七十七話
此処は旧グレモリー領にして現・冥府領の一角。街から離れた此処は特に手も入らないまま放置されており、現在大量の霊群によって地面をならし、平らにしていた。今行われているのは城の移転作業。一誠の代理として領主の任を任されたランスロットの城を異空間から冥界に移すのだ。
「は~い、チャッチャとしやがれですよ。此れが終わるまで私も帰れねぇんですから」
「……申し訳ございません、玉藻殿」
一誠から現場監督を任された玉藻は少々不機嫌そうながらも的確に指示を飛ばし工事は順調に進んでいた。冥府が冥界から譲り受けた土地は住民が居ない場所ばかりであり、死神や霊達が住む事になっている。工事がひと段落して休憩をとっている頃、大量の荷物を抱えたプルートがやって来た。
《各勢力からのお祝いの品とハーデス様からの差し入れです》
プルートが持って来たのは果物や各勢力毎の料理。流石に酒はないようだが、騎士達が楽しむには十分だろう。玉藻は好物を見つけ尻尾を盛大に振る。
「わぁ、油揚げもありますねぇ♥ ご主人様との家もご用意して頂ける事になりましたし、此れからもバリバリ働きますよ!」
「ああ、幽死霊手の屋敷以外に生活用の屋敷を持つのでしたね」
「ええ、プール付きの豪邸です♪ 夫婦の寝室意外にも個人の部屋も有りますし、将来生まれる子供用の部屋も十部屋以上有るんですよね、あぁん、早く体できないかなぁ」
「……十人以上? ああ、黒歌さんやベンニーアさんの子供の分もいりますか」
「いえ? あの二人の分は別館です。本館はぁ~♥ ご主人様と私の愛の巣ですからぁ~♪ ……高天原製の媚薬が効くんですよ。一本どうです?」
「……頂きます。しかし、その理論で言うと別館はお二人と主の愛の巣になるのでは?」
「……さ、仕事に戻りましょう」
その頃、一誠は学校で次の授業の準備をしていた。すると、真剣な顔をしたイリナが近付いてくる。どうせリアス達の事だろうとうんざりした一誠であったが、
「ねぇ、イッセー君。BLて何? ビーエル! ビーエル! って皆が騒いでいるけど意味が分からなくって」
「
「有難う! 早速放課後に行ってみるね!」
イリナは礼を言うとその場を去っていった。
「……相変わらずイリナちゃんは残念系だなぁ。LじゃなくってRなのに。本当に海外育ち? あれ? あの子って日本出身なのに弱肉強食の意味を間違ってたよね。……自称日本出身の自称海外育ち、か……」
なお、リアス達の件を彼女が言わないのは其処まで仲が良くないからという理由とミカエルにキツク言い渡されているからである。実に正しい選択だ。
その日の晩、両親留守で黒歌は小猫の引越しの手伝いに行っているので家には一誠とベンニーアだけが残された。今日の夕食当番は彼女であり、食卓の上にはギリシア料理が並んでいる。一誠は大皿に盛られた料理に舌鼓を打っていた。
「うん、美味しい!」
《それは良かったでやんすよ》
エプロンを着たベンニーアは照れ臭そうに微笑み、お盆で顔を隠す。身をよじると束ねられた髪が揺れ、エプロンの隙間から生足が見える。エプロンの下にはキワどいビキニしか着ていなかった。
《あの~、これに関して感想はないでやんすか? ほら。押し倒したいとか、脱がしたいとか?》
「……うん。立派に染められたね。……それにしても」
一誠は彼女の体を頭の上から爪先まで眺める。何処がとは言わないが、会った時よりも格段に成長していた。
「うん。育ってるね。……ねぇ、本当に良いの?」
《へ? ……のわっ!?》
徐ろに立ち上がった一誠はベンニーアを抱きしめ、吐息がかかる距離まで顔を近づけ金色の瞳を覗き込む。ベンニーアの鼓動は自然と高まり、そっと瞳を閉じると唇に柔らかい物が触れる。今二人は深い口づけをかわしていた。
「……俺からする約束だったからね」
《……続きはしないんでやんすか?》
「う~ん、今は君のご飯を食べたい気分かな? ベンニーアちゃんも立ってないで一緒に食べようよ」
一誠は一瞬迷ったが性欲よりも食欲を取り、ベンニーアもこの場は仕方ないかと諦める。彼の三大欲求は食欲が少々強めなのだ。少々残念ではあるが自分の手料理を美味しそうに食べて貰えるというのはそれはそれで嬉しいし、母親からはまず胃袋をつかめ、と言われているので今は諦める事にした。
そう、今は……。
食事を終えた一誠であったが、浴槽に手を入れて顔を顰める。今日風呂を沸かすのを忘れていたのだ。とりあえず今から沸かすにしても此の儘待つのが億劫だ。かと言ってもう一度服を着るのも面倒だと思った一誠はシャワーを浴びて待っているという結論に達した。
「あ~、しくじったなぁ。まぁ、良いか」
《そうでやすよ。失敗は誰にだってありやすから》
声に反応して後ろを見ると其処には先ほどの水着姿のベンニーアが魔法陣を使って浴室に侵入していた。
「先にシャワー浴びたいの? なら、代わろうか?」
一誠は気を使って出ていこうとする。しかし、その動きは背中から抱きつかれた事によって止められた。一誠の体を掴むベンニーアの指先は一誠を軽く抓っており、振り返って見た顔は少々不機嫌そうだ。
《あっしでは不足でやんすか? お二人とは毎回最後まで行くのにあっしだけ……》
霊体である二人は絶対に妊娠しないが、ベンニーアはするので最後までは行為を行なっていない。ドラゴンの異性を惹きつける力と彼女好みだった事もあり、一誠との政略結婚を受けた時にはベンニーアは既に彼に惚れきっていた。一誠も彼女とは途中までは行っているが、それでは不満なようだ。
《……あっしも妻にするというのなら、お二人同様に純潔を奪うべきでやんす》
なお、一誠は玉藻に襲われて奪われたのである。
「……う~ん」
《……避妊対策はバッチリでやんすよ?》
その言葉によって一誠の迷いは無くなり、その日は何時もより長めに風呂に入った一誠は上機嫌で出てきて、彼に支えられるように出てきたベンニーアは少々肌つやが良くなっていた……。
「……吸血鬼から頼み事? アイツ等ってプライドの塊で他種族は見下してなかったっけ?」
新調した体になれる為の運動をしながら一誠は首を捻る。その体は完全な死神となっており、身体能力や霊力が格段に上がっていた。彼に話を持ってきたプルートも一誠の疑問に苦笑している。依頼してきた吸血鬼と会談を行ったのは彼なのだが、その席で色々あったらしい。
《それが、同じ吸血鬼に頼むから問題はない、と言っているのですよ。……『
「……よっぽど腹が立ったんだね。言葉が乱れてるよ」
どうやら派閥同士で戦争を行っている時に取引のあった悪魔からライザーとの戦いの事を聞き、クドラクの事を知ったらしい。
今は脳筋の馬鹿だが、一応伝説級の吸血鬼なのだ。物凄い馬鹿だけど。
なお、『
なお、一誠は素で亡者と会話でき、滅びかけた魂を復活させて擬似的な肉体を与えられ、生物の強化もできる部下は居る。
《……手に入れられるのなら手に入れさせて来い。ハーデス様はそうおっしゃってます。なお、今回は親睦の為という口実ですよ》
「……ぶっちゃけどうでも良くない? 死神化して霊力が倍増したしさ」
《っというのは最上級死神になった君を動かす口実で、ペルセポネー様が吸血鬼の里の名産品や土産を欲しがっているのですよっまぁ、聖杯を見てみたいとも言っていました》
最上級死神の地位を手に入れた一誠やその配下は今までの様に自由に動かせるという訳には行かない。バレバレの嘘であっても建前は必要なのだ。
《あ、コレは我々が買ってきて欲しいお土産のリストです》
プルートが渡して来たメモには最上級死神全員分の希望するお土産か書かれていた……。
「……とりあえず俺は学校が有るからメンバーの選抜をするね」
久々にr18の方に書きたい気分 さて、お相手は? (ΦωΦ)フフフ… 正妻先輩押しのけて……
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