霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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五十八話

それはセラフォルーが魔王自ら戦う決意を決めた日の昼間の事。一誠の配下である霊達、その中でも三つに分けられた部隊を率いる幹部達が集まっていた。

 

幽死霊手の長であり一誠に次ぐ権限を持ち合わせた玉藻、死霊四帝の長である犬飼ポチ、そして直属の部隊を率いる死従七士は明確な長が決まっていない為、一誠の護衛をしているランスロットと任務中の二体を除いて召集がかけられていたのだが……、

 

「何故他の奴らは来ておらん……」

 

「妾が知るか。どうせ面倒くさかったのじゃろう」

 

ポチが不機嫌そうに睨んだ先には空席の目立つ死従七士のテーブル。任務で出席できない者達を除いた中で出席していたのはハンコックだけであった。場に険悪な空気が流れる中、咳払いの音が響いた。

 

「コホンッ! え~、では只今より幹部集会を始めたいと思います。進行は私、玉藻で御座います。それでは皆様お手元の資料をご覧下さい」

 

各自言われるがままに資料に目を通す。書かれていたのは今季の予算編成について。同盟条件で冥界から定期的に支払われるようになった金の一部が一誠の懐に入る事となり、そのまま予算に回された。幽霊がお金を持ってどうするのだ、と思う者も居るだろうが、彼らも自我や知能がある以上は暇も感じるし趣味も持つ。

 

言ってしまえば今回の会議は遊興費をどの様に分配するか、というものであった。

 

「……拙者らの所は大して要らん。拙者は鍛錬が趣味であり、ブイヨセンは敵の生き血を啜るのを好む。シャドウは感情が薄く、せいぜいレイナーレが必要としている程度。まぁ、買い食いができる程度は欲しい」

 

「……適当で良いじゃろ。会議に参加しなかった奴らに文句は言わせんし、妾も金が居るなら貢がせればいい。それよりも早う帰って湯浴みがしたいのぅ……」

 

「……それでは資料にある分配予定で合意という事で。……それでは次の議題で御座います。英雄派についてですが……」

 

何時もの巫山戯た態度を何処かに置き忘れたかの様に真面目な態度で司会をしていた玉藻は更に真面目な顔をし、集まった一同も固唾を呑んで次の発言を待つ。会議の場に重苦しい空気が漂った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶっちゃけ、英雄派とか仰々しい名前で呼ぶのもアレなんで、変な呼び方しません?」

 

重々しい空気は一瞬で過ぎ去った。

 

 

 

 

なお、話し合いの末、英雄の子孫が多く所属している事から、『ぼくのごせんぞさまはすごいんだよ同盟』と呼ぶ事になった。なお、表記する時は平仮名で統一するらしい。恐らくそっちの方が馬鹿っぽく思えるからだろう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザゼル達が曹操達との戦いで負傷して冥界の病院に運ばれた事は一般生徒には交通事故で運ばれたと暗示をかけ、一誠達はそのまま観光を続けていた。本来なら桐生は他の女子グループに入る所だが、彼女が上手く教師を説得して一誠達に同行した。そしてそこまでして同行する理由は当然、ファンである作家のメディアの存在である。

 

「あら、貴方達も同じ所回るのね。一緒に行く? この二人もソッチの方が嬉しいだろうし」

 

「わ~い! お兄ちゃんと一緒だ!」

 

「次は甘味を食べに行きましょ!」

 

既に決まったものとばかりに二人は一誠の手を引いて走りだし、メディアは二人の姿を見て息を荒げる。……前にも語ったが、彼女の著書は悲恋物とロリ百合だ。ロリコンの元浜に最大限の注意を払いつつ、一行は甘味巡りに出かけた。

 

 

「この場は私が奢るわ。貴方達は好きな物を頼みなさい。遠慮しなくて良いわよ」

 

「え~、じゃあ、このメニュー表に書かれているの全……」

 

「坊やは遠慮しなさい」

 

その後、一行はバッティングセンターに行き、一誠とメディアがムキになってホームラン勝負を続け、結局同点のままホテルに帰る時間となってお別れとなった。

 

「メディアさん、有難うございます!」

 

桐生は本日発売だったメディアの新刊を大切そうに持っている。その表紙には直筆のサインがされていた。

 

「あ、言い忘れてたけど私と坊やの関係は秘密よ? ファンが会わせてくれって言ってきたら面倒だもの。それじゃあ、また会いましょうね」

 

「またね、お兄ちゃん」

 

「また明日ね」

 

メディア達はホテルへと帰って行き、一誠達もホテルへと戻る。引率であるアザゼルや人気者の木場やアーシアが事故で病院に運ばれたと聞かされた生徒達は気落ちし食事が進まなかったが、その分、一誠が食べまくったので特に問題はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「……そろそろ沸いたかな?」

 

夕食後、一誠は部屋に備え付けられた風呂に入ろうとしていた。他の生徒と入るのは嫌な為、一人でのんびり入れる方を選んだのだ。元浜は大きな風呂が良いと言って大浴場に向かい、一誠は部屋に一人で残される。そして湧いた頃と判断して浴室のドアを開けた瞬間、空間が閉じられた。

 

 

 

 

 

「……黒歌。戻ってたんだ」

 

「にゃん♪ 良い湯加減よ、イッセー。一緒に入りましょ?」

 

既に浴槽には黒歌の姿があり、どうやら空間を切り離したのも彼女の仕業のようだ。一誠は溜息を吐きながら服を脱ぎ、黒歌と向き合うように浴槽に入る。一人入る者が増えたことでお湯が豪快に溢れ出した。

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、イッセー。私の事好き? 女としてって事ね」

 

「好き」

 

一誠は即答する。満足気な顔した黒歌であったが、次の質問は答えが分かっているのか、表情に諦めの色が混じっていた。

 

「じゃあ、玉藻と私だったら、どっちが好き?」

 

「玉藻」

 

又しても即答。その事に黒歌は溜息を吐く。その答えは昔から分かっていた事実であり、確かめるまでもなかったからだ。それでも彼女は万が一、億が一の希望にすがって訊いてみた。結果は思っていた通りであったが……。

 

「……どうしたの? いきなりそんな質問してきてさ」

 

「……ん~ちょっと聞いてみたかっただけ。イッセーと玉藻は互いにとって必要不可欠で、他のは大切だけど絶対に必要、って訳じゃないって分かっていたんだけどにゃ。……ねぇ、私の事もずっと傍に置いてくれる? 何時までも愛してとは言わない。ただ、何時までも愛させて欲しいの」

 

「うん、良いよ。……御免ね」

 

「謝らないのっ! あ、そうだ!」

 

黒歌は徐ろに立ち上げると浴槽から出る。浴槽のお湯は先ほど豪快に出たせいで一誠の体では肩まで浸かれなくなっていた。

 

「ねぇ、体洗って♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……くはぁ…イッセー……」

 

「ほら、動かない」

 

「そ、そんなこと言ったってぇ……」

 

泡を含んだタオルが背中を這う度に黒歌は艶めかしい声を漏らす。先程から顔も赤くなり、どうやら興奮しているようだ。

 

「こうしていたら、この前の事思い出しちゃって……ひゃんっ!?」

 

「ああ、そういえばいつも余裕ぶっているのにいざ本番となると怖がった上に最後には乱れまくってたね」

 

「い、言わないでぇ」

 

話してる間も一誠の手は止まらず、今度は脇腹を洗い出す。敏感だったのか思わず飛び跳ねた彼女の体を押さえる様にして一誠の手は動く。続いて現れだしたのは大きな胸。張りと重量感、そして極上の柔らかさを兼ね揃えた双丘は泡まみれになり、やがて深い谷間へと手は移動していった。

 

「ちょっ!? 何処を……あぁんっ!」

 

「ちゃんと洗っておかないと駄目でしょ?」

 

一誠の手は喘ぎながらも行われる抵抗をものともせず黒歌の体を蹂躙し、やがて下腹部へと移動する。

 

「にゃぁぁぁっ!」

 

結局、黒歌はつま先まできれいさっぱり洗われてしまった。しかし、洗い終わると同時に体の力が抜けその場に倒れこむ。先ほど流したばかりだというのに体は汗ばみ、顔は淫靡な表情を浮かべていた。

 

「……もう。すっかり体が火照っちゃったにゃ。……責任とって」

 

「責任?」

 

一誠はワザとトボけ、返事を待つ。黒歌はなんとか起き上がるとやれやれといった感じで肩を竦めた。

 

「今だけは玉藻の事を忘れて私だけを愛し……欲望を全てぶちまけて。私の事なんて考慮しなくて良いから好きな様に犯して欲しいにゃ……」

 

「……」

 

黒歌の言葉と共に一誠は無言で飛び掛り、心ゆくまでふたりは交じり合った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんっ! まさか魔王自ら来るとはな……」

 

 

八坂救出の為にセラフォルーが二条城に向かう途中、英雄派もとい、『ぼくのごせんぞさまはすごいんだよ同盟』の構成員達が立ちふさがる。いくら幹部ではないといっても、その数おおよそ七十少々。中には神器持ちも多く、禁手に至っている者もいる。セラフォルーはそれを一瞥し、

 

 

 

 

 

「……邪魔」

 

ただ蠅を追い払うかのような動作で彼らを全滅させる。その場にいた全員が氷に閉じ込められ、体を流れる血液や肺の中の空気さえも呆気なく凍りつく。そしてガラスが砕けるような音と共に粉々に砕け散った。

 

 

これが最強の女性悪魔の実力なのだろう。その時の彼女の声や表情には何時もの妹に甘える時や魔女っ子の格好をしている時の様な甘さはなく、ただ目の前の敵を撃破せんとする女帝の風格が感じられた。

 

 

 

魔王と英雄の戦いまであと三十分……。




まぁ、このくらいなら大丈夫でしょう 少年漫画でももっとエロイのあるし

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