霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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どうも番外編を入れるとお気に入りが下がる傾向にあるようで・゜・(ノД`)・゜・

キャスタールートの時の壁装飾2の赤紐ってなんでしょうか?

新作 プロローグだけ投稿しました


ccc あのサーヴァント復活前のハイハイはメンドくさい いやマジで 二週目あたりからは苦痛


七十話

学園祭も午後に移りますます熱気を帯びてくる。それに合わせて生徒会メンバーの疲労が高まる中、玉藻とベンニーアは木陰で割高のフランクフルトを食べていた。

 

「にしてもありえね~。これ一本で二百五十円ですよ? 良妻としては断固抗議したい所です」

 

《いやいや、色仕掛けで割引させたじゃありやせんか》

 

ベンニーアは呆れた様な目をしながらもフランクフルトに齧り付いた。

 

「いえいえ、何をおっしゃいますか。私が色気を振りまくのはご主人様だけ。アレは鉄板を覗き込んだら偶然胸元が見えただけの事です。それが何か?」

 

玉藻が今着ているのは桃色をした現代の衣装。彼女が動く度に胸が激しく揺れ、周りの男たちの視線が釘付けになる。向こうの方では赤い髪をした男性が何故かメイド服を着た銀髪の女性に耳を引っ張られていた。

 

《むぅ、羨ましいでやんすねぇ》

 

ベンニーアは自分の慎ましい胸を触りながら呟く。黒歌といい玉藻といい、大きさも形も一流の二人と違い彼女は並だ。

 

「まぁまぁ、あの方は大きさには拘りませんから。……それよりもチャラい老人三人が救急車で運ばれていきましたけど何だったんでしょうねぇ?」

 

《あ、あれはあっしを守る為に一誠様がお仕置きした奴らでやんすよ》

 

「いいなぁ。私って強いから其処まで守って頂いたこと無いんですよ。まぁ、危険そのものから遠ざけたりされますけど♪」

 

チャラい老人の正体は近所の不良達。今まで多くの問題行動を行っており、ベンニーアに目をつけて襲おうとしていた為に一誠によって罰を受け急速に老化させられたのだ。

 

その一誠は再び喫茶店の方に行っており、メイド姿の一誠や彼とのデートを堪能した二人は上機嫌だった。

 

《今日は楽しかったでやんすよ。其方はどうでやした?》

 

「それはもう! メイド姿のご主人様、激萌え~! あぁん、もう! 今夜はお嬢様へのメイドによるお仕置きプレイですかねぇ? でもぉ、たまには私がSになってワンちゃんプレイなんて……きゃっ✩」

 

《……ツッコミ役、カムバーック》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっくしっ! うぅ、風邪ひいたかな?」

 

漸く二回目のシフトが終わった一誠は黒歌との待ち合わせの場所を目指す。彼が接客をしている時にやってきたのはペルセポネーだけだったが、

 

 

「ぷっ……ご、ごめんなさ……あ~っはっはっはっはっはっはっはっ! な、何その格好っ!?」

 

っと大いに笑われ、取り敢えずバラした玉藻へのお仕置き案を考えながら目的地に着くと人集が出来ており、その中心に黒歌の姿があった。

 

 

 

「ねぇ、俺達と回らない? 奢るよ?」

 

「いやいや、僕と一緒に回りましょう」

 

等とナンパ男達が押し寄せている。それだけ今の彼女は魅力的だった。持ち合わせたプロポーションと美貌に加え、今日は着物ではなく現代衣装だ。ホットパンツを履いているせいで大きく露出した生足が眩しく、上はTシャツにノースリーブという大胆なもの。体長にあった物を着ているせいか胸の辺りがピチピチだ。

 

「あ、イッセー! こっち、こっち♪」

 

一誠を見つけた彼女は手を振り、そのたびに胸が激しく揺れる。周りの男達が前屈みになる中、黒歌は一誠に飛びつく。そのまま勢い余って押し倒された一誠は両腕で彼女を持ち上げて退かしに掛かった。

 

「あんっ。もぅ、何処触ってるの?」

 

「胸」

 

一誠の両手は彼女の胸を捉え、Tシャツ越しでも指が肉に沈んできている。よく見ると先端が少し盛り上がっている様にも見えた。そのまま歩き出そうとした二人を見て彼氏持ちかと諦める賢明な男性も居たが、中にはしつこい連中も居た。

 

「おい、待てよ。俺たちが先に声かけたんだから横入りするんじゃねぇ」

 

漫画などでこういう台詞を吐く奴が居るが、明らかに待ち合わせしてたのに横入りとか何を考えているんであろうか? 男達は黒歌の肩に手を伸ばすも、一誠はその手を振り払った。

 

「ねぇ、止めてくれる? コイツはとっくの昔に俺の女なんだからさ」

 

「そういう事。私、イッセー以外の男は眼中にないから♪」

 

一誠はあくまでにこやかに接し、口調も穏やかだが目は笑っていない。男達にだけ放たれた威圧感は戦闘中のより少々抑えた程度。当然彼ら如きが耐えられるはずもなく、その場にヘタリ込む。その隙に二人はさっさと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

学園内を散策する中、黒歌は上機嫌そうに一誠に抱きつき、時折誘惑するように耳に息を吹きかける。心なしか顔が赤くなっていた。

 

「なんで興奮してるの? 発情期は抑えれるはずでしょ?」

 

「なっ!? 何で分かったのかにゃん?」

 

「いや、自分の女の事くらい分かるって」

 

ここで鈍感系主人公なら『風邪?』などと聞いて殴られる所だが、肉食系である霊感少年一誠君は違う。既に何度も最後まで行為を行っている相手が何で顔を赤くしているのか理解できるのだ。そして、流石の黒歌もストレートに言われたからか顔を更に真っ赤にしていた。

 

「……うん。俺の女って言って貰えて嬉しくなったの。ねぇ、また言ってくれる?」

 

「別に良いよ。黒歌は美人で気の利く大切な俺の女だよ。だからずっと傍に居てね?」

 

「……有難う」

 

黒歌はもう一誠の顔を見る事すら出来ないのか彼の肩に顔を当てながら歩く。

 

 

 

 

 

 

そんな二人を付ける者が居た。

 

 

「ガハハハハ! 聞いたか、今の?」

 

「グハハハハ! アツアツだな!」

 

付けているのはゼウスとポセイドン。先程まで一誠のクラスに居た二人だが、なぜか今はボロボロだ。とりあえずヘラも一緒に入店したとだけ言っておこう。

 

 

 

「ねぇ、弓道部が弓を使って射的やってるらしいにゃ。行ってみない?」

 

「うん、良いよ」

 

駒王学園の弓道部は全国屈指の実力を持ち、部費も多い。そして学園祭の際に使える経費も多く、今回は恒例の射的の賞品を奮発していた。

 

いまネットで話題のヌイグルミ職人『グリリン』。彗星のように現れた彼はネットで個数限定の自作のヌイグルミを販売。瞬く間に話題となり、オークションで数倍の値段を出しても買う者が続出する程だ。今秋はそんな彼の作品を総力あげて買い取り、目玉賞品としていた。

 

 

 

「あ~ん、全然とれない~」

 

「ふふふ、矢三本500円ですが、続けますか?」

 

「勿論だし~」

 

このように先ほどから躍起になって挑戦する者が居るが一個も取れない。それもその筈。顧問や部員の弓矢に対する知識をふんだんに使い、取れそうで取れない細工をしていたのだ。置き方や弦の張り等、試作に試作を重ね、まさに究極というべき領域にまで達していた。全く取れそうでないので次々に挑戦し、お金だけ無駄に使っていくのだ。

 

実は部費までつぎ込んでいた為、元が取れないとかなりやばい事になる。

 

 

 

「部長! このペースだと元が取れます!」

 

「ふっ! 当然だろう? 売れ残ったヌイグルミをオークションで売れば部費が潤う。遠征で使いすぎたからな。よし、打ち上げは焼肉だ!」

 

まさに詐欺師達の悪巧み。しかし、そんな事をやっていたら天罰が下る。そう、神直々に罰を下しに来るのだ。

 

 

 

 

 

「あれ? もう終わり?」

 

一誠達がたどり着いた時、弓道部員達はうなだれながら片付けを行っていた。

 

「……ああ。十分前に来たお客さんが商品を全て持って行ったんだ。それも、一段毎に一本の矢でな。ははっ、もう部費なんざロクに残ってねぇ」

 

 

 

 

それはまさに悪夢だった。

 

 

「一回お願いしますわ」

 

「有難うございます。一回三本で五百円ですが四本にまけておきますね」

 

やってきたのはお嬢様言葉の美人。対応した部長は思わず矢を追加してしまう。どうせ賞品は取れないのだからと油断して……。

 

 

「えい!」

 

その掛け声と共に放たれた矢は横に大きく逸れて飛んでいく。またカモになりそうだ、と部員達が思った時、矢は急激に軌道を変え、一番上の段の賞品を全て落とした。

 

「えい! えい! え~い!」

 

そして再び放たれた矢は同じように二段目、三段目、四段目、と落としていき。追加の賞品も。五百円で瞬く間に獲得される。

 

「包んでくださいます?」

 

「……はい」

 

結局、彼女一人に賞品を全て獲得され、必要な物品を買うだけの部費すら残らなかった。

 

 

 

 

 

 

ちなみに彼女の正体は狩猟の神であるアルテミス。あの程度取れて当然だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「学園主催! 美人コンテストー!!」

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』

 

特設会場に男達の熱気が広がる。今から始められるのは学生以外の飛び入り有りの美人コンテスト。黒歌も当然参加しており、今から水着審査が行われようとしていた。

 

「続いてはエントリナンバー十三番! 飛び入り参加の黒歌さんだぁぁぁぁっ!」

 

「にゃん♪」

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!』

 

黒歌が着ていたのは何と旧スク水。色々とピチピチで際どく、胸の部分には『くろか』と書いているあたりマニアックだ。

 

 

一誠も思わず鼻を押さえ、黒歌は舞台からそれを見つけてニヤリと笑う。誰もが彼女が優勝だと思った時、真打が登場した。

 

 

 

 

「次の参加者ですか……美しい! 美しいとか言いようがない美女です、それでは続けてどうぞ!!」

 

『ぶっはぁぁぁっ!!』

 

その瞬間、観客の男達は一斉に鼻而を流して倒れる。現れたのはまさに美の化身、片方は紐としか言いようにない水着。あえて名付けるなら『赤い稲妻』を着たグラマラスな美女。その体はまさに芸術品であり、その美しさの前では国宝でさえ石ころ以下の価値しか感じられない。もう一人は下にパレオ付きの食い込んだ水着を着ており、上は自分の手で隠しているだけだ。

 

 

二人の名はアプロディーテーとエロース。ギリシア神話でも屈伸の美女神であり、間違っても人間の美女コンテストに出て良い存在ではない。結局、客も司会者も倒れ、参加者の中にも倒れた者が居た為、コンテストはやむなく中止となった。

 

 

取り敢えずオリュンポスの神々は自重すべきだと思う。

 

 

 

 

なお、アポロンだけはマトモに学園祭を回っていたが、キャラが薄いので忘れられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ、白音のクラスは休憩所だったし、部の出し物は怪我人が多すぎて用意できなかったし残念にゃ」

 

コンテストが中止になった為に仕方なく園芸部主催のオープンテラスに来ていた黒歌は不満そうに漏らす。

 

「まぁ、仕方ないよ……どうしたの?」

 

一誠は黒歌のただならぬ様子に声を掛けるも、彼女はただ一点を見つめている。その視線の先にあるのは、あと少しで実が食べ頃になるキウイフルーツ。

 

 

「ッ! お金此処に置いとくわっ!」

 

「黒歌!?」

 

黒歌は代金を机の上に置くと一誠の手を引いてその場を走り出す。何時の間にか二人は人気のない校舎裏に来ており、黒歌によって空間が隔絶されていた。

 

 

 

「……あ~、もう駄目。あんな言葉かけて貰った上に、マタタビの匂いまで嗅いじゃったら……」

 

「……マタタビ? あっ!」

 

一誠は思い出した。キウイフルーツもマタタビの仲間であり、マタタビは猫に性的興奮を引き起こさせる働きがある。黒歌は発情期をコントロールでき、またメス猫はマタタビに興味を示さない事もあるのだが、一誠からかけられた言葉が引き金となって興奮してしまったようだ。既に目が座っていて正気ではない。

 

「ほらぁ、イッセーが反応していたスク水にゃ♥」

 

「うっ」

 

何時の間にか水着に着替えた黒歌は四つん這いで一誠に躙り寄り、上目遣いで見つめる。うるんだ瞳もあり、その姿は何処か背徳的で美しかった。瞬く間に壁際に追い詰められた一誠は黒歌に首筋を舐められる。

 

「良い味♪ ねぇ、もう私我慢できない……」

 

水着の肩紐が外されると押さえつけられていた巨乳が露出し暴れまわる。黒歌は一誠の胸ボタンを外すと唇を近づけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょいやさぁっ!!」

 

「にゃっ!?」

 

「玉藻っ!?」

 

しかし、あと少しで唇が重なるかに思われたその時、乱入した玉藻によって黒歌は蹴り飛ばされる。飛び蹴りの後に着地した玉藻は額の汗をぬぐった。

 

 

「ふぃ~、危なかったぜ。学園祭中は一線を超えないって約束だったのに、まんまと裏切りやがってエロ猫がっ! ご主人様と校舎裏でエッチなんざ、羨ましい! 私の後にしやがれってんだ! ……正気に戻りましたか?」

 

「……面目ないにゃ」

 

本音ダダ漏れの玉藻に手を差し出されて起き上がった黒歌はどうやら正気に戻ったらしく、いそいそと服に着替えている。なお、着替えの最中、一誠の目は玉藻によって塞がれていた。

 

 

 

 

「裸より着替える最中の方がエロいんですよ?」

 

らしい。

 

 

 

 

 

 

「……そろそろ学園祭も終わりかぁ」

 

一誠が時計を見るとそろそろ終了時刻。後は片付けをして、あるのなら打ち上げをするだけだ。

 

「俺のクラスは打ち上げないし、帰りに四人でカラオケでも寄る?」

 

「勿論ですとも、ご主人様ぁん。玉藻はぁ、デュエットがしたいなぁ」

 

「私もお願いね♪」

 

《あっしも忘れないでくださいよ?》

 

 

その日の放課後、一誠達は心ゆくまで歌い続け、生徒会メンバーは疲労によって生徒会室で泥のように眠ってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日後、アザゼルはヴァーリと密会を行っていた。

 

「どうした? 随分やつれたが……」

 

ヴァーリはスッカリ疲れきっており、髪もボサボサだ。アザゼルの言葉に対し、彼は大きく溜息を吐く。

 

「オーフィスに抱きついている写真がネット上にバラまかれてね」

 

「……お前、やっぱロリコンだったのか?」

 

「違う! ……もうアルビオンが何を言っても反応しないんだ。前から怒っていた歴代所有者たちも何も言ってくれないし。……っと話がそれたね。オーフィスが赤龍帝について知りたがっているが、嫌われているとも分かっているらしくて、周りに居る者から話が聞きたいそうだ。誰か心当たりはないかい?」

 

「……そうか。上手い事やれば組織を……、数日待ってくれ」

 

アザゼルは何やら思案し出し、数日後に結論を出す。それが身の破滅に繋がっていると知る由もなく……。

 




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次巻から 原作キャラが退場?

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