霊感少年の幽雅な生活 (完)   作:ケツアゴ

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こっちは久しぶりです 流石に発売してすぐに内容を晒すのどうかと思い遅れました

なお、これ以降は氷のが終わってからです まだ細かいネタを考えてない


聖誕祭のファーニーエンジェル
八十九話


とある蕎麦屋の片隅で一誠と父親は蕎麦を啜っていた。

 

「迷惑料代わりにクリスマスプレゼントの配達?」

 

「うん、そうだよ。この街の住人に迷惑掛けているからだってさ。自覚あったんだ、驚きだね」

 

一誠は意外そうな顔をしながら言う。この街は何度も壊滅の危機に瀕しているのでそのお詫びを兼ねてクリスマスプレゼントをD×Dのメンバーで配るらしいのだ。出来るならリサーチしたかったが、時間もなく騒ぎになってもいけないので当たり障りのない物を送る事になったらしい。

 

「玩具やネクタイとからしいよ。……馬鹿にしてるよね。わざわざこの街にやって来て、巻き込んで死なせそうになったから贈り物で謝罪? 結局、騒ぎにしたくないっていう自分達の都合を優先させてるじゃん。自覚あるなら街から出て行くか、せめて高価なもの贈るとか、存在を知っている人達にはトップ陣が土下座して回るとかしろってんだよ。父さん的にはどう思う? 物で解決ってのはさ」

 

「まぁ、社会人としてはどうかと思うぞ。贖罪の気持ちを送り物と共に伝えるというはあるが、物だけ送って謝罪完了、みたいなのはな」

 

「そうそう、どうかしてるよね。それにそれなら無理やり悪魔にされた人達や神器によって人生を狂わされた人達はどうなるのさ。彼らの方が迷惑被ってるよ? 少なくともこの街の人は知らないままなんだからさ」

 

一誠も父親も呆れたような顔をしている。その時テレビではクリスマス特集の番組が流れていた。一誠は思い出したように懐から封筒を取り出し父親に差し出した。

 

「ちょっと早いけどいクリスマスプレゼントだよ。母さんと年末旅行でも行ってきたら? この時期でも空いている曰く付きの宿の宿泊券。俺は色々やる事が有るから行けないから、二人で行ってきてよ」

 

「……え~と、大丈夫なのか?」

 

「大丈夫大丈夫。一足先に祓っておくし、護衛付けるから」

 

不安そうな顔する父親に一誠は笑い掛けるが、父親は静かに首を振った。

 

「いや、お前の事だ。私達には理解すらできないが、危険な事もするんだろう?」

 

「……まぁね。ま、安心して。父さん達だけじゃなく、俺の身も大切にしなきゃならないってのは分かってるからさ」

 

「……そうか。それなら良いんだ。言っておくぞ。母さんや私より、お前の命を優先させろ。もしもの時には子供を生かす為に死ぬのが親の務めだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ところで三人にはどんなプレゼントを贈るんだ?」

 

「黒歌には着物と簪、ベンニーアちゃんにはドレスとネックレス、玉藻には豪華ディナーと高級ホテルのデラックススィート。……冥府に正式加入してから玉藻が財政管理をする事になって、月々自由に使えるお金がお小遣い制になったから自由に使える額が減ってさ。おかげで今月は金欠だよ。……他の部下にも何か送らなきゃいけないしさ」

 

「……お前も尻に敷かれる運命か」

 

息子同様に女房の尻に敷かれている彼は息子の肩をポンポンっと叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暇ねぇ」

 

次の日の昼間、家事を粗方終わらせた一誠の母親は居間でテレビを見ながら寝転んでいた。玉藻は冥府で用事があるからと出かけており、護衛役のポチは庭掃除、ランスロットが新婚旅行に行っているので暇な円卓の騎士達は屋根裏や屋根の掃除や屋根の修繕作業に勤しんでいる。

 

退屈していた一誠の母親はテレビを付けるも面白いものはやっておらず、この前観れるようにした冥府の番組にチャンネルを合わせる。付けたチャンネルではお昼の料理番組をやっていた。

 

 

『今日もやって来ました。グレンデルの料理教室! 先生、今日はどんな料理を教えてくれるんですか?』

 

『グハハハハ!今日は鶏もも肉のソテーの北欧風ソースだ。じゃあ、材料の紹介だ。まず……』

 

「今夜はこれにしましょう」

 

見終わった彼女がチャンネルを変えると今度は手芸番組をやっていた。

 

「今日のゲストはカリスマパッチワーク職人のグレンデル先生です」

 

「……あの世の龍は多芸なのねぇ」

 

一誠の母親が大きな誤解をした時、ベランダの窓が叩かれ、ポチが顔を出した。

 

「大奥様、客人で御座る。……主に用らしいでござるが、どうなさいますか?」

 

「あら、待ってて貰いましょう。あの子は買い物から帰ってくる頃だし、護衛の貴方達がいれば大丈夫でしょ?」

 

「はっ! 御意に御座る!」

 

ポチはその場で膝を付き、直様玄関へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~。あれ、お客さん? ……ねぇ、どんな人?」

 

一誠は帰るなり玄関にあった靴に気付き、警戒した表情でその場にいた幽霊に聞く。そして誰か聞くなり居間へと走っていく。其処にはイリナとソーナ、そして栗色の髪をした中年男性が母親と向かい合わせに座っていた。ポチや円卓の騎士は壁際で待機しており、ポチは両手両足をフェンリルに変え、円卓の騎士も何時でも武器を抜けるようにしている。その中で客人三人は居心地悪そうにしていた。

 

「兵藤君、お邪魔しています。今日はクリスマスプレゼントに付いての連絡事項を伝えに参りました」

 

「……あれって俺も参加しなきゃいけない? ……それと其処の人はイリナちゃんのお父さんだよね? あとアポはちゃんと取れ。勢力とか関係なしに礼儀だぞ」

 

話を振られた男性はニコニコ笑いながら立ち上がり一斉に近づいてきた。

 

「いやぁ、久しぶりだね、一誠君。イリナの父親の紫藤トウジだよ、いや~、何時以来かな?」

 

「確か貴方の部下が無能姫の前にこの街を管理していた悪魔と恋に落ち、貴方が部下を殺した後に海外逃亡した日以来じゃなかったっけ?」

 

「な、なんでそれを!?」

 

「ど、どういう事、パパ?」

 

一誠があっけらかんと言った言葉にトウジとイリナは動揺し、ソーナは初めて聞いた事に驚いて固まっている。そんな中、一誠の母親は台所まで向かっていった。

 

「一誠、私は少し席を外すわね」

 

「うん、終わったら呼ぶね。……なんで知ってるかって? 八重垣さんから聞いたからに決まってるじゃん。彼、恨んでたよ。あの頃の俺の力じゃ邪念を晴らせなかったから勧誘できなかったけど……貴方を殺したいって言ってた」

 

「……そうか。やはりな。……イリナ、丁度良い機会だからお前にも話そう。なぜ私達一家がこの街を離れなかければいけなくなったのかを」

 

「簡単に言うと名門悪魔の娘とエクソシストがマジで恋に落ちて周囲の反対を聞かず、このままでは戦争に発展しかねないからって、その人はセラフには黙って悪魔と協力して二人をぶっ殺したんだ。そのくせ、今じゃ協定結んで仲良くやろうってんだから笑えるよね」

 

真面目な表情で昔あった事を娘に話そうとしたトウジだったが、一誠がそれをあっさりと言ってしまった。この時の一誠の気持ちはただ一つ。”そういう話は他所でやれ”だった……。




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