霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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ccc面白い ってかセイバーがマジわんこ(笑)


四十五話

その昔、平安御所に『玉藻の前』という非常に美しい女性がいた。、また、美しいばかりか聡明で博識だった彼女は直ぐに上皇の目に止まり、その寵愛を一身に集めていた。彼女もまた上皇を愛し、二人は幸せになるかに見えた。だが、上皇が謎の病に倒れ、医師は邪気の仕業と判断。呼ばれた当代きっての陰陽師である安倍晴明によって玉藻の前は金毛白面九尾の狐である事が暴かれ、那須野高原で討たれる。かくして妖狐は退治され上皇の病も回復に向かったとされる。

 

 

 

……だが、とある説がある。玉藻の前が傍にいる間は上皇の容態は安定し、玉藻の前が去った数年後に彼は病死。しかも死の直後には前々から計画されていた謀反が起こったとされるのだ。果たして玉藻の前は邪悪な狐だったのか……。

 

 

 

「あ~、嫌な夢見た」

 

その日の夕方、一誠の母親が遠くに住む親類の法事に出かけると言うので昨日から留守を任されていた玉藻は夕方頃に起きる。どうやら夢見が悪かったらしく顔色が優れない。

 

「シャワーでも浴びましょう。にしても今朝は盛り上がりましたねぇ♥」

 

今朝は母親が居ないのを良い事に昨晩ついた汚れや臭いをシャワーで流していた一誠を襲い、自分はろくにシャワーを浴びぬまま二度寝をしたのだ。体中汗やらなんやらでベトベトして匂い、流石に我慢できなくなって浴室に向かおうとした時、一通の手紙が机の上にあった。上質な和紙に丁寧な字が墨で書かれておりどこか神々しい空気を発している。そして感じられる力は何処か玉藻に似ていた。

 

「……あ~あ。ついに来やがりましたねー。ま、何とかなるでしょ」

 

言葉とは裏腹に不安げな表情で手紙を見つめる玉藻は手紙を読んだ後に直ぐ仕舞い、そのまま浴室へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……久しぶりですねガウェイン。まさかアースカルズに所属していようとは」

 

「ええ、私も驚きですよ。死後迎えに来たのがロリ巨乳な戦乙女でなかったら断っていました」

 

一誠がガウェインを連れて帰ると既にランスロットも帰還していた。どうやら緊急事態らしくポチを護衛に残して一時帰還してきたらしい。帰宅するなり自分を出迎えたガウェインを見てランスロットは驚き部下である元円卓の騎士の面々も気まずそうにしている。だが当の本人は生前あれほど抱いていた恨みなど忘れ去ったようにフレンドリーに接していた。

 

「どうです、後で一緒に飲みに行きませんか? いい娘が居る店があるのですよ。え? 仕事があるって? 貴方は相変わらず堅物ですね」

 

「……申し訳御座いません」

 

「まだあの事を気にしているのですか? もう良いと手紙で伝えたではありませんか。それよりチェスでもします?」

 

一誠は二人の会話を聞いて呆然としていた、アーサー王の物語やランスロットから聞いた彼は騎士道を最も重要視する堅物といった印象なのだが目の前の彼からは頭のネジが数本抜け落ちた印象を受ける。

 

「ランスロット。彼はもう君に怨念を抱いてないよ。俺が保証する」

 

「……そうですか。ですが私の行動が祖国を滅びに……」

 

一誠に励まされてもランスロットの表情は優れない。どうやらトラウマスイッチがオンになってしまっているようだ。それを見ていたガウェインはいい加減我慢できなくなったのか彼の胸ぐらを掴んだ。

 

 

 

「いい加減にしなさい! 貴方はグィネヴィア様を愛した事を後悔しているというのですか!? 己のせいで犠牲になった者に詫びるのも償うのも構いません。だけど、後悔だけはしてはなりません! それは貴方を愛した民への、騎士への、グィネヴィア様への侮辱だとなぜ分からないのです!」

 

「ッ!」

 

ガウェインはランスロットの胸ぐらを乱暴に離すと彼を突き飛ばし、先程から黙って話を聞いている一誠の方を向く。そして何を思ったのかガラティーンを抜くと無防備な一誠目掛けて振り下ろした。白刃が舞い剣のぶつかり合う音が聞こえる。咄嗟にアスカロンを抜いたランスロットがガウェインの凶刃から一誠を守っていた。

 

 

「……ガウェイン。この方は私を救ってくださった新しき主です。それに手を出そうと言うのなら、たとえアーサー王であろうとも迷いなく切り捨てます!」

 

憤怒の形相で自分を睨むランスロットに対しガウェインは剣を収め、

 

 

 

 

「ええ、それで良いのです。私たちは互いに新しき主を見つけた身。ならば過去は忘れ新しき主の為に邁進する。其れでいいじゃありませんか。……兵藤様、猿芝居にお付き合い頂き有難うございます」

 

柔らかな笑みを浮かべてそう言った。どうやら先程までの言動は芝居だったらしく、それに気付いていなかったのはランスロットだけのようだ。その証拠に他の騎士も微動だにしておらず、ランスロットが顔を向けると気不味そうに苦笑いを浮かべる。その事に気付いたランスロットの心を満たしたのは怒り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではなく安堵。この時、ランスロットはアーサー王やガウェインに許されてなお許せなかった自分を許す事ができた。ランスロットは立ち上げると一誠の前で跪き忠義を誓うポーズを取る。

 

「主よ。改めて忠誠を誓わせて下さい。この湖の騎士ランスロット。此の身が果てるまで貴方の剣となり全ての障害を滅ぼしてご覧に入れます」

 

「うん。期待してるよ。我が剣よ!」

 

一誠も内心では、騎士って面倒っと思いながらも仰々しく応える。その様子をガウェインは苦笑しながら見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで聞いて下さい。王の命令で結婚したのが年上で、しかも醜女だったんですよ。そもそも王が間抜けな事に罠にかかったせいで。私が結婚しなかったら契約で国を明け渡さなかればなりませんでしたし。そもそもの原因が困った人に頼まれて屋敷に行ったって言うんですが、王の仕事は聖剣をぶっぱなすだけなんだから大人しくしておいて欲しかったですよ!」

 

「でも呪いが解けて美人になったんでしょ? 確か夜に美人になるか昼に美人なるか選ばされて奥さんの好きな方を選んだんだっけ? ……やっぱり夜に美人を選んだのは夜の生活の為? そういえば君のあの能力ってアッチの方も三倍になるの?」

 

「ははははは! ……秘密です。しかし私も年下巨乳が好きですが貴方も大概ですね。狐耳の正妻に先ほどの猫耳の女性。そういう趣味ですか?」

 

「……あの」

 

仲良く話す一誠とガウェインを見てランスロットは疎外感を感じていた。例えるならば友人に別の友人を紹介したら自分より意気投合して二人共疎遠になった、というのが近いだろう。その後、ランスロットが話に加われないままガウェインが帰る時間がやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

「それでは私はそろそろオーディン様に合流致します。……ランスロット。ロスヴァイセさんとの事で悩んでいますね? 確かにあの方はグィネヴィア様に似ていらっしゃいますが。恋に落ちる理由が元カノと似ているでも良いと思いますよ。私なんて好みのロリ巨乳の戦乙女と結婚しましたが、好きになった理由は見た目だけでしたよ。お付き合いしてから他の好きな部分を見つけたら良いじゃないですか。私なんて……」

 

ガウェインはその後数十分に渡り爽やかな笑顔でノロケ話を続けて帰っていく。そんな友人の背中を見てランスロットは呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何か悪いものでも食べたんでしょうか?」

 

「嫁さんがメシマズなんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、一誠が次の日の休日に何をしようかと考えながら床に入ると部屋に玉藻が入ってきた。その顔には憂いが有り、耳と尻尾が垂れ下がっている。

 

「……何があったの?」

 

「……天照から手紙が届きました。北欧の神との会談の前にご主人様と話がしたいそうです。おそらく私を構成している玉藻の前についてでしょう」

 

玉藻はその顔を不安で曇らせながら一誠に縋り付く。その瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうだ。

 

「私、不安なんです! ご主人様から引き離されちゃうんじゃないかって! 下手すれば私が吸収されて消えて無くなるんじゃないかって……」

 

ついに玉藻の瞳からは涙が溢れ出し、一誠の胸に顔を埋め嗚咽を溢す。一誠は玉藻の顔に右手を近づけ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えい!」

 

「きゃふ!?」

 

その額めがけて全力のデコピンを放つ。思わず飛び退いた玉藻の額は真っ赤に染まり先程までとは別の理由で涙目になっていた。

 

「な、何するん……」

 

「……君って馬鹿なの? 俺が絶対に奪わせやしないし、もし吸収されたら天照をぶっ殺して魂をバラバラにしてお前を抽出して再構成してあげるよ。それでも無理なら……俺も一緒に死んでやる」

 

「だ、駄目です! そんな事私がさせませんからね!」

 

一誠の言葉に玉藻の尻尾と耳はピンっと立つ。どうやら怒っているらしく毛が逆立っていた。今の彼女からは一流の戦士でも寒気を感じる程の怒気が放たれているのだが、一誠は満足気な顔をしている。

 

「それで良いんだよ。俺を死なせたくなければ君も何としても生きる事。互いに守り合えば良いんだから簡単でしょ?」

 

「……あ」

 

「俺と玉藻が居ればどんな困難も乗り越えれるさ。だからこれからも俺について来てね?」

 

「はい! 一生着いて行きます、ご主人様!」

 

その時の玉藻の顔には不安も憂いもなく、思わず一誠が見蕩れるような晴れ晴れとした笑顔があった。

 

「ん! 元気になって良かったよ。明日は休みだしデートしようか。正体バレたから人目を気にしなくても良いし」

 

「みこーん! デート? ご主人様とのデートなんて久しぶりです! おっしゃぁぁぁぁ!! 締めはラブホテ……」

 

「落ち着け!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、少々昨日の疲れが取れない一誠は眠気を堪えながら出掛ける準備を始める。玉藻などは既に起きて何時もの着物から着替えていた。ミニスカートにTシャツという何時もと違う格好の彼女に一誠は思わず見とれ、それに気付いた玉藻は顔を真っ赤にする。二人は朝食を済ませると指を絡ませる、俗に恋人繋ぎと呼ばれる手の繋ぎ方をしながら外に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ、赤龍帝! ちょっと相談がぁっ!?」

 

「……まぁた厄介事ですか。ご主人様とのデートを邪魔するとかマジ死んでくださいって感じなんですけど」

 

急所に渾身の膝蹴りを喰らって悶えるアザゼルを一瞥した玉藻は苦々しげに毒を吐いた。




征服王と海賊姐さん 二人のライダーどっちが強いんだろう? 軍勢を吹き飛ばしきるまで宝具を維持できれば姐さん? 無数の戦艦による空中からの砲撃だし 不可能を可能にする ってスキル。
能力値は仕方ない最初のボスだから(笑)

意見 感想 誤字指摘お待ちしています

過去を悔いてはならない( *`ω´)by甥っ子 アーサー王でも切る(`・ω・´)by完璧な騎士

某騎士王(´;ω;`)

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