霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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まさかの週間5位 これからも頑張ります!


月光校舎のエクスカリバー
十二話


赤龍帝こと一誠とのゲームの結果はグレモリー・フェニックス両家に多大な影響を与えた。たかが人間に負けた。下等と見下している人間とその手駒が自分達より強いなど到底認める事ができない貴族達は”二人が人間に負けた”という部分のみを広め、一誠達に対しては示し合わせたかのように口を閉ざす。それによってリアスとライザーの評価は大きく下がる事となった。特にライザーは冥府と揉めた上に人間に負けて再起不能になってリアスとのゲームを棄権。更には多額の賠償金を月々払わなければいけなくなり、彼を婿に迎え入れるのはフェニックス家との繋がりを考えてもマイナスにしかならない、という噂が広まってしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一誠、起きなさい! ポチの散歩の時間よ!」

 

「……は~い」

 

母親に起こされた一誠は目をを擦りながらベットから起き上がる。彼がリードを持って庭に出ると誰に命令された訳でもないのに犬がお座りの姿勢のまま微動だにせずに待っていた。

 

「ポチ、おはよう」

 

「ワン!」

 

一誠は挨拶し返すかのように吠えた飼い犬にリードを付けて散歩に出かける。飼い犬のポチは一誠の隣りにピッタリと付いて歩いていた。まだ早朝とい事もあって人通りはなく霧が出ている中、一誠はポチに話しかける。

 

 

「……それで変な匂いは何か分かった?」

 

「いえ、それはまだで御座る。だが必ず拙者が突き止め、ご必要とあらば我が八房にて切り捨ててご覧に入れます」

 

ポチはまるで侍のような言葉使いで返事をすると急に黙り込む。目の前から走ってくる集団があった。リアス率いるオカルト研究部である。彼女達は先日の大敗を機に全員での早朝トレーニングを始めたのだ。松田も運動神経は高いという事もあって集団について行けており、運動神経が並以下のアーシアは少々遅れがちだ。

 

「やぁ、松田。球技大会の部ごとの対抗戦に向けてのトレーニング?」

 

「お、おう。そうなんだよ、イッセー」

 

とりあえず、オカルト研究部が朝のランニングを行っているという不可解な光景を誤魔化そうと術をかけられるのは不快なので適当な理由をあげる。松田も誤魔化す必要がなくなったので少しホッとした様子だ。

 

「あら、一郎の友達?」

 

「あ、はい。こいつは中学が同じだった兵藤です」

 

「初めまして、グレモリー先輩。松田の友人……いや、知人の兵藤一誠です」

 

「ええ、初めまして。リアス・グレモリーよ。へぇ、結構大きい犬ね。撫でても良いかしら?」

 

一誠は某古本屋と同じ方法で松田が友人であるという事を否定する。その間、ポチはジッと座って話が終わるのを待っていた。だが、リアスが手を近づけた途端に歯をむき出しにして唸り出す。

 

「駄目だよ、グレモリー先輩。ポチは誇り高い狼犬だから群れの仲間以外には厳しいんだ。んじゃ、もう俺は行くね」

 

一誠はポチと共にそのまま散歩の続きに戻っていった……。

 

 

 

 

 

 

「随分と厳しいね、ポチ」

 

「……拙者は侍ゆえ、主と大奥様や大旦那様以外に振りまく愛想は御座らん。それにあの女は気に入らんで御座る。それこそ機会が御座れば噛み殺したい程に……」

 

「駄目だよ? ポチの役目は敵を殺す事じゃなくて家を守る事。まぁ、敵対した時に家に乗り込んで来たら好きにしたら良いからさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ハーデスから受け取った今月分の金を数え終わった一誠は上機嫌でベットに横になっていた。

 

「う~ん、今月も良い稼ぎだったね。……まぁ、殆どが玉藻達への褒賞に消えちゃうんだけどね」

 

一誠がハーデスから受け取る金額は多いものの、その殆どを理性のある霊の為に使っているので一誠の手元に残るのは学生の一ヶ月のバイト代程度だ。なお、両親は玉藻の術で金を持っている事に不信を持たないようにしている。

 

『……しかし相棒も変わっているな。せっかく稼いだ金を部下の為に使うんだからな』

 

「ん~? それっておかしい? 別に俺はそんなに金使わないし、報酬の一部は爺さんが将来の為に貯金してくれているって言ってたし、別に良いんじゃない? ほら、戦闘でも頼ってるし」

 

『相棒、できれば白いのとの戦いは自分で戦ってくれないか? 流石にシャドウを使うのは……』

 

「え~! シャドウを作るのにどれだけ苦労したか知ってるでしょ? せっかくアルビオン対策で作ったのにさ。使わなきゃ勿体無いじゃん。いや、ドライグには感謝してるよ? ドラゴンの力のおかげで力に引き寄せられた奴らがやって来る。そうして俺の軍団は大きくなって来たからね」

 

『……今までの所有者は多くの者に憧れられ異性に囲まれてきたが、相棒のように人外ばかりを従えて人外ばかりにモテている宿主は初めてだよ。本当に変わった宿主だ』

 

 

 

 

 

 

 

次の日、松田達は昼休みに部室に集まっていた。部室内には生徒会長である支取蒼那と最近生徒会に入った匙元士郎の姿があった。実は生徒会長の本名はソーナ・シトリーといって上級悪魔である。今回は新人同士の顔合わせに集まったのだが、匙は松田が自分と同じ『兵士』だと聞いて露骨に嫌そうな顔をする。

 

「俺としては変態のお前と同じだってのは傷つくんだけどな……」

 

「な、なんだと!」

 

匙の物言いに松田が反応しソーナが止めようとしたその時、窓が開き一匹の黒猫が入り込んでくる。そして、黒猫は瞬く間に人間の姿の変化した。

 

「白音、久しぶりにゃ」

 

「ね、姉様……」

 

黒歌の姿を見た小猫は怯え出し、近くに居たリアスの影に隠れる。そしてリアス達が警戒心をむき出しにする中、匙と松田は黒歌に見とれていた。

 

「何!? 小猫ちゃんにあんな美人のお姉さんが!?」

 

「スゲェ美人。スタイルも良いし、服装がエロイ……」

 

二人の視線は黒歌の体に集中する。大きく突き出た胸に括れた腰。そして真白な肌が着物から惜しげもなく露出しており、あと少しズレれば大切な所が丸見えになりそうだ。そんな二人の姿を見てリアスとソーナは頭痛を覚えた。

 

「サジ。いい加減になさい!」

 

「一郎もよ! 彼奴はSS級のはぐれ悪魔の黒歌よ!」

 

二人は何時でも戦えるように魔力を漲らせる。だが、黒歌はそんな二人を見て首を傾げた。

 

「あれ? 私の手配が解除されたのって聞いてないの? 今の私は赤龍帝の下僕や所有物的な扱いになってるんだけど?」

 

黒歌はそう言うとハーデスから渡された契約書を胸元から取り出す。其処には黒歌の手配を解除するという事が書かれていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒歌は上手くやったかな?」

 

その日、黒歌がオカルト研究部の部室に向かう事を聞いていた一誠は風呂に入りながら呟く。その時、浴室の戸が開かれ玉藻が入ってきた。

 

「お約束のご褒美を頂きに参りました、ご主人様♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、ご主人様に体を洗って頂けるなんて……。玉藻は幸せ者です!」

 

「えぇ~、昔はお風呂のたびに逃げ回てったじゃない。シャワー嫌い克服したんだ」

 

まだ玉藻が生きていた頃、お風呂に入れようとする度に逃げ回り大変だった事を一誠は思い出す。何とか捕まえて体を洗ったら洗ったで暫く拗ね、また翌日になったら一誠にベッタリになっていた。

 

「あ、あれは小動物だったからでございます! あの時はお風呂が怖くて……。でも、今はこの時が何よりの至福で御座います!」

 

「あっ、尻尾はポチの犬用シャンプーで良い?」

 

「オッサンと乙女を同じシャンプーでお洗いになる気で!?」

 

文句を言いつつも結局洗って貰う事にした玉藻であったが、一誠が指を鳴らした途端に狐の姿に戻った。

 

「こっち方が洗い易いからね」

 

「うぅ、ご主人様のイケズ。此処は私が尻尾を洗われている最中に敏感に反応するのを見て衝動を抑えきれずに押し倒す所でしょうに。……って、この姿だとシャワー怖っ!? まるで滝みたいで……」

 

「はいはい、すぐ済むから大人しくしててね~」

 

「みぎゃぁぁぁっ!!」

 

その後、浴室には玉藻の悲鳴が響き渡った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あう~、散々な目に会いましたぁ」

 

「ごめんごめん」

 

「だからぁ、もう少し此の儘で居させて下さい♪」

 

入浴後、ヘロヘロになった玉藻はリビングてグッタリとしており、一誠に膝枕をされていた。一誠の膝に頬擦りするその顔は幸せ其のもので緩みきっている。そして玉藻は甘えるような声を出した。

 

「ご主人様ぁ。……大好きです♪」

 

一誠はそのままスヤスヤと寝息を立てだした玉藻の耳をそっと撫でる。子狐の時のようにそこを撫でられた彼女は気持ちよさそうな声を出していた。そして一誠が玉藻をソファーに寝かせた時、誰か訪ねてきたのかチャイムが鳴った。

 

 

 

 

 

「はいはい、どちら様~? 今日、父さん達は帰ってこないよ~?」

 

「……そう」

 

一誠の言葉を聞いた客人はそう呟くとドアを急に開ける。客人の正体は黒歌であり、後ろ手でドアの鍵を閉めるなり一誠目掛けて飛び掛って来た。

 

 

 

 

「イッセー♪ 白音と和解できたにゃ! 理由を話したら信じてくれて、とりあえず携帯の番号を教えてくれるって! 本当は一緒に住みたいけど……。ほら、私って一応貴方の所有物扱いにゃ? ボロ出して正体バラしてもいけないし、ちょくちょく会う事になったにゃ!」

 

「ふ~ん、良かったね。それで、なんで俺は押し倒されてるの?」

 

「も・ち・ろ・ん・お・れ・い♪ 今日はたぁ~っぷり楽しもっ!?」

 

一誠を押さえつけながら器用に着物の帯を解いていた黒歌であったが、後頭部に衝撃が走り気絶する。一誠が見上げると笑顔を浮かべてはいるものの目が笑っていない玉藻の姿があった。

 

 

 

「全く、油断も隙もあったものじゃありませんねぇ。狸寝入りを続け、ベットまで運んで貰った所で襲いかかる計画だったのですが……ご主人様も流されない! ふふふふふ、あまり度が過ぎると一夫多妻去勢拳ですからね?」

 

「は、はい!」

 

一夫多妻去勢拳。初めて聞く言葉だが身の毛もよだつ恐怖を感じた一誠は思わず敬礼をしてしまう。そんな時、一人の侍が家に入って来る。その侍にはイヌ科の尻尾が生えていた。

 

「街の見回りを終えて来たで御座るよ。途中、羽が八枚の堕天使が襲って来たで御座るが……ムカついたのでボコった後に尻を真っ赤になるまで叩き、犬クソ乗せた上で縛り付けて放置して来たが問題あったで御座るか?」

 

「ふ~ん、ご苦労様。かなり上級の堕天使かぁ。レイナーレの強化に使えそうだね」




意見 感想 誤字指摘 アンケート お待ちしています


しかし、グレンデル退場か…… つまりあいつをどうこうしてもストーリーの進め方には……

ユークリッドが余りにも…… モロかませじゃん! あんだけ仰々しく登場しといて主人公の新技に2回連続で負けるって……(笑)

赤髪のためにも八岐大蛇に早く出てきて欲しい
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