霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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この前、ネトリ槍兵こと、ディムッドの話を聞きました

主の婚約者は、婚約が決まった後、主の息子にモーションかけるの袖にされ、次にディルムッド(以後、シャイニー)にモーション(云うこと聞かなかったら死ぬ呪い付き)をかける。シャイニーが知人に相談すると、どっちでも死ぬ でも、断ったら騎士としても死ぬ 仕方なく逃避行

彼女のやったこと知ってる追手はやる気ダウン 実の兄も呆れた


その後、親切な巨人に匿われるも、この女が守っていた実に手を出して敵対 恩人を手にかける

そのご、裕福な暮らしをするも例の一件で死亡 原因は父親が殺した父が違う弟が化けた猪。あと、彼女がしたがった主を招いての宴の最中のこと


後に彼女はシャイニーの遺産を持って主と結婚



幸運eじゃ高すぎる?


結構叩かれてる彼だけど、周りも酷くね?


閑話 魔法少女?と幽霊少女 下

オバちゃん。ありすがセラフォルーに向けたその一言が辺りに響いた時、場の空気が固まった。

 

「ご、ごめん。よく聞こえなかったなぁ。お姉ちゃんになんて言ったのかもう一度言ってくれる?」

 

セラフォルーは顔を引きつらせ、彼女の下の床が凍っているが、相手が子供なので怒れず、無理して笑顔を作っている。それに対し、ありすは無邪気な笑顔で返した。

 

「うん! いいよ! お兄ちゃんの所まで連れて来てくれて有難うね、オバちゃん(・・・・・)!」

 

「……うえ~ん!!」

 

セラフォルーは逃げ出した。

 

「あの……一つ宜しいですか? お姉様は確かにありすちゃん位の子供が居てもおかしくない歳のくせに、少女とか名乗って若作りしていますが、それでもオバちゃんは勘弁してあげてください」

 

「う~ん。確かに会長の言うとおりだね。ねぇ、ありす。確かのあの人はいい歳して少女とか名乗って、年がら年中テンションのおかしい正直言って痛々しい人だけど、一応気にする年頃だから、オバちゃんはやめてあげて?」

 

「うん、分かった! あのオバちゃんに本当の事言っちゃダメなのね? は~い!」

 

二人がセラフォルーの事を好き勝手に言い、ありすが元気良く手を挙げて返事をした時、一人の人物が一向に近付き、それを見たソーナ達は言葉も出ずに固まる。

 

「……一誠君にょ?」

 

その姿は魔法少女モノの実写映画版のオーディションに来るには余りにも大きすぎ、逞しかった。両の腕は丸太の如し、ピチピチの服の上からでも分かる筋肉はまさに岩石。身につけた少女用の服と猫耳が異質さを際立たせていた。

 

「さっきのお化けだっ! 助けて、お兄ちゃん!」

 

ありすは一誠の背中に飛びつきとガタガタと震えている。だが、一誠は一瞬固まりはしたものの、直ぐに復活した。

 

「やぁ、ミルたん。やっぱり来てたんだね。ありす、大丈夫だよ。この人、メディアさんの弟子だから」

 

「その子も幽霊さんにょ? 初めまして、ミルたんだにょ」

 

「……お化けじゃないの?」

 

ありすが恐る恐る一誠の背中から身を乗り出して彼を見た時、映画関係者らしき人達が会場に入ってくる。その中にはメディアの姿もあった。

 

「見て見てソーナちゃん。魔法少女モノと特撮に定評のある遠山監督よ! それに、悲恋小説と百合モノで有名なメディア先生も居るわ!」

 

何時の間にかセラフォルーが戻てきており、何事もなかったかの様にしていた。

 

そんな中、監督が会場の女の子達をマジマジと見つめ、プロデューサーと何やら話し合っている。その視線はありすにも注がれていた。

 

 

「え~、では、今から一次試験の結果を発表します。監督はフィーリングを大切になさる方なんですよ」

 

会場がざわつく中、ソーナやセラフォルーの名が呼ばれていく。そして、

 

 

 

「最後に……そこの青年の背中に乗っている見学者の…ありすちゃん。君も二次試験に来てくれるかな?」

 

「本当? お兄ちゃん、わたし行きたい!」

 

「はいはい、良かったね」

 

「うん!」

 

ありすが満面の笑みを浮かべる中、空いた時間を使って会場を抜け出した一誠は携帯を手にとった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もしもし? ……うん、そうなんだ。一応メディアさんが居るから大丈夫とは思うけど……お願いできる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二次試験は広いフロアでの面接だ。一誠と匙は魔獣創造で作り出した盗撮用の魔獣と、その魔獣から送られてくる映像を映すモニター用の魔獣で様子を伺っていた。その背後にはミルたんの姿もある。

 

「……落とされたにょ。師匠が何か言ってたにょ。酷いにょ」

 

「まぁ、気にしないほうが良いよ。それより匙君。当然テロ対策はバッチリなんだよね?」

 

「ん? ああ、当然だ。その為に俺達が来てるんだから」

 

匙の言う通り、今回ソーナ達はオーディションに出たがったセラフォルーの護衛として来ている。その事を話す匙であったが、一誠から、そしてミルたんからさえ冷酷な視線を送られた。

 

「……本気で言ってるのかにょ? 君達だけで会場の人全員を守れるとは思えないにょ。一誠君は師匠がいるから安心して来たらしいけど、君達は違うはずにょ。一般人を巻き込む覚悟はあったのかにょ?」

 

「俺が敵なら、まず一般人を捕まえ、それを人質に会長を捕らえ、腕の一本でもレヴィアタンに送って脅すね。実現可能な条件を提示して、一般人は殺して会長は返す。そしたらあの人は妹の為に一般人を見殺しにした、いや、そもそもあの人が来なければこんな事態には、ってなふうにテロ対策組織に亀裂を入れさせれる」

 

「で、でもそれなら別の時に一般人を巻き込まれても同じなんじゃ……」

 

「それは違うにょ。あくまで巻き込んだ、って感じにするのが効果的なんだにょ。全く関係のない人を巻き込んでも結束力を高めるだけ。巻き込んでこそ効果を発揮するにょ。後は妹の傷ついた姿を見させ続ける事で重要戦力である魔王の気力を削ぐ。自分のせいで、って感じだにょ。……其処までの覚悟はあったのかにょ? 言っておくけど、もう関わった以上は帰っても遅いにょ?」

 

二人の言葉に匙は気落ちする。自分も会長も、セラフォルーも其処まで考えてなかったと気付いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「(ま、手は打ってあるけど、一応苦言を言っておかないとね)」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、会場では参加者達への質問がされていた。

 

 

 

「見学に来てたけど、魔法少女は好きなのかな?」

 

「うん! ……わたし、ずっと病院に居たの。一日中ベットに繋がれて痛くて苦しかった。ママもパパも居なくて、彼処では誰も私を人間扱いしてくれなかったの」

 

「え、いや……」

 

行き成り始まった重苦しい話に質問を投げかけた監督の表情が強張る。余りにも目の前の少女の語る話は重すぎた。

 

「……私の目に映ってくるのは真っ白な壁と天井だけ。でも、たまにある調子の良い日はご本を読ませてくれたの。その中の魔法少女の本があって、ずっと憧れてたんだ。でも年齢制限で受けれなくって……」

 

それから彼女が語ったのは孤独な日々。病状は悪化し、見舞いに来ていた両親も顔を見せなくなった。それから体が漸く楽になったのに、誰もありすを見ようとはせず、病院でずっと寂しく過ごしていた。そう、一誠に見つかって引き取られるまで……。

 

それを聞いた匙は涙ぐみ、ミルたんは号泣している。会場に居る参加者や緩傾斜達も涙していた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!」

 

「うっ……、あの無邪気そうな子にそんな過去が。楽になったって言ってるけど。やっぱ死んだんだよな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん。まぁ、そのあと負の感情を集めた第二人格のアリスと二人に分裂して、遊び相手欲しさに異空間に人を引き込んで殺す悪霊になってたけどね。霊力だけなら俺と同等だったから、結構やばかったよ」

 

「意外とタチ悪っ!?」

 

「まぁ、無邪気な子供だし? 知ってる? 無邪気ってのは残酷と大して変わらないんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして第三試験会場は港近くの廃工場。撮影現場になってる此処で演技の試験を行うのだが、其処にはテロリストらの姿があった

 

「我ら魔法の使い手を侮辱せし、憎き魔王レヴィアタンに罰を!」

 

彼女達は禍の団の派閥の一つの『ニルレム』。彼女達からすればセラフォルーの格好や言動は侮辱にしか映らないようだ。無理もない話だと大勢の方がお思いになるだろう。兎に角、セラフォルーに強襲をかけるべく試験会場に潜伏していた彼女達は今か今かと待ち構えていた。

 

 

 

 

 

『ゲコッ!』

 

「ねぇ、今カエルの鳴き声しなかった?」

 

確かに彼女達の耳に場違いなカエルに鳴き声が聞こえ、物陰を巨大な何かが飛び跳ねている。

 

「誰だっ!」

 

リーダー格らしい女性が炎の魔法で辺りを照らすと、そこには二メートルを優に超えるヌイグルミの様なカエル、そして其の上に乗る黒いゴスロリ風ドレスの少女が居た。

 

「……魔法少女はあの子(ありす)の夢。苦しむだけの日々に見たささやかな夢なの。……だから、ありすの夢は邪魔させない!」

 

『ゲコリ』

 

カエルの舌が伸びたかと思うと構成員を三人ほど捕まえ、丸呑みにする。他の者達が呆然とする中、カエルの腹が内部から叩かれ、それは段々激しくなっていく。そして、徐々に弱くなり、叩くのが終わった。

 

 

 

 

 

「……さぁ、次は貴女達の番よ? 貴女は生きたまま溶かされたい?」

 

『ゲコゲーコ』

 

「それとも絞め殺して丸呑み?」

 

『シャァァァァッ!!』

 

「叩いて焼いてハンバーグ?」

 

『ガァァァァァァァッ!』

 

何時の間にか彼女達をカエルが、大蛇が、正体不明の怪物(ジャバウォック)が囲み、ジリジリと近づいてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お願い助けて」

 

何度も魔獣に魔法を放つも効果がなく、次々と餌食になっていく。心を折られたリーダーは腰を抜かし、太股を温かいもので濡らしながら懇願した。

 

「……良いよ。でも、条件があるわ。ジャバウォック」

 

アリスの言葉と共にジャバウォックがリーダ以外の生き残りである三人の内二人を両手で、残る一人を足の下に敷く。

 

 

「貴女達四人の内、二人は生かしてあげる。さ、選んで。誰に生き残って欲しいの?」

 

「リーダー! 私をお願い!」

 

「いいえ、私よ! ずっと尽くして来たじゃない!」

 

両手に捕まった二人は自分が助かろうと懇願する。だが、リーダーの視線は足の下に敷かれた年若い少女に注がれていた。

 

「……お姉ちゃん」

 

「その子っ! その子を助けて!」

 

どうやら彼女の妹らしく、それを知っていた二人は、やっぱりといった怒りと悲しみに満ちた表情を向けた。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~ん。じゃあ、二人には死んで貰うね? ジャバウォック……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足元のを踏み潰しなさい」

 

「え?」

 

辺りに虫を潰した時の様なブチッといった音が響く。助けてくれと言われた少女は赤い血だまりになった。

 

 

 

「クスクス、誰も助けて欲しいって言った人を助けるなんて言ってないわ。じゃあ、二人目を決めましょ?」

 

アリスが腕を上げるとジャバウォックは掴んでいた二人を離す。その足元には鉄パイプが投げられた。

 

 

 

 

「今から殺し合って最後の一人を決めて。あ、魔法は封じたわ。それと、その二人はジャバウォックに掴まれてたのだから、ハンデに武器くらい要るわよね?」

 

「「……」」

 

見捨てられた二人は無言で鉄パイプを取るとリーダーに向かっていく。暫くの間、硬い物で肉を叩く様な音が響いた。

 

 

 

 

 

 

「……終わったわ。これで見逃してくれるんでしょ?」

 

返り血でベッタリと汚れた二人はリーダーだった物を無表情で見つめながら尋ねる。アリスはそれを聞いてニッコリと微笑み、二人の足元に魔法陣が出現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん! 約束通り、殺さないで(・・・・・)冥府に送ってあげるね♪」

 

「そんな……」

 

最後まで言葉を言い切る前に二人の姿は掻き消える。転移先では拷問の準備を整えた死神達が待ち構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは合格者の発表です!」

 

その後、順調にオーディションは進み、合格者が発表される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合格したのは有名子役の少女だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありす、気にしない方が良いよ」

 

一誠は先程から俯いているありすを慰めようとするが彼女は顔を上げない。そして一誠が抱き締めようと腰を屈め顔を近付けた時、

 

 

「えい!」

 

額を叩かれた。

 

「お兄ちゃん、引っ掛かったぁ~! ……今日は楽しかった。わたしの我が儘聞いてくれて有難うね」

 

ありすは満面の笑みを一誠に向けると背中に飛び乗る。すると、もう一人飛び乗る姿があった。アリスである。

 

「メディアさんがケーキを奢ってくれるって言ってるわ。あたしはモンブランが良いわ」

 

「わたしはチョコケーキ! お兄ちゃん、行きましょ!」

 

「はいはい。じゃあ、しっかり捕まっていてね?」

 

一誠は二人が落ちないように注意しながら走りだす。夕日に照らされた三人の笑顔は本当に楽しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして数日後、ありすとアリスの姿を見た監督からミルキーのライバルの双子の役をしないかと連絡があった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、話ってなんでしょうか?」

 

その日、レストランに呼び出されたロスヴァイセの前には真剣な顔をしたランスロットの姿があり、彼はそっと小箱を差し出した。

 

 

 

「……改めて言います。ロスヴァイセ殿、私と結婚してくださいませんか?」

 

差し出された小箱の中には指輪が入っている。ロスヴァイセは無言で手を差し出し、ランスロットは照れ臭そうに指に嵌める。その時の二人は本当に幸せそうで……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「撮ったか? 今のちゃんと撮ったかっ!?」

 

「バッチリだっ! あらゆる角度から撮影し、音声も拾ったっ! あとはグレンデルに周りの音を消して貰おう! 我々はパソコンは駄目だからなっ!」

 

二人の姿を盗撮する元円卓の騎士達は楽しそうだった……。

 




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