[Buddy,steady,go! Vo.寺島拓篤 出典:ウルトラマンタイガ]
早朝、響と零は弦十郎の指導の元、大我達と共に特訓を開始した。
「よおし!来いっ!」
大我と昴はミットを持ち、二人はボクシンググローブをつけて拳を打ち込んでいた。
「そうじゃない!稲妻を喰らい、雷を握り潰すように打つべし!」
「言ってること、全然分かりません!でもやってみます!」
響は力を込め、大きく振りかぶって大我に向かって全力で拳を打ち出した。
「うおっ!?」
その衝撃で大我の体も後ろに下がり、両足で踏ん張っても二メートル程の長さの足を引きずった後が出来てしまった。
「…!!」
「良いパンチだぜ!響」
それを聞いて響も嬉しそうに笑った。
「大我、変わってくれ。どうやら私でなければこの子の相手は務まらなさそうだ」
「そうみたいだな。響、次はタイタスが相手だ。全力で行けよ!」
そう言って大我はタイタスにミットを渡し、タイタスもミットを構えた。
「よろしくお願いします!」
「どうした?そんなもんか?」
零も響と同じように昴にスパーリングを続けていた。
「はあああっ!」
零は拳に力を込めて打つも、昴の身体は微動だにしなかった。
「何を迷ってるのか分かんねーが…迷いを捨てろ!お前は皆を守るために戦うんだろ!」
「…!だァっ!」
零は全力の力を入れ、拳を打ち出した。
「!!…ヘヘッ、やれば出来んじゃねえか」
「はぁっ…はぁっ…」
「おそらく、これまではお前の能力でなんとかなっただろうが…今回の件は俺達も含めて能力が失われている。つまり、俺達自身の力が重要になってくるって事だ。ましてや、ウルトラマンの力を失ったお前は尚更だ」
「ちゃんと鍛えたつもりだったけど…足りなかったのか…」
「まあそう言うなよ。俺達がもう一度鍛え直せば済む話だ。そうだろ?」
「…ああ!頼む!」
そう言って零はスパーリングの続きを開始した。
とある森の奥深く…大きな屋敷の中で一人の女性が椅子に座りながら外国人の誰かと話していた。
『(ソロモンの杖…我々が讓渡した聖遺物の起動実験はどうなっている?)』
「(報告の通り、完全聖遺物の軌道には相応レベルのシンフォニックゲインが必要になってくるの。簡単にはいかないわ)」
そう言いながら女性は手に持った杖でノイズを出し、杖を一振してノイズを消した。
『(ブラックアート…、失われた先史文明の技術を解明し、ぜひともあの方に捧げたい)』
「(そうね。あなたの祖国からもそうだけど、あの方からの支援には感謝しているわ。今日の鴨撃ちも首尾よく頼むわね)」
『(あくまでも便利に使うハラか。ならば、見合った働きを見せてもらいたいものだ)』
「(もちろん理解しているつもりよ。従順な犬ほど長生きするというしね。それに、あの方に逆らえば消されてしまうことも)」
そう言って女性は電話を切り、座っていた椅子から立ち、磔にされているネフシュタンの鎧を身にまとっていた銀髪の少女に歩み寄った。
「野卑で下劣…生まれた国の品格さので辟易する…そんな男に既にソロモンの杖が起動している事を教える道理はないわね…クリス」
「…」
クリスと呼ばれた少女の顔に女性は手を当て、クリスは目を開いた。
「苦しい?可哀想なクリス。貴女がぐずぐず戸惑うからよ」
そう言われてクリスは女性の顔を見た。その顔は決して笑っておらず、怯えるしかなかった。
「誘い出されたあの子をここに連れてくれば良いだけだったのに…手間取ったどころか、空手で戻ってくるなんて…」
「…これで…いいんだよな…?」
絞り出すようにクリスは声を出した。
「なに?」
「アタシの望みを叶えるには、お前に従ってればいいんだよな…?」
「そうよ…だから私の全てを受け入れなさい…でないと嫌いになっちゃうわよ」
そう言って女性は装置のレバーを引いた。
クリスの身体に電流が流れ、悲鳴をあげた。
もがいても決して脱出することは出来ず、ただ耐えるしかなかった。
「可愛いわよクリス。私だけが貴方を愛してあげられる…」
そして電流が止まり、女性は再びクリスに歩み寄って顔を触り、クリスの目は彼女に向けられていた。
「覚えておいてねクリス…痛みだけが人の心を繋いで絆と結ぶ、世界の真実と言うことを…さあ、一緒に食事にしましょうね」
それを聞いてクリスは安堵の表情を見せ、それを見た女性はもう一度クリスに電流を流し、館中にクリスの悲鳴が流れた。
早朝のトレーニングが終わり、零と響は基地の中に入るやいなやソファに倒れ込んだ。
「朝からハードすぎます…」
「腕が…背中が…痛…い…」
「頼んだぞ、明日のチャンピオン」
そう言って弦十郎は飲み物を持って響と零の向かいのソファに腰掛けた。
「まあ、及第点ってとこだな」
「そう言えばゼロにも弟子がいるんだろ?アイツは今はどうしてるんだ?」
「ジードがここの宇宙にくる以前にアイツがいる宇宙に行ったのは聞いてるんだが…今も地球を守ってるのかもな」
「アイツ?」
零は飲み物を受け取りながら昴の話を聞いた。
「ああ、お前は知らないんだったな。俺に弟子入りを志願してきたやつがいるんだよ。ウルトラマンゼットって言うんだけどな、今は別の宇宙の地球に滞在してるんだ。ま、俺は認めたつもりはないけどな」
「ゼロに弟子が…」
「前に見た時には少しくらいは逞しくなっていたな。アイツが地球での戦いを通して学んでくれればいいんだけどな…まあ、シンフォギアで戦えない以上、俺も何も出来ないけどな」
そう言って昴達もソファに座った。
「ゼロ…」
「…あの、自分でやると決めたくせに申し訳ないんですけど、何もうら若き女子高生に頼まなくても、ノイズと戦える武器って他に無いんですか?大我さんや昴さんに任せる訳じゃありませんけど…例えば外国とか」
響は弦十郎や昴達の方を向いて言った。
「公式には無いな…日本だって、シンフォギアは最重要機密事項として、完全非公開だ」
「えええ…私、結構派手にやらかしてるかも…」
「情報封鎖も二課の仕事だから」
「…だけど、時々無理を通すから、今や我々のことをよく思ってない閣僚や省庁だらけだ」
男性スタッフが自分の席から響達の方を向いて言った。
「特異災害対策機動部二課を縮め、突起部って揶揄されてる」
「情報の秘匿は、政府の指示だってのにね…やり切れない…」
「いずれシンフォギアを、有利な外交カードにしようと目論んでるんだろう」
「EUや米国がいつだって改定の機会を狙っているはず…シンフォギアの開発は、既知の系統とは全く異なるところから突然発生した理論と技術に成り立っているわ。日本以外の国では到底真似出来ないから、尚更欲しいのでしょうね。以前にも日本は独自に人工ウルトラマンを作り上げていたけど、それらもシンフォギアと同様の理由で開発は断念されているし」
「人工ウルトラマン…だと…!?」
「…結局やっぱり色々とややこしいって事ですよね…」
気だるげに響は言った。
「…そう言えば了子さんはどうしたんだ?」
タイタスが辺りを見回しながら言った。
「永田町さ」
「永田町?」
「政府のお偉いさんに呼び出されてね」
「はぁ」
「本部の安全性、及び防衛システムに関係閣僚に対し、説明義務を果たしに行っている。仕方の無いことさ」
「…本当は何もかもがややこしいんですね」
「ルールをややこしくするのはいつも責任を取らずに立ち回りたい連中なんだよ。その点、広木防衛大臣は…」
弦十郎は一度時計を確認した。
「…了子くんが遅れているようだな」
「…フーマのやつ、どこいったんだ?」
「トイレかなんかじゃないのか?」
「あなたは…確か…」
手術室を出た翼の前に風舞が立っていた。
「風舞だ。悪いが、あんたが眠っている間の夢をちょいとばかし覗かせてもらったぜ」
「…」
「…あんたは大切な人を亡くして、意味を求めず、ただ戦ってきたんだな」
「…それがなんだと言うんだ」
「オレもあんたと同じように大切なたった一人の相棒を目の前で亡くした事がある。だからあんたの気持ちは痛いほどわかる」
「目の前で…?誰かに殺されたのか…」
「いいや、違う。…手にかけたのは誰でも無い俺自身だ」
「…!!仲間を殺したのか!?」
「…」
「言え!何故貴様はそんな事が出来た!」
そう言って翼は風舞の胸ぐらを掴んだ。
「…その相棒は、怪物になっていた。過酷な環境の中で一人彷徨い、力を手に入れてもなお、最後まで抗ったがついには自我が無くなった。その寸前、オレはヤツに言われたんだ。トドメを刺してくれ、と」
「…!!」
「オレも断ったさ…だがそれがヤツの最後の言葉だった…。だから、俺はアイツの願いを聞き入れた。だが、アイツは俺に生きる術を、戦う術を教えてくれた…。お前にとっての奏と同じだ」
「同じなもんか…!化け物となった貴様の相棒と奏が同じなもんか!」
「…アイツも、奏も、やり方は違う。だけど、オレもあんたも、相棒が命をかけて助けてくれた命で今を生きてる。俺はアイツがくれた命を投げ捨てようとは思わない。例えそれがあんたの言う生き恥を晒す事だとしてもだ」
「…」
風舞の胸ぐらを掴む翼の手が緩んだ。
「確かに、あんたからしたら仲間もいるお前が何を言ってるんだ、って感じだろうけどな。だけど、オレはアイツらがいるから、死ぬ訳にも仲間を失う訳にもいかないって、誓ったんだ。それは零も響の嬢ちゃんも同じなはずだ。お前と同じ経験はしてなくてもな」
「あの二人が…?」
「あの二人、あんたに鼓舞されて訓練を始めたんだ。あんたの言葉はしっかり響いてるみたいだぜ」
「…私は…」
「…嬢ちゃんの好きにしな。アイツらと共に戦うか、それとも刃を交えるか。あんたが防人としてすべき事が何なのかを自分の中でハッキリさせるこったな」
そう言いながら風舞は翼の元を去った。
「…」
司令室に了子が戻り、全員は入口の方を見た。
「大変長らくお待たせしましたぁ〜!」
「!!」
「了子くんッ!」
「何よ?そんなに寂しくさせちゃった?」
「広木防衛大臣が…殺害されたんだ」
「ええっ!?本当!?」
「複数の革命グループから犯行声明が出ている。いずれも、詳しいことは把握出来ていない。国家全力で捜査中だ」
「皆了子に連絡が取れないから心配してたんです」
「?」
そう言って了子は端末をポケットから取り出し、画面を操作した。
「…壊れてるみたいね」
それを聞いて響は安堵の表情を浮かべた。
「でも心配してくれてありがとう。そして、政府から受領した秘密司令も無事よ。任務遂行こそ、広木防衛大臣への弔いだわ」
「…」
昴は、了子が取り出したアタッシュケースに血が付いているのを見逃さなかった。
そして、二課の全員が集められ、司令内容を了子から聞くことになった。
「私立リディアン音楽院高等科。つまり、特異災害対策機動部二課の本部を中心に頻発しているノイズ発生の事例から、その狙いは本部最奥区画、アビスに厳重保管されているサクリストD、デュランダルの強奪目的と政府は結論付けました」
「デュランダル…」
「EU連合が経済破綻した際、不良債権の一部肩代わりを条件に日本政府が管理、保管することになった、数少ない完全聖遺物の一つ」
「輸送するって言ったって、どこに持っていくんですか?ここ以上の防衛システムがどこに…」
「永田町最深部の特別電算室、通称[ 記憶の遺跡]…そこならば、と言うことだ。どの道、俺達が国家役員である以上、お上の意向には逆らえないさ」
「デュランダルの輸送予定日時は明朝、マルゴーマルマル。詳細はこのメモリーチップに記載されています」
「あそこがアビスですか…」
響はモニターに映し出されたアビスの図を見ながら言った。
「東京スカイタワー三本分。地下千八百メートルにあるのよ」
「はぁ」
「はい。それじゃあ、予定開始時間まで休んでいなさい。あなたのお仕事はそれからよ」
そう言って了子は響にウインクした。
「はいっ!」
昴は廊下の途中で響と緒川が話してるのを横目に通り過ぎた。
(櫻井了子…奴だけが何かおかしい。俺の気のせいだといいんだが…)
すると、大我と出会った。
「よう、昴。…昴?」
「…ん?あ、ああ大我か、わりい」
「?よくわかんねーけど、任務の準備に行こうぜ」
「そうだな…」
昴は大我と共に任務の準備に行った。
そして時間になり、零達は基地の前に集まっていた。 零達の後ろには車が六台とヘリコプターが一台配備されていた。
「防衛大臣殺害犯を検挙する名目で検問を配備。記憶の遺跡まで一気に駆け抜ける」
「名付けてぇ〜!天下の桜雷一人占め作戦♡」
早速一同は車に乗り込み、輸送機地までかっ飛ばした。
零と響は了子が運転する車に乗り、昴達四人も車に乗った。
「ぜ、ゼロ!もっと安全運転してくれよ!」
「うるせえ!これでもめいっぱい安全にやってんだよ!」
「車の勉強をしていれば…」
「U40にもM78にも車の勉強は必要なかったからだろ。飛べるんだし」
「あークソっ!変身出来ればよぉぉぉー!!!!」
昴達の車だけ初心者マークが貼られていた。
すると、高速道路の一部が崩れ、一台の車が爆発した。
「車が!」
「しっかり掴まっててね…」
「ふえ?」
「私のドラテクは凶暴よ…!」
『敵襲だ!まだ追いついてきていないがノイズだろう!』
「この展開、想定していたより早いかも!」
そしてまたもう一台、マンホールから吹き上がった水圧で吹き飛び、後方で爆発を起こした。
『下水道だ!ノイズは下水道を使って攻撃してきている!』
「んなのアリかよぉぉぉ〜!?」
昴達の乗る車もなんとか攻撃をかわしながら道を走っていた。
「弦十郎く〜ん?ちょっとヤバいんじゃない〜?この先の薬品工場で爆発でも起きたら、デュランダルは…!」
『分かっている!さっきから護衛車を的確に狙い撃ちしてるのはノイズがデュランダルを輸送させないよう制御されていると見える!』
了子は悔しそうに歯ぎしりした。
『狙いがデュランダルの確保なら、かえって危険な地域に滑り込み、攻め手を封じるって算段だ!』
「勝算は!?」
『思いつきの数字で重ねるものだよ!』
その途端、前方に残っていた車にノイズが飛びつき、乗っていた二人は脱出して車は工場にぶつかって爆発した。
「狙い通りです!」
「案外そうでも無い…かも?」
零がそう言った途端、車は反転し、駒のように回りながら地面を滑った。
「あたた…はっ!」
気がつくと周りはノイズに包囲され、よく見ると徐々に数が増えていた。
「重い…」
響は車の中からデュランダルが入ったアタッシュケースを出した。
「だったら、いっそここに置いて私達は逃げましょうか」
「そんなのダメです!」
「そりゃそうよね」
次の瞬間、ノイズが三人に突撃を始めた。
「危ないっ!」
零は素早く二人を抱えて車を離れ、その直後に車は爆発した。
「大丈夫か?二人とも」
そう言いながら零は二人を下ろした。
「ありがとう零さん」
しかし、他のノイズが零に突進し、思わず零は腕で顔を伏せた。
すると、了子が手のひらから謎のバリアを発動し、ノイズを防いだ。
その衝撃で了子のメガネと髪留めが飛び、了子の見たことの無い一面が見えた。
「了子…さん…?」
「しょうがないわね。あなたはあなたがやりたいことをやりなさい!」
響は零の方を向き、零もそれを見て頷き、二人はノイズの方を向いて睨みつけた。
「Balwisyall Nescell gungnir tron…」
「Symphony X tron…」
二人の身体は光に包まれ、シンフォギアを纏った。
零はメビウスとエースのカードをスキャンし、その姿と力を身にまとった。
『Be the type! Metalium Brave!』
[撃槍・ガングニール Vo.立花響]
零はメビウスブレスからメビュームブレードを展開し、エースブレードも持って二刀流を構え、響も拳を構えた。
二人はノイズの突進をかわし、響は足元をすくわれ、二人は途端にノイズに囲まれてしまった。
(ヒールが邪魔だ!)
そう言って響は踵の装置を破壊し、足元をランニングシューズのようにし、呼吸を整えてノイズに向けて拳を構えた。
「響ちゃん、合わせよう!」
響もそれを聞いて頷き、零は身を屈めて響の背中の方を向き、響も零の体の上で拳を振りかぶり、突進してきたノイズを二人は切り裂くのと打ち砕くのを同時に行った。
それを見て零と響は再び見合わせて頷き、今度は響が馬のようになって零がその上を転がり、飛んでくるノイズ三体を切り裂いた。
そして、零は一瞬刃をしまい、お互いに手を握って零が響を振り回して飛んでくるノイズを薙ぎ払った。
下から潜り込んでくるノイズを同時に飛び上がって避け、空中で零は響を掴んで縦に体を高速回転させ、地面に向かって響を投げ、響もそれに合わせてノイズに向かって両足蹴りを喰らわせ、ノイズの身体を貫通して着地した。
ノイズ達も一斉に突進して響を取り囲むも、零が空中からウルトラギロチンをノイズ達に投げつけて一掃し、ノイズが炭化すると同時に響の横に着地した。
そして二人は軽く拳を突き合わせて笑いあい、再び戦いに戻った。
「こいつら…戦えるようになっているのか…!?」
上で見ていたクリスが驚きながら二人を見ていた。
了子も二人を呆然と見ていると、後ろからデュランダルの入ったアタッシュケースが光り出した。
「…!?これは…!」
二人が連携して戦っているとクリスの鎖が飛び、二人は同時に飛び上がって避けた。
「今日こそは物にしてやる!」
クリスは二人に向かって飛び蹴りを放ち、了子の前に叩きつけられた。
(まだアームドギアを使いこなせていない…!どうすれば…!)
すると、デュランダルがアタッシュケースから飛び出し、眩く輝き出した。
「覚醒!?急に…」
「こいつがデュランダル…!」
クリスはデュランダルに向かって飛び出し、あと一歩と言うところで響のタックルを食らった。
「詰めが甘いぜ、お嬢ちゃんよ。響!」
「はいっ!あたしの…ものだー!」
響はデュランダルを強く握り、それに呼応するようにデュランダルは輝きを強くした。
そして、着地した響から強い光が放たれ、響は黒く暴走した姿になり、獣の様な雄叫びをあげてデュランダルを振り上げていた。
「こいつ…何をしやがったッ…!?」
「響ちゃん!…響!?」
そう言ってクリスは了子の方を見た。
大我達もノイズの攻撃で大破した車のそばで響の様子を見ていた。
了子は恍惚な表情を浮かべ、それを見たクリスはソロモンの杖を振りあげた。
「そんな力…見せびらかすなァァー!」
そう言ってノイズを出すも、響はゆっくりクリスの方を振り向き、その眼光に思わずクリスは後ずさった。
響はノイズが出た方にデュランダルを振り下ろし、クリスはその場を離れ、零も大我達を見つけてすぐに連れ出した。
直後に零のすぐ後ろで爆発が起き、五人とも吹っ飛ばされ、そこで気を失った。
次に気がつくと、辺りは瓦礫の山になっていた。
「どうなってんだ一体…」
「どうやら、響ちゃんの歌声でデュランダルが覚醒したらしいな」
「それに響の嬢ちゃんの様子もおかしかったし…シンフォギアについては分からない事だらけだな…」
「…やはり、櫻井了子…アイツは何かを隠してる…」
「え?」
「地球人が…普通の人間が手からバリアなんて出るわけないだろ!」
昴の了子への疑惑は確信へと変わった。
今回はここまでです。
時間的にはジードがゼット本編でグリーザを倒した後くらいになります。
シンフォギア本編ではかなりの時間が経ちますけど異なる宇宙なので関係ありませんね。
それではまた次回!