昨日感想の知らせがあったのに見たら追記すらなく、それが2度も 何故?
「追……放?」
「ああ、そうだ。君の追放が先程決まった。今すぐ荷物を纏めて出て行きたまえ」
エクスカリバーの奪還任務の後、ゼノヴィアは追放を宣告された理由を尋ねても教えて貰えず、長年暮らし慣れた教会を後にする。物心がついてから神への信仰を生きる理由にしていた彼女は心にポッカリ穴が空いてしまった様な空虚感を感じながら放浪の旅を続け、やがてとある荒野で力尽きようとしていた。
「……こんな所で死ぬのか。主は私を愛して下さっていなかったのだな……」
自分が斬捨てようとしたアーシアもこの様な気持ちだったのか、ゼノヴィアはそう感じ、その瞳から一筋の涙を溢す。そして彼女が意識を手放そうとした時、少女の声が聞こえてきた。
「あれ? こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ?」
薄れゆく意識の中、ゼノヴィアが見詰める先には奇抜な格好をした少女の姿が映っていた。ゼノヴィアを見付けたのはセラフォルー。そのままゼノヴィアは彼女に助けられ、シトリー家で療養する事となった。本来信仰心の厚い彼女ならそんな事は受け入れなかっただろう。だが、神に見捨てられたと思い込んだゼノヴィアは受け入れ、空虚な心のまま無為な日々を過ごす。そんなある日、ソーナが彼女の部屋を訪ね、とある提案をしてきた。
「私の眷属になって、将来私が作る学校で教師になってくださいませんか?」
生きる目的を失ったゼノヴィアにとって夢を語るソーナの姿は眩しく見え、その提案は天啓の様に感じれた。そして彼女はその日より悪魔になったのだ。
「……あの時は気にも止めなかったが、コカビエルの言葉を聞いた事により神の死を知ったとシステムに判断されたらしい。まぁ、先日になって漸くコレを貰ったから良しとしよう」
ゼノヴィアは誇らしげにデュランダルを構える。その顔は悪魔になった事への後悔も追放された事への恨みも感じ取れない実に爽やかな顔だった。
「さぁ、行くぞ! 私達の夢の為にもこのゲームは勝たせて貰うぞ!!」
「ち、畜生! 負けてたまるかよ!!」
松田は今作り出せる限りの光の矢を作り出し、ゼノヴィアに放つ。その数およそ三十。コカビエルの時より遥かに威力も速さも増した光の矢は真っ直ぐに進み、
「ふんっ!」
ゼノヴィアがデュランダルをひと振りすると、刀身から放たれた破壊的なオーラによってその殆どが吹き飛ばされて消えていく。そして残った矢も軌道が外れ、大きく空いた道をゼノヴィアは突き進む。
「行くぞぉぉぉぉぉ!!」
「……掛かったっ!」
ゼノヴィアはデュランダルを大上段に構えると高く跳躍し松田に切りかかる。だが、松田はその姿を見てニヤリと笑った。先ほど大きく外れた光の矢が軌道を変え、空中に居るゼノヴィアの背中に迫る。
「しまっ……」
まだ悪魔になりたての彼女では上手く羽で飛べず避けれない。そしてその光の矢は、
「させない!」
由良が間に入る事でゼノヴィアには当たらず、代わりに彼女の体に突き刺さる。脇腹を光の矢で貫かれた由良は地面に背中から墜落するとリタイアの光に包まれて消えていった。そしてデュランダルは松田に吸い込まれるように迫りその体を切り裂く。彼も血を流しながらリタイアしていった。
『ソーナ・シトリー様の『戦車』一名リタイア。リアスグレモリー様の『兵士』一名リタイア』
「……お前の分まで頑張るから見ていてくれ、由良」
ゼノヴィアはデュランダルに付いた血を振り払うと祐斗の方を見る。其処では『女王』の椿姫が彼とほぼ互角の戦いをしていた。
「……やりづらい」
祐斗の方が武器の性能でも剣の腕でも勝っているにも関わらず勝負は硬直していた。椿姫は果敢に攻めず、リーチを活かして逃げながらチクチクと攻めてくる。先程松田がリタイアした事をアナウンスで聞いた祐斗はゼノヴィアを注意しなければならず、慎重に攻めるのを辞め、一気に勝負に出ることにした。両手に聖魔剣を構えた彼は椿目掛けて同時に振り下ろす。
「神器、『
「なっ!?」
だが、突如現れた鏡によってその攻撃は椿姫には届かず、鏡だけを破壊する。その瞬間、途轍もない衝撃が祐斗を襲い、彼は吹き飛ばされて床を転がった。
「私の神器の能力は破壊された時に衝撃を倍にして返すという物。残念ながらオーラは跳ね返せませんし、貴方はパワータイプではないので即リタイアという訳には行きませんでしたが隙はできます」
「そしてその隙は私がトドメを刺すのに十分だ」
起き上がろうとした祐斗に向かってゼノヴィアはデュランダルを振り下ろした……。
『リアス・グレモリー様の『騎士』一名リタイア』
「行くぜぇ!!」
「っ!」
小猫は匙の攻撃を受け止め、反撃を仕掛けようとする。だが、横合いから放たれた仁村の拳がそれを阻止した。そして、それでできた隙を突き、巡の剣が襲いかかる。咄嗟に避けた小猫であったが、右足から僅かに血が滲む。先程から気を練ろうとするも匙に取り付けられたラインは小猫の体から気を奪い取り、切り離した片側から床に流れ落ちていた。
「……このままじゃ拙いですね。仕方ありません。ぶっつけ本番で成功させて見せます!」
その瞬間、小猫から途轍もない気が溢れ出し、匙が付けたラインを吹き飛ばす。そして尻尾が二股に分かれていた。
「……猫又モード」
小猫から放たれるオーラに匙達はたじろく。その瞬間小猫の姿がブレ、巡の腹に小猫の拳が突き刺さっていた。
「ぐっ!」
巡は腹を押さえて膝をつく。
「……この一撃でリタイアすると思ったのですが……!」
そう呟いた時、小猫は匙達の心臓からラインが伸びている事に気付く。
「まさかっ!? 自分の生命力を力に!?」
「ええ、そうです。私達はこのゲームに命を賭けて挑んでいます」
巡は口元から血を溢し、フラつきながらも立ち上がる。その瞬間、匙と仁村が小猫に飛びかかり抱き締める様にして体を拘束した。そして巡は意識が飛びそうになる中、生命力を魔力に変え続け手の平に集める。一メートルはありそうなフィールドをを破壊しつくしそうな魔力の塊は次第に凝縮されて行き、サッカーボール程の大きさになった。
「……放して下さい!」
「放す……もんかよっ!」
「絶対に放しませんっ!」
小猫は二人に拘束されたまま拳を振るい、蹴りを放って振り解こうとするも二人は放すどころか更に力を込める。小猫の攻撃で二人の骨にヒビが入り内蔵にまでダメージが届くも拘束は解けず、巡の放った魔力は匙と仁村ごと小猫を吹き飛ばす。そして巡も限界が来たのかその場に崩れ落ちた。
『ソーナ・シトリー様の『兵士』二名リタイア『騎士』二名リタイア。リアス・グレモリー様の『戦車』一名リタイア』
ゼファードル・グラシャボラスにとってサイラオーグ程気に入らない相手は居なかった。魔力を持たずに生まれた出来損ないでありながら、若手の中で一番優れている自分(少なくても彼自身はそう思っている)を差し置いて若手ナンバーワンの称号を得ているのだ。そして先日の若手の顔合わせの際、大勢の前で彼をのして大恥をかかせた。
「殺す! 絶対にぶっ殺してやる!」
故に彼は殺意をみなぎらせながら敵陣へと向かう。眷属達も彼の後に続いて進軍していた。
彼とサイラオーグには共通点がある。本来ならば次期当主になれなかったのに次期当主になっているという事だ。だが、彼は本来の次期当主の不審死によって選ばれ、サイラオーグは実力で勝ち取った。それは彼にとって劣等感となり、心に突き刺さっていたのだ。だから彼はこのゲームで証明しようとしていた。彼自身が最も優れていると……。
「来やがれっ!!」
「……ヤットカ」
ゼファードルの叫びと共にシャドウは姿を現す。シャドウはサイラオーグ達を見据えるとその巨体を震わせ、大量の粘液を空へと放つ。
「……嘆キノ雨」
次の瞬間、サイラオーグ達目掛けて死の雨が降り注いだ。
「がぁぁぁぁぁっ!?」
『サイラオーグ・バアル様の『戦車』一名リタイア』
その雨を浴びた瞬間、眷属の一人が即退場する。彼の名はラードラ・ブネ。『ドラゴン』を司る一族の出身だ。故にシャドウの持つサマエルの毒によってやられてしまった。
「くっ! 全て吸い込む!」
『女王』のクイーシャ・アバドンは膝から崩れ落ちながらも一族の特性を使って空間い穴を開け降り注ぐ雨を吸い込もうとする。だが、粘液は急に半透明になったかと思うと穴を通り抜け、再び姿を現して降り注いだ。
「悪イナ。実体化ヲ解カセテ貰ッタ」
「クッソォォォォォ!!」
次に動いたのは『戦車』のガンドマ・バラム。彼はその三メートルはあろうかと思われる巨体でサイラオーグに覆いかぶさり彼を粘液から守る。しかし、地に落ちた粘液が集まると小さいシャドウとなり、再びサイラオーグ達に襲いかかる。
『サイラオーグ・バアル様の『僧侶』二名 『騎士』一名 『女王』一名 リタイア』
「……時間ダ」
シャドウはサイラオーグの眷属を計五名リタイアさせた所で時間切れとなり消えていく。だが、既にサイラオーグたちには反撃する力が残っていなかった。目の前ではセファードル達が魔力を練り、今にも放とうとしている。サイラオーグはクジを握り締め、
「こうなったら一か八かだっ! 来いっ!!」
そう叫んだ瞬間、彼の背後に二人の少女が現れた。
「あのおじさん負けそうだね、あたし」
「あのおじさん負けそうよ、わたし」
無邪気な声で話すのはどう見てもか弱い少女達。それを見たゼファードル達からは嘲笑が聞こえてきた。
「ハハハハハ! どうやら才能だけじゃなくて運もなかったみてぇだな!」
ゼファードルは二人を指さして馬鹿にし、
「こんがりおいしくしてあげるね」
「がっ!?」
突如床から吹き出た炎に包まれた。
「追いかけたくなっちゃうよね、兎とか」
別の者は氷の中に閉じ込められ、
「豚になった方が幸せって子もいると思うの」
また別の者は風の刃で切り刻まれる。そして次の瞬間、二人のオーラが大きく膨れ上がった。
「「越えて越えて虹色草原、白黒マス目の王様ゲーム。走って走って鏡の迷宮、みじめなウサギはサヨナラね♪」」
空中に王冠の付いたハート型の輪っかが出現し光を放つ。次の瞬間、倒れ伏していたサイラオーグ達は完全に復活し、ゼファードル達は彼以外の者達がリタイアの光に包まれていった。
「な、何をしやがった!? それに助っ人は一人じゃなかったのかよ!?」
「怖~い。それに、今更何言ってるんだろうね、わたし」
「あたしはあたしともう一人のあたしとで一人なんだよ? そして今のはあたし達の切り札『永久機関・少女帝国』だよ。お兄ちゃんから『大将を倒したら詰まらないから倒したらダメ』って言われたからあなたは残したの」
「くっ! お、おい、落ちこぼれ! 俺と一騎打ちしやがれ!!」
ゼファードルはヤケになって一騎打ちを申し込む。そしてサイラオーグはソレを承諾。拳だけで彼を圧倒し、体と心を完全にへし折った。
「わぁ、あのおじさん強いね、あたし」
「でも、お兄ちゃんよりは弱いわ、わたし」
「……俺はまだおじさんじゃない。お兄さんだ」
「「わかった! おじさんのお兄さん!!」」
意見 感想 アンケート 誤字指摘お待ちしています
原作の使い魔の話見てたら一誠って相手が承諾するかどうかは考えてないんですよね(笑)