霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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サンレッドの世界ではヒーローも怪人も普通にいる という事はヒーロー物は子供向けの刑事ドラマ的な扱いなのかな?

紅茶が18階で46レベ 今回は隠しボスに挑もうかな

強化スパイクのあるなしでレベル上げ効率が違いますね 特に11階は全部倒したら9000近く稼げるから40代前半までは楽に稼げる




今回は魔王『少女(笑)』無双です


五十九話

「―――こうして全ては無に帰し、最後には何も残りませんでした」

 

「やっぱりありすの話は面白いわ。あたし、貴女のお話好きよ」

 

ありす達が居るのは京都セラフォルーホテルの一室。大人二人が余裕で寝っ転がれるほど大きくフカフカのベットの上で二人は絵本を読んでいた。可愛らしい絵柄に対して内容は少々不釣り合いだが二人は楽しんでいるようだ。

 

「二人共、そろそろ寝なさい」

 

ベットの上にはポテトチップスやチョコレートなどのお菓子が広げられ、二人の口元には食べかすが着いている。ありすが次の絵本を取り出そうとした時、シャワーを浴びていたメディアが浴室から出て来た。

 

「そうね、幽霊だけどあたし達は子供、もう寝るわよ、アリス」

 

「は~い」

 

「寝る前はちゃんと歯を磨く事。それと、私は今から仕事に行ってくるけど、部屋から出ちゃ駄目よ?」

 

メディアはコートを羽織ると部屋から出ていく。二人は言われた通り歯を磨くと仲良く並んでベットに寝転んだ。

 

「おやすみ、アリス」

 

「ええ、おやすみなさい、ありす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……地脈の流れが変ね。異空間に流れているのかしら?」

 

ありす達をホテルに残し、約束通り地脈の流れを調整していたメディアは微かな異変に気付く。一見すると正常に思える流れが、ある地点から存在しない場所を通って流れているのだ。そしてその地点の空間に歪みを見つけたメディアは思案し出す。

 

「これって手出しして良いのかしら?」

 

あまり京都に詳しくない彼女は地脈の流れを正常に戻す事はできても、異空間が元々あったものなのかの判断はつかない。もし、妖怪や陰陽師が理由あって作った空間なら手出しない方が良いかも知れない。そんな事を考えていると後ろから足音が聞こえてきた。

 

「ああ、其処なら大丈夫。ゲオルクが作った空間だから手出ししても問題ないよ」

 

「あら、久しぶりね。元気だった?」

 

メディアは後ろに居る相手の方を振り返ると平然と声をかける。彼女の視線の先に居たのは英雄派、又の名を『ぼくのごせんぞさまはすごいんだよ同盟』のリーダーである曹操だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふにゃぁぁぁぁぁ」

 

浴室で一誠と限界まで体を重ね合った黒歌はすっかり体が弛緩し立ち上がる事すら出来ない。もはや思考すらままならないのか浴室に掛けた結界に綻びが生じ始めていた。

 

「……元浜はまだ帰ってきてないけどそろそろ時間だね。……後一回だけ」

 

「え? ま、待って……きゃっ、あぁぁぁぁぁん♪」

 

一誠は黒歌に覆い被さり、黒歌も手足を使ってしがみつく。結局、元浜が部屋に戻るまで行為は続けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、よく来たね。まさか魔王自らお出ましとは」

 

「……君が私を異空間に引きずり込んだんでしょ? そういうのは良いから九尾のお姫様を開放してよ」

 

セラフォルーが異空間内の二条城の本丸にたどり着くと、八坂らしき女性を捕えている英雄派もとい『ぼくのごせんぞさまはすごいんだよ同盟』の幹部達が集まっていた。白髪の剣士にゲオルク。その後ろには巨漢と幼い少年まで居る。

 

「あれ? 曹操は?」

 

「……言う必要はないさ。さて、妖怪の総大将を解放しろと言われてもそういう訳にはいかない。彼女にはグレートレッドを誘き出すための餌になって貰うよ。京都は強力なパワースポットでね、地脈に流れる力も桁違いなのさ。そしてこの異空間にも力は流れ込んでいる! さぁ、儀式の開始だ!」

 

ゲオルクは演技がかったセリフと共に大げさなポーズをとる。そして地脈を流れる猛烈なパワーが八坂に流れこむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ?」

 

筈だったのだが、全く流れてこない。セラフォルーどころか仲間からも白い目で見られた事にゲオルクは赤面し、いじけだした。

 

なぜ、ゲオルクが地脈を流れる力を操作できなかったのか。それは簡単。彼よりも遥かに高位の術者であるメディアが地脈に異変が起きないように細工をしていたからである。

 

「くそっ! 何で上手くいかないんだ!?」

 

そんな事など露知らず、何度も操作しようとするも力の流れを全く変えられない。ついに疲れ果てたのかゲオルクは儀式をやめ、息は乱れきっていた。ますます彼に突き刺さる視線が冷たくなる中、巨漢がセラフォルーに飛びかかる。

 

「どうしたよ、ゲオルク! 儀式が上手く行かねぇなら、せめて此奴をぶっ殺そうぜぇぇぇぇぇぇ!!」

 

巨漢の拳はセラフォルーに避けられ地面へと激突する。その瞬間、地面が爆ぜた。これが彼の神器。殴った他対象を魔術だろうが生物だろうが爆発させる『巨人の悪戯』だ。

 

「俺の名はヘラクレス! 英雄ヘラクレスの魂を継ぐ男だぁぁぁぁっ!」

 

そんな彼の趣味は裁縫である。

 

「僕も楽しませて貰うよ。僕の名はジークフリート、君を殺す男の名だっ!」

 

「……レオナルド」

 

続いて白髪の剣士が背中から龍の腕を生やし、三本の剣で同時に斬りかかる。後ろにいる少年は影から無数の魔獣を出現させ、セラフォルーに襲いかからせた。

 

「それが『魔獣創造』だね? そして君が魔帝剣グラムの所有者なんだ」

 

既に美猴から彼らの情報を得ているセラフォルーは焦る事なく対処する。ジークフリートの剣戟は防がずに避け、魔獣は氷柱を散弾の様に放ち撃墜する。ついでとばかりに足元に氷柱を飛ばされたジークフリートは思わず後ろに飛び退いた。

 

「……強い」

 

『ぼくのごせんぞさまはすごいんだよ同盟』はセラフォルーの事を甘く見ていた。戦争で偶々手柄を立てただけの頭の軽い女だと思っていたのだ。子供がいてもおかしくない年齢にも関わらず魔法『少女』を名乗り、勢力間の会談の時にもコスプレ衣装を着てくるという非常識ぶり。なのに魔王として上級貴族の次期当主達の顔合わせに出席する時は正装をする。ハッキリ言ってなんで魔王をしている、という働きっぷりだ。

 

だから彼らは失念していた。悪魔社会は戦闘能力こそ最重要視される事に。そして今の彼女は何時もの阿呆っぽい話し方をせず、真面目な話し方をしている。そしてその表情も魔王としての風格を放っていた。

 

「どチクショォォォォォォッ!」

 

ヘラクレスは恐怖の表情を浮かべながらもセラフォルーに殴りかかる。セラフォルーはカウンターとして魔力を放ち、彼は当然のように殴り飛ばす。セラフォルーの放った魔力も爆発し、

 

 

 

 

 

 

「どわぁぁぁぁぁっ!?」

 

そのまま爆発ごとヘラクレスは凍りついた。彼の体は凍りづけにされた。

 

 

「ヘラクレス!」

 

ゲオルクは地脈を操るのを諦めセラフォルーを撃退しようと魔術を放つ。量も威力も構成員が数人がかりで放ったものを遥かに凌駕し、ジークフリートも斬りかかる。

 

「……えい!」

 

だが、魔術の全ては突如出現した氷壁に阻まれる。炎も雷も全て凍りつき、壁は更に広がっていく。

 

「くそぉぉぉぉぉっ!!」

 

ジークフリートは叫びながら壁を駆け上がり、セラフォルーに迫る。しかし、氷壁より伸びた氷の腕に掴まれてしまった。魔剣で砕こうとしたジークフリートであったが顔以外の全身が凍りつき剣が触れず、オーラさえも凍りついた。

 

「あとは君達だね。ねぇ、なんで君たちはテロリストなんてやってるのかなぁ?」

 

セラフォルーはゲオルク達を見据える。その瞳には一欠片の慈悲も篭っていなかった。そんな瞳でセラフォルーは小首を傾げながら尋ねる。見た目年齢相応の可愛らしい姿だったがゲオルクには恐怖の対象にしか見えなかった。

 

「……人間として何処までやれるか知りたい。ただ、それだけだよ」

 

「ふ~ん、立派な志だね。やってる事は三流の悪役だけど」

 

「なっ!?」

 

「君たちって英雄を名乗ってるけど、精々がRPGにたまに出てくる偽勇者だよね。勇者を名乗って好き放題して無様に負けて、『ああ、そんな奴らもいたなぁ』って朧げに思い出される程度の小物。……私はね、怒っているんだよ? 君達に、そして何より自分自身に。……だから、君達は今此処で仕留めるね」

 

セラフォルーから放たれる威圧感は激しさを増し、ゲオルクは後ずさりしようとしてその場に崩れ落ちる。横を見るとレオナルドも同じように蹲っていた。

 

「くっ!」

 

「その様子だと気付いたみたいだね。私はさっきから気付かれないように気温を下げてたんだ。もう意識を保つのも危ういでしょ?」

 

セラフォルーはニッコリ笑うと手を上に翳す。最強の女性悪魔の称号に相応しい魔力によって創り出された冷気が集まりだし、空気すら凍らしていく。

 

零と雫の(セルシウス・クロ)……」

 

セラフォルーは自身の最大技を放とうとし、ゲオルク達は死を覚悟する。しかし、その瞬間、セラフォルーめがけて横合いから魔力が放たれた。咄嗟に避けたセラフォルーであったが技は霧散する。そしていつの間にか銀髪の男性が現れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でひゃひゃひゃひゃっ! おっひさ~♪」

 

「リゼヴィム・リヴァン・ルシファー!?」

 

「ん~、そうだよ。さ、ゲオルクちゃん、仲間連れて逃げていいよ」

 

「……助かる」

 

ゲオルクは咄嗟に仲間を霧で包んで逃げようとする。セラフォルーは止めようとしたが又してもリゼヴィムによって邪魔されてしまい、何時の間にか異空間より出されていた。

 

「サーゼクス達に伝えてよ。俺っちはその内ビックな事をしに表舞台に上がるって♪」

 

最後にそんな事を言い残しリゼヴィムも消えていく。セラフォルーは悔しそうに歯噛みした後、残された八坂を保護してその場を去った。結局『ぼくのごせんぞさまはすごいんだぞ同盟』には逃げられたが最優先事項である八坂の救出には成功し、妖怪と三大勢力は同盟を結ぶ事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、疲れた。やっぱり家が一番だね」

 

「……疲れたって。部屋に戻るなり人を押し倒して思う存分に躰を堪能しておきながら言いますか……」

 

修学旅行終了後、帰宅した一誠は自室で呟く。その傍らには玉藻の姿があった。服は脱ぎ捨てられ、下着は先ほど一誠に剥ぎ取られていた。

 

「まぁまぁ、そう言わない。……ただいま」

 

「そういうのは帰ってすぐに言うものですよ。お帰りなさいませ、ご主人様」

 

一誠は玉藻と唇を重ねるとその体を抱き上げ、ベットまで運ぶ。

 

「ねぇ、さっき出したお茶に何か入れたでしょ? ……全然収まらないんだ」

 

「び、媚薬を少々……」

 

「お仕置き♪」

 

一誠は玉藻を押し倒すと籠手を出現させ能力を倍加する。そして限界まで高まった所で、

 

『Transfer』

 

その力を全て玉藻へと譲渡する。そして一誠の手が玉藻の腰を撫でた瞬間、彼女の体を今まで感じたことのないほど強い快感が襲った。

 

「ひゃぁぁぁぁんっ!? ま、まさか……」

 

「快感を感じやすくした♪」

 

一誠はそう言うなり玉藻に覆いかぶさり、胸を掴む。両手の指が柔らかい肉に沈んでいき、玉藻は声すら上げれない状態だ。その表情を存分に堪能した一誠は耳元で甘く囁く。

 

「……満足するまでね」

 

「は、はい!」

 

玉藻は覚悟を決め襲いかかるであろう未曾有の快感に期待を寄せる。そして夕食の時間まで蹂躙は続いた。なお、一誠は先ほど早めの昼食を食べたばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の晩、一誠の家に一体の怨霊が侵入してきた。一誠が張った結界を突破した怨霊は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「主! 侵入者を捕縛したで御座る」

 

「あ、ご苦労様」

 

フェンリル化したポチによって呆気なく捕まった。

 

 

「……それにしても目を付けられたとは思ったけど家まで来るとはね」

 

怨霊は一誠が京都で見かけた奴だった。あの時はモヤの塊だったが、今は人間の姿をとっている。シワができる前の大人の魅力を持った美女で陶磁器のような白い肌に黒い髪。そして狂気に染まった瞳で一誠を見つめている。

 

「あ~、またですか。まったく、何時もフラグ建設してきて」

 

その姿を見て全てを察した玉藻は呆れたような声を出し、怨霊は一誠を見つめて言った。

 

「初めまして。ワタクシは怨群佳織と申します。貴方様に惚れてやってまいりました」

 

「……はい?」

 

突然の告白と後ろから放たれる嫉妬の視線に一誠はまともに答えられず、間抜けな声しか出なかった。

 




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