霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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この巻で結構な数の原作キャラが退場します お覚悟を……(;゚д゚)ゴクリ… お気に入り削除はごお勘弁を(人∀・)タノム 評価もね(>人<;)



原作で裏切ったチャンプ 聖書でもベリアルは平気で仲間を裏切るって設定らしいヽ(´Д`;)ノ


昇級試験とウロボロス
七十一話


「……駄目。こんなんじゃ一緒に居られない……」

 

草木も眠る丑三つ時、玉藻は自室の机の上に大量の札を乗せ、眉間にシワを寄せる。彼女が今行っているのは、擬似的な死者蘇生の術式の構築。一誠と共に生き、子をなし、やがて共に老いていく為の肉体を作っているのだが、多くの問題が残っていた。

 

「……この術式じゃ力が下がりすぎる。こっちじゃ力は下がらないけどご主人様よりずっと長生きしすぎる。……どうすれば良いの?」

 

一誠には、冥府に所属して直ぐに肉体を作れる、と言っていたが、実態はこの通り。圧倒的な実力を持つ彼女の肉体を作る難易度は他の者達の分とは一線を博し、玉藻の肉体だけはこのままだと完成しない。主を安心させる為についた嘘が彼女を追い込んでいた。

 

「……よし! 正直に言おう!」

 

玉藻は勇気を出して真実を告げる事にし、部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの、ご主人様。少々お話が……ご主人様?」

 

玉藻が一誠の部屋に行くと、一誠は書類を睨みながら何やら考え事をしている。心なしか元気がない様に見えた。

 

「……あれ? 何時から居たの?」

 

漸く玉藻に気付いた一誠は彼女をベットに座らせ、自分も横に座る。一誠の顔には益々不安の色が浮き出ていた。

 

「……アイツから連絡があった。期末試験が終わった頃に仕掛けるらしい。ハーデスの爺さんにも伝えたし……いよいよオーフィスの首を取る。いくら悪意がなくても彼奴は危険すぎる。いや、純粋な奴の方がタチが悪い。……玉藻!」

 

「イヤン♪」

 

一誠は玉藻を抱きしめるとそのままベットに押し倒す。玉藻は先程までのシリアスさなど忘れ、受け入れ態勢ばっちりといった様子で待つが、一誠は抱きしめたまま服も脱がさずキスすらしない。その顔は玉藻の顔のすぐ横に埋めていた。

 

「ご主人様?」

 

「不安…なんだ。オーフィスは強い。もしかしたらお前や他の誰かを失ってしまうんじゃないかって不安で堪らないんだ」

 

一誠の手はますます強く玉藻を抱きしめ、体は僅かに震えている。此処に来て不安が爆発し心の弱さが露呈していた。

 

 

 

 

 

 

「ご主人様……。だったら、貴方が守って下さいませ。私も、皆も。さすれば私達が貴方をお守りします。そして仕事を終えたら一緒に騒ぎましょう」

 

「……分かった。俺が皆を守るから、皆は俺を守ってくれ。……ただし、分かっているとは思うけど俺が死にそうな時は玉藻が俺を殺してくれ。俺もお前が消え去りそうな時は俺がトドメを刺す。そうして何方かが必ず生き残り、相手の魂を食らって……」

 

「はい、ずっと一緒です。魂の朽ち果てる時まで、ずっと一緒……あぁ! その手があったか!」

 

「うわっ!? ど、どうしたの?」

 

「すみません、ご主人様! 私、ちょっと急用が御座いまして。……一時間以内に戻ってきますので他の女は呼ばないで下さいましね?」

 

玉藻は飛び起きると跳ね除けられてビックリしている一誠に一礼すると部屋から出ていった。そして自室に戻るなり術式を瞬く間に組み立てていく。

 

「私一人だけの肉体を作ろうとしたから駄目だったんですね! そう、ご主人様の新しい肉体を同時に作れば良いんですよ。後は魂を今の肉体から引っペがして新しい肉体に詰めれば~♪ 完成! ん~、私って天才!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人様ぁん♪ ナデナデ、プリーズ。後はぁ、たまには私が攻めでワンちゃんプレイ何かしたいなぁ♥ ほらぁ、好きな所を舐めなさい♪」

 

一誠の部屋に戻った玉藻は今度は押し倒し、その手にはリードのついた犬用の首輪が握られている。その顔は嗜虐的な笑みを浮かべており、まさに女王といった様子だ。

 

「……えい」

 

しかし、首輪は一誠によって簡単に奪われてしまった。

 

「あれ? 首輪を取り上げて私の頭に手を? あ! 撫でてくださ……いたたたたたたっ! 御免なさい、御免なさい~! え、私が付けろと? あの~、私って狐なので犬扱いはちょっと……はい、何でもありません」

 

 

 

 

 

「さて、躾のなっていない駄犬にはたっぷりとお仕置きをしなきゃね」

 

「ひ~ん! せめて駄狐にしてくださいよぉご主人様ぁ」

 

「……旦那様。二人っきりでの時はそう呼ぶ約束だったでしょ? ダーリンが一誠でも可」

 

「……旦那様。……えへへ、やっぱり恥ずかしいですね。でも、幸せです♪」

 

玉藻は耳まで真っ赤にして微笑む。婚約指輪を貰ってから二人っきりの時には呼び方を変える筈だったのだが、気恥ずかしさから中々呼べずにいたのだ。

 

「じゃあ、続きね」

 

「誤魔化されてねぇ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昇進試験!? マ、マジですかっ!?」

 

匙は生徒会室で通達された事に驚く。何と彼とゼノヴィア、そして真羅の三人に昇格の話が来ているというのだ。

 

「ええ、この前のゲームでサイラオーグを倒したのが評価されたらしいです。……リアスに勝ったのは彼女の評価低迷で大したプラスにはなりませんでした」

 

「ふふっ参ったな。もう昇進試験とは」

 

「……夢のようです」

 

喜ぶ匙達を見てソーナも微笑む。普段眷属に向ける鉄面皮も何処かへ行き、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……書類に書いてある通り、試験日は来週です。そして期末試験も間近。言っておきますが昇進試験の為に期末試験の勉強を疎かにするのは許しません。特に匙、貴方は中間テストの点数が散々でしたね。まだ不安定な禁手の訓練も行わなければなりませんし、覚悟なさい」

 

「は、はい!」

 

直ぐに何時もの厳しい表情に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……訪問者?」

 

その日の放課後、アザゼルのマンションに呼び出されたリアス達は訪問者があるから相手をしてくれと頼まれ首を傾げる。特にリアスなどは連日の心労から余裕がないように見えた。

 

 

リアスへの評価低迷に伴い、彼女への縁談申し込みは激減。残っているのはサイラオーグと、既に後継者が居て妻を亡くしている中年以上の貴族のみ。まともなサイラオーグは民衆からの評価上昇があり、もしかしたら話が立ち消えるかもしれない。

 

「高校在学中に相手を決めなさい。もし、できない場合は……」

 

父親である現当主は最後はあえて言わなかったが、リアスには分かっていた。これ以上不利益を及ばさないように、かつてのサイラオーグ親子同様に辺境に追放されるか……勘当だ。

 

 

「……最初に言っておくが、お前らは其奴に敵意所か殺意さえ抱きかねない。だが、其奴の願いはテロ組織を揺るがしかねないものなんだ」

 

「……分かったわ。どうせあと少しの自由ですもの。皆も其れで良いわね?」

 

「え……いや、はい……」

 

松田は最後まで迷いがあったみたいだったが、場の空気に流され頷く。

 

「……最後に一つだけ。兵藤にだけは訪問者の事がバレないようにしてくれ。下手すれば堕天使全体が滅びかねないレベルの話なんだ……」

 

アザゼルは真剣な顔でそう言い、やがて訪問者がやって来る日になった。

 

 

 

 

 

 

そして訪問者の姿を見てリアス達の体は固まる。その姿は見覚えのある少女だった。

 

 

 

「オーフィス!?」

 

そう、テロ集団のボスであるオーフィスだ。その後ろにはルフェイの姿もある。せいぜいヴァーリ程度かと思っていたリアス達は一瞬思考停止し、復活した瞬間アザゼルに詰め寄った。

 

「どういう事!? 協定違反にも程があるわ! この事を冥府が知ったら……」

 

「……ああ、俺達堕天使は滅ぼされるかもな。だが、うまいこと行けば、これ以上血が流れないかもしれないんだ。頼む、話だけでも聞いてやってくれ」

 

「我、赤龍帝の事知りたい。でも、我は嫌われてて教えてくれない。知ってる事、教えて」

 

ジッと見つめてくるオーフィスを見てリアスは嘆息を吐いた。

 

「……仕方ないわね。彼と接点があるのは一郎と小猫と……一時期お弁当を持って行ってた朱乃だけね。悪いけど相手してあげてくれる? 私は隠蔽工作をするから」

 

リアスの言葉に朱乃達は頷き、そのまま奥へと移動する。そしてオーフィスからの質問が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……連絡があった。ターゲットが動いたようだよ、ドライグ。もしかしたら、長きに渡る二天龍の争いに終止符が付くかもね」

 

『二天龍? 何を言っている相棒。天龍は俺だけだ。ホモペ何とかというのが居た気がするが、気のせいだろう。俺はもう何も言われてないし』

 

「現実逃避は良くないよ? ペドライグ。俺は、って言ってる時点で他の奴が居るの認めているじゃん」

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉん!! 折角、せっかく、奴の印象が強すぎて俺に対する噂が消えたのに、その名で呼ばないでくれぇぇぇぇ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何の用だネ? 今私は忙しいんだが……」

 

マユリは研究室で『シャルバ』と書かれた瓶を眺めている。主である一誠が訪問したというのに振り返りもせず、助手であるネムだけが応対してきた。

 

「お茶です。変な薬品は入っておりませんので、安心してお飲みください」

 

「変じゃない薬品は入ってるの?」

 

「ちっ! ……入れ直してきます」

 

ネムは舌打ちをするとその場から去って行く。残された一誠は考え事をしているマユリに話しかけた。

 

「今度オーフィスに仕掛ける」

 

「そうかネ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もしもの時は頼むよ。幽死霊手研究班班長・涅マユリ。いや、死従七士の一人『傲慢』を司りし将……」

 

「……今の私はマユリだヨ。あの姿の時とは一緒にしないでくれたまえ。それよりもスパイはバレてないんだろうネ?」

 

「……ああ。まさか奴が俺の手下だとは思わないだろうね」

 

一誠は笑みを浮かべ、入れ直されたお茶を口にした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……腹が痛い」

 

「此処にトイレは無いヨ」

 

 

 




意見 感想 誤字指摘お待ちしています

新作プロローグだけ公開中 続きはこの作品の17巻後 展開的に飛ばす巻があるから結構早いかも?

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