霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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九十六話

「紫藤局長。僕はずっとこの時を待っていたんだ。僕と彼女を引き裂いた貴方達に復讐するこの時をねッ! 貴方もエデンの園で殉職できるのだから、本望でしょう?」

 

「……八重垣君。私の命なら君にあげよう。だから、この様な事はこれで終わりにしてくれ」

 

トウジの元までやって来た八重垣は八岐大蛇を宿した天叢雲の剣を使い、彼を殺そうとする。トウジもまた、自分の命を犠牲にして彼によるテロ行為を終わらせようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その戦い、ちょっと待ったァァァァァっ!! 悲劇の主人公気取りによるお涙頂戴の茶番劇は今をもって閉幕! 只今より、スーパー美少女狐っ子玉藻ちゃんの大舞台の始まりだァァァっ!!」

 

全く空気を読まずに現れた玉藻に二人だけでなく、辺りを破壊している邪龍達でさえ固まっている。そんな中、その邪龍達に雷が降り注いだ。

 

「あんたスゲェっすねっ!? この状況でそう言う台詞が吐けるって感心するっすよっ!?」

 

「あれま、デュリオさん、随分ボロボロですねぇ」

 

「いや、アンタのせいっすからね!? 急ぐ為に大きい狐の姿になって、”ご主人様以外の男を体に乗せる気は御座いませんが、尻尾の先端になら捕まっても良いですよ”って言ったから捕まったら、彼方此方ぶつかりまくったんっすからっ! ……あ~、八重垣さんは任せて良いっすか? 俺はアイツ等の相手をしますんで」

 

デュリオは邪龍達を見据えると再び神器を発動させて邪龍達を迎え撃つ。いつも飄々とした彼だが、この時は怒りを滲ませていた。彼は異能を持つ子供達の養成施設で育ち、自分の能力のせいで死んでいった子供達を多く見てきた。そして、その子供達の魂は天界に迎えられているのだ。

 

「ここは俺の弟や妹達が苦しまずに過ごせる場所なんだ。そこをぶっ壊すんじゃねぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん。この間はデートの邪魔をされましたし、何か趣向を凝らしましょうか」

 

玉藻の目には八重垣など既に敵として映っていない。精々が目の前を飛び回る蚊蜻蛉程度の認識だ。八岐大蛇の首が一斉に襲い掛かるも、宙を舞う鏡の一撃で全て砕け散る。本来ならすぐに再生するはずなのだが、砕け散った首はピクリとも動かない。

 

「ふふふふふ、直ぐに再生する奴の対処法なんか幾らでも有るんですよ。跡形もなく吹き飛ばしたり、封印したり、……傷口を凍らせたりね」

 

「くっ!」

 

玉藻は九本の尻尾を得意げに揺らし、小馬鹿にするような笑みを浮かべながら口元を隠す。八重垣は冷や汗を流しながら天叢雲の剣を構え、そこで動きを止める。彼の周囲には無数のクレーリアが立っていた。

 

 

「……ねぇ、なんで私を攻撃したの?」

 

「なんで私を連れて逃げてくれなかったの?」

 

「私より、信仰の方が大切だったの?」

 

「ねぇ、なんで?」

 

「「「「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」」」」

 

「あ、あぁ……」

 

クレーリア達は八重垣の周囲をクルクルと回りながら恨み言を吐く。八重垣の顔からは生気が抜けて行き、天叢雲の剣を落とすとガクリと膝を折った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さぁて、素敵な夢を見ているようですし、今の内に手足をもいでおきましょうか♪」

 

「待ってくれ!」

 

八重垣に幻覚を掛けた玉藻が舌舐りをしながら八重垣に近づいた時、トウジが彼を守るように立ち塞がった。

 

「頼む、彼を許してやってくれ!」

 

「嫌です。私はご主人様から彼の事を任されました。それに彼を許す理由など私にはありません」

 

「彼がああなったのは私の責任なんだ。彼は本当は心の優しい若者で……」

 

トウジは必死になって八重垣の弁明をするが、玉藻の尻尾は彼の脇をすり抜け八重垣の四肢を切り落とした。

 

 

 

 

 

 

 

「アンタ達と八重垣に何があったか、なんて関係ねぇ。彼奴はテロリストで、此方は仲間が攫われてた上に手下がやられてるんですから冥府に連れて行きます。それに例え貴方が許しても、一件に関わった悪魔や聖職者を何人も殺してるんですから死刑は免れませんよ? そして、例えミカエル達が許しても他の神話体系がテロリストを許しません」

 

玉藻はあっけらかんと言い切り、トウジはその場で膝を崩した。

 

 

 

 

 

 

 

「彼は…どうしたら良かったんだい?」

 

「簡単です。本当に結ばれたいなら彼が信仰を捨てるか、二人一緒に全てを捨てて逃げれば良かったんですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん、良いねぇ! 力が使いたい放題だっ!」

 

「ちっ!」

 

一誠は背中から生えた四本の腕でクロウ・クルワッハにラッシュを掛ける。彼が編み出した新たな覇龍『魂を喰らいし(ヘル・ジャガーノート・ドライブ)冥覇龍(・ソウルイーター)』は霊魂を燃料にしており、力を引き出せば引き出す程消費スピードは跳ね上がる。だが、量産型邪龍の魂を燃料にする事で常に補充し続けていた。

 

 

「……ク、クククククククク! やはり、こうでなくてはな!」

 

クロウ・クルワッハも楽しそうに笑いながら攻撃を仕掛ける。姿を隠しながらの修行の日々で彼の力は二天龍クラスになっており、苦戦するなど言う事を今まで忘れ去っていた。だが、今の一誠の力は二天龍すら大きく超えている。まさに戦闘狂の彼からすれば血湧き肉躍る戦いといった所だ。

 

「ふんっ!」

 

人間の姿から龍の姿の戻っていたクロウ・クルワッハは両腕の爪で一誠に掴みかかるが、一誠は背中の腕で手首を掴んで止める。残った二本の腕は伸びて足首を掴み動きを封じた。そして一誠の背中にあるタンクの中身が一気に減り、一誠が両腕を前に翳すと瘴気のようなものが集まり黒い球体と化す。その球体はクロウ・クルワッハの腹部に触れていた。

 

 

「怨念収束・超断末魔砲っ!」

 

 

そしてゼロ距離で放たれた一撃はクロウ・クルワッハの体を貫通し、腹に大きな風穴を空ける。だが、クロウ・クルワッハにはまだ息があった。死力を振り絞り一誠に向かってブレスを吐こうとする。だが、その背中にシャドウの分体が飛び付き、龍殺しの毒がクロウ・クルワッハを襲った。

 

「ぐぉぉぉぉぉぉっ!? 一騎打ちではなかったのかっ!?」

 

「主ハ自分ガ戦ウトハ言ッタガ、手ヲ出スナ、トハ言ッテナイ」

 

「勘違いしてた君が悪い。それともヴァーリ同様に俺を動揺させる作戦? うわぁ、最強の邪龍も落ちたね」

 

 

一誠は胸部目掛けて手を突き出し、宝玉から音声が鳴り響く。

 

Penetrate(ぺネトレイト)

 

その瞬間、クロウ・クルワッハの胸を一誠の手が透過し、背中から出てくる。その手には心臓が握られていた。

 

「はい、さよなら。そして、これからよろしく♪」

 

そして心臓を握り潰すと同時にクロウ・クルワッハの目から生気が失われ、魂は一誠の影に吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぐぉぉぉぉぉおおおっ!?』

 

「貴方も死んで行くのね……。全て市のせい……」

 

ラードゥンの結界に黒い腕が張り付く。頑強な結界がギシギシと音を立て力を吸い取っていった。結界の強度が徐々に下がり出し、ラードゥンは慌ててその場から離れると結界を張り直す。だが、その結界を黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)が貫通した。直撃こそ避けたものの体の一部が削り取られる。そして穴が空いた一瞬の内に内部にフェンリルへと化したポチが侵入していた。

 

「がぁっ!!」

 

ポチの爪はラードゥンの背中を大きく抉り、牙で右腕を食い千切る。何とか振り払ったその時、結界ごと彼の体は別の方向に引き寄せられる。其処にはストローを口にくわえたグリンパーチと、その横で拳を構えるクドラクの姿があった。

 

「んじゃ、行くぜぇ? ブレスミサイル!」

 

「俺が、俺が、殴るぅぅぅぅぅっ!!」

 

クドラクが跳躍すると先程までラードゥンを吸い込んでいたグリンパーチはクドラク目掛けて息を吐く。クドラクはその息に乗り、吸い込まれた事で自分達の方に吸い寄せられていたラ-ドゥンに急接近。勢いそのままに結界を殴り飛ばす。結界には大きなヒビが入った。

 

『ふ、ふん! その程度で私の結界は……』

 

ラードゥンはすぐさま結界を修復しようとし……、

 

 

 

 

「喰い尽くせ『喰虚(グロトネリア)』」

 

『あがばぁぁぁぁぁぁっ!?』

 

後ろから伸びてきた巨大な蛸の足に結界ごと握り潰され捕食された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うっひゃぁ。最上級死神攫ったの失策だったか?」

 

一誠達の戦いを見ていたリゼヴィムは冷や汗を流しながら姿を消す。残った邪龍達も退治され、こうして天界での騒動は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてクリスマス当日、一誠は玉藻とのディナーの後、予約していたホテルのデラックススィートに来ていた。

 

「へぇ、結構広いな……」

 

一誠は早速と言わんばかりに玉藻の肩に手を伸ばし、その手は空を切る。何時の間にか彼女は下着姿でベットの上に寝転んでおり、三人に増えていた。

 

「ご主人様、ゼウス様からお薬頂いていますよね?」

 

「……さぁ、何の事?」

 

一誠は目を逸らして口笛を吹くが嘘がバレバレだ。何時の間にか両脇にも二人の玉藻が立っていた。

 

「ヘラ様からお聞きしましたよ。さ、お薬飲んだんですから五人くらい相手しても平気ですよね♪」

 

「お風呂はぁ、玉藻AとBが前後からご奉仕致しますからぁ、汗を流したらCDEを可愛がってあげて下さいませ♥」

 

「CDEは汗を流さないの?」

 

「どうせ色々ヤって汚れますから、最後に六人で入浴して楽しみましょう♪」

 

左右から玉藻が胸で腕を挟み、ベットの上の三人は艶のある眼差しを送る。一誠はそのまま連行される様に広い浴室に連れて行かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ、旦那様♪ 一日でも早く私を母親にするために頑張って下さいませ♥ ちなみに5人に注いだ分は一人に戻った時に全部一人に入ります♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、マユリは研究所で高笑いをしていた。

 

 

「ククク、やはり私は天才だネ。私以外の者は全て凡人だ!」

 

「その通りでございます、マユリ様」

 

ネムは無表情で新発明の装置を見た。巨大な装置に八脚の椅子と八個のヘルメットが付いている。

 

「……さて、早速実験体を決めなくてはネ。この分身を作り出し、異世界に送り出す装置を早く試したイ」

 

 

 

そして、マッドサイエンティストの目論見は近い内に達成される事となる……。

 




さて、ラスボスは700文字で煮詰まり 最後は考えてるけど、そこまで行くためのバトルが思いついたら書きます。

そして、合計百話突破記念として フェイトエクストラ編をします!


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番外編サンプル








「気を付けろ、奏者! このサーヴァント只者ではないぞ!」

「やぁ、貴女が僕の一回戦の相手ですね。これは可愛らしいお嬢さんだ」

「……あのサーヴァント、厄介だな。ここはマスターを……」

「……貴方は、またバーサーカーとして私の前に立ちふさがるのですね」

「おい、ライダー! あのライダーってどう見ても英霊どころか人間じゃないだろ!?」

「……へぇ、君面白いね。人間じゃないのにマスターなんかやってさ」

月の聖杯戦争にイレギュラーが入り込む時、混沌の舞台が幕を開ける
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