美濃南部を制圧後、信奈率いる織田軍は落とした砦に拠点を構え、部隊の再編に勤しんでいた。
戦に耐えられぬ怪我を負った者、また戦死した者の記録をまとめて再出撃に必要な人頭を算出し、それに沿って一部の部隊を解体し、その分の人員を各隊に割り振っていく。
それと平行して偵察や諜報の人員を放って一色家の様子を探らせているが、それにより戦場で見せた不可解な撤退の原因についての情報を得るに至った。
「何ですって!?義龍が倒れた。」
「はっ!井ノ口の街に潜ませた者曰く、一色義龍が戦場で急に倒れたのを見たと言う兵がいたとの事。城下では既にこの噂で持ちきりとの報告です。」
万千代から話を聞いた信奈は信じられぬといった形相で万千代の顔を見るが、その表情からは冗談の色は一切見えない。
むしろその聡明な頭脳は、いち早く義龍の危篤と一色軍の謎の撤退を結びつけた。
「なるほど。どうしてあんな不可解な行動をしたのか分かったわ。他に義龍についての情報は無い。」
「義龍の病状について、快方に向かっているとするものや、未だに意識を取り戻していないとするもの、中には既に死亡したという話もあり、情報が錯綜していて確証を得たものは今のところありません。ただ、いまだ一色軍が城に籠って動きを見せないところを見るに、義龍の病状は決して軽く無いと推察出来ます。」
「デ……アルカ。」
気が抜けたような生返事を万千代に返し、釈然としない様子で信奈は腕を組む。
一方で周囲の将兵達は一斉に喜色満面となる。
「これは僥倖っ!義龍が動けぬとなれば美濃攻略はますます捗りますなぁ!」
「然り!しかもあの撤退を見るに一色家は相当混乱しておる様子。これは立ち直るまで時間が掛かりますぞ。」
「いやはや、田楽狭間に続き美濃でもこれ程の幸運を賜るとは。やはり姫様には天運が御座いますな!」
「………何ですって?」
喜ぶ家臣の言葉に信奈の眉が跳ね上げ低い声で問う。
ほんのそれだけで、一瞬にして陣中に緊張感が張りつめた。
「いま私には天運があるとか言った?それはつまり、此度の勝利は全て天の情けのお陰という事かしら?」
「姫様落ち着いて下さい。誰もその様なことは言ってません。」
「黙りなさい万千代。私は怒ってるんじゃ無いの。ただ敵の失態で拾った勝ちを、殊の外喜んでいる精神が信じられないだけ。挙げ句に天運などと不確かな物で主君を誉めれば私が喜ぶとでも思ったのかしら?前の敗戦で散々に反省したのに、望外の勝利で頭から抜け落ちた?だとしたらマムシの言う通り、勝利の余韻とはまさに毒酒ね。」
静かな、されど鋭利な刃物のように心に突き刺さる信奈の叱責に、先ほどまで喜びの声を上げていた家臣たちは皆一様に沈痛な面持ちで顔を伏せる。
その様子に、万千代は信奈の成長を実感した。
桶狭間同様に今回の戦も幸運に恵まれた勝利だったが、今日の信奈はそれに浮かれる事も無く、浮わついた配下の気持ちを瞬時に引き締めてみせた。
「良サル、あんたに美濃の豪族たちの調略を命じるわ。」
「えっ、俺がか?」
「二ヶ月もこの地にいたんだから土地勘ぐらいあるでしょ?もし不安なら秀サルと一緒にやれば良いわ。戦で苦労しなかった分も存分に励みなさい!」
「わ、分かった。」
「他の者達は攻め落とした砦の修繕を。もし損傷がひどいようなら打壊しておきなさい。祝宴なんてしてるヒマは無いわよ!ここでもう一働きして、一気に美濃を攻め獲るわよ。良いわねっ!」
「「「はっ!」」」
信奈の激に家臣たちは力強く声を上げた。
そんな中、良晴は一人複雑な表情で平伏している。
その脳裏には、二ヶ月もの間を共に過ごした親しき友の顔が浮かんでいた。
中濃の戦いから十日ほどたった頃。
その日、半兵衛の庵には珍しい訪問者が居た。
「そ、粗茶ですが。」
「うむ、頂こう。」
半兵衛のから茶碗を受け取ると訪問者は躊躇すること無く一気に呷る。
中身を飲みきり茶碗を畳に置くと訪問者、稲葉一鉄は感想も言わずに半兵衛を見据える。
その視線に思わず半兵衛は身を縮めるが、一鉄は気にした素振りも見せずに訪問した理由を告げる。
「単刀直入に申そう。我ら稲葉一族は織田方に付く事とした。氏家一族も同様だ。然らば安藤一族も織田に恭従を示し、西美濃の豪族衆の総意として織田へ降らんとしたい。」
「っ!?待って下さい!それはつまり、義龍様達を裏切るという事ですか!?」
「…義龍様は今も床に臥せり回復の兆しは無い。後継たる龍興は意識の無い父親の側を離れず、政務をおざなりにしている。そうしている間にも、織田は調略を仕掛けてきている。こうなった以上、一色家の建て直しは不可能だ。我らが生き残るには早い内に織田へ鞍替えするしか無い。お主ならそれくらい分かるであろう。」
一鉄の言葉に半兵衛は反論できない。むしろ全面的に同意せざるを得なかった。
中濃の戦い以降、織田軍は勝利の余韻に浸ること無く美濃南部での防衛線を構築し、勢力圏を確固たる物とした。
更には戦の翌日から周辺の豪族達へ調略を開始し、その手は早くも西美濃へと伸びようとしている。
その間、一色家は敗戦の混乱から抜け出せず有効な手立ては何一つ行えていない。
最早どう言い繕う事が出来ないほど、一色家は沈みゆく泥舟へと成り下がっていた。
「……一つお聞きします。なぜ直接叔父上にでは無く、私にこの話を持ってきたのですか?」
「…伊賀守は儂を嫌っておる。儂から直接話せば感情的に断るやもしれん。」
「それは………確かに…」
半兵衛にとっては優しく良い叔父の安藤守就であるが、少しでも気の合わない者に対しては徹底的に嫌悪するといった極端な気性がある。
一鉄の予想も十分あり得ると納得してしまった。
「本当なら直元に行かせたかったのだが、あいつはいま療養中だ。無理はさせられん。」
「…それで私ですか。」
要するに自分は叔父への説得役なのだと理解し、半兵衛は憂鬱に顔を曇らせる。
半兵衛に甘い守就なら、キチンと理を以て話せば了承するのは間違い無い。
ただそれは、半兵衛が叔父に対して一色を裏切るよう唆す事でもある。
半兵衛の脳裏では、幼なじみの若武者がらしくもなく顔を曇らせていた。
「儂に言わせれば、先に裏切ったのは龍興だ。」
そんな半兵衛の心中を知ってか、一鉄は抑揚の無い声でそう告げた。
「儂は伝令を通じて確かに言った。いまここで戦線を下げる訳にはいかぬのでそこを動くなと。だが龍興は進言を無視し、あろうことか配下を置き去りにして城に逃げ帰った。このような真似をされ尚も一色を支えようとする者がどれ程居ようか。」
「ですがそれは病に倒れた義龍様を救うためでっ!」
「だとしてもだ、他にやりようはあった筈だ。龍興は選べる限りで最悪の手段を選んでしまった。また同じ事をやりかねんと思われた以上、美濃の人間で心から龍興に尽くそうとする者は居らぬ。」
そう言って、一鉄はハッキリと龍興を身限った。
それに半兵衛が反論しないのを確認すると、一鉄は腰を上げ戸口へと向かう。
「守就を説得したら連絡をくれ。直元が動けるようになったら連名で織田方の使いに書状を送る。」
「…一つよろしいですか。織田の使いの方の御名前はなんと?」
「ん?確か、相良某という者らしい。」
「…そうですか。では最後にもう一つ。事が成った後、稲葉様は若様をどうされるおつもりで?」
「………事情はあれど、織田にとって我らは主君を裏切り、寝返って来た者達だ。表向きはどうあれ心の底から我らを信用せん。」
そう言うと一鉄は半兵衛から顔を背ける。
「裏切り者が最初にやるべきは、寝返り先の信用を得れるように死力を尽くした働きを見せること。それしかない。」
吐き捨てるように言い残し、一鉄は庵から去っていった。
その後姿を見送った半兵衛は、沈痛な面持ちで縁側の方へ顔を向ける。
そこはよく食事の後に龍興が酒をたしなむ場所であった。
今はそこに誰もいない。冷たさを感じる秋風が赤く染まった木の葉を運んでくる。
「裏切者がすべきことは、寝返り先の信用を得られるように死力を尽くす事。ですか…」
一鉄の言葉をそのまま汲むのであれば、恐らく稲葉山城攻めの先鋒を務める気でいるのだろう。
城攻めで最も重要かつ割を食う役目に自ら志願することで、一鉄は信奈の歓心を得ようとしているのだと半兵衛は理解した。
「ですがそれは、義龍様や龍興様が…」
稲葉山城がどれ程堅牢な城であろうと、西美濃の豪族たちが揃って織田に寝返れば籠城も厳しい。
そもそも援軍の可能性がない籠城策に勝利の芽は無い。つまり、一色家の命運は西美濃豪族衆の心が離れた時点で詰みであった。
そして、城を落とされた城主の命運など古今東西どこを見ても碌なものではない。
「もはや大名としての一色家を残すのは不可能です。だけど…」
半兵衛の脳裏には一つの策があった。
それが成れば最も被害が少なく織田と一色の戦を終わらせる事が出来る。
美濃の民が傷つくこと無く、一族が責めを負うことも無く、幼馴染みを死なせることも無い。
そしてその代償は…
「私の人生…」
この策が成れば、半兵衛は否が応でも戦国の表舞台に立たざるを得ぬだろう。
それは静かで穏やかな日々を愛す半兵衛にとって、尊き日常を手放すことを意味している。
時間を気にせず書物を嗜み、四季の移ろいを漢詩に謳い、親しき友と碁石を並べる。
そんな日々とは縁遠くなるだろう。
その代わりに、国を傾かせる謀を成し、何千何万もの命を奪う策を練る。きっとそんな日々が待っている。
「………ははっ。なんですかそれは…」
乾いた笑い声と共に半兵衛は顔を上げた。
その目は真っ赤に充血しながらも、知性の輝きが爛々と瞬いている。
「その程度で救えるものがあるなら、私の道は決まっています。」
その顔は泣いているようであり、怒っているようであり、憑き物が落ちたかのように晴れやかでもあり、死に行くように悲壮でもあった。
或いはその表情は一言で表すなら、こう言う他ない。
竹中半兵衛は戦国武将の顔となっていた。
その日、良晴は秀吉と数人の供を連れ、美濃南部に建つ加治田城を訪れていた。
「じゃあ加治田城内の兵達は武器を捨てて城を出る。城代並びにその家族は城に残り、新たに来る織田家の人間の傘下に入る、って条件で良いんだな?」
「ははぁ。慎んでお受けいたします。」
そう言って頭を下げる加治田城代の言葉に、良晴はホッと胸を撫で下ろす。
加治田城は美濃と飛騨を繋ぐ街道に位置する要所にして、その難攻不落さから『却敵城』の異名でも呼ばれる南美濃の要害であった。
しかし、加治田城の城主である佐藤氏が先の戦で戦死し、他の近親の一族も悉く討ち死にした為、残された家臣たちは取り敢えずの城代を置いて一色家の判断を仰いだ。
だが、一色家は『城の守りを堅めよ』と言ったきりで加治田城を放置した。
この扱いに城代以下の家臣たちは憤り、ちょうど良く良晴が調略に来た事もあり、素直に説得に応じ城を明け渡す約束をするに至る。
これにより、軍事的にも政治的にも織田は南美濃を完全掌握するに至った。
「まあ何はともあれ、これからは同じ織田の仲間だ。ついこの間まで戦をしていたから簡単には割り切れないかもしれないけど、よろしくな。」
「は、ははぁ。有難きお言葉に御座います。」
良晴が人好きのする笑顔で告げると、城代は僅かばかり緊張が解れた様子でもう一度頭を下げる。
それを見た良晴は、やっぱり年上の人から頭下げられるのは慣れねぇなぁ…、などと内心で苦笑いを浮かべていた。
信奈の命を受け豪族たちの調略に勤しむ良晴だったが、その経過は順調そのものであった。
ほとんどの豪族たちは書状を送ればあっさりと面会を受け入れ、話してみれば進んで降伏を受け入れた。
念のため面会には秀吉と前野長康にも付いて来てもらっているが、話し合いはほぼ良晴のみで事が足りていた。
「歯ごたえの無いというのはこの事だな。城主が討ち死にしたとて難攻不落と謳われた加治田城がこうもあっさり落ちるとは。」
「それだけ一色家への信頼が失われたという事じゃろ。このまま義理を通して城を守るよりも、織田に降った方が一族の命運を保てる。何も間違っちゃおらん。」
加治田城からの帰り道、長康と秀吉がそんな話をしていた。
長康にとっては美濃は生まれ故郷。そこで一度も落とされていないことに定評のあった堅城が、自分の所属する陣営によりあっさりと落とされたことに少々な複雑な感情を抱いている様子である。
「一色なんざと割り切っていたが、こうなってくると少々心苦しくなるもんだ。何だかんだ言って、俺も美濃の人間だったって事だな。」
「…意外だな。長康もそんな風に思ったりするんだ。」
「なんだ良晴。俺をただ暴れたいだけの川族とでも思っていたか?」
「………いや、そう言う風に感傷的にも成るんだなって思ってさ。」
ただの露摛魂野郎だと思ってた、という言葉を何とか飲み込み答えれば、長康は少しだけ遠い目をしていた。
「俺だってそう言う時もあるさ。ガキの頃よく遊んだ馴染みが、首だけになってんのを見つけたりしたら尚更な。」
「あっ、ご、ゴメン。」
「謝んなって。それも含めて割り切ろうとしてんだ。お前が謝る必要は無い。」
顔を曇らせる良晴の肩を叩き、長康は柔和な笑みを見せる。
そうして道中を歩いていると、前方の家屋の前で人だかりか出来ているのを見つけた。
「なんだありゃ?」
興味を引かれた良晴が近づいて見ると、薄汚れた着物の農民の女性が、娘とおぼしき少女を着流しの商人の前に立たせていた。
「それじゃあ、よろしくお願いします…」
「おう。ほれ嬢ちゃん、お別れだ。親に挨拶しとけ。」
商人に促され母親の方を向き直る娘。その相貌は涙で濡れていた。
「…おっかぁ…あたし行きたくねぇ…」
「…ツナ、堪忍してくれ…」
「っ!?イヤだっ!遊里になんて行きたくねぇっ!助けてくれんっ、おっかぁっ!」
「おいっ!それ以上親困らせんじゃねぇ!」
商人の男は娘の頬を張ると、腕を引っ張って部下に渡す。
張り手をされた娘は抵抗する気力を失い、母親は頭を下げたまま「堪忍して…堪忍して…」と何度も繰り返している。
「あれって…」
「ああ、人買いじゃな。おおかた先の戦で男手が死んだんじゃろ。残された者達が冬を乗り越える為に、娘を女郎に売ったところじゃな。」
「なんだって!?」
秀吉の言葉に眼を剥くと、良晴は娘を連れていこうとする商人の元へと走りだそうとする。
しかし、その腕を長康に掴まれ引き留められる。
「余計な事をすんな。困るのはあの家族だ。」
「長康っ!?だけどっ!」
「それに、あそこにお前が行って何をするつもりだ?金を出して娘を買い戻してやるか?そうすりゃきっと、お優しい織田の侍様は慈悲を縋れば惜しまず金を出してくれるって噂になるだろな。」
「良晴よ、あの様な一家は戦の後には珍しく無い。それをいちいち救い上げる事は出来ぬし、下手に救うべきでは無い。姫様まで困らせる。」
長康と秀吉の説得に良晴は唇を噛み締めるが、やがて力を抜くと頭を垂れた。
もう一度あの一家の方を見ると、商人達は既に居らず、母親のみが微動だもせずその場で泣いていた。
「………秀吉さん、どうやったらあの人達を全員救えるようになるのかなぁ?」
「…さあの。少なくとも天下人に成ったくらいでは、あの光景を無くす事は出来ないじゃろ。」
どこか悔やむような、諦めたような溜め息混じりの秀吉の言葉が、良晴の耳にやけに残った。
「あっ、お頭!ちょうど良いところに戻られました。」
良晴達が拠点としている砦に戻ると、川並衆の男が慌てた様子で長康に近づいて来る。
「おう、何かあったのか?」
「それが相良の旦那に客でさぁ。」
「俺に?」
「へい。大層別嬪なお嬢さんです。旦那もなかなかやりますねぇ。イテッ!?」
イヤらしい笑みで良晴をからかう部下に長康が拳骨を喰らわせる。
一方で良晴は首をかしげていた。
大層な別嬪と言える知り合いは、良晴がパッと思い付く限り織田の姫武将ばかりである。だが織田の武将であれば、態々そんな遠回しな言い方はしないだろうし、そもそも本隊との遣り取りは基本的に書状で行うようになっている。
とすれば、調略をした豪族からの使者だろうかと少し緊張しながらも、良晴は客人が待つ部屋に秀吉達と共に入る。
「お待たせ。俺が織田の交渉役の…って月!?」
部屋で待っていたのは菩提山の庵で毎日のように顔を合わせていた少女、月であった。
予想外の人物に驚きながらも、良晴は月の対面に腰を降ろした。
それに対し、月は恭しく頭を下げた。
「いったいどうしたんだよ月?お前一人でこんな所まで来るなんて。」
「…いいえ。私は月などと言う娘では御座いません。私は…」
そう言ってゆっくりと顔を上げる少女の表情に良晴は息を呑んだ。
その顔を良晴はよく知っている。己が仕える主君がする顔ゆえに。己が目標とする友がする顔ゆえに。
この子はいったい誰だ。
そんな言葉を思わず吐き出しそうになった。
戸惑う良晴を尻目に、少女は戦国武将の瞳で真っ直ぐに良晴を居抜く。
「私は西美濃豪族、安藤守就の姪にして菩提城主。桓武平氏の流れを祖とする鎌倉氏系竹中家の当主、竹中半兵衛重治に御座います!此度は一族を代表し、相良様に献策したく馳せ参じました。」
「献策って…」
「…稲葉山城を一兵も損なうこと無く落とす策に御座います。これを以て西美濃豪族衆一同の織田家への恭従を示す事をお許しください。」
その言葉に良晴は、思わず秀吉の方へと視線を向ける。
秀吉は少し哀しそうな眼差しで、友であり続けたいと望んだ少女を見ていた。
稲葉山城の城主の間。
その主たる一色義龍は、戦場で倒れてから意識を戻さぬまま今も病床に臥している。
その傍らには思い詰めた表情で息子の龍興がじっと動かずにいる。
そうしていると不意に襖が開き、神経質そうな細身の若者が顔を覗かせた。
「失礼いたします。斎藤飛騨、ただいま戻りました。」
「おう、お疲れ飛騨。」
疲れた様子の若者に龍興が労いの言葉を送る。
若者の名は斎藤飛騨。
元は美濃守護代の家系の斎藤氏の出自であるが、血筋的には道三達とは一切関係無い。
しかしながら、龍興にとって数少ない同年代である事と、家柄の面から側近に抜擢されていた。
「で、どうだった。越前の若殿の反応は?」
「…申し訳御座いません。色好い返事は…」
「…そうか。まぁ仕方ねぇよな、こればっかりは。」
悔しそうに絞り出した飛騨の返答に、龍興は自虐の籠った溜め息を吐く。
「左衛門督曰く、越前はこれより本格的に雪が深くなるため美濃まで兵を送ることは出来ぬと。冬を超えたらもう一度、越前に赴き朝倉殿の御助力を願い出に…」
「いや、いい。おそらく越前の若殿にも見限られてる。同盟を結んだ建前上、適当な断り文句を言ってるだけだ。」
朝倉と一色は対浅井を念頭に置いた同盟関係にあった。だがこの時すでに、龍興の言うように朝倉は一色の命運が最早無いと見切っていたとされる。
敗戦後、城に籠った龍興だったが、その間何もしていなかった訳ではない。
医師の懸命な治療により義龍の病状がひとまず落ち着くと、配下の豪族達にはまずは防備を整えるように指示を出し、朝倉や六角のような近隣の友好国へと書状を送り助力を願い出た。この時はまだ、龍興も織田との勝負を投げてはいなかったのだ。
しかし、織田の攻勢は龍興の予想を遥かに越えていた。
速攻じみた調略により、龍興の指示が届くより早く城を明け渡す城主は数多に上り、防衛体制の構築は早々にして破綻。
そのような状況を見て他の豪族も立て続けに織田に降るという悪循環により、一色の勢力圏は短期間に激減した。
こうした状況では他国も一色を救援する価値を見出だせず、嘗ての同盟国は早々に美濃から手を引く。
どこからどう見ても、一色は詰んでいた。
「…こうなってくると、親父の言葉が胸に染みる。」
中濃の戦いで愚将としての評価を下された龍興だったが、それ以前からの悪評も豪族の離反を招いていた。
元服してからも城下を遊び歩き、女が絡まないと嫌なことから逃げ回りまともに政務をしない。
そんな龍興の姿を、豪族達は軟弱で怠惰な子息として見ていた。
『お前が思っている以上にお前は周りから見られているのだ。』
戦の前に義龍から言われた事が思い出される。
なるほど確かに自分は周りから見られていたのだな、と今更ながら龍興は己の過去の言動を悔いていた。
「あの、よろしいでしょうか?」
「ん?どうした。」
物思いに耽っていると、飛騨の後ろから小姓が声をかけてきた。
「たった今、竹中重治様が御来訪されています。何でも、大殿の御見舞いに参られたとのこと。」
「半兵衛が親父の見舞いに?」
小姓の言葉に眉間に皺を寄せる龍興だったが、程なくフッと顔を緩ませる。
「そうか。じゃあ、そのまま通してくれ。」
「あっ、それでは腰のお召し物をお預かりし、従者の方には下で待って貰って…」
「しなくていいよ、そんなこと。そのまま部屋に通してくれ。」
「いや、ですが…」
「大丈夫。半兵衛は知った仲だ。なんの気遣いも要らねぇよ。」
龍興と半兵衛が不仲という噂を知ってか、小姓は龍興に配慮しようとするが、龍興はそれを留める。
どこか納得しかねる様子の小姓だったが、龍興に促され部屋から下がる。
程なくすると、小姓は半兵衛を先頭にした一団を連れてくる。
「………」
「………」
「…こうしてこの城で話をするのは、お前が廊下で小便を漏らした時以来だな。」
「いきなりその話を切り出しますかっ!?」
一言目からぶっこんだ龍興の発言に、半兵衛は顔を真っ赤にして大声を上げる。
半兵衛の従者の内何人かは「えっ、小便?」と半兵衛を見た。
その様子をケラケラと笑った龍興だったが、すぐに笑いを納めると真剣な表情で口を開く。
「冗談はさておき、親父の見舞いに来たと聞いているが、本当は違うんだろ。」
「……はい。龍興様と義龍様。その御身を預かりに参りましたっ!」
半兵衛が答えた瞬間、控えていた従者達が一斉に刀を抜き飛騨や小姓達に突き付け動きを封じる。
その様子を龍興は微動だにせず眺めていた。
一方で、いきなり首元に刃を突き付けられた飛騨は息を呑むと、目を剥いて半兵衛を睨み付けた。
「っ!?重治っ!貴様裏切ったかぁっ!義龍様に刃を向け、それでも温情を与えられながら恩を仇で返すとはっ!恥を知れっ!」
「落ち着け飛騨。どちらにしろ俺達は詰んでたんだ。にも関わらず、わざわざ城に乗り込んで来たのは、俺と親父の命を救うためか?」
どこまでも冷静で、悟りきったかのような龍興の問い掛けに半兵衛は唇を噛んで俯く。
その表情が何よりの答えだった。
「西美濃衆は既に離反すると決めている。だが織田方に着くにも信用を得るだけの手土産が必要だ。例えば、危険を顧みず少数名で敵本拠に乗り込み城主を捕縛するとかな。それだけの手柄であれば信用を得る手土産としては申し分なく、褒美として捕らえた者たちの助命を願えば、織田方としても無碍には出来ぬ。ってところか?」
どこか楽しげに、まるで唄でも吟じているかの如く龍興が語った内容は、半兵衛の狙いそのものだった。
半兵衛は知らぬ内に拳を固く握りしめていた。
「…良くぞ…そこまで。」
「まあな。これがお前以外だったら分からなかっただろうな。お前が考えそうなことを想像したら、なんとなく分かった。」
その言葉に半兵衛は涙が出そうになった。だがその姿を隠すかのように、大きな背中が半兵衛の視界を遮った。
「そこまで分かっているなら大人しく降伏せよ。さすれば命ばかりは獲りはせん。」
「おおっ!誰かと思えば爺ちゃんじゃねぇか。暗くて良く分からなかった。ん?後ろにいるのは良晴に秀吉か。これはまた随分と見知った顔が集まったもんだ。よしっ!ちょっと待っててくれ。」
そう言って立ち上がると、龍興は部屋の隅の戸棚に向かう。
半兵衛の部下が止めようとするが、道三がそれを手で制した。しばらくすると、銚子と盃を持って戻ってきた。
「元々は親父が一人で楽しむ用にわざわざ蔵元から取り寄せていたものだが、せっかく顔見知りが集まったんだ。それに良い酒は一人で飲むより、気心が知れてる奴らと飲んだ方が楽しい。だろ?」
龍興は床に四つ盃を並べると、そこに酒を満たしていく。そして手に持った自分の盃に酒を注ぐと、周囲から見えるように飲み干した。
「どうだい、俺の誘い受けちゃくれねぇか?」
その問いの後、僅かな間静寂が部屋を包む。しかし、誘われた四人は不思議と顔を見合わせることも無く、ごく自然にそれぞれの盃の前に座り、静かに盃を明けた。
それを見て龍興は嬉しそうに笑う。
「…なぜだ。どうしてお前達は天下を望まなかった。その資格はあっただろうに…」
暫くの間、無言で酒を飲み交わしていたところに、不意に絞り出すように道三が呟く。
そこには嘗て天下を狙った戦国武将として、血を分け与えた子と孫に対するやるせない想いが込められていた。
祖父の言葉に龍興は苦笑いを浮かべる。
「そりゃ買い被りすぎだぜじいちゃん。親父は兎も角、俺は精々一地方領主が限界さ。それで十分満足出来る。じいちゃんとは同じ夢を見れねぇ。」
無位無官の油売りから身を興し、己の智謀と腕っぷしで美濃の地を奪い取った道三。
美濃の地で生まれ育ち、所領を守る武士として育った義龍と龍興。
血の繋がった肉親とはいえ、彼らの境遇はあまりにも違っていた。見える景色は何もかも違っていた。
道三は己の力量で天下の頂を手にする事を夢とし、その理想を信奈に託した。
義龍と龍興は生まれ育った故郷の日常を愛し、現実として目の前にある営みを守らんとした。
長良川の戦いに始まり、中濃の戦いを経て今日まで繰り広げられた美濃を巡る一連の闘争は、そうした道三と息子たちの理想と現実のせめぎ合いと言えるかもしれない。
「なあ、俺からも聞かせてくれ。織田信奈はなぜ天下を求める?」
今度は龍興が良晴たちの方を見て問いかける。その顔は真剣そのもの。ここでの問答が、この戦の結末を決めるものになると、良晴にも理解できた。
良晴が秀吉に目配りすると、秀吉は頷き口を開いた。
「…信奈様は武を以て天下を治め、日ノ本の地より戦を無くされる。而して政を安定させた後、自ら国外へと渡って各国と交易を行う。場合によっては海外にも領地を持ち、その地を豊かにされるだろう。」
「ほう。それは立派なことだ。だがそれはお前さんの主君が遣ろうとしている事だろ?俺が知りたいのは織田信奈という女が何をしたくて天下を欲しているのかだ。」
「信奈様が何をしたいか、か…」
龍興の疑問を繰り返し、秀吉は思いを馳せる。
考えてみれば信長にしろ信奈にしろ、何がしたくて天下統一、さらにその先の国外進出を目指していたか、秀吉は知る機会がなかった。
朝鮮に侵攻したのも、それが信長が生前天下統一の先に計画していたからであって、秀吉自身は何かをしたかった訳ではない。改めて思い起こすと恥ずかしさで顔を埋めたくなるような所業だ。
「なあ、俺は思うんだ。幾多の国と家を滅ぼし、何千何万もの命を奪い、数多の恨み辛みを買った末に天下を統一したとして、それに見合うものは手に入るのか?たとえ太平泰安の世を目指し、日ノ本の民の安寧を願う政をしようと、何か一つでも失態をしようものならば、多くの者から批判されるぜ。」
それはまさしく秀吉が生前経験した事だった。
結果としては信長の夢の後追いでしかなかったが、当時の秀吉は天下の為政者として戦乱の世を終わらせ、太平の世を築こうとする気概が有り、そのための政策もいくつも実行した。
だが、民というのは秀吉が想像するよりも遥かに傲慢で移り気であった。
秀吉の事を天下一の出世男と称えたその口が、数か月後には所詮成り上がり者の種無し男と蔑み、大地震の原因までも秀吉の徳が無いからだと囁いた。
挙句に秀吉がこの世で最も愛した我が子までも貶められ、何のために天下を治めたのかと秀吉を苦悩させた。
龍興の予想は、そうした天下人の孤独の本質を捕らえていた。
「なあ、どうして皆そんなに天下を求めるんだ。人々の為にと心血を注ぎ、その結果多く者からの憎しみを背負い、そうして手にした天下のその先に何があるっていうんだ?なんでそんな風になってまで、お前たちは修羅の道を進めるんだ?教えてくれ…」
静かに、されど切実に龍興は問う。
その問いに秀吉は答えられない。あの時手にした天下は仮初の夢、信長の目指した物でしかない故に。
半兵衛にとっては天下に思いを馳せるなどという大それた事、想像すらしこなかった。
道三も答えられない。嘗ては天下を夢見たとはいえ、夢破れて他人に託した男に、天下の先など答えられる筈がなかった。
「…未来のため、じゃねぇかなぁ…」
答えたのは良晴であった。
まるで思わず口にしたかのように溢れ落ちた一言は、一瞬の静まりにあった場に良く響く。
「未来のため、だと?」
「ああ。実はさ、オレこの前初めて人が買われるのを見たんだ。俺のいた国じゃ、そんな光景まず見る事は無い。それだけじゃねえぞ。水争いなんて起こらないし、普通に飲める水で毎日風呂に入れる。あと、どこに行っても真夜中でも商品を売ってる店があって、食べ物から日用品まで何でも手に入る。警察、こっちでいう警邏の人達はみんな真面目に治安を維持してくれていて、夜でも女性や子供が安心して歩ける。戦争なんて七十年以上前の事で、それ以来一度も起きていない。」
良晴が語るのは現代日本の日常。されどそれは、戦国の世では絶対に手に入らないもの。
その内容に、秀吉でさえも圧倒された。
「犯罪さえ起こさなければ、どんな宗教や外国の人達だって受け入れる。大地震や大津波があっても暴動や略奪が起こらない。それどころか、災害が起こればすぐに国が救助隊を派遣して被災者を助けてくれる。子供達はみんな学問を習う事が出来て、努力次第で商人にも学者にでも、政治家にだって成れる。政治家を批判してもよほど酷くなければ許されるし、政治家も批判ばっかされるけど、なんやかんやで今言った社会を何十年も維持できてる。」
「おい良晴、何言ってんだ?そんな国あるわけが…」
「それがあるんだよ、龍興。俺はその国で生まれ育った。まあガキの俺から見ても全く問題が無いわけじゃないぞ。毎日のように悲惨な事件の報道はされてたし、さっき言った日常を得られない人たちも、全体から見れば少ないけど確実にいた。それでも、今のこの国と比べた時、俺の国の方が圧倒的に幸せで平和な国だったて断言するぜ。」
戦国の世に来て数ヶ月。まだまだ故郷の情景は色褪せないが、このまま時が経てば遠い過去の物と成るだろう。
それでも、最早帰る事すら叶わなくとも、龍興が否定した国こそ、良晴にとっての愛しく懐かしき故郷であった。
「だけどな、俺の国だって最初からそうだった訳じゃない。何度も戦争があって、数えきれないような犠牲があって、漸く大多数の人が平和だって言える国を作ったんだ。それが出来たのは、きっと未来を良くしたいって人の意志が有ったからだと思うんだ。この国から争いを無くしたい。苦しい思いをする人を少しでも無くしたい。例え武力によって強制的に天下を統一したとしても、未来のためにっていう意志がなきゃ平和な国は作れない。きっとそういう人達が俺の故郷を作ったんだ。」
良晴は乱世の無情を知り、平和の尊さを知った。
また、これより四百年の歴史を知る者として、平和の尊さを訴えたところで乱世を終わらせられないと知っている。
ならば何をするか?
ここに至って良晴は己の成すべき事を悟った。
「俺は平和で幸福な国を知っている。俺はこの国を、俺の故郷のようにしたい!もちろん俺が生きてる間に出来るとは思えねぇけど、信奈の天下統一を助けて、この国の歴史を進めて、少しでもいいからこの国を発展させる。そんで未来を良くするって考えを後世に伝えて、四百年後のこの国が、いや、一年でも、一日でも早く、俺の故郷のような平和で幸福な国になっているようにしたい!それが、俺の戦国武将としての夢だっ!」
嘗て秀吉が今世での夢を語った時、良晴はその姿に憧れ、背中を追いかける事しか出来なかった。
だが今まさに、良晴は己の夢を定めた。
その夢は、天下統一の先を目指すもの。
未来人としての知識を惜しみ無く使い、歴史の流れを進め、己の知らぬ未来を作ろうする行為。
あまりにも壮大かつ傲慢な夢に、部屋にいた者達は言葉を失う。
良晴の夢に比べれば、信奈の夢さえ小さく見えた。
「うつけの臣下は…やはりうつけよなぁ…」
低く、掠れた声が離れた場所から聞こえた。
それを聞いた龍興は、ハッと声のした方を振り向く。
そこには、横になったままうっすらと眼を開いた義龍が微笑をしていた。
「親父っ!?目が覚めたのか!」
「ああ、なにやら馬鹿げた話が聞こえてきたものでな。」
「な、なんだとっ!?」
義龍の言い様に良晴は立ち上がる。だが、そんな反応にさえ義龍は楽しそうに笑った。
「小僧、俺にはお前の話が信じられん。民の大部分が平和で幸福な日々を過ごせているだと?そんなふざけた夢のような国…いや、そんな国は夢でさえ見る事が叶わぬ。」
義龍の言うことは事実だった。この場にいるすべての人間が、良晴から具体的な話を聞いても、その全容を想像する事も出来ないだろう。
四百年後の平和の世を想像するには、戦国の世はあまりにも無情だった。
「だが腹立たしい事に…俺はお前の話を聞いて、羨ましいと思うてしまった。それがどれ程はるか先の未来にあろうと、それを目指そうとする小僧の気概に憧れてしまった。なあ…小僧…お前の言う国は…確かにあるのだな?」
「……ああ、俺の故郷は確かにある。」
「………そうか……そうか…それは…いい夢だ…」
良晴の答えに満足そうに頷くと、義龍はその視線を我が子へと向けた。
「喜太郎よ…この戦…我らの負けよ…」
「…だな。ごめんっ、親父っ…俺が…不甲斐ないせいで…」
「…ふん。元はと言えば…戦中に倒れた俺の責任だ……だから泣くな…男であろう。」
義龍は顔を押さえ啜り泣く龍興に震える手を伸ばすと、その頭を優しく撫でた。
それから今度は道三へと視線を向けた。
「父上…このような体で申し訳ありません。願わくば…信奈殿に言伝を…」
「…なんと伝えればよい?」
「…美濃の民を……尾張の民と同様に…愛して下され。さすれば…美濃の民は…必ずやその心遣いに応えます。」
「…ああ、必ずや伝えよう。この儂の命を懸けて。」
「…ありがとう御座います。」
体を横たえた我が子の弱弱しい姿に言葉を詰まらせながらも約束した道三に、義龍は感謝の言葉を伝える。
その言葉に、美濃の蝮と恐れられた男の瞳から、一筋の雫が零れた。
「義龍よ、儂はお前を見誤っておった。お主は、真に良き領主である!我が自慢の息子だっ!」
「…そのお言葉っ…まことに有難くっ!夢のように…御座います…」
信奈公記によれば、竹中半兵衛の主導の元、天下の堅城と謳われた稲葉山城は僅か十四名の手勢により占拠された。
この時の手勢には木下秀吉、斎藤道三、そして相良良晴などが参加しており、彼らは城主の間で一色義龍、龍興親子と対面し、これ以上の戦は無益と説き、城の開城を認めさせたとされている。
一色義龍が息を引き取ったのは、その翌日の事だった。
享年三十五歳。織田信奈の生涯の宿敵と成り得た男の、早すぎる死であり、義龍の死を以て一色家は完全降伏。美濃一色家は大名としての歴史を終えた。
今宵はこれまでに致しとう御座ります。
・一色義龍
史実では、織田信長の度重なる侵攻を何度も跳ねのけ、もし長生きしていれば信長の覇業を阻んでいたかもの知れないと言われることもある。
死因については詳しい事は分かっておらず、信長による暗殺説も唱えられている。
何れにしろ、彼の元では美濃の豪族たちもよく従っており、その死によって美濃の内部崩壊が始まるなど、その影響力は非常に高かったと思われる。