霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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パッションリップ 3ターンキル まぁ、推定レベル+15だから

カルナさん一戦目は一夫多妻でワンターンキル(笑)


六十八話

「……邪魔」

 

「……んんっ。ご主人様ぁ……」

 

朝早くから鳴り響く目覚ましの音で目覚めた一誠は不機嫌そうな目で、自分の上に乗っかった玉藻を見つめる。昨日は一人で寝たはずなのに自分の上に乗り、足を絡ませ抱きついていた。何時もなら抱き寄せたり撫でたり襲ったりする所だが、今日の……いや、最近の彼はそうしなかった。

 

振り解こうにもガッシリしがみつかれていて外せないと見るやベットの端ににじり寄り、そのまま正面から落下する。

 

「みぎゃっ!? あ痛たたたた……」

 

仰向けになっている一誠に上から抱きついていた為に必然的に彼女が下になり、玉藻は衝撃で目を覚ました。目を覚ましてみると床で寝ており上には一誠の姿。狐の尻尾が自然とフリフリと揺れる。表情は緩み、声は甘え切ったものとなった。

 

「あぁん、もぅ♪ 朝から大胆ですねぇ。よっしぁぁぁっ! バッチ来いですよ、ご主人様ぁ♥」

 

「邪魔だから離して。学園祭の準備があるから早めに行くんだ。……誰かさんのせいでオリュンポスの神々が来られるからプレッシャーが凄いんだ」

 

しかし、一誠は表情を変えず不機嫌そうなままで冷たい声を出す。思わず離した玉藻の顔は暗くなり、耳と尻尾は垂れ下がった。

 

「……まだ怒っていらっしゃるのですね」

 

 

 

 

 

 

 

何故一誠が玉藻に此処まで冷たいのか。それは魔王主催のパーティにまで遡る。ソーナにクラスの出し物である女装メイド&男装執事喫茶を中止に、せめて写真撮影を辞めさせて欲しいと頼んだ時、秘密にしていたのに近くに玉藻が居るのを失念していたのだ。何時も傍に置いている為の弊害だろう。傍に居るのが当たり前な為に彼女の耳を気にするのをを忘れていたのだ

 

「……頼むから秘密にしておいて。特にギリシア勢。あの人達ノリが良いから知ったら絶対来る」

 

「わっかりましたぁっ! この玉藻、必ずお約束をお守りいたします!」

 

しかし約束したにも関わらずソーナ達のゲームの日に酒に酔った玉藻はうっかり口を滑らせ、ギリシア勢の知る事となった。彼らなら冥界ルートで学園祭に入る為の招待状は手に入るし、何より来る気マンマンだった。

 

約束を破った事に怒った一誠は玉藻とは最低限しか口をきかず、そのまま数日が過ぎていた。

 

 

 

 

 

 

「……まさか玉藻に裏切られるなんてね」

 

一誠は両親よりも玉藻を信用しており、その為に裏切られた事によるショックが大きかった。それからは部屋に入る事すら許さず、寂しくなって思わず忍び込んだ玉藻であったが冷たく対応される。その瞳には次第に涙が溜まってきた。

 

「……申し訳ございませんでした。反省…して…いますから…嫌わないで下さいませ…うぅ……」

 

「……本当に反省している?」

 

「はい。貴方様と過ごしてきた年月に誓い、心より反省しております。ですから、この度ばかりはどうかご容赦を……」

 

玉藻は何時になく真面目な顔つきで深々と頭を下げる。その体は不安からか微かに震えていた。

 

「……今回だけだよ? ま、俺もちょっと冷たくしすぎたし……御免ね」

 

「ご主人様ぁ!」

 

玉藻は顔をパァッっと明るくさせ、一誠の胸に飛び込む.一誠もそれを受け止め、数日ぶりに彼女の頭をそっと撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの~、結局お約束通りにお部屋で可愛がって頂けませんでしたし、今からお約束を果たして頂いても? キャッ✩ あいたぁっ!?」

 

「調子に乗らない」

 

「……は~い」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、学園祭前夜の事。兵藤家の食卓で激戦が繰り広げれようとしていた。戦いのキッカケは三人が一誠と学園祭でデートしたいと言った事から始まる。

 

 

 

「あ、無理。結構忙しいから自由時間少ないんだ。多分二人がギリギリかな? って訳で誰か一人が出し物に来て、残りは代わりにデートね」

 

その瞬間、玉藻と黒歌の間で火花が散る。どうやら二人は一誠のメイド姿が見たいようだ。

 

「……あんた、今回の事で怒らしたでしょ? 私に譲ったらどうかにゃ?」

 

「あらまぁ、何ぬかしたがるんですか? ご主人様の女装なんて一生に一度見れるかどうかですよ? これを逃すわけねぇじゃありませんか」

 

《あ、あっしはデートが良いでやんす。一緒に学園祭を見て回りやしょう。時間が来たらあっしがお迎えに上がりやすね》

 

そんな中、ベンニーアは直ぐ様デートを選ぶ。二人が驚く中、一誠は彼女を撫でていた。

 

「いやぁ、君は良い子だね。うん。女装を見ようとする二人よりもずっと良い子だよ」

 

《いえいえ、妻になる身でやんすから夫を大切にしやせんと……ねぇ》

 

一誠にバレないように向けられた笑みを見て二人は悟った。この死神娘やりやがった、と。

 

「(し、しまったにゃ。この場を利用して好感度を上げるなんてっ!)」

 

「(しかも、迎えに行くことで女装を合法的に見る気ですよ、この娘。くそっ、やりやがる)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……二人共一本取られたわね」

 

一誠の母はその様子を呆れたように見ながらお茶を啜った。

 

 

 

 

 

そして、学園祭当日、学園に入る招待客の中に異様な集団がいた。

 

「グハハハ! 中々良い所じゃねぇか」

 

「ガハハハハ! その通りだな!」

 

「お二人共、落ち着いて下さい」

 

大声で笑うのはギリシア神話の主神であるゼウスと兄弟であり海の神のポセイドン。二人を窘めたのは赤い髪を持ち日焼けした爽やか系の青年。覗いた白い歯がキラルと光っている。

 

 

そして、この三人よりも注目を集めているのは後ろを歩く美女達だ。

 

「およしな、アポロン。このアホ共に何言っても無駄だよ」

 

「そうですわ。全く、これだから男は野蛮なのです……」

 

「あらあら、良いじゃない。うちの人は忙しくて来れなかったから、私はその分楽しみたいわ。貴方達も賑やかなの好きよね?」

 

上品な婦人と言った感じのヘラにペルセポネー。活発そうな見た目と裏腹に気品を持つ言葉使いのアルテミス。男嫌いの彼女にとって自分に集中する男の視線が不快なようだ。そしてその後ろには彼女たちよりも上の美貌を持つ二人組が歩いていた。

 

 

 

 

 

 

そんな中、彼らに気付かれない様にしながら敵意を送る一人の女性。彼らの思惑で人生を狂わされた悲劇の王女メディアである。

 

「……あらかじめ坊やから聞いておいて良かったわ。アイツ等とは時間をずらして顔を出しましょう。……アーシアちゃんの執事姿~♥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お帰りなさいませ、お嬢様」

 

一誠はぎこちない笑顔でお客を出迎える。クラス内では顔が良い方の彼は客寄せとして入り口近くに立たされていた。横には執事姿のアーシアがおり、緊張しながら接客している。

 

 

 

 

 

 

「ごしゅ……一誠さんのメイド姿、マジ天使! ぶはぁぁぁっ!」

 

「た、大変です! お客様が鼻血をっ!?」

 

鼻から色々な汁を撒き散らした玉藻は意識を失いながらも最高に良い笑顔で親指を立てていた。

 

「……とりあえず捨てておこう。焼却炉で良いよね」

 

「駄目ですからね!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、落ち着きました。あ、紅茶のセットと……メイドさんのスペシャルサービスチャレンジをっ!」

 

「……帰ったらお仕置きね」

 

「お仕置き? きゃっ✩ 調教プレイですね!? って痛ぁっ!」

 

漸く落ち着いた玉藻は鼻にティッシュを詰めながらメニューを注文する。そして迷いなく頼んだのはゲームに勝ったら指名したメイド(当然男)にお菓子を食べさせて貰えるというもの。最初は生徒会に止められたが桐生が上手いことして通した企画だ。

 

一誠は小声で脅しながらも営業スマイルを浮かべサイコロを取り出す。

 

「半? 丁?」

 

「何故にサイコロ賭博!? 半!」

 

「……ちっ。半でございます、お嬢様。では、お口をお開けください」

 

「あ~ん♥ えへへ、デートを蹴っただけの価値はありましたねぇ」

 

一応仕事なので素直に玉藻の口にお菓子を運んでいた時、離れた場所のテーブルで騒ぎが起こる。どうやら質の悪い男性客がアーシアに絡んでいるようだ。

 

「や、やめてください!」

 

「良いじゃん、こっちは客だぜ? なぁ、店抜け出して隅でもっとサービスを……」

 

辺りは騒然となり、玉藻は半目で男を睨む。

 

「……不快ですねぇ。殺しますか?」

 

「いや、後で呪うだけで良いよ。今は、お仕置き♥メイド部隊に任せよう」

 

一誠がそう言った時、怪物が現れた。

 

「コラッ! お痛しちゃダメだニョ」

 

「ちょっと顔貸してくれるかのぅ?」

 

「ぶるぁぁぁぁぁぁぁ!死ぬかぁ! 生きるかぁ! ネズミのように逃げおおせるかぁ! 好きなのを選べぃ!」

 

現れたのはどれも二メートルを超える大男達。筋骨隆々でメイド服はピッチピチ。胸板が分厚すぎて胸の谷間が覗いているのが嬉しくない。彼らこそ、このような客対策に選ばれた、お仕置き♥メイド部隊である。

 

 

 

はっきり言って目が腐る。

 

 

男は声も出ないまま教室の外に連れて行かれた……。

 

 




性描写は抑えるがある程度のエロは書くかも

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追いついた時に書く次回作に関するキャラ募集を活動報告でやっています


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