暁と申します。これより、司令官様の指揮下に入ります 作:血濡れの人形
~鎮守府 工廠~
棺桶のような形の機械が並ぶ、大きな倉庫のような建物。工廠と呼ばれるその建造物の中で、三つの影が話をしていた。
「もう少しで建造が終了しそうですね。ところで提督は、一体どの艦狙いで建造したんですか?」
そのうちの一つ、明石と呼ばれる艦娘が、白い軍服を着た男に話しかける。提督と呼ばれた男は、苦笑しながら、
「狙って艦が出せるなら、誰も苦労しないと思うんだがな。まぁ、秘書艦である電の姉妹艦が出てくれたら嬉しいな程度の感覚だよ」
と答える。そんなことを話しているうちに、資材をいれていた建造用のドックの近くに立っていた少女、電から声が上がる。
「あの、司令官さん。建造が終わったようなのです」
その報告を受けた提督は、近くにあった機械を操作する。その操作が終わると、ガコンという音と共に、建造用のドックの一つが起き上がる。それと同時に、中に入っていた液体が外に溢れ、海水に溶けていく。そして、その液体が完全に無くなり、ガラスでできた一面が開き、中から少女が出てくる。
「暁と申します。これより、司令官様の指揮下に入ります。どうぞ、よろしくお願い致します」
濡羽色の髪をした彼女、暁はそう言うと、司令官に対して一礼をするのだった。
~鎮守府 司令室~
「あの暁を見て、どう思った?」
案内を秘書艦である電に任せた提督が、明石に尋ねる。
「そうですねぇ、暁であることは変わらないんですが、ほかの鎮守府に所属している子たちとは全然違いますね。艤装や外見は暁のそれなのですが、内面というか、性格が全然違いますね」
そう告げる明石の頭の中には、『一人前のれでぃーとしてあつかってよね』と言っている暁の姿が浮かんだ。
「というか、完全に別人だろう。電はほかの鎮守府の暁を見たことがないらしいから、違和感は特にないらしいが・・・」
なんて話をしている提督の頭の中で、『頭をなでなでしないでよ!もう子供じゃないって言ってるでしょっ!』と、お菓子をもらって喜んでいる姿を見てつい撫でてしまった大本営の暁の姿が浮かぶ。
「・・・原因がわからないのをそのままにするのも問題はありますが、しばらく経過を見ていたほうが良いかと」
「ふむ、ちなみに理由は?」
そう返す提督の横をちらりと見る。そこには、とてもいい笑顔を浮かべる大淀の姿があった。それと、大量の書類。
「簡単に言えば、現在この鎮守府は、人手がない、戦力がない、資材がない、鎮守府近海の攻略もしていない、と、無いない尽くしの状況ですので、多少ほかの鎮守府とは違くとも、人材を遊ばせる暇がないからですね。詳しく検査しようとすると、少なくとも私と本人である暁、あと、新規の艦が建造できなくなりますね。工廠にいる妖精さんたちは検査のほうにフルで使うので。さらに、それが終わるのは最低でも2、3日はかかると思うので、よっぽど問題がなければ経過観察でいいかと。それに・・・」
「それに?」
「そろそろ提督が仕事をしないと、私が寝れないのですが。提督のわがままでさきほどまで工廠で建造されるまで待つというのをかなえたので、いい加減仕事に戻ってくれないしょうか」
ちなみにこの提督、今日が着任してから二日目である。
というわけで、着任二日目にしていまだ建造しかしてない阿呆な提督と、不思議な艦娘たちの物語の始まり始まり。
提督
名前は未定。着任初日は寝落ちし、翌日は建造が終わる瞬間を見たいと駄々をこねた変人。この後めちゃくちゃ書類にサインした。夕食に出てきた刺身となめろうを食べて『うまい、うますぎるっ!』と叫んだらしい。
暁
出番は少なかったが今作の主人公的な枠。この作品ではきちんとしたレディっぽく書けるように頑張ります。ちなみにこの後食堂で夕飯を作り(冷蔵庫の中には味噌と漬物、生姜、大蒜。棚の中に調味料が入っていた程度だったが、明石の釣果を使って完成)、よく眠れるようにと提督と大淀にハーブティーを入れてあげたらしい。翌日の朝食を何にしようかと悩んでいる。
電
初期艦で秘書艦。提督の着任前日に建造、そのまま現地に送られたため、ほかの所の暁を知らない。ちなみに、秘書艦初日は休み(提督不在のため)だった。このあと食堂で暁の補佐をしていたが、途中からやることが尽きたらしく、食堂の椅子に座って二人で話をしていたらしい。ちなみに二日目も秘書艦の仕事は特になかった。
明石
実は暇つぶしに対深海棲艦用の近接武器などを作りすぎて資材があまり多くない新規の提督のもとに送られた問題児。最近作った武器は鞭みたいに使える仕込み杖。このあと夕食まで時間あるからと釣りをしたところ鯵が多めに手に入り、夕食に貢献していたらしい。
大淀
初日にばっくれられ、二日目に駄々をこねられた不遇枠。ちなみに個人的には普通に好きです。一番の推しは叢雲だけど。このあと提督がすべての書類にサインし終わるまで監視していた。寝る少し前に入れてくれたハーブティーのおかげか、布団に入って5秒で寝たらしい。