フィーネが月の欠片を地球に投げ、それを阻止してから数週間が経った。
この事件は後にルナアタック事件と呼ばれ、テレビで数日報道された後は皆元の日常に戻って行った。
そして、機動部二課のルナアタック事件の処理の仕事も落ち着きが見えた頃、大我達四人は、これまでちゃんと顔合わせをしていなかったということもあって何度も世話になった職員二人と食事に来ていた。
「俺は藤尭朔也。改めてよろしく」
「友里あおいです。今後ともよろしくお願いします」
「俺は東大我。こちらこそ、よろしくな」
「私はタイタス。改めて、よろしくお願いします」
「俺は碧風舞。よろしく頼むぜ」
「俺は諸星昴。よろしくな」
「そう言えば、四人はどうして二課に?」
「正直、二課より良い職場は沢山あると思うけどな」
「確かに、他の職場の方がずっと安全で、ノイズと戦うこともないのでしょうが、私達は人を守ることにやりがいを感じるのです」
「ああ。直接ノイズとは戦えないけど、ノイズと戦う響や零を精一杯サポートするのが、一緒に戦ってる、って思うんだ」
「へぇー…」
「でも、確かに二人の言う通りね。私達も一緒に戦ってる、って思うわ」
「そういう事。だから、俺達もこの仕事気に入ってるのさ」
その頃、零は響と一緒に弦十郎の元で修行を行っていた。
「ふっ!はっ!てやぁ!」
「はっ!だだだっ!でやっ!」
「まだまだ二人とも動きに隙が大きいな。ふんっ!」
弦十郎は二人の攻撃の一瞬の隙をついて地面を殴り、衝撃波を二人に喰らわせた。
「わあああ!」
「ぐあっ!」
その衝撃波で二人は吹き飛ばされ、地面に尻もちをついた。
「あたたた…やっぱ師匠にはまだまだ敵わないなぁ」
「あともう少しなんだけど…」
「とは言え、二人の腕も着実に上がってきている。この調子ならば近いうちに俺に一撃を喰らわせるのも近いだろうよ」
「よーし!師匠!もう一本!お願いします!」
「よし!来いッ!」
再び零と響は立ち上がり、弦十郎と組手を始めた。
その様子を和服を着た一人の修行僧の様な老齢の男が見ており、フッと笑うとどこかに立ち去って行った。
ある程度お互いの話も終わり、大我達は店を出た。
「ありがとうございましたー」
「さてと、これからどうする?」
「せっかくのオフなんだし、どこか身体を動かせるような場所がいいな」
「おっ、良いなそれ。どこに行く?」
すると、大我達の前にフードを被った男が現れた。
「探したぞ…」
「…誰だ!」
大我は朔也とあおいを手で自分の後ろに下げた。
「悪いが、私達には君のような知り合いはいない」
「これでもかな?」
そう言うと、男は青と黒の機械を取り出し、トリガーを押して、謎の空間に消えていった。
「…ゼットライザー!?何でこんな所に!?」
「い、いや、それよりも何でそれをアイツが持ってるんだ!?」
男は、インナースペースの中でゼットライザーに怪獣の姿が描かれたメダルを三枚装填した。
「宇宙怪獣…透明怪獣…再生怪獣…」
『Bemlar!Neronga!Gieron monster!』
「超融合…!」
『Try Devil!』
辺りにバチバチという雷が破裂する様な音を立てて、上空にワームホールが出現し、そこから五十メートルの怪獣がビルをなぎ倒しながら降り立った。
超融魔獣トライデビル。身体はベムラーがベースになっているが、その背中と頭にはネロンガの青い角が三本生え、その背中にはギエロン星獣の翼が生え、その目は白く染まり、黒目がなく、腕にもギエロン星獣の翼を思わせるヒレの様なものがつき、腹部も同様にギエロン星獣の物が使われていた。
「グガルルル…!グギャァァー!」
「なんだよあの怪獣!?」
「どうやら、我々や昴の父が倒した怪獣がそのパーツに使われているようだ」
「相手は三体合体だけど、こっちは三手に分かれて戦うしかないようだな…大我、トライストリウムはまだ取っておこうぜ。この状況では何回変身できるか分かんねえからな」
「分かった!行くぞ!二人共!」
「ああ!」
「うむ!」
『カモン!』
「「「光の勇者!タイガ!/力の賢者!タイタス!/風の覇者!フーマ!」」」
三人はそれぞれのウルトラアクセサリーを翳し、タイガスパークを持つ手にアクセサリーを握った。
「「「バディー!ゴー!」」」
『ウルトラマンタイガ!/ウルトラマンタイタス!/ウルトラマンフーマ!』
「シュアッ!」「ムン!」「シェアッ!」
三人のウルトラマンが土を巻き上げながら地響きを起こして着地し、ゆっくりと立ち上がった。
「あ…あ…!」
「う…ウルトラマン!?」
「昴、二人を頼む」
タイガは昴の方を見下ろして言い、昴もそれに頷いて二人を安全なところに避難させた。
「ここじゃ人が多い。場所を変えさせて貰うぞ!」
タイガ達三人はその場から飛び上がり、トライデビルの身体にタックルするように持ち上げ、あまり人がいない山の方に降ろした。
「シュアッ!」
「フンッ!」
「シェアッ!」
タイガ、タイタス、フーマはそれぞれ構えを取った。
[Buddy,Steady,Go! Vo.寺島拓篤 出典:ウルトラマンタイガ]
「ハァッ!」
タイガは構えを取りながらトライデビルに向かって走り出し、トライデビルの尻尾のなぎ払いをかわして上空に飛び上がり、その隙にタイタスがトライデビルの尻尾を掴んで動きを止め、フーマはタイガと同時に交差するようにトライデビルの頭部にキックを放った。
トライデビルは角から電撃を放ち、タイガとフーマを襲うもタイタスがその間に割って入り、プラニウムバスターで相殺させ、その後ろからタイガとフーマがトライデビルに手から光線を出して攻撃した。
「グガルルル…!!」
「どうした!もっと来いよ!」
フーマはトライデビルを煽るように指を二回曲げ、トライデビルは口から雷が混ざった青白い熱線をフーマに放った。
それに直撃したフーマの身体はポンッと言う音と同時に煙に代わり、トライデビルは驚いた顔をすると同時にフーマが後ろから姿を現し、クロスチョップをトライデビルに喰らわせた。
「私の事を忘れてもらっては困るな!ハァッ!」
タイタスはトライデビルの頭をぐっと掴むと強力なヘッドバットを喰らわせ、トライデビルはネロンガの透明化の能力を使って姿を消した。
「私のウルトラマッスルにはその程度では通用せんぞ!」
タイタスは意識を集中させる様に上腕二頭筋を見せつけるポーズを取り、トライデビルが姿を現すよりも先に前方に拳を突き出して攻撃を喰らわせ、トライデビルも姿を現した。
「なんて奴らだ…だがこれならどうかな?磁力怪獣!戦車怪獣!」
『Antrar! Dinosaur tank!Five Devil!』
トライデビルの両腕にアントラーの頭部と恐竜戦車の頭部と戦車部分が生成され、ファイブデビルへと進化した。
「な、何!?」
ファイブデビルはアントラーの頭部から磁力光線を放ち、タイガ達の身体を自身に引き寄せた。
「させるか!」
フーマは手裏剣状の光線、光波手裏剣を放つもファイブデビルには通用しなかった。いや、アントラーや恐竜戦車の力も取り込んだことでちょっとやそっとの光線技では通用しなくなっているのだ。
「グガルルルル…!!」
そして、三人を至近距離に引き寄せたところで電撃、ペイル熱線、三連戦車砲の全ての光線をタイガ達に喰らわせた。
「ぐああああ!!」
「がああああ!」
「これほどとは…!」
三人のカラータイマーが鳴り、その場で膝をついた。
「くっ…!」
ファイブデビルは耳元まで裂けた口を更に歪ませるように笑い、その場で透明化するとどこからともなく三人に無数の光弾を浴びせた。
「交代だ!タイガ!」
「昴…!分かった!」
三人は変身を解いて人間態に戻り、昴はウルトラゼロアイを目元にかざした。
「デヤッ!」
タイガ達に代わり、赤と青の身体と二本のスラッガーを持つ若き戦士、ウルトラマンゼロがファイブデビルの前に立った。
「さあ、やろうぜ!デヤッ!」
「昴さんも…ウルトラマン…」
「ああ。しかもゼロは強いぜ。なんたってゼロは…」
「なんだ貴様は…!」
「ウルトラマンゼロ!セブンの息子だ!」
そう言ってゼロは構えを取った。
「ウルトラマンゼロ…」
ファイブデビルはゼロに向かって走り出し、ゼロもそれに向かって行った。
ゼロは頭部のゼロスラッガーを飛ばし、ファイブデビルの腹部を蹴飛ばしてからゼロスラッガーでファイブデビルの両腕を切り落とした。
「どうした?大したことねえな!」
「そいつはどうかな?」
すると、ファイブデビルの両腕が元通り再生され、何事も無かったかの様に元の姿に戻った。
「何っ!?」
「どうだ!ウルトラマンゼロォォッ!?」
ゼロは額のビームランプからエメリウムスラッシュを放った。
「今更それくらいでビビらねえぜ。ハッ!」
ゼロは更に脚に炎を纏わせてファイブデビルに回し蹴りを喰らわせ、更に拳にも炎を纏わせて腹部に強烈な連撃を叩き込んだ。
「まだまだッ!」
ファイブデビルは三連戦車砲と磁力光線を同時に放ち、ゼロは青いルナミラクルゼロへと変身して五つのゼロスラッガーを飛ばして攻撃を相殺させた。
「まだまだ。ストロングコロナゼロッ!」
赤いストロングコロナゼロへと変身し、更に巨大な炎を拳に纏わせて強烈な一撃を喰らわせた。
ファイブデビルの放つ電撃をものともせず、拳で弾き返して行った。
しかし、それこそがファイブデビルの狙いだったのだろう。
五体の怪獣の力を合わせた合体光線、サンダーリングテイル砲をゼロに放った。
「ぐああああッ!」
「ゼローッ!」
ゼロの変身も解け、元のウルトラマンゼロに戻ってしまい、カラータイマーが点滅を始めた。
「終わりだな…ウルトラマンゼロ!」
そう言ってファイブデビルはゼロの首を掴んだ。
「くっ…!」
「こいつを殺したら…タイガ…次は貴様らの番だ…!」
「やめろー!」
しかし、タイガ達のタイガスパークには光が灯っておらず、起動すらも出来なかった。
「どうすりゃいいんだ…!」
ゼロにもう一度サンダーリングテイル砲が撃たれようとしたその時だった。
赤い光球がファイブデビルの腕に直撃し、ゼロは命からがら脱出した。
「最後まで諦めるな!ゼロ!」
空から赤い光の球がゆっくりと降り立ち、やがてその光は人の形に姿を変えた。
真紅の身体と真っ赤に燃える熱き闘魂を持つ戦士、そしてゼロの師匠であるウルトラマンレオが現れた。
「レオ!」
「レオ!?」
「ウルトラマンレオだ!」
「ゼロ、立てるか?」
「勿論だぜ、師匠」
そう言ってゼロは立ち上がった。
[ウルトラマンレオ Vo.真夏竜・少年少女合唱団みずうみ 出典︰ウルトラマンレオ]
「タァーッ!」
「デヤッ!」
レオはアントラーの腕を、ゼロは恐竜戦車の腕を掴んでファイブデビルの動きを止め、二人で腹部にキックを打ち込み、ファイブデビルが二人を振り払ったところにすかさずパンチを打ち込み、間合いを取って構えた。
「どの宇宙、どんな地球であろうとこの星は俺の故郷!決して失う訳にはいかん!イヤーッ!」
「レオ…ああ!」
レオとゼロはファイブデビルが放つ電撃をバック転で回避し、大きく上空に飛び上がった。
「タァーッ!!」
「デヤァーッ!」
レオとゼロは片足にエネルギーを集め、レオキックとウルトラゼロキックをファイブデビルに放った。
ファイブデビルは足をよろつかせながらも再生を始めた。
「これで終わりだ…!ウルトラ戦士…!」
そう言ってファイブデビルはサンダーリングペイル砲の為のエネルギーを貯め始めた。
「ゼロ、相手が合体光線ならば俺達も合体光線で行くぞ!」
「ああ!」
二人は胸の前で腕を交差して両手にエネルギーを集中させ、ゼロがしゃがんで二人は一列に並び、腕を真横に伸ばした後にゼロが頭上で両手を合わせたのを挟むようにレオも両手を前に突き出して合わせ、エネルギーをスパークさせ、レオゼロダブルフラッシャーを放った。
ファイブデビルもサンダーリングペイル砲を放ち、二つの光線がぶつかり合う。
「オリャーッ!」
「エリャーー!!」
光線に二人の闘志が込められ、サンダーリングペイル砲を押し返し、光線がファイブデビルに直撃した。
ファイブデビルの身体が一瞬膨らんだかと思うと、身体のヒビから光が漏れ、轟音と共にファイブデビルの身体は爆発した。
レオとゼロは変身を解き、人間態のおおとりゲンと諸星昴に変わった。
そこに大我達、そして通報を受けた弦十郎や奏者達も集まってきた。
「師匠、来ていたのか」
「ああ。数ヶ月前から不穏な雰囲気を感じ取り、単身地球に来ていた。もしかすれば、私以外にも各地に仲間達がいるかもしれん。お前達の役に立てば良いが…」
そう言ってゲンは獅子の瞳を出し、そこから出てきた二つの光はレオレットとウルトラマンレオのカードとなり、その光は零と大我の手に飛んだ。
「俺は俺で調べることがある。地球は任せたぞ」
「ああ!」
「はい!」
「それと…」
ゲンは弦十郎の方を見て笑った。
「大きくなったな。弦十郎」
そう言ってゲンは弦十郎の肩に手を置いた。
「…師匠!お久しぶりです!」
「えっ!?師匠の…師匠!?」
「てことは…」
「お前らにとっちゃ大師匠じゃねえか!挨拶しとけ!」
「は、初めまして!立花響です!弦十郎さんの元で日々鍛錬しています!」
そう言って響は頭を下げた。
「柊零です!響ちゃんと一緒に修行を受けています!」
「弦十郎にも弟子が出来たのか。頼もしい限りだな。お前さんは…そうか、セブンが言っていた…頼んだぞ。この地球をな」
「はい!」
「響ちゃんと言ったね。弦十郎の修行はどうだ?」
「凄く厳しいけど…優しい人です」
「そうかそうか。弦十郎は良い師匠になったようだな」
「はい!」
ゲンは響の頭を撫で、笠を被った。
「それでは、俺は行く」
「師匠も気をつけろよ」
「ああ」
そう言ってゲンは夕焼けの中歩いていった。
「それにしても、お前らがウルトラマンだったなんて、何で早く言わないんだよ?」
「ほら、俺達も一応宇宙人だからさ。あんまり存在を民間人にもバラせないんだ」
「それでも、何故指令はレオの事を知っていたんだ?」
「子供の頃に一度助けて貰った事があってな…当時はウルトラマンレオだと知って驚いたが、絶対に周りに言わない代わりに弟子にしてもらっていたんだ」
「師匠の命の恩人だったんですね」
「うむ。さあ、帰ろう」
「結局戦うこともなかったな」
「ノイズじゃなかっただけ良いが…昴さん?」
「ああ、悪い。少ししてから戻るぜ」
そう言って、昴は街の方に向かった。
「…俺も行ってきます!」
「あ、お、おう…」
零も昴を追って街の方へ走った。
すっかり辺りも暗くなり、会社帰りのサラリーマンや学校帰りの学生がいる街の中を零と昴の二人は歩いていた。
(奴は一体どこにいやがる…)
そして、人気のないところに来た時だった。
「やあ…昼間はやってくれたね」
「てめえは…!」
「…!」
二人は身構え、フードの男は警戒する二人に歩み寄った。
「君達も気になってるだろうからね…見せてあげるよ、俺の姿を」
そう言ってフードの男はフードを取り、後ろに投げ捨てた。
「!!」
「お前は!!」
そこには、零と全く瓜二つの男が立っていた。顔だけではない。身長も、もしかしたら体重や利き腕も…零とほぼ同じ姿をした男がそこに立っていた。
違うところは、零とは対照的に赤い瞳と赤い髪だけが違っていた。
「俺はお前であり、お前は俺である。違うのは俺とお前の本質のみ…」
「何が違うって言うんだ…!」
「お前が光の存在ならば、俺は闇の存在なのだよ。そして俺はお前から生まれたのだ」
「俺からだと…?」
「お前はウルトラ兄弟の持てる力全てを使ったな。その反動で俺はお前から分離したのだよ。ゼロ、お前の予測通りのことが起こった訳だ」
「そこまで知っていたとはな…」
「零、お前とは必ず決着をつけねばならない。然るべき時になれば、この決闘受けてもらうぞ」
「…!」
「お前がお前であるならば、俺は俺であるためにお前を倒さねばならん。柊零はどの世界に置いても一人で良い…!」
「…分かった。必ず受けよう」
「ではな…せいぜい残り少ない時間を楽しむといい」
そう言って闇の零はどこかに消えた。
「闇の俺か…」
「厄介な奴が現れたな…とんでもなく…」
零と昴は闇の零がいた場所を見つめるしか無かった。
割と書いてたなワシ…
面白ければ感想や高評価よろしくお願いします!