キャスターエンド マジカオス
雪と雲に覆われ太陽光が届かない街を余所者と思しき三人が歩いていた
『ったく、辛気臭ぇ所だな。創作意欲がちっとも湧かねぇ』
「……いや、もう貴方邪龍じゃないでしょ?」
街の中を不機嫌そうに見渡すのはTシャツにジャージ姿の大男。凶暴そうな目と鋭い歯が特長だ。なお、シャツには可愛らしい動物の絵が書かれている。そんな彼に対して呆れた様な視線を向けたのは黒髪の美女。ビシッとしたスーツに身を包み、やり手の弁護士や検事といった感じだ。
そして最後の一人は貴族風の服装に身を包み土気色の肌を持つ、
「ずっどぉぉぉぉぉん!! ここはぁ、ここはぁ、ここだぁぁぁぁぁ!1」
馬鹿だった。
今回吸血鬼の里に派遣されたのはレイナーレとグレンデル、そして招待を受けたクドラク。なお、同じく招待を受けた一誠は学校があるから来ていない。
「いや、学生は学業が本分だし」
っという事だ。今回の派遣は冥府側は普段買えないお土産を買ってこさせる程度にしか考えていないので別に彼が行かなくても構わなかった。
一誠達を招待したのは吸血鬼の男性の始祖を崇めるツェペシュ派。まぁ、要するに男尊女卑派という訳だ。どうやら最近対立するカーミラ派との戦いが激化している最中にクーデターが勃発。『
『似た様な力を持つ旦那に会いたがってるそうだが……にしても、なぁ?』
「ええ、お笑い草だわ。人間を家畜と思っている吸血鬼、それも男が偉いと主張しているツェペシュ派が傀儡とは言え、『人間』の血を引く『少女』を王に据えるなんてね。道具は最後まで道具として扱う方が良いに決まっているのに。コレだから主体性が無い奴らって嫌」
二人は吸血鬼の悪口を言いながら進んでいく。やがて中世を思わせる古風な城に着くと吸血鬼達が慌てて出迎えてきた。
「こ、これはクドラク様とお供の方々! お迎えに行った者と会いませんでしたか?」
「……私達がクドラクのお供? 折角の迎えだけど無視させて頂いたわ。ほら、行くわよクドラク」
「なっ!?」
「ずっどぉぉぉぉぉん!!」
驚いて固まる彼らを無視したレイナーレはクドラクの襟首を掴んで進む。慌てて追い付いた彼らに案内されて入った玉座の間では虚ろな目をした少女が王座に座って出迎えた。
「初めまして、クドラク様と霊王様の部下の皆様。私はヴァレリーと言います。――そうよね。うん、私もそう思うわ」
ヴァレリーはニコリと笑ったかと思うと虚空に向かって話し出す。三人の目には其処に居る亡者の姿が映っていた。
なお、霊王とは先日の一件の対価に自分の能力を他勢力に教えた事から一誠についた異名である。
「……あれが聖杯の副作用って奴ね。命の理に触れ、無数の意識が流れ込む事で亡者の姿が見え声が聞こえる……一誠様と比べると随分貧弱ね」
レイナーレ詰まらなそうにしていると貴族風の男がやって来る。その後ろに控えた男を見た瞬間、グレンデルの表情が変わる。
『グハハハハ! 久しぶりじゃねぇか、おい! クロウ・クルワッハよぉ!』
何時の間にか人の姿を解いたグレンデルはトンファーを構え彼に向ける。しかし、その動きはレイナーレによって遮られた。
「……止めておきなさい。勝手が過ぎるわよ、グレンデル」
『ちっ!』
グレンデルは舌を打ち、不承不承といった態度でトンファーをしまう。それを見たクロウ・クルワッハは驚いたような顔をしていた。
「……貴様が矛を収めるとはな。霊王に飼い慣らされたか?」
「けっ! そう言うテメェこそ蚊の護衛かよ? 随分落ちたもんだな、元・邪龍最強さんよぉ!」
「……ふん。おい、マリウス。さっさと挨拶を終えろ」
彼に促された青年、マリウスは二人から放たれる殺気に圧されながらも笑顔を取り繕い、丁寧に挨拶をした。
「初めまして、皆様。私は宰相兼神器研究チームの責任者をしておりますマリウスです。どうぞお見知りおきを」
「ねぇ、一つ聞いて良いかしら?」
「ええ、構いませんよ。え~と……」
マリウスはレイナーレに名を尋ねるが、その目に映っていたのは侮蔑。明らかに堕天使の女性で霊体である彼女を見下していた。もっとも、レイナーレはそれに気付いていたが気にした様子を見せず、しれっと聞いた。
「私はレイナーレ。一応上級死神の地位をハーデス様から頂いてるわ。所で、その子から何時神器を抜き取るのかしら? 研究が終わったら殺すんでしょ、その子?」
レイナーレは、今晩のメニューは何 、と聞くような気軽さでその質問を口にした。マリウスや部屋内の重鎮達が唖然とする中、呟くような声が響く。
「なぁぁぁぁ、レイナーレェ。あいつらはぁ、なんでぇ仲間を殺すんだぁぁ?」
その頃、日本では一誠が次の授業の準備をしていた。午前中に国語の小テストがあったのだが、なぜかイリナは午前中に来ておらず受けれなかった。そして午後になって漸く登校した彼女は一誠に向かって走ってくる。
「イッセーくぅぅぅぅぅぅぅぅん!」
「五月蝿いなぁ。どうしたのイリナちゃん? 室内で走ったら危ないでしょ。それにさ、百キロ以上の人が走ったら膝への負担が拙くない?」
「わ、私はそんなにデブじゃないわよ! さ、最近少し太っちゃったけど」
「……別に君が百キロ以上だなんて言ってないでしょ? もう、被害妄想激しすぎだよ。あ~やだやだ。イチャモンつけないで欲しいなぁ」
鼻息荒くして唸るイリナに対し、一誠はさも困ったという様に肩をすくめる。この様なやり取りは何度もしているがイリナは毎回の様にあしらわれていた。
「所で何の用? っていうか午前にあった国語のテストサボっちゃ駄目じゃない。いくら自称日本育ちで国語が苦手でもさぁ」
「自称じゃないわよ! そ、それより昨日はよくも騙してくれたわね! おおお、おかげであんな本を……」
昨日、BLの意味を聞いてきた彼女に対し一誠は人気漫画のタイトルの略称だと嘘を教え、イリナはためしに読んでみようと本屋で最新刊が無いか大声で聞いたのだ。もちろん周りの反応は唖然としたもので、なれている店員さんが持ってきたのは半裸で抱き合う美男子が表紙の漫画。教会育ちで耐性の無いイリナは本を受け取って見るなり真っ赤になって逃げ出してしまい、危うく万引き犯に間違われたのだ。
「お。おかげで定価の何倍もの値段で買う羽目になって、警察は居合わせた会長が術を掛けて勘弁して貰ったけど……家に帰って読んでみたら、どのページもハレンチ過ぎたわ!」
「いや、読まなきゃ良いじゃん」
「……前から思っていたけどイッセー君て私の事嫌い?」
「いや、好きだよ」
「なっ!? なななななななななっ!?」
イリナは耳まで真っ赤にし、その場から走り去っていった。
「まぁ、からかったら面白いからだけどね。あれ? イリナちゃん?」
一誠が気付いた頃には既にイリナの姿はなく、一誠は何やら嫌な予感を感じたが、どうせギャグパートにしか関わらないか、とメタな思考をした。
「ただいま~」
その後、又しても授業をフケたイリナの事等は思考の隅にやり、一誠は自宅に戻る。流石にこれ以上増えると家が狭くなるので小猫は近くのマンションで暮らし、黒歌は夕食が終わるまでは其処で過ごす事となった。両親はまだ出かけており、家に残っているのはポチと玉藻だけ。そのポチも白目をむき、泡を吹いて寝て居る。
「お帰りなさいませ、ご主人様ぁん♥」
「うん! ただいま」
出迎えたのは勿論玉藻だ。ただし、先日のベンニーアに対抗してか裸エプロンだが。一誠は飛びついてきた玉藻を抱き止め、ベンニーアとは何段も違う重量感のある胸の感触を堪能する。しかし次の瞬間、一誠の体を悪寒が襲う。今自分を抱き締め返している存在と同じ姿と気配の存在達に囲まれていた。
「ど、どうしたの?」
「玉藻、増えちゃいました♪ てへっ✩」
思いついたラスボス番外 吸収して強くなる三人 メルトリリス セル アーロニーロ 執筆は未定
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ワンパンのガロウ サーヴァントならバーサーカー?