霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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九十五話

「グハハハハ! こうして兄弟三人揃うのは何時以来だったか?」

 

《……ランスロットの結婚式の時に集まっただろう。ああ、二人揃って悪酔いしてヘラにぶん殴られたから覚えていないのか》

 

「ガハハハハ! そうだったな!」

 

ハーデス、ゼウス、ポセイドンの三兄弟は偶々重なった休みを利用して兄弟だけで酒宴を開いていた。既にゼウスとポセイドンは酔いが回っており、骸骨なのに飲み食いした物が何処かに消えるハーデスはチビチビ飲んでいる為か大して酔っていない。

 

《……そういえば貴様らの所にも来たのだろう、どう対処した?》

 

「頼んでいないエロDVDか?」

 

「見てないエロサイトの請求書か?」

 

《……見合いの申し込みだ》

 

ハーデスは呆れた様子で写真を取り出す。ありす達に落書きされて元々の顔は分からないが、どの写真もお見合いに出されるだけあって美女……だったようだ。鼻毛や髭、額に肉が書かれているなどで台無しだ。

 

「いや、これ可哀想だろ。言ってみれば此奴らは売られたみたいなもんだろうに……」

 

「ちなみに俺は妾増やそうとしてヘラにボコられた」

 

《……愚弟共が。ま、妾と言ってもスパイや身内にして人情に訴えかける作戦なのだろうが……愚か者が。奴にまで送った事で怖い狐の尾を踏んだぞ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ~♪ どうです、似合いますか?」

 

服屋に来た玉藻は天使用の服を着て嬉しそうにクルクル回っている。天使用の服なので露出が少なく、清楚な雰囲気を醸し出している。一応神の分身が混じっているのでそういう服も似合うのだろう。

 

「うん、似合ってるよ。そういう服も可愛いね。……汚し難い存在って感じでさ」

 

「いやん♪ 汚し難い物ほど汚し甲斐があるって事ですね? あぁ~ん、ご主人様のス・ケ・ベ♥」

 

二人を堕天防止用の結界が発動する。今回の訪問で十五回目の発動だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、イリナちゃん」

 

「……随分買ったわね」

 

買い物を済ませて優雅にアフタヌーンティーをしていた二人の前にはイリナがやって来ており、その視線は買い物袋の山に注がれている。その数大凡五十。どうやっても持ち帰れる量ではない。

 

「まぁ、もしもの時は覇龍で持って帰るよ」

 

「絶対に止めて!」

 

「じゃあ、聖ニコラスを襲ってトナカイのソリを強奪? ほら、昔約束したじゃん。聖ニコラスを強襲して全財産を奪い尽くそうってさ」

 

「サンタ捕まえてプレゼントを二人で山分け、だからね!?」

 

「……うわぁ。教徒のクセに子供達の夢を奪おうなんて……引くなぁ」

 

「それに天界でそんな事を大声で言うなんて……ご主人様、あまり近づかない方が良いですよ」

 

「酷っ!?」

 

二人は身を寄せ合ってイリナから離れる。イリナが泣きそうな顔で抗議した時、突然爆発音が鳴り響いた。

 

 

 

 

「あ、もしもしハンコック?」

 

「どんな着信音!?」

 

「爆発音だけど? イリナちゃん、耳鼻科行ったら? あ、うん。ご苦労様。後はヴァレリーちゃんに頼んで復活させて貰って。マユリが種を使って命の樹と知恵の樹を再生してくれるはずだから。……完成した時はパーティだね。……ふ~ん。じゃあ、伝えとくね」

 

「……なんか聞いていはいけない事を聞かされたような」

 

「気のせい気のせい。あ、リゼヴィムが邪龍引き連れて進行して来るってさ」

 

「え、そうなの? ……って、えぇぇぇぇぇっ!?」

 

「五月蝿いですよ、残念天使イリナさん」

 

二人はイリナを放っておいてお茶の代金を払うとその場から歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リゼヴィムがっ!? 直ぐに非戦闘員を避難させなくてはっ! デュリオに連絡を!」

 

一誠がリゼヴィム強襲を知らせると、ミカエル達は慌てて撃退の準備を始める。その様子を二人は退屈そうに見ていた。

 

「ハンコックさんの話では樹の実の欠片を手に入れたんですよねぇ? 新しい実は神が死んでから生っていないらしいし、何しに来たんでしょうか?」

 

「う~ん、ただ暇つぶしに嫌がらせにでも来たんじゃない? ほら、俺の同類らしいし」

 

「あ~、そうですねぇ。ご主人様の同類ですもんねぇ」

 

映し出された映像には天界で暴れる邪龍達の姿が映っており、中にはクロウ・クルワッハやラードゥンの姿もあった。

 

「……さて、俺達も行こうか。攫われた最上級死神(同僚)の居場所を聞き出さないと。ねぇ、ミカエルさん。俺の部下が大暴れしても大丈夫?」

 

「システムに多少の影響が出るでしょうが……お願いします」

 

「うん、上に立つ者はそうでなきゃ」

 

一誠はミカエルの決断が気に入ったらしく機嫌が良さそうだ。一誠と玉藻が部屋から出ていこうとした時、前方からイリナが走ってきた。

 

「大変よ、一誠君! お父さんの所にも敵がっ! あっ……」

 

何故か落ちていたバナナの皮を踏んだイリナは一昔前の漫画のように見事に滑り、そのまま一誠の方に飛んでいく。彼女の顔の高さはちょうど一誠の顔と同じでそのまま二人の唇が重なる……、

 

 

「おっと。危なかったぜ」

 

「ひぎゃんっ!?」

 

所で玉藻が一誠を抱き寄せてそれを回避。イリナは顔から床に激突しそのままスライディングしていく。運の悪い事にミカエルが前に居て、そのまま彼を巻き込んで壁に激突してしまった。

 

「ふ~んだ! ご主人様との強制ラブコメイベントなんか起こさせやしませんよ~だ! 全く、昔も寝込みを襲ってご主人様にキスしようとしやがったし、私が止めなきゃファーストキスを奪われてましたよ」

 

玉藻は見せつけるように一誠の唇を奪うとイリナ目掛けて舌を出す。しかしイリナはミカエルと共に壁に激突した際に気を失って聞いてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~と、八重垣がイリナちゃんの父親の居る第五天に居るんだったっけ?」

 

「ぶっちゃけ、D×Dに所属してるから協力してますけどぉ、復讐を邪魔するのは野暮ってもんですよねぇ」

 

「……いや、そういう事は誰も聞いていない所で言うもんですぜ?」

 

各階層を繋ぐ門も天界に出入りする為の門もアジ・ダハーカの力で封じられている為、一誠達は足を使って進んでいた。デュリオも合流の後同行しており、三人の前には大量の邪龍の死骸があった。天界のジョーカーであるデュリオの実力も中々で、瞬く間に量産型邪龍を倒していく。

 

 

 

 

 

『……貴様が赤龍帝か。グレンデルにはやられたが、貴様には勝たせてもらうぞ』

 

『クロウ・クルワッハ。私にも相手させてください。歴代最強最悪の実力を試してみたいのですよ』

 

そんな中、別格の二体が姿を現した。

 

 

 

「あっ、俺の手下達に負けたばっかりの二匹じゃん。直ぐに出てきて恥ずかしくないの?」

 

『やかましいですよ!』

 

『……まぁ、少しな』

 

『クロウ・クルワッハ!? ……まぁ、良いでしょう。貴方の頼もしい仲間であるグレンデル。それが敵に回る恐怖を味あわせて差し上げます!』

 

突如空中に龍門(ドラゴンゲート)が三つ出現する。その色は深緑。グレンデルを象徴する色だ。

 

『ははははは! どうです? 聖杯の力はグレンデルを量産する程までに……』

 

其処まで言ってラードゥンは言葉を途切れさせる。三体のグレンデルのコピー体は一誠の影から現れたシャドウの巨体に飲まれ身動きができなくなっていた。シャドウはサマエルのオーラを元に作られた悪霊。龍殺しの力はサマエルより数段劣るが、それでも龍殺しへの耐性を付けたコピー体の動きを封じるには十分だった。

 

『グガァァァァァァァァァァッ!』

 

『死ネ』

 

コピー体達は大した自我がないのか、ただ苦しそうに叫ぶだけ。とても料理や裁縫が好きで、格闘技を通信教育で極めているグレンデルのコピーとは思えない。そして、シャドウはコピー達の口から体内に入り内部から龍殺しの毒で侵す。まるで蚊取り線香で蚊を落とすかのようにコピー達は落ちていった。

 

「でっ? 全然大した事ないね。……まぁ、仲間と同じ姿の奴を殺さされて少し不愉快かな? ……玉藻、先に行ってて……九尾でね」

 

「了解致しました、ご主人様」

 

玉藻は先程までの巫山戯た雰囲気から神妙な面持ちになると尻尾を一気に増やす。放たれる力は覇龍時の一誠を超えていた。

 

「……強くなった? これからも尻に敷かれそうだよ」

 

「毎晩行う房中術のおかげです♥ それと、私はあくまで良妻狐。亭主関白バッチ来い! ですよ♪」

 

「……ラブラブっすね。じゃあ、此処は俺と一誠どんで……」

 

「いや、君も先に行って。俺はクロウ・クルワッハと戦うよ」

 

『我、目覚めるは覇の理を求め、死を統べし赤龍帝なり』

 

『無限を望み、夢幻を喰らう』

 

『我、死を喰らいし赤き冥府の龍となりて』

 

『死霊と悪鬼と共に、汝を冥府へと誘わん!』

 

     

 

 

         『魂を喰らいし(ヘル・ジャガーノート・ドライブ)冥覇龍(・ソウルイーター)!!』

 

一誠の変化した姿を見たクロウ・クルワッハは嬉しそうに牙を剥き出しにしている。そしてラードゥンは後ろから放たれた槍に体の一部を持て行かれた。

 

『ぐっ! な、何者です!?』

 

「死従七士が一人、『暴食』の将軍。……名前ハ、アーロニーロ、ダ」

 

「ウフフイ。久々の仕事だネ。死霊四帝の一人、ブイヨセンだヨ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……市」

 

「ヒッヒッヒ、グリンパーチだぜぇ」

 

「うぉれは、うぉれは、クドラクだぁぁぁぁ!!」

 

「拙者は犬飼ポチと申す者。死霊四帝の長なり」

 

『え、いや、ちょっと多すぎやしませんか?』

 

「六対一か。悪くないね」

 

『悪いわっ! この人でなし!』

 

 

 

 

 

 

「うん。俺はもう人じゃないよ? まぁ雑魚とは言え大勢引き連れて来たんだからさ。……殺れ」

 

一誠の合図と共に六体が一斉にラードゥンに飛びかかった……。

 

 

 




最近、psp俺の屍をやり始め、ハイスクールでクロス書きたくなりました、いや、ps版で四回もクリアしたのにまだ飽きないって凄い。主人公はクリアした人なら分かる彼(もしくは彼女)です。生年月日を入力するのにあのような訳があったとは。たまには主人公が何も知らない状態からのスタートかな?

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