霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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今巻最後の日常パート 次回から激動編

今後自重をやめます 外道を目指す!


七十二話

テロに対抗する為、一部の若手悪魔には訓練施設の使用許可が下りており、シトリー眷属にも許可が下りていた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

今は匙とゼノヴィアが模擬戦を行っており、他のメンバーは周りで見物している。匙が鎧から放つ触手はデュランダルで切り落とされ、牽制とばかりに黒炎を放つのだが……。

 

「デュランダルッ!」

 

「なっ!?」

 

ゼノヴィアは床に刀身を突き刺し、オーラを発する。するとオーラがドーム状に広がった。黒炎はオーラを包み込む様に広がるも徐々に勢いを衰えさせ、やがて消えていく。オーラのドームもかなり消耗しているが保たれており、急にウネウネと動き出したかと思うと散弾の様に前方目掛けて飛んでいく。

 

「ちっ!」

 

匙は天井に触手を伸ばし、そのまま上空に上昇するも、既にゼノヴィアが頭上まで飛び上がっており、触手を切断した。

 

「げっ!」

 

「チェックメイトだ」

 

そのまま脳天に強烈な踵落としを受けた匙は床に激突し、何とか起き上がろうとするも首筋に刃を当てられていた。

 

「……参った」

 

「ふふ、此れで私の五戦三勝一敗一分けだな」

 

匙は残念そうに溜息を吐き、その日は此れで終了となった。

 

 

 

 

 

 

「……少し良いかい?」

 

匙がストレッチをしているとゼノヴィアが隣にやって来てスポーツドリンクを渡して座る。匙もドリンクを受け取ると隣に座った。

 

「にしても制御が難しすぎるぜ。最初の一回以来、お前に全然勝てねぇし。俺、本当にサイラオーグさんを倒せたのか?」

 

「まぁ、しょうがないさ。あの時はハイになってたから上手く制御できたんだろうし、私はお前よりも長く戦闘訓練を受けているんだぞ? 簡単に負けていられないさ。……それで要件なんだが……私と付き合う気はないかい?」

 

「ぶほぉっ!?」

 

匙はドリンクを気道に入れてしまい大いに咽せてしまった。

 

「ど、どうしたんだよ、急にっ!?」

 

「いや、この前の戦いぶりを見て胸が高鳴ってね。まぁ、吊り橋効果だとは思うが、恋心には変わりない。それに、結構ライバルが多いから焦っているんだ」

 

「ライバル?」

 

キョトンっとした匙に対し、ゼノヴィアは心底呆れたような表情を見せる。それ程までに匙の発言が馬鹿馬鹿しいと感じたようだ。

 

「……気付いてなかったのかい? 仁村と花戒と副会長もお前に惚れてるぞ?」

 

「……マジ? でも、俺は……」

 

会長が好き、彼がそう言おうとした時、ゼノヴィアは匙の右手を両手で包み込み、真っ直ぐに目を見据えた。

 

「ああ、分かってる。だが、私は諦める気はない。この場で宣言しよう。お前が会長の心を射止めるよりも先に私がお前の心を射止めてみせるとなっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねぇ、イッセー。白音の事何だけど……」

 

ベットの上で仰向けになっている一誠に四つん這いの姿勢で覆い被さった黒歌は不安そうな表情を取る。胸板に乗せられた重量感のある胸からも彼女の鼓動が感じられ、もしかしたら今度の作戦で妹が死んでしまわないか不安な様だ。

 

「……安心して。黒歌は俺の妻になるんだから、あの子は俺の義妹だよ。俺は身内は守る。俺の情報を流してるっぽいけど、彼女らが知ってる情報なんてタカが知れてる。むしろ罪悪感なしに此方に引き込む材料になるよ」

 

「有難う。……好きっ♪」

 

黒歌は一誠の首っ玉に齧り付く。一誠も右手で彼女の髪をすき、左手は腰に回す。そしてそのまま抱き寄せた。

 

「白音の事は安心したけど、こっちは安心して良いのかにゃん? 最近疲れてるでしょ?」

 

「大丈夫。君があまりにも魅力的だから……」

 

二人の唇は徐々に近づいて行き、触れ合うまであと少し……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お楽しみの所失礼します」

 

「……何?」

 

そしてあと少しの所で急にレイナーレが現れる。興が削がれたのか、はたまた仕事の話だからか、一誠は行為を中断して起き上がり、黒歌は不満そうに脇腹を抓ってきた。

 

「はっ! 先ずはアスカロンの修復と強化が終わったそうです。天界より巻き上げた『擬態の聖剣』の核を混ぜて強化致しました。そして北欧からの返答です。『今度の一件、非常に不愉快である。故にそちらの作戦に全面協力する』だそうです。また、インドラ様も『ホモペドンの魂をくれるのなら協力するZE』だそうです。……では、私は此処で失礼いたしますので続きをどうぞ、黒歌」

 

「できるかっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校帰りの学生が全て真っ直ぐ帰る訳もなく、一誠とベンニーアも帰りに喫茶店に寄っていた。

 

《良い店でやんすね。ちょっと古風で》

 

二人が入った店は昭和の香り漂う内装でクラシックが流れている。ちょび髭のマスターは一誠の姿を見るなり無言で張り紙を指し示した。

 

『大食いチャレンジに三回以上成功した方は挑戦できません』

 

この店がやっているのは丼三杯はあるチャーハンの上に海老チリと八宝菜、そして唐揚げと春巻きが、これでもかといった感じに乗っており、二十分以内に完食できれば料金五千円がタダというもので、今まで多くの者が挑戦したものの、一誠を含む三人しか成功していない。

 

「……お前と白いチビと女子高生探偵に毎回チャレンジされたら店が潰れるからな」

 

渋い見た目に似合わないアニメの美少女声で呟く店長の顔には陰りが見える。既に三人が挑戦した回数は三回を超えているのだろう。

 

「……五千円払うから出して」

 

「……良いだろう。其方の嬢ちゃんは?」

 

《あっしはケーキセットで……あれ、あの二人は?》

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりのデートだね、アーシアちゃん」

 

「そ、そうですね。最近忙しかったから」

 

店内に入ってきたのは祐斗とアーシア。実はこの二人、修学旅行の後から付き合いだしたのだ。二人共教会に酷い目に合わされたという共通点や戦いの中での吊り橋効果もあって祐斗から告白し、見事受け入れられた。二人は向かい合えるテーブル席に座りカウンターの一誠達には気付いていないようだ。

 

 

「……平和ですね。こんな日が何時までも続けば良いのに……」

 

アーシアはしみじみと呟く。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その望みはもう直ぐ潰えようとしていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦結構の日。タイミングを計って突入した一誠の目に映って来たのは、

 

 

 

 

 

「裏切り者め。まさかお前が裏切っていたなんて……」

 

「……」

 

曹操達と相対するアザゼルとリアス一行。隣にはオーフィスや倒れたヴァーリの姿が有り、ゲオルクの腹には黄昏の聖槍が刺さり、背中まで貫通していた。




意見 感想 誤字指摘お待ちしています


氷の覇王 早く書きたい 幼少期だけでも いや、ダメだ


今後、展開的に飛ばす巻あり  特にフェニックスは レイヴェル居ない グレンデル仲間

シスコン生存しか出す必要ないから

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