歌の世界の【奏者】光の戦士   作:シャイニングピッグEX

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はい!!!システムは前と一緒です!!



すれ違う想い

翼が響に矛先を向けたあの日から一ヶ月、淡々とノイズを処理する翼とは対照的に響はノイズを倒すのにも精一杯と言った様子で、二人が噛み合う事は出来ず、弦十郎も二人に呆れていた。

 

 「一ヶ月経っても、まだまだ噛み合わねえなあ。あらよっと」

 

 現場にいる零も響をサポートしながらノイズを殴り飛ばして炭に変えながら苦笑いをして言った。

 

 「あの時…」

 

 零は翼が響に矛を向けた時の事を思い出していた。

 

 

 

 「私と一緒に戦ってください!」

 

 「そうね…貴方と私、戦いましょうか」

 

 翼は響とは違う種類の笑みを浮かべ、困惑する響に矛先を向けた。

 

 「そういう意味じゃありません、私は翼さんと力を合わせ…」

 

 「分かっているわ、そんなこと」

 

 翼は響の言葉を遮り、淡々と言葉を続けた。

 

 「だったらどうして…」

 

 「私が貴方と闘いたいから」

 

 「えっ…」

 

 「零さん、ちょうどいい機会です。貴方とも一度戦ってみたかった。私は貴方達を受け入れられない。力を合わせ、共に戦うことなど風鳴翼が許せるはずが無い。二人ともアームドギアを構えなさい。それが常在戦場の意志の体現。貴方が何者をも貫き通す武槍の一振、ガングニールのシンフォギアを纏うのであれば、そして例え例外とは言えど同じシンフォギアを纏うのであれば、胸の覚悟を構えてごらんなさい」

 

 「か、覚悟とかそんな…私、アームドギアなんて分かりません。分かってないのに構えろなんて、そんなこと全然分かりません!」

 

 「響ちゃん、こいつは何言っても通じない石頭みてえだ。俺も相手だってんならやるしかねえ…覚悟を決めるしかないぞ…!」

 

 「で、でも…!」

 

 呆れたように、翼は刀を下ろし、踵を返した。

 

 「覚悟を持たずに、のこのこと戦場に遊び半分に立つ貴方が奏の…奏の何を受け継いでいると言うの!」

 

 そう言って翼は響を睨みつけ、大きく飛び上がって手元の刀を投げ、巨大な刃に変形させて足に装着して放つ【天ノ逆鱗】を響に向かって放った。

 

 「くっ!」

 

 零もメビウスのカードをスキャンして右腕のメビウスブレスからメビュームブレードを展開して翼の刃を受け止めた。

 

 受け止めた衝撃で道路が割れ、水道管から噴水のように勢いよく水が吹き出した。

 

 「ぐっ!?零さん…そこをどいて…!どけえええ!!!」

 

 「そいつは無理な相談だっ!」

 

 零は腕の剣で翼の刀を弾き飛ばし、翼の剣は光に戻った。

 

 「…うぐっ…」

 

 翼の身体が地面に叩きつけられると同時に零の腕に鈍い痛みが走り、腕が真っ赤に染まるほどの多量の出血をしていた。

 

 「大丈夫ですか!?」

 

 「ちょっとトレーニングをサボってたからかな…これくらいなんて事ないさ…」

 

 三人ともいつの間にか変身が解除されており、零は服の袖を破って腕を縛って止血をしながら、座り込んでいる翼にゆっくりと歩み寄った。

 

 「…翼さん…あんた…泣いて…」

 

 「泣いてない!泣いてなんかいません!涙なんて、流していません…!」

 

 翼の顔からは、水とも涙とも分からないものが目元を伝って零れていた。

 

 「風鳴翼は、その身を剣と鍛えた戦士です。だから…」

 

 「…」

 

 「翼さん…」

 

 零は何も言わず、ゆっくりと翼を抱えあげた。

 

 「翼さん、私、自分が全然ダメダメなのは分かっています!だから、これから一生懸命頑張って、奏さんの代わりになって見せます!」

 

 その言葉に反応した翼は零の腕の中から出て怒りの感情を顕にしながら響の頬を力任せに手の平で叩いた。

 

 その時の翼の怒りと悲しみが入り交じった表情は今も忘れられない。

 

 

 

 やはり、翼の中には奏という存在を失った穴のようなものがあるのだろう。それは後悔なのか、それとも…。

 

 「…今の俺には、分からないのかもな…」

 

 力ではない、心のつよさ。

 

 今の零には、分からない、分かれない苦しみなのかもしれない。友達もいて、一緒に戦える仲間もいる自分と翼は真逆で何もかもが違っていて…。

 

 「…ああーもう!わかんねえ!」

 

 そのモヤモヤは基地に戻ってきても晴れることはなかった。

 

 

 その日の夕方五時半、二課のメンバーは基地でミーティングをするため、司令室に集まっていた。昴や大我達も一緒だ。

 

 「よう。」

 

 「おう。」

 

 「時間ぴったし、だな」

 

 そして、最後に響が入り、ミーティングが始まった。

 

 「では、全員揃ったところで、仲良しミーティングを始めましょ」

 

 響と翼の関係は今も気まずそうだ。

 

 モニターに街全域の地図が映し出され、その中には黄色い丸が一つとそれより大きい赤い丸がいくつも点々と付いていた。

 

 「…どう思う?」

 

 「一杯ですね」

 

 「ハハッ。全くその通りだ」

 

 弦十郎は響の言葉に笑いながら話を続けた。

 

 「これは、ここ一ヶ月に渡るノイズの発生地点だ。ノイズについて、響くん達が知ってることは?」

 

 「テレビのニュースや学校で教えてもらった程度ですが…まず無感情で機械的に人間だけを襲うこと」

 

 「それで、襲われた人間も炭化しちまう、だったよな?」

 

 「時や場所も選ばず突然現れ、周囲に被害を及ぼす特異災害として認定されている、という事もあった…かな?」

 

 「バッチリ合ってますよ、タイタスさん、風舞さん」

 

 「凄く詳しいな、響!」

 

 「今纏めてるレポートの題材なんだよ〜」

 

 頭を書きながら響は照れ笑いで言った。

 

 「そうね、ノイズの発生が国連でも議題に上がったのは十三年前の事。観測そのものはもーっと前からあったわ。それこそ世界中に、太古の昔から」

 

 「世界の各地に残る、神話や伝承に登場する数々の異能は、ノイズ由来のものが多いだろうな。文献によっては同時期に宇宙人や怪獣がいた、なんて話もあるが、ノイズの登場により絶滅、あるいはそれを恐れてずっと眠ったままと言うように記されてるものがほとんどだ」

 

 「ノイズの発生率は決して高くないの。この発生係数は誰の目から見ても異常事態。だとすると…そこに何らかの作為が働いてると考えるべきでしょうね」

 

 「作為…ってことは誰かの手によるものだというんですか?」

 

 「中心源はここ、私立リディアン音楽院高等課。我々の真上です。サクリストD、デュランダルを狙って何らかの意思が、この地に向けられている証左となります」

 

 翼は淡々と説明をした。

 

 「あの、デュランダルって一体…」

 

 「ここよりも更に下層、アビスと呼ばれる最深部に保管され、日本政府の管理下によって我々が研究しているほぼ完全状態の聖遺物、それがデュランダルよ」

 

 「翼さんの天羽々斬や、響ちゃんの胸のガングニールの様な欠片は、奏者が歌ってシンフォギアとして再構築させないとその力を発揮出来ないけど、完全状態の聖遺物は一度起動した後は100%常時力を発揮し、更には奏者以外の人間も使用出来るだろうと研究の結果が出ているんだ」

 

 「それが、私の提唱した櫻井理論。だけど完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲイン値が必要なのよね」

 

 「????」

 

 零や大我達も首を傾げ、風舞に至っては半分くらい寝ていた。

 

 「あれから二年…今の翼の歌であれば、あるいは…」

 

 「…」

 

 「そもそも、起動実験に必要な日本政府からの許可って降りるんですか?」

 

 「いや、それ以前の話だよ。安保を盾に、アメリカが引渡しを命じているそうじゃないですか。起動実験どころか、扱いには慎重にならざるを得まい。下手を打てば国際問題だ」

 

 「まさかこの件、米国政府が糸を引いてるなんてことは…」

 

 「…調査部からの報告によると、ここ数ヶ月の事件、数万回に及ぶコンピューターへのハッキングを試みる痕跡が見つかったと言われているそうだ…」

 

 翼は紙コップをぐしゃぐしゃになるまで握り締め、苛立ちを隠せないでいた。

 

 「流石にアクセスの出処は不明。それらは断片的に米国政府の仕業とは言えないな。もちろん痕跡は辿らせている。本来こういうのこそ、俺たちの本領なんだがな…」

 

 「風鳴司令…」

 

 「おっそうか、そろそろか…」

 

 翼のマネージャーが声をかけ、弦十郎も時間に気付いた。

 

 「今晩は、これからアルバムの打ち合わせが入っています」

 

 「へ?」

 

 「表向きの顔は風鳴翼のマネージャーをやっています」

 

 マネージャーは緒川慎次と書かれた名刺を響に渡し、零や大我達にも渡した。

 

 「すげー!なあなあ、俺達もあるよな!」

 

 「うむ。あれは社員証だが、いいものだ」

 

 「また行く時があったら取りに行こうぜ!」

 

 「悪ぃな、こいつらいつもこんな調子なんだ」

 

 「賑やかな方々ですね、見ていて楽しいです」

 

 緒川さんの顔も笑っていた。

 

 「それにしても…俺達を取り囲む脅威はノイズだけじゃないんだな…」

 

 「うむ…」

 

 「どこかの誰かがここを狙っているなんて、あんまり考えたくはないな」

 

 「大丈夫よ。なんてったってここはテレビや雑誌で有名な天才考古学者櫻井了子が設計した人類守護の砦よ?先端にして異端のテクノロジーが、悪い奴らなんか寄せ付けないんだから」

 

 「よろしくお願いします」

 

 そう言って響はぺこりと頭を下げた。

 

 翼が出たあと、一同は飲み物を飲みながらしばしのリラックスをしていた。

 

 「どうして私達は…」

 

 「?」

 

 「ノイズだけでなく、人間同士でも争っちゃうんだろう…」

 

 「…」

 

 「どうして、世界から争いが無くならないんでしょうねー…」

 

 「それはきっと…人類は呪われているからじゃないかしら」

 

 そう言って了子は響の耳元で囁き、耳を優しく口でくわえた。

 

 「いやあ〜っ!!」

 

 響は顔を赤くしながら反射で席を立った。

 

 「あ〜ら?おぼこいわね。誰かのものになる前に私のものにしちゃいたいかも♡」

 

 スタッフの二人と零とタイタスは苦笑いをし、昴と大我、風舞は「?」を浮かべていた。

 

 

 

 響や翼が学園に行っている間、零は大我と特訓をしていた。

 

 その様子を昴、タイタス、風舞は見ていた。

 

 「…ふむ…」

 

 「?どうされたんですか?」

 

 「ここ最近、気になることが多くてな…」

 

 「気になること、ですか?」

 

 「零のやつの動きが悪い。何か引っかかってるもんでもあるんだろうが…本人も上手く言葉に出来ないんだろうな」

 

 「…翼さんや響さんの事でしょうか」

 

 「それで間違いないだろうな。だけど、これはアイツらだけで解決しないといけない問題だろうな。俺達が変にしゃしゃり出ても意味は無いだろうしな」

 

 「我々に出来ることは、彼らを見守るだけしかないのでしょうか」

 

 「まあ、これは見守ってる方が最善かもな。お前達の時もそうだっただろ?」

 

 「ええ。タイガと共に闘い、一緒に絆を深め合いました。だけど、彼らが私達と同じようになるかは―」

 

 「まあ、あいつらを信じてみるのも良いんじゃねえか?なあ、旦那」

 

 「…フッ、そうだな。フーマの言う通りだ。我々が信じなければ意味が無いな」

 

 「そういうこった」

 

 そう言って風舞はいたずらっ子みたいに白い歯を見せて笑い、タイタスもフッと微笑んだ。

 

 夕方になり、五人が談笑していると警報がなり、五人は頷きあってノイズがいる場所へと向かった。

 

 「Imutate Symphony tron…」

 

 零は音速で街を駆け抜けながらシンフォギアを纏い、メビウスとウルトラマンのカードをスキャンし、その力をギアと身体に宿した。

 

 『Be the type! Spacium Brave!』

 

 【His World Vo.Zebrahead 出典:Sonic The Hedgehog(2006)】

 

 零が着地した場所には既にノイズ達が取り囲んでいた。

 

 (多い!けど…!)

 

 零はウルトラスラッシュを二つ手に持って前に投げ、ノイズ達を切り裂いた。

 

 そして、道を開いてそこを突っ切って行き、ノイズ達もそれについていった。

 

 それを狙い、一箇所に集まったノイズを狙って腕を十字に組んでスペシウム光線を放ち、ノイズを一層させた。

 

 「こっちは終わった!響は…!?」

 

 響の異常な気配に気付き、零は駅にいる響の元へ向かった。

 

 「響…か!?」

 

 直後に響はノイズの爆撃を受け、正気に戻り、ノイズを追いかけて行き、零もその後を追った。

 

 そして、その逃がしたノイズは翼が天高くから斬撃を放ち、ノイズは爆発四散し、それと同時に翼も着地した。

 

 「…私だって守りたいものがあるんです!だから…ッ!」

 

 翼は響の言葉には耳を貸さず、刀を静かに持っているだけだった。 

 

 「だから、失うんだよ…!」

 

 「…!?」

 

 「ネフシュタンの…鎧…!」

 

 声がした方を向くとそこには、ミュフスタンの鎧を纏った一人の少女が立っていた。

 




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