょう。

暇つぶしにでもなっていただければ幸いです。


第一話

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 太陽の日差しが顔に当たり、その結果、目が覚めた。

 周りを見渡すと真横にはベッドがある。

 どうやらベッドから落ちて家の床で寝ていたみたい。

 柔らかいベッドではなく、固い床で寝ていたため、体の節々が痛い。

 

 多少なりともぼーっとしている頭を覚醒させるために、俺は立ち上がってぐーっと体を伸ばす。

 くぁーっと気の抜けるような声とともに体の各関節たちがぽきぽきと小粋に鳴っていく。

 うん、今日も絶好調だ。

 

 ベッドの近くに置いてある頭にベルをつけた目覚まし時計を見るとまだ6:30。

 12:00に起きる予定だったので、予定よりも早く起きてしまったことに、その原因である陽の日差しを恨みがましく思う。

 そのまま窓の外を覗き、主たる原因である太陽を睨んだ。

 

 今日は土曜日。つまりは休日なのだ。

 平日とは違い、休日というのは自由の時間であるからして、贅沢に惰眠を貪ってもいいのである。

 ただでさえ、日々の平日もお昼まで寝たいという欲望に打ち勝ち、やりたくもないお手伝いをしに行きたくもない知り合いのじいちゃんの家へと通っているのだ。

 週に2回ある休日ぐらいは自分の欲望に忠実になってもいいんじゃないか。

 というわけで、見るからにふかふかのベッドにルパーンダイーブ。

 

 唐突に、がちんっと鉄類にぶつかる音がした。

 というかぶつかったのは俺だった。

 

 羽毛100パーセントの布団のはずがなぜ、とぐわんぐわんに痛む頭を押さえながら思うもすぐに答えに気づいた。

 

「くー…くー…」

「こいつ…、また俺のベッドに忍び込みやがって……」

 

 不届きものは気持ちよさそうに涎を垂らしながらベッドに寝ていた。

 自分の頭から伸びたもう一つの口を抱き枕がわりにしている全身ほぼ黄色の生き物。

 ルパンダイブした俺と衝突したはずなのに、まるで何も起こっていないようにただただ惰眠に身を任せているそいつは、

 

 

「へい、くーちゃん。ボールから勝手に出んじゃないよ」

 

 

 ぜんこくNO.303

 あざむきポケモンであるクチートであった。

 

 

 

 

 ポケットモンスター。

 縮めてポケモン。

 

 1996年2月27日にゲームボーイ用ソフトとして発売され、今現在までも世界中の人々に愛されている言わずも知れた人気シリーズの作品である。

 内容的にはポケットモンスターという不思議な生き物が生息する世界においてポケモンを自らのパートナーにし、育成してバトルを行うポケモントレーナーとして地方を冒険するゲームである。

 ポケモンリーグの挑戦権であるジムバッジを集めるため全国を旅し、その途中で悪の組織と戦ったりといろいろなイベントを介していくことになるが、最終的にはポケモントレーナーの頂点であるチャンピオンを目指すといったものだ。

 

 さて、俺の目の前でぐーすかすぴーと寝息を立てている黄色の生き物、クチートは、何を隠そう前述したポケモンである。

 

 なんでゲームの中の不思議生物が俺のベッドで寝ているのかというと簡単な話で。

 なんせここはポケットモンスターの世界だからである。

 というのも、わたくし、気づいたらポケットモンスターの世界に異世界転生したみたいなのだ。

 ナ、ナンダッテー、という声が各方面から聞こえてくる気がするが、まぁスルースキル検定1級の俺は華麗に右に受け流す。

 

 だって、ほかに説明のしようがないのだから。

 転生トラックにひかれたとか通り魔に刺されたとかそんな記憶はこれっぽちもないのだけど、気づいたらこちらの世界で母ちゃんの腕の中でおぎゃっていた。

 突然の状況だったので驚いて大声で泣いてしまったけども、その時はベイビーだったので、元気な子ですねー、みたいな感じで周りの人に微笑まれたのを今でも忘れない。

 まぁ、そんなこんなで転生なのか憑依なのかよくわかってもいない状態ではあるものの、その時に病院から退院するまで面倒を見てくれたピンクボールことラッキーを見た瞬間に俺は悟ってしまった。

 あ、ここポケモンの世界やんけ、と。

 前世の俺は、それなりにゲームやアニメをたしなんでいたので、この事態にテンション爆上げとなっていた。

自分のテンションに身を任せ、ラッキーに腹パンかましたのは正直反省している。

 

 そんなわけでポケモンの世界に誕生した俺は、生まれはホウエンのハジツゲタウン。育ちはカントーのマサラタウンと、すくすくと成長した。

 現在は、なんだかんだポケモンの世界を楽しむため、オーキドじいちゃんの家でバイトしたり、バトルで勝ってせしめたお金を貯めていろいろな場所に旅行したりしている。

 ポケモン世界での旅行は超楽しい。

 

 そろそろ職に就かなければいけない歳ではあるが、いかんせん持病の働いてはいけない病が悪化しているため、就職せずに人生を終えたい。

 誰か俺を養ってくれ。

 無理ならPokeTuberになろうかと模索中。

 

 さて、話を戻そう。

 俺の目の前にいるクチート、ニックネーム『くー』は、俺の最初のパートナーだったりする。

 俺が生まれたときにお祝いとして家の近所の姉ちゃんから貰ったタマゴから孵化したポケモンがこのくーである。

 

 タマゴの時は、俺の横に。孵化してからは常に俺の隣にいて一緒に成長してきた。

 そのせいか、気づいたらお昼寝大好きなグースカポケモンになってしまった。

 カビゴンといい勝負で寝ている。

 

 レベルはそこそこなのでバトルになればそれなりに頑張ってくれるが、普段の生活だと一緒に寝ているか、縁側で一緒にお茶を飲んでボーっとしているのかのどっちかだ。

 俺が嫌々行くバイトの最中はボールの中で寝ているので、寝るかご飯食べるかボーっとしているかのどれかしかしていない。

 ニート予備軍だな、こいつ。

 飼い主に似てるとか言わんといて。

 

「くー……、ちー……」

 

 それにしても相変わらず気持ちよさそうに寝るな、こいつ。

 寝苦しそうにしているところ見たことないんだけど。

 

 邪魔するのも悪いし、目がしゃっきしゃきに覚めてしまったので、俺は自室から出るのだった。

 

 

 

 家は二階建てで俺の部屋は二階にある。

 なので体を解すため、伸びをしながら階段を降りてリビングに向かった。

 扉を開け、リビングに入ると同時に美味しそうな味噌汁のにおいが鼻孔をくすぐる。

 めっちゃいい匂い。

 

「あら、今日は起きるのが早いね」

「……はよー、ナナミ」

 

 キッチンから顔を出したのは俺の幼馴染であり、バイト先のオーキドじいちゃんの孫であるナナミだった。

 あれ、母ちゃんは?

 

「おはよー、ソラ。君のご両親は昨日ホウエン地方に里帰りに行ったじゃない」

「あー…、そういえばそうだった」

 

 里帰りは面倒臭くて着いていかなかったんだっけ。

 んで、ナナミはなんでいるん?

 

「生活力0のソラの面倒を見てっておばさんに頼まれたの。ソラって栄養満点のポケモンフードは作れるのに、自分の食事はテキトーでしょ? 面倒臭くて食べないってときもあるからおばさんが心配して私に頼んだんだよ」

 

 なるほどー。

 確かに餓死しなければ最低限食べればいいやー、の精神で生きているからな。

 さすがに自身のポケモンには健康面に十分配意したポケモンフードを食べさせるけど、自分の飯についてはどうでもいいし。

 

「もう少しで朝ごはんできるから座って待ってて」

「あいあいさー」

 

 素直にナナミの言うとおりに椅子に座って待機。

 少し待つとテーブルの上に朝ごはんが次々と並べられた。

 オーソドックスというか、ご飯に味噌汁、目玉焼きに焼き魚です。

 おいしそう。

 

「はい、納豆いるでしょ?」

「いるいるー」

 

 さすがは幼馴染というべきか、俺の好きなものをわかっている。

 冷蔵庫から持ってきた納豆をナナミから受け取り、ぐるぐるねりねりとかき混ぜて、ごはんに乗せる。

 

 ナナミもそんな俺を見ながら対面の席に座った。

 

「んじゃ、いただきます」

「はい、どうぞー」

 

 まずはさきほどからいい匂いを放っている味噌汁を一啜り。

 

「うっま。なにこれ」

「ふふふ、ありがとー」

 

 箸が止まらん。

 味噌汁、ごはん、焼き魚、目玉焼きの無限ループ。

 焼き魚も良い火加減で焼かれているのか、身がぷりぷり中身ホクホク、旨味ジューシーと満点のお味。

 目玉焼きも俺の大好きな半熟焼きだし、最高すぎるだろ。

 

 つーか、ナナミ、日に日に料理上達してんじゃん。

 掃除洗濯なんでもござれだし、嫁スキル高すぎだろ。

 

「はふー……、ごっそさん」

「はい、お粗末様でしたー。食後のコーヒーは置いておくよ。砂糖3つだったよね」

「気遣いもできるとか出来た娘すぎる。ナナミー結婚しよー」

「はいはい、また今度ねー」

 

 冗談にもそれなりに乗ってくれるし、気前もいいしで、なんでこいつまだ結婚しないのだろうか。

 恋人の1人や2人いてもいいと思うんだけど。

 まぁ、こいつの恋人になるにはいろいろな壁を乗り越えなきゃいけないから、将来の彼氏または旦那になる人は結構苦労しそうな気がする。

 主に弟のグリーンとかオーキドのじいちゃん関係で。

 

 食後のコーヒーを飲み、ホッと息を吐く。

 あー、落ち着く。

 

「今日は何かするの?」

「んー……、ぐだぐだゴロゴロしている予定」

「じゃあ暇ってことだよね」

 

 いやいや、暇じゃないんです。

 真剣にまじめにぐだぐだゴロゴロするんです。

 

「タマムシデパートへ買い物に行きましょ」

「タマムシデパートってちょっと遠出じゃん」

「コンテスト用の衣装を作るための材料を探しにいきたいの」

 

 あー、衣装の材料ね。

 ナナミはポケモンブリーダー兼ポケモンコーディネーターをやってるからな。

 この前はコンテスト関係の取材を受けていたし、その界隈では結構有名らしい。

 

「まぁ、いっか。でも、タマムシシティの往復を考えるとそんなにタマムシシティに滞在している時間少なくない?」

「それは大丈夫」

 

 自信満々にそう言ったナナミ。

 何故ですか?

 

「エリカちゃんの家に泊めてもらうの。だから一泊二日のちょっとした旅行ね」

「……」

 

 旅行は好きだからいいんですが、もっと前の日から言ってほしかったとです。

 しかし、女のわがままに付き合ってこそのかっこいい男である。

 なので仕方なく了承する俺であった。




ソラ
今作の主人公。
謎の転生か憑依をしてしまいポケモンの世界に行きついてしまった。作者も行ってみたい。
基本ニート生活。
金がないときはオーキド研究所でバイトをしている。
趣味は旅行、金がなくても旅行はできる。作者も旅行したい。
ポケモンバトルよりも育成をするのが好き派。
手持ちは6匹いるが今後全員出て来るかは不明。短編小説だからね。

ナナミ
主人公の幼馴染。
主人公とはツーカーの仲。
ポケモンブリーダーでもあり、ポケモンコーディネーターでもある。
過去にグランドフェスティバルにて優勝したことがあるため、『トップコーディネーター』と呼ばれていた時期があるとかないとか。
主人公と最初に会ったとき開口一番に「タウンマップさん! タウンマップさんじゃないか!」と言われ、右ストレートを腹にぶち込み、ダウンさせた。強い。

クチート
ニックネームは『くー』。おやはソラ。
ハジツゲタウンで主人公が生まれたとき誕生祝いで近所のお姉さん(マユミ)に貰ったタマゴから孵化した。
バトルにゲームのシステムは関係ないと気づいた主人公にいろいろ仕込まれて魔改造されているが本作でその力が発揮されるかは不明。
寝ることと縁側でまったりすることが好き。
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